JP4323104B2 - 焼成炉、焼成炉における一酸化珪素の除去方法、及び炭化珪素製フィルタの製造方法 - Google Patents

焼成炉、焼成炉における一酸化珪素の除去方法、及び炭化珪素製フィルタの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化珪素からなる成形体を焼成する焼成炉、焼成炉における一酸化珪素の除去方法、及び炭化珪素製フィルタの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、この種の成形体は、ディーゼルエンジン等の内燃機関の排気ガス中に含まれるパティキュレートを燃焼除去する排気ガス浄化装置のフィルタとして用いられる。一般的な排気ガス浄化装置は、エンジンの排気マニホールドに連結された排気管の途上にケーシングを設け、その中に微細な孔を有するフィルタを配置した構造を有している。最近では、フィルタの形成材料としては、非酸化物セラミックの一種である多孔質炭化珪素が多く用いられる。この材料を採用する理由としては、耐熱性・機械的強度・捕集効率が高い、化学的に安定している、圧力損失が小さい等の利点があるからである。
【0003】
従来、このようなフィルタを製造するのに焼成炉が用いられる。焼成炉は炭素からなるマッフルを備えており、そのマッフルの両端に投入口及び排出口が設けられている。炭化珪素成形体は、炭素からなる治具に載置されながらコンベアベルトによって投入口から排出口へと搬送される。この搬送中において、炭化珪素成形体はマッフルの内壁に設けられたヒータで加熱されることにより脱脂される。炭化珪素成形体の酸化を防止するために、マッフル内にはアルゴン等の不活性ガスが導入される。そして、それらのガスはマッフルに設けられている排気筒を介して外部に排出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の焼成炉においては、マッフル内の温度が1500〜1800℃に上昇すると、炭化珪素成形体の原料に含まれる二酸化珪素(SiO2)が気体となり、一酸化珪素(SiO)に変化する。これにより、マッフル内の雰囲気中に一酸化珪素が充満すると、炭化珪素成形体、治具及びマッフル等といった炭素製部材が酸化する。
【0005】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、炭化珪素成形体が劣化するのを防止することが可能な焼成炉、焼成炉における一酸化珪素の除去方法、及び炭化珪素製フィルタの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、一端に炭化珪素成形体が投入される投入口を有するとともに、他端に炭化珪素成形体が排出される排出口を有するマッフルと、炭化珪素成形体を前記投入口から排出口に向かって搬送する搬送手段と、前記マッフル内を移動する前記炭化珪素成形体を加熱する加熱手段と、マッフル内の気体が排出される排気口を有する排気筒とを備えた焼成炉において、前記排気筒を、マッフルの最高温度領域に配置し、かつマッフルの上部に配置し、前記排気筒内に炭素を含む固体を材料として形成された一酸化珪素除去手段を設け、前記マッフル内の気体に含まれる一酸化珪素が一酸化珪素除去手段を通過する際に、一酸化珪素を炭素と化学的に反応させて炭化珪素とした上で一酸化珪素除去手段に付着させることにより前記一酸化珪素を除去するようにしたことを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の焼成炉において、前記一酸化珪素除去手段は繊維の集合体から構成され、その集合体に通気性が与えられていることを要旨とする。
【0009】
請求項に記載の発明では、請求項1又は2に記載の焼成炉において、前記一酸化珪素除去手段は、前記排気筒に対して着脱可能なカートリッジケースに収容されていることを要旨とする。
【0010】
請求項に記載の発明では、請求項1〜のうちいずれかに記載の焼成炉において、前記排気筒には、貴金属元素からなる触媒が設けられていることを要旨とする。
【0011】
請求項に記載の発明では、マッフルの投入口から投入される炭化珪素成形体を前記マッフルの排出口に向けて加熱しながら搬送する際に、前記マッフル内の気体中に含まれる一酸化珪素を除去する方法において、前記マッフル内の気体が排出される排気筒を、マッフルの最高温度領域に配置し、かつマッフルの上部に配置し、前記排気筒内に炭素を含む固体を材料として形成された一酸化珪素除去手段を設け、前記マッフル内の気体中に含まれる一酸化珪素が一酸化珪素除去手段を通過する際に、前記一酸化珪素を炭素と化学的に反応させて炭化珪素とした上で一酸化珪素除去手段に付着させることにより前記一酸化珪素を除去するようにしたことを要旨とする。
【0012】
請求項に記載の発明では、マッフルに投入した炭化珪素成形体を加熱手段により加熱しながら搬送手段で搬送し、炭化珪素成形体を焼成することで炭化珪素製フィルタを製造する方法において、前記マッフル内の気体が排出される排気筒を、マッフルの最高温度領域に配置し、かつマッフルの上部に配置し、前記排気筒内に炭素を含む固体を材料として形成された一酸化珪素除去手段を設け、前記炭化珪素成形体が加熱されたときにマッフル内に発生する一酸化珪素が一酸化珪素除去手段を通過する際に、前記一酸化珪素を炭素と化学的に反応させて炭化珪素とした上で一酸化珪素除去手段に付着させることにより前記一酸化珪素を除去し、焼成される炭化珪素成形体の酸化を防止するようにしたことを要旨とする。
【0014】
以下、本発明の「作用」について説明する。
請求項1に記載の発明によれば、マッフル内の気体は排気筒内に設けた一酸化珪素除去手段を介して外部に排出される。この一酸化珪素除去手段を通過するとき、気体中に含まれる一酸化珪素を炭素と化学的に反応させて炭化珪素とした上で付着させることにより一酸化珪素除去手段によって除去される。この結果、炭化珪素成形体が酸化しなくなるので、炭化珪素成形体の劣化を防止することが可能になる。また、マッフルの最高温度領域に排気筒が配置されていることから、この排気筒には高温度の気体が流れる。そのため、排気筒に設置された一酸化珪素除去手段には高温の気体が触れることになる。従って、一酸化珪素と炭素との化学的反応が活性化する。この結果、一酸化珪素を除去する効率を向上することが可能になる。
【0015】
、一酸化珪素除去手段の形成材料は汎用性のある炭素を含んで構成されているため、低コスト化を図ることが可能になる。しかも、一酸化珪素除去手段は固体であるため液体等と比較して扱い易い。よって、排気筒に対し一酸化珪素除去手段を容易に装着できる。
【0016】
請求項に記載の発明によれば、一酸化珪素除去手段は通気性を有していることから、マッフル内に一酸化珪素が滞留しなくなる。そのため、効率よく一酸化珪素を除去することができる。しかも、一酸化珪素除去手段は繊維状であるためその比表面積を高くすることができ、一酸化珪素を効率よく一酸化珪素を除去することができる。
【0018】
請求項に記載の発明によれば、排気筒にカートリッジケースを着脱することにより、一酸化珪素除去手段を新しいものと交換することが可能になる。これにより、一酸化珪素の除去能力が低下するのを防止できる。
【0019】
請求項に記載の発明によれば、炭素と一酸化珪素との反応により生じた一酸化炭素の酸化反応が触媒によって活性化される。これにより、一酸化炭素が速やかに除去され、焼成炉が配置されている所の作業環境を向上させることができる。
【0020】
請求項に記載の発明によれば、大型装置などを用いることなく一酸化珪素を除去することが可能である。従って、排気筒内に設けた一酸化珪素除去手段のようにスペースの少ない箇所で一酸化珪素を除去することができ、焼成炉が大型化するのを防止することが可能になる。
【0021】
請求項に記載の発明によれば、炭化珪素成形体が加熱手段によって加熱されるとマッフル内に一酸化珪素が発生するが、この一酸化珪素は排気筒内に設けた一酸化珪素除去手段によって除去されることから焼成される炭化珪素成形体の酸化が防止される。この結果、炭化珪素成形体の劣化が防止される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を、図面に基づき詳細に説明する。
まず、本実施形態において製造されるハニカム状の排気ガス浄化フィルタ11について説明する。図1,図2に示すように、排気ガス浄化フィルタ11は、ディーゼルエンジンの排気ガス中に含まれるパティキュレートを除去するものであって、一般にディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)と呼ばれる。この排気ガス浄化フィルタ11は四角柱状であって、その外形寸法は33mm×33mm×167mmに設定されている。
【0023】
これらの排気ガス浄化フィルタ11は、セラミック焼結体の一種である多孔質炭化珪素焼結体製である。炭化珪素焼結体を採用した理由は、他のセラミックに比較して、とりわけ機械的強度、耐熱性及び熱伝導性等に優れるという利点があるからである。
【0024】
排気ガス浄化フィルタ11は同方向に延びる多数のセルからなるハニカム構造を有している。ハニカム構造を採用した理由は、微粒子の捕集量が増加したときでも圧力損失が小さいという利点があるからである。排気ガス浄化フィルタ11には、断面略正方形状をなす複数の貫通孔12がその軸線方向に沿って規則的に形成されている。各貫通孔12は薄いセル壁13によって互いに仕切られている。セル壁13の外表面には、白金族元素(例えばPt等)やその他の金属元素及びその酸化物等からなる酸化触媒が担持されている。各貫通孔12の開口部は、いずれか一方の端面15a,15bの側において封止体14(ここでは多孔質炭化珪素焼結体)により市松模様状に封止されている。従って、端面9a,9b全体としてみると市松模様状を呈している。その結果、排気ガス浄化フィルタ11には、断面四角形状をした多数のセルが形成されている。セルの密度は200個/インチ前後に設定されている。多数あるセルのうち、約半数のものは一端面15aにおいて開口し、残りのものは他端面15bにおいて開口している。
【0025】
次に、上記の排気ガス浄化フィルタ11を製造する手順を説明する。
まず、押出成形工程で使用するセラミック原料スラリー、端面封止工程で使用する封止用ペーストをあらかじめ作製しておく。
【0026】
セラミック原料スラリーとしては、炭化珪素粉末(二酸化珪素:SiC)に有機バインダ及び水等の分散媒液を所定分量ずつ配合し、かつ混練したものを用いる。封止用ペーストとしては、炭化珪素粉末に有機バインダ、潤滑剤、可塑剤及び水を配合し、かつ混練したものを用いる。
【0027】
有機バインダとしては、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。有機バインダの配合量は、通常、炭化珪素粉末100重量部に対して、1重量部〜10重量部程度であることがよい。分散媒液としては、上記した水の他、例えばメタノール等のアルコール類や、ベンゼン等の有機溶媒を用いることができる。
【0028】
次に、前記セラミック原料スラリーを押出成形機に投入し、かつ金型を介してそれを連続的に押し出す。そして、押出成形されてくる炭化珪素成形体16を、マイクロ波乾燥機や熱風乾燥機を用いて酸素雰囲気下で乾燥する。これにより、主として炭化珪素成形体16中の分散媒液を揮発させる。この場合、乾燥温度を100℃〜200℃に設定することがよい。その後、乾燥工程を経た炭化珪素成形体16を等しい長さに切断し、ハニカム構造を有する四角柱状の炭化珪素成形体16を得る。
【0029】
さらに、成形工程を経た炭化珪素成形体16の各セルの片側開口に所定量ずつ封止用ペーストを充填し、両端面9a,9bを市松模様状に封止する。ここで、封止用ペーストを乾燥させるために再度乾燥を行ってもよい。
【0030】
次に、乾燥工程を経た炭化珪素成形体16を以下に説明する焼成炉21で脱脂する。この脱脂により、主として炭化珪素成形体16中における有機バインダを分解・除去する。次いで、脱脂工程を経た炭化珪素成形体16を、アルゴン等の不活性ガス雰囲気に保たれた焼成炉において焼成する。以上の結果、所望の排気ガス浄化フィルタ11が完成するようになっている。この場合、焼成温度を2200±10℃程度に設定するとともに、焼成時間を0.1時間〜5時間に設定し、炉内圧力を常圧に設定することがよい。
【0031】
続いて、本実施形態において使用される焼成炉21の構成を説明する。
図3,図4に示すように、この焼成炉21は、この連続式の焼成炉21を構成する横長の本体フレーム22内には、管状の炭素製マッフル23が横置きに支持されている。マッフル23の一端には炭化珪素成形体16が投入される投入口24が形成され、他端には炭化珪素成形体16が排出される排出口25が形成されている。
【0032】
マッフル23の内部には、搬送手段としてのコンベアベルト26が設けられている。このコンベアベルト26は、無端状かつメッシュ状に形成され、マッフル23の長手方向に沿って延びるように敷設されている。そして、コンベアベルト26が駆動することにより、炭化珪素成形体16は投入口24から排出口25に向けて移動する。なお、炭化珪素成形体16は、炭素からなる治具27に載置されながら移動される。
【0033】
マッフル23の内周面には、四角筒状の断熱材28が設けられ、その断熱材28の内部には加熱手段としてのヒータ29が設置されている。前記ヒータ29は、マッフル23内を移動する炭化珪素成形体16を脱脂可能な温度に加熱するためのものである。マッフル23内には、低酸素濃度の不活性ガスを図示しないノズルを介して供給できるようになっている。ちなみに、不活性ガスとしては、エアと窒素との混合気が使用されている。窒素を用いた場合、焼成炉21の酸素濃度のコントロールが容易になるとともに、炭化珪素成形体16、マッフル23及び治具27といった炭素製部材の劣化の原因となるような化合物が生成されにくくなる。
【0034】
次に、本実施形態の要部について説明する。
図3,図4に示すように、マッフル23の上面には、上下方向に沿って延びる2つの排気筒31が突出されている。排気筒31の径は、内端側に向かうほど段階的(本実施形態では3段階)に小さくなっている。各排気筒31の内端部は、前記断熱材28の上部にそれぞれ貫通されている。各排気筒31の外端部周面には、排気口32がそれぞれ突設され、その排気口32には図示しない吸引ブロアが接続されている。そして、吸引ブロアが駆動されることにより、マッフル23内にある気体が排気筒31の排気口32を介して外部に排出されるようになっている。本実施形態では、排気筒31の内部が排気経路となっている。なお、吸引ブロアの回転数を制御することにより、マッフル23内にある気体の排気量を調節することが可能である。このような調節をする主たる目的は、マッフル23内の温度を一定の温度、すなわち2200±10℃に保持するためである。
【0035】
各排気筒31の外端部には、カートリッジケース33が着脱可能に設けられている。このカートリッジケース33は、筒状に形成され、排気筒31の上端開口部31aを介してその内部に出し入れ自在である。カートリッジケース33は、その下端部が排気筒31の外端部に形成された段差部34に支持されている。排気筒31の外端には、その上端開口部31aを開閉する蓋35が着脱自在に装着されている。
【0036】
前記カートリッジケース33の内部には、一酸化珪素除去手段としての一酸化珪素除去材36が収容されている。この一酸化珪素除去材36は、炭素からなる繊維の集合体であり、通気性を有している。より具体的に言うと、一酸化珪素除去材36は、建築物の断熱材として用いられる「グラスウール」のようなものである。
【0037】
マッフル23から排出される気体が一酸化珪素除去材36を通過して排出されることにより、気体に含まれる一酸化珪素(SiO)ガスが除去される。すなわち、一酸化珪素の除去に関する化学式を示すと、SiO+2C→SiC+COとなる。このことから明らかなように、一酸化珪素は炭素と化学的に反応し、炭化珪素と一酸化炭素ガスとになる。なお、マッフル23内に一酸化珪素ガスが存在するのは、マッフル23内の温度が1500〜1800℃に達すると、炭化珪素成形体16のセラミック原料に含まれる二酸化珪素が一酸化珪素ガスに変化するからである。
【0038】
各排気筒31は、マッフル23の長手方向中央部に配置されている。この排気筒31が配置されている箇所は、マッフル23の最高温度領域である。このことから、一酸化珪素除去材36を通る気体の温度は高いといえる。別の言い方をすれば、炭素繊維製の一酸化珪素除去材36は高温の気体に晒される。従って、一酸化珪素と炭素との化学的反応が活性化するようになる。
【0039】
図5に示すように、一酸化珪素除去材36には一酸化炭素除去手段としての触媒37が担持されている。本実施形態における触媒37は、貴金属元素であって、本実施形態では白金(Pt)が用いられている。そして、上述したように一酸化珪素と炭素とが反応した際に生成される一酸化炭素の酸化反応を活性化することが可能になる。つまり、触媒37によって有害な一酸化炭素を除去できるようになっている。
【0040】
次に、上述した焼成炉21の作用について説明する。
マッフル23の投入口24に入れられた炭化珪素成形体16は、ヒータ29によって加熱されながら、コンベアベルト26で投入口24から排出口25に向けて移動される。炭化珪素成形体16が加熱されることにより、炭化珪素成形体16のセラミック原料に含まれる二酸化珪素(SiO )が一酸化珪素ガス(SiO)に変化する。その一酸化珪素ガスを含む気体は、図示しないブロアによって吸引され、排気筒31を介して外部へ排出される。このとき、一酸化珪素除去材36に一酸化珪素ガスが通過すると、一酸化珪素除去材36の炭素と一酸化珪素とが反応し、炭化珪素(SiC)になる。そして、この炭化珪素は一酸化珪素除去材36に付着した状態で保持される。
【0041】
更に、炭化珪素が生成される際には、一酸化炭素(CO)が生成される。この一酸化炭素は、一酸化珪素除去材36に担持された触媒37によって酸化され、二酸化炭素(CO2)に変化する。そして、この二酸化炭素は、ブロアによって排気筒31から排出される。
【0042】
一酸化珪素除去材36に炭化珪素が所定量付着、又は一酸化珪素除去材36の使用期限が経過したら、一酸化珪素除去材36を新しいものに交換する。すなわち、焼成炉21のヒータ29を停止させた状態で、蓋35を取り外し、排気筒31の上端開口部31aからカートリッジケース33を取り外す。次いで、新しい一酸化珪素除去材36をカートリッジケース33に収容し、それを再び排気筒31の外端部に装着する。
【0043】
従って、本実施形態によれば以下に示す効果を得ることができる。
(1)本実施形態の焼成炉21では、排気筒31の外端部に炭素からなる一酸化珪素除去材36が設けられている。そのため、マッフル23内から排出される気体に含まれる一酸化珪素を、炭素と反応させることにより除去することができる。この結果、炭化珪素成形体16、マッフル23及び治具27等の炭素製部材が酸化しなくなるため、それら炭素製部材の劣化を防止することができる。しかも、一酸化珪素を除去するのに化学的反応によって除去している。そのため、除去するのに大がかりな除去装置等を設け、その装置を駆動させるための電源等が必要ない。要するに、排気筒31に一酸化珪素除去材36を設置するだけで、一酸化珪素を除去することができる。よって、焼成炉21のイニシャルコスト及びランニングコストを低く抑えることができる。
【0044】
(2)一酸化珪素除去材36は、炭素から構成されている。すなわち、一酸化珪素除去材36は、汎用性の高く低コストなものを原料としていることから、一酸化珪素の除去を低コストで実現することができる。
【0045】
(3)一酸化珪素除去材36は、グラスウールのような繊維の集合体からなるため比表面積が高く、多くの一酸化珪素を効率よく反応させることができる。従って、一酸化珪素の除去効率を向上することができる。又、一酸化珪素除去材36は繊維状であって通気性を有しているため、圧力損失が大きくなるのを抑えることができる。そのため、一酸化珪素除去材36に気体をスムーズに通過させることができ、マッフル23内に一酸化珪素が滞留するのを防止できる。更に、圧力損失が大きくなるのを抑えることができるので、マッフル23内の気体をブロア等で吸引することによるマッフル23内の温度調節制御を的確に行うことができる。なお、「圧力損失」とは、一酸化珪素除去材36の上流側の圧力値から下流側の圧力値を引いたものをいう。
【0046】
(4)排気筒31は、マッフル23の最高温度領域に配置され、かつマッフルの上部に配置されている。これにより、一酸化珪素除去材36に高温の気体を通過させることができる。よって、一酸化珪素と炭素との化学的反応を活性化させることができ、一酸化珪素の除去効率を一段と向上することができる。
【0047】
(5)排気筒31の内部には一酸化珪素除去材36を収容したカートリッジケース33が着脱可能に設けられている。そのため、一酸化珪素除去材36を取り外すことにより、新しい一酸化珪素除去材36に交換することができる。一酸化珪素除去材36を定期的に交換すれば、一酸化珪素の除去能力が低下するのを防止できる。
【0048】
(6)一酸化珪素除去材36には、貴金属元素からなる触媒37が担持されている。そのため、一酸化珪素と炭素とを反応させた際に発生する一酸化炭素を触媒によって酸化させることで除去できる。この結果、焼成炉21が配置されている所の作業環境を衛生的に保つことができる。
【0049】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態では、一酸化珪素除去材36をカートリッジケース33内に収容した。この構成以外に、一酸化珪素除去材36をカートリッジケース33を使用することなく収容してもよい。又、排気筒31の一部(外端部)又は全体を、炭素を含む形成材料としてもよい。この構成にすれば、排気筒31内に一酸化珪素除去材36を収容せずに、一酸化珪素と炭素とを反応させ、一酸化珪素を除去することができる。しかも、排気筒31内を流れる気体の圧損を更に小さくすることができる。更に、炭素材料から排気筒31を形成した場合には、排気筒31をマッフル23に対して着脱可能に設けてもよい。
【0050】
・一酸化珪素除去材36は、その形成材料に炭素を含んでいればよく、例えば、炭素を含む一酸化珪素除去手段として粒状の活性炭からなるフィルタにしてもよい。又、一酸化珪素除去材36の形態は、繊維状に限定されない。例えばハニカム状又はメッシュ状のフィルタに変更してもよい。
【0051】
・前記実施形態において、触媒37として白金を使用したが、それ以外にも、例えばロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)の中から選ばれる少なくとも1つの単体又は化合物を、一酸化珪素除去材36に担持してもよい。
【0052】
・一酸化炭素を除去するための触媒37は、その配置されている箇所が一酸化珪素除去材36、又はそれよりも下流側の位置であれば、任意の位置に変更してもよい。例えば、一酸化珪素除去材36の外周面と対峙する排気筒31の内周面に触媒37を担持させてもよい。
【0053】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に示す。
(1)請求項において、貴金属元素は、ロジウム、白金、パラジウム、金、銀、銅の中から選ばれる少なくとも1つを含む。
【0054】
(2)マッフルに投入した炭化珪素成形体を加熱手段により加熱し、その炭化珪素成形体を焼成することで炭化珪素製フィルタを製造する方法において、前記炭化珪素成形体が加熱された際にマッフル内に発生する一酸化珪素を除去することにより、焼成される炭化珪素成形体の酸化を防止するようにしたことを特徴とする炭化珪素製フィルタの製造方法。
【0055】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、一酸化珪素を除去することができるので、炭化珪素成形体の強度低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態における排気ガス浄化フィルタの斜視図。
【図2】排気ガス浄化フィルタの断面図。
【図3】焼成炉の内部を拡大して示す断面図。
【図4】焼成炉全体を示す正面図。
【図5】要部を示す拡大断面図。
【符号の説明】
11…排気ガス浄化フィルタ、16…炭化珪素成形体、21…焼成炉、23…マッフル、24…投入口、25…排出口、26…コンベアベルト(搬送手段)、29…ヒータ(加熱手段)、31…排気筒、33…カートリッジケース、37…触媒。

Claims (6)

  1. 一端に炭化珪素成形体が投入される投入口を有するとともに、他端に炭化珪素成形体が排出される排出口を有するマッフルと、炭化珪素成形体を前記投入口から排出口に向かって搬送する搬送手段と、前記マッフル内を移動する前記炭化珪素成形体を加熱する加熱手段と、マッフル内の気体が排出される排気口を有する排気筒とを備えた焼成炉において、
    前記排気筒を、マッフルの最高温度領域に配置し、かつマッフルの上部に配置し、前記排気筒内に炭素を含む固体を材料として形成された一酸化珪素除去手段を設け、前記マッフル内の気体に含まれる一酸化珪素が一酸化珪素除去手段を通過する際に、一酸化珪素を炭素と化学的に反応させて炭化珪素とした上で一酸化珪素除去手段に付着させることにより前記一酸化珪素を除去するようにしたことを特徴とする焼成炉。
  2. 前記一酸化珪素除去手段は繊維の集合体から構成され、その集合体に通気性が与えられていることを特徴とする請求項1に記載の焼成炉。
  3. 前記一酸化珪素除去手段は、前記排気筒に対して着脱可能なカートリッジケースに収容されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の焼成炉。
  4. 前記排気筒には、貴金属元素からなる触媒が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれかに記載の焼成炉。
  5. マッフルの投入口から投入される炭化珪素成形体を前記マッフルの排出口に向けて加熱しながら搬送する際に、前記マッフル内の気体中に含まれる一酸化珪素を除去する方法において、
    前記マッフル内の気体が排出される排気筒を、マッフルの最高温度領域に配置し、かつマッフルの上部に配置し、前記排気筒内に炭素を含む固体を材料として形成された一酸化珪素除去手段を設け、前記マッフル内の気体中に含まれる一酸化珪素が一酸化珪素除去手段を通過する際に、前記一酸化珪素を炭素と化学的に反応させて炭化珪素とした上で一酸化珪素除去手段に付着させることにより前記一酸化珪素を除去するようにしたことを特徴とする焼成炉における一酸化珪素の除去方法。
  6. マッフルに投入した炭化珪素成形体を加熱手段により加熱しながら搬送手段で搬送し、炭化珪素成形体を焼成することで炭化珪素製フィルタを製造する方法において、
    前記マッフル内の気体が排出される排気筒を、マッフルの最高温度領域に配置し、かつマッフルの上部に配置し、前記排気筒内に炭素を含む固体を材料として形成された一酸化珪素除去手段を設け、前記炭化珪素成形体が加熱されたときにマッフル内に発生する一酸化珪素が一酸化珪素除去手段を通過する際に、前記一酸化珪素を炭素と化学的に反応させて炭化珪素とした上で一酸化珪素除去手段に付着させることにより前記一酸化珪素を除去し、焼成される炭化珪素成形体の酸化を防止するようにしたことを特徴とする炭化珪素製フィルタの製造方法。
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