JP4322963B2 - 巻線空間を有する鞍形偏向巻線 - Google Patents
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Description
発明の背景
カラー画像を生成するCRTは、一般的に、3本の同一平面上のビーム(R、G及びBの電子ビーム)を放出する電子銃を含み、所与の原色の赤、緑及び青のルミネセンス材料をスクリーン上に励起する。偏向ヨークは陰極線管のネック部に取り付けられ、水平及び垂直偏向コイル又は巻線によって生成された偏向フィールドを生成する。強磁性体のリンク又はコアは、通常の方法で偏向コイルを取り巻く。
発生された3本のビームは、色のレンダリングに誤差が生じさせるコンバージェンス誤差とも称されるビームランディング誤差を回避するため、スクリーン上に集中することが要求される。集中させるため、自己コンバージェンスと称される非点収差偏向コイルを使用することは公知である。自己コンバージェンス偏向コイルの場合、水平偏向コイルにより発生された磁束の線によって描写された磁界の不均一性は、スクリーン付近の前面部に配置されたコイルの一部に略ピンクッション形を有する。
ピンクション歪みと称される幾何歪みは、部分的に、スクリーン表面の非球面形状に起因して生ずる。画像の歪み、すなわち、画像の上部及び下部における上下の歪み、並びに、画像の側部における左右の歪みはスクリーンの曲率半径が増大すると共に強くなる。
陰極線管の長軸に対し小さい角度で偏向ゾーンに侵入するR及びBビームは中心のGビームの偏向に対し補足的な偏向を受けるので、コマ誤差が発生する。水平偏向磁界に関して、コマは、コンバージェンス誤差補正のため使用される上記ピンクッション磁界の後ろ側で、樽形の水平偏向磁界をビーム入射領域若しくは偏向ヨークのゾーンに発生させることにより略補正される。
コマパラボラ歪みは、ラインがスクリーンの中央からからコーナーに追跡されると共に、赤色画像と青色画像の間の中間点に対する緑色画像の緩やかな水平方向のシフトによって画像の側方で垂直ラインに現される。このシフトが画像の外側若しくは側方に向かって生じるとき、コマパラボラ誤差は、通常、正方向の誤差と呼ばれ、画像の内側若しくは中央に向かって生じる場合に、負方向の誤差と呼ばれる。
一般的に、偏向磁界は、管の長軸方向に3個の連続した作用ゾーン、すなわち、電子銃に最も接近した背後若しくは後方ゾーンと、スクリーンに最も接近した中間ゾーン及び前方ゾーンに分割される。幾何誤差は前方ゾーン内の磁界を制御することにより補正される。コンバージェンス誤差は後方ゾーン及び中間ゾーンで補正され、前方ゾーンでは殆ど影響を受けない。
図2に示された先行技術の偏向ヨークにおいて、永久磁石240,241,242は、幾何歪みを減少させるため、偏向ヨークの前面に配置される。他の磁石142及び磁界成形器は、水平偏向コイルと垂直偏向コイルの間に挿入され、コマ、パラボラコマ、及び、コンバージェンス誤差を削減するため局部的に磁界を修正する。
スクリーンが、例えば、1.5R以上である1Rよりも大きい曲率半径を有する場合、分路若しくは永久磁石のような磁気補助器を利用することなく、上記のビームランディング誤差を解決することはより一層困難になる。コマパラボラ誤差、コマ誤差若しくはコンバージェンス誤差のような誤差は、分路若しくは永久磁石のような磁気補助器を利用することなく、偏向コイルの巻線分布を制御することにより削減することが望ましい。
分路若しくは永久磁石のような付加的な構成部品は、非常に高い水平周波数に関連して、特に、水平周波数が32kHz若しくは64kHz以上であるときにヨークに熱問題を生じるという欠点があるので、省略する方が望ましい。また、これらの付加的な構成部品は、幾何誤差、コマ誤差、コマパラボラ誤差若しくはコンバージェンス誤差の補正を劣化させるような形で生成されたヨークの変化を増大させる点が望ましくない。
発明の概要
本発明の特徴を具現化するビデオ表示偏向装置は、偏向ヨークを含む。偏向ヨークは、陰極線管の表示スクリーンの第1の軸方向に電子ビームを走査させるため偏向磁界を生成する鞍形の第1の偏向コイルを含む。第1の偏向コイルは、一対の側方部と、上記スクリーンに接近した前方端部と、上記陰極線管の電子銃に接近した後方端部とを形成する旋曲を有する。側方部は導体ワイヤの無い巻線窓を形成し、側方部の間の長さは、前方端の旋曲部と後方端の旋曲部との間の距離によって決まる。少なくとも一方の側方部は、ビームランディング誤差を補正する第1の巻線空間を有する。第1の巻線空間は、上記後方端の旋曲部の近くにある上記窓の第1の端の長軸座標と、上記窓の第1の端よりもスクリーンの近くにある長軸座標との間の範囲から選択された位置に第1のコーナー部を有する。この長さの範囲は、上記窓の長さの約10%である。第2の偏向コイルは、ラスタを形成するためスクリーンの第2の軸方向に電子ビームを走査するため使用される。透磁性コアは、上記第1の偏向コイル及び第2の偏向コイルと協働して偏向ヨークを形成する。
【図面の簡単な説明】
図1は、陰極線管に取り付けられた本発明による偏向ヨークを説明する図であり、
図2は、従来技術による偏向ヨークの正面方向展開図であり、
図3は、コイルの中間ゾーンに形成された本発明の装置による鞍形コイルの断面図であり、
図4a及び4bは、本発明の装置によるコイルの側面図及び平面図であり、
図5a及び5bは、本発明の装置によるコイルによって発生された水平方向磁界分布関数係数の変動と、コイルに形成された巻線窓及び巻線空間の影響とを陰極線管の主軸X方向に表示したグラフであり、
図6a及び6bは、赤色画像と青色画像の間の2種類の不等辺四辺形ビームランディング誤差を表す図である。
好ましい実施例の説明
図1に示されるように、自己コンバージェンス形カラー表示装置は、真空ガラスエンベロープ6と、表示スクリーン9を形成するエンベロープの両端の一方に配置された三原色RGBを表現する蛍光体若しくはルミネセンス素子の配列とを有する陰極線管(CRT)を含む。電子銃7は上記エンベロープのもう一方の端に配置される。電子銃7の組は、対応したルミネセンス色素子を励起するため、水平方向に揃えられた3本の電子ビーム12を発生するように配置される。電子ビームは、陰極線管のネック部8に取り付けられた偏向ヨーク1の動作によってスクリーンの表面を掃引する。偏向ヨーク1は、セパレータ2を用いて隔離された一対の水平偏向コイル3及び一対の垂直偏向コイル4と、ビーム路の磁界を強めるために設けられた強磁性体5のコアとを含む。
図4a及び4bは、夫々、本発明の一面による鞍形形状を備えた水平コイル若しくは巻線3の対の中の一方の対の側面図及び平面図である。各巻線旋曲は、導体ワイヤのループにより形成される。水平偏向コイル3の各対は、図1の電子銃7付近に、長軸若しくはX軸方向に延在する後方端旋曲部18を有する。図4a及び4bの前方端旋曲部29は、図1の表示スクリーン9の近くに配置され、Z軸に対し略横切る向きでZ軸から離れる方に湾曲する。コア5及び分離器2は、どちらも2個の別個の部品から組み立てられるよりも単一部品の形で製造される方が有利である。
図4a及び4bに示された鞍形コイル3の前方端旋曲部29の導体ワイヤは、X軸の一方側でZ軸に沿って一体として一方の側方部を形成するワイヤの束120、120’を用いて後方端旋曲部19に接続され、X軸のもう一方側で一体としてもう一方の側方部を形成するワイヤの束121、121’によって後方端旋曲部19に接続される。偏向コイル偏向磁界ビーム出口領域23付近に存在する側方のワイヤの束120、120’及び121、121’の部分は、図4aの前方空間21、21’及び21”を形成する。前方空間21、21’及び21”は、例えば、左右の歪みのようなスクリーンに形成された画像の幾何歪みを補正するように電流分布高調波に影響を与え、或いは、変更する。同様に、偏向コイル3のビーム入口領域25に設けられた側方のワイヤの束120、120’及び121、121’の一部は、後方空間22及び22’を形成する。空間22及び22’は、水平コマ誤差を補正するため選択された巻線分布を有する。各旋曲部19及び29は、側方のワイヤの束120’及び121’と共に主巻線窓18を画成する。
端旋曲部29の長軸Z方向の領域は、コイル3のビーム出口ゾーン若しくは領域23を画成する。窓18の長軸Z軸方向の領域は、中間ゾーン若しくは領域24を画成する。窓18は、一方の端で、側方のワイヤの束120’及び121’が接合するコーナー部17のZ軸座標から拡がる。窓18のもう一方の端は、旋曲部29によって画成される。後方端旋曲部19を含む後方の背後の窓18に在るコイルのゾーンは、ビーム入口領域若しくはゾーン25と呼ばれる。
コマ誤差は、主として、後方若しくは入口ゾーン25で補正される。左右歪み及び上下歪みのような幾何誤差は、主として出口ゾーン23若しくはその近傍で補正される。コンバージェンス誤差は、出口ゾーン23で殆ど影響をうけず、主として中間ゾーン24及び入口ゾーン25で補正される。
図3は、中間ゾーン24内のXY平面と平行な平面における鞍形ラインコイル3の断面図である。対称性を考慮して、コイルの半分の断面だけが描かれる。半分のコイルには、導体50の束120、120’が含まれる。各導体の位置は放射状角度位置θによって識別される。グループ120の導体は、零度とθLとの間に配置され、グループ120’の導体はθ1とθ2の間に配置される。
巻線の対称性を考慮することにより、コイルのアンペア巻数密度N(θ)のフーリエ級数展開は、以下の式のように表される。
N(θ)=A1・cos(θ)+A3・cos(3θ)
+A5・cos(5θ)+...+AK・cos(Kθ)
+... (EQ1)
但し:
磁界は以下の式で与えられる。
H=A1/R+(A3/R3)・(X2−Y2)
+(A5/R5)・(X4−6X2・Y2+Y4)+...
(EQ3)
式中、Rは偏向コイルを取り巻くフェライトコアの磁気回路の半径を表す。項A1/Rは、磁界分布関数の零次の係数若しくは基本磁界成分を表し、項(A3/R3)・(X2−Y2)は、座標X及びYの点での磁界分布関数の2次係数を表し、巻線分布の第3高調波に関係する。項(A5/R5)・(X4−6X2・Y2+Y4)はこの磁界の4次係数若しくは第5高調波を表し、以下、同様である。
正の項A3は、ピンクッション形の磁界を生成する軸上の正の磁界の2次係数に対応する。電流が全ての導体ワイヤ内で同じ向きに循環する場合に、N(θ)は一般的に正であり、項A3はワイヤがθ=零度からθ=30度の範囲に配置されているとき正である。予め決められた角度範囲にワイヤを配置することにより、磁界の重要な正の2次係数を、全体的に正の磁界の正の4次係数と共に局部的に導入することが可能である。
インライン式銃から到来する電子ビームの集中を保ため、ライン偏向磁界の2次の係数を中間ゾーン24内で正にすることが知られている。この目的のため、側方の束120の大多数のワイヤは、中間ゾーン24の少なくとも一部分において、0度乃至30度の放射状角度位置に保たれる。しかし、ビームの集中は、強いコマパラボラ誤差を導入するので、コマパラボラ誤差は以下に説明するように補正されるべきである。
図4a及び4bに示された鞍形コイルは、電気絶縁体及び熱可塑性接着剤が被覆された小径の銅線が巻き付けられてもよい。巻き付けは、最終的な形状に本質的に従って鞍形コイルを巻き付け、巻き付け工程中に図4a及び4bに示された空間21、21’、21”、22、22’を取り込む巻き付け装置で行われる。これらの空間の形状及び配置は、巻き付けヘッド内の格納式ピンにより決められる。格納式ピンは、対応した空間のコーナー部を形成することにより対応した空間の形状を確定する。
巻き付け後に、各鞍形コイルは型にはめられ、所望の機械的寸法を得るため加圧される。電流は熱可塑性接着剤を軟化するためワイヤの中を流れ、次に、熱可塑性接着剤はワイヤを互いに接着し、自立的な鞍形コイルを形成するため再冷却される。
中間領域24に形成された空間21”の配置は、巻線工程中に、図4aの中間領域24の中央領域に設けられた位置60でピンによって決定される。その結果、コーナー区画若しくはコーナー部は空間21”の位置60に形成される。
ピンは、巻線分布に急激な変化を生じ、周知の方法で対応したコーナー部を巻線空間に形成する。図4aの位置60の入口ゾーンに近い方の側方で、入口ゾーンがコーナー部位置60に接近するに連れて、ワイヤの密度が高くなる。これに対し、図4aの位置60の出口ゾーンに近い方の側方で、位置60からの距離が増加すると共に、ワイヤの密度は減少する。かくして、ワイヤの密度は位置60で局所最小値をとる。
中間領域24の後方部に形成された空間26の配置は、巻線工程中に、中間領域24の後方部に設けられた位置42でピンによって決定される。その結果として、コーナー区画若しくはコーナー部が空間26の位置42に形成される。
位置42は、Z軸に関して、コイルの前方に56mm離間し、主窓18の後方限界若しくはコーナー部17の近くに配置される。窓18の後方端部17は、Z軸に関して窓18のコイルの前面から最も離れた座標値を定める。コーナー部17はZ軸に関してコイルの前面から59mmの距離に置かれる。位置42は、XY平面内で33度に一致する角度位置にある。空間26は、Z軸方向に関して偏向コイルの前面から47mm乃至62mmの範囲に延在する。
両方の空間21”及び26は、ワイヤ120及び120’の束によって形成された側方部に配置される。位置60のピンは、中間ゾーン24の中央に接近して設けられ、実質的に窓18のZ軸端座標から離される。位置42のピンは、中間ゾーンの後方部内でコーナー部17付近に設けられる。
本発明の特徴的な面を実行する際に、位置42のZ軸座標は、窓18の一方の端にあるコーナー部17と同じZ軸座標と、コーナー部17から中間ゾーン24の長さの約10%だけ離れたスクリーンに近い方のZ軸座標との間に収まる範囲内で選択される。中間ゾーン24の長さは、窓18の一端でのコーナー部17のZ軸座標と、端旋曲部29によって形成された窓18の他端でのZ軸座標との間の距離に一致する。位置42の座標を中間ゾーンの長さの10%の範囲内で選択することにより、最適なコマパラボラ誤差補正が行われる。また、分路及び磁石の利用を回避することができるようになる。
解析的な目的のため、側方のワイヤの束が本質的に0度乃至50度の一定放射状密度で配置された通常若しくは典型的な第1のコイルのコンバージェンス及びコマの誤差の値は、図4a及び4bのコイルにある種の観点で類似した仮定的な第2のコイルの誤差の値と比較される。第2のコイルの場合、本質的に中間ゾーン24の中間で長手方向に設けられた側方ワイヤの束の94%は、0度乃至31度の範囲内の放射状開口に集中するので、図4a及び4bの巻線空間21”と類似した横方向巻線空間が生成される。また、典型的な第1のコイルのコンバージェンス及びコマの値は、仮定的な第3のコイルの値と比較される。第3のコイルの場合、中間ゾーン24の後方に設けられた長手位置内の側方巻線の束の49%は、0度乃至33度の放射状開口内の入口ゾーン25の周辺に集められ、図4a及び4bの巻線内の空間26と類似した横方向巻線空間を形成する。
以下の表には、典型的な第1のコイルに対する第2及び第3のコイルのコンバージェンス誤差及びコマ誤差に関する改良点と、コマパラボラ誤差の悪化とが実証されている。コマパラボラ誤差は、第2のコイルの場合に0.44mmから0.83mmに増加し、第3のコイルの場合に0.53mmまで増加する。
以下の表で、コマの誤差(水平及び垂直方向)と、コンバージェンスの誤差は、陰極線管のスクリーンの象限を通例的に代表する9個の点で測定された。第2のコイル及び第3のコイルの二つの修正構造は、コマパラボラを逆向きに変更する点に注意する必要がある。この特徴は、コマパラボラ誤差値を許容可能な値、零付近まで削減するため、図4a及び4bの配置で使用することにより利点が得られる。
本発明の他の特徴によれば、空間21”及び26と関連した対応したピンの配置によって、コマパラボラ誤差を許容可能な値まで最小化することが可能であると共に、コンバージェンス及び残留コマ誤差を補償する別個の制御パラメータ又は自由度が得られる。また、中間領域24の束120に形成された巻線空間21”と、空間22若しくは22’のように領域25に形成された巻線空間24の組合せを使用することにより、Z軸方向に要求された変化が生じるので、分路若しくは磁石の利用を回避できる利点が得られる。
図4a及び4bの例において、偏向ヨークは、非球面タイプのスクリーンと、水平方向エッジに3.5Rのオーダーの曲率半径とを有するA68SF型の陰極線管に取り付けられる。水平コイル3は、Z軸方向に81mmの全長を有する。水平コイルは、Z軸方向に7mmの長さを有する端部巻線により形成された前方若しくはビーム出口領域若しくはゾーン23を有する。水平コイル3は長さ52mmを有する中間ゾーン24を含み、その中で図4bの窓18が拡がる。水平コイル3は背後若しくは後方端部巻線19を有し、後方端部巻線はZ軸方向に22mmの長さまで延びる。コイルの背後のワイヤは巻き付けられるので、ワイヤを含まない空間によって互いに局所的に分離された幾つかの束若しくはグループを構成する。
図4a及び4bのコイルの対称性をYZ平面に沿って検査することにより分かるように、ゾーン24では、上記の如く、巻線工程中に位置60及び42でピンを挿入することより、空間21”及び26が作成される。位置60のピンは、ワイヤ120の束をコイルのワイヤの数の約94%に保つ。位置60でのピンはコイルの前方から27mmの距離にあり、中間領域24の略中央にあり、XY平面内で31.5度の角度位置である。位置42のピンは、図4aのワイヤ45の束をコイルのワイヤ数の約49%に維持する。位置42のピンはコイルの前方から56mmの場所で、XY平面内の角度位置が33度に一致する場所に配置される。大多数の幾何誤差は、ゾーン23内の既知のワイヤ配置によって補正される。
コマ誤差は、ビーム入口ゾーン25の後方端旋曲部19内でワイヤに形成された巻線空間により部分的に補正される。
本発明の特徴を実施する場合に、コンバージェンス誤差及び残留コマ誤差は、位置60のピンによって設定された中間ゾーン内のワイヤの一部の動作、及び、位置42のピンによって設定された中間ゾーン内のワイヤの一部の動作によって部分的に補正される。夫々の補正は、コンバージェンス誤差及びコマ誤差の削減に部分的に寄与する。
上記のコンバージェンス誤差及びコマ誤差は、相互に逆向きの変動をコマパラボラ誤差に生じさせる点が有利である。したがって、コマパラボラ誤差は許容可能な大きさまで最小化できる点が有利である。
図5a及び5bには、空間21”及び空間26が水平偏向磁界の零次及び高次の成分の係数に与える影響が示される。図5aでは、磁界の零次成分係数H0のZ軸方向の変動、並びに、本発明による図4a及び4bのコイルによって生成された磁界の2次及び4次成分係数H2及びH4のZ軸方向の変動が与えられ、空間21”が存在しない点を除いて類似したコイルに発生する変動とが比較される。図5bでは、磁界の零次成分係数H0のZ軸方向の変動、並びに、本発明による図4a及び4bのコイルの磁界の2次及び4次の成分係数H2及びH4が与えられ、空間26が無い点を除いて類似したコイルに発生する変動が比較され得る。図5a及び5bに示されるように、空間21”及び空間26は、偏向コイルの零次成分係数H0に影響を与えることなく、夫々、動作ゾーン内の2次及び4次の成分係数H2及びH4を正側に増大する。
管の寸法及びスクリーンのフラットさに依存して、所望の補正を実現するため、ゾーン24内の中央領域内に付加的な空間を作成することが望ましい。同様に、位置60及び42のピンの動作によって0度乃至30度の放射状開口に保持されるワイヤの割合、並びに、ピンのZ位置は、ゾーン23及び25で選択されたワイヤの形状により作成された磁界の形状に依存する。このため、例えば、ビームの集中に対する所定の動作に対し、コマ誤差及びコマパラボラ誤差に加わる影響を変更するため、空間26を後方ゾーン25に多少拡張することにより磁界の4次成分係数H4を変化させることが有用である。
以下の表には、図4a及び4bのコイル構造体の動作によって生ずるコンバージェンス誤差、コマ誤差及びコマパラボラ誤差の値が示されている。コンバージェンス、コマ、及び、コマパラボラ誤差に対し獲得された値は非常に小さいので、許容可能である。
位置42におけるピンがXY平面内である角度位置より下に保たれるワイヤの相対的な割合、位置42におけるピンのZ軸方向の位置、並びに、位置42におけるピンの角度位置は、補正されるべき誤差の程度に応じて変化する。空間26の寸法は変化し、図4a及び4bの場合には、入口領域25まで拡大する。
典型的な従来の第1のコイルは、以下の表に掲載されるように不等辺四辺形上の歪みビームランディング誤差を有する。以下の表は、受像管スクリーン上の9個の通常の点における赤色画像と青色画像の間に不等辺四辺形状の値を与える。
不等辺四辺形歪み誤差は図6bに示されている。図6bにおいて、以下の参照番号が適用される。参照番号70は赤色画像を表し、参照番号71は青色画像を表し、参照番号60は点1H(スクリーン上の1時の方向)での不等辺四辺形誤差を表し、参照番号61は点2H(スクリーン上の2時の方向)での不等辺四辺形誤差を表す。
不等辺四辺形歪み誤差(trapezium differential error)は、導体を含まない空間21”により補正される点が有利である。空間21”は、中間ゾーン24のZ軸方向の長さの半分よりも長い長さでZ軸方向に中間ゾーン24の中に延びる。
中間ゾーンの長さは窓18の長さと一致する。空間21”は、不等辺四辺形歪み問題を生じる高次の磁界分布係数の影響を最小限に抑えるため、XY平面内の放射状角度アパーチャ内に延在する。40度の放射状方向は、不等辺四辺形歪み問題を最小限に抑えるためこの種の受像管の場合に好ましい方向であることが分かっているので、空間21”は、Z軸方向に沿ったより大きい部分でこの方向に傾けられる。コイルの型内のラインコイルの巻線制約を考慮するため、空間21”は、図4aに示されるように、40度の放射状方向を有する放射状角度アパーチャ内から導体が無くなるように、Z軸に沿って長さ124を超えて延在する。長さ124は中間ゾーン24のZ方向の長さの約75%に一致する。
赤/青不等辺四辺形誤差の測定量は、本例では、著しい改良を示し、不等辺四辺形歪みに許容可能な値を与える。これらの値は以下の表に記載される。
図示されていない実施モードにおいて、2個の空間は、主窓18のコーナー部17付近のゾーン内でZ軸に沿って存在する側方ワイヤ束に形成され得る。これら2個の空間は、ゾーン24とゾーン25の両方に部分的に拡張する。巻線工程中にこれらの空間を種々の角度位置にさせるピンを配置することにより、ワイヤのグループを作成できるようになる。ワイヤの本数は、コマ、コマパラボラ及びコンバージェンスの誤差を最小限に抑えるため、磁界に生成された影響を変化させ、偏向磁界の零次及び高次の成分係数により細かい動作を行うことができる相対値内で変化する。
上記の実施例は限定的ではない。鞍形垂直偏向コイルの同じ実現原理は、コンバージェンスの残留誤差、コマの残留誤差及び垂直コマパラボラの残留誤差を最小限に抑えるべく垂直偏向磁界を修正するため適用される。
Claims (14)
- 陰極線管の表示スクリーンの第1の軸方向に電子ビームを走査させるため偏向磁界を生成する鞍形の第1の偏向コイルと、
ラスタを形成するためスクリーンの第2の軸方向に電子ビームを走査させる第2の偏向コイルと、
上記第1の偏向コイル及び上記第2の偏向コイルと協働して偏向ヨークを形成する透磁性コアとを含み、
上記第1の偏向コイルは、1対の側方部と、上記スクリーンに接近した前方端旋曲部と、上記陰極線管の電子銃に接近した後方端旋曲部とを形成する複数の巻線旋曲部を有し、
上記側方部と前記前方及び後方端旋曲部は、前記前方端旋曲部と前記後方端旋曲部との間の長さで決められる長さを有する前記側方部間に導体ワイヤの無い巻線窓を形成し、
少なくとも一方の上記側方部は、ビームランディング誤差を補正するため、前記後方端旋曲部の近くに第1の巻線空間を有し、
上記第1の巻線空間は、上記後方端旋曲部の近くにある上記窓の最後部にある第1の端の長軸座標と、上記窓の前記長さの約10%の距離だけスクリーンの近くにある長軸座標との間の長軸座標の範囲から選択された位置に第1のコーナー部を有する、ビデオ表示偏向装置。 - 上記第1の巻線空間は上記窓の第1の端の座標よりも上記スクリーンから離れた長軸座標に延在する、
請求項1記載の偏向装置。 - 上記少なくとも一方の側方部は、上記前方端旋曲部及び上記後方端旋曲部の各長軸座標よりも、上記前方端旋曲部と上記後方端旋曲部との間の上記窓の長軸の中心位置に接近した長軸座標に第2のコーナー部を備えた第2の巻線空間を含む、
請求項1記載の偏向装置。 - 上記第2の巻線空間は、上記窓の最前部の第2の端の長軸座標から上記窓の長軸の中心位置よりも上記スクリーンから離れた長軸座標まで延在する、
請求項3記載の偏向装置。 - 上記第1の巻線空間と第2の巻線空間は、互いに相殺し合う、反対向きのコマパラボラ誤差の成分を生成する、
請求項3記載の偏向装置。 - 上記一方の側方部は、上記第2のコーナー部を有し上記一方の側方部の殆どのワイヤ導体を収容する第1の巻線束と、上記第1の巻線束から遠ざけられ、第2のコーナー部を包含せず、上記巻線窓の側方境界を形成する第2の巻線束とを含む、
請求項3記載の偏向装置。 - 上記第2のコーナー部を含む上記第1の巻線束は零度と30度の間の放射状の角度位置に導体巻線を収容する、
請求項6記載の偏向装置。 - 上記第1の巻線空間はコンバージェンス誤差の第1の部分補正及びコマ誤差の第1の部分補正を行い、上記第2の巻線空間は上記コンバージェンス誤差の第2の部分補正及び上記コマ誤差の第2の部分補正を行う、
請求項3記載の偏向装置。 - 陰極線管の表示スクリーンの第1の軸方向に電子ビームを走査させるため偏向磁界を生成する鞍形の第1の偏向コイルと、
ラスタを形成するためスクリーンの第2の軸方向に電子ビームを走査させる第2の偏向コイルと、
上記第1の偏向コイル及び上記第2の偏向コイルと協働して偏向ヨークを形成する透磁性コアとを含み、
上記第1の偏向コイルは、1対の側方部と、上記スクリーンに接近した前方端旋曲部と、上記陰極線管の電子銃に接近した後方端旋曲部とを形成する複数の巻線旋曲部を有し、
上記側方部と前記前方及び後方端旋曲部は、前記前方端旋曲部と前記後方端旋曲部との間に延びる長さを有する前記側方部間に導体ワイヤの無い巻線窓を形成し、
上記側方部の間の長さの寸法は、前方端旋曲部と後方端旋曲部との間で拡がり、
少なくとも一方の上記側方部は、第1のコーナー部及び第2のコーナー部を夫々に有する第1の巻線空間及び第2の巻線空間を含み、
上記第1及び第2のコーナー部は、上記前方端旋曲部と上記後方端旋曲部との間に配置されており、
上記第1のコーナー部の位置は、上記後方端旋曲部に近い上記窓の第1の端の長軸座標に略一致する長軸座標と、上記窓の上記長さ寸法の略10%だけ上記スクリーンに近づいた長軸座標との間に拡がる長軸座標の範囲から選択される、
ビデオ表示偏向装置。 - 上記第1及び第2の各巻線空間は、上記第1の偏向コイルにより生成された磁界のフーリエ級数展開の2次係数及び4次係数を正側に増加させる、
請求項9記載の偏向装置。 - 上記第2のコーナー部の位置は、上記前方端旋曲部と上記後方端旋曲部の一方よりも、上記前方端旋曲部と上記後方端旋曲部の間の前記窓の長軸の中心位置に接近している、
請求項9記載の偏向装置。 - 陰極線管の表示スクリーンの第1の軸方向に電子ビームを走査させるため偏向磁界を生成する鞍形の第1の偏向コイルと、
ラスタを形成するためスクリーンの第2の軸方向に電子ビームを走査させる第2の偏向コイルと、
上記第1の偏向コイル及び上記第2の偏向コイルと協働して偏向ヨークを形成する透磁性コアとを含み、
上記第1の偏向コイルは、1対の側方部と、上記スクリーンに接近した前方端旋曲部と、上記陰極線管の電子銃に接近した後方端旋曲部とを形成する複数の巻線旋曲部を有し、
上記側方部と前記前方及び後方端旋曲部は、前記前方端旋曲部の長軸座標と前記後方端旋曲部の長軸座標の間で延びる導体ワイヤの無い巻線窓を形成し、
少なくとも一方の上記側方部は、ビームランディング誤差を補正するため、導体ワイヤの無い第1の巻線空間を有し、
上記第1の巻線空間は、上記後方端旋曲部の近くで上記窓の長軸座標の範囲内に収まる長軸座標の間に拡がる第1の部分と、上記窓の上記長軸座標の範囲の外側で上記スクリーンから遠ざかる長軸座標の範囲に拡がる小さい第2の部分とを含む領域を形成し、
前記窓の長さは、前記前方端旋曲部と前記後方端旋曲部との間の長さを示し、
前記第1の巻線空間は、第1のコーナー部を有し、
上記第1のコーナー部の位置は、上記後方端旋曲部に近い上記窓の第1の端の長軸座標に略一致する長軸座標と、上記窓の上記長さ寸法の略10%だけ上記スクリーンに近づいた長軸座標との間に拡がる長軸座標の範囲から選択される、
ビデオ表示偏向装置。 - 上記陰極線管は1.5R以上の曲率半径を有する、
請求項1記載の偏向装置。 - 上記陰極線管は上記スクリーンの水平エッジで3.5Rのオーダーの曲率半径を有する、
請求項1記載の偏向装置。
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