JP4322050B2 - ローラ式塗布具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ローラ式塗布具に関し、特に塗布ローラの中空の軸芯部から塗布液を流出させることにより、塗布ローラの塗布部に塗布液を含浸させつつ被塗布面への塗布作業を行うローラ式塗布具に関する。
【0002】
【従来の技術】
塗布ローラと、該塗布ローラを回転可能に支持する柄部とからなるローラ式塗布具は、例えば塗料等の塗布液を壁面等の被塗布面に塗布するための用具として用いられている。このようなローラ式塗布具は、塗布液容器に収容された塗布液にスポンジや織布、不織布等からなる塗布部を浸漬し、当該塗布部に塗布液を含浸させて塗布作業を行うのが一般的である。
【0003】
また、このようなローラ式塗布具では、塗布部に含浸させた塗布液が減少したら、塗布部を、塗布液容器内の塗布液にその都度繰り返し浸漬させつつ塗布作業を行う必要があるため、作業が面倒になると共に、特に高い位置の被塗布面への塗布作業においては、塗布液容器を手に持って作業を行うことが重労働になる。また床面等の低い位置に塗布液容器を置いておく場合には、高い位置から昇降しつつ繰り返し塗布部を浸漬させるのに手間がかかることになる。さらに、ローラ式塗布具を塗布液容器と被塗布面との間で繰り返し往復させる際に、含浸させた塗布液の液垂れを生じて、塗布作業者や周囲のものを汚しやすくなる。
【0004】
これに対し、塗布液容器内の塗布液に浸漬させることなく塗布部に塗布液を供給できるようにしたローラ式塗布具として、外周面を覆ってローラー刷毛(塗布部)が取り付けられた中空円筒状の軸芯部の内部に塗布液を畜入し、畜入された塗布液を、当該中空円筒状の軸芯部に形成した複数の流出孔を介して流出させ、周囲の塗布部に含浸させるようにしたものが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
実用新案登録第3082387号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の中空円筒状の軸芯部から塗布液を塗布部に含浸させるようにしたローラ式塗布具によれば、特に塗布部に含浸される塗布液が、例えば粘度が1〜100mPa・s、表面張力が1〜50mN/m程度の浸透性の高い塗布液である場合には、軸芯部の周囲の塗布部の全体に亘って、塗布液を略一様に含浸させつつ塗布作業を行うことが困難であり、また塗布液を少量ずつ徐々に含浸させながら塗布作業を行うことが困難である。
【0007】
すなわち、中空の軸芯部から流出孔を介して塗布液を塗布部に含浸させる従来のローラ式塗布具によれば、塗布液が塗布される被塗布面の方向や、軸芯部の傾き等よって、軸芯部に形成した複数の流出孔に、塗布液を流出させ易い流出孔と、塗布液が流出し難い流出孔や流出しない流出孔とのバラツキを生じることになり、塗布液は、これを流出させ易い流出孔の周囲に偏って塗布部に含浸されることになる。特に粘度が1〜100mPa・s、表面張力が1〜50mN/m程度の浸透性の高い塗布液の場合には、これを流出させ易い流出孔の周囲に多量の塗布液が偏在することになって、塗布液を塗布部の全体に亘って少量ずつ徐々に含浸させながら被塗布面に塗布することができなくなる。
【0008】
本発明は、中空の軸芯部から周囲の塗布部に塗布液を偏在しないように略一様に含浸させつつ塗布作業を行うことを可能にするローラ式塗布具を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、塗布ローラと、該塗布ローラを回転可能に支持する柄部とを備え、前記塗布ローラの中空の軸芯部に形成された複数の流出孔を介して該軸芯部から塗布液を流出させることにより、前記塗布ローラの塗布部に塗布液を含浸させつつ被塗布面への塗布作業を行うローラ式塗布具であって、前記軸芯部の外周面と前記塗布部との間に介在して、前記塗布部における塗布液の含浸流路よりも小さい網目の網目構造を有するシート材料が、前記複数の流出孔を覆うように取り付けられているローラ式塗布具を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0010】
ここで、前記塗布部における塗布液の含浸流路とは、含浸時に塗布液を軸芯部から塗布部に流入させると共に、被塗布面へ塗布されるまでの間流入した塗布液を毛細管現象等の作用によって塗布部に保持させる、塗布部の内部に形成された多数の空隙部を連ねた流路を意味する。また、前記塗布液の含浸流路よりも小さい網目の網目構造とは、前記の含浸流路としての機能を果たす多数の空隙部のうち大部分を占める代表的な径の大きさであって、特に軸心部近傍の空隙部の代表的な径の大きさよりも小さな幅の網目によって構成される網目構造を意味するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1に示す本発明の好ましい一実施形態に係るローラ式塗布具10は、塗布液として例えば表面処理剤を、自家用車、室内壁面、天井等の、縦横方向、上下方向、左右方向、或いは斜め方向等に延在する被塗布面に、効率良く均質に塗布してゆくために採用されたものである。また、本実施形態によれば、塗布液である表面処理剤は、例えば粘度が1〜100mPa・s、表面張力が1〜50mN/m程度の、浸透性の高い塗布液となっている。
【0012】
そして、本実施形態のローラ式塗布具10は、塗布ローラ11と、塗布ローラ11を回転可能に支持する柄部12とを備えており、図2にも示すように、塗布ローラ11の中空の軸芯部である軸芯パイプ13に形成された複数の流出孔15を介して軸芯パイプ13から塗布液を流出させることにより、塗布ローラ11の塗布部16に塗布液を含浸させつつ被塗布面40(図4(a)〜(d)参照)への塗布作業を行う塗布具であって、軸芯パイプ13の外周面と塗布部16との間に介在して、塗布部16における塗布液の含浸流路よりも小さい網目の網目構造を有するシート材料30が、複数の流出孔15を覆うように取り付けられている。
【0013】
また、本実施形態によれば、塗布ローラ11の軸芯パイプ13に塗布液を供給する液タンク14を有しており、且つ軸芯パイプ13に対してこれの周方向に液タンク14を相対回動させることにより、被塗布面40への塗布方向に応じて液タンク14を軸芯パイプ13の上方に保持させる回動保持手段17を備えている。
【0014】
本実施形態のローラ式塗布具10を構成する塗布ローラ11は、これの中心部分を貫通する回転軸として設けられた、例えば外径が5〜10mm程度の金属製中空円筒状のパイプ部材からなる軸芯部としての軸芯パイプ13と、軸芯パイプ13の略全長に亘って、これの周面を例えば5〜20mm程度の厚さで円柱状に覆うようにして取り付けられた、例えばスポンジ材料からなる塗布部16と、軸芯パイプ13の外周面と塗布部16との間に介在して設けられた、塗布部16における塗布液の含浸流路よりも小さい網目の網目構造を有するシート材料30とからなる。また、軸芯パイプ13の周面には、シート材料30及び塗布部16によって覆われた部分の全体に亘って、例えば直径が0.5〜2mm程度の大きさの円形の流出孔15が、複数(多数)均等に分散配置されて開口形成されている。さらに、軸芯パイプ13の先端開口部には、閉塞栓27が填め込まれて、当該先端開口部を強固に塞いでいる。
【0015】
そして、本実施形態によれば、スポンジ材料からなる塗布部16は、これの内部に形成された、含浸時に塗布液を軸芯パイプ13から塗布部16に流入させ、且つ被塗布面40へ塗布されるまでの間流入した塗布液を塗布部16に保持させる多数の空隙部の径が、150〜600μm程度となっており、これらの空隙部の連ねた流路である含浸流路もまた、その径が150〜600μm程度となっている。一方、軸芯パイプ13と塗布部16との間に介在して設けられるシート材料30は、その網目構造の隙間の大きさである網目が、50〜200μm程度となっている。
【0016】
ここで、網目構造の網目は、50〜200μmとすることが好ましく、100〜150μmとすることがさらに好ましい。網目構造の網目を50〜200μmとすることによって、塗布液をシート材料30に適度に保持し、塗布液を全体に行き渡らせるように拡散させつつ、塗布部16に塗布液を流入させて行く機能が、より確実且つ効果的に発揮されることになる。また網目構造のシート材料30としては、例えばメッシュ生地を用いることが好ましく、より具体的には、例えばナイロンメッシュを用いることができる。
【0017】
なお、本実施形態によれば、網目構造のシート材料30は、軸芯パイプ13の外周面に沿って捲き付けるように装着し、軸芯パイプ13の軸方向の両端部を例えばメッシュ止めシール31や接着剤等を介して軸芯パイプ13に固着することにより、軸芯パイプ13に形成された複数の流出孔15の全てを一体として覆うようにして、軸芯パイプ13の外側に容易に取り付けることができる。また、スポンジ材料からなる塗布部16は、これの可撓性等を利用して、従来のローラ式塗布具と同様にして、シート材料30が取り付けられた軸芯パイプ13の外側に容易に取り付けられることになる。
【0018】
塗布ローラ11を回転可能に支持する柄部12は、例えば外径が5〜10mm程度の金属製中空円筒状のパイプ部材を曲折加工して形成されるもので、その一方の端部には、連結支持スリーブ部材19が取付け固定されており、この連結支持スリーブ部材19を介して、塗布ローラ11を回転可能に支持している。また柄部12の他方の端部には、塗布ローラ11の略中央領域から垂直な延長線上に位置する部分において、把手部材21が取付け固定されており、この把手部材21を把持しながら、塗布ローラ11を被塗布面40に沿って回転スライド移動させることにより、塗布作業をスムーズに行うことができるようになっている。
【0019】
塗布ローラ11の軸芯パイプ13に塗布液を供給する液タンク14は、例えば合成樹脂製の円筒ボトル形状の容器である。本実施形態によれば、液タンク14は、供給パイプ18を介して連結支持スリーブ部材19に取り付けられ、供給パイプ18及び連結支持スリーブ部材19を経て、収容した塗布液を塗布ローラ11の軸芯パイプ13に供給することができるようになっている。また、液タンク14は、容器本体22と、この容器本体22に着脱可能に装着されるキャップ部23とからなり、キャップ部23から突出して設けられたノズル24の、軸芯パイプ13との連通口である先端開口以外に開口を形成しないようにして、容器本体22の内部に塗布液を封入可能な液封入タンクとしての機能を備えている。
【0020】
さらに、液タンク14のノズル24の内側には、これの先端開口から一方の端部が挿嵌されて、略60度の角度でくの字形状に折り曲げられた供給パイプ18が装着されており、この供給パイプ18の他方の端部は、回動保持手段17を介して連結支持スリーブ部材19に回動可能に取り付けられている。供給パイプ18は、連結支持スリーブ部材19の内部において軸芯パイプ13と連通し、液タンク14から軸芯パイプ13に塗布液を供給できるようになっている。なお、容器本体22にキャップ部23が着脱可能に装着されていることにより、キャップ部23から容器本体22を取り外して塗布液を適宜補充することができ、また挿嵌された供給パイプ18からノズル24を取り外して、液タンク14自体を適宜交換することができるようになっている。
【0021】
塗布ローラ11の軸芯パイプ13と、液タンク14の供給パイプ18とを連通連結する連結支持スリーブ部材19は、例えば合成樹脂を射出成形して形成されるものであり、上述のように、柄部12の一方の端部に填込み固定される。また連結支持スリーブ部材19への供給パイプ18の取付部分には、軸芯パイプ13に対して液タンク14を相対回動させつつ、当該液タンク14を軸芯パイプ13の上方の所定の位置に保持させる回動保持手段17が、これと反対側の軸芯パイプ13の取付部分には、軸芯パイプ13を回転可能に支持する回転液もれ防止部材20が各々設けられている。
【0022】
本実施形態によれば、回転保持手段17は、図3(a),(b)に示すように、連結支持スリーブ部材19の塗布ローラ11とは反対側に配置され、且つ中空内部を拡幅させて設けられた外側筒部25と、外側筒部25の内側にこれと同心状に配置され、当該外側筒部25に対して相対回動可能に装着された内側回動板26とによって構成される。また内側回動板26の中心部分には、供給パイプ18が、他方の端部を貫通させるようにして取付け固定されており、当該他方の端部を連結支持スリーブ部材19の中空内部の略中央部分まで延設させている。
【0023】
また、本実施形態によれば、回転保持手段17を構成する外側筒部25は、その内周断面形状が、45度の均等な中心角を有する正八角形となっており、また内側回動板26は、その外周断面形状が、外側筒部25の正八角形の内周断面形状の対角線と等しい長さの対角線を有する、各角部の間の面が湾曲面となった四角形となっており、且つ各角部の間の湾曲面は、外側筒部25の内周断面形状の対辺と接触しないような形状となっている。したがって、内側回動板26の各角部が、外側筒部25の内周面の正八角形の角部に一つ置きに各々係止されている状態から、合成樹脂からなる外側筒部25及び内側回動板26を僅かに弾性変形させつつ、内側回動板26を外側筒部25に対して45度毎に相対回動させて、正八角形の隣接する角部に内側回動板26の角部を順次スライド係止してゆくことにより、内側回動板26に固定された供給パイプ18を、液タンク14と共に塗布ローラ11の軸芯パイプ13に対してこれの周方向に段階的に相対回動させ、且つ45度毎に段階的に回動させた液タンク14を、軸芯パイプ13よりも上方の所定の位置に適宜容易に保持することができるようになっている。
【0024】
さらに、本実施形態によれば、軸芯パイプ13を回転可能に支持する回転液もれ防止部材20は、液もれを防止しつつ、液を流通させるパイプ部材を回転可能に連結支持する部材であって、例えばロータリー管継手等として知られる公知の各種の回転液もれ防止部材を用いることができる。この回転液もれ防止部材20を介することにより、軸芯パイプ13を回転可能に支持しつつ、連結支持スリーブ部材19の内部において、軸芯パイプ13と供給パイプ18とが連通連結されることになる。
【0025】
そして、本実施形態のローラ式塗布具10によれば、塗布液が、例えば粘度が1〜100mPa・s、表面張力が1〜50mN/m程度の浸透性の高い塗布液である場合でも、中空の軸芯パイプ13から周囲の塗布部16に塗布液を偏在しないように略一様に含浸させつつ塗布作業を行うことが可能になる。すなわち、本実施形態によれば、軸芯部パイプ13の外周面と塗布部16との間に介在して、塗布部16における塗布液の含浸流路よりも小さい網目の網目構造を有するシート材料30が、複数の流出孔15を覆うように取り付けられているので、軸芯パイプ13の流出孔15から流出した塗布液は、塗布部16の含浸流路に流入する前に、含浸流路の径よりも小さい網目の網目構造を有するシート材料30を通過することになる。したがって、流出孔15から流出した塗布液は、塗布部16における大きな径の含浸流路に直接流入することがシート材料30によって効果的に阻止されると共に、小さい網目の網目構造に沿ってシート材料30の略全体に行き渡るように拡散した後に、塗布部16の含浸流路に少量ずつ徐々に流入して行くことになるので、このようなシート材料30が介在することによる作用によって、浸透性の高い塗布液であっても、これを塗布部16の全体に亘って略一様に含浸させつつ効率良く塗布作業を行うことが可能になる。
【0026】
また、本実施形態によれば、塗布ローラ11の軸芯パイプ13に塗布液を供給する液タンク14を有しており、且つ軸芯パイプ13に対してこれの周方向に液タンク14を相対回動させる回動保持手段17を備えているので、例えば図4(a)〜(d)に示すように、被塗布面の方向や当該被塗布面に対する塗布方向に応じて液タンク14を回動させて、塗布作業中、常に液タンク14を軸芯パイプ13よりも上方に保持しておくことが可能なので、液タンク14の内部の塗布液と軸芯パイプ13に供給される塗布液との間には常に水頭差が生じていることになる。したがって、軸芯パイプ13の内部には、この水頭差によって塗布液が常時充満した状態となると共に、水頭差による水圧によって、軸芯パイプ13の全体に亘り均等に分散配置した多数の流出孔15から、軸芯パイプ12を中心とした放射方向に塗布液を流出させつつ、塗布液を塗布部16に一様に含浸させて行くことができるので、被塗布面への塗布方向に応じて塗布液を均質且つ容易に塗布して行くことが可能になる。
【0027】
なお、本実施形態のローラ式塗布具10を用いた塗布状況を例示する図4(a)〜(d)において、(a)は、上下方向に延在する被塗布面40に対して、下方から上方に向かって塗布ローラ11を回転スライドさせつつ塗布液を塗布する状況を示すものであり、(b)は、上下方向に延在する被塗布面40に対して、上方から下方に向かって塗布ローラ11を回転スライドさせつつ塗布液を塗布する状況を示すものである。また(c)は、液タンク14よりも上方において把手部材21を把持しながら上下方向に延在する被塗布面40に対して、下方から上方に向かって塗布液を塗布する状況を示すものであり、(d)は、水平方向に延在する被塗布面40に対して、塗布ローラ11を回転スライドさせつつ塗布液を塗布する状況を示すものである。
【0028】
また、本実施形態のローラ式塗布具10によれば、液タンク14は、軸芯パイプ13との連通口である、ノズル24の先端開口以外の開口が設けられていない液封入タンクとなっているので、特に塗布液が浸透性の良い粘度が1〜100mPa・s程度、表面張力が1〜50mN/m程度のものである場合でも、塗布液を一度に多量に流出させることなく、少量ずつ徐々に流出するように調整することができ、塗布部16に塗布液を一様に含浸させて、被塗布面40への均質な塗布作業を容易に行うことが可能になる。
【0029】
すなわち、本実施形態によれば、液タンク14が液封入タンクとなっているので、液タンク14は、塗布液が軸芯パイプ13に送られて減少すると、内部が負圧になる。そして液タンク14からの塗布液の供給は、この負圧の作用によって、急速な供給が抑制されることになり、これによって軸芯パイプ13から押し出されるようにして塗布部16に流出される塗布液の量を、少量となるように容易に調整することが可能になる。また液タンク14内の負圧は、塗布ローラ11の外周面から、大気中の空気が塗布部16、流出孔15、シート材料30、軸芯パイプ13、及び供給パイプ18を経て液タンク14の内部に侵入することによって解消するので、液タンク14の内部に侵入する大気中の空気の量と、塗布液の供給によって生じる液タンク14内の負圧状態とが適度にバランスされることにより、軸芯部パイプ13の外周面と塗布部16との間に介在して網目構造を有するシート材料30が設けられていることと相俟って、塗布液が浸透性の高い塗布液であっても、塗布液が塗布部16に少量ずつ一様に含浸した状態を、容易に維持することが可能になる。
【0030】
さらに、本実施形態のローラ式塗布具10によれば、塗布ローラ11の軸芯パイプ13は、連結支持スリーブ部材19に設けた回転液もれ防止部材20によって回転可能に支持されており、軸芯パイプ13は、塗布部16と共に一体として回転するようになっているので、塗布部を軸芯パイプに対して相対的に回転させるようにしたものの如く、塗布ローラの端面における軸芯パイプと塗布部との接合部分から、供給された塗布液が漏出しやすくなるのを効果的に回避することが可能になる。
【0031】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、塗布液は粘度が1〜100mPa・s程度、表面張力が1〜50mN/m程度の浸透性の高い塗布液である必要は必ずしもない。また、塗布液は、液タンクから軸芯部に供給されるものである必要は必ずしもなく、例えば塗布部が取り付けられた中空円筒状の軸芯部の径を大きくして内部に塗布液を畜入し、畜入された塗布液を塗布部に含浸させるものや、供給ポンプ等を介して軸芯部に塗布液を圧送供給するものであっても良い。さらに、シート材料は、軸芯部の外周面に2重又は3重以上に捲き付けて使用することもでき、またシート材料は、相当の厚さを備えるものであっても良い。
【0032】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により、本発明のローラ式塗布具をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
〔実施例1〜5〕
図1に示す上記実施形態のローラ式塗布具10と同様の構成を有し、軸芯パイプ13の外周面と塗布部16との間に介在して設けた網目構造からなるシート材料30として、表1に示すオープニング(網目)のナイロンメッシュを用いたものを実施例1〜5のローラ式塗布具とした。なお、表1において、メッシュ数は、インチ間の糸の本数を意味するものであり、従ってオープニング(μm)は、下記の式によって得られるものである。
オープニング(μm)=(25400/メッシュ数)−糸径(μm)
【0034】
また、塗布部を構成するスポンジ材料として、空隙部の径が200〜400μm程度のものを使用し、塗布液として、粘度が40mPa・s程度、表面張力が
26mN/m程度のものを使用した。
【0035】
実施例1〜5のローラ式塗布具を用いて、図4(a)に示す上下方向に延在する被塗布面に対して、塗布ローラを上下に回転スライドさせつつ塗布液を塗布する作業を行い、その塗布状況を評価した。評価結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
〔比較例1〕
軸芯パイプの外周面と塗布部との間に介在して網目構造からなるシート材料を設けないこと以外は、実施例1〜5のローラ式塗布具と同様の構成を有する塗布具を比較例1のローラ式塗布具として、実施例1〜5のローラ式塗布具と同様に、上下方向に延在する被塗布面に対して塗布液を塗布する作業を行い、その塗布状況を評価した。評価結果を表1に示す。
【0038】
表1に示す評価結果によれば、塗布液が浸透性の良い塗布液の場合に、比較例1のローラ式塗布具は、液だれ等が生じて均一な塗布作業が困難であったのに対し、本発明に係る実施例1〜5のローラ式塗布具によれば、初期の段階で塗布液の供給が不足したり、塗布液の供給が過剰になることはあっても、均一な塗布作業を良好に行えることが判明する。
【0039】
さらに、ナイロンメッシュのオープニングを50〜200μmの範囲内とした実施例2及び3のローラ式塗布具によれば、塗布液の供給不足や供給過剰を生じることなく、さらに容易且つスムーズに均一な塗布作業を行えることが判明する。
【0040】
【発明の効果】
本発明のローラ式塗布具によれば、中空の軸芯部から周囲の塗布部に塗布液を偏在しないように略一様に含浸させつつ、効率良く塗布作業を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るローラ式塗布具の平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るローラ式塗布具における塗布ローラの縦断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るローラ式塗布具における回動保持手段の構成を説明する、(a)は部分断面図、(b)は(a)のA−Aに沿った横断面図である。
【図4】(a)〜(d)は、本発明の一実施形態に係るローラ式塗布具を用いた塗布状況を例示する側面図である。
【符号の説明】
10 ローラ式塗布具
11 塗布ローラ
12 柄部
13 軸芯パイプ(軸芯部)
14 液タンク(液封入タンク)
15 流出孔
16 塗布部
17 回動保持手段
18 供給パイプ
19 連結支持スリーブ部材
20 回転液もれ防止部材
25 外側筒部
26 内側回動板
30 網目構造を有するシート材料
31 メッシュ止めシール
40 被塗布面
Claims (5)
- 塗布ローラと、該塗布ローラを回転可能に支持する柄部とを備え、前記塗布ローラの中空の軸芯部に形成された複数の流出孔を介して該軸芯部から塗布液を流出させることにより、前記塗布ローラの塗布部に塗布液を含浸させつつ被塗布面への塗布作業を行う、前記軸芯部に塗布液を供給する液タンクを有するローラ式塗布具であって、
前記軸芯部の外周面と前記塗布部との間に介在して、前記塗布部における塗布液の含浸流路よりも小さい網目の網目構造を有するシート材料が、前記複数の流出孔を覆うように取り付けられており、
前記軸芯部と、前記液タンクに取り付けた供給パイプとが、前記柄部の先端に固定された連結支持スリーブ部材を介して連通連結されており、該連結支持スリーブ部材への前記供給パイプの取付部分には、前記軸芯部に対して前記液タンクを相対回動させつつ、前記液タンクを前記軸芯部の上方の位置に保持させる回動保持手段が、これと反対側の前記軸芯部の取付部分には、前記軸芯部を回転可能に支持する回転液もれ防止部材が各々設けられているローラ式塗布具。 - 前記網目構造の網目が50〜200μmである請求項1記載のローラ式塗布具。
- 前記シート材料がメッシュ生地である請求項1又は2に記載のローラ式塗布具。
- 前記塗布液は、粘度が1〜100mPa・s、表面張力が1〜50mN/mの塗布液である請求項1〜3のいずれかに記載のローラ式塗布具。
- 前記回動保持手段が、外側筒部と、該外側筒部の内側に該外側筒部と同心状に配置され、該外側筒部に対して相対回動可能に装着された内側回動板とからなり、
前記外側筒部は、均等な中心角を有するように配置された複数の角部を備える内周断面形状を有しており、
前記内側回動板は、均等な中心角を有するように配置された、前記外側筒部の内周断面形状の対角線と等しい対角線を備えると共に、前記外側筒部の内周断面形状の角部よりも少ない複数の角部を備える外周断面形状を有しており、
前記内側回動板の各角部が、前記外側筒部の内周面の角部に選択的に各々係止されている状態から、前記内側回動板を前記外側筒部に対して相対回動させて、前記外側筒部の内周面の、選択的に各々係止されていた角部と隣接する角部に内側回動板の各角部を順次スライド係止してゆくことにより、段階的に回動させて前記液タンクを前記軸芯パイプの上方に保持させるようになっている請求項1〜4記載のローラ式塗布具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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