JP4320910B2 - 車両の制動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両の制動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両特に自動車においては、車輪を回転自在に保持する車輪支持部材にブレーキ装置が設けられて、減速や停止のために該ブレーキ装置を作動させて、車輪に対して制動力を付与するようになっている。車輪に付与される制動力が大きすぎると車輪が路面に対してロックしてしまうことになり、このため、ABS制御と呼ばれるように、車輪のロックを防止しつつ車輪に対して付与される制動力を制御することが行われている。このABS制御においては、車輪速と車体速とに基づいて車輪のスリップ値を検出し、この検出スリップ値が目標スリップ値となるように、ブレーキ装置で発生させる制動力(通常はブレーキ装置へ付与されるブレーキ液圧)がフィードバック制御される(例えば特開平8−244592号公報参照)。
【0003】
ところで、最近では、制動力の短縮化が強く望まれるようになっているが、従来のABS制御では制動力の短縮化には限界がある。すなわち、スリップ値検出には車体速が用いられるが、この車体速は推定値であるために検出されるスリップ値にはどうしても誤差を生じ、また車輪(タイヤ)と路面との摩擦係数が種々変化する状況となっているために、目標スリップ値が必ずしも最適なものとはならない。このため、車輪のロックを防止する観点から例えば目標スリップ値の設定にある程度余裕をもたせる等のことが要求され、最大制動力を得にくいものとなる。換言すれば、最大制動力を得るべく目標スリップ値を設定等すると、ブレーキ装置で発生される制動力が過大となって車輪を不必要にロックさせてしまう事態が発生してしまう可能性が大きくなってしまい、このような設定は事実上採用できないものとなる。これに加えて、スリップ値を制御パラメータとして用いたABS制御では、車輪のロック防止ということが要求されるので、車輪をロックさせた方が制動距離が短縮化されるような状況下でも(例えば悪路走行時)、ロック防止の制御となってしまう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、制動距離を確実に短縮化できるようにした車両の制動装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
車輪支持部材に取付けられたブレーキ装置を作動させる制動時に、該ブレーキ装置に生じる反力に基づいて実際の制動力を検出する制動力検出手段と、
前記ブレーキ装置が作動される制動時に、前記制動力検出手段によって検出された制動力が最大制動力に保持されるように、前記ブレーキ装置で発生させる制動力を制御する制動力制御手段と、を備え、
前記ブレーキ装置が、取付ボルトによって前記車輪支持部材に取付けられており、
前記制動力検出手段が、前記取付ボルトに設けられた歪みセンサによって構成され、
しかも、悪路を走行していることを検出する悪路検出手段と、車輪の車体速に対するスリップ値を検出するスリップ検出手段と、前記悪路検出手段によって悪路走行であることが検出されたとき、前記制動力制御手段による制御を中止させて、前記スリップ検出手段で検出されるスリップ値が目標スリップ値となるように前記ブレーキ装置で発生させる制動力を制御する補助制動力制御手段と、を備えている、
ことを特徴とする車両の制動装置とした構成とされている。上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2に記載のとおりである。
また、前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項3に記載のように、
車輪支持部材に取付けられたブレーキ装置を作動させる制動時に、該ブレーキ装置に生じる反力に基づいて実際の制動力を検出する制動力検出手段と、
前記ブレーキ装置が作動される制動時に、前記制動力検出手段によって検出された制動力が最大制動力に保持されるように、前記ブレーキ装置で発生させる制動力を制御する制動力制御手段と、
車両の旋回を検出する旋回検出手段と、
車輪の車体速に対するスリップ値を検出するスリップ検出手段と、
前記旋回検出手段によって旋回時であることが検出されたとき、前記制動力制御手段による制御を中止させて、前記スリップ検出手段で検出されるスリップ値が目標スリップ値となるように前記ブレーキ装置で発生させる制動力を制御する補助制動力制御手段と、を備えている、
ことを特徴とする車両の制動装置とした構成とされている。この請求項3の好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項4,5に記載のとおりである。
【0006】
【発明の効果】
請求項1に記載された発明によれば、制動力検出手段によって検出される実際の制動力が最大制動力に保持されるように制動力制御が行われるので、制動距離を確実に短縮することができる。
また、安価入手できる歪みセンサを用いてなる制動力検出手段の具体的な構成が提供される。
さらに、悪路走行時は制動力検出手段の出力にノイズを発生させる原因となるが、このような悪路走行時には従来と同様にスリップ値をパラメータとする補助制動力制御を実行して、ノイズによる悪影響を受けることなく制動力制御を行うことができる。
請求項2に記載された発明によれば、同じ反力の大きさを、一対の歪みセンサの出力の差分を利用することにより、1つの歪みセンサからの出力のみを用いた場合に比して、大きな出力として取り出すことができる。
【0007】
請求項3に記載された発明によれば、制動力検出手段によって検出される実際の制動力が最大制動力に保持されるように制動力制御が行われるので、制動距離を確実に短縮することができる。
また、安定して旋回を行うためにはある程度のタイヤ横力が要求されるが、この旋回時には従来と同様にスリップ値をパラメータとする補助制動力制御を実行することにより、つまりタイヤ横力が確保できる制動状態で旋回を行わせて、安定して旋回を行う上で好ましいものとなる。
請求項4に記載された発明によれば、安価入手できる歪みセンサを用いてなる制動力検出手段の具体的な構成が提供される。
請求項5に記載された発明によれば、同じ反力の大きさを、一対の歪みセンサの出力の差分を利用することにより、1つの歪みセンサからの出力のみを用いた場合に比して、大きな出力として取り出すことができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
まず、図1を参照しつつ、車輪に制動力を付与するブレーキ装置部分の一例について説明する。図1中、1は車輪支持部材であり、図示を略すサスペンションアームを介して車体に上下動自在に保持される。この車輪支持部材1には、取付軸2が回転自在に保持され、この取付軸2に対して、図示を略すブラケット等を介して車輪取付部材3が一体回転するように取付けられる。車輪は、既知のように、車輪取付部材3に設けられている複数本の取付ボルト4によって取付けられる。
【0009】
車輪に制動力を付与するためのブレーキ装置Bは、実施形態ではフローティング式のディスクブレーキとされて、車輪取付部材3に一体化されたブレーキディスク5の他、車輪支持部材1に取付けられる制動力付与部分6を有する。制動力付与部分6は、反力受け部材7と、この反力受け部材7に車軸方向(ブレーキディスク5の板厚方向)にスライド自在に保持されたキャリパ8とを有する。反力受け部材7は、複数本(実施形態では2本)の取付ボルト9によって、車輪支持部材1に対して固定される。キャリパ8は、ブレーキディスク5をその板厚方向から挟む一対の摩擦パッド(図示略)を有する他、一方の摩擦パッドの背面に臨むように液室(図示略)が構成されている。この液室にブレーキ液圧が供給されると、上記一方の摩擦パッドがブレーキディスク5の一方側板面に押しつけられ、この押しつけの反力によってキャリパ8が反力受け部材7に対してスライドして、他方の摩擦パッドをブレーキディスク5の他方側板面に押しつける。このようにして、一対の摩擦パッドによってブレーキディスク5を挟持して、ブレーキディスク5つまり車輪に制動力が付与されることになる。そして、制動時の反力は、キャリパ8から反力受け部材7を経て、取付ボルト9つまり車輪支持部材1に受け止められることになる。
【0010】
前記取付ボルト9の一方には、図3,図4に示すように、制動力検出手段となる一対の歪みセンサ11、12が取付、固定されている。一対の歪みセンサ11、12の配設位置は、取付ボルト9の軸線を挟んで対称位置とされている。より具体的には、一対の歪みセンサ11、12はそれぞれ、取付ボルト9のねじ部内に嵌合形式で配設されており、この歪みセンサ11、12から伸びるリード線11a,12aが、取付ボルト9の頂面から外部へ延在されている。このように歪みセンサ11、12は取付ボルト9内に埋設された構造とされているが、このため、図示を略すが歪みセンサ11、12取付用の取付孔が取付ボルト9頂面からその軸線方向に伸ばして形成されて、この取付孔内に歪みセンサ11、12を挿入、固定するようになっている(取付孔は歪みセンサ11、12の取付後に接着剤等によって塞がれる)。
【0011】
制動時の反力は、取付ボルト9を変形させる力(曲げ力あるいはせん断力)として作用し、この制動反力による取付ボルト9の変形量が歪みセンサ11、12によって検出される。軸線を挟んで反対側位置となるように一対の歪みセンサ11、12を配設してあるので、一方の歪みセンサ11あるいは12のみを用いた場合に比して、大きな出力を得ることができる。すなわち、一対の歪みセンサ11と12との出力の差をとることにより、実質的に1つの歪みセンサの出力値の2倍の大きさの出力値を得ることができる(感度向上)。
【0012】
図5は、取付ボルト9に対する歪みセンサ11、12の別の配設例を示すものであり、一対の歪みセンサ11、12を取付ボルト9のねじ部の表面に取付、固定するようにしたものである。すなわち、取付ボルト9のねじ部のうち、その軸線を挟んで左右対称位置に一対の凹部13を形成して、この凹部13内に歪みセンサ11、12を位置させてある。なお、凹部13の深さは、歪みセンサ11、12がねじ部におけるねじ溝よりも外部に突出しない大きさに設定されている。
【0013】
ブレーキ液圧回路の一例について、図2を参照しつつ説明する。まず、21はブレーキ液圧発生源としてのマスタシリンダであり、このマスタシリンダ21には、ブレーキペダル22の踏み込み力が倍力装置23によって倍力された状態で入力される。マスタシリンダ21には、2本のメイン通路24、25が接続されている。一方のメイン通路24は、2本の分岐通路24A、24Bに分岐されて、一方の分岐通路24Aが右前輪用のブレーキ装置BFRに接続されている。また、他方の分岐通路24Bは、左後輪用のブレーキ装置BRLに接続されている。他方のメイン通路25も2本の分岐通路25A、25Bに分岐されて、一方の分岐通路25Aが左前輪用のブレーキ装置BFLに接続されている。また、他方の分岐通路25Bは、右後輪用のブレーキ装置BRRに接続されている。上記各ブレーキ装置は、区別のためにFR等の識別符号を付してあるが、全て前述したブレーキ装置Bと同様の構造となっており、以下の説明において車輪毎のブレーキ装置を区別する必要のないときは単に符号Bでもって示すこととする。
【0014】
前記右前輪用の分岐通路24Aには、電磁開閉弁からなる増圧バルブ31FRが接続されている。分岐通路24Aのうちブレーキ装置BFRと増圧バルブ31FRとの間が、リリーフ通路32FRを介してリザーバ33Aに接続されると共に、バイパス通路34FRを介して増圧バルブ31FRよりもマスタシリンダ21側において分岐通路24Aに接続されている。上記リリーフ通路32FRには、電磁開閉弁からなる減圧バルブ35FRが接続されている。また、上記バイパス通路34FRには、マスタシリンダ21側へ向けての流れのみを許容する逆止弁36FRが接続されている。そして、前記リザーバ33Aは、供給通路37Aを介してメイン通路24に接続され、この供給通路37Aには、リザーバ33A側から順次、逆止弁38A、ポンプ39A、逆止弁40Aが接続されている。各逆止弁38A、40Aはそれぞれ、リザーバ33A側からメイン通路24へ向けての流れのみを許容する。
【0015】
左後輪用ブレーキ装置BRLについても、前述した右前輪用ブレーキ装置BFRと同様のブレーキ系統が構成されているので、その重複した説明は省略する。なお、右前輪用ブレーキ装置BFRについて用いた符号のうち、同一構成要素には、同一の数字符号を用いて示すと共にその後にある「FR」の符号に代えて「RL」の符号を付してある。
【0016】
同様に、前記他方のメイン通路25に関連した左前輪用ブレーキ装置BFL、右後輪用ブレーキ装置BRRについても、一方のメイン通路24に関連したブレーキ装置BFR、BRLと同様な構成とされているので、その重複した説明は省略する。なお、左前輪用ブレーキ装置BFRについて用いた符号のうち、同一構成要素には同一の数字符号を用いると共に、「FR」の符号に代えて「FL」あるいは「RR」の符号を付してあり、また符号「A」に代えて「B」の符号を付してある。図2中41は、一対のポンプ39A、39Bを駆動するためのモータである。なお、以下の説明で、図2に示す構成要素を車輪毎に区別する必要のないときは、FR〜RRの符号を省略して、数字符号のみによって表現する場合もある。
【0017】
図2において、制動力制御の必要のないときは、モータ41が停止されて、各増圧バルブ31FR〜31RRが開弁される一方、各減圧バルブ35FR〜35RRが閉弁される。ブレーキペダル22の踏み込みによりマスタシリンダ21で発生されたブレーキ液圧は、増圧バルブ31FR〜31RRを介して各ブレーキ装置BFR〜BRRへ供給される。ブレーキペダル22を開放したとき、各ブレーキ装置BFR〜BRRへ供給されていたブレーキ液圧は、増圧バルブ31FR〜31RRを経てマスタシリンダ21へと戻されるが、急激な戻りはバイパス通路36FR〜36RRを介しても行われる。
【0018】
後述する制動力制御のとき、ポンプ39A、39Bが運転されると共に、増減の各バルブ31(FR〜RR)、35(FR〜RR)が車輪毎に個々独立して開閉制御される。すなわち、ブレーキ装置B(FR〜RR)に供給されるブレーキ液圧の大きさが、増圧バルブ31を開弁(減圧バルブ35は閉弁)することにより増大され、逆に、減圧バルブ35を開弁(増圧バルブ31は閉弁)することにより減少される。
【0019】
図6は、本発明による制動力制御を行うための制御系統をブロック図的に示すもので、図中Uはマイクロコンピュータを利用して構成された制御ユニットである。この制御ユニットUには、前記歪みセンサ11、12からの信号の他、各種センサ51〜54からの信号が入力される。センサ51は、各車輪の速度(車輪速)を個々独立して検出する車輪速センサであり、実際には車輪の数に応じて4個設けられている。センサ52は、ハンドル舵角を検出する舵角センサである。センサ53は、ブレーキペダル21の踏み込み力を検出するものである。スイッチ54は、ブレーキペダル21が踏み込み操作されたときにONとされるブレーキスイッチである。制御ユニットUは、前述の増圧バルブ31FR〜31RR、および減圧バルブ35FR〜35RRを制御する。また、制御ユニットUは、制動力制御を実行するときは、警報ランプあるいは警報ブザー等の警報器55を作動させる。
【0020】
次に、制御ユニットUによる制動力制御のうち、歪みセンサ11、12を利用した制動力制御の点について説明するが、まず、図7〜図9を参照しつつ本発明の原理的な説明を行う。いま、ブレーキペダル22の踏み込みが開始されると、踏み込み力が増大されるのに伴ってマスタシリンダ21で発生されるブレーキ液圧つまりブレーキ装置Bへ供給されているブレーキ液圧が大きくなっていく。タイヤと路面との間の摩擦力の範囲内で制動が行われているときは、ブレーキ装置Bへのブレーキ液圧の増大に伴って歪みセンサ11、12の出力も大きくなっていく(制動反力が増大)。タイヤと路面との間の摩擦力の限界を超えてブレーキ装置Bへのブレーキ液圧が大きくなると、ブレーキ装置Bへのブレーキ液圧が増大しても、路面からの反力が小さくなるため、歪みセンサ11、12からの出力が小さくなる。つまり、歪みセンサ11、12の出力値がピークとなる時点が、そのときのタイヤと路面との間の摩擦力をもっとも有効に生かした最大制動力が得られるときとなる。したがって、この歪みセンサ11、12の出力が最大となる状態を保持するように増圧バルブ31(FR〜RR)、減圧バルブ35(FR〜RR)を開閉制御することにより、最大制動力の状態が続行されて制動距離がもっとも短くなる。
【0021】
図7は、車輪をロックさせるようなブレーキ液圧の供給を行った場合において、歪みセンサ11、12の出力と車輪減速度(制御対象となる1つの車輪に発生する制動力)との関係を示すものであり、この図7だけからすれば、歪みセンサ11、12の出力と車輪減速度との間に相関関係がない状況に見受けられる。一方、制動時においては、車輪ロック後に車輪慣性力が大きく増大されるが、図7の制御を行った場合における車輪慣性力をタイヤ角減速度で示したものが図8である。歪みセンサ11、12の出力(図7)から、図8のタイヤ角減速度を差し引いた状態での角減速度を車輪減速度と照合すると、明確に相関関係を有することが理解される。つまり、ブレーキ装置Bによる制動力は、車輪減速のためと車輪慣性力に対抗するために用いられるため、見かけ上は図7のように歪みセンサ11、12の出力と車輪減速度との間に相関関係がないように表現されるが、実際には、図9に示すような相関関係が得られるものである。
【0022】
ここで、歪みセンサ11、12の出力値が最大となるときは、タイヤの種類や摩耗等の車輪側の状況や、路面状況(乾燥路、雪道路等)等を総合勘案して、そのときに実際に最大制動力が得られる状態を示すことになるので、タイヤと路面との間の摩擦状態を推定する等のことは制動力制御に際して特に必要としないものとなる。
【0023】
なお、悪路走行のときは、歪みセンサ11、12の出力にノイズが発生することを勘案して、また、旋回時には旋回に要求されるタイヤ横力を確保するために、前述の歪みセンサ11、12を利用した最大制動力を得る制動力制御を中止して、代わりに、従来から行われているスリップ値をパラメータとした制動力制御を行うようにしてある。
【0024】
前述した制御ユニットUによる制動力制御の内容を、図10に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、図10の制御はブレーキスイッチ54がONとなったときに開始され、また以下の説明でQはステップを示す。まず、Q1において各種センサあるいはスイッチからの信号が入力された後、Q2において、舵角センサ52で検出される舵角が所定量αよりも大きいか否か、つまり現在旋回時であるか否かが判別される。このQ2の判別でNOのときは、旋回時ではないときであり、このときはQ3において、歪みセンサ11、12の出力の周波数分析が行われる。次いでQ4において、上記分析された周波数が、所定範囲A〜Bの値であるか否かが判別される。
【0025】
上記Q4の判別でYESのときは、良路を走行しているときであり、このときは、Q5において、ブレーキペダル22の踏み込み力が増大されているか否かが判別される。このQ5の判別でYESのときは、Q6において、歪みセンサ11、12で検出される実際の制動力が低下しているか否かが判別される。より具体的には、Q6の判別は、歪みセンサ11、12の今回の出力値が、前回の出力値から所定分β(βは低下判断を行うためのヒステリシス設定用)を差し引いた値よりも小さいか否かが判別される。このQ6の判別でYESのときは、実際の制動力が徐々に増大した後に低下された状態へと変化したとき、つまり最大制動力を越えた時点であることとを示している。このときは、Q7において、減圧バルブ35を開くとともに増圧バルブ31を閉じて、ブレーキ装置Bへ供給されているブレーキ液圧を低下させる。
【0026】
Q7の処理により、ブレーキ液圧の低下に伴って実際の最大制動力が大きくなっていく方向へと変化される。Q7の後、Q8において、歪みセンサ11、12の出力が低下される制動力低下の状態となったか否かが判別される(Q6の処理と同じ)。このQ8の判別でNOのときは、ブレーキ液圧の低下によって最大制動力が得られる状態へと復帰している最中であり、このときはQ7の処理が続行される。
【0027】
Q8の判別でYESのときは、ブレーキ液圧の低下によって最大制動力が得られている状態を通り越して、ブレーキ液圧の低下によって実際の制動力が低下されていく状態となる。このときは、Q9において、減圧バルブ35を閉じると共に、増圧バルブ31を開いて、ブレーキ装置Bへのブレーキ液圧を増大させる。これにより、ブレーキ液圧の増大によって最大制動力が得られる状態へと復帰していく。Q10では、制動力が低下しているか否かが判別される(Q6の処理と同じ)。このQ10の判別でNOのときは、ブレーキ液圧の増大により実際の制動力が増大される状態なので、このときはQ9の処理が続行される。Q10の判別でYESのときは、Q1へリーンされる。
【0028】
前記Q5の判別でNOのときあるいはQ6の判別でNOのときはそれぞれ、Q11において、減圧バルブ35が閉じられる共に増圧バルブ31が開かれて、ブレーキペダル22の踏み込み力に応じた大きさのブレーキ液圧がブレーキ装置Bに供給される状態となる。
【0029】
前記Q2の判別でYESのとき、あるいはQ4の判別でNOのときは、それぞれQ12以降の処理が行われる。このQ12以降の処理は、従来から行われているスリップ値をパラメータとした制動力制御が行われるときである。すなわち、まずQ12において、車輪速に基づいて擬似車体速が推定される。この擬似車体速の推定に際しては従来から提案されている種々の手法を採択できるが、例えば最大車輪速を除く3輪の車輪速の相加平均値が擬似車体速VBとして決定される。Q12の後、Q13において、制御対象となっている車輪の車輪速と擬似車体速VBとに基づいて、制御対象となっている車輪のスリップ値Sが決定される。このスリップ値Sの決定手法も従来から提案されている種々の手法を採択できるが、例えば、「(1−車輪速/VB)×100%」として決定することができる(スリップ値が大きいほど車輪のロック傾向が大)。
【0030】
Q13の後、Q14において、上述のように決定された実際のスリップ値Sが、所定のしきい値SSよりも大きいか否かが判別される。このQ14の判別でYESのときは、車輪のロック防止のために制動力制御が必要なときであり、このときは、Q15において、実際のスリップ値Sが目標スリップ値となるように、増圧バルブ31および減圧バルブ35が開閉制御される(フィードバック制御)。Q14の判別でNOのときは、車輪がロックするおそれがないときであり、このときは、Q16において、減圧バルブ35が閉じられる共に増圧バルブ31が開かれて、ブレーキペダル22の踏み込み力に応じた大きさのブレーキ液圧がブレーキ装置Bに供給される状態となる。
【0031】
以上実施形態について説明したが、本発明はこれに限らず例えば次のような場合をも含むものである。悪路走行の検出手法や旋回の検出手法としては、従来既知の適宜の手法を採択し得る。ブレーキ装置Bとしては、反力受け部材7を別途有しないで、キャリパ8が車輪支持部材1に固定される形式のものでもよく、あるいディスクブレーキに限らず、ドラムブレーキや電磁式ブレーキ等、適宜のものを採択し得る。また、歪みセンサは1つのみであってもよい。さらに、制動反力を検出できるものであれば、歪みセンサに限らず他のセンサを用いることができ、またその取付位置も取付ボルトに限らず適宜選択できるものである。
【0032】
フロ−チャ−トに示す各ステップ(ステップ群)あるいはセンサやスイッチ等の各種部材は、その機能の上位表現に手段の名称を付して表現することができる。また、フロ−チャ−トに示す各ステップ(ステップ群)の機能は、制御ユニット(コントローラ)内に設定された機能部の機能として表現することもできる(機能部の存在)。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。さらに、本発明は、制御方法として表現することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ブレーキ装置の一例を示す分解斜視図。
【図2】ブレーキ系統の一例を示す回路図。
【図3】取付ボルトに歪みセンサを設ける一例を示す側面一部断面図。
【図4】図3の平面図。
【図5】取付ボルトに歪みセンサを設ける別の例を示す側面図。
【図6】本発明の制御系統をブロック図的に示す図。
【図7】本発明の原理を図式的に示すための図。
【図8】本発明の原理を図式的に示すための図。
【図9】本発明の原理を図式的に示すための図。
【図10】本発明の制御例を示すフローチャート。
【符号の説明】
1:車輪支持部材
3:車輪取付部材
5:ブレーキディスク
6:制動力付与部分
7:反力受け部材
8:キャリパ
9:取付ボルト
11、12:歪みセンサ
21:マスタシリンダ
22:ブレーキペダル
31(FR〜RR):増圧バルブ
35(FR〜RR):減圧バルブ
39A、39B:ポンプ
51:車輪速センサ
52:舵角センサ
53:ブレーキセンサ
54:ブレーキスイッチ
U:制御ユニット
Claims (5)
- 車輪支持部材に取付けられたブレーキ装置を作動させる制動時に、該ブレーキ装置に生じる反力に基づいて実際の制動力を検出する制動力検出手段と、
前記ブレーキ装置が作動される制動時に、前記制動力検出手段によって検出された制動力が最大制動力に保持されるように、前記ブレーキ装置で発生させる制動力を制御する制動力制御手段と、を備え、
前記ブレーキ装置が、取付ボルトによって前記車輪支持部材に取付けられており、
前記制動力検出手段が、前記取付ボルトに設けられた歪みセンサによって構成され、
しかも、悪路を走行していることを検出する悪路検出手段と、車輪の車体速に対するスリップ値を検出するスリップ検出手段と、前記悪路検出手段によって悪路走行であることが検出されたとき、前記制動力制御手段による制御を中止させて、前記スリップ検出手段で検出されるスリップ値が目標スリップ値となるように前記ブレーキ装置で発生させる制動力を制御する補助制動力制御手段と、を備えている、
ことを特徴とする車両の制動装置。 - 請求項1において、
一本の前記取付ボルトに対して、前記歪みセンサが一対設けられ、
前記一対の歪みセンサが、前記取付ボルトの軸線を挟んで互いに離間した状態で配設されている、
ことを特徴とする車両の制動装置。 - 車輪支持部材に取付けられたブレーキ装置を作動させる制動時に、該ブレーキ装置に生じる反力に基づいて実際の制動力を検出する制動力検出手段と、
前記ブレーキ装置が作動される制動時に、前記制動力検出手段によって検出された制動力が最大制動力に保持されるように、前記ブレーキ装置で発生させる制動力を制御する制動力制御手段と、
車両の旋回を検出する旋回検出手段と、
車輪の車体速に対するスリップ値を検出するスリップ検出手段と、
前記旋回検出手段によって旋回時であることが検出されたとき、前記制動力制御手段による制御を中止させて、前記スリップ検出手段で検出されるスリップ値が目標スリップ値となるように前記ブレーキ装置で発生させる制動力を制御する補助制動力制御手段と、を備えている、
ことを特徴とする車両の制動装置。 - 請求項3において、
前記ブレーキ装置が、取付ボルトによって前記車輪支持部材に取付けられており、
前記制動力検出手段が、前記取付ボルトに設けられた歪みセンサによって構成されている、
ことを特徴とする車両の制動装置。 - 請求項4において、
一本の前記取付ボルトに対して、前記歪みセンサが一対設けられ、
前記一対の歪みセンサが、前記取付ボルトの軸線を挟んで互いに離間した状態で配設されている、
ことを特徴とする車両の制動装置。
Priority Applications (1)
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