JP4320900B2 - 自律型のロボット装置を用いた監視システム及び自律型のロボット装置を用いた監視方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自律型のロボット装置を用いて各種の監視をする自律型のロボット装置を用いた監視システム及び自律型のロボット装置を用いた監視方法に関し、詳しくは個人的、家庭的な監視を行う場合に好適な自律型のロボット装置を用いた監視システム及び自律型のロボット装置を用いた監視方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、周囲の状況や内部の状況に応じて、自律的に行動を決定する自律型のロボット装置が提案されている。例えば、周囲の状況や内部の状況に応じて感情や本能の状態を変化させて、その変化の状態に応じて行動を出現させる、すなわち、感情や本能を行動に表出させるロボット装置が提案されている。
【0003】
このようなロボット装置は、周囲の状況や内部の状況に応じて行動を決定するように構成されているので、例えば、様々な様相をなす家の中をペットのように自由に動きまわる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ユーザは、ロボット装置をペットとして飼う目的で購入する場合が多い。このようなことから、ロボット装置の購入が新たなサービスの提供に繋がるとすれば、ロボット装置には付加価値が発生する。また、ロボット装置は、自律的な行動をするといったシステムを備え、通常の産業ロボット装置にはみられない独自のシステムにより構築されており、このような独自のシステムが新たなサービスの提供に密接に結びつけば、上述の付加価値は、ロボット装置固有のものとなる。
【0005】
そこで、本発明は、上述の実情に鑑みてなされたものであり、自律的に行動をする自律型のロボット装置による新たなサービスとしての自律型のロボット装置を用いた監視システム及び自律型のロボット装置を用いた監視方法の提供を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る自律型のロボット装置を用いた監視システムは、上述の課題を解決するために、外部又は内部からの情報を検出する情報検出手段として少なくとも画像入力手段及び音声入力手段のうち少なくとも一方を有し、検出された情報に基づいて自律的に行動をする自律型のロボット装置の識別情報及び少なくともロボット装置の所有者の年齢を含むロボット装置の所有者に関連する情報を示す所有者関連情報をデータベースとして管理するととともに、ロボット装置の行動を決定するための複数の行動プログラムから所有者の年齢に応じた行動プログラムを選択し、該選択した行動プログラムをロボット装置に送信する情報管理装置と、ロボット装置が行動プログラムにより行動をする監視モードを有し、該監視モードにおいてロボット装置が送信手段から送信された行動プログラムに基づいて行動して画像入力手段により取得したロボット装置の周辺の環境の画像及び音声入力手段により取得したロボット装置の周辺の環境の音声のうち少なくとも一方からなる周辺環境情報とロボット装置の識別情報とを送信する送信装置と、送信装置から送信された周辺環境情報に基づいて、ロボット装置の周辺の環境に異常があることを検出したときに異常情報を出力する監視装置と、監視装置が出力した異常情報に関係するロボット装置の所有者を、ロボット装置の識別情報に基づき情報管理装置のデータベースを参照して特定し、該特定したロボット装置の所有者に関して異常が発生している旨を、所有者関連情報に基づき、所定の宛先に通報する異常通報装置とを備える。
【0007】
このような構成を備えた自律型のロボット装置を用いた監視システムは、外部又は内部からの情報を検出する情報検出手段を有し、検出された情報に基づいて自律的に行動をする自律型のロボット装置の識別情報とその所有者に関連する情報を示す所有者関連情報とをデータベースとして情報管理装置により管理し、ロボット装置が得た当該ロボット装置の周辺の環境の情報を示す周辺環境情報と当該ロボット装置の識別情報とを送信装置により送信し、送信装置から送信されてきた周辺環境情報に基づいて、ロボット装置の周辺の環境に異常があることを検出したときに異常情報を監視装置により出力し、監視装置が出力した異常情報に関係するロボット装置の所有者を、当該ロボット装置の識別情報に基づき情報管理装置のデータベースを参照して特定し、当該所有者に関して異常が発生している旨を、所有者関連情報に基づき、所定の宛先に異常通報装置により通報する。
【0008】
この自律型のロボット装置を用いた監視システムは、ロボット装置が自律的に行動して得た周辺環境情報に基づいて、当該ロボット装置の複数の所有者に関する監視をして、その周辺環境情報に異常あるときには、当該異常がある所有者を特定して、当該所有者に関して異常がある旨を所定の宛先に通報する。
【0009】
また、本発明に係る自律型のロボット装置を用いた監視方法は、上述の課題を解決するために、外部又は内部からの情報を検出する情報検出手段として少なくとも画像入力手段及び音声入力手段のうち少なくとも一方を有し、検出された情報に基づいて自律的に行動をする自律型のロボット装置の識別情報及び少なくともロボット装置の所有者の年齢を含むロボット装置の所有者に関連する情報を示す所有者関連情報をデータベースとして管理する管理工程と、ロボット装置の行動を決定するための複数の行動プログラムから所有者の年齢に応じた行動プログラムを選択する選択工程と、選択工程で選択した行動プログラムをロボット装置に送信する第1の送信工程とを有する情報管理工程と、ロボット装置が行動プログラムにより行動をする監視モードを有し、該監視モードにおいてロボット装置が第1の送信工程で送信された行動プログラムに基づいて行動して、画像入力手段によりロボット装置の周辺の環境の画像及び音声入力手段によりロボット装置の周辺の環境の音声のうち少なくとも一方からなる周辺環境情報を取得する周辺環境情報取得工程と、周辺環境情報取得工程で取得した周辺環境情報とロボット装置の識別情報とを送信する第2の送信工程と、第2の送信工程にて送信された周辺環境情報に基づいて、ロボット装置の周辺の環境に異常があることを検出したときに異常情報を出力する監視工程と、監視工程にて出力された異常情報に関係するロボット装置の所有者を、ロボット装置の識別情報に基づきデータベースを参照して特定し、該特定したロボット装置の所有者に関して異常が発生している旨を、所有者関連情報に基づき、所定の宛先に通報する異常通報工程とを有する。
【0010】
この自律型のロボット装置を用いた監視方法は、ロボット装置が自律的に行動して得た周辺環境情報に基づいて、当該ロボット装置の複数の所有者に関係する監視をして、その周辺環境情報に異常あるときには、当該異常がある所有者を特定して、当該所有者に関して異常がある旨を所定の宛先に通報する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳しく説明する。この実施の形態は、本発明を、外部又は内部からの情報を検出して、この検出された情報に基づいて自律的な行動をする自律型のロボット装置を用いて監視をする監視システムに適用したものである。
【0012】
警備システムは、図1に示すように、自律型のロボット装置1の識別情報とその所有者に関連する情報を示す所有者関連情報とをデータベースDBとして管理している情報管理装置とされるユーザ登録サーバ51と、ロボット装置1が得た当該ロボット装置1の周辺の環境の情報を示す周辺環境情報と当該ロボット装置の識別情報とを送信する送信装置を構成するデータ通信端末52と、データ通信端末52から送信されてきた周辺環境情報に基づいて、ロボット装置1の周辺の環境に異常があることを検出したときに異常情報を出力する監視機能及び監視機能が出力した異常情報に関係するロボット装置の所有者を、当該ロボット装置1の識別情報に基づきユーザ登録サーバ51のデータベースDBを参照して特定し、当該所有者に関して異常が発生している旨を、所有者関連情報に基づき、所定の宛先に通報する異常通報機能を有する監視サーバ54とを備えて構成されている。
【0013】
このような警備システムは、ロボット装置1が自律的な行動により家100の中を自由に動きまわることで部屋内部の画像情報や音情報等をロボット装置サービスサーバ53が取得処理して、監視サーバ54がその取得処理した情報に基づいて異常があれば、例えば、不審人物がいるや所有者(例えば、老人、子供等)が具合が悪そうだ、といった異常があれば、その異常を警備会社55の所定の宛先に通報するものである。
【0014】
このような監視システムにおいて使用するロボット装置1は、図2に示すように、胴体部ユニット2の前後左右にそれぞれ脚部ユニット3A〜3Dが連結されると共に、胴体部ユニット2の前端部及び後端部にそれぞれ頭部ユニット4及び尻尾部ユニット5が連結されることにより構成されている。
【0015】
また、このロボット装置1は、撮像手段や音声入力手段を備えている。具体的に、頭部ユニット4には、このロボット装置の「耳」に相当するマイクロホン等の音声入力手段と、「目」に相当するCCD(Charge Coupled Device)カメラ等の撮像手段と、「口」に相当するスピーカ等の音声出力手段とを備えている。これにより、ロボット装置1は、撮像手段により撮像情報を取得して、音声入力手段により音声情報を取得する。
【0016】
さらに、ロボット装置1は、感情モデルや本能モデルといったモデル化された情報により、自律的に行動を決定する自律型のロボット装置である。具体的には、このロボット装置は、周囲の状況(外的要件)や内部の状況(内的要件)に応じて感情モデルや本能モデルの状態を変化させて、その変化の状態に応じて行動を出現させる、すなわち、感情や本能を行動に表出させる。すなわち、ロボット装置1は、感情や本能の状態により、自律的に行動し、自由に家100内を移動する。このロボット装置1が家100内を自由に移動することを可能にする感情モデル及び本能モデルによる行動の決定の手順については、後で詳述する。
【0017】
そして、ロボット装置1は、無線LAN(ローカルエリアネットワーク)によりデータ通信端末52に撮像手段により取得した画像情報や音声入力手段から入力された音声情報を、データ通信端末52に送信するようになされている。例えば、図3に示すように、ロボット装置1は、PCカードスロット等からなるPCカードI/F8を備え、このPCカードI/F8に装着されたPCカードとされる無線LANカード60によりデータ通信端末52との間でデータ通信を行うことができるようにされている。例えば、ロボット装置1は、無線LANカード60によりデータ通信端末53に画像情報や音声情報を送信する。
【0018】
以上のように構成されたロボット装置1は、家100の中を自由に動き回り、その際に得られる画像情報や音声情報を、データ通信端末52に送信する。
【0019】
データ通信端末52は、ロボット装置サービスサーバ53との間でデータ通信を行う。具体的には、データ通信端末52は、図4に示すように、衛星通信回線32、ケーブルテレビジョン回線33又は電話回線34等の電気通信回線を通じてインターネットプロバイダ35と接続されるとともに、当該インターネットプロバイダ35がインターネット36を介してロボット装置サービスサーバ53と接続され、或いは一般公衆回線39を介してロボット装置サービスサーバ53と直接に接続されている。これにより、データ通信端末52は、例えば、ロボット装置1から送信されてきた画像情報や音声情報を周辺環境情報としてロボット装置サービスサーバに53に送る。また、データ通信端末52は、周辺環境情報とともに、周辺環境情報を取得したロボット装置をロボット装置サービスサーバ53において特定すべく当該ロボット装置の識別情報(ID)を送信する。
【0020】
一方、データ通信端末52は、ロボット装置サービスサーバ53から送られてきたデータ、例えば、ロボット装置の行動を決定するための行動プログラム(例えば、監視プログラム)をロボット装置1に送信する。
【0021】
また、データ通信端末52は、常時或いは一定時間毎に、ロボット装置1から送られてくる画像情報や音声情報をロボット装置サービスサーバ53に送信している。
【0022】
例えば、データ通信端末52としては、パーソナルコンピュータ、いわゆるホームサーバ等や、充電機能とネットワークへの通信機能とを併有したいわゆるステーション等が挙げられる。
【0023】
ロボット装置サービスサーバ53は、ロボット装置1からの情報を管理する。このロボット装置サービスサーバ53は、ロボット装置1からの情報に基づいて各種サービスを提供するものである。その一のサービスとして、ロボット装置サービスサーバ53は、監視サーバ54にロボット装置1からの撮像情報や音声情報を提供している。
【0024】
また、ロボット装置サービスサーバ53は、ロボット装置1のための行動プログラムを保管しており、所有者関連情報に基づいて、所定の行動プログラムをロボット装置1に送信する送信する機能も有している。例えば、ロボット装置サービスサーバ53は、図5に示すように、所定のプログラムとして、複数種類の、例えば子供用、大人用、老人用、或いは不審人物用の監視プログラムを保管している。例えば、ロボット装置サービスサーバ53は、所有者関連情報に体の不自由な老人の情報が含まれている場合には、そのような所有者関連情報に基づいて老人用の監視プログラムを選択して、データ通信端末52を介してロボット装置1に送信する。
【0025】
ロボット装置1では、自律的に行動をする自律モードと、所定の行動を示す行動プログラムにより行動をする監視モードとを備えており、監視モード時においては、そのようにロボット装置サービスサーバ53から送られてきた監視プログラム等の所定の行動プログラムにより行動をして、周辺環境情報を得る。
【0026】
なお、複数種類の監視用プログラムをロボット装置サービスサーバ53から送られてくるものではなく、ロボット装置1に予め保持させておくこととしてもよい。
【0027】
監視サーバ54では、監視機能により、ロボット装置サービスサーバ53から送信されてきた周辺環境情報に基づいて監視をして、当該周辺情報に基づいてロボット装置1の周囲の環境の情報に異常があることを検出したときに異常情報を出力する。また、監視サーバ54は、異常通知発行機能により、監視機能により異常情報を出力したロボット装置1の所有者を、ユーザ登録サーバ51のユーザ情報データベースDBを参照して当該ロボット装置1の識別情報により特定して、当該所有者に関して異常が発生している旨を所定の宛先に通報する。
【0028】
そして、この監視サーバ54には、複数の所有者が所持するロボット装置1からの撮像情報や音声情報が送られてきている。すなわち、監視サーバ54は、複数の家庭からの撮像情報や音声情報(周辺環境情報)が送られてきている。
【0029】
このような、監視サーバ54は、ロボット装置1からの撮像情報や音声情報に基づいて複数の家の異常の有無を監視して、異常がある場合にはロボット装置1の特定により、その所有者(家)を特定して、異常が発生している旨を所定の宛先に通報する。
【0030】
そして、監視サーバ54には、複数の所有者が所持するロボット装置1からの撮像情報や音声情報が送られてきていることから、そのような異常が発生している所有者を特定する必要があるが、その所有者の特定については、ユーザ登録サーバ51に保管されているユーザ情報データベースDBを参照してなされる。
【0031】
ユーザ登録サーバ51は、ロボット装置1のユーザ登録のためのサーバである。このユーザ登録サーバ51は、ロボット装置1を購入した者の情報を蓄積しておいて購入者に継続的に適切なサービスを提供するための情報を提供するもので、一般的なユーザ登録サーバである。すなわち、本発明を適用した監視システムは、このような家電製品等を購入した際に一般的な行為としてなされるユーザ登録を利用し、それにより登録された購入者に関する情報の有効利用を図っている。
【0032】
具体的には、ユーザ登録サーバ51へのユーザ登録は、ロボット装置1の購入時になされる。例えば、はがき、電子メール、いわゆるWebサイトにおいてなされる。その登録される項目(所有者関連情報)としては、登録日、住所、氏名、年齢、職業、電話番号、購入者(所有者)の電子メールのアドレス、家族構成(氏名、年齢)、ロボット装置1を動かす部屋のレイアウト、ロボット装置のID等が挙げられる。また、登録される項目としては、子供や体の不自由な老人がいる場合には、そのような家族の詳細情報も登録される。例えば、老人がいる場合には、当該老人の持病等が登録される。
【0033】
そして、ユーザ登録サーバ51は、このような登録項目についての内容をユーザ情報データベースDBとして蓄積している。このようなことから、この登録サーバ51では、ロボット装置のIDと当該ロボット装置の購入者(所有者)の情報とが対応されて蓄積されていることになる。
【0034】
監視サーバ54は、このようなユーザ登録サーバ51のユーザ情報データベースDBを利用して、異常がある場合には、その異常の情報が検出されたロボット装置のIDから所有者を特定する。例えば、ユーザ登録サーバ51に異常検出がなされたそのロボット装置のIDを送って所有者を特定する。そして、監視サーバ54は、特定した所有者に関して異常が発生している旨を警備会社55に通報する。具体的には、異常が発生している旨を、登録ユーザの住所、氏名、年齢や家族構成等の登録情報及びその異常内容(異常情報)とともに、契約している警備会社55に通報する。
【0035】
警備会社55は、異常が発生している旨の通報により、必要なアクションをとる。例えば、送られてきた住所、氏名や異常の内容を警察、消防局等に連絡をとる。なお、後で詳述するが、異常が発生している旨の通報先は、警備会社55に限定されるものではない。例えば、老人が監視サービスの対象とされる場合において、異常があるときには、病院や別居している家族が所定の宛先とされて、通報される。
【0036】
以上のような、監視システムにより、ロボット装置1が自律的な行動により家100の中を自由に動きまわることで部屋内部の画像情報や音情報等をロボット装置サービスサーバ53が取得処理して、監視サーバ54がその取得処理した情報に基づいて異常があれば、所有者を特定して、所有者等の情報とともにその異常を警備会社55に知らせることができるようになる。
【0037】
以下、具体例を挙げて説明する。具体例として、監視システムにより不審人物がいたときにその旨を警備会社55に通報する場合と、監視システムにより所有者(又はその家族)の行動に異常があるときにその旨を警備会社55に通報する場合とを挙げて説明する。先ず不審人物がいたときにその旨を警備会社55に通知する場合について説明する。
【0038】
先ず、家庭では、ロボット装置1に予め合言葉が設定される。具体的には、所有者は、合言葉(所有者識別情報)となるものをロボット装置1に話しかける。ロボット装置1に入力されたその言葉は、データ通信端末52を介してロボット装置サービスサーバ53に送られる。そして、そのような言葉は、監視サーバ54において合言葉として設定される。これにより、合言葉がロボット装置1の周囲の環境が正常であるときの情報を示す正常情報(予め登録された所有者認識情報)として監視サーバ54に保持される。このように、予め所有者又はその家族によって設定されたものは、所有者又はその家族しかわからないようになるので、いわゆるパスワードがわりになる。
【0039】
ここで、合言葉(パスワード)を設定することに限定されるものではなく、所定の動作、すなわちいわゆる合動作といったものを設定することもできる。また、ロボット装置1に対して行うべきインタラクションのパターンを数種類予め用意しておき、所有者がそれを選択することにより設定することもできる。要は、所有者又はその家族が設定した情報であればよい。
【0040】
また、このような合言葉の設定は、ロボット装置1を設定モードにした状態において行う。これにより、設定モードにおいて合言葉を設定することで、通常の会話と区別されて、合言葉としての設定がなされる。次にこのように設定された合言葉を使用した監視システムの処理について説明する。
【0041】
ロボット装置1は、自律的な行動をして家100の中を移動するが、そのロボット装置1に出逢った者は、自分が家族であることを示すために合言葉をロボット装置1に話す。ここで、識別のための情報とされる合言葉は、予めそれを設定した所有者又はその家族しか知らないので、当然、第三者は正しい合言葉をロボット装置1に伝えることはできない。
【0042】
ロボット装置1に入力された言葉は、データ通信端末52に送られ、ロボット装置サービスサーバ53を介して監視サーバ54に入力される。
【0043】
監視サーバ54は、ロボット装置1から送られてきた言葉と、予め登録されている合言葉とを比較する。そして、監視サーバ54は、その比較結果に基づいて異常があることを検出すると異常情報を出力する。すなわち、監視サーバ54は、ロボット装置1に入力された合言葉と登録されている合言葉とが異なる場合には、異常情報を出力する。
【0044】
そして、監視サーバ54は、異常を検出した際、ユーザ登録サーバ51のユーザ情報データベースDBから当該異常の検出したロボット装置1のIDに基づいて所有者を特定して、その特定した所有者の住所、氏名等の所有者の情報と異常情報の内容(異常の状態)を、異常が発生している旨(不審人物がいる旨)とともに、警備会社55に通報する。
【0045】
なお、ロボット装置1には、監視モードを備えることができる。これにより、例えば、通常の動作モード(自律動作モード)とされる日中には、ロボット装置1に出逢っても必ず合言葉を言う必要がなくなるが、監視モードにした夜には、ロボット装置1に出逢ったら必ず合言葉を言わなけなければならなくなる。このような監視モードは、例えば、家族が家を留守にしているときにも設定することもできる。そして、このような監視モード時には、ロボット装置1は、ロボット装置サービスサーバ53から送られてきた不審人物用の監視プログラムによって行動をとるようになされている。
【0046】
また、ロボット装置1は、出逢った者を不審と感じたときにのみ、合言葉の入力を要求することもできる。例えば、ロボット装置1は、出逢った者を不審と感じたとき、所定の行動を出現させて、合言葉を要求する。これにより、家族は、ロボット装置1に出逢ったときに常に合言葉を言う必要がなく、不審に感じたときに合言葉を要求するロボット装置1の行動をみて、合言葉を言えばよいことになる。これは、ロボット装置1と出逢った者との互いの動作が「山」、「川」というような合言葉となり、成立すれば、異常情報の出力はなされないが、成立しなければ、異常出力がなされるといったようなものである。
【0047】
また、ロボット装置サービスサーバ53は、ロボット装置1に入力される音声情報や画像情報が常時或いは一定時間間隔で送信されてきており、ロボット装置サービスサーバ53には通常の会話が入力されることも考えられる。よって、このようなロボット装置サービスサーバ53から提供される音声情報や画像情報により監視する監視サーバ53では、通常の会話と合言葉とを識別する必要がある。このようなことから、監視サーバ54では、上述のようにロボット装置1が監視モードにあるときに得られた言葉や、ロボット装置1が合言葉を要求したことにより得られた言葉のみを監視する対象として、ロボット装置1から送られてくる言葉と登録されている合言葉とを比較する。これにより、ロボット装置1への言葉の入力が合言葉のための入力であることが的確に判断でき、登録されている合言葉との比較対象を的確に特定し、比較処理することができる。
【0048】
また、監視サーバ54が異常を検出した場合、ロボット装置1に特定の行動を発現させることもできる。例えば、異常を検出した場合、ロボット装置1が「吠える 」、「唸る」といった行動を発現させることもできる。例えば、そのような異常の際のロボット装置1の行動の発現は、監視サーバ54から送られてくる信号によりなされる。例えば、監視サーバ54は、ロボット装置サービスサーバ53に異常が発生している旨の情報を送り、ロボット装置サービスサーバ53は、そのような情報に基づいて、データ通信端末52に信号を送り、ロボット装置1に所定の行動を発現させる。
【0049】
以上が不審人物を監視する際の監視システムにおける処理である。次に、監視システムにより所有者(又はその家族)の行動に異常があるときにその旨を警備会社55に通報する場合を説明する。以下に説明する監視システムでは、病人の容態が悪化したときや老人が体調がわるいとき等の所有者又はその家族の行動に異常があることを家族に通報するような処理をとる。
【0050】
ロボット装置1は、自律的な行動をして家100の中を移動するが、そのロボット装置1と出逢った者は、ある行動を起こす。例えば、ロボット装置1に出逢った際には何らかの行動を起こせば、ロボット装置1からそのような行動の情報が送られてくる監視サーバ54では、所有者又はその家族が動いているから異常はないと判断する。例えば、監視サーバ54は、所有者又はその家族が正常に生活していることが、何らかの行動をロボット装置1に対してなされることとし、これを正常な行動情報として予め登録(認識)しておくことにより、ロボット装置1に対して何ら行動も起こさない場合には、当該人間に異常があると認識する。
【0051】
そして、監視サーバ54は、異常を検出した際、ユーザ登録サーバ51のユーザ情報データベースDBから当該異常の検出したロボット装置1のIDに基づいて所有者を特定して、その特定した所有者の住所、氏名等の所有者の情報と異常情報の内容(異常の状態)を、異常が発生している旨(家族の体調が悪い等の旨)とともに、所定の宛先に通報する。
【0052】
ここで、異常の発生の通報を受ける所定の宛先としては、例えば、図5に示すように、老人Aの子供Cの自宅55a、主治医Cの病院55b、或いは警察所(消防所)55c等が挙げられる。要は、老人Aの具合が悪いときに、通報すべき所に監視サーバ54は、その旨を通報する。
【0053】
このような所定の宛先への通報を可能とするために、ユーザ登録サーバ51のユーザ情報データベースDBには、各種情報が登録されている。例えば、所有者Aが1人暮らし、老人であることの情報、老人Aの子供Bや主治医Cの氏名や電話番号等の情報、或いは心臓病、右足骨折等の過去の病歴の情報等がユーザ情報データベースDBに登録されている。このような登録情報(所有者関連情報)に基づいて、監視サーバ54は、所定の宛先にその旨を通報する。このような通報を受けた者は、手遅れ等をすることなく、最適な処置をとることができるようになる。
【0054】
なお、ロボット装置1は、予め部屋のレイアウトを記憶しておくこともできる。例えば、予め部屋のレイアウトとして、病人や老人が寝ている場所を記憶しておく。これにより、ロボット装置1は、病人や老人が寝ている場所に移動して、その病人や老人への入力を要求する。これにより、所定の場所に移動したロボット装置1が、その場所にいる所定の人間からの何らかの行動がなされたか否かを判別して、その人間が異常であるか否かを判断することもできるようになる。
【0055】
また、ロボット装置1は、そのような人間から何らかの行動を得ようとする場合に、所定の行動を行うようにすることもできる。これにより、ロボット装置1がした所定の行動により、当該ロボット装置1が何らかの行動を求めていることを病人又は老人は知ることができ、それに対応して病人又は老人は自己が元気である証拠として何らかの行動を起こせばよい。
【0056】
例えば、ロボット装置1は、監視モード時には、ロボット装置サービスサーバ53から送られてきている監視用のプログラムにより行動しており、上述したような所定の人物に出逢ったときに所定の行動を発現させることや所定の場所に移動することが監視用のプログラムにより規定されている。なお、このような専用の行動プログラムを用いることにより、監視モード等においては、無駄のない行動をロボット装置1が行うことができるようになる。
【0057】
また、監視システムは、不審人物や老人等を監視することに限定されるものではない。また、監視システムは、人物からの画像や音声入力を対象として監視することに限定されるものではない。例えば、色による異常や温度による異常を監視することもできる。例えば、ロボット装置1に赤い色の情報を多く入力された場合には、「血」がついているとして異常を検出し、或いはロボット装置1から異常な温度上昇が入力された場合には、火事等として異常を検出することもできる。例えば、温度の変化については、温度センサにより行う。また、色、叫び声等を異常な情報として検出することもできる。
【0058】
以上のように、監視システムにより、ロボット装置1が自律的な行動により家100の中を自由に動きまわることで部屋内部の画像情報や音情報等をロボット装置サービスサーバ53が取得処理して、監視サーバ54がその取得処理した情報に基づいて異常があればそのロボット装置1の所有者を特定して、その所有者の家において異常がある旨を警備会社55に通報することができるようになる。
【0059】
よって、所有者は、ペットとして飼う目的で購入したロボット装置1により警備サービスといった新たなサービスの提供を受けることができる。すなわち、ロボット装置を購入すれば、他の監視用機器を購入することなく、ソフトウェアもインストールする必要もなく、新たなサービスとしての監視システムのサービスの提供を受けることができる。
【0060】
また、監視システムは、ロボット装置1が自由に動きまわるので、不確実性をもった行動により家の中を監視をすることができるようになる。すなわち、固定されて一定の範囲の監視するといったことに制限されるものではなく、広範囲にわたって監視することができる。
【0061】
また、ロボット装置1の購入によりユーザのあらゆる情報とロボット装置のIDが登録され、監視システムではその情報を共有して監視するので、新たな登録等を必要とすることなく監視システムのサービスの提供を受けることができる。
【0062】
次に上述のように自律的に行動をする自律型のロボット装置1の具体例について説明する。
【0063】
ロボット装置1は、図2に示したように、胴体部ユニット2の前後左右にそれぞれ脚部ユニット3A〜3Dが連結されると共に、胴体部ユニット2の前端部及び後端部にそれぞれ頭部ユニット4及び尻尾部ユニット5が連結されることにより構成されている。
【0064】
胴体部ユニット2には、図6に示すように、このロボット装置1全体の動作を制御するコントローラ10と、このロボット装置1の動力源となるバッテリ11と、バッテリセンサl2及び熱センサ13からなる内部センサ部14となどが収納されている。
【0065】
頭部ユニット4には、このロボット装置の「耳」に相当するマイクロホン15と、「目」に相当するCCD(Charge Coupled Device)カメラ16と、タッチセンサ17と、「口」に相当するスピーカ18となどがそれぞれ所定位置に配設されている。
【0066】
各脚部ユニット3A〜3Dの関節部分や、各脚部ユニット3A〜3D及び胴体部ユニット2の各連結部分、頭部ユニット4及び胴体部ユニット2の連結部分、並びに尻尾部ユニット5及び胴体部ユニット2の連結部分などにはそれぞれアクチュエータ191〜19nが配設されている。
【0067】
頭部ユニット4のマイクロホン15は、ユーザから図示しないサウンドコマンダを介して音階として与えられる「歩け」、「伏せ」又は「ボールを追いかけろ」等の指令音を集音し、得られた音声信号S1をコントローラ10に送出する。またCCDカメラ16は、周囲の状況を撮像し、得られた画像信号S2をコントローラ10に送出する。
【0068】
タッチセンサ17は、頭部ユニット4の上部に設けられており、ユーザからの「撫でる」や「叩く」といった物理的な働きかけにより受けた圧力を検出し、検出結果を圧力検出信号S3としてコントローラ10に送出する。
【0069】
胴体部ユニット2のバッテリセンサ12は、バッテリ11のエネルギー残量を検出し、検出結果をバッテリ残量検出信号S4としてコントローラ10に送出し、熱センサ13は、ロボット装置1内部の熱を検出して検出結果を熱検出信号S5としてコントローラ10に送出する。
【0070】
コントローラ10は、マイクロホンl5、CCDカメラ16、タッチセンサ17、バッテリセンサ12及び熱センサ13から与えられる音声信号S1、画像信号S2、圧力検出信号S3、バッテリ残量検出信号S4及び熱検出信号S5などに基づいて、周囲の状況や、ユーザからの指令及びユーザからの働きかけの有無などを判断する。
【0071】
そして、コントローラ10は、この判断結果及び予めメモリ10Aに格納されている各種制御パラメータを含む制御プログラムに基づいて続く行動や動作を決定し、決定結果に基づいて必要なアクチュエータ191〜19nを駆動させることにより、頭部ユニット4を上下左右に振らせたり、尻尾部ユニット5の尻尾5Aを動かせたり、各脚部ユニット3A〜3Dを駆動して歩行させるなどの行動や動作を行わせる。なお、以下においては、動作の集合を行動と定義して使用するものとする。
【0072】
また、この際コントローラ10は、必要に応じて所定の音声信号S6をスピーカ18に与えることにより当該音声信号S6に基づく音声を外部に出力させたり、このロボット装置1の「目」の位置に設けられた図示しないLED(Light Emitting Diode)を点滅させる。
【0073】
このようにしてこのロボット装置1においては、周囲の状況や、メモリ10Aに格納された制御プログラム等に基づいて自律的に行動し得るようになされている。
【0074】
ここでロボット装置1における上述の制御プログラムのソフトウェア構成を図7に示す。この図7からも明らかなように、制御プログラムは、意味変換オブジェクト20、感情・本能生成オブジェクト21、行動決定オブジェクト22及び行動生成オブジェクト23から構成されている。
【0075】
このような構成において、意味変換オブジェクト20は、ロボット装置1の外的状態及び内的状態を認識する部分をなす。意味変化オブジェクト20は、各種センサによる検出に基づいて、外部状態及び内部状態を認識する。そして、意味変化オブジェクト20は、認識結果を感情・本能生成オブジェクト21及び行動決定オブジェクト22に通知する。
【0076】
感情・本能生成オブジェクト21は、外的要因及び内的要因に応じて感情を変化させる感情モデルと本能を変化させる本能モデルとからなり、ロボット装置1の行動に感情や本能を表出させるための情報を生成する部分をなす。この感情・本能生成オブジェクト21は、意味変換オブジェクト20から与えられて認識結果や他の各種情報に基づいて、感情及び本能の状態を決定する。そして、感情・本能生成オブジェクト21は、感情又は本能の状態がある所定レベルを超えた場合に、これを行動決定オブジェクト22に通知する。
【0077】
行動決定オブジェクト22は、ロボット装置1の行動を決定する部分をなす。この行動決定オブジェクト22は、意味変換オブジェクト22から与えられる認識結果と、感情・本能生成オブジェクト21からの通知等に基づいて、次の行動を決定する。そして、行動決定オブジェクト22は、その決定結果を行動生成オブジェクト23に通知する。
【0078】
行動生成オブジェクト23は、ロボット装置1を制御して実際に行動や動作を発現する部分をなす。この行動生成オブジェクト23は、行動決定オブジェクト22からの通知(決定結果)に基づいて、デバイスを制御して通知により指定された行動や動作を発現させる。
【0079】
このように制御プログラムは、複数のオブジェクトによって構成されており、ロボット装置1の動作を制御するように構成されている。以下に各オブジェクトについて詳しく説明する。
【0080】
意味変換オブジェクト20は、マイクロホン15、CCDカメラ16、タッチセンサ17、バッテリセンサ12及び熱センサ13から与えられる音声信号S1、画像信号S2、圧力検出信号S3、バッテリ残量検出信号S4及び熱検出信号S5を入力し、これらに基づいて「叩かれた」、「撫でられた」、「ボールを検出した」、「バッテリ残量が少なくなった」、「内部温度が高くなった」等の特定の外部状態及び内部状態を認識し、認識結果を感情・本能生成オブジェクト21及び行動決定オブジェクト22に通知する。
【0081】
感情・本能生成オブジェクト21は、意味変換オブジェクト20から与えられる認識結果と、メモリ10Aに格納された制御パラメータの1つである個人情報24と、後述のように行動決定オブジェクト22から与えられる実行した行動を表す通知とに基づいてロボット装置1の感情及び本能の状態を決定し、当該感情及び本能の状態が所定レベルを越えた場合には、これを行動決定オブジェクト22に通知する。
【0082】
すなわち、感情・本能生成オブジェクト21は、「喜び」、「悲しみ」、「怒り」、「驚き」、「恐怖」及び「嫌悪」の各情動の強さをそれぞれ表す合計6つのパラメータを保持する感情モデルと、「愛情欲」、「探索欲」、「運動欲」及び「食欲」の各欲求の強さをそれぞれ表す合計4つのパラメータを保持する本能モデルとを有している。
【0083】
また、メモリ10Aには、個人情報24として、例えば「叩かれた」ときには「怒り」のパラメータを上げると共に「喜び」のパラメータを下げ、「撫でられた」ときには「喜び」のパラメータを上げると共に「怒り」のパラメータを下げ、ある行動を発現したときには「運動欲」のパラメータを上げると共に「喜び」のパラメータを上げるといったような、意味変換オブジェクト20の認識結果と、後述の行動決定オブジェクト22からの行動を行ったという通知とに対してどの情動又は欲求のパラメータの値を増加又は減少させるかといったデータが格納されている。
【0084】
そして、感情・本能生成オブジェクト21は、意味変換オブジェクト20から与えられる認識結果や、行動決定オブジェクト22からの通知などに基づいて周期的に感情モデル又は本能モデルの対応する情動又は欲求のパラメータの値を個人情報に基づいて変更する。
【0085】
感情・本能生成オブジェクト21は、このような各パラメータ値の変更(更新)処理の結果としていずれかの情動又は欲求のパラメータのパラメータ値がその情動又は本能に対して予め設定された値を越えたときに、これを行動決定オブジェクト22に通知する。
【0086】
行動決定オブジェクト22は、意味変換オブジェクト20から与えられる認識結果と、感情・本能生成オブジェクト21からの通知と、メモリ10Aに格納された制御パラメータの1つのである行動モデル25とに基づいて続く行動を決定し、決定結果を行動生成オブジェクト23に通知する。
【0087】
なお、この実施の形態の場合、行動決定オブジェクト22は、次の行動を決定する手法として、図8に示すような1つのノード(状態)NODE0〜NODEnから他のどのノードNODE0〜NODEnに遷移するかを各ノードNODE0〜NODEn間を接続するアークARC1〜ARCn+1に対してそれぞれ設定された遷移確率P1〜Pn+1に基づいて確率的に決定する確率オートマトンと呼ばれるアルゴリズムを用いる。
【0088】
より具体的には、メモリ10Aには行動モデル25として各ノードNODE0〜NODEnごとの図9に示すような状態遷移表26が格納されており、行動決定オブジェクト22がこれら状態遷移表26に基づいて続く行動を設定するようになされている。
【0089】
すなわち状態遷移表26においては、そのノードNODE0〜NODEnにおいて遷移条件とする入力イベント(認識結果)が「入力イベント」の行に優先順に列記され、その遷移条件についてのさらなる条件が「データ名」及び「データ範囲」の行における対応する列に記述されている。
【0090】
従って、図9の状態遷移表で表されるノードNODE100では、「ボールを検出 (BALL)」という認識結果が与えられた場合に、当該認識結果と共に与えられるそのボールの「大きさ(SIZE)」が「0から1000の範囲(0,1000)」であることや、「障害物を検出(OBSTACLE)」という認識結果が与えられた場合に、当該認識結果と共に与えられるその障害物までの「距離(DISTANCE)」が「0〜100の範囲(0,100)」であることが他のノードに遷移するための条件となっている。
【0091】
また、このノードNODE100では、認識結果の入力がない場合においても、行動決定オブジェクトが周期的に参照する感情・本能生成オブジェクト21内の感情モデル及び本能モデルの各情動及び各欲求のパラメータ値のうち、「喜び(JOY)」、「驚き(SUPRISE)」若しくは「悲しみ(SUDNESS)」のいずれかのパラメータ値が「50〜100の範囲(50,100)」であるときには他のノードに遷移することができるようになっている。
【0092】
また、状態遷移表26においては、「他のノードヘの遷移確率」の欄における「遷移先ノード」の列にそのノードNODE0〜NODEnから遷移できるノード名が列記されると共に、「入力イベント名」、「データ値」及び「データの範囲」の各行に記述された全ての条件が揃ったときに遷移できる他の各ノードNODE0〜NODEnへの遷移確率が「他のノードヘの遷移確率」の欄における「出力行動」の行に記述されている。なお「他のノードヘの遷移確率」の欄における各行の遷移確率の和は100〔%〕となっている。
【0093】
従って図9の状態遷移表26で表されるノートNODE100では、例えば「ボールを検出(BALL)」し、そのボールの「大きさ(SIZE)」が「0〜1000の範囲(0,1000)」であるという認識結果が与えられた場合には、「30〔%〕」の遷移確率で「ノードNODE120(node 120)」に遷移でき、そのとき「ACTION 1」の行動が出力されることとなる。
【0094】
そして、行動モデル25は、このような状態遷移表26として記述されたノードNODE0〜NODEnがいくつも繋がるようにして構成されている。そして、行動決定オブジェクト22は、意味変換オブジェクト20から認識結果が与えられたときや、感情・本能生成オブジェクト21から通知が与えられたときなどに、メモリ10Aに格納されている対応するノードNODE0〜NODEnの状態遷移表26を利用して次の行動や動作を確率的に決定し、決定結果を行動生成オブジェクト23に通知するようになされている。
【0095】
行動生成オブジェクト23は、行動決定オブジェクト22からの通知に基づいて、ロボット装置1が指定された行動や動作を発現するように、必要に応じて対応するアクチュエータ191〜19nを駆動制御したり、メモリ10Aに格納された制御パラメータの1つであるサウンドデータファイル内の対応するサウンドデータに基づいて、対応する音声信号S6(図6)を生成してスピーカ18に送出したり、又はメモリ10Aに格納された制御パラメータの1つである発光データファイル内の対応する発光データに基づいて、「目」の位置のLEDを対応する発光パターンで点滅させる。
【0096】
このようにしてロボット装置1においては、制御プログラムに基づいて、自己及び周囲の状況や、ユーザからの指示及び働きかけに応じた自律的な行動を行うことができるようになされている。
【0097】
このようなロボット装置1が、上述したように、自律的に行動して家の中を動きまわり、画像情報や音声情報等を取得している。
【0098】
【発明の効果】
本発明に係る自律型のロボット装置を用いた監視システムは、外部又は内部からの情報を検出する情報検出手段を有し、検出された情報に基づいて自律的に行動をする自律型のロボット装置の識別情報とその所有者に関連する情報を示す所有者関連情報とをデータベースとして情報管理装置により管理し、ロボット装置が得た当該ロボット装置の周辺の環境の情報を示す周辺環境情報と当該ロボット装置の識別情報とを送信装置により送信し、送信装置から送信されてきた周辺環境情報に基づいて、ロボット装置の周辺の環境に異常があることを検出したときに異常情報を監視装置により出力し、監視装置が出力した異常情報に関係するロボット装置の所有者を、当該ロボット装置の識別情報に基づき情報管理装置のデータベースを参照して特定し、当該所有者に関して異常が発生している旨を、所有者関連情報に基づき、所定の宛先に異常通報装置により通報することにより、ロボット装置が自律的に行動して得た周辺環境情報に基づいて、当該ロボット装置の複数の所有者に関する監視をして、その周辺環境情報に異常あるときには、当該異常がある所有者を特定して、当該所有者に関して異常がある旨を所定の宛先に通報することができる。
【0099】
また、本発明に係る自律型のロボット装置を用いた監視方法は、外部又は内部からの情報を検出する情報検出手段を有し、検出された情報に基づいて自律的に行動をする自律型のロボット装置の識別情報とその所有者に関連する情報を示す所有者関連情報とをデータベースとして管理している情報管理工程と、ロボット装置が得た当該ロボット装置の周辺の環境の情報を示す周辺環境情報と当該ロボット装置の識別情報とを送信する送信工程と、送信工程にて送信されてきた周辺環境情報に基づいて、ロボット装置の周辺の環境に異常があることを検出したときに異常情報を出力する監視工程と、監視工程にて出力された異常情報に関係するロボット装置の所有者を、当該ロボット装置の識別情報に基づきデータベースを参照して特定し、当該所有者に関して異常が発生している旨を、所有者関連情報に基づき、所定の宛先に通報する異常通報工程とを有することにより、ロボット装置が自律的に行動して得た周辺環境情報に基づいて、当該ロボット装置の複数の所有者に関係する監視をして、その周辺環境情報に異常あるときには、当該異常がある所有者を特定して、当該所有者に関して異常がある旨を所定の宛先に通報することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態である警備システムの構成を示すブロック図である。
【図2】上述の警備システムにおいて警備に利用するロボット装置の外観を示す斜視図である。
【図3】上述のロボット装置1から警備システムのデータ通信端末に画像情報や音声情報を送信する場合を説明するために使用した図である。
【図4】上述したデータ通信端末からロボット装置サービスサーバにロボット装置からの画像情報や音声情報を送信する場合のネットワークを示す図である。
【図5】老人に対して監視をするための監視システムを説明するために使用したブロック図である。
【図6】ロボット装置の回路構成を示すブロック図である。
【図7】ロボット装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図8】確率オートマトンを示す概念図である。
【図9】状態遷移表を示す概念図である。
【符号の説明】
1 ロボット装置、51 ユーザ登録サーバ、52 データ通信端末、53 ロボット装置サービスサーバ、54 監視サーバ、55 警備会社、DB ユーザ情報データベース
Claims (11)
- 外部又は内部からの情報を検出する情報検出手段として少なくとも画像入力手段及び音声入力手段のうち少なくとも一方を有し、上記検出された情報に基づいて自律的に行動をする自律型のロボット装置の識別情報及び少なくとも上記ロボット装置の所有者の年齢を含む上記ロボット装置の所有者に関連する情報を示す所有者関連情報をデータベースとして管理するととともに、上記ロボット装置の行動を決定するための複数の行動プログラムから上記所有者の年齢に応じた行動プログラムを選択し、該選択した行動プログラムを上記ロボット装置に送信する情報管理装置と、
上記ロボット装置が上記行動プログラムにより行動をする監視モードを有し、該監視モードにおいて上記ロボット装置が上記送信手段から送信された行動プログラムに基づいて行動して上記画像入力手段により取得した上記ロボット装置の周辺の環境の画像及び上記音声入力手段により取得した上記ロボット装置の周辺の環境の音声のうち少なくとも一方からなる周辺環境情報と上記ロボット装置の識別情報とを送信する送信装置と、
上記送信装置から送信された上記周辺環境情報に基づいて、上記ロボット装置の周辺の環境に異常があることを検出したときに異常情報を出力する監視装置と、
上記監視装置が出力した異常情報に関係するロボット装置の所有者を、上記ロボット装置の識別情報に基づき上記情報管理装置のデータベースを参照して特定し、該特定したロボット装置の所有者に関して異常が発生している旨を、上記所有者関連情報に基づき、所定の宛先に通報する異常通報装置と
を備える自律型のロボット装置を用いた監視システム。 - 上記複数の行動プログラムは、少なくとも子供用、大人用、老人用の行動プログラムからなる請求項1記載の自律型のロボット装置を用いた監視システム。
- 上記情報管理装置は、上記所有者関連情報として、さらに上記ロボット装置の所有者が1人暮らしであるか否か、該所有者が老人であるか否か、該所有者の家族、該所有者の主治医及び該所有者の過去の病歴を上記データベースとして管理し、
上記異常通報装置は、上記所有者関連情報に基づいて、上記特定したロボット装置の所有者に関して異常が発生している旨を上記ロボット装置の所有者の子供の自宅、該所有者の主治医の病院、警察署及び消防署のうち少なくとも1つの宛先に通報する請求項2記載の自律型のロボット装置を用いた監視システム。 - 上記ロボット装置は、音声入力手段を有し、該音声入力手段により、該ロボット装置の周辺の環境が正常であるときの情報を示す正常情報としての所有者識別情報を入力し、
上記送信装置は、上記ロボット装置が上記音声入力手段により入力した正常情報としての第1の所有者識別情報を送信し、
上記監視装置は、上記送信装置から送信された第1の所有者識別情報を保持するとともに、予め保持している上記第1の所有者識別情報と上記ロボット装置が上記周辺環境情報として取得した第2の所有者識別情報との比較結果に基づいて異常があることを検出したときに、上記異常情報として不審者存在情報を出力し、
上記異常通報装置は、特定した所有者に関して異常が発生している旨として、不審者が存在する旨を発行する請求項3記載の自律型のロボット装置を用いた監視システム。 - 上記監視装置は、上記所有者の正常行動を示す正常行動情報を上記ロボット装置の周辺の環境が正常であるときの情報を示す正常情報として予め保持しており、
上記監視装置は、上記周辺環境情報としての所有者の行動と、上記正常行動情報とを比較して、その比較結果に基づいて異常があることを検出したときに上記異常情報として所有者異常情報を出力し、
上記異常通報装置は、特定した所有者に関して異常が発生している旨として所有者に異常が発生している旨を発行する請求項1記載の自律型のロボット装置を用いた監視システム。 - 上記ロボット装置が、上記所有者に関して異常が発生している旨の情報を受けることにより、特定の行動を発現する請求項1記載の自律型のロボット装置を用いた監視システム。
- 上記監視モードでは、上記ロボット装置が自律的な行動が規制された所定の行動をとり上記周辺環境情報を取得する請求項1記載の自律型のロボット装置を用いた監視システム。
- 上記所有者関連情報が上記データベースに上記ロボット装置の購入の際に登録されたものである請求項1記載の自律型のロボット装置を用いた監視システム。
- 外部又は内部からの情報を検出する情報検出手段として少なくとも画像入力手段及び音声入力手段のうち少なくとも一方を有し、上記検出された情報に基づいて自律的に行動をする自律型のロボット装置の識別情報及び少なくとも上記ロボット装置の所有者の年齢を含む上記ロボット装置の所有者に関連する情報を示す所有者関連情報をデータベースとして管理する管理工程と、上記ロボット装置の行動を決定するための複数の行動プログラムから上記所有者の年齢に応じた行動プログラムを選択する選択工程と、上記選択工程で選択した行動プログラムを上記ロボット装置に送信する第1の送信工程とを有する情報管理工程と、
上記ロボット装置が上記行動プログラムにより行動をする監視モードを有し、該監視モードにおいて上記ロボット装置が上記第1の送信工程で送信された行動プログラムに基づいて行動して、上記画像入力手段により上記ロボット装置の周辺の環境の画像及び上記音声入力手段により上記ロボット装置の周辺の環境の音声のうち少なくとも一方からなる周辺環境情報を取得する周辺環境情報取得工程と、
上記周辺環境情報取得工程で取得した周辺環境情報と上記ロボット装置の識別情報とを送信する第2の送信工程と、
上記第2の送信工程にて送信された上記周辺環境情報に基づいて、上記ロボット装置の周辺の環境に異常があることを検出したときに異常情報を出力する監視工程と、
上記監視工程にて出力された異常情報に関係するロボット装置の所有者を、上記ロボット装置の識別情報に基づき上記データベースを参照して特定し、該特定したロボット装置の所有者に関して異常が発生している旨を、上記所有者関連情報に基づき、所定の宛先に通報する異常通報工程と
を有する自律型のロボット装置を用いた監視方法。 - 上記複数の行動プログラムは、少なくとも子供用、大人用、老人用の行動プログラムからなる請求項9記載の自律型のロボット装置を用いた監視方法。
- 上記管理工程では、上記所有者関連情報として、さらに上記ロボット装置の所有者が1人暮らしであるか否か、該所有者が老人であるか否か、該所有者の家族、該所有者の主治医及び該所有者の過去の病歴を上記データベースとして管理し、
上記異常通報工程では、上記所有者関連情報に基づいて、上記特定したロボット装置の所有者に関して異常が発生している旨を上記ロボット装置の所有者の子供の自宅、該所有者の主治医の病院、警察署及び消防署のうち少なくとも1つの宛先に通報する請求項10記載の自律型のロボット装置を用いた監視方法。
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