JP4320757B2 - γ−アミノ酪酸強化発酵食品の製造方法 - Google Patents

γ−アミノ酪酸強化発酵食品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、乳酸菌を用いた発酵食品の製造方法に関し、詳しくはγ-アミノ酪酸生産能が高い乳酸菌を用いたγ-アミノ酪酸強化発酵食品の製造方法と、該方法により製造されたγ-アミノ酪酸強化発酵食品とに関する。
近年、γ-アミノ酪酸(GABA)には、機能性食品の第三次機能として高血圧症の改善作用などがあることが知られている。γ-アミノ酪酸(GABA)の生産法として、米胚芽(例えば、特許文献1参照)、茶葉(例えば、非特許文献1参照)を利用する方法などが報告されている。
ところで飯ずしや糠漬は魚を、発酵ソーセージは肉を、納豆は大豆を、それぞれ原料とする伝統的な発酵食品である。
このような発酵食品について、γ-アミノ酪酸(GABA)を高濃度含有させることができれば、機能性を付加した新しい発酵食品として有望である。
しかしながら、これまでγ-アミノ酪酸(GABA)を高濃度に含有する発酵食品を効率よく製造する方法は開発されていなかった。
特開平6−213252号公報 JARQ, 24、p105、1990
本発明は、上記従来の問題点を解消し、これまでに存在しなかったGABAを高濃度に含有する発酵食品、つまりγ-アミノ酪酸強化発酵食品を効率よく製造する方法を提供することを目的とするものである。
即ち、本発明は発酵食品において、乳酸菌ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株を添加し、雑菌を抑制すると同時にさらにγ−アミノ酪酸を生産させ機能性を付加した発酵食品を新規に開発しようとするものである。
本発明者らは、上記従来の問題点を解消するため鋭意研究を重ねた。その結果、発酵食品の原料に、発芽玄米糠及び/又は米糠とグルタミン酸もしくはその塩を含む培地での乳酸菌ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株の培養物を添加し、発酵、熟成させることにより、雑菌を抑制しつつ、GABAを高濃度に含有する発酵食品、つまりγ-アミノ酪酸強化発酵食品を効率よく製造することができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに到った。
即ち、請求項1に係る本発明は、飯ずしを製造するに際し、飯ずしの原料に、発芽玄米糠及び/又は米糠とグルタミン酸もしくはその塩と、を含む培地での乳酸菌ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株の培養物を添加し、5〜15℃で発酵、熟成させることを特徴とするγ-アミノ酪酸強化飯ずしの製造方法を提供するものである。
請求項2に係る本発明は、培養物が、発芽玄米糠及び/又は米糠と、前記発芽玄米糠及び/又は米糠に対して1〜20重量%のグルタミン酸ナトリウムと、前記発芽玄米糠及び/又は米糠の2〜8倍重量の水と、を含む培地で乳酸菌ラクトバチルス ブレビスIFO12005株を2〜14日間培養して得られたものであり、発酵、熟成を4〜12日間行う請求項1記載の製造方法を提供するものである。
請求項3に係る本発明は、飯ずしを製造するに際し、米飯に、発芽玄米糠及び/又は米糠とグルタミン酸もしくはその塩を含む培地での乳酸菌ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株の培養物を添加し、発酵させた後、魚及び野菜を混合し、3〜10℃で熟成させることを特徴とするγ-アミノ酪酸強化飯ずしの製造方法を提供するものである。
請求項4に係る本発明は、培養物が、発芽玄米糠及び/又は米糠と、前記発芽玄米糠及び/又は米糠に対して1〜20重量%のグルタミン酸ナトリウムと、前記発芽玄米糠及び/又は米糠の2〜8倍重量の水と、を含む培地で乳酸菌ラクトバチルス ブレビスIFO12005株を2〜14日間培養して得られたものである請求項3記載の製造方法を提供するものである。
請求項5に係る本発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の方法により製造されたγ-アミノ酪酸強化飯ずしを提供するものである。
本発明によれば、GABAを高濃度に含有する発酵食品、つまりγ-アミノ酪酸強化発酵食品を効率よく製造することができる
本発明においては、乳酸菌ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株を使用することによりγ−アミノ酪酸を生産させることができるので、安全や健康志向に対応した各種の発酵食品の製造が可能となった。
また、本発明においては、乳酸菌ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株をスターターとして発酵させることにより、他の微生物を制御することができる。
以下、本発明を詳しく説明する。
請求項1に係る本発明は、γ-アミノ酪酸強化発酵食品の製造方法に関し、発酵食品を製造するに際し、発酵食品の原料に、発芽玄米糠及び/又は米糠とグルタミン酸もしくはその塩を含む培地での乳酸菌ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株の培養物を添加し、発酵、熟成させることを特徴とするものである。
ここで、発酵食品の原料に、発芽玄米糠及び/又は米糠とグルタミン酸もしくはその塩を含む培地での乳酸菌ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株の培養物を添加することはこれまで全く知られていない。
なお、例えば、飯ずし、糠漬は自然発酵により経験的に製造されており、乳酸菌などの微生物を積極的に添加して製造することは一般に行われていない。僅かに、研究例として乳酸菌を用いた飯ずしの即醸法が検討されているに過ぎない(例えば、平成2年度北海道中央水産試験場事業報告書第101〜106頁)。
また、発酵ソーセージを製造する場合、スターターとして、ペディオコッカス セレビシェ(Pediococcus cerevisiae)、ラクトバチルス プランタルム(Lactobacillus plantarum)等を用いるが、これは乳酸菌自体や発酵により生成した雑菌の抑制効果や風味の付与を主目的とするものであり(例えば、畜産試験場研究報告第52号(1992)第23〜30頁)、乳酸菌によるγ−アミノ酪酸生産を利用するものではない。
さらに、納豆の製造においては、納豆菌にとって乳酸菌は品質劣化の原因とされるため、乳酸菌を添加するという発想は全くない。
請求項1に係る本発明においては、乳酸菌ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株を用いることが不可欠であり、他の乳酸菌を用いたとしても、その目的を達成することはできない。
ところで、乳酸菌ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株の至適温度は37℃であり、特に飯ずし、糠漬等について品質保持のため低温で発酵するには適用が難しい条件であった。
本発明者らは、乳酸菌ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株を発芽玄米糠及び/又は米糠とグルタミン酸もしくはその塩を含む培地で培養し、これを添加して飯ずし、魚糠漬、発酵ソーセージ、納豆等の発酵食品を製造することにより、上記の問題を解決した。
本発明の方法においては、3℃から10℃の低温でもGABA強化と発酵・熟成ができるので、従来のハタハタずし(飯ずし)や魚糠漬等の低温で発酵・熟成が必須の食品でも適用可能な発酵食品の製造方法である。さらに、乳酸菌添加時にグルタミン酸もしくはその塩(例えば、グルタミン酸ナトリウム)を同時に添加することで発酵食品中のγ−アミノ酪酸含量を調整することが可能となった。
この方法により製造された各種の発酵食品は、従来の方法で製造された発酵食品よりもγ−アミノ酪酸を多く含み機能性を保持した食品となる。
本発明において培地に用いる発芽玄米糠としては、どの様な発芽玄米の糠でも良い。米糠も同様である。但し、精米後、時間が経過すると米糠臭の発生、微生物の増加が懸念されるので、使用までは冷蔵保管が好ましい。
本発明においては、発芽玄米糠又は米糠、或いはこれらの混合物を用いることができるが、少なくとも発芽玄米糠を用いることが好ましいことから、特に発芽玄米糠単独、又は発芽玄米糠と米糠の混合物が好ましい。
次に、本発明においては、培地にさらにグルタミン酸もしくはその塩を用いる。グルタミン酸の塩としては、具体的にはナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等が挙げられる。
本発明における培地は、上記した発芽玄米糠及び/又は米糠とグルタミン酸もしくはその塩を含む培地であればよく、さらに通常、水を含むものである。この他、必要に応じて培地として米糖化液、甘酒、麹エキスを用いることもできる。
また、使用する乳酸菌としては、GABA生産菌の中でも特にラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株が用いられる。
このラクトバチルス ブレビスIFO12005株を用いることによって、発芽玄米糠及び/又は米糠のみを栄養源とすることにより、添加するグルタミン酸もしくはその塩をGABAに変換すると共に、菌体生産が可能である。
発芽玄米糠では、乳酸菌が10の8乗オーダーまで増殖可能であり、種培養用の培地としても充分な菌体量である。
請求項1に係る本発明の方法においては、発酵食品を製造するに際し、発酵食品の原料に、発芽玄米糠及び/又は米糠とグルタミン酸もしくはその塩を含む培地での乳酸菌ラクトバチルス ブレビスIFO12005株の培養物を添加することを特徴とするものである。
添加するグルタミン酸もしくはその塩、特にグルタミン酸ナトリウムを効率よくGABAに変換するには、発芽玄米糠及び/又は米糠に対し、重量で0.1〜30%、好ましくは1〜20%のグルタミン酸もしくはその塩、特にMSGを加え、水を発芽玄米糠及び/又は米糠の0.5〜20倍、好ましくは2〜8倍重量加え、ラクトバチルス ブレビスIFO12005株を接種し、培養することが望ましい。
このときの培養は静置が望ましく、培養温度は1〜40℃、好ましくは5〜35℃であり、培養時間は1日〜30日、好ましくは2日から14日である。
このように発芽玄米糠及び/又は米糠とグルタミン酸もしくはその塩を含む培地で乳酸菌ラクトバチルス ブレビスIFO12005株を培養して培養物を得る。
なお、培養に先立ち、発芽玄米糠及び/又は米糠の加水混合液に酸添加し、pH4.6以下としておいてもよい。
請求項1に係る本発明の方法においては、発酵食品を製造するに際し、発酵食品の原料に、上記した如き発芽玄米糠及び/又は米糠とグルタミン酸もしくはその塩を含む培地での乳酸菌ラクトバチルス ブレビスIFO12005株の培養物を添加する。
ここで発酵食品として好ましくは、飯ずし、魚糠漬、発酵ソーセージ又は納豆を挙げることができるが、これに限定されるものではない。例えば、米飯に発芽玄米糠及び/又は米糠とグルタミン酸もしくはその塩を含む培地での乳酸菌ラクトバチルス ブレビスIFO12005株の培養物を添加し発酵させて、発酵米飯を製造することもでき、さらに得られた米飯をレトルト処理することにより、γ-アミノ酪酸(GABA)が強化されたレトルト発酵米飯とすることもできる。
飯ずしを例にとり、γ-アミノ酪酸(GABA)強化発酵食品を製造する方法について述べると、以下のとおりである。
即ち、飯ずしの原料である魚、野菜、米飯、麹に、上記した如き発芽玄米糠及び/又は米糠とグルタミン酸もしくはその塩を含む培地での乳酸菌ラクトバチルス ブレビスIFO12005株の培養物を所定量添加し、以後、常法により発酵、熟成を行うことにより、目的とするγ-アミノ酪酸(GABA)強化発酵食品を製造することができる。なお、好みにより、野菜は使用しなくとも問題はない。
また、このような方法の他に、乳酸発酵が起こりにくい低温で熟成させる新しい製造法を提供するのが、請求項3及び請求項4に係る本発明である。
請求項3及び4に係る本発明は、γ-アミノ酪酸強化飯ずしの製造方法に関する
これらの方法の場合、発酵を別に行い、後に非発酵の他原料と混合し、乳酸発酵が起こりにくい低温で短期間に熟成させるものである。
γ-アミノ酪酸強化飯ずしの製造方法に関する請求項3に係る本発明においては、後記実施例3に示すように、米飯に、発芽玄米糠及び/又は米糠とグルタミン酸もしくはその塩を含む培地での乳酸菌ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株の培養物を添加し、発酵させた後、魚及び野菜を混合し、低温で熟成させる。
また、γ-アミノ酪酸強化魚糠漬の製造方法に関する本発明においては、発芽玄米糠及び/又は米糠に、発芽玄米糠及び/又は米糠とグルタミン酸もしくはその塩を含む培地での乳酸菌ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株の培養物を添加し、発酵させた後、魚を混合し、低温で熟成させる。
いずれの方法においても、3〜10℃という低温でもGABA強化と発酵・熟成ができるため、飯ずしや魚糠漬などのように低温で発酵・熟成が必須の食品でも適用することができるものである。熟成は、そのような低温でも1週間ほどで可能である。
なお、発芽玄米糠及び/又は米糠とグルタミン酸もしくはその塩を含む培地での乳酸菌ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株の培養物については、請求項1に係る本発明において説明したとおりである。
さらに、本発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の方法により製造されたγ-アミノ酪酸強化発酵食品をも提供するものである。
即ち、請求項5に係る本発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の方法により製造されたγ-アミノ酪酸強化発酵食品である。
上記のようにして製造されたγ-アミノ酪酸強化発酵食品は、通常、γ-アミノ酪酸を20mg/100g以上含有しており、好ましくは100 mg/100g以上含有している。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
米糠100g、グルタミン酸ナトリウム8gに水道水を加え1Lとした後にオートクレーブで滅菌した。この液体培地に、ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株を植菌し、30℃で7日間培養し、乳酸菌スターターとした。漬込み容器毎に米麹(太子食品工業製)200g、炊飯米(品種:めんこいな)800g、グルタミン酸ナトリウム4gと上述のスターター80mlを混合した。食酢で12時間浸漬したハタハタ切り身(1kg)とスターター混合物を交互に積層し漬込んだ。0℃、3℃、5℃、8℃、10℃、15℃で4〜20日間発酵・熟成した後に米飯部分のグルタミン酸ナトリウム、γ−アミノ酪酸、酵母、乳酸菌を測定した。乳酸菌添加(本発明)に伴うγ−アミノ酪酸の変化の結果を表1に示す。スターターを添加しなかった場合を対照とした。この乳酸菌無添加(対照)の場合のγ−アミノ酪酸の変化の結果を表2に示す。
Figure 0004320757
Figure 0004320757
表2に示すように、乳酸菌無添加(対照)の場合には、グルタミン酸ナトリウムからγ−アミノ酪酸の変換はほとんど認められなかった。
これに対して、表1に示すように、乳酸菌スターターを添加した場合、8℃、10℃、15℃において100g当たり100mg以上のγ−アミノ酪酸が生成した。5℃以下の温度においても乳酸菌無添加の同温度と比較してγ−アミノ酪酸が多くなった。
また、乳酸菌添加の飯ずし(ハタハタずし)から乳酸菌を分離して簡易同定した結果から、ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株が優先していることが明らかとなった。
実施例1で製造した乳酸菌添加5℃(Aとする)、乳酸菌添加10℃(Bとする)及び乳酸菌無添加10℃(Cとする)の3種類の飯ずし(ハタハタずし)について、15名のパネルにより好みの順位を付ける順位法で官能評価を行った。平均順位を表3に示す。
Figure 0004320757
順位法の検定表を用いる方法で表3に示す結果を解析したところ、有意差は認められなかったが、B>A>Cの順位で好まれる傾向が明らかとなった。即ち、乳酸菌を添加した飯ずし(ハタハタずし)は好まれる傾向にあり、製品化に際しても有利であることが判明した。
実施例1と同様な方法で乳酸菌スターターを調製し、炊飯米(品種:めんこいな)1kg、グルタミン酸ナトリウム4g、ブドウ糖8gと上述のスターター80mlを混合した。20℃で4日間発酵した後、3%乳酸で12時間浸漬したホッケ切り身(1kg)と混合し漬込んだ。3℃で7日間熟成した後に米飯部分のγ−アミノ酪酸含量を測定した。併せて乳酸菌スターターを添加しなかった場合を対照とした結果を表4に示す。
Figure 0004320757
この方法を用いることにより、発酵と熟成を別に行うことが可能となり、新しいタイプの低温短期発酵熟成型飯ずしの製造も可能となった。
実施例1と同様な方法で乳酸菌スターターを調製し、米糠1kg、グルタミン酸ナトリウム4g、ブドウ糖8gと上述のスターター80mlを混合した。20℃で4日間発酵した後、水分30%以下まで温風乾燥を行った。魚肉に対して15%の食塩を混合して12時間塩漬したホッケ切り身1kgに、発酵乾燥した米糠を混合し、5℃で7日間熟成した後に、魚肉部分のγ−アミノ酪酸含量を測定した。併せて乳酸菌スターターを添加しなかった場合を対照とした結果を表5に示す。
Figure 0004320757
この方法を用いることにより、発酵と熟成を別に行うことが可能となり、新しいタイプの低温短期発酵熟成型魚糠漬の製造も可能となった。
豚もも肉1.6kg、豚脂400g、香辛料,発色剤適量と、実施例1で使用した乳酸菌スターター100gを混合し、人工ケーシングに充填した。20℃と35℃でそれぞれ2日間保温発酵した。乳酸菌無添加で同様に調製し、20℃で同様に処理して対照とした。通常の発酵ソーセージ製造法により熟成乾燥を行い、γ−アミノ酪酸量、乳酸菌数、酵母数を測定した。結果を表6に示す。
Figure 0004320757
乳酸菌無添加(対照)の場合には、グルタミン酸ナトリウムからγ−アミノ酪酸の変換は少なかった。乳酸菌スターターを添加した場合、20℃において100g当たり80mgのγ−アミノ酪酸が生成した。
また、乳酸菌添加の発酵ソーセージから乳酸菌を分離して簡易同定した結果から、ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株が優先していることが明らかとなった。
なお、35℃保温発酵で20℃保温発酵よりγ−アミノ酪酸含量が少ないが、35℃ではラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株以外の雑菌が多く、本菌が優先しにくいと考えられたことからも、低温発酵が有利であることが判明した。
蒸煮大豆2kgと実施例1で使用したスターター50gと納豆菌(宮城野)液10ml(10/g)とを混合し、30℃で12時間保温し、次いで、40℃で12時間発酵した。納豆菌数、乳酸菌数、pHを表7に示す。
その結果、納豆菌は初発の菌数に止まり、この様な条件下では増殖できないことが分かった。
Figure 0004320757
また、納豆菌のみを添加し、通常に発酵した後、乳酸菌スターターを添加して5℃で発酵させたところ、納豆の粘りが少なくなった。このものについてγ−アミノ酪酸量を測定した結果、220mg/100gであった。
この結果、納豆においてもγ−アミノ酪酸を多く含む納豆が製造可能となった。
本発明は、飯ずし、魚糠漬、発酵ソーセージ、納豆などの発酵製品の製造分野などにおいて幅広く利用することができる。

Claims (5)

  1. 飯ずしを製造するに際し、飯ずしの原料に、発芽玄米糠及び/又は米糠とグルタミン酸もしくはその塩と、を含む培地での乳酸菌ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株の培養物を添加し、5〜15℃で発酵、熟成させることを特徴とするγ-アミノ酪酸強化飯ずしの製造方法。
  2. 培養物が、発芽玄米糠及び/又は米糠と、前記発芽玄米糠及び/又は米糠に対して1〜20重量%のグルタミン酸ナトリウムと、前記発芽玄米糠及び/又は米糠の2〜8倍重量の水と、を含む培地で乳酸菌ラクトバチルス ブレビスIFO12005株を2〜14日間培養して得られたものであり、発酵、熟成を4〜12日間行う請求項1記載の製造方法。
  3. 飯ずしを製造するに際し、米飯に、発芽玄米糠及び/又は米糠とグルタミン酸もしくはその塩と、を含む培地での乳酸菌ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)IFO12005株の培養物を添加し、発酵させた後、魚及び野菜を混合し、3〜10℃で熟成させることを特徴とするγ-アミノ酪酸強化飯ずしの製造方法。
  4. 培養物が、発芽玄米糠及び/又は米糠と、前記発芽玄米糠及び/又は米糠に対して1〜20重量%のグルタミン酸ナトリウムと、前記発芽玄米糠及び/又は米糠の2〜8倍重量の水と、を含む培地で乳酸菌ラクトバチルス ブレビスIFO12005株を2〜14日間培養して得られたものである請求項3記載の製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の方法により製造されたγ-アミノ酪酸強化飯ずし
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