JP4320137B2 - 電子スコープ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、体腔内を観察するために使用される電子内視鏡装置、特に該電子内視鏡装置を構成する電子スコープに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、体内を観察するために使用される電子内視鏡装置として、画像処理部を備えるプロセッサと、被検者の体内に挿入されて、体内を照明する光を照射する光源部およびCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子を先端に備える電子スコープと、から構成されるものが実用化されつつある。
【0003】
被検者の体内に挿入される電子スコープは、内視鏡観察中における被検者の苦痛を少しでも和らげる観点から、より細径であるほうが好ましいとされる。
【0004】
しかし、電子スコープ先端に光源部を有する上記構成では、該光源部に電力を供給するための給電ケーブルをプロセッサから配設しなくてはならず、その分電子スコープの径を太くせざるを得なかった。
【0005】
また近年、他の機器に使用される撮像素子同様、該先端に配設される撮像素子も、高画素化されたり小型化されたりして、より高性能なものが使用されている。これにより、術者は、より高精度かつ鮮明な観察部位の画像を観察して、迅速かつ適切な処置を採ることが可能になった。
【0006】
ところが、このような高性能な撮像素子を使用すると、従来の撮像素子に比べ、該撮像素子を駆動するために必要な、パルス信号や印加電圧の種類も増加する。すなわち高性能な撮像素子を電子内視鏡装置に使用する場合、プロセッサによって生成されるパルス信号や電源電圧を該撮像素子に伝送、印加するために必要なパルス信号用ケーブルや給電ケーブルの本数を増加しなくてはならない。従って、撮像素子の高性能化という観点からも、電子スコープの径を太くせざるを得なかった。
【0007】
電子スコープの径を細くするために、所定のケーブル上に電源電圧とパルス信号を重畳させてケーブルを共通化させる方法も考えられる。しかし、該方法では、電源電圧が特定の信号に影響を及ぼし、信号劣化を起こしかねず適切ではない。つまり従来は、先端に光源部を有するスコープや高性能な撮像素子を使用した電子スコープが太径化することに対する具体的な解決策が存在しなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は上記の事情に鑑み、電子スコープの先端に観察部位を照明するための光源部を備えたり、高性能な撮像素子を備えたりしても、該電子スコープの径を細くすることができる電子スコープを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明の電子スコープは、観察部位を照明する光を発光する光源部と、プロセッサから送信される複数のパルス信号に基づいて、該光によって照明される観察部位を撮像する撮像素子とを先端に有する電子スコープに関する。そして複数のパルス信号のうち少なくとも一つを用いて光源部および撮像素子を駆動させるための直流電圧を生成し、光源部および撮像素子に印加する直流電圧生成手段を先端近傍に有することを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、プロセッサと電子スコープ先端にある光源部や撮像素子との間に配設されていた給電ケーブルの本数を減らすことができるため、先端に光源部や高性能な撮像素子を有する電子スコープであっても細径化を達成することができる。しかも、従来プロセッサから送信される撮像素子を駆動するためのパルス信号に基づいて電圧を生成するため簡素な構成で細径化を達成することができる。
【0011】
また、本発明の電子スコープは、上記光源部が少なくとも一つ以上の発光素子から構成されることを特徴とする。たとえ複数の発光素子を光源として使用しても、先端近傍にある直流電圧生成手段を電源供給手段として用いるため、ケーブル径は、細く維持することができる。
【0012】
さらに、本発明の電子スコープは、上記直流電圧生成手段が電圧合成手段を有し、複数のパルス信号を用いて複数の直流電圧を生成して、電圧合成手段によって複数の直流電圧を一つに合成して、該電圧合成手段によって得られた合成電圧を光源部に印加することを特徴とする。これにより、電子スコープの径は細く維持したまま、消費電力の大きい高輝度な発光素子等を光源部に使用することができる。
【0013】
上記電圧生成手段は、一つのパルス信号を、第一経路を伝送する駆動用パルス信号と第二経路を伝送する直流電圧生成用信号とに分岐する信号分岐手段と、第二経路を経て入力する直流電圧生成用信号を用いて直流電圧を生成し、該直流電圧を撮像素子に印加する電源回路とを有することができる。この場合、撮像素子は、該駆動用パルス信号が入力することにより所定の撮像動作を行うことになる。
【0014】
また、上記直流電圧生成手段は、複数のパルス信号のうち少なくとも二つ以上を用いて直流電圧を生成するものであり、複数のパルス信号のうち少なくとも二つ以上を加算する加算手段と、加算手段によって加算された複数のパルス信号から直流電圧を生成し、該直流電圧を撮像素子に印加する構成にすることもできる。
【0015】
上記直流電圧生成手段には、入力する信号を平滑化する平滑回路があるのが望ましい。これにより、パルス信号から一定の直流電圧を容易に生成することができる。該直流電圧生成手段には、さらに整流回路を備えることができる。これにより、より安定した直流電圧を撮像素子に印加することができる。整流回路として全波整流回路を使用すれば、パルス信号が正負両方の振幅を有するものであっても、常に一定の電圧を供給することができる。また、直流電圧生成に使用するパルス信号の振幅が正負どちらを有しているか定かでない場合にも、全波整流回路を備える直流電圧生成手段であれば、一定の電圧を常に撮像素子に印加することができる。たとえば、全波整流回路としては、ダイオードブリッジ等が考えられる。
【0016】
上記直流電圧生成手段は、電子スコープ先端に設けられた光源部近傍に配設したり、該光源部に一体形成したりすることが望ましい。光源部近傍に配設したりや一体化させたりすることにより、直流電圧生成手段で発生する熱によって撮像素子側で発生する暗電流ノイズや熱雑音を低減することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施形態の電子内視鏡装置100の概略構成図である。内視鏡装置100は、プロセッサ100a、スコープ100bとから構成される。プロセッサ100aは、メイン制御部110、画像信号処理回路120及びフロントパネルスイッチ130とを有し、モニタ170が接続される。スコープ100bは、先端にCCD150とLED160とを備え、CCD150やLED160の近傍に電圧生成部140を備える。LED160は、撮像時に観察部位を照明する光源として使用される。
【0018】
電子内視鏡装置100を使用すると観察部位は次のようにして撮像される。まず、メイン制御部110は、術者がフロントパネルスイッチ130を操作して行った設定に基づいてCCD150を駆動するための複数のパルス信号を生成し、CCD150に連続的に送信する。パルス信号は、どれも一定の周期を持っており、たとえば水平駆動パルスや垂直駆動パルスなどがある。
【0019】
メイン制御部110の制御に基づいて、該先端に備えられているCCD150は、LED160から発光され、観察部位で反射された光を受光することにより受光面に形成された光学像に対応する電荷を蓄積し、画像信号処理回路120に蓄積電荷に基づく電圧値(画像信号)として出力する。画像信号処理回路120は、CCD160からの画像信号に基づいて所定の処理を行った後、画像信号をビデオ信号としてモニタ170に出力する。モニタ170は、ビデオ信号に対応する観察部位の画像を表示する。
【0020】
以下、本発明のいくつかの実施例について図を参照しつつ詳述する。図2は、第一実施例にかかる、スコープ100b先端近傍に配設された電圧生成部140およびその周辺の電気回路図である。CCD150は、本発明の特徴である電圧生成部140から印加される複数の電圧を用いて、上記撮像動作を行っている。同様にLED160も、電圧生成部140を電源として、光を発光している。電圧生成部140は、メイン制御部110から送信されるパルス信号を用いて複数の直流電圧を生成する。つまりCCD150およびLED160は、プロセッサ100aから電源電圧を供給されているのではない。そのため、従来のスコープに必要とされていたプロセッサからCCD150やLED160までの給電ケーブルは不要となる。従ってスコープ100bは、従来のスコープに比べて細径に構成することが可能になる。また一般に、CCD150は、撮像動作(つまり、電荷の蓄積および転送)を行うために複数の電源電圧を必要としている。そのため本実施形態では、電圧生成部140内に構成の異なる第一電源回路140a、第二電源回路140bを設けて、複数の直流電圧を生成している。以下、各電源回路140a、140bを詳説する。
【0021】
まず、第一電源回路140aについて説明する。プロセッサ100aのメイン制御部110で生成されたパルス信号S1は、ドライブバッファdb1を介してスコープ100b内の第一電源回路140aに送信される。なお、上記パルス信号S1は、特定のパルス信号である必要はなく、メイン制御部110から送信される複数のパルス信号のうちの任意の一つを意味する。後述するパルス信号S2やパルス信号S3も同じである。
【0022】
第一電源回路140aに入力したパルス信号S1は、分岐点P1において、経路L1と経路L2とに分岐される。本明細書では、P1のように、入力する信号を二つの経路に分岐する点のことを分岐点という。分岐点における、入力前の信号と出力後の二つの信号とは、略同一の振幅や略同一のデューティ比を有する。分岐されて経路L1を伝送する信号(分岐点P1における第一信号)は、バッファ1を介してCCD150に入力し、CCD150を駆動させる。つまり経路L1を伝送する信号は、CCD150を駆動するためのパルス信号(駆動用パルス信号)として用いられる。
【0023】
一方、分岐点P1で分岐されて経路L2を伝送する信号(分岐点P1における第二信号)は、バッファ2を介して全波整流回路3に入力し整流化される。全波整流回路3は、ダイオードブリッジ回路である。全波整流回路3によって整流化された信号は、さらに平滑コンデンサ4によって平滑化されて、直流電圧V1としてCCD150およびLED160に印加する。このように経路L2を伝送する信号は、メイン制御部110からCCD150を駆動するために出力された直流電圧生成用信号として機能する。
【0024】
なお、メイン制御部110から送信されるパルス信号は、一般に正の振幅を有するものだけでなく、負の振幅を有するものや正負両方の振幅を有するものもある。そのため本実施形態では、どのような振幅を有するパルス信号が第一電源回路140aに入力したとしても、必ず所定の電圧がCCD150に印加されるように、全波整流回路3を配設している。従って、スコープ100bの組立工程において、予め、該スコープ100bが接続されるプロセッサ100aが決まっており、直流電圧生成に使用されるパルス信号の種類も分かっているのであれば、全波整流回路3は必ずしも設ける必要はない。
【0025】
たとえば、正のみまたは負のみの振幅を有するパルス信号が直流電圧生成に使用されると分かっているのであれば、ダイオードを一つだけ使用した半波整流回路を用いた構成にしたり、整流回路を用いない構成にしたりすることができる。半波整流回路を用いた構成は、簡素な構成で安定した直流電圧を生成することができる。また、整流回路を用いない構成は、コストダウンを図ることができる。
【0026】
第一電源回路140aで生成される直流電圧V1の電圧値vは、以下の式によって求めることができる。
v=(A−B)×d/100+B
但し、Aは、直流電圧生成用信号における、ハイレベル時の電圧値の絶対値とローレベル時の電圧値の絶対値とを比較して大きい方の値、Bは、直流電圧生成用信号における、ハイレベル時の電圧値の絶対値とローレベル時の電圧値の絶対値とを比較して小さい方の値、dは、直流電圧生成用信号の一周期中、Aに対応するレベルが占める割合、つまり直流電圧生成用信号のデューティ比(%)、である。A、Bにおいて電圧値の絶対値をとるのは、上述したように、パルス信号の種類によっては、負の振幅を有するものもあるからである。
【0027】
上記式中、変数A、Bを電圧値の絶対値としたのは、負の振幅を有する電圧生成用信号では、電圧値も負の値をとることがあるからである。
また、負の振幅を有する直流電圧生成用信号では、ハイレベル時の電圧値の絶対値のほうがローレベル時の電圧値の絶対値よりも小さくなる。さらに、正負両方の振幅を有する直流電圧生成信号では、該信号の波形によって、ハイレベル時とローレベル時、どちらのほうが電圧値の絶対値が大きいか異なる。そのため上記式中、変数A、Bを決める際にハイレベル時とローレベル時の電圧値の絶対値を比較している。
【0028】
たとえば、正の振幅のみの直流電圧生成用信号において、ハイレベル時の電圧値が30V、ローレベル時の電圧値が10V、デューティ比が50%だとする。この場合、上記式より、20Vの直流電圧V1がCCD150に印加される。
【0029】
上記式より、直流電圧V1の値は、直流電圧生成用信号の振幅およびデューティ比に依存することが分かる。上記のとおり、直流電圧生成用信号とパルス信号S1とは略同一状態にある。従って、第一電源回路140aで生成される直流電圧V1の値を変化させたい場合には、メイン制御部110から送信されるパルス信号S1の振幅またはデューティ比を変化させればよい。
【0030】
また、CCD150に必要な電圧値とLED160に必要な電圧値とは、いつも同一であるとは限らない。そこで第一実施例では、直流電圧V1は、第一抵抗r1によってLED160に適した値に調整されてからLED160に印加される。
【0031】
なおCCD150は、蓄積した電荷を画像信号として画像信号処理回路120に出力する際、画像信号増幅器150aによって所定量増幅している。そこで、本実施形態では、第一電源回路140aで生成される直流電圧V1をCCD150やLED160に印加するだけでなく、画像信号増幅器150aにも印加している。
【0032】
続いて第二電源回路140bについて説明する。第二電源回路140bは、メイン制御部110から送信される二つのパルス信号を加算して得られた信号に基づいて電圧を生成する回路である。プロセッサ100aのメイン制御部110で生成されたパルス信号S2およびパルス信号S3は、それぞれドライブバッファdb2、ドライブバッファdb3を介してスコープ100b内の第一電源回路140aに送信される。
【0033】
第二電源回路140bに入力したパルス信号S2は、分岐点P2において経路L3と経路L4とに分岐される。経路L3を伝送する信号(分岐点P2における第一信号)は、バッファ5を介して、メイン制御部110が送信したパルス信号S2と略同一の状態でCCD150に入力しCCD150を駆動させる。つまり、経路L3を伝送する信号は、第一電源回路140aにおける経路L1を伝送する信号と同様に、CCD150を駆動するための駆動用パルス信号として用いられる。一方、経路L4を伝送する信号(分岐点P2における第二信号)は、バッファ6を介して加算器9に入力する。
【0034】
同様に、第二電源回路140bに入力したパルス信号S3も分岐点P3において経路L5と経路L6とに分岐される。経路L5を伝送する信号(分岐点P3における第一信号)は、経路L3を伝送する信号と同様に駆動用パルス信号として用いられる。つまり、経路L5を伝送する信号は、バッファ8を介してCCD150に入力し、CCD150を駆動させる。経路L6を伝送する信号(分岐点P3における第二信号)は、バッファ7を介して加算器9に入力する。
【0035】
加算器9では、入力する二つの第二信号(経路L4を伝送する信号および経路L6を伝送する信号)を加算して、一つの信号を生成する処理が行われる。加算器9によって生成された信号は、直流電圧生成用信号として、バッファ10を介して全波整流回路11に入力し、整流化される。全波整流回路11も、ダイオードブリッジ回路である。全波整流回路11によって整流化された信号は、さらに平滑コンデンサ12によって平滑化され、直流電圧V2としてCCD150に印加する。このように第二電源回路140bは二つのパルス信号を使用するため、第一電源回路140aで生成される直流電圧V1に比べ、生成される直流電圧V2がとりうる値の幅が広いという特徴がある。つまり、第二電源回路140bを使用することにより、任意の値の直流電圧を選択しやすくなる。
【0036】
なお、第二電源回路140bにおいて全波整流回路11を設けている理由や、正の振幅のみの信号や負の振幅のみの信号といったパルス信号が有する振幅の種類に応じて全波整流回路11以外の他の構成をとることができる点については、第一電源回路140aの全波整流回路3での説明と同一であるため、ここでの説明は省略する。また、第二電源回路140bにおいても、メイン制御部110から送信されるパルス信号S2やパルス信号S3の振幅やデューティ比を変化させることによって直流電圧の電圧値を変化させることが可能である。
【0037】
図3は、第二実施例にかかる、スコープ100b先端近傍に配設された電圧生成部140およびその周辺の電気回路図である。第二実施例のスコープ100bは、先端近傍にCCD150および第一LED160a、第二LED160bを備えている。第二実施例のスコープ100bは、LEDを二つ配設することによって、より明るい光を観察部位に照射することが可能になっている。従来の内視鏡装置でこのような複数のLEDを先端に配設しようとすると、その分給電ケーブルの本数も増加せざるを得ず、スコープ径が太くなる傾向にあった。
【0038】
ところが第二実施例では、CCD150および第一LED160a、第二LED160bは、第一実施例と同様に、電圧生成部140を電源としている。従って、プロセッサ100aとスコープ100b先端とを接続するために必要なケーブルは、第一実施例と略同様の本数を維持している。つまり、ケーブルの径を細く維持したまま、スコープ100b先端から照射される光の光量を増加させることができる。
【0039】
第二実施例における電圧生成部140内での動作については、第一実施例と略同一であるため、図3中の各素子等に、図2中の対応する素子等と同一符号を付してここでの詳細な説明は省略する。第二実施例では、第一電源回路140aによって生成された直流電圧V1が、第一抵抗r1によって所定値に調整された後、第一LED160aに印加される。また第二電源回路140bによって生成された直流電圧V2が、第二抵抗r2によって所定値に調整された後、第二LED160bに印加される。同時に、各直流電圧V1、V2は、CCD150にも印加される。
【0040】
なお第二実施例の構成は、電圧生成部140を、回路上、第一LED160a、第二LED160bといったいわゆる光源部側に配設している。つまり、第二実施例の電圧生成部140は、CCD150から離れた位置に配設されている。このような回路構成にすることにより、電圧生成部140からの放熱が原因となってCCD150が温度上昇するのを回避することができる。これによりCCD150において、熱励起による暗電流の発生を回避し、ノイズの低減を達成することが可能になる。
【0041】
図4は、第三実施例にかかる、スコープ100b先端近傍に配設された電圧生成部140およびその周辺の電気回路図である。第三実施例のスコープ100bは、CCD150とLED160とを備える。LED160は、高輝度なものを使用している。従って、より明るい多くの光を観察部位に照射することが可能になっている。従来の内視鏡装置でこのような高輝度LEDを先端に配設しようとすると、消費電力が多くなる分給電ケーブル自体を太くせざるを得ず、結果としてスコープ径自体も太くなる傾向にあった。
【0042】
ところが第三実施例では、CCD150およびLED160は、第一実施例と同様に、電圧生成部140を電源としている。従って、プロセッサ100aとスコープ100b先端とを接続するために必要なケーブルは、第一実施例と略同様の本数を維持している。つまり、ケーブルの径を細く維持したまま、スコープ100b先端から照射される光の光量を増加させることができる。
【0043】
第三実施例における電圧生成部140内の動作については、第一実施例と略同一であるため、図4中の各素子等に、図2中の対応する素子等と同一符号を付してここでの詳細な説明は省略する。但し、第三実施例の電圧生成部140では、第一電源回路140aによって生成された直流電圧V1と、第二電源回路140bによって生成された直流電圧V2とを、オペアンプ13において合成し、高輝度なLED160に対応する直流電圧V3を生成している点が他の実施例とは異なる。オペアンプ13によって生成された直流電圧V3は、第一抵抗r1を介して、LED160に印加される。なお、他の実施例と同様に、各直流電圧V1、V2は、CCD150に印加される。
【0044】
このように第三実施例では、高輝度なLED160を設けているが、必要な電圧は各電源回路140a、140bによって生成された電圧V1、V2を合成することにより、高輝度なLED160に対応するだけの高電圧V3を生成している。
【0045】
また第三実施例も第二実施例と同様に、電圧生成部140を、回路上、光源部側に配設している。よってCCD150において、熱励起による暗電流の発生を回避し、ノイズの低減を達成することが可能になる。
【0046】
以上が本発明の実施形態である。本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく趣旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0047】
上記実施形態では、撮像素子であるCCD150やLED160の近傍に電圧生成部140を配置している。しかし、使用する撮像素子の種類(たとえば、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor))や光源部の構成等によっては、電圧生成部140を該撮像素子や光源部内に一体形成することも可能である。これにより、スコープ100bのさらなる小型化を図ることができる。
【0048】
上記実施形態では、異なる構成の第一電源回路140a、第二電源回路140bによって生成された直流電圧がCCD150に印加される構成を示した。しかし電圧生成部140は、必ずしも該実施形態のような構成にする必要はない。すなわち電圧生成部140は、上記各回路140a、140bの任意の組み合わせによって構成することができる。たとえば電圧生成部140を、上記第一電源回路140a、第二電源回路140bのどちらか一種類だけから構成されるようにすれば、部品を統一することができ、コストダウンが図れる。
【0049】
また本発明は、電圧生成部140によって生成された電圧をどの素子に印加させても良い。つまり上記実施形態では、画像信号増幅器160aには第一電源回路140aからの直流電圧V1が印加されている構成を示したが、あくまでも本発明の一例であってこれに限定されるものではない。例えば、画像信号増幅器160aを第二電源回路140bに接続する構成にしても良い。
【0050】
さらに、上記実施形態では、第二電源回路140bはパルス信号S2およびパルス信号S3の二つを用いて直流電圧生成用信号を生成しているが、二つ以上の複数のパルス信号を加算して直流電圧生成用信号を生成することも可能である。
【0051】
上記実施形態では、光源部としてLED160を使用しているが、これに限定されるものではなくスコープ100b先端に配設可能な発光素子であればどのようなものであっても使用できる。また、第二実施例では、説明の便宜上、より多くの光量の光を観察部位に照明するために二つのLED160a、160bを備えたスコープ100bの説明をした。しかし本発明は、二つのLEDに限定されるものではなく、三つ以上のLEDを備えても同様の効果を得ることができる。この場合、必要な電圧の種類が増えるが、電源回路140aや電源回路140bをさらに設けることにより対処することが可能である。さらに、電源回路140aや電源回路140bによって生成された直流電圧V1、V2を抵抗分割して新たな直流電圧を生成可能な抵抗回路を設ければ、電圧生成部140をより簡素な構成にしながらも、さまざまな値の直流電圧を複数生成することが可能になる。
【0052】
【発明の効果】
このように本発明の電子スコープは、プロセッサから送信されるパルス信号を用いて、該スコープ先端に配設された撮像素子および光源部の印加電圧を生成する構成にすることにより、プロセッサと、撮像素子および光源部との間に設けられていた給電ケーブルが不要になり、スコープの細径化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の電子内視鏡装置の概略構成図である。
【図2】第一実施例のスコープ先端近傍に配設された電圧生成部およびその周辺の電気回路図である。
【図3】第二実施例のスコープ先端近傍に配設された電圧生成部およびその周辺の電気回路図である。
【図4】第三実施例のスコープ先端近傍に配設された電圧生成部およびその周辺の電気回路図である。
【符号の説明】
3、11 整流回路
4、12 平滑コンデンサ
9 加算器
13 オペアンプ
P1、P2、P3 分岐点
100 電子内視鏡装置
100a プロセッサ
100b 電子スコープ
110 メイン制御部
140 電圧生成部
150 CCD
160 LED

Claims (8)

  1. 観察部位を照明する光を発光する光源部と、プロセッサから送信される複数のパルス信号に基づいて、前記光によって照明される前記観察部位を撮像する撮像素子とを先端に有する電子スコープであって、
    前記複数のパルス信号のうち少なくとも一つを用いて前記光源部および前記撮像素子を駆動させるための直流電圧を生成し、前記光源部および前記撮像素子に印加する直流電圧生成手段を前記先端近傍に有し、
    前記直流電圧生成手段は、電圧合成手段を有し、複数の前記パルス信号を用いて複数の直流電圧を生成して、前記電圧合成手段によって前記複数の直流電圧を一つに合成して得られた合成電圧を前記光源部に印加することを特徴とする電子スコープ。
  2. 請求項1に記載の電子スコープにおいて、
    前記直流電圧生成手段は、
    前記複数のパルス信号のうち少なくとも二つ以上を用いて直流電圧を生成するものであり、
    前記複数のパルス信号のうち少なくとも二つ以上を加算する加算手段と、
    前記加算手段によって加算された前記複数のパルス信号から直流電圧を生成することを特徴とする電子スコープ。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電子スコープにおいて、
    前記直流電圧生成手段は、一つの前記パルス信号を、第一経路を伝送する駆動用パルス信号と第二経路を伝送する直流電圧生成用信号とに分岐する信号分岐手段と、
    前記第二経路を経て入力する直流電圧生成用信号を用いて直流電圧を生成し、該直流電圧を前記撮像素子に印加する電源回路と、を有し、
    前記撮像素子は、前記駆動用パルス信号が入力することにより所定の撮像動作を行うことを特徴とする電子スコープ。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電子スコープにおいて、
    前記直流電圧生成手段は、
    前記複数のパルス信号の少なくとも一つを整流する整流回路と、
    前記整流回路により整流された信号を平滑化して前記直流電圧を生成する平滑回路と、を有することを特徴とする電子スコープ。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電子スコープにおいて、前記直流電圧生成手段は、前記光源部の近傍に配設されることを特徴とする電子スコープ。
  6. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電子スコープにおいて、前記直流電圧生成手段は、前記光源部と一体形成されていること、を特徴とする電子スコープ。
  7. 観察部位を照明する光を発光する光源部と、プロセッサから送信される複数のパルス信号に基づいて、前記光によって照明される前記観察部位を撮像する撮像素子とを先端に有する電子スコープであって、
    前記複数のパルス信号のうち少なくとも一つを用いて前記光源部および前記撮像素子を駆動させるための直流電圧を生成し、前記光源部および前記撮像素子に印加する直流電圧生成手段を前記先端近傍に有し、
    前記直流電圧生成手段は、
    前記複数のパルス信号のうち少なくとも二つ以上を用いて直流電圧を生成するものであり、
    前記複数のパルス信号のうち少なくとも二つ以上を加算する加算手段と、
    前記加算手段によって加算された前記複数のパルス信号から直流電圧を生成することを特徴とする電子スコープ。
  8. 観察部位を照明する光を発光する光源部と、プロセッサから送信される複数のパルス信号に基づいて、前記光によって照明される前記観察部位を撮像する撮像素子とを先端に有する電子スコープであって、
    前記複数のパルス信号のうち少なくとも一つを用いて前記光源部および前記撮像素子を駆動させるための直流電圧を生成し、前記光源部および前記撮像素子に印加する直流電圧生成手段を前記先端近傍に有し、
    前記直流電圧生成手段は、一つの前記パルス信号を、第一経路を伝送する駆動用パルス信号と第二経路を伝送する直流電圧生成用信号とに分岐する信号分岐手段と、
    前記第二経路を経て入力する直流電圧生成用信号を用いて直流電圧を生成し、該直流電圧を前記撮像素子に印加する電源回路と、を有し、
    前記撮像素子は、前記駆動用パルス信号が入力することにより所定の撮像動作を行うことを特徴とする電子スコープ。
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