JP4319273B2 - 安定同位体化合物の分離方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は安定同位体化合物の形で存在する安定同位体原子を、構造化充填材(自己分配促進型規則充填材ともいう。)を充填した蒸留塔を用いて蒸留分離する方法および装置に関し、さらに詳しくは、13COと12COを自己分配促進型規則充填材を充填した蒸留塔を用いて蒸留分離する方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
安定同位体原子の内、例えば13Cは、C中に天然存在比として1.11%の割合で存在し、COの中にも13COとして同量の天然存在比で含まれている。
【0003】
同位体の分離方法には、熱拡散分離、圧力拡散分離、遠心力分離、レーザー分離、化学交換分離、蒸留分離等があるが、COの同位体分離には、従来、蒸留分離が採用されている。
例えば13Cを13COの形で分離する場合、原料のCOを、通常、1または複数の蒸留塔を用いて12COと13COとに分離する。あるいは原料のCOを蒸留することにより13COは12CO中に濃縮される。
【0004】
同位体の混合ガスの蒸留分離の特徴は、分離係数が極めて1に近いことで、例えば12CO/13COの蒸留の場合、比揮発度、すなわち、分離係数は1.005〜1.009である。そのため、純度99.9%以上の13COを得るためには、2000段以上の理論段数が必要になり、また塔底におけるボイルアップ量と缶出液量の比は1000倍あるいはこれ以上が必要になる。そこで、通常、複数の蒸留塔を用いて13COと12COの分離を行っている。
【0005】
図9は従来の13COの分離製造装置を例示するものである。この従来の装置は、複数本の蒸留塔を用いて、99.9%の13COを製造するものである。図中、符号1A,1B,1Cは蒸留塔、2A,2B,2Cはリボイラー、3A,3B,3Cはヒーターを示す。
この装置において、蒸留塔1Aは塔径が25mmであり、Heri-pak(1.3X2.5X23mm wire forms, Pedbelniak,Inc.,の商品名)等の不規則充填材が充填されている。また蒸留塔1Bは塔径が50mmであり、Pro-pak(Scientific Development Co.,の商品名)等の不規則充填材が充填されている。一般に、不規則充填材を用いた蒸留塔をスケールアップする場合、蒸留塔内の処理流量に応じて塔径を大きくする必要があるが、その塔径にあった不規則充填材の選定が難しく、液相流の偏流が原因となって蒸留効率が低くなり、蒸留効率を維持するために充填高さを高くしなければならなかった。
【0006】
ところが、蒸留塔の高さにはおのずから制限があるので、生産量が、一本の塔で処理できる量を超える場合は、生産量に応じて蒸留塔の本数を増やすという方法が採られており、装置構成が複雑になるという不都合があった。
上記の従来例におけるシステムでは、13COと12COとを分離し、13COを製造するために、塔径を25mmから50mmにすれば処理量は4倍になり、さらに充填材を変えることによって処理量を8倍にすることが可能であるが、塔の高さは2.5倍になる。その結果、図9に示すような3段の蒸留塔システムを用いて13COと12COを分離し、純度99.9%の13COを、2mol/day の速度で製造するためには、蒸留塔 1Aとして、塔径50mmで高さが100mのものを6本、蒸留塔1Bとして、塔径50mmで高さが100mのものを1本備えた構成としなければならない。
【0007】
また、このような不規則充填材を使用した場合の液ホールドアップ量は塔内体積の20%〜30%、多い場合は40%〜60%程度であるので、装置の運転を開始してから塔全体が定常運転状態に達するまでの起動時間として約150日が必要であり、このことがコストおよび生産計画上の大きな負担となっていた。この従来方法は下記文献に詳細が報告されている。
B. B. McInteer, Los Alamos Scientific Laboratory
"Isotope Separation by Distillation Design of a Carbon-13 Plant",.
Separation Science and Technology,15(3),pp491-508,(1980)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の蒸留法は不規則充填材を用いるものであり、複数本の長大な塔を並立させた装置を用いているため、生産量の増量に比べて装置建設のコストが膨大となり、さらに塔の容量の拡大を計画してもスケールメリットが得られなかった。
【0009】
近年、13Cの用途が広がり需要が拡大してきたため、増産する必要がでてきた。増産の方法として、上記のように、単に塔径を大きくする場合は、塔高を高くしなければならないので実施が困難である。また、単純に、既存装置と同じものを増設してもスケールメリットが得られない。
そこで塔径を大きくする際に、気液接触の状態を特定することにより、すなわち、充填材を一定の条件を満足する形状・構造のものに特定し、充填の仕方も特定するとともに、その充填材を充填した蒸留塔の最大生産量が得られる運転条件を特定することにより、スケールメリットを追求する必要が生じてきた。
【0010】
さらに、既存装置に別の構成を有する新規装置をカスケード方式に連結することによって増産を図る方法が知られている。すなわち、新規装置で濃縮した13COを既存装置へフィードし、濃縮・分離する方法である。この方法は既存装置の処理量を変えることなく増産することができ、また設備投資額を抑えることができる。
しかしながらこのような場合には、既存装置の処理量に合わせて新規装置のプロセスを組むことを考慮する必要がある。また、設備費を少なくするために、新規装置は塔径及び塔高さを小さくすることが好ましい。
【0011】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、コンパクトな装置により安定同位体原子を含む化合物を含有するガス混合物または混合液から、その安定同位体原子を含む化合物を分離する方法および装置を提供することを目的とする。また少ない設備投資で処理量を増大させることができる安定同位体の分離方法および装置を提供することを目的とする。またコンパクトな装置とすることにより、液ホールドアップ量を少なくし、より短時間で起動し定常運転状態に入ることができ、従って運転コストも低減できる装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明の安定同位体の分離装置は、安定同位体原子を含む安定同位体化合物を含有するガス混合物または混合液を液化蒸留して、前記安定同位体化合物を分離する蒸留塔を備え、該蒸留塔に、構造化充填材が充填されている本装置と、
少なくとも1個の蒸留塔を有し、安定同位体化合物を分離する、他の装置とを備え、原料ガスを本装置の蒸留塔の中間部へ導入する経路と、その蒸留塔の塔底液または塔底ガスの少なくとも一部を、他の装置の少なくとも1個の蒸留塔の中間部へ供給する経路と、他の装置の排ガスを本装置の蒸留塔の塔底と前記原料ガスを供給する段との間の段へ戻す経路を備えていることを特徴とするカスケード式安定同位体化合物の分離装置である。
また本発明の安定同位体の分離装置の別の構成は、安定同位体原子を含む安定同位体化合物を含有するガス混合物または混合液を液化蒸留して、前記安定同位体化合物を分離する蒸留塔を備え、該蒸留塔に、構造化充填材が充填されている本装置と、少なくとも1個の蒸留塔を有し、安定同位体化合物を分離する、他の装置とを備え、原料ガスを本装置の蒸留塔の中間部へ導入する経路と、その蒸留塔の塔底液または塔底ガスの少なくとも一部を、他の装置の少なくとも1個の蒸留塔の上部へ供給する経路と、他の装置の排ガスを本装置の蒸留塔の下部へ戻す経路を備えたことを特徴とするカスケード式安定同位体化合物の分離装置である。
【0013】
前記安定同位体原子を13C、前記安定同位体化合物を13COとし、13COを好適に分離することができる。この場合、前記塔底液または塔底ガス中の 13 COの濃度が10%以下であることが好ましい。
本装置における蒸留塔の液のホールドアップ量が15%以下であることが好ましい。
前記構造化充填材が、一定の規則性を有する配置で穿孔された小孔を有する、複数の波状薄板が、互いに接触するように、かつ隣接する波状薄板の波状溝が互いに交差するように積層されたブロック状の充填材であり、該構造化充填材が、前記本装置の蒸留塔に、各波状薄板が塔軸に平行となるように、かつ各波状薄板の波状溝が塔軸線に対して傾斜するように充填されていることが好ましい。
【0014】
前記課題を解決するために本発明の安定同位体の分離方法は、本発明の分離装置を用いて、安定同位体原子を含む安定同位体化合物を含有するガス混合物または混合液を液化蒸留して、前記安定同位体化合物を分離する方法である。
蒸留中の、前記本装置の蒸留塔内の密度補正空塔速度が、2.0m/s(kg/m3)1/2以下であることが好ましい。
蒸留中の、前記本装置の蒸留塔内の圧力が、0.8bar以上3.0bar以下の範囲内であることが好ましい。
蒸留中の、前記本装置の蒸留塔におけるボイルアップ量と缶出量との比が、900以上2000以下の範囲内であることが好ましい。
【0015】
後述の実施形態の例において、図1に例示される第1の実施形態は参考実施形態、図4,5に例示される第2の実施形態は本発明にかかる実施形態である。また後述の実施例においてケース1〜5は参考例、ケース6は本発明にかかる実施例である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。従来の技術が、蒸留塔に不規則充填材を不規則に充填するものであったのに対して、本発明では、蒸留塔に成形充填材を規則的に充填する。
成形充填材は一般に不規則充填材と規則充填材に分類され、不規則充填材としては、例えばラシヒリング、ポールリング、レッシングリング、インタクロスサドル、バールサドルリング、インターロックサドル、テラレット、パールリング、ステッドマンパッキング等がある。これらの充填材は古くから各種の蒸留塔に使用されており周知である。
本発明において、成形充填材が規則充填されているとは、不規則充填材または規則充填材が、後述の計算式を適用でき得る程度に規則的に充填されていることをいう。
【0017】
規則充填材はさらに自己分配促進型規則充填材と非自己分配促進型規則充填材に分類される。自己分配促進型充填材とは、その表面上を、主流れ方向(塔軸方向)に沿って、降下液流と上昇ガス流が対向して流れると同時に、その主流れ方向に対して直角方向に液流とガス流を導いて、それらの混合を促進しつつ気液接触による物質移動が行われる形状・構造を有する規則充填材である。言い替えると、自己分配促進型充填材は、その表面上で主流れ方向(塔軸方向)の流れに伴って、直接的な気液接触を伴った物質移動が行われると同時に、液相および/または気相の混合が塔軸方向に対して直角方向に促進される成形充填剤である。ここで主流れとは、蒸留塔内で塔軸方向に沿って上昇するガス流および下降する液流を意味しており、物質移動の分野で定義される、充填材表面における液流とガス流との界面(すなわち境界層)で生じる物質移動の流れに対しての塔軸方向の流れを意味している。このような自己分配促進型規則充填材は、アルミニウム、銅、アルミニウムと銅の合金、ステンレススチール、各種プラスチック等の薄板を各種規則形状に成形し、これを積層構造のブロック状にしたもので構造化充填材とも称される。
【0018】
本発明では、成形充填材として規則充填材、特に自己分配促進型規則充填材を用いる。促進型規則充填材を使用した場合は、還流液と、上昇するガスの流れとが均一になり、また不規則充填材を用いたときのように液が塔壁側に移動し易いという傾向が比較的少ないので、不規則充填材を不規則充填する場合のように塔径を大きくすると充填高さが高くなるといった欠点がなくなり、ある程度の圧力範囲で生産量に応じて塔径を広い範囲で選択することができる。
【0019】
典型的な自己分配促進型充填材の例を図6、図7、および図8に示す。図6の例は特公昭57−36009号公報のFig.3に開示されたものであり、図7の例は特開平54−16761号公報のFig.1に開示されたものであり、図8の例は特開平54−15554号公報のFig.3に開示されたものである。これらの図はいずれも、自己分配促進型充填材の構成要素である波状薄板の形状を示したもので、厚さ0.1〜0.3mmのアルミニウム等の金属薄板に、直径2〜4mmの小孔(図中符号33)を一定の規則性を有する配置で穿孔した後、この金属薄板を波型に成形したものである。
【0020】
図6に示す自己分配促進型規則充填材30は、波型形状の複数の薄板を、塔軸線に平行に配置し、互いに接触するように積層してブロック状にしたものである。各薄板の波状溝は塔軸線に対して傾斜しており、かつ隣接する薄板はそれらの波状溝が互いに交差するように配置されている。さらに各薄板が垂直になるように配置された状態で、各薄板上には塔軸線に対し直角をなす方向に沿って多数の列を形成して、かつ互いに間隔をおいて多数の孔33が設けられている。このような構造の自己分配促進型規則充填材30においては、波型薄板に設けられた多数の孔33の配置、孔33の大きさ、数等により自己分配促進性能の度合いが異なるので、これらの条件の選択、組み合わせに特徴を有する発明が提案されている。
【0021】
図7は自己分配促進型規則充填材31の構成単位である薄板を示すものである。この例は、薄板を波型に成形して波状溝を形成するとともに、薄板上に、波状溝に対して一定角度を有する微小な波型溝31aを更に設けた点に特徴がある。この場合、波状溝は例えば塔軸線に対して15〜60°、微小な波型溝31aは塔軸線に対して15〜90°の範囲に設定されると有利である。また、微小な波型溝31aの長さと高さは、0.3〜3mmが有利である。
図8の自己分配促進型規則充填材32は、波型薄板上に、波状溝に一定角度を有する微小な波型溝32aが設けられるとともに、この微小な波状溝32aと、これを設けない平滑な部分とが交互に配置されている点に特徴がある。
これらの自己分配促進型規則充填材30,31,32はブロック状であり、これを蒸留塔に充填する際には、塔の断面におけるブロックの載置角度(波型薄板の配置角度)を、1ブロック毎に、あるいは複数個のブロックを積み重ねた一定高さ毎に、一定角度で回転させて積み重ねて行くことが好ましく、そうすれば均一分配の効果を更に向上させることができる。
この種の充填材の各種におけるそれぞれの詳細な形状・構造とその特徴およびその充填法の特徴は、例えば上記3つの公報の他にも特開平58−26997号公報等に紹介されている。
【0022】
このような自己分配促進型規則充填材に対して、非自己分配促進型充填材は、塔軸に垂直な断面方向に液相流と気相流との混合を生ぜしめない形状・構造の規則充填材で、例えば多数の管をプロセス主流れ方向(塔軸方向)に平行に配置したもの、または塔軸方向に平行な凹凸を有する波型薄板を複数枚積層して、ブロック状に形成し、そのブロックを複数個積み重ねたものなどがある。
【0023】
図1は、本発明の安定同位体化合物の分離装置の第1の実施形態のフローダイアグラムである。この装置は、自己分配促進型規則充填材を充填した蒸留塔を用いて、CO中の 13CO を塔底に濃縮するものである。図中、符号11は自己分配促進型充填材を充填した蒸留塔、12は蒸留塔11内を上昇してきた主として12COを凝縮するコンデンサー、13は塔底液(抜き出し液のうち循環する部分)を気化するリボイラーである。
【0024】
この装置において、蒸留塔11内の充填材は、上部のゾーンAとゾーンBに分かれて配置されており、これらの間には液体を捕集し、均一に再配分するためのコレクターとディストリビュータが設置されている。またコレクターおよびディストリビュータは、ゾーンA,B,および後記するC内のそれぞれ適宜の位置にも設けられる。
13CO を1.11%含む12CO主成分の原料ガス (フィードガス)▲1▼は、管14を経て、蒸留塔11の中間部の、塔のゾーンAとゾーンBの中間点に導入される。導入されたフィードガス▲1▼は塔上部より降下してくる還流液と気液接触しながら上昇する。
【0025】
この上昇ガスは、12COが濃縮されながら(13COをストリッピングしつつ)塔頂部に達し、管15から導出された後、分岐されて一部は排ガス▲6▼として管17より系外へ導出される。また分岐された他部は管16よりコンデンサー12へ導入され、コンデンサー12へ供給される寒冷源(供給源図示せず)により凝縮され、還流液▲5▼として管18から蒸留塔11上部へ再導入される。寒冷源としては系外からの液化窒素等を用いることができる。再導入された還流液▲5▼は蒸留塔11内を降下しながら、塔下部からの上昇ガスと気液接触を行い、上昇ガス中の13COを液中に濃縮して塔底に達する。
【0026】
この13COを濃縮した降下液は塔底部に一度溜まるが、管19を経て取り出され(塔底液▲2▼)、一部は管21へ分岐され、残りの他部は管20より製品(缶出液)▲3▼として取り出される。
管21へ分岐された前記塔底液▲2▼の一部は、リボイラー13に導入され、熱源から供給される熱によって気化されて、管22よりリボイルガス▲4▼として前記蒸留塔11の下部に導入される。リボイラー13の熱源としては、プロセスガス、空気、ヒーター等任意のものを用いることが可能である。蒸留塔11内に導入されたリボイルガス▲4▼は充填材表面で前記降下液と気液接触を行いながら蒸留塔11内を上昇する。この上昇ガス中には12COが濃縮され、下降液中には13COが濃縮される。
【0027】
このように、同位体化合物の分離、特に13COと12COの分離に、成形充填材、特に好ましくは自己分配促進型充填材を採用した装置においては、充填材の適切な形状を選択し、適切な比表面積を与えた時の、その充填材についての適切な操作条件の範囲、すなわち密度補正空塔速度および圧力損失を検討することにより、塔径および塔高さを小さくして、処理量の大幅な増加を実現することができる。
【0028】
また、この条件の最適化において、従来から主に使用されてきた計算式は、シーブトレイにおける気液接触および物質移動を前提に組立てられた理論であり、シーブトレイと濡壁塔または充填材が充填された蒸留塔における気液接触のメカニズムの相違が考慮されていなかった。
そこで本発明者等は、規則充填材を充填した蒸留塔の設計を正確に行うために、両者の気液接触のメカニズムの相違を考慮した計算式を求め、この計算式で用いる物性値の正確な値を実験により求め、これにより上記蒸留塔のパラメータをコンピューターシュミレーションにより正確に計算した。
【0029】
具体的には気相のシャーウッド数 として、ShGS に代えて、ShGS(JGS/N)を用い、このシャーウッド数 ShGS(JGS/N)とレイノルズ数 ReG とシュミット数 ScGS との相関関係を、濡れ壁塔における実験で求めた相関データを用いて求めた。そして、これを用いて本発明の方法及び装置におけるプロセスについて数値解析法によりコンピューターシュミレーションを行った。
【0030】
ここで、上記の相関関係は次式で表される。
ShGS(JGS/N) = A1ReG A2・ScGS A3 (1)
ここで、A1,A2,A3,は系によって決まる定数であり、シャーウッド数、レイノルズ数、シュミット数は次式で定義される。
ShGS = Nd/(ρGSDGS△ωGS) (2)
ReG = ρG UG d/μG (3)
ScGS = μ GS /(ρGSDGS) (4)
ただし、
d 濡壁塔の直径 [m]
L 濡壁塔の高さ [m]
D 2成分系の拡散係数 [m2/s]
J 拡散流速 [kg/(m2・s)]
N 質量流束(マスフラックス) [kg/(m2・s)]
μ 粘度 [Pa・s]
ω 物質留分(マスフラクション) [kg/kg]
ΔωGS 濃度のドライビングフォース [-]
U 速度 [m/sec]
ρ 密度 [kg/m3]
ν 表面速度の正方向成分 [m/sec]
<サブスクリプト>
G ガスまたは蒸気相
S 蒸気ー液 界面
【0031】
濡壁塔の塔頂及び塔底の気体の質量流速 Vt および Vb により、13COの平均質量流束 N が次式で与えられる。
N=(VbωGb−VtωGt)/πLd (5)
ここで、ωG は気相の 13CO の質量留分である。NとJの間の関係は下記 の式で表される。
N=JGS + ρGSυGSωGS (6)
ここで ρGSυGS は対流質量流束である。
【0032】
12COと13COの間の潜熱の同位体差は非常に小さいと推定されるので、またヒートロスはスーパーインシュレーションにより非常に小さいと推定されるのでρGSυGS は無視し得る。
そこで、
N = JGS (7)
Vb = Vt (8)
式(1)と(7)から次式が導き出される。
ShGS = A1ReG A2 ・ScGS A3 (9)
平均質量流束Nは式(5)および(8)により得られる次式(10)によって計算される。
N=Vb(ωGbーωGt)/πLd (10)
従って、シャーウッド数は(2)および(10)より得られる式(1)により求められる。また、係数 A1,A2,A3,は実験によって求められる。
【0033】
そして、求められた上記濡壁塔における実験値に基づいた上記式(1)を用いてコンピューターシュミレーションにより上記充填材を用いた場合の蒸留塔の塔径、塔高さ、塔内の圧力、流速、還流比、塔底に濃縮された目的成分の濃度および産出量などについて最適値が求められる。
その結果、従来は、増量採取のためにスケールアップする場合には、塔径約50mm、塔高さ100m程度の細長い塔の塔数を増やす方法を採用していたが、本発明によれば、上記のように、ある特定の圧力範囲では塔の高さを抑えて塔径を太くすることができるので、構成が単純化され、装置のコンパクト化が達成される。
また、自己分配促進型規則充填材を採用することにより、液ホールドアップ量の削減が可能となり、装置起動に要する時間を従来の約半分に減少させることが可能である。
【0034】
次に本発明の第2の実施形態として、既設の装置に本発明による新規の装置をカスケードで連結して13COの増産を可能にした例を図4に従って説明する。
前記図1と同一部分は同一記号を付して説明を省略する。なお既設の装置は複数の蒸留塔で構成されているが、便宜上、一括して1つの既設蒸留塔(符号23)で表す。
この装置は、原料ガス▲1▼を新規蒸留塔11の中間部へ導入する経路14を備え、その塔底液または塔底ガス▲2▼の少なくとも一部を、既存の分離装置の蒸留塔23の中間部へ供給する経路20と該既存の装置の排ガスを蒸留塔11の中間部へ戻す管25を備えている。
また新規蒸留塔11内の充填材は、3つのゾーンA,B,およびCに分かれて配置されており、これら各ゾーンの間、および各ゾーン内の適宜の位置に液体を捕集し、均一に再配分するためのコレクターとディストリビュータがそれぞれ設置されている。
【0035】
この装置では、管20にポンプ26が設けられ、これによって新規蒸留塔11の塔底液または塔底ガス▲2▼の一部(缶出液または缶出ガス)▲3▼’が既設蒸留塔23の中間部へ導入され、この塔内で既知の手法による蒸留がさらに行われ、塔底より管24を経て、13COがさらに濃縮された製品▲7▼が導出される。また既設蒸留塔23の上部からは管25を経て帰還ガス▲8▼が前記蒸留塔11のゾーンBとゾーンCの中間部に導入される。この帰還ガス▲8▼の導入個所は蒸留塔11の前記フィードガス▲1▼の導入部と塔底との中間部であって、帰還ガス▲8▼中の13CO濃度とほぼ同一濃度の13COガス組成となっている個所である。
この帰還ガス▲8▼の導入個所における13CO濃度は、前述の詳細な設計による新規蒸留塔11内の13CO濃度分布の計算によって求められ、帰還ガス▲8▼の濃度と導入個所の濃度が一致するようにする。
帰還ガス▲8▼の流量は、塔底液の一部(缶出液)▲3▼’の流量から製品▲7▼の流量を引いた値であり、帰還ガス▲8▼の流量および塔底液の一部(缶出液)▲3▼’の流量はともに、前記蒸留塔11内の上昇ガス量あるいは還流液量に較べて小さいため、前記蒸留塔11内の圧力分布や濃度分布等にはあまり大きく影響しない。
【0036】
図5は、既設の蒸留塔23に、カスケードにより本発明による新規蒸留塔11を付設する場合の他の接続例を示す。
この装置は原料ガス▲1▼を新規蒸留塔11の中間部へ導入する経路14を備え、その塔底液または塔底ガス▲2▼の少なくとも一部(缶出液)▲3▼’を、既存の分離装置の蒸留塔23の上部へ供給する経路20aと該既存の装置の排ガスを蒸留塔11の下部へ戻す経路25aを備えている。
前記図4と比べて相違する部分は、新規蒸留塔11の塔底液▲2▼の一部(缶出液)▲3▼’を既設の蒸留塔23の塔頂部へ供給してこの蒸留塔23の還流液とし、この蒸留塔23の塔頂より排出される帰還ガス▲8▼を新規蒸留塔11の塔下部へ導入してこの蒸留塔11の上昇ガスとした点である。
【0037】
【実施例】
以下、具体的な実施例を示して本発明の効果を明らかにする。
(ケース1〜3)
図1に示した装置を用い、表1に示す条件によりコンピュータシュミレーションを行った。
用いた充填材の比表面積は、ケース1では500m2/m3、ケース2では750m2/m3、ケース3では900m2/m3とし、塔径は0.305mで一定とし、充填材の充填高さは150mで一定とし、原料であるフィードガス▲1▼は13CO1.11%、流量0.05mol/s 程度とし、製品▲3▼の収量はフィードガス量の約10%とし、排ガス▲6▼の圧力は0.81bar とした。
【0038】
【表1】
【0039】
リボイラーのヒータ容量、それに伴う上昇ガスの流量、圧力損失などは運転条件として最適化した。即ち、リボイラーのヒータ容量、還流液量等を変化させ、当該充填材の圧力損失の特性を考慮してシュミレーションを行い、最適運転となる場合の条件を求めた結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】
12CO/13COの比揮発度は圧力により変化することが知られている。即ち、操作圧力が下がれば比揮発度は大となり分離しやすくなる。低い操作圧力で運転したほうが分離し易くなり操作条件としては有利である。
自己分配促進型規則充填材を用いた場合の圧力損失は1塔当たりで約0.1bar、大きい場合でも0.4bar 程度であり、これは不規則充填材を用いた場合の圧力損失の約1barに比べて格段に小さくなる。
従って、本発明の蒸留塔における操作圧力は、全域にわたって大気圧力付近または大気圧力以下にすることができる。すなわち、0.8bar〜1.2barの操作圧力範囲内にすることができ、圧力損失の大きい場合でも0.8bar〜1.5barの操作圧力範囲にすることができる。
【0042】
表1および表2に示すように、充填材の比表面積を500、750および900m2/m3と変えた場合に、蒸留塔の最適な運転条件において製品中の13COの濃度は、それぞれ4.24%,5.93%,5.97%となった。充填材の比表面積750および900m2/m3において製品収量はほぼ飽和状態となり、これ以上の比表面積を有する充填材を使用しても同等の収率を得ようとするとフラッデングを生じ易くなるため、最適な比表面積は500〜1000m2/m3、より好ましくは750〜1000m2/m3程度の間にあることがわかる。
【0043】
また、上記シュミレーションでは、密度換算空塔速度 FSを、2.0m/s(kg/m3)1/2以下の範囲で検討している。これは、この値以上ではフラッデングを生じることが確かめられたためである。
また図1におけるリボイルガス▲4▼と製品▲3▼の比、即ちボイルアップ量と製品量との比をとると、ケース1においては1706、ケース2においては1479、ケース3においては932である。従って、ボイルアップ量と製品量との比は900〜2000程度の範囲に最適値がある。
【0044】
またこの蒸留塔11内には液体を捕集し、均一に再配分するための装置としてコレクターとディストリビュータが設置されているが、ここに溜まる液体を考慮した場合でも蒸留塔内の液体ホールドアップ量は約10〜15%となる。この値は従来法の約半分であり、したがって従来約150日を要していた起動時間を約半分に短縮出来る。これは、生産コストおよび生産計画上、大きなメリットとなる。
【0045】
規則充填材を充填した前記蒸留塔11の運転条件のうち、充填材の比表面積750m2/m3の場合について、製品中の13CO濃度が一定となるような場合の塔直径と塔高さの関係、及びそれに対応する塔直径とリボイラーの必要熱量の関係を検討した結果をそれぞれ図2及び図3に示す。他の運転条件は表1に示す値と同じである。
【0046】
図3から判るように、塔径を大きくすることにより、蒸留塔11の運転条件としては、リボイラーの熱容量をほぼ塔径に比例して大きくすることができる。これにより、ボイルアップ流量と製品流量の比を大きくできるので、図2に示すように、製品中の13CO濃度一定の条件において、塔径の増加に従って塔高さが低くなっていく。しかし、塔高さを低くするためには塔径0.4m以上では余り効果が無いことが判る。
つまり、図1に示す装置の場合、塔径として0.25〜0.5m、好ましくは0.3〜0.4mの範囲が最適であることが分かる。但し、生産量をより多くする必要がある場合は、ある特定の圧力範囲において、塔径を大きくし、塔の高さを増すこと無しに、製品を増量採取することが可能である。
【0047】
これらの実施例は生産量0.05mol/s 程度の規模の蒸留塔11を設置する場合の、この蒸留塔のパラメータを求めたものであるが、天然存在比の1.11%の 13C Oを濃縮する装置の一般的緒元としても用いることができる。即ち全プロセスを設置する場合の蒸留塔のパラメータを求める場合、上記データをベースにして再度計算を行うことができる。
【0048】
(ケース4,5)
本ケースは、操作圧力を上記ケース1〜3よりも増加させた場合についての実施例である。操作圧力を増大させることによって、塔径を減少させ、コストの削減を図ることが可能である。
上記ケース1〜3と同様に図1に示す装置を用い、下記表3に示す条件でコンピュータによるシュミレーションを行った。
【0049】
【表3】
【0050】
用いた充填材の比表面積はケース4およケース5ともに750m2/m3とし、塔径はそれぞれ0.270m、0.255m、塔の高さはそれぞれ165m、183mとした。原料であるフィードガス▲1▼は13COを1.11%含有するCOガスであり、流量は約0.05mol/sとし、製品ガス▲3▼の流量はフィードガス量の約10%とし、排ガスの圧力は0.81barとした。
上記ケース1〜3と同様にしてコンピュータシュミレーションを行った。その結果得られた最適運転の条件を各表4に示す。
【0051】
【表4】
【0052】
表4の結果より、操作圧力を増加させることによって径を小さくすることができたが、塔の高さが若干高くなった。
さらに、塔のホールドアップ量が減少し、したがって起動に要する時間も短縮された。
【0053】
(ケース6)
図4に示す装置を用いて13COの生産を行った。すなわち、生産量を増大するため、前記ケース2に相当する自己分配促進型充填材を充填した新規蒸留塔11を既設の蒸留塔23に一本付加し、カスケード連結した。
既設の蒸留塔23のみによる生産においては、1.11%13CO原料が0.0044mol/s フィードされ、99%以上の13CO製品が0.000022mol/s 生産されている。
そして新規蒸留塔11を付設したことにより、 13CO は10倍程度増産できた。この時の運転条件は表1及び表2に示した値とほぼ同じである。
実験条件を下記表5に示す。なお、下記表5は新規蒸留塔11の諸元のみを示したものである。
【0054】
【表5】
【0055】
表5の条件において、コンピュータシュミレーションにより、蒸留塔11の運転パラメータの最適範囲を計算した結果、圧力範囲0.8〜1.5bar、ボイルアップ量と塔底液の一部(缶出液)▲3▼’の缶出量との比は900〜2 000、密度補正空塔速度2.0m/s(kg/m3)1/2以下、好ましくは1.2m/s(kg/m3)1/2 以下の範囲であった。
【0056】
この時の新規蒸留塔11における液体ホールドアップ量は5%程度でありデストリビュータにおける液体ホールドアップ量を加えても15%以下である。
【0057】
またこの方法は、前記蒸留塔11を設置し、運転を開始し、製品を取り出すまでの間、既設の蒸留装置を停止する必要がない。
即ち、新規蒸留塔11へ原料ガス▲1▼を導入し、コンデンサー12とリボイラー13の運転を開始した時点において、既設蒸留塔23へ13CO濃度1.11%の原料ガスをフィードしていたものと、塔底液(またはガス)の一部(缶出液または缶出ガス)▲3▼’の液(またはガス)とを切り換える。この時塔底液(またはガス)の一部▲3▼’の13CO濃度は1.11%であっても良く、前記蒸留塔11により次第に13COが濃縮されてくるので、この濃度を計測することにより、製品▲7▼の13CO純度を保持しつつ該製品▲7▼の流量を徐々に大きくして行くことができる。
実験結果(計算結果)の詳細を表6に示す。
【0058】
【表6】
【0059】
以上の実験結果および計算結果から、既設の蒸留装置に、高さ150m、内径30.5cmの自己分配促進型規則充填材を充填した新規の蒸留塔を一本付設することにより、13COの生産量を10倍にすることができることが確認できた。
【0060】
このように、12COと13COの蒸留分離を行うに際して、成形充填材を規則充填した蒸留塔、または規則充填材を用いた蒸留塔により、特に自己分配促進型充填材を充填した蒸留塔により蒸留を行うことによって、
・塔径を処理量に応じて大きくできるようになった。
・蒸留塔の径を大きくして処理量を増加する際に、従来法では塔径に合った不規則充填材の種類の選定が必要であったのに比べて、その必要がなく、設計の自由度が大きくなった。また、偏流等による蒸留効率の低下が従来に比べて大きく改善されたため、塔内の圧力が約1barの場合には塔径の増大に応じて塔高さを高くすることを考慮する必要がなくなった。また蒸留塔の圧力がこれより大きい場合には、塔高さは若干高くなる。
・圧力損失を低く抑えることができて蒸留操作圧力を低くでき、従って分離係数を大きくすることができて、蒸留効率を上げることが出来た。これにより操作が容易になった。
・密度補正空塔速度を、1.7m/s(kg/m3)1/2以下、好ましくは1.2m/s(kg/m3)1/2以下になるように運転することにより、フラッデイン グあるいは大きな圧力損失無しに、蒸留塔を運転することができることが分かった。
・液体ホールドアップ量を15%以下に抑えることができ、運転開始から製品取り出しまでの起動時間を従来の約半分に短縮できた。
【0061】
また12CO/13CO系同位体の蒸留分離において、自己分配促進型規則充填材を用いた新規蒸留装置をカスケードとして付加して増産する場合のプロセス設計が可能となった。この場合、既存の蒸留分離装置に促進型規則充填材を用いた新規装置を連設し、製品を取り出すまで間、既存装置を停止することなく、増産して行くことができる。
さらに、構造化充填材(自己分配促進型規則充填材)を装填した1つの蒸留塔よりなる新規装置を既設の装置に付設することにより装置トータルとして、約10倍の製品13COを製造できるようになった。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ある特定の圧力範囲において塔径を処理量に応じて大きくすることができる。そして塔径の変化に応じて充填材の選定が必要でなく、塔高さを高くする必要もない。したがって、コンパクトな装置により、安定同位体原子を含む化合物を含むガス混合物または混合液から、その安定同位体原子を含む化合物を分離することができ、増産に伴うコストの低減化を達成できる。
また装置がコンパクトであるので、液ホールドアップ量を少なくし、より短時間で起動し定常状態運転に入ることができる。さらに圧力損失を低く抑えることができて蒸留操作圧力を低くでき、従って分離係数を大きくすることができて、蒸留効率を上げることができる。これにより操作が容易になる。
また本発明によれば、自己分配促進型充填材を用いた新規の蒸留塔を加えて、処理量を増大させるための最適プロセスの設計が可能となる。したがって既存装置を大幅に変更せず、これを用いて増産を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 自己分配促進型規則充填材を充填した蒸留塔を備えた蒸留装置の例のフローダイアグラムである。
【図2】 自己分配促進型規則充填材を充填した蒸留塔の塔径と塔高さの関係を示すグラフである。
【図3】 自己分配促進型規則充填材を充填した蒸留塔のリボイラーの加熱量と塔径の関係を示すグラフである。
【図4】 既設の蒸留装置に新規蒸留塔を付設する場合の一接続例を示すフローダイアグラムである。
【図5】 既設の蒸留装置に新規蒸留塔を付設する場合の他の接続例を示すフローダイアグラムである。
【図6】 自己分配促進型規則充填材の一例を示す斜視図である。
【図7】 自己分配促進型規則充填材の他の例を示す斜視図である。
【図8】 自己分配促進型規則充填材の他の例を示す斜視図である。
【図9】 従来の13COを分離するための蒸留装置の例のフローダイアグラムである。
【符号の説明】
11…蒸留塔、12…コンデンサー、13…リボイラー、
14,15,16,17,18,19,20,21,22,24,25…管、
23…既設蒸留塔。
Claims (10)
- 安定同位体原子を含む安定同位体化合物を含有するガス混合物または混合液を液化蒸留して、前記安定同位体化合物を分離する蒸留塔を備え、該蒸留塔に、構造化充填材が充填されている本装置と、
少なくとも1個の蒸留塔を有し、安定同位体化合物を分離する、他の装置とを備え、原料ガスを本装置の蒸留塔の中間部へ導入する経路と、その蒸留塔の塔底液または塔底ガスの少なくとも一部を、他の装置の少なくとも1個の蒸留塔の中間部へ供給する経路と、他の装置の排ガスを本装置の蒸留塔の塔底と前記原料ガスを供給する段との間の段へ戻す経路を備えていることを特徴とするカスケード式安定同位体化合物の分離装置。 - 安定同位体原子を含む安定同位体化合物を含有するガス混合物または混合液を液化蒸留して、前記安定同位体化合物を分離する蒸留塔を備え、該蒸留塔に、構造化充填材が充填されている本装置と、
少なくとも1個の蒸留塔を有し、安定同位体化合物を分離する、他の装置とを備え、原料ガスを本装置の蒸留塔の中間部へ導入する経路と、その蒸留塔の塔底液または塔底ガスの少なくとも一部を、他の装置の少なくとも1個の蒸留塔の上部へ供給する経路と、他の装置の排ガスを本装置の蒸留塔の下部へ戻す経路を備えたことを特徴とするカスケード式安定同位体化合物の分離装置。 - 前記安定同位体原子が 13 Cであり、前記安定同位体化合物が 13 COであることを特徴とする請求項1または2に記載のカスケード式安定同位体化合物の分離装置。
- 前記塔底液または塔底ガス中の13COの濃度が10%以下であることを特徴とする請求項3に記載のカスケード式安定同位体化合物の分離装置。
- 本装置における蒸留塔の液のホールドアップ量が15%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のカスケード式安定同位体化合物の分離装置。
- 前記構造化充填材が、一定の規則性を有する配置で穿孔された小孔を有する、複数の波状薄板が、互いに接触するように、かつ隣接する波状薄板の波状溝が互いに交差するように積層されたブロック状の充填材であり、該構造化充填材が、前記本装置の蒸留塔に、各波状薄板が塔軸に平行となるように、かつ各波状薄板の波状溝が塔軸線に対して傾斜するように充填されていることを特徴とする請求項1または2に記載のカスケード式安定同位体化合物の分離装置。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の分離装置を用いて、安定同位体原子を含む安定同位体化合物を含有するガス混合物または混合液を液化蒸留して、前記安定同位体化合物を分離する方法。
- 蒸留中の、前記本装置の蒸留塔内の密度補正空塔速度が、2.0m/s(kg/m3)1/2以下であることを特徴とする請求項7記載の安定同位体化合物の分離方法。
- 蒸留中の、前記本装置の蒸留塔内の圧力が、0.8bar以上3.0bar以下の範囲内であることを特徴とする請求項7記載の安定同位体化合物の分離方法。
- 蒸留中の、前記本装置の蒸留塔におけるボイルアップ量と缶出量との比が、900以上2000以下の範囲内であることを特徴とする請求項7記載の安定同位体化合物の分離方法。
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