本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、この発明の実施の形態によるアレーアンテナの概略図である。この発明の実施の形態によるアレーアンテナ10は、空洞導体1と、複数のスロット線路SL1〜SL7と、可変容量素子VC1〜VC7と、制御回路2とを備える。
なお、図1においては、7本のスロット線路SL1〜SL7および7個の可変容量素子VC1〜VC7が図示されているが、実際には、アレーアンテナ10は、12本のスロット線路SL1〜SL12および12個の可変容量素子VC1〜VC12を備える。
空洞導体1は、略円筒形状を有し、銅(Cu)からなる。そして、空洞導体1は、共振器または導波路として機能する。スロット線路SL1〜SL7の各々は、空洞導体1の回転軸方向DR1に沿って空洞導体1の外周面1Aに配設される。そして、スロット線路SL1〜SL7の各々は、アレーアンテナ10が送受信する電波の波長をλとした場合、約λ/2の長さLを有する。
可変容量素子VC1〜VC7は、それぞれ、スロット線路SL1〜SL7に装荷される。
制御回路2は、可変容量素子VC1〜VC7の各々に制御電圧CTLVを供給してアレーアンテナ10のアンテナ特性を制御する。
図2は、図1に示す線II−II間におけるアレーアンテナ10の断面図である。アレーアンテナ10は、給電素子3をさらに備える。給電素子3は、空洞導体1の内部に配設され、回転軸方向DR1にスパイラル状に形成される。そして、給電素子3は、同軸ケーブル4を介して給電回路(図示せず)に接続されている。
図3は、回転軸方向DR1から見たアレーアンテナ10の平面図である。図3に示すように、アレーアンテナ10は、12本のスロット線路SL1〜SL12を備える。そして、12本のスロット線路SL1〜SL12は、空洞導体1の外周面1Aに等間隔に配置され、それぞれ、可変容量素子VC1〜VC12が装荷される。
したがって、隣接する2つのスロット線路と、給電素子3とからなる扇形状の中心角は30度である。
給電素子3は、空洞導体1の中心に配置される。スロット線路SL1〜SL12が形成された部分には、導体が存在しないので、給電素子3は、12本のスロット線路SL1〜SL12を介して空洞導体1の外部へ電磁波を放射可能である。
図4は、可変容量素子VC1の構成を示す図である。可変容量素子VC1は、2つのバラクタダイオードBD1,BD2からなる。バラクタダイオードBD1,BD2は、スロット線路SL1の両側に存在する導体11,12(空洞導体1)間に逆直列に接続される。そして、制御回路2は、バラクタダイオードBD1とバラクタダイオードBD2との間のノードN1に制御電圧CTLVを供給する。
このように、逆直列に接続された2つのバラクタダイオードBD1,BD2間に制御電圧CTLVを供給することによって、2つのバラクタダイオードBD1,BD2に同時に同じ電圧を印加でき、可変容量素子VC1の容量を容易に制御できる。
図5は、図1に示すアレーアンテナ10の作製工程を示す図である。プリント基板等の誘電体13の一主面13Aに銅箔14を形成する(図5の(a)参照)。そして、銅箔14を等間隔で所定の幅にわたってエッチングして12本のスロット線路SL1〜SL12を形成する(図5の(b)参照)。
引き続いて、誘電体13をスロット線路SL1〜SL12が外側になるように円形に曲げ、筒状の空洞導体1を作製する(図5の(c)参照)。そして、筒状の空洞導体1の両端面を塞ぐための円形の2つのプリント基板上に図5の(a)に示すように銅箔14を形成する。そして、銅箔14を形成した円形の2つのプリント基板のうち、一方のプリント基板は、筒状の空洞導体1の一方の端面を塞ぐ。また、他方のプリント基板には、給電素子3を取り付け、給電素子3を取り付けたプリント基板によって筒状の空洞導体1の他方の端面を塞ぐ。そして、12本のスロット線路SL1〜SL12に可変容量素子VC1〜VC12を取り付ける。これによって、アレーアンテナ10が完成する。
図6は、スロット線路からの電波の放射の有無を示す概念図である。導体15中に形成されたスロット線路16を考えると、スロット線路16が導体15を流れる電流の方向と平行に配置される場合、電波はスロット線路16から放射しない(図6の(a)参照)。
一方、スロット線路16が導体15を流れる電流の方向と直交する場合、電波はスロット線路16から放射する(図6の(b)参照)。
次に、棒形状からなる給電素子17が略円筒形状の空洞導体18の内部に配設された場合を考えると、給電素子17は、空洞導体18の円周方向を向いた磁界と、空洞導体18の外周面18A上で回転軸方向DR1を向いた電界とを有する電波を放射する。
そうすると、電流は、空洞導体18の外周面18Aでは回転軸方向DR1に流れ、空洞導体18の円筒端面18B上では径方向DR2に流れる。
その結果、空洞導体18の外周面18A上に形成されたスロット線路19,20のうち、スロット線路19は、電流と平行であり、スロット線路20は、電流と直交するので、電波はスロット線路19から放射せず、スロット線路20から放射する。
また、空洞導体18の円筒端面18B上に形成されたスロット線路21,22のうち、スロット線路21は、電流に平行であり、スロット線路22は、電流に直交するので、電波は、スロット線路21から放射せず、スロット線路22から放射する(図6の(c)参照)。
このように、スロット線路は、電流の方向(すなわち、電界の方向)と交われば、電波を放射する。
図1に示すアレーアンテナ10においては、スロット線路SL1〜SL12は、図6の(c)に示すスロット線路19と同じように空洞導体1の外周面1Aに配設されるが、給電素子3は、回転軸方向DR1へスパイラル状に形成されているので、スロット線路SL1〜SL12は、給電素子3から放射された電波の電界方向と交わる。
したがって、アレーアンテナ10においては、電波はスロット線路SL1〜SL12から放射する。
次に、アレーアンテナ10における指向性の制御について説明する。
制御回路2は、可変容量素子VC1〜VC12の各々を構成するバラクタダイオードBD1,BD2間のノードN1に電圧を供給することによってアレーアンテナ10の指向性を切換える。この場合、制御回路2は、ノードN1に電圧V1または電圧V2を供給する。
電圧V1,V2は、それぞれ、0V,20Vからなるとする。制御回路2が可変容量素子VC1のノードN1に電圧V1=0Vを供給すると、2つのバラクタダイオードBD1,BD2は、短絡に近い状態になり、スロット線路SL1は励振しない。一方、制御回路2が可変容量素子VC1のノードN1に電圧V2=20Vを供給すると、2つのバラクタダイオードBD1,BD2は、開放に近い状態になり、スロット線路SL1は励振する。
したがって、可変容量素子VC1〜VC12の12個のノードN1に供給する電圧セットVVC1〜VVC12のパターンを変えることによってアレーアンテナ10の指向性を切換えることができる。
図7は、アレーアンテナ10の指向性の切換えを示す概念図である。制御回路2は、20Vからなる電圧VVC1〜VVC3をそれぞれ可変容量素子VC1〜VC3のノードN1に供給し、0Vからなる電圧VVC4〜VVC12をそれぞれ可変容量素子VC4〜VC12のノードN1に供給する。
そうすると、可変容量素子VC1〜VC3のバラクタダイオードBD1,BD2が開放に近い状態になってスロット線路SL1〜SL3は励振し、可変容量素子VC4〜VC12のバラクタダイオードBD1,BD2が短絡に近い状態になってスロット線路SL4〜SL12は励振しない。
その結果、アレーアンテナ10は、給電素子3からスロット線路SL2への方向を中心にして電波を放射する(図7の(a)参照)。
また、制御回路2が20Vからなる電圧VVC3〜VVC5をそれぞれ可変容量素子VC3〜VC5のノードN1に供給し、0Vからなる電圧VVC1,VVC2,VVC6〜VVC12をそれぞれ可変容量素子VC1,VC2,VC6〜VC12のノードN1に供給すると、可変容量素子VC3〜VC5のバラクタダイオードBD1,BD2が開放に近い状態になってスロット線路SL3〜SL5は励振し、可変容量素子VC1,VC2,VC6〜VC12のバラクタダイオードBD1,BD2が短絡に近い状態になってスロット線路SL1,SL2,SL6〜SL12は励振しない。
その結果、アレーアンテナ10は、給電素子3からスロット線路SL4への方向を中心にして電波を放射する(図7の(b)参照)。
図7の(a)に示す電波の放射方向と、図7の(b)に示す電波の放射方向とは、相互に、アレーアンテナ10を空洞導体1の円周方向へ回転させた関係になる。したがって、アレーアンテナ10は、アンテナを機械的に円周方向へ回転させるのと同じ効果を電気的に得られる。
次に、電圧VVC1〜VVC12の各々を構成する電圧値が0V,20Vの2値からなる場合と、所定の電圧範囲において連続的に切換えられる場合とにおけるアレーアンテナ10から放射されるビーム形状の違いについて説明する。
図8は、2値の電圧値によってビーム形状を制御した場合の概念図である。図9は、多値の電圧値によってビーム形状を制御した場合の概念図である。20Vからなる電圧VVC1〜VVC3をそれぞれ可変容量素子VC1〜VC3のノードN1に供給し、0Vからなる電圧VVC4〜VVC12をそれぞれ可変容量素子VC4〜VC12のノードN1に供給すると、給電素子3からスロット線路SL2への方向を中心としたビームBM1がアレーアンテナ10から放射する(図8参照)。
一方、連続値からなる電圧VVC1〜VVC12のセットを可変容量素子VC1〜VC12の12個のノードN1に供給すると、ビームBM2がアレーアンテナ10から放射する(図9参照)。ビームBM2は、ビームBM1と同じように、給電素子3からスロット線路SL2への方向を中心とするビームであるが、ビームBM1よりもビーム幅が狭い。また、ビームBM2は、干渉波の方向DR3,DR4にヌルを有する。
このように、可変容量素子VC1〜VC12の12個のノードN1に供給する電圧VVC1〜VVC12のセットを2値からなる電圧セットパターンまたは多値からなる電圧セットパターンに制御することによって、アレーアンテナ10から放射されるビーム形状を制御できる。
なお、電圧VVC1〜VVC12の各々を2値に制御することは、可変容量素子VC1〜VC12の各々の容量を2値に制御することに相当し、電圧VVC1〜VVC12の各々を多値に制御することは、可変容量素子VC1〜VC12の各々の容量を多値に制御することに相当する。
更に、励振させるスロット線路数の違いによるビーム形状の違いについて説明する。図10は、励振させるスロット線路数を相対的に多くした場合のビーム形状を示す図であり、図11は、励振させるスロット線路数を相対的に少なくした場合のビーム形状を示す図である。
20Vからなる電圧VVC2〜VVC4を可変容量素子VC2〜VC4のノードN1に供給し、0Vからなる電圧VVC1,VVC5〜VVC12を可変容量素子VC1,VC5〜VC12のノードN1に供給すると、スロット線路SL2〜SL4が励振し、スロット線路SL1,SL5〜SL12が励振せず、図10に示すようにビームBM3がアレーアンテナ10から放射される。この場合、ビームBM3の方向は、給電素子3からスロット線路SL3への方向である。また、空洞導体1の半径をRとし、扇形23の中心角をθ1とし、扇形23の面積をS1とすると、S1=(R2θ1)/2となる。
一方、20Vからなる電圧VVC3を可変容量素子VC3のノードN1に供給し、0Vからなる電圧VVC1,VVC2,VVC4〜VVC12を可変容量素子VC1,VC2,VC4〜VC12のノードN1に供給すると、スロット線路SL3が励振し、スロット線路SL1,SL2,SL4〜SL12が励振せず、図11に示すようにビームBM4がアレーアンテナ10から放射される。この場合、ビームBM4の方向は、ビームBM3と同じように給電素子3からスロット線路SL3への方向である。また、扇形24の中心角をθ2とし、扇形24の面積をS2とすると、S2=(R2θ2)/2となる。
ビームBM3は、ビームBM4よりもビーム幅が狭い。また、中心角θ1は、中心角θ2よりも大きいので、面積S1は、面積S2よりも大きい。
したがって、電波を放射するスロット線路数を増加させた場合、すなわち、電波が放射する開口部の面積を大きくした場合、ビーム幅が相対的に狭いビームをアレーアンテナ10から放射できる。
上述したように、12本のスロット線路SL1〜SL12のうち、励振させるスロット線路を変えることにより、アレーアンテナ10の指向性を切換えることができ、可変容量素子VC1〜VC12に供給する電圧VVC1〜VVC12の電圧値を2値と多値との間で変えることによりビーム形状を制御でき、更に、励振させるスロット線路数を変えることによってもビーム形状を制御できる。
つまり、アレーアンテナ10においては、可変容量素子VC1〜VC12に供給する電圧VVC1〜VVC12のセットを制御することによりアンテナ特性を制御できる。
[給電素子の変形例]
図12は、図2に示す給電素子3の第1の変形例を示す図である。アレーアンテナ10は、給電素子3に代えて給電素子3Aを備えていてもよい。給電素子3Aは、給電部材31,32からなる。給電部材31は、一方端が同軸ケーブル4に接続され、空洞導体1の回転軸方向DR1に沿って配置される。給電部材32は、一方端が給電部材31に連結され、空洞導体1の径方向DR2に沿って配置される。
給電素子3Aから放射される電波の電界は、給電部材32により空洞導体1の周方向を向いているので、スロット線路SL1〜SL12は、電界と直交する。したがって、給電素子3Aを用いた場合も、スロット線路SL1〜Sl12は、電波を放射可能である。
図13は、図2に示す給電素子3の第2の変形例を示す図である。アレーアンテナ10は、給電素子3に代えて給電素子3Bを備えていてもよい。給電素子3Bは、図12に示す給電素子3Aの給電部材32を給電部材321〜332に代えたものであり、その他は、給電素子3Aと同じである。なお、図13においては、12本の給電部材321〜332のうち、2本の給電部材321,332のみが図示されている。
給電素子3Bは、スロット線路SL1〜SL12と同数の給電部材321〜332を含むことを特徴とする。そして、給電部材321〜332の各々は、その一方端が給電部材31に連結され、空洞導体1の径方向DR2に沿って配置される。つまり、給電部材321〜332は、給電部材31を中心にして径方向DR2に放射状に配置される。
この場合、給電部材321〜332は、それぞれ、スロット線路SL1〜SL12に対向して配置されてもよく、給電部材321〜332の各々が、隣接する2つのスロット線路間に対向するように配置されてもよい。
給電素子3Bを用いた場合も、給電素子3Aを用いた場合と同様に、スロット線路SL1〜SL12は、電波を放射可能である。そして、給電素子3Bを用いた場合には、励振するスロット線路の回転対称性を維持できる。
図14は、図2に示す給電素子3の第3の変形例を示す図である。アレーアンテナ10は、給電素子3に代えて給電素子3Cを備えていてもよい。この場合、アレーアンテナ10は、散乱体33をさらに備える。
給電素子3Cは、その一方端が同軸ケーブル4に連結される。そして、給電素子3Cは、棒形状からなり、空洞導体1の回転軸方向DR1に沿って配置される。散乱体33は、金属または誘電体からなり、給電素子3Cとスロット線路SL1〜SL12との間に配置される。
給電素子3Cから放射された電波は、散乱体33で散乱されてスロット線路SL1〜SL12に到達する。したがって、空洞導体1の外周面上では、電波の電界は、スロット線路SL1〜SL12と交わる。その結果、スロット線路SL1〜SL12は、電波を放射可能である。
[アレーアンテナの変形例]
図15は、アレーアンテナの他の概念図である。この発明の実施の形態によるアレーアンテナは、図15に示すアレーアンテナ10Aであってもよい。アレーアンテナ10Aは、図1に示すアレーアンテナ10のスロット線路SL1〜L12および可変容量素子VC1〜VC12をそれぞれスロット線路SL21〜SL32および可変容量素子VC21〜VC32に代えたものであり、その他は、アレーアンテナ10と同じである。
スロット線路SL21〜SL32は、空洞導体1の円筒端面1B上に放射状に配置される。可変容量素子VC21〜VC32は、それぞれ、スロット線路SL21〜SL32に装荷される。そして、可変容量素子VC21〜VC32の各々は、図4に示す可変容量素子VC1と同じ構成からなる。
また、アレーアンテナ10Aは、上述した給電素子3,3A,3B,3Cのいずれかを備える。なお、アレーアンテナ10Aは、給電素子3Cを備える場合、図14に示す散乱体33も備える。
したがって、給電素子(給電素子3,3A,3B,3Cのいずれか)から放射された電波の電界は、スロット線路SL21〜SL32と交わり、アレーアンテナ10Aは、スロット線路SL21〜SL32が空洞導体1の径方向に沿って配置されていてもスロット線路SL21〜SL32から電波を放射可能である。
アレーアンテナ10Aにおいては、可変容量素子VC21〜VC32の12個のノードN1に印加する電圧のパターンを制御することにより、各種のビーム形状が斜め上方へ放射される。
図16は、アレーアンテナの更に他の概念図である。また、図17は、図16に示す線XVII−XVII間におけるアレーアンテナの断面図である。この発明の実施の形態によるアレーアンテナ10Bは、アレーアンテナ10のスロット線路SL1〜SL12および可変容量素子VC1〜VC12の配置方向を変え、給電素子3を給電素子3Cに代えたものであり、その他は、アレーアンテナ10と同じである。
アレーアンテナ10Bにおいては、スロット線路SL1〜SL12は、空洞導体1の回転軸AXと所定の角度を成すように外周面1A上に配置される。給電素子3Cは、空洞導体1の外周面1A上において電流が回転軸方向DR1に流れる電界を発生させるが、スロット線路SL1〜SL12は、回転軸方向DR1と所定の角度を成すので、外周面1A上を流れる電流と交わる。その結果、アレーアンテナ10Bは、スロット線路SL1〜SL12から電波を放射可能である。
なお、アレーアンテナ10Bにおいては、給電素子3Cに代えて給電素子3,3A,3Bのいずれかを用いてもよく、図14に示す散乱体33を追加してもよい。
図18は、アレーアンテナの更に他の概念図である。この発明の実施の形態によるアレーアンテナは、図18に示すアレーアンテナ10Cであってもよい。アレーアンテナ10Cは、アレーアンテナ10のスロット線路SL1〜SL12、可変容量素子VC1〜VC12および給電素子3をそれぞれスロット線路SL41〜SL52、可変容量素子VC41〜VC52および給電素子3Cに代えたものであり、その他は、アレーアンテナ10と同じである。
なお、図18においては、スロット線路SL41〜SL52のうち、スロット線路SL41〜SL46を示し、可変容量素子VC41〜VC52のうち、可変容量素子VC41〜VC46を示す。
スロット線路SL41〜SL52は、空洞導体1の外周面1A上に回転軸方向DR1に直交するように配置される。可変容量素子VC41〜VC52は、それぞれ、スロット線路SL41〜SL52に装荷される。そして、可変容量素子VC41〜VC52の各々は、図4に示す可変容量素子VC1と同じ構成からなる。
給電素子3Cは、空洞導体1の外周面1A上において電流が回転軸方向DR1に流れる電界を発生するが、スロット線路SL41〜SL52は、外周面1Aを流れる電流と直交するので、アレーアンテナ10Cは、スロット線路SL41〜SL52から電波を放射可能である。
なお、アレーアンテナ10Cにおいては、給電素子3Cに代えて給電素子3,3A,3Bのいずれかを用いてもよく、図14に示す散乱体33を追加してもよい。
図19は、アレーアンテナの更に他の概念図である。この発明の実施の形態によるアレーアンテナは、図19に示すアレーアンテナ10Dであってもよい。アレーアンテナ10Dは、アレーアンテナ10のスロット線路SL1〜SL12、可変容量素子VC1〜VC12および給電素子3をそれぞれスロット線路SL61〜SL66、可変容量素子VC61〜VC66および給電素子3Cに代えたものであり、その他は、アレーアンテナ10と同じである。
なお、図19においては、給電素子3Cは省略されている。
スロット線路SL61〜SL63は、空洞導体1の円筒端面1B上に、相互に略平行に配置される。また、スロット線路SL64〜SL66は、空洞導体1の円筒端面1C上に、相互に略平行に配置される。可変容量素子VC61〜VC66は、それぞれ、スロット線路SL61〜SL66に装荷される。そして、可変容量素子VC61〜VC66の各々は、図4に示す可変容量素子VC1と同じ構成からなる。
給電素子3Cは、円筒端面1B,1C上では、電流が空洞導体1の径方向に流れる電界を発生するが、スロット線路SL61〜SL63;SL64〜SL66は、相互に略平行に配置されているので、スロット線路SL61〜SL66は、円筒端面1B,1C上を流れる電流と交わる。
したがって、アレーアンテナ10Dは、スロット線路SL61〜SL66から電波を放射可能である。
また、アレーアンテナ10Dにおいては、可変容量素子VC61〜VC66の6個のノードN1に供給する電圧VVC61〜VVC66を制御することによって円筒端面1B側または円筒端面1C側からビームを放射できる。
すなわち、20Vからなる電圧VVC61〜VVC63をそれぞれ可変容量素子VC61〜VC63のノードN1に供給し、0Vからなる電圧VVC64〜VVC66をそれぞれ可変容量素子VC64〜VC66のノードN1へ供給した場合、アレーアンテナ10Dは、円筒端面1B側からビームを放射し、0Vからなる電圧VVC61〜VVC63をそれぞれ可変容量素子VC61〜VC63のノードN1に供給し、20Vからなる電圧VVC64〜VVC66をそれぞれ可変容量素子VC64〜VC66のノードN1へ供給した場合、アレーアンテナ10Dは、円筒端面1C側からビームを放射する。
また、20Vからなる電圧VVC61〜VVC66をそれぞれ可変容量素子VC61〜VC66のノードN1に供給した場合、アレーアンテナ10Dは、円筒端面1Bおよび1Cの両方からビームを放射する。
なお、アレーアンテナ10Dにおいては、給電素子3Cに代えて給電素子3,3A,3Bのいずれかを用いてもよく、図14に示す散乱体33を追加してもよい。
図20は、アレーアンテナの更に他の概念図である。この発明の実施の形態によるアレーアンテナは、図20に示すアレーアンテナ10Eであってもよい。アレーアンテナ10Eは、給電素子3Cと、空洞導体5と、スロット線路SL71〜SL74と、可変容量素子VC71〜VC74とを備える。なお、図20においては、給電素子3Cは、省略されている。
スロット線路SL71は、空洞導体5の上面5Aおよび側面5Bに屈曲して配設され、スロット線路SL72は、空洞導体5の上面5Aおよび側面5Cに屈曲して配設され、スロット線路SL73は、空洞導体5の上面5Aおよび側面5Dに屈曲して配設され、スロット線路SL74は、空洞導体5の上面5Aおよび側面5Eに屈曲して配設される。
可変容量素子VC71〜VC74は、それぞれ、スロット線路SL71〜SL74に装荷される。そして、可変容量素子VC71〜VC74の各々は、図4に示す可変容量素子VC1と同じ構成からなる。給電素子3Cは、空洞導体5の内部であって、空洞導体5の底面5Fに垂直に配設される。
給電素子3Cは、空洞導体5の側面5B,5C,5D,5Eでは、電流が上下方向DR5に流れる電界を発生するが、上面5Aでは、電流がスロット線路SL71,SL73またはスロット線路SL72,SL74に直交するように流れる電界を発生する。
したがって、アレーアンテナ10Eは、スロット線路SL71〜SL74から電波を放射できる。
なお、アレーアンテナ10Eにおいては、給電素子3Cに代えて給電素子3,3A,3Bのいずれかを用いてもよく、図14に示す散乱体33を追加してもよい。
図21は、アレーアンテナの更に他の概念図である。この発明の実施の形態によるアレーアンテナは、図21に示すアレーアンテナ10Fであってもよい。アレーアンテナ10Fは、給電素子3と、空洞導体5と、スロット線路SL81〜SL86と、可変容量素子VC81〜VC86とを備える。なお、図21においては、給電素子3は、省略されている。
スロット線路SL81〜SL83は、空洞導体5の側面5Cに上下方向DR5に沿って略平行に配設され、スロット線路SL84〜SL86は、空洞導体5の側面5Dに上下方向DR5に沿って略平行に配設される。
可変容量素子VC81〜VC86は、それぞれ、スロット線路SL81〜SL86に装荷される。そして、可変容量素子VC81〜VC86の各々は、図4に示す可変容量素子VC1と同じ構成からなる。給電素子3は、空洞導体5の内部であって、空洞導体5の底面5Fに垂直に配設される。
なお、空洞導体5の側面5B,5Eにも、それぞれ、可変容量素子が装荷された3本のスロット線路がスロット線路SL81〜SL83と同じように相互に略平行に配設されているが、図21においては、省略されている。
給電素子3は、スロット線路SL81〜SL86と交差する電界を発生する。従って、アレーアンテナ10Fは、スロット線路SL81〜SL86から電波を放射できる。
なお、アレーアンテナ10Fにおいては、給電素子3に代えて給電素子3A,3B,3Cのいずれかを用いてもよく、図14に示す散乱体33を追加してもよい。
図22は、アレーアンテナの更に他の概念図である。この発明の実施の形態によるアレーアンテナは、図22に示すアレーアンテナ10Gであってもよい。アレーアンテナ10Gは、給電素子3Cと、空洞導体5と、スロット線路SL91〜SL94と、可変容量素子VC91〜VC94とを備える。なお、図22においては、給電素子3Cは、省略されている。
スロット線路SL91,SL92は、空洞導体5の側面5Cに上下方向DR5と垂直な方向DR6に沿って略平行に配設され、スロット線路SL93,SL94は、空洞導体5の側面5Dに上下方向DR5に垂直な方向DR6に沿って略平行に配設される。
可変容量素子VC91〜VC94は、それぞれ、スロット線路SL91〜SL94に装荷される。そして、可変容量素子VC91〜VC94の各々は、図4に示す可変容量素子VC1と同じ構成からなる。給電素子3Cは、空洞導体5の内部であって、空洞導体5の底面5Fに垂直に配設される。
なお、空洞導体5の側面5B,5Eにも、それぞれ、可変容量素子が装荷された2本のスロット線路がスロット線路SL91,SL92と同じように相互に略平行に配設されているが、図22においては、省略されている。
給電素子3Cは、スロット線路SL91〜SL94と直交する電界を発生する。従って、アレーアンテナ10Gは、スロット線路SL91〜SL94から電波を放射できる。
なお、アレーアンテナ10Gにおいては、給電素子3Cに代えて給電素子3,3A,3Bのいずれかを用いてもよく、図14に示す散乱体33を追加してもよい。
図23は、アレーアンテナの更に他の概念図である。この発明の実施の形態によるアレーアンテナは、図23に示すアレーアンテナ10Hであってもよい。アレーアンテナ10Hは、給電素子3Cと、空洞導体5と、スロット線路SL101〜SL104と、可変容量素子VC101〜VC104とを備える。なお、図23においては、給電素子3Cは、省略されている。
スロット線路SL101,SL102は、空洞導体5の側面5Cに上下方向DR5に対して斜めに略平行に配設され、スロット線路SL103,SL104は、空洞導体5の側面5Dに上下方向DR5に対して斜めに略平行に配設される。
可変容量素子VC101〜VC104は、それぞれ、スロット線路SL101〜SL104に装荷される。そして、可変容量素子VC101〜VC104の各々は、図4に示す可変容量素子VC1と同じ構成からなる。給電素子3Cは、空洞導体5の内部であって、空洞導体5の底面5Fに垂直に配設される。
なお、空洞導体5の側面5B,5Eにも、それぞれ、可変容量素子が装荷された2本のスロット線路がスロット線路SL101,SL102と同じように相互に略平行に配設されているが、図23においては、省略されている。
給電素子3Cは、スロット線路SL101〜SL104と交差する電界を発生する。従って、アレーアンテナ10Hは、スロット線路SL101〜SL104から電波を放射できる。
なお、アレーアンテナ10Hにおいては、給電素子3Cに代えて給電素子3,3A,3Bのいずれかを用いてもよく、図14に示す散乱体33を追加してもよい。
図24は、アレーアンテナの更に他の概念図である。この発明の実施の形態によるアレーアンテナは、図24に示すアレーアンテナ10Jであってもよい。アレーアンテナ10Jは、給電素子3Cと、空洞導体5と、スロット線路SL111〜SL116と、可変容量素子VC111〜VC116とを備える。なお、図24においては、給電素子3Cは、省略されている。
スロット線路SL111,SL112は、空洞導体5の側面5Bおよび側面5Cに屈曲して配設され、スロット線路SL113,SL114は、空洞導体5の側面5Cおよび側面5Dに屈曲して配設され、スロット線路SL115,SL116は、空洞導体5の側面5Dおよび側面5Eに屈曲して配設される。
可変容量素子VC111〜VC116は、それぞれ、スロット線路SL111〜SL116に装荷される。そして、可変容量素子VC111〜VC116の各々は、図4に示す可変容量素子VC1と同じ構成からなる。給電素子3Cは、空洞導体5の内部であって、空洞導体5の底面5Fに垂直に配設される。
給電素子3Cは、空洞導体5の側面5B,5C,5D,5Eでは、電流が上下方向DR5に流れる電界を発生する。したがって、アレーアンテナ10Jは、スロット線路SL111〜SL116から電波を放射できる。
なお、アレーアンテナ10Jにおいては、給電素子3Cに代えて給電素子3,3A,3Bのいずれかを用いてもよく、図14に示す散乱体33を追加してもよい。
図25は、アレーアンテナの更に他の概念図である。この発明の実施の形態によるアレーアンテナは、図25に示すアレーアンテナ10Kであってもよい。アレーアンテナ10Kは、給電素子3Cと、空洞導体5と、スロット線路SL121〜SL124と、可変容量素子VC121〜VC124とを備える。なお、図25においては、給電素子3Cは、省略されている。
スロット線路SL121〜SL124は、空洞導体5の上面5Aに略正方形に配設される。
可変容量素子VC121〜VC124は、それぞれ、スロット線路SL121〜SL124に装荷される。そして、可変容量素子VC121〜VC124の各々は、図4に示す可変容量素子VC1と同じ構成からなる。給電素子3Cは、空洞導体5の内部であって、空洞導体5の底面5Fに垂直に配設される。
給電素子3Cは、スロット線路SL121〜SL124と交差する電界を発生する。従って、アレーアンテナ10Kは、スロット線路SL121〜SL124から電波を放射できる。
なお、アレーアンテナ10Kにおいては、スロット線路SL121〜SL124および可変容量素子VC121〜VC124を底面5Fに配設してもよく、上面5Aおよび底面5Fに配設してもよい。一般に、アレーアンテナ10Kにおいては、スロット線路SL121〜SL124および可変容量素子VC121〜VC124を対となる2つの面(側面5Bおよび5D、側面5Cおよび5E、上面5Aおよび5F)のうち、少なくとも1つに配設するようにしてもよい。
また、アレーアンテナ10Kにおいては、給電素子3Cに代えて給電素子3,3A,3Bのいずれかを用いてもよく、図14に示す散乱体33を追加してもよい。
図26は、アレーアンテナの更に他の概念図である。この発明の実施の形態によるアレーアンテナは、図26に示すアレーアンテナ10Lであってもよい。アレーアンテナ10Lは、給電素子3Cと、空洞導体5と、スロット線路SL131と、可変容量素子VC131,VC132とを備える。なお、図26においては、給電素子3Cは、省略されている。
スロット線路SL131は、略円形形状からなり、空洞導体5の上面5Aに配設される。可変容量素子VC131,VC132は、スロット線路SL131に装荷される。そして、可変容量素子VC131,VC132の各々は、図4に示す可変容量素子VC1と同じ構成からなる。給電素子3Cは、空洞導体5の内部であって、空洞導体5の底面5Fに垂直に配設される。
給電素子3Cは、スロット線路SL131と交差する電界を発生する。従って、アレーアンテナ10Lは、スロット線路SL131から電波を放射できる。
なお、アレーアンテナ10Lにおいては、スロット線路SL131および可変容量素子VC131,VC132を底面5Fに配設してもよく、上面5Aおよび底面5Fの両方に配設してもよい。一般に、アレーアンテナ10Lにおいては、スロット線路SL131および可変容量素子VC131,VC132を対となる2つの面(側面5Bおよび5D、側面5Cおよび5E、上面5Aおよび5F)のうち、少なくとも1つに配設するようにしてもよい。
また、アレーアンテナ10Lにおいては、給電素子3Cに代えて給電素子3,3A,3Bのいずれかを用いてもよく、図14に示す散乱体33を追加してもよい。
[スロット線路の変形例]
図27は、スロット線路の変形例を示す図である。この発明においては、スロット線路は、図27に示すスロット線路SL80,SL90,SL100のいずれかであってもよい。
スロット線路SL80は、略コの字形状からなる。スロット線路SL90は、略くの字形状からなる。更に、スロット線路SL100は、円弧形状からなる。スロット線路SL80,SL90,SL100には、それぞれ、可変容量素子VC80,VC90,VC100が装荷される。この場合、可変容量素子VC80,VC90,VC100は、それぞれ、スロット線路SL80,SL90,SL100上であれば、どの位置に装荷されてもよい。そして、可変容量素子VC80,VC90,VC100の各々は、図4に示す可変容量素子VC1と同じ構成からなる。
上述したアレーアンテナ10,10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H,10J,10K,10Lは、スロット線路SL80,SL90,SL100のいずれかを備えていてもよい。
この発明によるアレーアンテナは、少なくとも1本のスロット線路を備えるものであればよい。そして、可変容量素子は、スロット線路の全てに装荷されていなくてもよく、配設されたスロット線路の少なくとも1つに装荷されていればよい。
上記においては、円筒形状または立方体形状からなる空洞導体について説明したが、この発明においては、空洞導体は、一般に、多面体形状であればよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,18 空洞導体、1A,18A 外周面、1B,1C,18B 円筒端面、2 制御回路、3,3A,3B,3C,17 給電素子、4 同軸ケーブル、5A 上面、5B,5C,5D,5E 側面、5F 底面、10,10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H,10J,10K,10L アレーアンテナ、11,12,15 導体、13 プリント基板、13A 一主面、14 銅箔、31,32,321〜332 給電部材、33 散乱体、SL1〜SL12,SL21〜SL32,SL41〜SL52,SL61〜SL66,SL71〜SL74,SL80〜SL86,SL90〜SL94,SL100〜SL104,SL111〜SL116,SL121〜SL124,SL131,19〜22 スロット線路、VC1〜VC12,VC21〜VC32,VC41〜VC52,VC61〜VC66,VC71〜VC74,VC80〜VC86,VC90〜VC94,VC100〜VC104,VC111〜VC116,VC121〜VC124,VC131,VC132 可変容量素子、BD1,BD2 バラクタダイオード、N1 ノード、BM1〜BM4 ビーム。