JP4316972B2 - プローブ加工方法および放電加工機 - Google Patents
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Description
従来、プローブ6の接触球62は、軸部61に対して所定の角度θでカップ砥石7を押し付けた状態でカップ砥石7と軸部61との両者を回転させることで形成されていた(図8参照)。球面研磨の方法としては例えば特許文献1に開示されている。
しかしながら、カップ砥石7で削るとなると、プローブ6にかかる力が非常に大きくなる。その結果、微細なプローブ6を加工することが困難であるという問題が生じる。例えば、軸部61の長さが2000μmで、接触球62の直径を30μmに加工したい場合でも、プローブ6がカップ砥石7からの応力に耐えられないので不可能である。
なお、別体として形成した接触球62を軸部61に取り付ける方法も考えられる。しかしながら、接触球62が軸部61に対して別体であると、測定感度が低減するおそれがあり、さらに、接触球62が軸部61から脱離するなど破損が頻発するおそれもある。また、接触球62を軸部61に別体として取り付ける工程があるので、加工工数の増加がコスト増に繋がるおそれもある。
その一方、精密測定の需要が高まっており、微細なプローブ6を加工する方法が強く望まれている。
主軸中心に回転するワークに対して所定角度から円筒形状の加工電極を副軸に沿って押し込んでやれば、加工電極の押し込み方向先端の内側縁による放電加工により、軸部に接触球を一体的に加工することができる。よって、接触球が軸部から脱離するなどの破損が生じにくいプローブとすることができる。接触球が一体的であるので接触球と測定対象物との接触状態が検知されやすい測定感度が良好なプローブとすることができる。また、一体加工できるので、別体の接触球を取り付ける工程が必要なく、結果として加工工数を削減することができる。
放電加工によれば、砥石では研削できないような超硬を用いて一体的なプローブを形成することができる。超硬で一体加工できれば、強度があって破損しにくいプローブとすることができる。
(第1実施形態)
本発明のプローブ加工方法およびこのプローブ加工方法の実施に使用する放電加工機について説明する。
放電加工機を図1に示す。この放電加工機1は、放電加工によってワークWをプローブ6に加工する。放電加工機1は、加工電極2と、電気部3と、駆動部4と、を備えて構成されている。
ワーク側配線321は、ワークWに対してワーク側接点32で接している。ワーク側接点32は、与圧によってワークWに押し付けられており、ワークWが回転した場合でも電源回路31とワークWとの電気的導通が確保される。加工電極側配線331は、加工電極2に対して加工電極側接点33で接している。加工電極側接点33は、与圧によって加工電極2に押し付けられており、加工電極2が回転した場合でも電源回路31と加工電極2との電気的導通が確保される。
なお、電源回路31としては、直流電圧源と、直流電圧源に直列に接続された抵抗と、直流電圧源に並列に接続されたコンデンサと、を備えたCR放電回路を利用することが一例として挙げられる。
主軸部41は、ワークWを把持するとともに主軸Pを中心にワークWを回転させる。
ここで、主軸部41がワークWを回転させる回転軸を主軸Pとする。
ワーク把持部411は、ワークWの軸部61を挟んで把持する。ワークWを把持する構成としては、例えばコレットチャックが一例として挙げられる。ワーク把持部411は、ワークWに対して絶縁されており、このような構成としては、ワーク把持部411が絶縁体で形成されていてもよく、あるいは、ワーク把持部411とワークWとの間に絶縁体が介装されていてもよい。
ここで、副軸部42が加工電極2を回転させる回転軸を副軸Sとする。そして、副軸Sは、基準点Rにおいて主軸Pと交差する。
副軸部42は、加工電極保持部421と、副軸モータ422と、押込スライド機構423と、旋回スライド機構426と、を備えている。
加工電極保持部421は、加工電極2を保持する。加工電極保持部421は、加工電極2の筒軸を主軸Pに対して所定の角度をなす状態に保持する。このとき、加工電極2は筒軸を副軸Sに一致させた状態で加工電極保持部421に保持される。なお、加工電極2の筒軸とは、円筒形状の加工電極2において回転対称軸に相当する軸線を意味する。
旋回スライダ428には、ガイド軸方向を副軸Sに平行にした状態で押込ガイド軸424が取り付けられている。
まず、ワークWをワーク把持部411で把持する。このとき、ワークは図2(A)に示されるように、予め棒状に加工しておく。また、放電加工後に接触球62の中心となる点が基準点Rに位置する状態で、ワークWをワーク把持部411にセットする(ワークセット工程)。
次に、接触球62に加工されるヘッド部63をワークWの先端部に残して、ヘッド部63以外の部分を軸部61の形状に加工する(軸部加工工程)。
軸部61を加工する方法としては、例えば、WEDG式放電加工などが挙げられる。すなわち、図2(B)に示されるように、ワークWを主軸モータ412の回転力によって回転させた状態で、放電電極としての金属ワイヤ8をワークWの軸部61に沿って移動させる。
図2(D)に示されるように、押込スライド機構423により副軸Sに沿って加工電極2を移動させて、ワークWに向けて押し込んでいく。加工電極2の円筒の内側縁が主軸Pに到達すると、ワークWの先端に接触球62が形成される(接触球加工工程)。
このとき、図3に示されるように、接触球62の半径(曲率半径)Rと加工電極2の円筒の内径dとの間には、主軸Pと副軸Sとのなす角をθとするとき次の関係が成立つ。
R=d/2・(1/sinθ)
加工電極2の押し込み量が少なく、加工電極の円筒の内側縁が主軸Pに到達する前だと、図4(A)に示されるように、接触球62の端部に突起が残ることになる。また、加工電極2が主軸Pを越えて押し込まれると、図4(B)に示されるように、断面が広卵状の接触球62になってしまう。
このような加工電極2の押し込み量は、予め設定された目標値に従って押込スライド機構423を駆動させる駆動制御手段によって制御されてもよい。
また、加工電極2が放電によって磨耗している場合があるので、加工電極を適正量まで押し込む前に加工電極2のリフレッシュを行うことが望ましい。
(1)放電加工によるので、プローブに余計な応力を掛けずに加工することができる。よって、微細なプローブ6を加工形成することができる。例えば、軸部61が2000μmで、接触球62の直径が30μmのプローブ6を加工することができる。
また、一体加工できるので、別体の接触球62を取り付ける工程は必要がなく、結果として加工工数を削減することができる。
(4)旋回スライド機構426が設けられているので、主軸Pと副軸Sとの角度を調整できる。すると、二つの回転対称軸がなす角を調整することができ、さらには、軸部61の径を調整できる。
次に、本発明のプローブ加工方法に係る第2実施形態を説明する。第2実施形態の基本的構成は第1実施形態に同様であるが、第2実施形態は、加工電極2を回転させないでワークWに押し込むことに特徴を有する。
第2実施形態のプローブ加工方法でワークWからプローブ6を形成する工程について説明する。図5にワークWがプローブ6に加工されていく様子を示す。
まず、ワークWをワーク把持部411で把持する。このとき、ワークは図5(A)に示されるように、予め棒状に加工しておく。また、放電加工後に接触球62の中心となる点が基準点Rに位置する状態で、ワークWをワーク把持部411にセットする(ワークセット工程)。
次に、ワークWをプローブ6の形状を加工する(粗加工工程)。このような粗加工の方法としては、例えば、WEDG式放電加工などが挙げられる。すなわち、図5(B)に示されるように、ワークWを主軸モータ412の回転力によって回転させた状態で、放電電極としての金属ワイヤ8を接触球62の形状に合わせて半円運動させたのち、ワークWの軸部61に沿って移動させる。
(6)加工電極2を回転させないので、副軸モータ422の偏心は大きく影響せず、場合によっては副軸モータ422を必要としない。
次に、本発明の放電加工機に係る第3実施形態について図6を参照して説明する。第3実施形態の基本的構成は、第1実施形態に同様であるが、加工電極2に特徴を有する。
第1実施形態において加工電極2は円筒形状であったが、第3実施形態において、加工電極2は、副軸Sから所定の距離をもって副軸Sに平行に位置する電極棒体21を備えて構成されている。そして、副軸モータ422を回転駆動させると、電極棒体21の回転軌跡は円筒形状となる。
このような構成においても、電極棒体21の軌跡が円筒になることから加工電極2を副軸モータ422で回転させながらワークWに押し込んでいくと、ワークWの先端部に接触球62を形成することができる。
次に、本発明の放電加工機1の第4実施形態について図7を参照して説明する。この第4実施形態の基本的構成は、第1実施形態に同様であるが、第4実施形態が特徴とするところは観測手段5を備えた点にある。
モニタ55の表示や真円度測定の結果から、接触球62の加工精度が測定され、例えば、加工電極2の押込量の調整や電極のリフレッシュが行われる。
例えば、本発明のプローブ加工方法および放電加工機1は、微細なプローブ6を加工するのに好適であるが、比較的大きなプローブを加工する場合に用いてもよいことはもちろんである。
また、本発明のプローブ加工方法および放電加工機1によって加工されたプローブ6を三次元測定機などのプローブとして用いてもよい。すると、微細で測定感度が良好なプローブ6によって、測定分解能および測定精度が向上される測定機とすることができる。
Claims (5)
- ワークを加工して軸部の先端に接触球を有するプローブを形成するプローブ加工方法において、
前記接触球として加工される部分を残した状態で前記ワークに前記軸部を加工する軸部加工工程と、
前記軸部の中心軸を前記ワークの主軸として、前記主軸上の基準点を通りかつ前記主軸に対して所定の角度をなす軸を副軸とした際に、前記副軸を中心軸とする円筒状の加工電極と前記ワークとの間に所定電位差がある状態で、前記ワークを前記主軸中心に回転させ、かつ、前記加工電極を前記副軸中心に回転させながら、前記副軸に沿って前記加工電極を前記ワークに押し込んで、前記加工電極の押し込み方向先端の内側縁により前記基準点を中心とする前記接触球を加工する接触球加工工程と、を備えている
ことを特徴とするプローブ加工方法。 - ワークを加工して軸部の先端に接触球を有するプローブを形成するプローブ加工方法において、
前記ワークに前記軸部を加工するとともに前記接触球として加工される部分を略球状に粗加工する粗加工工程と、
前記軸部の中心軸を前記ワークの主軸として、前記主軸上の基準点を通りかつ前記主軸に対して所定の角度をなす軸を副軸とした際に、前記副軸を中心軸とする円筒状の加工電極と前記ワークとの間に所定電位差がある状態で、前記ワークを前記主軸中心に回転させながら、前記加工電極を前記副軸に沿って前記ワークに押し込んで、前記接触球に加工される部分を前記加工電極の押し込み方向先端の内側縁により前記基準点を中心とする前記接触球に仕上げる仕上げ加工工程と、を備えている
ことを特徴とするプローブ加工方法。 - 請求項1または請求項2に記載のプローブ加工方法において、
前記加工電極は、前記内側縁が前記主軸に到達するまで押し込まれる
ことを特徴とするプローブ加工方法。 - ワークに押し込まれる円筒状の加工電極と、
前記ワークと前記加工電極とに所定電位差を与える電気部と、
前記ワークを把持するとともに仮想的に設定された主軸を中心に前記ワークを回転させる主軸部と、
前記加工電極を保持するとともに前記主軸に対して所定角度をもって、かつ、延長線が前記主軸の延長線に交差するように仮想的に設定された副軸を中心に前記加工電極を回転させる副軸部と、を備え、
前記副軸部は、前記副軸に沿って前記加工電極を移動させて前記ワークに押し込む押込スライド機構を有し、
前記加工電極は、前記押し込み方向先端の内側縁により前記ワークを加工する
ことを特徴とする放電加工機。 - 請求項4に記載の放電加工機において、
前記主軸上に仮想的に設定される基準点を中心とした円弧に沿って前記加工電極および前記押込スライド機構を移動させる旋回スライド機構を備える
ことを特徴とする放電加工機。
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