JP4316772B2 - 移動体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は2つの信号をそれぞれフィルタリングしてこれらを組合せるハイブリッドフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
航空機や船舶等の移動体において、速度や加速度信号あるいは位置信号をフィルタを通すことにより特定周波数の信号として位置や姿勢制御に用いられている。このような制御を行う例として、無人ヘリコプタの自律飛行システム等において、飛行中の機体の位置及び速度を検出するためのGPSセンサ及び機体の姿勢を検出するためのジャイロセンサが備わり、自己の位置や姿勢を確認するとともに指令した飛行経路に沿って飛行するようにサーボ機構等を用いて機体が駆動制御される。この場合、GPSセンサにより位置が検出されるとともにこの位置データを微分して速度データが得られる。
【0003】
しかしながら、このGPSセンサは、電波状態等の環境に影響され制御の信頼性が低下し、また計測間隔が短く(通常計測間隔約0.2秒、時間遅れ約0.4秒)、高速演算ができない。したがって、周波数の低い帯域では安定して高精度の検出ができるが、高い周波数では精度が低下する。
【0004】
一方、ジャイロセンサは加速度を検出し、これを積分することにより速度データが得られる。しかしながら、このジャイロセンサによる速度検出データは、積分演算を行うため、誤差成分が積分されて累積し、高周波数帯域では精度がよいが低周波数帯域での精度が悪くなる。
【0005】
そこで、GPSセンサからの速度信号をローパスフィルタを通して高精度な低周波数領域を取出し、ジャイロセンサから積分して得た速度信号をハイパスフィルタを通して高精度な高周波数領域を取出し、これらを足し合わせることにより検出周波数全域について高精度なデータを得るようにしたハイブリッドフィルタが考えられている。
【0006】
一方、特開平5−193574号公報に、GPSとINSによるハイブリッド慣性航法フィルタにより速度を計算し、機体のホバリング時の縦方向、横方向の速度制御を行う自動飛行制御システムが開示されている。この公報記載のハイブリッド慣性航法部は、INS、GPS、航法フィルタ、速度補正スムージング回路、減算器とから構成される。INSから出力されるINS位置及び速度信号と、GPSから出力されるGPS位置および速度信号を航法フィルタに入力し、カルマンフィルタにより速度誤差推定値を生成する。速度補正スムージング回路は、速度誤差推定値に基づいて速度誤差補正値を作成し、INSから出力されるINS速度信号より差し引いて慣性速度信号を生成し、制御器により設定される設定速度信号とともに速度保持制御則に出力し、ホバリング時の縦方向および横方向の速度制御を行う。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のジャイロセンサとGPSセンサを組合せたハイブリッドフィルタでは、ジャイロセンサの加速度信号から速度信号を得るための積分演算を伴うため、誤差成分の累積によりフィルタが発散し、また積分演算時間も長くなり、充分な高精度化および高速化が図られない。
【0008】
また、上記公報記載の慣性航法フィルタでは、カルマンフィルタにより速度の推定誤差を計算し、速度補正スムージング回路によりその誤差量を修正しているため、カルマンフィルタでの計算が非常に複雑で面倒になり、回路全体のプログラム構造が複雑になって計算時間も長くかかる。また、カルマンフィルタは、周波数を設定するチューニングのパラメータが多数あって、実際に使用する際に非常に手間がかかり、使用性の点で問題がある。また、この公報記載のフィルタ構造では、速度の推定計算しかできず、速度とともに位置を推定計算する場合にこれを単純に適用することができない。
【0009】
本発明は上記従来技術を考慮したものであって、簡単な構造で周波数設定が容易にでき、高速で高精度の計算処理ができるハイブリッドフィルタの提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明では、第1の信号が通る第1のフィルタと、第2の信号が通る第2のフィルタと、前記第1のフィルタ通過後の信号に所定の時定数を掛けるための時定数回路と、該時定数回路通過後の信号と前記第2のフィルタ通過後の信号を加え合わせる加算器とからなり、前記第1の信号は加速度信号または速度信号であり、前記第2の信号は、第1の信号を積分した単位系の信号であり、前記第1、第2のフィルタ及び前記時定数回路の時定数は等しいことを特徴とするハイブリッドフィルタを提供する。
【0011】
この構成によれば、例えば加速度とこれを積分した速度の信号の組合せや、速度とこれを積分した位置の信号の組合せ等の場合に、両信号を同じ時定数の簡単な一次遅れフィルタを通すことにより、非常に簡単な回路構成によって、1つの時定数を設定するだけで高速で高精度の計算処理ができ、速度や位置データの信頼性が向上し、自律飛行等に適用した場合の飛行制御精度や飛行の安全性が向上する。
【0012】
好ましい構成例では、前記加算器からの出力信号を第1の信号として、別の第1および第2のフィルタ、時定数回路および加算器からなる2段目のハイブリッドフィルタを結合したことを特徴としている。
【0013】
この構成によれば、2段のハイブリッドフィルタの組合せにより、例えば1段目でセンサからの速度と加速度の信号から速度データを算出し、この算出速度データとセンサからの位置信号からさらに精度のよい位置データを算出することができ、速度および位置ともに高精度の算出推定データが得られる。
【0014】
さらに好ましい構成例では、前記第1の信号はジャイロセンサからの加速度信号であり、前記第2の信号はGPSセンサからの位置信号を微分した速度信号であり、前記第1および第2のフィルタはローパスフィルタであることを特徴としている。
【0015】
この構成によれば、高い周波数で精度が高いジャイロセンサからの加速度信号と、低い周波数で精度が高いGPSセンサからの速度信号とを組合せて、同じ構成のローパスフィルタを通すことにより、全周波数帯域で高い精度の推定速度が得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るハイブリッドフィルタの構成をその原理および作用とともに示す説明図である。
本実施形態は、ジャイロセンサとGPSセンサからの信号をそれぞれフィルタを介して組合せるハイブリッドフィルタであり、まずその原理を説明する。
【0017】
ジャイロセンサから入力された加速度信号から速度データを得るために積分回路1で演算処理する。続いて、これをハイパスフィルタ2を通過させて(a)に示すようにジャイロセンサの高精度成分である高い周波数帯域を演算処理により取出す。この高周波数帯域はハイパスフィルタ2の時定数T1により定まる。この積分回路1(1/s)とハイパスフィルタ2(T1s/(T1s+1))を結合した回路は、図中の式からも分かるように等価回路3(T1/(T1s+1))と同じである。この等価回路3は、ローパスフィルタ4(1/T1+1)の出力に時定数回路5により時定数T1(ゲイン)を掛けた演算回路と同じである。したがって、積分回路1とハイパスフィルタ2とでそれぞれ演算処理する代わりにローパスフィルタ4を用いて演算処理することにより同じ結果が得られる。これにより、誤差成分が累積して演算結果が発散する積分回路1を用いることなく、ハイパスフィルタ2を通過させた演算結果と同じ演算処理データを得ることができる。
【0018】
本実施形態では、このような原理に基づいて、ジャイロセンサからの加速度信号を第1の信号としてこれをローパスフィルタ4および時定数回路5により演算処理するとともに、GPSセンサの位置検出値を微分して得た速度信号を第2の信号としてローパスフィルタ6に入力させる。このローパスフィルタ6は、ジャイロセンサの加速度信号が入力されるローパスフィルタ4と同じ時定数T1を有する回路である。これにより、この時定数により定まる所定の周波数より低い周波数の速度信号がローパスフィルタ6を通過するように演算処理され、(b)に示すようにGPSセンサの高精度成分である低い周波数帯域が取出される。
【0019】
このようにして同じ時定数に基づいてそれぞれ高精度の周波数成分が取出されたジャイロセンサからの第1の信号とGPSセンサからの第2の信号は、加算器7で足し合わされて、(c)に示すように全周波数帯域にわたって高精度で演算された推定速度データが得られる。
【0020】
図2は、本発明の実施の形態に係る2段構造のハイブリッドフィルタの回路図である。
この実施形態は、前述の図1のフィルタ構造、すなわちジャイロセンサからの加速度信号を演算処理するローパスフィルタ4および時定数回路5と、GPSセンサからの速度信号を演算処理するローパスフィルタ6と、演算処理された信号同士を加算する加算器7からなるハイブリッドフィルタとにより1段目のハイブリッドフィルタ12を形成し、この1段目のハイブリッドフィルタ12の出力データである推定速度信号を第1の信号とし、GPSセンサからの位置検出信号を第2の信号として2段目のハイブリッドフィルタ13を形成したものである。この2段目のハイブリッドフィルタ13は、1段目のハイブリッドフィルタ12と同様の原理に基づく同様の構成であり、同様の作用効果を有する。
【0021】
すなわち、1段目のハイブリッドフィルタ12からの推定速度信号を演算処理する時定数T2のローパスフィルタ55と、このローパスフィルタ55の出力に時定数T2(ゲイン)を掛けて演算処理する時定数回路9と、GPSセンサからの位置信号を演算処理する時定数T2のローパスフィルタ10と、演算処理された速度信号と位置信号を加え合せる加算器11とにより構成される。ローパスフィルタ55と時定数回路9を通して演算処理することにより、前述のように、積分回路とハイパスフィルタを通して演算処理した結果と同じデータが得られ、したがって、速度のデータから高精度の位置のデータが求まる。また、ローパスフィルタ10を通して位置データを演算処理することにより前述のように高精度の低周波数帯域の位置データが得られる。これらを加算器11で加え合せることにより全周波数帯域で高精度の推定位置データが求められる。
【0022】
図3は、上記実施形態のハイブリッドフィルタが適用される無人ヘリコプタの制御系を示すブロック構成図である。
地上側に設置されたパソコン(本体)14は演算処理回路を内蔵し、モニタ15および入力手段としてキーボード16とマウス17を備え、メモリ18を有している。機体側には演算処理回路を内蔵しメモリ60を有するマイコン20が搭載される。マイコン20には、位置検出用のGPSセンサ21と、姿勢検出用のジャイロセンサ22が接続される。地上側のパソコン14と機体側のマイコン20は、それぞれの送受信機19,23を介して相互にデータ通信する。
【0023】
前述の速度指令データあるいは位置指令データからなる飛行データは、キーボード16からの数値入力あるいはマウス17によりモニタ15の表示画面をクリックすることにより入力される。入力された予定飛行データに基づき予想軌跡が算出され、この予想軌跡がモニタ15に表示される。
【0024】
機体側では、GPSセンサ21およびジャイロセンサ22により、飛行中の現在時点の位置と姿勢が検出され、実際の飛行データが地上側のパソコン14に送られる。パソコン14は、これらの飛行データから実際の飛行軌跡の表示データを算出しこれを前述の予想軌跡とともにモニタ15に表示する。これにより、実際の飛行軌跡と予想軌跡のずれがモニタ画面上でリアルタイムで識別できる。
【0025】
このGPSセンサ21により機体の位置を検出して制御用の位置データおよびこれを微分した速度データを算出する場合に、本発明に係るハイブリッドフィルタを用いてジャイロセンサ22からの加速度信号を演算処理してGPSセンサからの信号と組合せることにより、前述のように高精度の速度データおよび位置データが得られる。このようにして得られた高精度の速度データおよび位置データに基づいて速度指令あるいは位置指令によるサーボ機構のフィードバック制御を行うことにより、信頼性の高い自律飛行制御ができる。
【0026】
図4は、上記制御系を備えた自律飛行システム全体の構成図である。
無人ヘリコプタ8の機体には、駆動源である不図示のエンジン、該エンジンのスロットル系や姿勢制御系を駆動する不図示のサーボモータ、GPSセンサ21、GPSアンテナ21a、ジャイロセンサ22、マイコン20(図3)等が搭載され、マイコン20(図3)には、I/F回路24を介して通信装置(送受信機)23が接続されている。
【0027】
一方、地上側に設置されたパソコン14には、GPS衛星25からの信号を受信するGPSアンテナ26とGPS受信機27及び通信装置(送受信機)19がI/F回路28を介して接続されている。また、システムの安全性を確保するために、通常の送信機からなるバックアップ用送信機29を備え、指令変更や異常発生時その他のときに、操縦者がバックアップして操縦することができる。
【0028】
このような構成の飛行システムにおいて、前述のようにパソコン14に入力された前後、左右、上下および回転の4つの飛行指令データに基づいて微分および積分を含む演算処理を行って、前後方向のエレベータサーボ指令、左右方向のエルロンサーボ指令、上下方向のコレクティブサーボ指令および回転方向のラダーサーボ指令を発する。
【0029】
図5は、上記各方向のサーボ指令による駆動機構の例を示す概略構成説明図である。
主ロータ30のロータ軸31がアクチュエータ板32に連結される。アクチュエータ板32には、前2ヶ所、後1ヵ所に上下駆動のシリンダ33a,33b,33cが備わる。エレベータサーボ制御は、前2つのシリンダ33a,33bを固定し、後のシリンダ33cを駆動することにより(又はその逆により)、主ロータ30の前後方向の角度を変化させ、前後進およびその速度を制御して行われる。エルロンサーボ制御は、前2つのシリンダ33a,33bを駆動して主ロータ30の左右方向の傾きを変化させ、左右の方向およびその速度を制御して行われる。コレクティブサーボ制御は、3つのシリンダ33a,33b,33cを同時に同じ方向に駆動してロータ軸31内の主ロータ連結部(図示しない)を介して主ロータ30の迎え角を矢印Aのように変化させることにより機体を上昇または下降させて行う。ラダーサーボ制御は、テールロータ(図示しない)の回転を制御することにより行われる。
【0030】
このような4方向についての飛行速度データに基づくサーボ指令値の算出方法を図6〜図9を参照して以下に説明する。図6はデータ処理の制御信号図、図7は無人ヘリコプタの斜視図、図8および図9はそれぞれ無人ヘリコプタが前進しながら右旋回している状態を示す側面図と後面図である。
【0031】
この飛行制御系は、上記4種類の速度指令値を積分して位置指令値を算出し、同速度指令値を微分して係数を掛けることによって姿勢指令値を算出し、これらの指令値を目標値として、該目標値と無人ヘリコプタに搭載されたGPSセンサ21およびジャイロセンサ22によって検出された機体の位置と速度および姿勢の各検出値との差分を算出し、この差分を制御指令値(サーボ指令値)として機体に搭載されたサーボモータに送信し、サーボモータによって前記差分が0になるように機体の速度と姿勢を制御する。
【0032】
さらに詳細な計算方法は以下のとおりである。
図7に示すように、前後の速度指令値をvx、左右の速度指令値をvy、上下の速度指令値をvz、回転の速度指令値を回転角速度ωとする。
【0033】
上述のように4種類の速度指令値vx,vy,vz,ωがパソコン14に入力されると、これらの速度指令値はローパスフィルタ34を通過して目標速度vx *,vy *,vz *,ω*として設定され、これらの目標速度vx *,vy *,vz *,ω*は地球座標に変換された後に時間積分される。このように目標速度を時間積分することにより無人ヘリコプタ8の地球座標における前後、左右,上下(高度)および回転方向(方位角)の目標位置x*,y*,z*,Ψ*がそれぞれ次式によって求められる。なお、方位角Ψ*は無人ヘリコプタ8の機体の姿勢を示すパラメータである。
【0034】
x*=∫vx *dt
y*=∫vy *dt
z*=∫vz *dt
Ψ*=∫ω*dt
また、目標速度vx *,vy *,vz *,ω*を時間微分することにより無人ヘリコプタ8の目標姿勢を示すパラメータとしてピッチ角θおよびロール角φが求められる。
【0035】
ここで目標ピッチ角θ*と目標ロール角φ*の計算方法を図8および図9に基づいて説明する。
【0036】
1)ピッチ角θ:
図示のように無人ヘリコプタ8の機体に作用する推力をT、機体の質量をm、重力加速度をgとすると上下方向の力の釣合いから次式が成立する。なお、ピッチ角θは、無人ヘリコプタの機首が上がる方向を正とする。
【0037】
mg=Tcos(−θ) …(1)
また、機体に作用する慣性力はm・dvx/dtとなるため、前後方向の力の釣合いから次式が成立する。
【0038】
m・dvx/dt=Tsin(−θ) …(2)
上記(1)、(2)式より次式が導かれる。
tan(−θ)=(dvx/dt)/g
ここで、θが微小であるとするとtan(−θ)=−θとみなすことができるため、ピッチ角θは次式によって求められる。
θ=−(dvx/dt)/g …(3)
【0039】
2)ロール角φ:
上下方向の力の釣合いから次式が成立する。
mg=Tcosφ …(4)
また、機体に作用する遠心力はmvxωとなるため、左右方向の力の釣合いから次式が成立する。
【0040】
mvxω=Tsinφ …(5)
上記(4)、(5)式より次式が導かれる。
tanφ=vxω/g
ここで、φが微小であるとするとtanφ=φとみなすことができるため、ロール角φは次式によって求められる。
φ=vxω/g …(6)
【0041】
また、同様にして無人ヘリコプタ8が右移動しながら右旋回している場合のピッチ角θとロール角φはそれぞれ次式によって求められる。
θ=vyω/g …(7)
φ=(dvy/dt)/g …(8)
【0042】
ここで、ホバリング(停止)状態での釣り合い姿勢角をθ0,φ0とすると、結局、(3),(6),(7),(8)式よりピッチ角θとロール角φは次式によって求められる。
θ=θ0−(dvx/dt)/g+vyω/g…(9)
φ=φ0+(dvy/dt)/g+vxω/g…(10)
【0043】
したがって、目標ピッチ角θ*と目標ロール角φ*は目標速度vx *,Vy *ω*を用いて次式によって求められる。
θ*=θ0 *−(dvx */dt)/g+vy *ω*/g…(9)’
φ*=φ0 *+(dvy */dt)/g+vx *ω*/g…(10)’
【0044】
他方、図4に示すGPS衛星25からの信号は無人ヘリコプタ8に設置された前記GPSアンテナ21a及びGPSセンサ21と地上に設置されたGPSアンテナ26及びGPS受信機27によって受信され、無人ヘリコプタ8の地球座標における位置(緯度と経度及び高度)と速度(水平速度と左右速度及び鉛直速度)が検出され、これらは方位変換されて機体座標での値が求められ、さらにアンテナ補正(GPSアンテナ21aが無人ヘリコプタ8の機体重心位置に設置されていないための補正)されて機体の重心位置(前後方向位置x、左右方向位置y及び上下方向位置z)と機体重心速度(前後方向速度vx、左右方向速度vy及び上下方向速度vz)の検出データが得られる。
【0045】
また、無人ヘリコプタ8に設置された前記ジャイロセンサ22によって機体の姿勢(ピッチ角θ、ロール角φ、方位角Ψ及び方位角速度ω)が検出される。
【0046】
上記検出データx,y,z,vx,vy,vz,θ,φ,Ψ,ωは通信装置19,23による通信によってパソコン14に送信され、パソコン14においては、前記目標値x*,y*,z*,vx *,vy *,vz *,θ*,φ*,Ψ*,ω*と検出データx,y,z,vx,vy,vz,θ,φ,Ψ,ωとの差分(誤差)Δx,Δy,Δz,Δvx,Δvy,Δvz,Δθ,Δφ,ΔΨ,Δωが次式によって求められる。
【0047】
Δx=x*−x
Δy=y*−y
Δz=z*−z
Δvx=vx *−vx
Δvy=vy *−vy
Δvz=vz *−vz
Δθ=θ*−θ
Δφ=φ*−φ
ΔΨ=Ψ*−Ψ
Δω=ω*−ω
【0048】
上式によって差分(誤差)Δx,Δy,Δz,Δvx,Δvy,Δvz,Δθ,Δφ,ΔΨ,Δωが求められると、これらを制御指令(エレベータサーボ指令(前後方向)、エルロンサーボ指令(左右方向)、コレクティブサーボ指令(上下方向)及びラダーサーボ指令(回転方向))として機体に搭載されたサーボモータに送信し、サーボモータによって前記差分Δx,Δy,Δz,Δvx,Δvy,Δvz,Δθ,Δφ,ΔΨ,Δωが0になるように機体の速度と姿勢がフィードバック制御され、これによって無人ヘリコプタ8は所定のコースに沿って飛行する。
なお、上記実施形態は無人ヘリコプタについて説明したが、本発明はこれに限定されず、船舶や航空機等の各種移動体の制御系で用いるフィルタとして適用可能である。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、例えば加速度とこれを積分した速度の信号の組合せや、速度とこれを積分した位置の信号の組合せ等の場合に、両信号を同じ時定数の簡単な一次遅れフィルタを通すことにより、非常に簡単な回路構成によって、1つの時定数を設定するだけで高速で高精度の計算処理ができ、速度や位置データの信頼性が向上し、自律飛行等に適用した場合の飛行制御精度や飛行の安全性が向上する。
【0050】
また、時定数は、ジャイロセンサとGPSの周波数特性により簡単に予測することができ周波数のチューニング時間が大幅に少なくなる。また、加速度センサのデータから速度データを推定するにあたり、積分演算を行っていないので、誤差成分の累積によりフィルタが発散するおそれがなく、信頼性の高いハイブリッドフィルタが得られる。また、フィルタ構成が簡単であるため、加速度センサやGPSセンサに誤差が生じた場合に、これらの誤差によるフィルタ出力値を簡単に計算することができ、制御系への対処がし易くなる。これにより、誤差に対して迅速的確に対応しながら飛行制御を行い、高精度で信頼性の高い自律飛行システムが実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係るハイブリッドフィルタの構成および原理説明図。
【図2】 本発明の別の実施形態の回路図。
【図3】 本発明が適用される無人ヘリコプタの飛行制御系の構成図。
【図4】 本発明に係る自律飛行システム全体の構成図。
【図5】 サーボ指令による駆動機構の例を示す概略構成説明図。
【図6】 データ処理の制御信号図。
【図7】 無人ヘリコプタの斜視図。
【図8】 無人ヘリコプタが前進しながら右旋回している状態を示す側面図。
【図9】 無人ヘリコプタが前進しながら右旋回している状態を示す後面図。
【符号の説明】
1:積分回路、2:ハイパスフィルタ、3:等価回路、
4:ローパスフィルタ、5:時定数回路、6:ローパスフィルタ、
7:加算器、8:無人ヘリコプタ、9:時定数回路、
10:ローパスフィルタ、11:加算器、
12:1段目のハイブリッドフィルタ、
13:2段目のハイブリッドフィルタ、14:パソコン、15:モニタ、
16:キーボード、17:マウス、18:メモリ、19:通信装置、
20:マイコン、21:GPSセンサ、22:ジャイロセンサ、
23:通信装置、24:I/F回路、25:GPS衛星、
26:GPSアンテナ、27:GPS受信機、28:I/F回路、
29:バックアップ用送信機、30:主ロータ、31:ロータ軸、
32:アクチュエータ板、33a,33b,33c:シリンダ、
34:ローパスフィルタ、55:ローパスフィルタ、60:メモリ。
Claims (2)
- 第1の信号が通る第1のフィルタと、第2の信号が通る第2のフィルタと、前記第1のフィルタ通過後の信号に所定の時定数を掛けるための第1の時定数回路と、該第1の時定数回路通過後の信号と前記第2のフィルタ通過後の信号を加え合わせる第1の加算器とからなるハイブリッドフィルタを備え、このハイブリッドフィルタからの出力に基づいて空中を飛行する移動体であって、
前記第1の信号は、ジャイロセンサからの加速度信号であり、
前記第2の信号は、GPSセンサからの位置信号を微分した速度信号であり、
前記第1、第2のフィルタ及び前記時定数回路の時定数は等しく、
前記第1および第2のフィルタはローパスフィルタである
ことを特徴とする移動体。 - 前記ハイブリッドフィルタは、
前記第1の加算器通過後の信号が通る前記第1のフィルタと同等の第3のフィルタと、
前記位置信号が通る前記第2のフィルタと同等の第4のフィルタと、
前記第3のフィルタ通過後の信号に所定の時定数を掛けるための第2の時定数回路と、
この第2の時定数回路通過後の信号と前記第4のフィルタ通過後の信号を加え合わせる第2の加算器と
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の移動体。
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