JP4316727B2 - クッション体とその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば車両用シートや家具、寝具等に用いるクッション体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
繊維系のクッション体を製造するための従来の方法は、大別すると以下のようになる。
[従来方法1] 主体繊維と、この主体繊維の交絡点を接着するためのバインダー樹脂とを混合する方法。この場合、バインダー樹脂は主体繊維よりも低融点の熱可塑性樹脂が使用される。このバインダー樹脂と主体繊維とを混合した綿状の繊維集合体をモールド型や板状の簡易型等によって所望の形に保持し、バインダー樹脂の融点以上、主体繊維の融点以下の温度に加熱し、その形を保持した状態でバインダー樹脂の融点以下の温度まで冷却することにより、クッション体を成形する。ここでバインダー樹脂を主体繊維に混合する方法としては、例えばバインダー樹脂を繊維の形にして主体繊維と混紡したり、主体繊維の外側をバインダー樹脂によって被覆した芯鞘構造の複合繊維を用いる方法、あるいは主体繊維をバインダー樹脂で挟んだサンドイッチ構造や多層構造の繊維などにより、バインダー樹脂と主体繊維とを混合させている。
【0003】
[従来方法2] 主体繊維からなる綿状の繊維集合体に、バインダー樹脂を含む溶液(コロイド、エマルジョンを含む)を含浸させ、このバインダー溶液を適当な量となるように脱液したのち、溶剤を蒸発させるなどして除去し、必要に応じてバインダーを硬化させてクッション体を成形する。
【0004】
[従来方法3] 主体繊維からなる綿状の繊維集合体に、液状のバインダー(ホットメルト接着剤や架橋性樹脂のモノマー、プレポリマー等)を含浸させ、この液状バインダーを適当な量となるように脱液したのち、冷却や架橋処理によってバインダー成分を固体化してクッション体を成形する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来方法1の場合、主体繊維とバインダー繊維を型に投入して加熱することによって所望形状のクッション体が得られるため、製造方法としては比較的単純で優れているが、バインダー樹脂に低融点の熱可塑性樹脂を用いるため、得られたクッション体は耐熱性に改善の余地があり、耐へたり性に関しても問題がある。このクッション体の耐熱性を向上させるにはバインダー樹脂等に高価なエンジニアプラスチックを使用しなければならず、その場合、クッション体が高価になってしまう。また、加熱成形後に冷却工程が必要であり、型使用のサイクルタイムが長くなる。
【0006】
前記従来方法2の場合、バインダー樹脂に架橋タイプのものや、それ以外の樹脂を用いることが可能であるが、モールド型で成形する場合に、素材(繊維集合体にバインダー溶液を含浸させたもの)を湿式で扱うことになるため、モールド型に素材を詰め込む際の作業性が悪いばかりでなく、溶液の脱液や溶剤の蒸発、溶剤の回収等の工程が必要であるため、従来方法1に比べると工程が多くなる。また、素材を湿式で扱うため作業環境が悪化し、設備等のメンテナンスにも手間がかかる。またバインダー樹脂溶液は、多くの場合ポットライフがあり、その管理が容易でない。
【0007】
前記従来方法3は、バインダーが溶液タイプではないので溶剤の蒸発工程や溶剤の回収工程は不要であるが、従来方法2と同じく素材を湿式で取扱うので、作業性は従来方法1よりも悪い。また、この種のバインダーは柔軟性に欠ける場合が多く、クッション体としての用途には不向きであるし、コストも高くなる。
【0008】
したがって本発明の目的は、素材の取扱いが容易で、耐熱性および耐へたり性に優れたクッション体とその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を果たすために本発明は、一部架橋された繊維系のクッション体とその製造方法に関し、成形と同時もしくは成形後に架橋が可能な熱可塑性エラストマーをバインダー樹脂に用いることで、150℃以下の温度で成形でき、その成形と同時もしくはその後に、加熱あるいは電子線,紫外線を照射するなどの架橋処理を行なう。
【0010】
すなわち本発明のクッション体は、多数の主体繊維と、架橋性の熱可塑性樹脂からなり前記主体繊維の交絡点を接着するバインダー樹脂と、を含む綿玉状の複数の繊維集合体によって構成され、これら綿玉状の繊維集合体がクッション体の厚さ方向に積層されて所望の立体形状に成形され、かつ、前記バインダー樹脂が架橋してエラストマーのバインダーを構成し、この架橋したバインダーによって、前記綿玉状の繊維集合体の前記主体繊維どうしが接着されていることを特徴とする。この発明は、前記主体繊維がバインダー樹脂よりも融点の高い熱可塑性樹脂からなることを含んでいる。
【0011】
また、本発明のクッション体の製造方法は、主体繊維と、架橋性の熱可塑性樹脂からなるバインダー樹脂と、該バインダー樹脂の融点よりも高い温度に加熱されたときにラジカルを発生する架橋触媒としての有機過酸化物からなるラジカル発生剤と、を混合させて綿玉状の複数の繊維集合体を得る工程と、これら綿玉状の繊維集合体を型の内部にクッション体の厚さ方向に積層するように充填する工程と、これら繊維集合体を前記バインダー樹脂が軟化する温度以上で前記主体繊維の融点以下の温度に加熱することにより所望の立体形状に成形する工程と、該成形工程と同時もしくは成形後に前記ラジカル発生剤が活性を示す温度以上に昇温することによって行なう架橋処理により前記バインダー樹脂を架橋させて前記主体繊維の交絡点の強度を高める工程を具備している。
【0012】
本発明の製造方法は、主体繊維と同一種類の熱可塑性樹脂からなる芯に架橋性の熱可塑性樹脂からなるバインダー樹脂を付着させることによって得たバインダー混合繊維を主体繊維に混紡させることにより繊維集合体を得る工程と、前記繊維集合体を型の内部に詰め込む工程と、前記型に詰め込まれた繊維集合体をバインダー樹脂の軟化温度以上で主体繊維の融点以下の温度に加熱することにより所望の立体形状に成形する工程と、該成形工程と同時もしくは成形後に行なう架橋処理により前記バインダー樹脂を架橋させて前記主体繊維の交絡点の強度を高める工程とを含む。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる繊維系クッション体の主体繊維としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、その他の合成繊維、あるいは綿、羊毛、絹等の天然繊維を用いることができ、繊維の径は5〜100デニールのものを用いることができる。
【0014】
バインダー樹脂の組成は、架橋性をもった熱可塑性樹脂、すなわち樹脂の融点付近の温度では短時間のうちには架橋反応を起こさず、軟化状態を一定時間以上維持できる組成とする。この樹脂は、触媒等の添加剤の種類を選定して添加すれば所望の設定条件で架橋を行なわせることができるし、無添加の場合でも電子線等の高エネルギー線によって架橋が起こり、諸特性を向上させることができる。このような架橋性をもつ樹脂の代表として、ポリ1,2−ブタジエンを挙げることができる。
【0015】
ここで言う触媒としては、通常重合反応に用いられる(1)有機アルカリ金属化合物、ルイス酸等のイオン反応促進型の触媒、(2)加熱によりラジカルを発生する有機過酸化物、ジアゾ化合物等のラジカル発生剤を用いた触媒、(3)光のエネルギーにより水素を引き抜き、ラジカルを発生させる光架橋開始剤を用いた触媒などである。
【0016】
前記(1)の触媒は、架橋が徐々に進むので、成形後の経過時間が短い時(雰囲気温度により調整可能)には再加熱によって成形体の再変形が可能である。経過時間が長ければバインダーの架橋が進み、再変形は困難となるが、耐熱性は向上する。
【0017】
前記(2)の触媒は、一定温度以上になると急激に反応が進行し、短時間のうちに架橋が完了する。触媒の種類を選定すれば、架橋を促進させる温度を比較的精度良くコントロールできる。この性質を利用して、バインダー樹脂の融点よりも高い温度で活性を示すラジカル発生剤をバインダー樹脂に予め混合しておき、このバインダー樹脂が混合された繊維集合体をバインダー樹脂の融点温度で成形し、その後連続して昇温すれば架橋反応が起こり、耐熱性の向上した成形体を、短い型サイクルタイムで得ることができる。
さらに具体的な選定基準としては、ラジカル発生剤の分解半減期(元の物質が分解して半分の質量になるのに要する時間)が1分間となる温度が、バインダー樹脂を最終的に架橋させる以外の工程で取扱う場合の温度(バインダー樹脂の軟化温度)より50℃以上高く、主体繊維の融点以下であるもの。この種の触媒の利点は、成形されたクッション体が“熱い”状態で脱型することができ、そのままの状態ですぐに置けることである。
【0018】
前記(3)の触媒は温度に対する感受性はなく、バインダー樹脂に予め混合しておく。このものは、非架橋性の熱可塑性樹脂のバインダーを使用した従来の繊維系クッション体と同様の取扱いで、成形および加工が可能で、成形後の光(紫外線など)の照射で架橋を行ない、性能の向上を図ることができる。
【0019】
なお、前記(2)(3)の触媒は添加量を調整することで架橋度のコントロールが可能であり、それによりクッション体の特性を調整することも可能である。また、触媒を添加しない場合でも、電子線等の高エネルギー線で架橋が可能である。
【0020】
バインダー樹脂の形態は、粉末・粒状、フレーク状、フィルム状、繊維状(例えば5〜100デニール)、主体繊維の外側をバインダー樹脂で被覆した芯鞘構造、主体繊維を中心にしたサンドイッチ構造等が考えられ、要するにバインダー樹脂を主体繊維に混合させることのできる形態であればよい。
【0021】
バインダー樹脂を主体繊維に混合する手段としては、上記の種々の形態が挙げられるが、製造工程を考慮すると、主体繊維とバインダー繊維とが同一のフィラメントを構成するものが望ましい。すなわち芯鞘構造やサンドイッチ構造などのように単一フィラメントに主体繊維とバインダー繊維の2種類が存在する構造が望ましい。
【0022】
図1〜図3にバインダー混合繊維の例を挙げる。図1は、主体繊維10の芯の外側をバインダー樹脂11の鞘によって被覆したバインダー混合繊維20Aを示している。図2は、主体繊維10の芯の両側をバインダー樹脂11で挟んだサンドイッチ構造のバインダー混合繊維20Bを示している。図3は、主体繊維10とバインダー樹脂11とを互いに平行に設けたバインダー混合繊維20Cを示している。
【0023】
バインダー樹脂100%の繊維を、主体繊維に混紡して使用することも可能である。また、主体繊維とバインダー樹脂とが同一フィラメントを構成する前記芯鞘構造のバインダー混合繊維を、主体繊維のみからなる繊維集合体に混紡して用いることも可能である。なお、上記全ての混合方法において、バインダー樹脂の主体繊維に対する割合は3〜50%が望ましく、混合された繊維の径は5〜50デニールであることが望ましい。
【0024】
主体繊維とバインダー樹脂とが混合した繊維集合体を所望の立体形状に成形するには、通常の繊維系クッション体の成形設備を適用することが可能である。例えば繊維集合体を定形の板状に連続して成形する場合、前記バインダー混合繊維(図1〜図3)をコンベア式の誘電加熱、熱風、紫外線、電子線硬化炉等によって所望形状に成形することが可能である。また、モールド型を使用してクッション体を成形する場合には、主体繊維と前記バインダー樹脂とを混合した繊維集合体を綿玉状にしてモールド型内に送風充填する方法や、その他の方法でモールド型内に繊維集合体を充填したのち、前記と同様の手段によって硬化させ、かつ架橋処理を行なって、所望形状のクッション体を成形する。
【0025】
こうして成形されたクッション体は、バインダー樹脂を架橋させたことにより主体繊維の交絡点の強度が向上しているので、単なる熱可塑性樹脂をバインダーに使用したクッション体よりも、耐熱性、耐へたり性に優れ、より広い用途に応用することができる。
【0026】
本発明が従来技術と異なる点は、素材を乾式で取扱うものでありながら、架橋されたバインダーによって繊維どうしが接着されたクッション体を得ることができることである。以下にその優位点の詳細を説明する。
【0027】
[クッション体の製造工程等における優位点]
バインダー樹脂が熱可塑性樹脂で、しかも成形後に架橋が可能であることから以下の長所が挙げられる。
(a)主体繊維にバインダー樹脂を種々の形態で混合させることができる。
(b)乾式でクッション体の製造が可能であるため、素材の取扱いが容易で、製造設備のメンテナンスや作業性も良い。
【0028】
(c)比較的低温の加熱によって所望形状に成形することが可能であり、脱型後に加熱させてバインダーを架橋させることもできるし(その場合、定温固定の送風炉に一定時間入れておくだけでよい)、加熱以外の紫外線、電子線等で架橋処理することもできる。つまり、成形後に時間が経過しても架橋させることができる。このため成形時の温度の上昇下降によるエネルギーロスを削減でき、モールド型を占有する時間も短縮されるため生産コストを低くできる。
(d)架橋後は、成形されたクッション体が高温(ただし主体繊維の融点以下)でも塑性変形を起こさず、製造直後の保管や運搬に関して管理が容易である。
【0029】
[性能での優位点]
(a)架橋したバインダーによって主体繊維が接着されかつ繊維の交絡点の強度が向上しているため、耐熱性に優れ、へたりも少い。
(b)バインダー樹脂が架橋することにより、エラストマーとしての性質が強くなる結果、弾性感がより強くなる。このためクッション体として、より好ましい特性となる。
(c)クッション体としてへたりが小さくなる分、硬さをアップすれば、クッション体の密度を下げることが可能で、それにより軽量化を達成できる。
【0030】
[環境面での優位点]
(a)バインダー樹脂にハロゲンや窒素原子を含まないものを使用でき、基本的には炭素、水素、酸素のみからなるため、焼却時に環境問題となるような有毒ガスが発生しない。
(b)バインダー樹脂の架橋度を調整することにより、主体繊維の融点と同程度にすれば、このクッション体の廃材を溶融して別用途にリサイクルすることも可能である。
【0031】
[実施例]
バインダー樹脂を調製するために、バインダー樹脂に1,2−ポリブタジエンを用いる。このバインダー樹脂に、架橋触媒として有機過酸化物のジクミルパーオキサイドを0.05%添加し、110〜120℃で10分間混練し、均一に混合する。このバインダー樹脂は、次に用いられるまで、常温にて保管しておけば架橋は進行しない。
【0032】
ポリエチレンテレフタレート(融点260℃)からなる芯繊維の外側を前記バインダー樹脂の鞘によって被覆することにより、芯鞘構造のバインダー混合繊維を紡糸する。このバインダー混合繊維は、ポリエチレンテレフタレートの芯繊維に対して前記バインダー樹脂を30%重量部とする。このバインダー混合繊維の径は14デニールであった。
【0033】
得られたバインダー混合繊維を、主体繊維としてのポリエステル繊維(14デニール)に重量割合で30%となるように混紡して、バインダー混合繊維と主体繊維とを含んだ繊維集合体を得る。この繊維集合体を外径φ5〜10mmの綿玉状にする。図4において符号30が綿玉状の繊維集合体を示している。
【0034】
こうして得られた綿玉状の繊維集合体30を、例えば図4に示すような綿充填装置40の空気圧送機41(一部のみ図示)により、パンチングメタル製のモールド型42(空孔φ3mm,空孔率50%)に充填する。モールド型42の下方にはフード43を有するブロア装置44が設けられているとよい。
【0035】
上記の工程によって綿玉状の繊維集合体30が充填されたモールド型42に、通過風速3m/sで140℃の熱風を3分間送風し、その後、連続して室温のエアーを30秒間送風し、脱型することにより、繊維集合体の成形品を得た。
【0036】
上記成形品を、通過風速3m/s、180℃の熱風架橋炉に入れて3分間保持し、架橋処理を行なった。そののち熱風架橋炉から出してクッション体製品を得た。熱風架橋炉はバッチ式でも、連続のコンベアー式でもよい。このクッション体製品は、熱風架橋炉から出した直後の熱いままでも塑性変形が起こらない。
【0037】
こうして得られたクッション体は、元素として炭素、酸素、水素しか含んでおらず、環境に対する負荷が小さい。また、再溶融して樹脂固形物とすることもできる。
【0038】
[比較例1]
非架橋性のポリエステル樹脂(融点180℃)をバインダー樹脂とする芯鞘構造のバインダー繊維を30%含むポリエチレンテレフタレート繊維(14デニール)の綿状の繊維集合体を、前記実施例と同一のモールド型内に前記実施例と同様の方法により充填した。そして210℃の熱風を10分間送風したのち、室温のエアーを30秒間送風し、脱型してクッション体製品を得た。
【0039】
[比較例2]
熱硬化性樹脂のウレタンプレポリマーをエマルジョンとした溶液を、ポリエチレンテレフタレート繊維(14デニール)の綿に含浸させる。このときの含浸率は、最終的にバインダー樹脂の重量割合がクッション体の25%となるよう脱液した。このバインダーエマルジョンを含んだ繊維集合体を、前記実施例と同一のモールド型内に手作業で均一に充填したのち、140℃の熱風を通過風速5m/sで10分間送風し、さらに室温のエアーを30秒間送風し、脱型してクッション体製品を得た。
前記実施例と比較例1,2のクッション体製造条件およびクッション体特性をまとめて下記の表1と表2に示した。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【発明の効果】
請求項1に記載した発明によれば、前述した従来方法の問題点を解決でき、耐熱性や耐へたり性に優れたクッション体を提供できる。また、このクッション体は、実質的にハロゲンや窒素元素を含んでおらず、焼却時にダイオキシン等の有毒物質を排出することもない。請求項2に記載したように融点をもつ熱可塑性の主体繊維を用いれば、クッション体自体を加熱、溶融することで、リサイクル性にも優れている。
【0043】
請求項3に記載した製造方法によれば、このクッション体の成形時に素材を乾式で取扱うことができ、素材を型に詰める作業などが容易となり、作業環境も悪化せず、工数も少くてすむ。この製造方法はバインダー樹脂の融点よりも高い温度に加熱されたときにラジカルを発生する有機過酸化物からなるラジカル発生剤を用いている。この架橋触媒は、一定温度以上になると急激に反応が進行し、短時間のうちに架橋が完了するため、架橋を促進させる温度を比較的精度良くコントロールできる。この性質を利用して、バインダー樹脂の融点よりも高い温度で活性を示すラジカル発生剤をバインダー樹脂に予め混合しておき、このバインダー樹脂が混合された繊維集合体をバインダー樹脂の融点温度で成形し、その後連続して昇温すれば架橋反応が起こり、耐熱性の向上した成形体を、短い型サイクルタイムで得ることができる。さらに請求項4に記載した製造方法によれば、一般的な繊維系クッション体の製造設備を用いて、この発明の目的に沿うクッション体を能率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態のクッション体に用いるバインダー混合繊維の一部の斜視図。
【図2】 本発明の他の実施形態のバインダー混合繊維の一部の斜視図。
【図3】 本発明のさらに別の実施形態のバインダー混合繊維の一部を示す斜視図。
【図4】 モールド型の概要を示す断面図。
【符号の説明】
10…主体繊維
11…バインダー樹脂
20A,20B,20C…バインダー混合繊維
30…綿玉状の繊維集合体
40…綿充填装置
Claims (4)
- 多数の主体繊維と、架橋性の熱可塑性樹脂からなり前記主体繊維の交絡点を接着するバインダー樹脂と、を含む綿玉状の複数の繊維集合体によって構成され、これら綿玉状の繊維集合体がクッション体の厚さ方向に積層されて所望の立体形状に成形され、かつ、前記バインダー樹脂が架橋してエラストマーのバインダーを構成し、この架橋したバインダーによって、前記綿玉状の繊維集合体の前記主体繊維どうしが接着されていることを特徴とするクッション体。
- 前記主体繊維が前記バインダー樹脂よりも融点の高い熱可塑性樹脂からなることを特徴とするリサイクル可能な請求項1記載のクッション体。
- 主体繊維と、架橋性の熱可塑性樹脂からなるバインダー樹脂と、該バインダー樹脂の融点よりも高い温度に加熱されたときにラジカルを発生する架橋触媒としての有機過酸化物からなるラジカル発生剤と、を混合させて綿玉状の複数の繊維集合体を得る工程と、これら綿玉状の繊維集合体を型の内部にクッション体の厚さ方向に積層するように充填する工程と、これら繊維集合体を前記バインダー樹脂が軟化する温度以上で前記主体繊維の融点以下の温度に加熱することにより所望の立体形状に成形する工程と、該成形工程と同時もしくは成形後に前記ラジカル発生剤が活性を示す温度以上に昇温することによって行なう架橋処理により前記バインダー樹脂を架橋させて前記主体繊維の交絡点の強度を高める工程と、を具備したことを特徴とするクッション体の製造方法。
- 熱可塑性樹脂からなる芯に架橋性の熱可塑性樹脂からなる前記バインダー樹脂を付着させることによって得たバインダー混合繊維を前記主体繊維に混紡させることにより前記繊維集合体を得る工程、を具備したことを特徴とする請求項3に記載のクッション体の製造方法。
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