JP4315642B2 - 抽出方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は微多孔膜の製造方法に関する。特に熱可塑性ポリマーと有機液状体からなる微多孔膜前駆体より有機液状体を抽出する、環境への負荷が少なく、安全で、安価で、廃棄物の少ない方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
精密濾過膜や限外濾過膜等の微多孔膜を用いた除菌や除濁粒子等の濾過操作は、自動車産業(電着塗料回収再利用システム)、半導体産業(超純水製造)、医薬食品産業(除菌、酵素精製)などの多方面にわたって実用化されてきたが、特に近年は河川水等を除濁して飲料水や工業用水を製造する上水分野や、下水(下水二次処理水)の除濁浄化等の下水分野への応用が盛んになっている。更には微多孔膜はリチウムイオン電池等の電池用セパレータとしても実用化されている。こうした分野で微多孔膜が更に広く使われるために、微多孔膜の生産方法、特に生産時に使用する有機液状体を抽出する方法が問題となっていた。
【0003】
微多孔膜の製法としては、ポリマーフィルム等を延伸して微細な空孔を開孔する延伸法、熱可塑性ポリマーとポリマーの可塑剤となる有機液状体を溶融混合後冷却してポリマーと有機液状体を相分離させたあと有機液状体を抽出してなる2成分溶融法、更には無機微粉体をも混合し相分離構造を均質化させたあとに有機液状体と無機微粉体を抽出除去する3成分溶融法等がある。
中でも孔径の均一さや空孔率の高さから2成分溶融法、3成分溶融法が好ましく用いられている。
【0004】
このような製法では有機液状体を抽出する工程が必要である。従来は塩化メチレンのような、膜を構成するポリマーを溶かさないが有機液状体を溶解できる、沸点の低い不燃性のハロゲン系有機溶剤、中でも塩素系有機溶剤を用いて抽出することが一般的であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような有機液状体の抽出溶剤としては、特開平3−215535に記載されている様に、塩化メチレン、トリクロるエチレン、四塩化炭素のごとき塩素系溶剤が有機液状体の溶解性が高く、不燃性である事から用いられていた。しかし環境汚染の問題、オゾン層破壊の問題から使用が見直されてきている。
一方ヘキサン等のパラフィン系溶剤は有機液状体としての流動パラフィンの良溶媒であり、また蒸留による回収も出来るため抽出溶媒として用いられているようであるが、引火の危険性が高い欠点を有している。
【0006】
メタノール等のアルコールを抽出溶媒とした例(特開平3−215535)もあるが、これも引火性が高く安全性に問題があった。
また、抽出溶剤はできるだけ全量を回収して再利用をすることがコストおよび環境面から望ましい。その場合、抽出溶剤から有機液状体の分離が容易な事が望まれる。
本発明は、環境汚染せず、引火性が低く、オゾン層の破壊が無く、回収が容易で、低コストの微多孔膜製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決するため非ハロゲン系の有機溶剤の水溶液を用いる抽出方法を見出し、本発明をなすに至った。すなわち本発明は以下の通りである。
(1) 熱可塑性ポリマーとフタル酸エステル、リン酸エステルから選ばれる1種以上の有機液状体を溶融混練し成型して得られる微多孔膜前駆体から、有機液状体を抽出溶剤により抽出除去する微多孔膜の抽出方法において、前記抽出溶剤が、前記有機液状体を1重量%以上溶解可能な温度を持つ、40重量%以上、70重量%以下の水と炭素数1〜4のアルコールから選ばれる1種以上の非ハロゲン系有機溶剤とからなる水溶液であることを特徴とする抽出方法。
(2) 抽出溶剤が、有機液状体を1重量%以上溶解できない温度がある水溶液である事を特徴とする(1)記載の抽出方法。
【0008】
)該有機液状体を抽出した抽出溶剤を冷却し、有機液状体に富む層と有機液状体の少ない層の2層に分離させ、有機液状体の少ない層の液を、該有機液状体の抽出溶剤として使用する事を特徴とする(1)記載の抽出方法。
)抽出溶剤が、有機液状体を抽出した抽出溶剤を蒸留して得た有機液状体を0.1g/kgを超えて含まない水溶液である事を特徴とする(1)記載の抽出方法。
)有機液状体を抽出した抽出溶剤を蒸留中に或いは蒸留した後に、蒸留塔底の釜内の液を有機液状体に富む層と有機液状体の少ない層の2層に分離させ、有機液状体に富む層の液を蒸留釜から抜きだすことを特徴とする(4)記載の抽出方法。
)微多孔膜が中空糸状微多孔膜である事を特徴とする(1)記載の抽出方法。
)微多孔膜が平膜である事を特徴とする(1)記載の抽出方法。
)抽出溶剤が蒸発槽から発生する蒸気の凝縮液であって、凝縮液を微多孔膜前駆体に接触させて有機液状体を抽出した抽出溶剤を該蒸発槽に流下して戻す事を特徴とする(1)記載の微多孔膜の抽出方法。
【0009】
本発明で使用する熱可塑性ポリマーとしては、特に限定するものではないが、ポリエチレン系やポリプロピレン系のポリオレフィン系、ポリ弗化ビニリデン系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ナイロン系、セルロース系、ポリアクリロニトリル系等の熱可塑性ポリマーが用いることができる。特にポリオレフィン系、ポリ弗化ビニリデン系のポリマーの場合に発明が好適に実施される。本発明における有機液状体とは、高温で熱可塑性ポリマーをほぼ均一に溶解し、その後の冷却で熱可塑性ポリマーと微細に相分離するものであり、その相分離した微多孔膜前駆体から有機液状体を抽出除去することで微多孔膜を形成するものである。有機液状体は、沸点が200℃以上で融点が150℃以下の、好ましくは非水溶性の有機物質である。
【0010】
有機液状体の例としては、脂肪族エステルや脂環族エステル、芳香族エステル、フタル酸エステル、パラフィン、鉱物油、動植物油等が挙げられる。好適な有機液状体としてはフタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジオクチル(DOP)等のフタル酸エステルやリン酸エステル等およびこれらの混合物が挙げられる。
【0011】
微多孔膜前駆体は通常熱可塑性ポリマーと有機液状体の2成分よりなるが、さらに無機微粉体を加えた3成分よりなっていても良い。無機微粉体は、有機液状体を保持する担体としての機能を持ち、さらに孔構造を均一化する機能を持つ。無機微粉体としては疎水性シリカを使用することが望ましい。疎水性シリカは凝集を起こしにくいため溶融成型時に細かくミクロに分散し、結果として均質な三次元網目状構造を与えるためである。
【0012】
無機微粉体の抽出は、有機液状体抽出後に例えば無機微粉体が疎水性シリカであれば苛性ソーダ水溶液を用いて疎水性シリカの溶解及び抽出を行い、次に水洗で苛性ソーダを膜から除去し乾燥することにより行う。苛性ソーダ水溶液が微多孔膜内に浸透しなければシリカの溶解が出来ないので、可塑材抽出後の乾燥膜をアルコール水溶液等で濡らしておく操作が必要であった。しかし、本発明によれば抽出溶剤である水溶液が無害であるため、水溶液を含んだままの、或いは水で水洗した湿潤膜を苛性ソーダ水溶液で処理でき、著しい工程の省略及びコスト削減が可能となる。無機微粉体を使用しない場合でも有機液状体抽出後の水溶液含浸膜或いは水洗した湿潤膜を使用することも可能であるので、抽出後の乾燥にこだわらなくても良い利点がある。
【0013】
熱可塑性ポリマーと有機液状体、場合によればさらに無機微粉体との混合物は、二軸押出機等の溶融混練押出し装置により加熱混練された後、中空糸状或いはチューブ状或いは平膜状に押し出され冷却されて微多孔膜前駆体となる。なお、熱可塑性ポリマーと有機液状体の2成分の場合は、ヘンシェルミキサー等による予備混練を行わずに、直接熱可塑性ポリマーおよび可塑材を同時に或いは別々に2軸押出し機等の溶融混練押出し装置に供給しても良い。混練性を上げるために、混合後に一度溶融混練を行ってペレット化し、このペレットを溶融混練押出し装置に供給し、押出して微多孔膜前駆体にしても良い。
【0014】
有機液状体の抽出は抽出溶剤が有機液状体を1重量%以上溶解可能な温度がある、水と非ハロゲン系有機溶剤とからなる水溶液を用いて行なわれる。
非ハロゲン系有機溶剤とは例えば水溶性の脂肪族アルコール、脂肪族ケトン、脂肪酸、ジオキサン、ジオキソラン等が挙げられる。特に炭素数1〜4のアルコールから選ばれることが好ましく、中でも炭素数3のプロピルアルコールが水溶液においての有機液状体の溶解度が高く、かつ溶剤としての危険性が少なく更に好ましい。非ハロゲン系有機溶剤を2以上組み合わせて用いた水溶液であっても良い。
【0015】
一般に水溶液温度を高くする事により有機液状体の溶解度が増加し、拡散速度も向上し、抽出効率が向上する。その場合、有機溶媒の蒸気圧が高くなり引火の危険性が増加するので、適切な抽出温度を選ぶ必要がある。しかしながら、抽出溶剤からの蒸気には不燃性の水蒸気が入るために引火の危険性が低い。好ましくは水溶液中の水濃度が40重量%以上が安全性および後に述べる2層への分離性が高く、好ましい。また水濃度は有機液状体の溶解度から70重量%以下であることが好ましい。水濃度が41重量%以上55重量%以下の水溶液が更に好ましい。
【0016】
水溶液は有機液状体が1重量%以下の溶解度になる温度を有することが必要である。有機液状体を1重量%以上溶解できる温度で抽出して1重量%以上溶解させた後に、抽出溶剤の温度を変えて1重量%以下の溶解度になる温度にすることにより、抽出溶剤に一旦溶解していた有機液状体が溶解しきれず析出し二つの液層に分離されることになる。
その場合有機液状体に富んだ液層と、有機液状体の乏しい液層に分離する。有機液状体の乏しい層の液はそのままでも抽出溶剤として利用できる。
抽出後の抽出溶剤を蒸留して得た有機液状体を実質的に含まない水溶液を再び有機液状体の抽出溶剤として使用する事が好ましい。その際に上記の有機液状体の乏しい層の液を蒸留すると蒸留への負荷が減り、更に有利である。
【0017】
有機液状体に富んだ層の液は有機液状体を分離し廃棄或いは再利用する際に有機液状体が濃縮されているため、二層分離させることは有利である。
抽出溶剤は非ハロゲン系の有機溶剤と水とからなる水溶液からなる。非ハロゲン系であるためオゾン層の破壊に関与しない。水溶液の沸点は有機液状体の沸点に比べ低いことが蒸留回収する上で好ましく、非ハロゲン系の有機溶剤の沸点は150℃未満であることが好ましい。抽出溶剤水溶液の気液平衡組成は決まっているが、抽出溶剤中の非ハロゲン系有機溶剤濃度が、該有機溶剤と水との系での共沸組成における有機溶剤濃度より低い組成の水溶液であるならば蒸留による抽出溶剤水溶液の規定濃度での回収が出来うる。
【0018】
水溶液に有機液状体が混合した液を連続蒸留すると有機液状体と水溶液が分離されて、有機液状体が蒸留塔底の釜に高濃度で濃縮される。塔頂部からは抽出溶剤となる水溶液濃度で溜出を行なう。塔底の釜内液組成は蒸留塔の回収部段数と気液平衡関係から概ね決まるが釜内液の水分量が高くなるため有機液状体が溶解し切れなくなる。2層に分離するが有機液状体に富んだ層と有機液状体の乏しい水層に分離する。有機液状体の富んだ層を冷却して分離を顕著にさせることにより高濃度に濃縮された有機液状体を連続的に蒸留塔から排出できるので、連続蒸留が安定的に行える。
【0019】
微多孔膜は中空糸状の場合は濾過に好適に用いられ、あるいは平膜状の場合は濾過あるいは電池用隔膜として好適に用いられる。いずれの形状の膜であっても、本抽出方法が使用できる。
さらに、本抽出溶剤組成の水溶液が蒸気の凝縮液となる場合、抽出されるべき微多孔膜前駆体を凝縮液である水溶液で抽出し、抽出後の液を蒸発槽に戻して蒸発させる操作を連続的に行う事ができる、蒸発槽での液組成は有機液状体と水と非ハロゲン系の有機溶剤から構成される。抽出の進行と共に有機液状体量は増え、蒸発槽中の水溶液組成は凝縮液組成を蒸発で発生しうる液組成となるため、水溶液濃度は凝縮液濃度より低くなり、二層分離が早期に発生する。この有機液状体を富む層の液を適宜蒸発槽から排出する事により、限られた量の抽出溶剤で長期に渡り抽出操作を繰り返して行う事が可能となる。この場合、系外に持ち出される抽出溶剤量さらには非ハロゲン系有機溶剤量が問題となるが、有機液状体と共に持ち出される非ハロゲン系有機溶剤量は蒸発槽中の有機液状体を富む層の液を冷却する事により少なくできる。膜と共に系外持ち出される非ハロゲン系有機溶剤の量は、膜中の有機溶剤分を蒸発回収したり、水蒸気で処理して回収したりする事により、少なくできる。
【0020】
抽出溶剤となる非ハロゲン系有機溶剤からなる水溶液は共沸組成でなく、平衡蒸気組成での非ハロゲン系有機溶剤濃度が平衡液組成での非ハロゲン系有機溶剤濃度より高い事が二層分離を促進する上で望ましい。
有機液状体の抽出溶剤は水溶液であるので、抽出温度では微多孔膜を構成する熱可塑性ポリマーに対して不活性であり、好ましい。
【0021】
有機液状体がジオクチルフタレート(DOP)、抽出溶剤がイソプロピルアルコール(IPA)水溶液の場合、60重量%水溶液のDOP溶解度は50℃で約5重量%、80℃で約10重量%であるが、10℃では1重量%未満である。55重量%のIPA水溶液の場合は60℃で約3重量%であるが10℃では1重量%未満であり、50重量%のIPA水溶液の場合は60℃で溶解度が約1.5重量%、80℃で約2.5重量%であるが25℃での溶解度は0.5重量%以下である。
【0022】
IPAと水はIPA87.6重量%が共沸組成であり共沸点80.1℃である。
IPA水溶液濃度が87.6%以下であれば共沸組成よりIPA濃度が薄く、塔頂部よりその濃度のIPA水溶液を溜出液として得ることができる。また、回収塔の塔底からIPAを含まないの水の回収も出来得る。
有機液状体のDOPは沸点が約386℃であり水−IPAとの共沸は実質上無いため、蒸留塔でDOPの分離回収が可能である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下本発明を実施例に基づいて説明する。
【0024】
【実施例1】
平均一次粒径0.016μm、比表面積110m2/gの疎水性シリカ(日本アエロジル社製:アエロジルR−972(商品名))23重量%、フタル酸ジオクチル37重量%をヘンシェルミキサーで混合し、これに重量平均分子量290000のポリフッ化ビニリデン(クレハ:KFポリマー#1000(商品名))40重量%を添加し再度ヘンシェルミキサーで混合した。
該混合物を30mmの二軸押し出し機で更に混合し、ペレットにした。このペレットを別の30mm二軸押し出し機に連続的に投入し、中空糸状紡口を取り付けて空中を経て40℃の水槽中に20m/minの紡速で溶融押し出しして中空糸状に成型し中空糸膜前駆体とし、周長約3mのカセで巻き取った。
【0025】
イソプロピルアルコール(IPA)55重量%からなるIPA水溶液を調整し、60℃に加熱調整し、この中空糸膜前駆体を束として抽出槽に配置し、IPA水溶液を注入し1時間浸漬したのち、該水溶液を抜き、新たにIPA水溶液を注入した。この操作を3回繰り返してフタル酸ジオクチルをイソプロピルアルコール水溶液中に抽出した後、膜を乾燥させた。ついで抽出後のIPA水を10段より成る蒸留塔の中段5段目に供給し還流比2で運転し、安定的に塔頂より55重量%からなるIPA水溶液を得た。この水溶液中のDOP濃度は0.1g/kg以下で検出出来なかった。
【0026】
加熱蒸発面を持った蒸留塔の塔底には最初は抽出後の抽出液をしこんでいたが、蒸留の進行と共にすぐに2層の液体に分離して存在するようになった。下層が有機液状体であるフタル酸ジオクチルからほぼなる層であり、上層がほぼ水からなる層であった。下層の液を塔底の最下部に設けた配管から抜いて液面が上がりすぎるのを防いだ。なお二層分離を明確に行うために、下層の液が上層の液と対流で混濁しないように、加熱蒸発面は塔底の最下部には設けず、最下部には冷却面をもつ構造として、冷却してから下層の有機液状体に富む層を抜くようにした。
【0027】
中段からの供給液に含まれる高沸点物である有機液状体であるDOP及び水が塔底に移行し、抽出液組成である55%IPA分が塔頂からする。そして塔底組成は基本的には殆どIPAも含まない希薄水溶液と該DOPとの混合となり、DOP量のみ時間とともに増加するためと、IPAの濃度が低いため可塑剤の飽和溶解度が低いことが重なって、塔底の液はすぐに二層分離を始める。この釜液を10℃に冷却して塔底の釜から抜いた。液組成はDOP99.9重量%、IPA約0.05重量%以下、水0.05重量%以下であった。
塔頂からの溜出液を再び抽出に使用し、又蒸留分離を行ったが何の問題も無かった。
【0028】
【実施例2】
図1に示す抽出装置を用いた。装置下部に加熱器を持った蒸発槽があり、加熱器の下部には更に冷却器を持った相分離部があり、最下部に連結された排液管により下層の冷却された液を抜ける構造となっている。中段の抽出部には受け器があり中空糸膜の前駆体の束をを上下に傾斜させて置ける構造となっている。その上部は蒸気凝縮器があり蒸気を凝縮し、凝縮液を微多孔膜前駆体の上端部上に流下するように出来ている。
実施例1で得た中空糸膜状微多孔前駆体の束を水平から20度傾斜させ配置した受け器であるステンレスのパンチングメタル上に束の上端部を固定して置いた。
【0029】
蒸発槽に10%IPA水を10Lし込み加熱し蒸発させた。蒸発した蒸気は該中空糸束を経て最上部の凝縮部で凝縮し集められて中空糸束の上端部に流下し、膜束を濡らしつつ、束の反対側の下端部を経て蒸発槽に流下した。
凝縮液組成はIPA58重量%水42重量%であった。
蒸発を続けて行くと次第に蒸発槽内の液が濁って行き、二層分離を始めた。
1時間後に、加熱を停止した後、膜束を取り出した。80℃の乾燥機中で乾燥させてから膜中のDOP残留量を測定したところ0.01g/kg以下であった。また、蒸発槽液を10℃まで冷却した後、二層分離した液のうち下層部分の液をほぼ全量抜いた。液組成はDOP99重量%、IPA0.5重量%、水0.5重量%以下であった。
【0030】
【発明の効果】
ハロゲン系有機溶剤を使用せずに、環境負荷の少ない有機溶剤水溶液を使用し、安全に、安価に抽出を行なえる。特に廃棄物が減るのでクローズド系での微多孔膜生産に関して効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例2の抽出装置の模式図である。
【符号の説明】
1 抽出装置
2 蒸気凝縮器
3 微多孔膜前駆体受け器及び微多孔膜前駆体
4 加熱器
5 蒸発槽
6 冷却器
7 排液管
8 上層
9 下層
10 2層界面

Claims (8)

  1. 熱可塑性ポリマーとフタル酸エステル、リン酸エステルから選ばれる1種以上の有機液状体を溶融混練し成型して得られる微多孔膜前駆体から、有機液状体を抽出溶剤により抽出除去する微多孔膜の抽出方法において、前記抽出溶剤が、前記有機液状体を1重量%以上溶解可能な温度を持つ、40重量%以上、70重量%以下の水と炭素数1〜4のアルコールから選ばれる1種以上の非ハロゲン系有機溶剤とからなる水溶液であることを特徴とする抽出方法。
  2. 抽出溶剤が、有機液状体を1重量%以上溶解できない温度がある水溶液である事を特徴とする請求項1記載の抽出方法。
  3. 該有機液状体を抽出した抽出溶剤を冷却し、有機液状体に富む層と有機液状体の少ない層の2層に分離させ、有機液状体の少ない層の液を、該有機液状体の抽出溶剤として使用する事を特徴とする請求項1記載の抽出方法。
  4. 抽出溶剤が、有機液状体を抽出した抽出溶剤を蒸留して得た有機液状体を0.1g/kgを超えて含まない水溶液である事を特徴とする請求項1記載の抽出方法。
  5. 有機液状体を抽出した抽出溶剤を蒸留中に或いは蒸留した後に、蒸留塔底の釜内の液を有機液状体に富む層と有機液状体の少ない層の2層に分離させ、有機液状体に富む層の液を蒸留釜から抜きだすことを特徴とする請求項記載の抽出方法。
  6. 微多孔膜が中空糸状微多孔膜である事を特徴とする請求項1記載の抽出方法。
  7. 微多孔膜が平膜である事を特徴とする請求項1記載の抽出方法。
  8. 抽出溶剤が蒸発槽から発生する蒸気の凝縮液であって、凝縮液を微多孔膜前駆体に接触させて有機液状体を抽出した抽出溶剤を該蒸発槽に流下して戻す事を特徴とする請求項1記載の微多孔膜の抽出方法。
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