JP4315423B2 - 入力ペン - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、座標入力面を有する座標入力装置用の入力ペンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
座標入力面に、指示具や指によって指示して座標を入力することにより、接続されたコンピュータを制御したり、文字や図形などを書き込むために用いられる座標入力装置が存在する。
【0003】
従来より、この種の座標入力装置としては、タッチパネルとして、各種方式のものが提案、または製品化されており、特殊な器具などを用いずに、画面上でパーソナルコンピュータ等の端末の操作が簡単にできるため、広く用いられている。
【0004】
座標入力方式としては、抵抗膜を用いたもの、また、超音波を用いたものなど、さまざまなものがあるが、光を用いたものとして、例えば、特許文献1がある。この特許文献1では、座標入力領域の外側に再帰性反射シートを設け、座標入力領域の角端部に配置された光を照明する照明部と光を受光する受光部とにより、座標入力領域内において指等の光を遮蔽する遮蔽物と受光部間の角度を検出し、その検出結果に基づいて、その遮蔽物の指示位置を決定する構成が開示されている。
【0005】
また、特許文献2や3等にあるように、再帰性反射部材を座標入力領域周辺に構成し、再帰反射光が遮光される部分の座標を検出する座標入力装置が開示されている。
【0006】
これらの装置において、例えば、特許文献2では、微分等の波形処理演算によって受光部が受光する遮蔽物による遮光部分のピークを検出することにより、受光部に対する遮光部分の角度を検出し、その検出結果からその遮蔽物の座標を算出している。また、特許文献3では、特定のレベルパターンとの比較によって遮光部位の一方の端と他方の端を検出し、それらの座標の中心を検出する構成が示されている。
【0007】
また、特許文献1においては、受光部であるRAMイメージャーの各画素を読み出し、コンパレータで比較することで、遮光部分を検出し、一定幅以上の遮光部分がある場合に、その両端の画素の中心を検出し、その検出結果に基づいて遮蔽物の座標を算出する方式が示されている。
【0008】
ここで、タッチパネルとして動作させるためには、指等の指示具が座標入力面をタッチしたか否かを判定しなければならない。先に述べた抵抗膜方式は、座標入力面をタッチすることで電気的な抵抗値の変化を検出するものである。
【0009】
一方、超音波方式は、座標入力面をタッチすることによって、入力面中を伝播している超音波振動が減衰する現象を観測してタッチ位置を検出するものであるので、指等の指示具が座標入力面をタッチしたか否かの判定は容易である。
【0010】
しかしながら、特許文献1乃至3のような、遮光位置を検出して座標を算出する方式(以下、遮光方式と称する)にあっては、座標入力面の垂直方向の高さh1を有する位置に光検出用の光束を設け、その光束を遮蔽物により遮蔽することで、その遮蔽位置を検出する。そのため、必ずしも、座標入力面をタッチしていなくても、座標値を検出、出力してしまう。
【0011】
この点を鑑み成された発明としては、例えば、特許文献4や特許文献5に示されるように、遮光量に対する複数の閾値を設け、より座標入力面に近いところで座標入力動作が行われた場合に座標値を出力するような構成が開示されている。
【0012】
また、一方で、専用指示具であるところの座標入力ペンを用いて、高精度に位置座標を算出することができる各種方式の座標入力装置が提案、または製品化され、実用に供されている。
【0013】
具体的には、特許文献6や特許文献7に示されるように、専用タブレットに内蔵されたループコイルと座標入力ペンに内蔵されたコイル間の電磁結合を利用して、座標入力ペンの位置座標を検出する方式がある。また、特許文献8に示されているような静電結合を利用する方式、さらには、特許文献9や特許文献10に示されるように、座標入力ペンから空中に放射された超音波が複数のセンサに到達する到達時間を計測することによって座標入力ペンの位置座標を検出する方式が知られている。
【0014】
これら、特許文献6乃至10の各種方式の専用指示具は、座標入力面に指示具の先端部を押圧することによって、専用指示具に内蔵されたスイッチ手段を動作させる。そして、スイッチ手段が動作した時に、指示具の先端部が押圧されたことを示す信号を生成して、その信号を検出することにより、指示具が座標入力面をタッチしたか否かを判定するように構成されている。
【0015】
【特許文献1】
米国特許第4507557号公報
【特許文献2】
特開2000−105671号公報
【特許文献3】
特開2001−142642号公報
【特許文献4】
特開2001−147776号公報
【特許文献5】
特開2001−84106号公報
【特許文献6】
特開平2−96825号公報
【特許文献7】
特開平4−96212号公報
【特許文献8】
特開平2−254520号公報
【特許文献9】
米国特許第6111565号公報
【特許文献10】
特開2002−132436号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
さて、『座標入力面をタッチしたか否かの判定』の正確さが、座標入力装置を操作する操作者の操作性にどの様に影響するかについて考えてみる。
【0017】
ここでは、特に、遮光方式の座標入力装置(タッチパネル)について考えてみる。
【0018】
図29(b)は、座標入力装置の正面方向からのみた配置図であり、座標入力面104の左下隅部に設けられた特定領域(SW1〜SW3)を指示することによって、例えば、特定のアプリケーションを起動するように構成できるスイッチ領域を複数設置した場合の例である。
【0019】
つまり、操作者が指等で、あらかじめ定められた特定領域を指示することによって、座標入力装置は座標値を出力することになるが、その出力された座標値が特定領域内の座標値であるか否かを判定する。そして、この判定結果によって、その特定領域に割り付けられた動作を実行するように構成したものであり、あたかもスイッチ手段として動作できるように作用する。
【0020】
図29(a)は、図29(b)におけるA−A断面図を示すものである。平面部材からなる座標入力面104は、表示装置の表示面をも兼ねている。センサユニット102中の投光部で照明された光束は、略表示装置の表面に平行に放射され、再帰反射部103によって再帰反射され、センサユニット102中の検出部にて検知される。この光束は、図29(a)に示すが如く表示面からの高さh1〜h2の範囲に設定(再帰反射部103の設置範囲にほぼ相当)されるが、h1≒h2とし、かつ高さh1を『0』に設定することは、次の理由により困難である。
【0021】
一般に、大型表示装置、特に、大勢の参加者が表示装置を用いて会議を行う会議システムにあっては、その表示サイズは対角60インチ〜100インチ程度、あるいはそれ以上の大きさの表示装置が要求される。さらには、表示装置の表面を座標入力面としていることから、指等によって押圧されてもその表示面は『たわまない』ことが要求される。
【0022】
従って、剛性を有する素材で表示面を製作することになるが、その表示領域が大きいこと、透明性が必要であることを考慮して、例えば、ガラスを用いる表示面とすれば、その板厚はかなり厚いものが要求され、重量の大きな装置とならざるを得ない。
【0023】
さらには、現状の大型表示装置として用いられるリアプロジェクタ方式の表示装置にあっては、その表示面はフレネルレンズ、レンチキュラーレンズ等の光学特性を有する透明な樹脂板で構成されるのが通例であり、板厚増は重量の増大のみならず、光透過率等を悪化させ、表示装置としての機能を低下させることになる。
【0024】
そこで、通常行われる対策としては、わずかながらでも表示面に曲率を設け、みかけの剛性を増す方法がある。今、仮に表示面の中央部を凸となるように構成した場合、表示領域中央部でのh1を限りなく『0』に設定することは可能となるが、表示領域周辺部では、表示面が凸となっていることで、光束が表示面によって遮断されるので、少なくともそのふくらみ高さ分だけのh1がおのずと設定される(図30(a)参照。具体的には、表示面104のふくらみを、周辺部より中央部で、例えば、5mm高くすると、周辺部でのh1は少なくとも5mmと言うことになる)。逆に、表示面の中央部を凹とした場合にあっては、今度は表示領域周辺部でほぼ『0』に設定することは可能であるが、表示領域中央部ではそうならない。
【0025】
以上、剛性と言う観点で説明したが、仮に十分な剛性が得られたとしても、このh1を『0』に設定することは困難である。具体的な数字で説明すると、仮に表示サイズが対角70インチ、縦横比3:4の表示装置であるとすると、表示領域の大きさは、約1060mm×1420mm程度で、面積としては約1.5mに相当する。
【0026】
表示面の素材の平面度、取り付け面の平面度、あるいは熱膨張の影響等を考慮して、この表示面を装置に組み込んだ状態で、その表示面の平面度をほぼ『0』に維持することは不可能であり、たとえその値が±1mm程度で有ったとしても、産業上大きな困難が伴なう。ましてや、その状況で、h1≒h2に設定すれば、座標入力の際の座標入力面の歪みによって、光束が遮断されてしまい、本来、検出しなければならない指示位置の検出に大きな誤差を含んだり、座標検出そのものが不能となる致命的な障害が発生する可能性が高くなる。
【0027】
以上の観点より、h1≒h2、h1≒0に設定することは、装置を大量に安価に製造するという意味で、事実上不可能と言える。
【0028】
さて、図29(b)のように、座標入力面104内に図示するが如くスイッチ領域を複数設定するものとする。この時、操作者が、例えば、図中のスイッチ2(SW2)を動作させて、所望のアプリケーションを実行させようとした場合を考える。操作者の手/指は、表示面に垂直な方向のみの移動を意識してスイッチ動作(図29(b)のSW2領域を触る行為)するのではなく、『表示面をまさに触った点がちょうどSW2領域にある』と言うこと以外、手/指の移動軌跡を意識しないのが普通であり、例えば、図29(a)中の太い矢印で示された軌跡で移動動作が行われる。
【0029】
この移動動作に伴ない、座標入力装置が判定する動作について説明すると、まず、操作者がSW2領域に割り付けられた制御を実行させようとして、SW2領域をタッチするために、座標入力有効領域(表示面)104に略平行に設定された光束を遮り始め、(1)の位置まで指/手を移動させたとする。ここで、光束を遮り始めた時点で、その遮光位置の座標を出力し始めるが、操作者は、まだ座標入力面104を触れていないので、スイッチを動作させたつもりには至っていない。
【0030】
そして、(2)の位置(座標入力面104に接触した位置)で、SW2領域を押圧することによって、スイッチ動作をさせたと認知することになる。操作者は、スイッチ動作をさせたと言う目的を達成して、(3)の位置に指/手を移動させることになるが、(3)の位置にあっても、座標入力装置は座標値を出力し続ける。そして、(4)の位置を経て光束を遮ることが無くなったところで、座標出力を停止することになる。
【0031】
さて、ここで問題となるのが、操作者が認知したのは、(2)の状態で『SW2領域を押圧した』と言う点だけであるのに対し、座標入力装置は、(4)の状態まで座標値を出力している点である。
【0032】
つまり、一連の操作者の移動動作によって、最後に出力された座標値が、SW3領域にある場合には、操作者は確実にSW2領域を押圧したにもかかわらず、SW3領域に割り付けられた実行命令が実行されてしまうことになる。これは、操作者に、意図しない操作を与えるばかりでなく、実行命令の内容によっては、修復不可能な状態を招く重大な恐れが生じることになる。
【0033】
その対策としては、例えば、SW1領域とSW2領域の間(隙間)を十分に大きくとる、あるいは、出力されている座標値を連続的に監視し、例えば、その期間中に出力された座標値の中心を確定値とする等の手段も考えられる。
【0034】
しかしながら、前者の対策は、スイッチ領域の間隔が大きくなり、操作性が悪い、或いは座標入力有効領域の大きさ制限により多数のスイッチを配置できない等の課題が新たに生じる。また、後者の対策は、例えば、『間違った領域を指し示してしまったので、(2)の状態のまま指を移動させて、正しい位置で指を離すことによって、当初の目的を達成する』等の動作は良く行われるので、必ずしも中心位置が操作者が意図した正しい位置とは限らない、つまり、誤動作する可能性を排除できない。
【0035】
次に、操作者による指、指示具等のタップ動作、例えば、指により連続的に表示スクリーンを2回タッチすることによって、現状、特にパーソナルコンピュータのマウス動作で周知されている『ダブルクリック』動作を、この種の座標入力装置で実現する場合を考えてみる。
【0036】
通常の座標入力装置は、所定周期毎に座標値を出力(例えば、100点/秒の座標検出サンプリングレートであれば、5msec毎に座標を出力する能力を有する)することができる。そのため、座標出力タイミング、及び出力された座標値を監視することで、操作者がタップ動作をしたかどうかを判定できるはずである。
【0037】
つまり、ある時間に座標値Aが出力された後、次の座標サンプリングで座標値が検出されず(例えば、100点/秒の座標検出サンプリングレートの時、5msec時間が経過しても座標値が検出されない状態)、次に出力される座標値Bが、座標値Aが出力された時間から所定時間以内で、かつ座標値Aと座標値Bが略等しい場合に、ダブルクリック動作が行われたものと判定する。
【0038】
この時、図29(a)において、操作者がダブルクリック動作を実行しようとして、(1)→(2)→(3)→(2)→(3)→(4)と言う操作をした場合について順に説明を加えると、操作者は、まず、(1)→(2)の工程で所望の位置を指示する。次に、(2)→(3)の工程で座標入力面104より指を離する。次に、(3)→(2)の工程で、先に指示した所望の位置と略等しい位置を指示する。そして、(2)→(3)→(4)の工程で、ダブルクリック動作を終了する。
【0039】
しかしながら、座標入力面104を指で2度タッチすることでダブルクリック動作を完了したものと操作者が認識しているにもかかわらず、座標入力装置は工程(1)→(2)→(3)→(2)→(3)→(4)の間、継続的に座標出力を行っているので、操作者が意図したダブルクリック動作を、座標入力装置が判定できない。
【0040】
言い換えれば、操作者が認識できるのは、『入力面をタッチしたか、しないか』だけであるのに対し、一連の動作である『入力面をタッチ(1回目)』、『離す』、『入力面をタッチ(2回目)』において、『離す』の動作の際に、連続的に出力されている座標値が停止しなければ、操作者の意図を的確に判断することができない。このような状況において、確実にダブルクリック動作を実現するためには、『十分なストローク』を持って『離す』動作をしなければならず、しかも操作者はその『十分なストローク』がどの程度かを即座に認知することができないので、オーバーアクションをせざるを得ず、操作性に優れた装置とは言うことはできない。
【0041】
以上、表示画面上に表示されている、例えば、アイコン(あらかじめ設定されている特定領域に表示されているアイコンでも良いし、アイコンが表示されている領域を検出して、その情報と座標入力装置の出力座標値を比較して、スイッチ手段を構成しても良いことは言うまでも無い)をタッチすることによって、所望のアプリケーション等を実行させようとする場合に、座標入力装置が操作者のタッチ動作(入力面を押圧したか否かの判定)を正確に検知できない場合に発生する弊害について説明したが、さらに別の具体的な障害について説明を加える。
【0042】
今、操作者が『あ』という文字を入力するために、指示具を、図31(a)に示すが如く移動動作させた場合を想定する。この時、操作者は図31(a)における実線部分を入力面にタッチして指示具を移動させ、図31(a)における破線部分を入力面をタッチすることなく指示具を移動させることになる。
【0043】
つまり、操作者は、『入力面をタッチ』することを認知して筆跡を残すことを想定し、図31(a)の実線部分の筆跡が画面に記録されることを意図している。ここで先にも説明したように、座標入力面をタッチしていないにも関わらず、座標入力装置が指示具等により座標入力動作が行われていると誤検出しているような状態にあっては、表示される文字情報は図31(b)のようになる。
【0044】
つまり、『あ』と言う文字を入力したにもかかわらず、座標入力面をタッチする直前/直後において、余分な軌跡が表示され、操作者が意図した軌跡とは異なる表示が得られることになる。この現象を、以後、『尾引き』と称するが、この尾引きの発生により、操作者の意図する情報が表示されず、『見にくい』、『小さい字は書けない』、『細かい図形情報は描けない』等の問題が発生する。
【0045】
一方、仮に座標入力面をタッチしているにも関わらず、そのタッチ情報を誤検出するような状態にあっては、表示される文字情報は、図31(c)のようになり、『あ』という文字を入力したにもかかわらず、座標入力面をタッチする直前/直後において、本来表示されるべき軌跡情報が欠落し、操作者が意図した軌跡とは異なる状態となってしまう。
【0046】
これらの現象を回避するためには、指示具の先端が座標入力面に接触して、押圧する際に、そのことを検知するスイッチ手段は、限りなく動作ストロークが『ゼロ』に近く、願わくば0.1mm以下であって、しかもその時の動作荷重は限りなく『ゼロ』に近い、願わくば30g以下程度であることが、検討の結果、望ましい形態であることが解った。
【0047】
従来技術において、動作ストローク0.2mm、動作ON荷重100g、動作OFF荷重50g、動作寿命100万回なるスイッチ手段は市販されている。そして、指示具の先端部を座標入力面に押圧することでスイッチ手段が動作するように構成(以後、このスイッチ手段をペンダウン検出スイッチあるいはペン先スイッチと称する)する場合、例えば、動作ストローク0.2mm、動作荷重60gなるペンダウン検出スイッチを構成することは可能である。
【0048】
つまり、指示具の先端部をバネ部材等を用いてスイッチ手段が動作する方向にあらかじめ与圧し、例えば、与圧を40gに設定すれば、スイッチ手段は60gをさらに負荷すれば動作することになる。尚、この与圧によりスイッチ手段と筆圧を伝達するスライド部材の機械的な隙間(遊び)は『ゼロ』になるので、ストロークは、スイッチ手段のストローク0.2mmと同等となる。
【0049】
しかしながら、より動作荷重を軽くしようとして与圧を60gに設定すれば、このスイッチ手段の動作OFF荷重は50gであるので、スイッチ手段は常にON状態となり、スイッチ手段として作用しなくなる、
つまり、より軽荷重で動作するペンダウン検出スイッチを構成することは困難であり、『尾引き』等の弊害を発生させず、軽動作荷重、小ストロークなるペンダウン検出スイッチを搭載した操作性の良い指示具を実現することができないという課題が生じる。
【0050】
以上説明したように、操作性の良い座標入力ペンを実現するためには、軽動作荷重、小ストロークなるペン先スイッチが必須である。また、座標入力ペンのペン先を座標入力面に押圧することによって、ペン先スイッチを動作させることから、ペン先を座標入力面に押圧することによって、その力をスイッチ手段に伝達するスライド部材の移動量も小さくなければならない。
【0051】
つまり、スイッチ手段、スライド部材を一体に組み上げて座標入力ペンである指示具を製造する際に、スイッチ手段とスライド部材間の遊びも、極力小さくしなければならない(遊びが大きければ、遊びの分だけスイッチが動作するためのストロークが大きくなり操作性を低下させてしまう)。
【0052】
さらには、操作性の良い小ストローク、軽動作荷重なるスイッチ手段を搭載した指示具であっても、例えば、操作者が操作中に指示具を誤って机上から落下させた場合を想定すれば、その衝撃はスライド部材を介して、直接スイッチ手段に負荷されることになる。従って、そのような場合であっても、スイッチ手段の破壊を防止するために、その衝撃荷重を緩和するための機構が必須の構成となる。
【0053】
具体的な数字を用いて説明すれば、仮に、20gの負荷を与えることによってスライド部材が0.1mm移動して、スイッチ手段を動作させているとする。この時、さらに1000gの異常荷重が負荷されたとすれば、スライド部材はスイッチ手段の圧力と変形量の関係に応じてスライドし、例えば、スイッチ動作状態からスライド部材がさらに0.2mm移動したところでスイッチの破壊耐圧800gを超え、スイッチ手段が破壊されることになる。
【0054】
従って、例えばスイッチ動作状態からスライド部材がさらに0.1mm移動したところでスライド部材がそれ以上にスライドしないように、ストッパ手段を別途設ける必要が生じる。
【0055】
つまり、1000gの異常荷重が負荷されたような場合であっても、ストッパ手段によりスイッチ動作状態からスライド部材がさらに0.1mmしか移動できないように構成する。この時、直接スイッチ手段に負荷される荷重は、ほぼ400g程度(変軽量0.2mmにてスイッチの耐圧800gに至るとすれば、線形であると仮定して、変軽量0.1mm時の負荷は400g程度と言える)、残りの600g分については、ストッパ手段を介して、例えば、指示具の筐体に異常負荷を逃がすことが可能となり、スイッチ手段の破壊を防止することが可能となる。
【0056】
このように、スライド部材のスライド量は、その一方のスライド方向にはスイッチ手段とスライド部材の遊びを小さくするために制限する必要があり、反対のスライド方向にはスイッチの破壊を防止するために制限する必要がある。更には、この遊びを小さくすることで、機械部品の公差を吸収できなくなり、操作者がペン先を押圧していないにも関わらずペン先スイッチが動作しっぱなしと言う状態が発生しないように、装置を大量生産する場合には十分な管理が必要となる。従って、操作性が良い指示具を実現するためには、スライド部材のスライド可能範囲をスイッチ手段に対して、非常に高精度にしかも両方向に設定する必要があり、部品の機械的精度が要求されるばかりでなく、部品間の位置関係を調整して組み立てる等、製造コストが高くなるという課題を有している。
【0057】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、安価で、かつ操作性に優れた座標入力装置用の入力ペンを提供することを目的とする。
【0058】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明による入力ペンは以下の構成を備える。即ち、
座標入力面を有する座標入力装置用の入力ペンであって、
ペン先端部が座標入力面を押圧することによってスライドするスライド部材と、
前記スライド部材のスライドによって動作するペンダウン検出用のスイッチ手段と、
前記スライド部材を挿入することにより、そのスライド方向を規制し、かつ前記スイッチ手段を位置決めする位置決め部を有するシリンダ部材と、
前記スライド部材の嵌合面の少なくとも一部にある凹部と、前記シリンダ部材の嵌合面の少なくとも一部にある凸部とを係合させるために、前記スライド部材を前記シリンダ部材に挿嵌後、該スライド部材をスライド軸周りに所定角度回動させることによって、前記スライド部材のスライド方向のスライド可動範囲を規制する規制手段と
前記スライド部材及び前記シリンダ部材には、各々周り止め手段が設けられ、該スライド部材を該シリンダ部材に挿入し、かつ所定角度回動後においても両者の軸周りの相対的な角度が略一定に保持されるように、前記周り止め手段を装着する保持手段を有する筐体と、
を備える。
【0060】
上記の目的を達成するための本発明による入力ペンは以下の構成を備える。即ち、
座標入力面を有する座標入力装置用の入力ペンであって、
ペン先端部が座標入力面を押圧することによってスライドするスライド部材と、
前記スライド部材のスライドによって動作するペンダウン検出用のスイッチ手段と、
前記スライド部材を挿入することにより、そのスライド方向を規制し、かつ前記スイッチ手段を位置決めする位置決め部を有するシリンダ部材と、
前記スライド部材の嵌合面の少なくとも一部にある凸部と、前記シリンダ部材の嵌合面の少なくとも一部にある凹部とを係合させるために、前記スライド部材を前記シリンダ部材に挿嵌後、該スライド部材をスライド軸周りに所定角度回動させることによって、前記スライド部材のスライド方向のスライド可動範囲を規制する規制手段と
前記スライド部材及び前記シリンダ部材には、各々周り止め手段が設けられ、該スライド部材を該シリンダ部材に挿入し、かつ所定角度回動後においても両者の軸周りの相対的な角度が略一定に保持されるように、前記周り止め手段を装着する保持手段を有する筐体と、
を備える。
【0062】
また、好ましくは、前記シリンダ部材は、前記シリンダ部材の位置決め部により位置決めされた前記スイッチ手段を固定する固定部を更に備える。
【0063】
上記の目的を達成するための本発明による入力ペンは以下の構成を備える。即ち、
座標入力面を有する座標入力装置用の入力ペンであって、
ペン先端部が座標入力面を押圧することによってスライドするスライド部材と、
前記スライド部材のスライドによって動作するペンダウン検出用のスイッチ手段と、
前記スライド部材を挿入することにより、そのスライド方向を規制し、かつ前記スイッチ手段を位置決めする位置決め部を有するシリンダ部材と、
前記スライド部材の嵌合面の少なくとも一部にある凹部と、前記シリンダ部材の嵌合面の少なくとも一部にある凸部とを係合させることによって、前記スライド部材のスライド方向のスライド可動範囲を規制する規制手段とを備え、
前記スライド部材は、少なくとも前記シリンダ部材のガイド穴と嵌合する円柱面と、前記ガイド穴の形状よりも小さな形状の圧入面を有する第一スライド部材、及び少なくとも前記シリンダ部材の嵌合面と嵌合する円柱面と、前記第一スライド部材の圧入面と圧入可能な圧入部を有する第二スライド部材からなり、
前記第一スライド部材を前記シリンダ部材のガイド穴の一方より挿嵌後、前記第二スライド部材を該シリンダ部材の他方より挿嵌するとともに、所定の負荷荷重により前記第一スライド部材を前記シリンダ部材のガイド穴に設けられた突起部位置まで、前記第一スライド部材と前記第二スライド部材を前記圧入部にて圧入し、固定することで、前記スライド部材を一体に構成する。
【0064】
また、好ましくは、前記スイッチ手段は、少なくともその片面に導電性部材を設けた導電性シート部材と、円環状のスペーサ部材及び電極パターンを施した基板部材を順に積層した構造からなり、
前記シリンダ部材と前記導電性シート部材が当接する当接面に設けられた複数のピン手段で、該導電性シート部材、前記スペーサ部材及び前記基板部材の相応の位置に各々設けられたガイド穴により位置決めし、該シリンダ部材、該導電性シート部材、該スペーサ部材、該基板部材を一体に構成する。
【0065】
また、好ましくは、前記スイッチ手段は、少なくともその片面に導電性部材を設けた積層形導電性シート部材と、電極パターンを施した基板部材を順に積層した構造からなり、
前記シリンダ部材と前記積層形導電性シート部材が当接する当接面に設けられた複数のピン手段で、該積層形導電性シート部材と、前記基板部材の相応の位置に各々設けられたガイド穴により位置決めし、該シリンダ部材、該積層形導電性シート部材、該基板部材を一体に構成する。
【0068】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0069】
まず、本発明に係る座標入力装置用入力ペン(以下、座標入力ペンと略称する)の概略構成について、図1を用いて詳細に説明する。
【0070】
図1は本発明の実施形態の座標入力ペンの概略構成図である。
【0071】
座標入力ペン1は、電池8、電池電圧を昇圧するためのDCコンバータ7、座標入力ペン1内に内蔵されたペン先スイッチ9(ペンダウン検出スイッチ)及びペンサイドに設けられたペンサイドスイッチ5の動作状態を検知して、その検知結果を外部機器等に伝達するための信号を生成するペン制御回路6、生成された信号を光信号として放射するための発光部4を備える。
【0072】
ペン先スイッチ9は、スライド部材10、シリンダ部材11、及びON/OFFスイッチ12からなる。このペン先スイッチ9は、操作性を良好にする小ストローク、軽動作荷重で動作させるために、操作者がペン先2を座標入力面104に押圧(以後、この押圧を、操作者が座標入力ペン1等の指示具を操作することによって生じる筆圧と称する)することによって、ペン先2及びスライド部材10を介してON/OFFスイッチ12を動作させることになる。
【0073】
そして、ON/OFFスイッチ12がON状態にある時に、ペン制御回路6は後述するペンダウン信号を発生するように構成されている。
【0074】
尚、本実施形態においては、ペン先2は操作者の操作により経時的に磨耗、変形が起こるので、ペン先2はスライド部材10に圧入することにより固定され、操作者が適宜、ペン先2の交換が行えるように構成されている。
【0075】
即ち、ペン先2(図5B参照)は円柱部とその一端面が曲率を有する略砲弾型形状であって、その円柱部をスライド部材10の開口部に圧入することで、スライド部材10に固定される。
【0076】
尚、本実施形態においては、スライド部材10の開口部は、ペン先方向から見ると、図2に示すように、複数の突起部を有する構成であって、その突起部の内接円寸法を、ペン先2の円柱部分の直径より小さく設定することで、ペン先2をスライド部材10に圧入して、固定できるように構成されている。
【0077】
また、スライド部材10の開口部を、このような形状とすることで、ペン先2とスライド部材10が干渉する範囲を少なくでき、操作者がペン先2をスライド部材10に容易に着脱できるように構成されている。逆に、スライド部材10の開口部内面を円柱形状に構成し、ペン先2の円柱部に突起部を設ける構成であっても同様の効果が得られる
図1の説明に戻る。
【0078】
ペンサイドスイッチ5は、例えば、ペンサイドスイッチ5が動作状態(ON状態)となることで、そのスイッチ信号が発光部4より放射される。そして、このスイッチ信号を受信した座標入力装置本体側で、例えば、特定のアプリケーションを起動したり、あるいは通常のマウス右ボタンと同様に表示画面上にメニューを表示できるように構成されている。
【0079】
尚、このペンサイドスイッチ5は、用途に応じてその数が複数有っても、または、ペンサイドスイッチ5が無くてもかまわない。
【0080】
また、本実施形態では、ペン先スイッチ9及びペンサイドスイッチ5の動作状態を検知して、その検知結果を発光部4により光信号として発光し、座標入力装置のセンサユニットによりその信号を検知して、特定の処理を実行できるように構成しているが、その伝達媒体は光である必要は無く、例えば、電波、超音波であっても良い。
【0081】
また、座標入力ペン1と座標入力装置間を信号ケーブルで接続し、信号ケーブルを介して座標入力装置本体に座標入力ペン1からの信号を伝送しても良い。この場合は、座標入力ペン1は、信号ケーブルで座標入力装置本体と接続されているので、座標入力ペン1の操作範囲が制限されるので、作業性、操作性が低下する懸念がある。しかしながら、信号ケーブルを介して座標入力装置本体側から座標入力ペン1へ電源を供給できるようになるため、座標入力ペン1では電池8が不要となり軽量化が図られる他、常時使用(長時間使用)するような用途、つまり、電池寿命を気にするような用途には好適な構成となり得る。
【0082】
さて、発光部4より光信号として放射されるスイッチ信号は、外乱などの影響を受けにくいように、所定の周波数fで変調されている。ここで、そのスイッチ信号の一例について、図3を用いて説明する。
【0083】
図3は本発明の実施形態のスイッチ信号の一例を示す図である。
【0084】
図3に示すように、スイッチ信号は、信号の開始を示すスタート信号(スタートビット)Start、ペン先スイッチ1が動作した時に発生するペンダウンスイッチ信号S0、及びペンサイドスイッチ5が動作した時に発生するペンサイドスイッチ信号S1、データの正当性を判定するために、S0及びS1信号の反転信号/S0及び/S1、信号の終了を示すストップ信号(ストップビット)Stopからなり、それぞれ周波数fで変調されている。
【0085】
この発光部4からの変調光106は、図4に示すように、センサユニット102L(102R)によって復調され、ビット列として座標入力装置内の制御ユニット(後述する図13の、座標入力装置の演算/制御を実行するための演算・制御ユニット101)に出力し、演算・制御ユニット101内の、例えば、CPU133(図17)により、スイッチ信号の正当性の判定が成される。
【0086】
演算・制御ユニット101内のCPU133は、スイッチ信号中の先頭のスタート信号Startを検出すると、一定周期でのサンプリングを行い、各ビット位置の1、0を判定する。この判定は、例えば、ペンダウンスイッチ信号S0とその反転信号/S0の論理値があっているか否か、また、ストップ信号Stopまで検出できたか否かの判定を行い、論理値が間違っている場合には、そのデータを破棄し、再度検出を行うように構成されている。
【0087】
次に、ペン先スイッチ9の詳細構成について、図5A〜図5Cを用いて説明する。
【0088】
図5A〜図5Cは本発明の実施形態のペン先スイッチの詳細構成を示す図であり、特に、図5Aはペン先スイッチをペン先方向から見た概観図、図5Bは図5AのA−A断面図、図5Cは図5AのB−B断面図を示している。
【0089】
図5Bや図5Cにおいて、シリンダ部材11は、スライド部材10の軸方向に、スライド部材10が繰り返し移動できるように、スライド部材10のスライド軸径と嵌合するガイド穴を有する。このシリンダ部材11は、本実施形態では、後述する方法で、導電性シート部材43、スペーサ部材42、基板部材41からなるON/OFFスイッチ12を保持、固定している。
【0090】
ここで、シリンダ部材11及びスライド部材10の詳細構成について、図6A〜6Dを用いて説明する。
【0091】
図6A〜図6Cは本発明の実施形態のスライド部材及びガイド部材の詳細構成を示す図である。
【0092】
スライド部材10におけるON/OFFスイッチ12の押圧面35近傍には、突起部31a及び31bが軸対称位置に設けられ、図6Bの下図に示すように、スライド部材10の嵌合径の一端面32、及び突起部31a(31b)の一端面33によりスライド部材10の凹部38が形成されている。
【0093】
本実施形態では、後述する理由により、この凹部38はスライド軸の全周に渡って形成されるのではなく、部分的に構成されるいるのみである。従って、図5Bにおいては、スライド部材10の凹部38は図示されず、例えば、その直交方向である図5Cにスライド部材10の凹部38が図示されるている。
【0094】
一方、スライド部材10のスライド軸と嵌合するシリンダ部材11のガイド穴には、突起部が設けられている。この突起部形状について説明すれば、図6Cはスライド軸方向から見たガイド穴形状を示し、図6Bの上図にはそのC−C断面図を示している。
【0095】
図6C、図6Bの上図に示されるように、軸対称位置に面23a(23b)及び端面22により、ガイド穴内にシリンダ部材11の凸部21a(21b)が設けられている。
【0096】
ここで、スライド部材10をシリンダ部材11に挿嵌する際に、嵌合軸周りに両者の相対角度を適宜設定することにより、スライド部材10の突起部31a及び31bは、シリンダ部材11のガイド穴に設けられた凸部21a及び21bに干渉することなく、図6Bにおけるスライド部材10の一端面32とシリンダ部材11の凸部21a(21b)の一端面22が一致するところまで、スライド部材10を挿入することができる構造となっている。
【0097】
図6Bに示されるように、スライド部材10の一端面32とシリンダ部材11の凸部21a(21b)の端面22が略一致する位置にあれば、スライド部材10はスライド軸周りに回動可能である。スライド部材10の突起部31a(31b)の側面と、シリンダ部材11の突起部端面23a(23b)と面24a(24b)の段差により生じる面25が一致する位置で、スライド部材10とシリンダ部材11のスライド軸周りの位置決めが行われる。
【0098】
この時、スライド部材10はシリンダ部材11に対して、まだ回動可能な状態にあるが、後述するON/OFFスイッチ12の組み立てを完了したペン先スイッチ9を座標入力ペン1の筐体3に組み込むことによって、その回動は規制される。
【0099】
つまり、スライド部材10をシリンダ部材11に所定位置まで挿嵌後、スライド軸周りに所定角度回動した状態(図6D参照)で、このペン先スイッチ9を筐体3に組み付けると、筐体3に設けられた突起部(不図示)とシリンダ部材11の凹部43aが係合し、さらには筐体3に設けられた8角形状の開口部とスライド部材10の角柱部37が係合する。その結果、スライド部材10とシリンダ部材11の軸周りの相対的な角度が略一定に保持され、シリンダ部材11からスライド部材10が離脱できなくなるように構成されている。
【0100】
尚、本実施形態では、スイッチの状態をLED等の発光部4により伝送しているので、筐体3は放射光を透過することができる光透過部材から構成されている。
【0101】
次に、本実施形態のペン先スイッチ9の構成例及びその組立方法について、図7を用いて説明する。
【0102】
図7は本発明の実施形態のペン先スイッチの構成例を示す図である。
【0103】
図7(a)は、ペン先2を前方とした場合のペン先スイッチ9の前方分解斜視図である。43は、少なくともその片面に導電性部材が施された導電性シート部材であって、基板部材41上の電極45との導通を得るための突起部44を有する。42は円環状のスペーサ部材であって、導電性シート部材43と基板部材41のもう一方の電極46間は、スペーサ部材42のシート厚み分のギャップで保持されることになる。
【0104】
図7(b)は、ペン先スイッチ9の後方分解斜視図である。シリンダ部材11の導電性シート部材43との当接面には、4本の位置決めピン13a〜13dが設けられており、導電性シート部材43、スペーサ部材42、基板部材41のそれぞれには、位置決めピン13a〜13dそれぞれの対応位置にガイド穴が設けられ、組み立て時に各部品の軸が一致するように構成されている。
【0105】
図7(c)は、図7(b)の状態から位置決めピン13a〜13dに各部部品のガイド穴を通して、ペン先スイッチ9を組み上てた組立完成図である。
【0106】
本実施形態では、シリンダ部材11を樹脂で製作することにより、位置決めピン13a〜13dの頭部を熱により溶融してかしめることによって、各部品を一体に構成している(図7(c)では、位置決めピン13dを熱でかしめた状態を示している)。
【0107】
そして、最後に、導電性シート部材43と基板部材41の電極45との電気的接続を行うために、導電性シート部材43の突起部44と電極45間を導電性接着剤で接着する。あるいは、導電性シート部材43の突起部44にあらかじめ熱溶融性の接着剤を導電層に重ねて印刷しておき、熱を加えることによって、導電性シート部材43と電極45との電気的接続を行い、ペン先スイッチ9の組立を完了する。
【0108】
さて、操作者が座標入力ペン1を操作する際に、ペン先2を座標入力面104に押圧することによって、スライド部材10がスライドし、スライド部材10の頭部35(図6A)が導電性シート部材43を変形させ、導電性シート部材43が基板部材41の電極46と接触することで、ON/OFFスイッチ12が導通される。その結果、ペン制御回路6はペンダウン信号S0を生成する。また、操作者の操作によって、筆圧が除去されると、歪んでいた導電性シート部材43が元の状態に戻り、ペンダウン信号S0の生成が中断される。
【0109】
尚、本実施形態の場合、導電性シート部材43は、厚さ75μのPETフィルムを用いており、その片面には、銀ベースあるいはカーボンベースの導電性塗料が印刷されている。また、スペーサ部材42は、厚さ50μの円環状PETフィルムであり、導電性シート部材43と電極46の隙間は、ほぼ50μに保持されるので、このON/OFFスイッチ12の動作ストロークは、スペーサ部材42の厚みに等しく、50μと言える。
【0110】
一方、ON/OFFスイッチ12が動作するための動作荷重は、導電性シート部材43の材質、シート厚、及びスペーサ部材42の円環内径寸法、シート材質、シート厚、さらにはスライド部材10の頭部35の形状に主に依存する。本実施形態においては、導電性シート部材43は厚さ75μのPETフィルムであり、スペーサ部材42の内径寸法を約4mmに設定することで、動作荷重約25g〜30g程度を実現している。
【0111】
また、スライド部材10の頭部35が導電性シート部材43を変形させ、導電性シート部材43が基板部材41の電極46と接触することで、スイッチ手段であるON/OFFスイッチ12を構成している。そのため、ON/OFFスイッチ12の動作荷重を安定して製造するためには、スペーサ部材42の中心軸と、スライド部材10の頭部35の中心軸が一致していることが好ましい。この一致の条件が崩れると、動作荷重がより重くなるので、大量に生産する場合には、その管理は重要である。
【0112】
従って、本実施形態では、それらの軸が一致するようにシリンダ部材11に、位置決めピン13a〜13dを構成することにより各部品の位置決めが容易に行えるように構成し、軸ずれによって生じる動作荷重のばらつきを抑制している。
【0113】
以上説明したように、ON/OFFスイッチ12は、小ストローク、軽動作荷重で動作するスイッチ手段となるが、実際に、座標入力ペン1の操作性を向上させるためには、ペン先スイッチ9(ペン先スイッチ9は、スライド部材10、シリンダ部材11、ON/OFFスイッチ12よりなる)が小ストローク、軽動作荷重になっていなければならない。
【0114】
つまり、ペン先スイッチ9を組み立てたとき、スライド部材10の移動範囲内においてスライド部材10の頭部35と導電性シート部材43間に隙間が生じると、このペン先スイッチ9の動作ストロークは、先に説明した、ON/OFFスイッチ12の動作ストロークにこの隙間量を加えた値が、動作ストローク最大値となる。
【0115】
そして、この隙間が存在すると、たとえON/OFFスイッチ12の動作ストロークが小さくても、操作性の良い座標入力ペン1を構成することが困難となる。この隙間を解消する一般的な方法としては、スライド部材10をON/OFFスイッチ12の方向にばね等の付勢手段により付勢するのが一般的であるが、本実施形態の座標入力ペン1にこれを適用することは、以下の理由により困難である。
【0116】
まず、動作荷重が25g前後のON/OFFスイッチ12を用いているので、付勢手段で発生させる力は、少なくともそれ以下であり、なおかつスライド部材10がスライドをはじめる際の静止摩擦係数による影響(仮に、5g以上の負荷を与えないと、スライドを開始しないとする)、あるいはスライド部材10や一緒にスライドすることになるペン先2の総重量(例えば、全体で2g程度と仮定する)を考慮しなければならない。
【0117】
つまり、ON/OFFスイッチ12がOFF状態にあって、座標入力ペン1のペン先2が天地方向の下側を向いているものとすれば、前述の付勢手段は、スライド部材10の総重量と静止摩擦係数による影響に打ち勝って、スライド部材10をON/OFFスイッチ12に付勢しなければならず、少なくとも付勢手段による押圧力は7g以上を必要とする。
【0118】
一方、ON/OFFスイッチ12がONからOFFになるときの状況を想定し、なおかつ座標入力ペン1のペン先2が天地方向の上側を向いているものとすれば、その付勢力が18g以下でなければ、ON/OFFスイッチ12がOFFになることができない。
【0119】
そこで、押圧力を仮に10gに設定したものとする。この状況において、操作者が座標入力ペン1を用いて入力動作を実行しようとする場合、その操作によっては、座標入力ペン1に大きな加速度が加わる。仮に、操作者が座標入力ペン1を空中で往復運動させて、重力加速度の10倍程度の加速度を加えたとすれば、スライド部材10の見かけの重量は約20gとなり、諸条件がそろうとON/OFFスイッチ12が動作してしまう場合が起こりえる。
【0120】
つまり、筆記動作をしてもいないのに、ペンダウン信号が検出され、誤動作を起こす結果となる。この弊害を考慮すると、付勢手段の付勢力は非常に小さな値となり、スライド部材10の総重量、静止摩擦係数の影響を考慮した条件と適合しなくなる。つまり、付勢手段による、スライド部材10の頭部35と導電性シート部43間の隙間の解消は現実的な解決手段とならない。
【0121】
そこで、本実施形態では、図6Bに示すが如く、シリンダ部材11の端面26にON/OFFスイッチ12の導電性シート部材43を当接せしめ、シリンダ部材11とON/OFFスイッチ12のスライド軸方向の位置決めを行うとともに、シリンダ部材11の端面26近傍に、端面22、端面23a(23b)により構成される凸部21a(21b)を設けている。
【0122】
さらに、スライド部材10の端面32、端面33より構成される凹部38a(38b)とシリンダ部材11の凸部21a(21b)を係合させることにより、スライド部材10の移動量は規制され、その移動量はΔ1となる。スライド部材10が、その端面33とシリンダ部材11の端面23が一致する位置にあっては、スライド部材10の頭部35は、シリンダ部材11の端面26の位置にほぼあって、ON/OFFスイッチ12はOFF状態となっている。
【0123】
一方、スライド部材10が、その端面32とシリンダ部材11の端面22が一致する位置にあっては、スライド部材10の頭部35は、シリンダ部材11の端面26より突出量Δ2だけ突出して、導電性シート部材43を変形させて、基板部材41上に施された電極46と十分な圧接力をもって電気的接続が成されており、その圧接力によって基板部材41のミクロ的変形が発生している状態にある。つまり、スライド部材10が、その端面32とシリンダ部材11の端面22が一致する位置に移動する前に、ON/OFFスイッチ12はON状態となる。
【0124】
さて、スライド部材10が、その端面32とシリンダ部材11の端面22が一致する位置にあっては、基板部材41のミクロ的変形が起こっているが、操作者がいくら筆圧をペン先2に負荷させても、それ以上スライド部材2は移動できない。そのため、異常荷重が負荷された場合であっても基板部材41の著しい変形は起こりえず、ON/OFFスイッチ12は破壊を免れる。
【0125】
つまり、このシリンダ部材11のガイド穴に設けられた端面22が無ければ、スライド部材10の頭部35により基板部材41に集中的な応力が発生し、導電性シート部材43、あるいは基板部材41を破壊に至らしめることになる。しかしながら、ガイド穴に設けられた端面22によりシリンダ部材11の当接面26全体でその負荷を分散して吸収できるので、信頼性を大幅に向上できる。
【0126】
さらには、本実施形態では、図5Cに示すが如く、シリンダ部材11と筐体3の嵌合面を接着することにより、例えば、操作者が座標入力ペン1を落下させたような場合に有っても、ペン先2で受けた衝撃荷重は、シリンダ部材11の突起部端面22を介して、座標入力ペン1の筐体3へ逃げるように構成することができる。
【0127】
尚、シリンダ部材11と筐体3との結合は、接着手段に限定されるものでなく、例えば、基板部材41の外形をシリンダ部材11の外形より小さくし、筐体3及び筐体13によりシリンダ部材11のフランジ部を挟み込むように組み付け、筐体13の内径より基板部材41の外形を小さく設定すれば、異常負荷は筐体13で吸収することになり、基板部材41への影響を全く無くすことが可能となる。
【0128】
以上説明したように、この種の座標入力ペンにあって、操作性の良い小ストロークを実現するためには、ON/OFFスイッチ12の動作ストロークのみならず、スライド部材10が小ストロークでON/OFFスイッチ12を動作させなければならず、ON/OFFスイッチ12とスライド部材10の隙間を最小にしなければならない。
【0129】
この状態を図5Bで説明すると、スライド部材10がペン先方向へ移動(図で左側に移動)できる位置を高精度に設定しなければならないと言うことになる。さらには、ON/OFFスイッチ12の破壊防止と言う観点で、スライド部材10がペン後部方向へ移動(図5Bで右側に移動)できる位置も高精度に設定しなければならない。
【0130】
本実施形態のペン先スイッチ9は、スイッチ動作をするためのスライド部材10の移動範囲を、ON/OFFスイッチ12を一体に構成するシリンダ部材11の当接面26の近傍位置で設定する位置規制手段を有するとともに、スライド部材10を回動させることによって、スライド部材10とシリンダ部材11の2部品のみでその設定を実現している。
【0131】
さらには、ON/OFFスイッチ12のスライド軸方向の位置決めをシリンダ部材11で実現しているので、ON/OFFスイッチ12の動作ストロークに対する突出量Δ2に関わるシリンダ部材11、スライド部材10の機械的公差の設定、及びその管理も容易となる。
即ち、移動量Δ1、突出量Δ2をシリンダ部材11、スライド部材10の2部品で管理できるので、ON/OFFスイッチ12がOFF時にできるスライド部材10の頭部35とスイッチ部材12の最大隙間(本実施例の場合、スライド部材10の頭部35と導電性シート部材43間に相当)、つまり、機械的な「遊び」を最小に設定でき、たとえ、大量生産する場合に発生する部品公差によるばらつきが生じても、操作者がペン先を押圧していないにも関わらずペン先スイッチが動作しっぱなしと言う状態が発生しない様に構成することができる。
これにより、操作性に優れた座標入力ペン1を構成するとともに、スライド部材10のON/OFFスイッチ12の破壊を防止するための機構を、安価に実現し、信頼性の硬い座標入力ペン1を供給できるようになる。
【0132】
さらには、スライド部材10を回動させることによって、スライド部材10のスライド位置が規制される、本実施形態の構成を採用することによって得られる利点について説明を加える。
【0133】
先に説明したように、ON/OFFスイッチ12は、PETフィルムからなる導電性シート部材43の変形に基づき、ON/OFF動作を実現するものである。そして、ON/OFFスイッチ12が、ON状態からOFF状態となる際に起こるスライド部材10の移動は、導電性シート部材43の復元力によって起こる。
【0134】
この導電性シート部材43の復元力は、例えば、高温下において継続的にシートを変形させると、復元力が極端に低下し、一度ペン先スイッチ9をON動作させると、OFF状態に戻らなくなる恐れが生じる。
【0135】
従って、図7(d)に示すようなペン先スイッチ9の完成品を、例えば、輸送する際には、その輸送環境に留意する必要が生じる他、場合によってはペン先スイッチ9を一個一個梱包して輸送するなど、管理コストが大幅に上昇する可能性がある。
【0136】
しかしながら、本実施形態では、図7(d)の状態は、スライド部材10を回動させて、シリンダ部材11から分離可能な状態にあるので、その分離した部品をそれぞれ大量に同一梱包可能、つまり、管理することなく各々を同梱しても、導電性シート部材43が変形するような事態は発生しない。そのため、輸送中の温度管理等を緩和することができる、つまり、低コストで部品調達が可能となる優れた効果が得られるようになる。
【0137】
次に、ON/OFFスイッチ12の変形例1について、図8を用いて説明する。
【0138】
図8は本発明の実施形態のON/OFFスイッチの変形例1を示す図である。
【0139】
尚、図7と共通の構成要素については、同一の参照番号を付加し、その詳細については省略する。
【0140】
図8(b)において、48は第一スライド部材であって、シリンダ部材11のガイド穴に挿嵌される円柱面を有するとともに、その円柱面の内側に圧入用ガイド穴が設けられている。一方、図8(a)において、47は第二スライド部材であって、シリンダ部材11のガイド穴に挿嵌される円柱面、及び第一スライド部材48の圧入用ガイド穴に圧入するための円柱面を有する。
【0141】
この変形例1でのON/OFFスイッチ12の組立図について、図9を用いて説明する。
【0142】
図9は本発明の実施形態の変形例1でのON/OFFスイッチの組立図である。
【0143】
図9(a)は図8(a)を組み立てた状態での断面図、図9(b)は図8(b)を組み立てた状態での断面図である。
【0144】
また、図9(c)は第一スライド部材48をまさにシリンダ部材11のガイド穴に挿嵌した状態での断面図であり、さらに第一スライド部材48を挿入し続けると、やがて第一スライド部材48の圧入用ガイド穴と、第二スライド部材の圧入用円柱面が干渉し、第一スライド部材48と第二スライド部材47の一体化が始まる。
【0145】
その際、本実施形態のON/OFFスイッチ12は、軽荷重動作を実現しているので、圧入が始まる際には、まず導電性シート部材42が図9(d)に示すが如く変形している。そして、圧入時には基板部材41のミクロ的変形を生じさせて、第一スライド部材48の端面61とシリンダ部材11の突起部端面62が一致する位置で、圧入動作が完了する。
【0146】
つまり、圧入するための負荷圧力は、シリンダ部材11の突起部端面62により作用しなくなるので、それ以上深く圧入しようとしても困難な状態となる。そして、その圧入負荷を除去すると、導電性シート部材43の復元力によって、第一スライド部材48と第二スライド部材47が一体となったスライド部材10は、図9(e)の状態となる。つまり、第一スライド部材48を所定の圧入負荷で第二スライド部材47と圧入結合するだけで、両者の位置関係が適宜設定され、図7の構成と同様に、小ストローク、軽荷重動作であって、異常荷重負荷であっても、ON/OFFスイッチ12を破壊することが無いペン先スイッチ9を構成できる。
【0147】
尚、両者を結合した図9(b)の状態で、両者を圧入結合している部分を接着剤により固定しても良い(図9(b)に示されるように、ペン先端部よりディスペンサの挿入が可能な構造となっている)ことはいうまでも無い。
【0148】
次に、ON/OFFスイッチ12の変形例2について、図10を用いて説明する。
【0149】
図10は本発明の実施形態のON/OFFスイッチの変形例2を示す図である。
【0150】
図10の構成では、図7(b)のシリンダ部材11の位置決めピン13a〜13dに加えて、5本目の位置決めピン13eが設けられている。導電性シート部材43の突起部44及び、基板部材41の相応する位置には、同様に貫通穴が設けられ、位置決めピン13eにまず、厚さtを有する円環状のゴム部材49を通した後、導電性シート部材43、スペーサ部材42、基板部材41を図7の構成と同様に配置し、位置決めピン13a〜13eの先端部を熱変形させることで、組立てを完了する。
【0151】
この時、厚さtを有するゴム部材49は、シリンダ部材11、及び導電性シート部材43を介して基板部材41とサンドイッチされた構造となり、ゴム部材49は押しつぶされて変形する。その結果、導電性シート部材43と基板部材41の電極45が圧接され、電気的接続が確保できるように構成されている。従って、ON/OFFスイッチ12の組立てが一方向から行え、組立て作業性が大幅に改善される。
【0152】
この図10の構成の変形例として、厚さtを有する円環状の導電性ゴム部材(例えば、異方性導電ゴム等)を導電性シート部材43と基板部材41間に配置し、前述の如く熱かしめにより一体に固定することで導電性ゴムが変形し、導電性シート部材43と基板部材41の電極パターンとの電気的接続が確保できるように構成しても良い。
【0153】
次に、ON/OFFスイッチ12の変形例3について、図11を用いて説明する。
【0154】
図11は本発明の実施形態のON/OFFスイッチの変形例3を示す図である。
【0155】
図11(a)は、導電性シート部材43と同様な、PETフィルムの少なくとも片面に導電性塗料が印刷されている積層形導電性シート部材51である。そして、この積層形導電性シート部材51は、第一円環部52、第二円環部53、接点部54から構成されている。
【0156】
この積層形導電性シート部材51を、図11(a)中の破線部分で矢印方向に折り曲げることで、図11(b)に模式的に示されるON/OFFスイッチ12を構成する。図中、積層形導電性シート部材51の片面に施されている太線は、電極面であることを示している。
【0157】
そして、図示のごとく折り重ねて基板部材41に配置すれば、その積層形導電性シート部材51の電極面は、基板部材41上の一方の電極45と接続され、スライド部材10の頭部35により押圧されることにより、電極45と電極46間の電気的接続が得られるように構成されている。
【0158】
ここで、この変形例3においても、図11(a)に示すように、積層形導電性シート部材51にはシリンダ部材11の突起部13a〜13dを貫通させるための嵌合穴が設けられている。
【0159】
従って、組立時には、第一円環部52と第二円環部53の内径が軸一致するように構成されているので、大量に生産した場合であっても、動作荷重が安定したON/OFFスイッチ12を構成することができるように構成されている。
【0160】
また、この変形例3は、シリンダ部材11、積層形導電性シート部材51、基板部材41を、シリンダ部材11の突起部13a〜13dを利用して熱かしめすることで一体にすることにより、電気的接続が全て行われることから、部品点数が少ないばかりか、組立て工数も削減でき、生産コストが最も有利な構成となり得る。
【0161】
但し、動作ストロークを決定するスペーサ部分(110a及び110bの部分)が2層になってしまうこと、及び図7の構成あるいは変形例1や2のように、導電性シート部材43とスペーサ部材42の厚みをそれぞれ適宜設定できないということから、動作ストロークが大きめになる等、動作荷重設定の制約が生じる。
【0162】
つまり、より動作荷重が軽いON/OFFスイッチ12を実現しようとするならば、変形例3においては、より薄い厚みの積層形導電性シート部材51を選択するとともに、より円環部の内径を大きくする必要がある。但し、この場合、円環部の外形が大きくなり、ON/OFFスイッチ12の形状が大きくなる弊害が発生する。また、薄いシート厚を選択することで繰り返しスライド部材10で押圧することによるスイッチの耐久性が低下するので、これらの点を鑑み、どの構成を採用するかを決めれば良い。
【0163】
次に、ON/OFFスイッチ12の変形例4について、図12を用いて説明する。
【0164】
図12は本発明の実施形態のON/OFFスイッチの変形例4を示す図である。
【0165】
図12Aに示す変形例4では、ON/OFFスイッチ12を押圧するスライド部材10の頭部35近傍に、軸対称形状の突起部71a及び71bを形成している。
【0166】
一方、シリンダ部材11の構造を図12Bで説明すると、図12B(a)は、ペン先方向からの見た概観図であり、ガイド穴形状のみを拡大して表示したのが図12B(d)である。また、図12B(c)は、シリンダ部材11とON/OFFスイッチ12の当接面より見た概観図であり、そのA−A断面図を図12B(b)に、また、そのガイド穴形状の拡大図を図12B(e)に示している。
【0167】
ここで、図12B(d)に示されるように、シリンダ部材11のガイド穴には溝72a及び72bが設けられ、この溝72a及び72bによってスライド部材10の突起部71a及び71bが干渉することなく、スライド部材10をシリンダ部材11に挿嵌可能なように構成している。
【0168】
そして、スライド部材10の突起部71a及び71bの端面が、シリンダ部材11の溝72a及び72bにより形成される面74の位置で、スライド部材の挿入が停止する。
【0169】
一方、図12B(d)及び(e)に示されるように、シリンダ部材11のガイド穴には、先ほどの溝72a及び72bとスライド軸周りに位相が異なる位置に溝73a及び73bが設けられており、図12B(b)に示されるように、ガイド穴内に面75を形成する。尚、図12B(d)の破線部は溝73a及び73bの形状を示し、図12(e)の破線部は溝72a及び72bを示している。
【0170】
従って、図12Aの矢印(1)方向にスライド部材10をシリンダ部材11に挿嵌して、両者を位置決め後、矢印(2)の方向に回動可能な構成となる。この回動させた状態においては、スライド部材10をシリンダ部材11より引き抜く方向に作用させれば、スライド部材10の突起部71a(71b)の端面と、ガイド穴に設けられた面75により干渉し、突起部71a(71b)の端面と面75が一致する位置で停止する。
【0171】
また、異常荷重が負荷された場合には、突起部71a(71b)とシリンダ部材11のガイド穴に設けられた面74により、両者が一致する位置でスライド部材10のスライドが停止し、ON/OFFスイッチ12の破損を防止する。
【0172】
図12Cは、スライド部材10の頭部35、及び突起部71a及び71bの形状を拡大表示したものである。ここで、突起部71a及び71bのハッチング部は、スライド部材10を引き抜く際に、ガイド穴に設けられた面75に干渉する範囲(図12Cにおける突起部71a及び71bの裏側面)であり、略残りの部分は、異常荷重が負荷された際に面74と干渉する部分(図面12Cにおける突起部71a及び71bの表面)となる。
【0173】
変形例4においては、位相の異なる溝72a(72b)と溝73a(73b)を設けているが、これはシリンダ部材11を成型する際に、型構造を簡素化するために実施した構造であり、ガイド穴内の面74及び面75よりなる凹部を構成する方法はこれに限定されるのもでない。
【0174】
また、ここで称す凹部とは、上記で説明したように、スライド軸周りに位相がずれた面で構成される(言い換えれば、少なくとも位相が一致している凹面がある、とは限らない)ことを含むものとする。
【0175】
また、ON/OFFスイッチ12の組立方法は、上述の各種変形例と同様なので、ここでは説明しないが、先の変形例で説明した効果を、変形例4でも得られることは言うまでも無い。
【0176】
また、本実施形態においては、シリンダ部材11の位置決めピン13a〜13d、あるいは位置決めピン13a〜13eを用いて熱かしめにより、ペン先スイッチ9の各部品を一体に構成しているが、これに限定されるものでなく、ネジによる締結、止め輪等を利用する方法であっても良い。
【0177】
以上説明したように、本実施形態によれば、座標入力ペン1には、小ストローク、軽荷重で動作するペン先スイッチ9が内蔵されており、しかも異常負荷が作用してもそのペン先スイッチ9が破壊することを防止する機能を備えているので、操作性が優れ、かつ信頼性の高い座標入力ペンを、安価に提供できる。
【0178】
さて、この座標入力ペン1を指示具として、座標入力装置に適用した場合について説明する。先にも説明した通り、抵抗膜方式のタッチパネル、あるいは入力面に超音波を伝播させ、その減衰によって指示具の位置座標を検出する座標入力装置にあっては、入力面を触らなければ座標算出は行われない。
【0179】
従って、『座標算出』可能と言うことは、指示具がペンダウン状態に有ること等価であり、ペンダウンを正確に検知しているのと同等である。
【0180】
しかしながら、電磁的、静電的結合を利用して指示具の位置座標を検出する方式、さらには、後述する遮光方式を採用する座標入力装置にあっては、座標検知とペンダウンは等価とならない。
【0181】
逆に、等価とならないことを利用して、近接入力(プロキシミティー)を実現し、指示具が入力面の近くにある状態で、その指示具が位置している座標を検出、そのエコーバックとしてカーソルが移動するように構成されているのが通例である。そして、ペン先スイッチが動作することによってペンダウン信号を生成し、そのカーソル移動の軌跡が、例えば、表示面に筆跡として描画されるようになる。
【0182】
そこで、本実施形態では、遮光方式を用いる座標入力装置に、上述の座標入力ペン1を適用した場合を想定して、その作用効果について説明する。
【0183】
図13は本発明の実施形態の遮光方式の座標入力装置の概略構成を示す図である。
【0184】
図13において、102L及び102Rは、投光部300及び検出部400(図16参照)を有するセンサユニットであり、本実施形態の場合、図示の如く座標入力有効領域104のX軸に平行に、かつY軸に対称な位置に、所定距離離されて設置されている。センサユニット102L及び102Rは、制御・演算を行う制御・演算ユニット101に接続され、制御信号を制御・演算ユニット101から受信すると共に、検出した信号を制御・演算ユニット101に送信する。
【0185】
103は、入射光を到来方向に反射する再帰反射面を有する再帰性反射部であり、左右それぞれのセンサユニット102L及び102Rから略90°範囲に投光された光を、センサユニット102L及び102Rに向けて再帰反射する。再帰反射部103は、ミクロ的に見て3次元的な構造を有し、現在では、主にビーズタイプの再帰反射テープ、或いはコーナキューブを機械加工等により規則正しく配列することで再帰現象を起こす再帰反射テープが知られている。
【0186】
再帰反射部103で再帰反射された光は、センサユニット102L及び102Rによって1次元的に検出され、その光量分布が制御・演算ユニット101に送信される。
【0187】
座標入力有効領域104は、PDPやリアプロジェクタ、LCDパネルなどの表示装置の表示画面で構成されることで、インタラクティブな入力装置として、利用可能となっている。
【0188】
このような構成において、座標入力有効領域104に指等の指示具による入力指示がなされると、センサユニット102L及び102Rの投光部300から投光された光が遮られ、再帰性反射部103による反射光が得られなくなるため、入力指示位置のみ反射光量が得られなくなる。その結果、どの方向からの光が検出できなかったかを判別することが可能となる。
【0189】
そこで、制御・演算ユニット101は、センサユニット102L及び102Rが検出する光量変化から、指示具によって入力指示された部分の遮光範囲を検出し、その遮光範囲内での情報(検出点)を特定して、センサユニット102L及び102Rそれぞれに対する遮光位置の方向(指示具の角度)を算出する。
【0190】
そして、算出された角度及びセンサユニット102L及び102R間の距離情報等から、座標入力有効領域104上の指示具の指示位置を算出し、表示装置に接続されているパーソナルコンピュータ等の外部端末に、USB等のインタフェースを経由して座標値を出力する。
【0191】
このようにして、指示具によって、画面上に線を描画したり、表示装置に表示されるアイコンを操作する等の外部端末の操作が可能になる。
【0192】
<センサユニットの詳細説明>
まず、センサユニット102L及び102R内の投光部300の構成について、図14を用いて説明する。
【0193】
図14は本発明の実施形態のセンサユニットの投光部の構成例を示す図である。
【0194】
図14(a)は投光部300を上(座標入力有効領域104の入力面に対し垂直方向)から見た場合を示している。111は赤外光を発する赤外LEDであり、赤外LED111から発光した光は投光レンズ110によって略90°範囲に光が投光される。
【0195】
図14(b)は投光部300を横(座標入力有効領域104の入力面に対し水平方向)から見た場合を示している。この方向では、赤外LED111からの光は上下方向に制限された光束として投光され、主に、再帰性反射部103に対して光が投光されるように構成されている。
【0196】
次に、センサユニット102L及び102Rの検出部400の構成について、図15を用いて説明する。
【0197】
図15は本発明の実施形態のセンサユニットの検出部の構成例を示す図である。
【0198】
図15では、センサユニット102L及び102Rの検出部400を座標入力有効領域104の入力面に対して垂直方向から見た場合を示している。尚、図中破線部分は、図16に示される投光部300の配置を示すものである。
【0199】
検出部400は、複数の受光素子(画素)からなる1次元のラインCCD121及び集光光学系としての集光用レンズ122及び123、入射光の入射方向を制限する絞り124、可視光など余分な光の入射を防止する赤外フィルタ125から構成されている。
【0200】
投光部300からの光は、再帰性反射部103によって反射され、赤外フィルタ125、絞り124を抜けて、集光用レンズ122及び123によって入力面の略90°範囲の光がラインCCD121の検出面にその入射角に依存した画素上に結像される。これにより、入射角の角度毎の光量分布が得られる。つまり、ラインCCD121を構成する各画素の画素番号が角度情報を表すことになる。
【0201】
次に、図14の投光部300及び図15の検出部400を有するセンサユニット102L及び102Rの構成について、図16を用いて説明する。
【0202】
図16は本発明の実施形態のセンサユニットの構成例を示す図である。
【0203】
図16では、座標入力有効領域104を水平方向から見たときの、図14(b)の投光部300と図15の検出部400を重ねて、センサユニット102L(102R)を構成した場合を示している。ここで、投光部300と検出部400の光軸間の距離Lは、投光部300から再帰反射部103までの距離に比べて十分に小さな値に設定され、距離Lを有していても十分な再帰反射光を検出部400で検知することが可能な構成となっている。
【0204】
<制御・演算ユニットの説明>
制御・演算ユニット101とセンサユニット102L及び102Rの間では、主に、検出部400内のラインCCD121用のCCD制御信号、CCD用クロック信号と出力信号及び投光部300の赤外LED111の駆動信号がやり取りされている。
【0205】
ここで、制御・演算ユニット101の詳細構成について、図17を用いて説明する。
【0206】
図17は本発明の実施形態の制御・演算ユニットの詳細構成を示すブロック図である。
【0207】
CCD制御信号は、ワンチップマイコン等で構成される演算制御回路(CPU)133から出力され、ラインCCD121のシャッタタイミングやデータの出力制御等が行われる。尚、この演算制御回路133は、メインクロック発生回路136からのクロック信号に従って動作する。また、CCD用のクロック信号は、クロック発生回路(CLK)137からセンサユニット102L及び102Rに送信されると共に、各センサユニット内部のラインCCD121との同期をとって各種制御を行うために、演算制御回路133にも入力されている。
【0208】
投光部300の赤外LED111を駆動するためのLED駆動信号は、演算制御回路133からLED駆動回路134L及び134Rを介して、対応するセンサユニット102L及び102Rの投光部300の赤外LED111に供給されている。
【0209】
センサユニット102L及び102Rそれぞれの検出部400のラインCCD121からの検出信号は、制御・演算ユニット101の対応するA/Dコンバータ131L及び131Rに入力され、演算制御回路133からの制御によって、デジタル値に変換される。この変換されたデジタル値は、メモリ132に記憶され、指示具の角度計算に用いられる。そして、この計算された角度から座標値が算出され、外部端末にシリアルインタフェース138(例えば、USB、RS232Cインタフェース等)を介して出力される。
【0210】
<光量分布検出の説明>
図18は本発明の実施形態の制御信号のタイミングチャートである。
【0211】
図18において、141〜143はCCD制御信号であり、SH信号141の間隔で、ラインCCD121のシャッタ解放時間が決定される。ICGL信号142及びICGR信号143は、センサユニット102L及び102Rそれぞれのセンサユニットへのゲート信号であり、内部のラインCCD121の光電変換部の電荷を読出部へ転送する信号である。
【0212】
144、145はセンサユニット102L及び102Rそれぞれの投光部300の駆動信号である。ここで、SH信号141の最初の周期で、センサユニット102Lの投光部300を点灯(投光期間146L)するために、LEDL信号144がLED駆動回路134Lを経て投光部300に供給される。また、SH信号141の次の周期で、センサユニット102Rの投光部300を点灯(投光期間146R)するために、LEDR信号145がLED駆動回路134Rを経て投光部300に供給される。
【0213】
そして、センサユニット102L及び102Rの双方の投光部300の駆動が終了した後に、センサユニット102L及び102Rの双方の検出部(ラインCCD121)の検出信号が読み出される。
【0214】
ここで、センサユニット102L及び102Rの双方から読み出される検出信号は、座標入力有効領域104への指示具による入力がない場合には、それぞれのセンサユニットからの出力として、図19(a)のような光量分布が得られる。もちろん、このような光量分布がどのシステムでも必ず得られるわけではなく、再帰性反射部103の再帰反射特性や投光部300の特性、また、経時変化(反射面の汚れなど)によって、光量分布は変化する。
【0215】
図19(a)においては、レベルAが最大光量であり、レベルBが最低光量となっている。
【0216】
つまり、再帰性反射部103からの反射光がない状態では、センサユニット102L及び102Rで得られる光量レベルがレベルB付近になり、反射光量が増えるほど、レベルAに光量レベルが遷移する。このようにして、センサユニット102L及び102Rから出力された検出信号は、逐次、対応するA/Dコンバータ131L及び131RでA/D変換され、演算制御回路133にデジタルデータとして取り込まれる。
【0217】
これに対し、座標入力有効領域104への指示具による入力がある場合には、センサユニット102L及び102Rからの出力として、図19(b)のような光量分布が得られる。
【0218】
この光量分布のC部分では、指示具によって再帰性反射部103からの反射光が遮られているため、その部分(遮光範囲)のみ反射光量が低下していることがわかる。
【0219】
そして、本実施形態では、指示具による入力がない場合の図19(a)の光量分布と、指示具による入力がある場合の図19(b)の光量分布の変化に基づいて、センサユニット102L及び102Rに対する指示具の角度を算出する。
【0220】
具体的には、図19(a)の光量分布を初期状態として予めメモリ132に記憶しておく。そして、センサユニット102L及び102Rそれぞれの検出信号のサンプル期間に、図19(b)のような光量分布の変化があるか否かを、そのサンプル期間中の光量分布と、メモリ132に記憶されている初期状態の光量分布との差分によって検出する。そして、光量分布に変化がある場合には、その変化部分を指示具の入力点としてその入力角度を決定する演算を行う。
【0221】
<角度計算の説明>
センサユニット102L及び102Rに対する指示具の角度計算にあたっては、まず、指示具による遮光範囲を検出する必要がある。
【0222】
上述したように、センサユニット102L及び102Rが検出する光量分布は、経時変化等の要因で一定ではないため、その初期状態の光量分布(初期データ)は、例えば、システムの起動時毎にメモリ132に記憶することが望ましい。
【0223】
つまり、工場等の出荷時に初期データを設定し、その初期データの更新が、逐次行われなければ、例えば、所定位置の再帰反射面にゴミが付着した場合、その部分での再帰反射効率が低下するので、あたかもその位置(センサユニット102や102Rから見た方向)で座標入力動作が行われた、即ち、誤検出してしまうという重大な結果を引き起こす。
【0224】
従って、システムの起動時などに、初期データをメモリ132に記憶することで、再帰反射面が経時的にほこり等で汚れて再帰反射効率が落ちていても、その状態を初期状態として設定しなおすことができるので、誤動作をすることが無くなる。
【0225】
以下、センサユニット102L及び102Rの一方(例えば、センサユニット102L)による指示具の角度計算について説明するが、他方(センサユニット102R)でも同様の角度計算を行うことは言うまでもない。
【0226】
電源投入時、入力のない(遮光範囲がない)状態で、まず、センサユニット102L内の投光部300からの投光を停止している状態で、検出部400の出力である光量分布をA/D変換して、この値をBas_data[N]としてメモリ132に記憶する。
【0227】
尚、この値は、検出部(ラインCCD121)のバイアスのばらつき等を含んだデータであり、図19(a)のレベルB付近のデータとなる。ここで、NはラインCCD121を構成する画素の画素番号であり、有効な入力範囲(有効範囲)に対応する画素番号が用いられる。
【0228】
次に、投光部300からの投光を行っている状態で、検出部400の出力である光量分布をA/D変換して、この値をRef_data[N]としてメモリ132に記憶する。
【0229】
尚、この値は、例えば、図19(a)の実線で示されるデータとなる。
【0230】
そして、このメモリ132に初期データとして記憶されたBas_data[N]とRef_data[N]とを用いて、まずは、指示具による入力の有無、かつ遮光範囲の有無の判定を行う。
【0231】
ここで、センサユニット102L(ラインCCD121)の出力のサンプル期間内のN番目の画素の画素データをNorm_data[N]とする。
【0232】
まず、遮光範囲を特定するために、画素データの変化の絶対量によって、遮光範囲の有無を判定する。これは、ノイズ等による誤判定を防止し、所定量の確実な変化を検出するためである。
【0233】
具体的には、画素データの変化の絶対量を、ラインCCD121の各々の画素において以下の計算を行い、予め決定してある閾値Vthaと比較する。
【0234】
Norm_data_a[N] = Norm_data[N] − Ref_data[N] (1)
ここで、Norm_data_a[N]は、ラインCCD121の各画素における絶対変化量である。
【0235】
この処理は、ラインCCD121の各画素の絶対変化量Norm_data_a[N]を算出し、それを閾値Vthaと比較するだけなので、その処理時間をさほど必要とせず、入力の有無の判定を高速に行うことが可能である。そして、特に、閾値Vthaを初めて超えた画素が所定数を超えて検出された場合に、指示具の入力があると判定する。
【0236】
次に、より高精度に指示具による入力を検出するために、画素データの変化の比を計算して入力点の決定を行う方法について、図20を用いて説明する。
【0237】
図20において、1210は再帰性反射部103の再帰反射面とする。ここで、α領域が汚れなどにより、その反射率が低下していたとすると、このときのRef_data[N]の画素データ分布(光量分布)は、図21(a)のように、α領域に対応する部分の反射光量が少なくなる。この状態で、図20のように、指示具1200が挿入され、ほぼ再帰性反射面1210の上半分を覆ったとすると、反射光量は略半分となるため、図21(b)の太線で示した分布Norm_data[N]が観測されることになる。
【0238】
この状態に対して、(1)式を適用すると、その画素データ分布は、図22(a)のようになる。ここで、縦軸は初期状態との差分電圧になっている。
【0239】
この画素データに対して、閾値Vthaを適用すると、本来の入力範囲をはずれてしまうような場合がある。もちろん、閾値Vthaの値を下げればある程度検出可能であるが、ノイズなどの影響を受ける可能性が大きくなり、座標算出性能を劣化させるという弊害が発生する。
【0240】
そこで、指示具によって遮られる光量は、α領域、β領域ともに最初の半分(、図21(b)において、α領域ではV1レベル相当、β領域ではレベルV2相当)であるので、次式で画素データの変化の比を計算することとする。
【0241】
Norm_data_r[N] = Norm_data_a[N] / (Bas_data[N] - Ref_data[N]) (2)
この計算結果を示すと、図22(b)のように、画素データの変化が比であらわされるため、再帰性反射部103 の反射率が異なる場合でも、等しく扱うことが可能になり、高精度に検出が可能になる。
【0242】
この画素データに対して、閾値Vthrを適用して、遮光範囲に対応する画素データ分布の立ち上がり部と立ち下がり部に対応する画素番号を取得し、例えば、この両者の中央を指示具による入力に対応する画素とすることで、より正確な指示具の入力位置を決定することができる。
【0243】
尚、図22(b)は、説明のために模式的に描いたもので、実際にはこのような立ち上がりにはなっておらず、画素毎に異なるデータレベルを示している。
【0244】
以下、式(2)を画素データに適用した場合の検出結果の詳細について、図23を用いて説明する。
【0245】
図23は本発明の実施形態の検出結果の詳細を示す図である。
【0246】
図23において、指示具による遮光範囲を検出するための閾値Vthrに対して、その閾値Vthrを横切る画素データ分布の立ち上がり部分がNr番目の画素、立ち下がり部分がNf番目の画素である場合、両者の画素の中心画素Npは、
Np = Nr + (Nf-Nr)/2 (3)
と計算することが可能である。但し、この計算では、ラインCCD121の画素間隔が最小の分解能になってしまう。
【0247】
そこで、より細かく検出するために、それぞれの画素のデータレベルとその一つ前の隣接画素のデータレベルを用いて、閾値Vthrを横切る仮想の画素番号を計算する。
【0248】
ここで、Nr番目の画素のデータレベルをLr、Nr−1番目の画素のデータレベルをLr−1とする。また、Nf番目の画素のデータレベルをLf、Nf−1番目の画素のデータレベルをLf−1とすれば、それぞれの仮想画素番号Nrv,Nfvは、
Nrv = Nr-1 + ( Vthr - Lr-1 ) / ( Lr - Lr-1 ) (4)
Nfv = Nf-1 + ( Vthr - Lf-1 ) / ( Lf - Lf-1 ) (5)
と計算できる。そして、これらの仮想画素番号Nrv,Nfvの仮想中心画素Npvは、
Npv = Nrv + (Nfv-Nrv)/2 (6)
で決定される。
【0249】
このように、閾値Vthrを越えるデータレベルの画素の画素番号とその隣接する画素番号と、それらのデータレベルから、閾値Vthrを横切る仮想的な仮想画素番号を計算することで、より分解能の高い検出を実現できる。
【0250】
<画素番号から角度情報への変換>
次に、遮光範囲の中心点を示す中心画素番号から、実際の指示具の座標値を計算するためには、この中心画素番号を角度情報(θ)に変換する必要がある。
【0251】
ここで、画素番号とθとの関係について、図24を用いて説明する。
【0252】
図24は本発明の実施形態の画素番号に対するθ値の関係を示す図である。
【0253】
この図24に基づいて、画素番号からθを求めるための近似式を定義すると、
θ=f(N) (7)
となり、その近似式(変換式)を用いて画素番号からθへの変換を行うことが可能となる。
【0254】
本実施形態では、1次近似式を用いて近似できるように、先に説明したセンサユニット102L(120R)中の検出部400のレンズ群を構成するが、レンズの光学的収差等により、より高次な近似式を用いたほうが、より高精度に角度情報を得ることが可能となる場合がある。
【0255】
ここで、どのようなレンズ群を採用するかは、製造コストと密接に関連する。特に、レンズ群の製造原価を下げることによって一般的に発生する光学的な歪を、より高次の近似式を用いて補正する場合には、それなりの演算能力(演算速度)を要求されるので、目的とする製品に要求される座標算出精度を鑑みながら、その両者を適宜設定すれば良い。
【0256】
一方、後述する方法で角度情報から座標値を算出する場合には、得られた画素番号から角度そのものを算出するよりも、その角度における正接値(Tangent)を算出するほうが、三角関数の演算を省略することが可能となるので都合が良い。
【0257】
そこで、画素番号に対するTanθの関係を求めて、近似式を導出し、その近似式を用いて画素番号からTanθ値への変換を行う。例えば、近似式として5次多項式を用いる場合には、係数が6個必要になるので、出荷時などに、この係数データをメモリ132に記憶しておけばよい。
【0258】
ここで、5次多項式の係数をL5,L4,L3,L2,L1,L0とすると、Tanθは
Tanθ = (L5*Npr+L4)*Npr+L3)*Npr+L2)*Npr+L1)*Npr+L0 (8)
で示すことができる。
【0259】
これをセンサユニット102L及び102Rそれぞれの検出部400のラインCCD121で検出する画素番号に対して行えば、それぞれから対応する角度データ(Tanθ)を決定できる。
【0260】
<座標計算方法の説明>
次に、画素番号から変換された角度データ(tanθ)から、指示具の位置座標を算出する座標計算方法について説明する。
【0261】
ここで、座標入力有効領域104上に定義する座標とセンサユニット102L及び102Lとの位置関係について、図25を用いて説明する。
【0262】
図25は本発明の実施形態の座標入力領域上に定義する座標とセンサユニット102L及び102Lとの位置関係を示す図である。
【0263】
図25では、座標入力有効領域104の水平方向にX軸、垂直方向にY軸を定義し、座標入力有効領域104の中央を原点位置O(0,0)に定義している。そして、座標入力有効領域104の座標入力範囲の上辺左右に、それぞれのセンサユニット102L及び102RをY軸に対称に取り付けられており、その間の距離はDsである。
【0264】
また、センサユニット102L及び102Rそれぞれの受光面は、その法線方向がX軸と45度の角度を成すように配置され、その法線方向を0度と定義している。
【0265】
この時、角度の符号は、左側に配置されたセンサユニット102Lの場合には、時計回りの方向を『+』方向に、また、右側に配置されたセンサユニット102Rの場合には、反時計回りの方向を『+』方向と定義している。
【0266】
さらには、P0はセンサユニット102L及び102Rの法線方向の交点位置であり、Y軸方向の原点からの距離をP0yと定義する。この時、それぞれのセンサユニット102L及び102Rで得られた角度をθL、θRとすると、検出すべき点Pの座標P(x,y)は、
x = Ds/2 * (tanθR - tanθL) / (1 - (tanθR * tanθL)) (9)
y = Ds/2 * (tanθR + tanθL + (2 * tanθR * tanθL)) /
(1 - (tanθR * tanθL)) + P0y (10)
で計算される。
【0267】
以上、遮光方式の座標入力装置ついて説明したが、ここで座標入力装置と大型の表示装置とを一体に構成した入出力一体型装置の具体的な使用例及び操作例について述べる。
【0268】
その第一使い勝手は、本実施形態の座標入力装置が、例えば、特定領域の座標値(特定領域とは、例えば、ある座標値を中心とした半径Rの領域、あるいは、ある座標値を重心とした多角形等の意味で、ある面積を有する特定の場所)を出力した場合に、その特定領域に割り付けられた動作を実行するように構成したものである。
【0269】
つまり、この特定領域に相当する部位に、表示装置によりスイッチを示すアイコンを表示させ、操作者がそのアイコンをタッチ(クリック)することによって、その特定領域内のいずれかの座標値を、本実施形態の座標入力装置が出力し、スイッチに割り付けられた動作を実行するように構成したものである。
【0270】
第二の使い勝手は、操作者による指示具の移動動作に伴ない、その移動に応じた検出座標値を連続的に出力して、その座標情報に基づきあたかも『鉛筆と紙』のような関係で、表示装置により指示具の移動軌跡(以後筆跡と称す)を表示させることである。表示装置と座標入力装置を一体に組み合わせた装置をこのように構成することで、周知の『インクペンを用いたホワイトボード』と同様に、文字や図形の入力がダイレクトに行えるようになる。
【0271】
第三の使い勝手は、操作者による指示具のタップ動作、つまり、例えば、連続的に表示スクリーンを2回タッチすることによって、現状、特に、パーソナルコンピュータのマウス動作で周知されている『ダブルクリック』を実現する使い勝手である。通常の座標入力装置は、所定周期毎に座標値を出力(例えば、100点/秒の座標検出サンプリングレートであれば、5msec毎に座標を出力する能力を有する)することができるので、座標出力タイミングを監視することで、指示具がタップ動作の有無を判定できる。
【0272】
具体的に説明すれば、ある時間に座標値Aが出力された後、次の座標サンプリングで座標値が検出されず(例えば、100点/秒の座標検出サンプリングレートの時、5msec時間が経過しても座標値が検出されない)、次に出力される座標値Bが、座標値Aが出力された時間から所定時間以内で、かつ座標値Aと座標値Bが略等しい場合に、ダブルクリック動作であると判定する。
【0273】
以上のような動作を良好な操作性を持って実現するためには、「発明が解決しようとする課題」の項で説明した不具合を解消するためのペンダウン信号生成手段が必須であり、しかもペンダウン検出するためのペン先スイッチ9に求められる仕様は、軽荷重動作かつ小ストローク、願わくば動作荷重30g以下、ストローク0.1mm以下が好ましい形態であり、本実施形態では、これらの仕様を満足する優れた構成の指示具である座標入力ペン1を提供することができる。。
【0274】
さて、本実施形態のように、指示具の状態を光信号として放射するような座標入力ペン1を、遮光方式の座標入力装置に適用する場合、実際の動作では、座標取得のための座標取得用発光(図17において、CPU133の制御に基づき動作するLED駆動回路134L及び134R、及びLED駆動回路134L及び134Rによって駆動されるセンサユニット102L及び102R中の投光部300の赤外LED111)と、座標入力ペン1によるペン信号のペン発光とは同期が取れていないため、座標取得用の発光と、ペン発光が重なる場合が生じる。
【0275】
図26はそのような場合を示したものであり、上段がペン発光信号、下段が座標取得のための投光部300の座標取得用発光信号(駆動信号)144、145(図18参照)である。
【0276】
図26において、ペン発光信号がAの場合には、ペン発光と座標用発光期間が確実にずれているため問題はないが、同図Bの場合にはペン発光の一部が、また、同図Cの場合ではペン発光が座標用発光期間と完全に重なっている。このような重なりがあると、座標取得用発光信号に飽和が生じたり、あるいは、波形変形を引き起こし検出誤差の原因となりかねない。そこで、両者の発光が重ならないよう制御する必要がある。
【0277】
図27はその一例を示すものである。図中、160は、センサユニット102L(102R)の出力である。161は、この出力信号160がアクティブの時には座標取得を禁止する座標取得禁止信号であり、CPU133によって先頭の受光があってから一定時間アクティブ(この場合は、LOW)となる。
【0278】
162、163は座標取得用発光信号である。まず、演算・制御ユニット101中のCPU133は、ある一定時間毎に座標取得をするために発光を行うが、その発光の前に座標入力ペン1の発光の有無の判定動作を行う。
【0279】
つまり、座標取得禁止信号161を監視し、これがアクティブでなければ、CPU133は、座標取得用発光動作を開始するが、座標取得禁止信号161がアクティブの場合には、座標取得禁止信号がインアクティブになるまで待ってから(図27(a)中のA点)座標取得を行う。
【0280】
一方、座標取得用発光中に仮にペン発光がなされると、座標取得禁止信号161がアクティブになる場合がある。そのときには、図27(b)のように、座標取得禁止信号161はインアクティブなので、CPU133は、座標取得用発光動作を開始するが、その発光動作中に座標取得禁止信号161がアクティブになる。そのため、この場合には、得られたデータを無効にし、座標取得禁止信号161がインアクティブになるのを待って、もう一度、座標取得用発光動作をやりなおすことにする。
【0281】
本実施形態では、座標取得禁止信号161がアクティブとなる時間は、座標取得用発光期間より長く設定してあるので、座標取得用発光を開始する直前、及びその直後に座標取得禁止信号161を監視すれば、ペン発光と座標取得用発光の両者が同時に発光することがないように構成できる。
【0282】
また、先にも説明したように、本実施形態の座標入力装置は一定周期で座標を検出するように構成されているので、ペン発光が検知されない場合には、その所定周期で座標取得用発光が行われる。そして、ペン発光が検知され、その両者が重なった場合には、座標の再読込が行われ、あたかもその再読込のタイミングをトリガとして、所定周期毎に座標出力が行われるようになる。
【0283】
従って、座標取得用発光の際に座標取得禁止信号161をチェックするだけで、ペン発光と座標取得用発光の重複を回避することが可能になり、座標検出精度の低下等を防止することが可能となる。
【0284】
尚、上記実施形態では、座標取得用発光期間よりも長い時間、座標取得禁止信号161をアクティブに保持する構成としているが、演算・制御ユニット101の処理能力に余裕があるような場合、つまり、常に、座標取得禁止信号161をモニタできるような構成の場合には、座標取得禁止信号161は発光にかかる時間だけアクティブにすればよい。例えば、座標入力ペン1のスイッチ信号が、図3に示す信号構成であれば、スタート信号Startからストップ信号Stopの発光が終了するまでの時間、禁止するように構成することが可能となる。
【0285】
以上の構成に基づく座標入力装置の座標算出処理について、図28を用いて説明する。
【0286】
図28は本発明の実施形態の座標入力装置が実行する座標算出処理を示すフローチャートである。
【0287】
まず、座標入力装置の電源が投入されると、ステップS102で、制御・演算ユニット101のポート設定、タイマ設定等の座標入力装置に係る各種初期化を行う。
【0288】
ステップS103で、ラインCCD41の初期読込動作の初期読込回数を設定する。
【0289】
尚、この初期読込動作は、座標入力装置の起動時におけるラインCCD41の不要電荷除去を行うのための動作である。ラインCCD41では、動作させていないときに不要な電荷を蓄積している場合があり、その電荷が蓄積されている状態で座標入力動作を実行すると、検出不能になったり、誤検出の原因となる。そこで、これを避けるために、ステップS103では、投光部300による投光を停止している状態で、所定回数の読込動作を実行し、これにより、不要電荷の除去を行う。
【0290】
ステップS104で、ラインCCD41の読込動作を実行する。ステップS105で、所定回数以上の読込を実行したか否かを判定する。所定回数以上の読込を実行していない場合(ステップS105でNO)、ステップS104に戻る。一方、所定回数以上の読込を実行した場合(ステップS105でYES)、ステップS106に進む。
【0291】
ステップS106で、第1リファレンスデータとして、投光部300による投光を停止している状態でのラインCCD41の画素データ(Bas_data[N])を取り込む。ステップS107で、その第1リファレンスデータをメモリ132に記憶する。
【0292】
次に、ステップS108で、第2リファレンスデータとして、投光部300からの投光を行っている状態でのラインCCD41の画素データ(Ref_data[N])を取り込む。ステップS109で、その第2リファレンスデータをメモリ132に記憶する。
【0293】
ここまでの処理が、電源投入時の初期動作になる。この初期設定動作は、座標入力装置に構成されているリセットスイッチ等により操作者の意図によって動作するように構成しても良いことは言うまでも無く、この初期設定動作を経て、通常の座標入力ペン1による座標入力動作状態に移行することになる。
【0294】
まず、ステップS121で、座標入力ペン1の発光の有無を示す座標取得禁止信号161がアクティブであるか否かを判定する。座標取得禁止信号がアクティブである場合(ステップS121でYES)、インアクティブになるまで判定を繰り返す。一方、座標取得禁止信号がインアクティブである場合(ステップS121でNO)、ステップS110に進む。
【0295】
ステップS110で、座標入力サンプリング状態で、ラインCCD41の通常読込動作を実行して、画素データ(Norm_data[N])を取り込む。次に、ステップS122で、再度、座標取得禁止信号161がアクティブであるか否かを判定する。座標取得禁止信号がアクティブである場合(ステップS122でYES)、インアクティブになるまで判定を繰り返す。一方、座標取得禁止信号がインアクティブである場合(ステップS122でNO)、ステップS111に進む。
【0296】
ステップS111で、第2リファレンスデータ(Ref_data[N])と画素データ(Norm_data[N])の差分値を計算する。ステップS112で、その差分値と上述の閾値Vthrに基づいて、座標入力ペン1による入力の有無を判定する。入力がない場合(ステップS112でNO)、ステップS121に戻る。一方、入力がある場合(ステップS112でYES)、ステップS113に進む。
【0297】
尚、このときの繰り返し周期を10[msec]程度に設定すれば、100回/秒のサンプリングになる。
【0298】
ステップS113で、画素データの変化の比を、(2)式を用いて算出する。
【0299】
ステップS114で、計算された画素データの変化の比に対して、座標入力ペン1による遮光範囲に対応する画素データ分布の立ち下がりと立ち上がりの検出を行い、検出された立ち下がり及び立ち上がりと、(4)、(5)及び(6)式を用いて、遮光範囲の中心となる仮想的な中心画素番号を決定する。
【0300】
ステップS115で、決定された中心画素番号と(8)式よりTanθを計算する。ステップS116で、センサユニット1L及び1Rに対するTanθ値から、座標入力ペン1の入力座標P(x,y)を、(9)及び(10)式を用いて算出する。
【0301】
次に、ステップS117で、座標入力ペン1による入力がタッチダウン入力であるか否かを判定する。
【0302】
尚、この判定は、まず、座標入力ペン1からの発光の有無をセンサユニット102L(102R)の出力に基づいて判定する。そして、特に、座標入力ペン1からの発光がある場合に、得られるスイッチ信号を復調することによって、座標入力ペン1のペン先スイッチ9の動作状態を判定することで、タッチダウン入力であるか否かを判定する。
【0303】
このような判定方法に基づいて、ステップS117で、座標入力ペン1による入力がタッチダウン入力である場合(ステップS1187でYES)、ステップS118に進み、タッチダウン入力である(つまり、ペン先スイッチ9が動作している)ことを示すダウンフラグをセットする。一方、座標入力ペン1による入力がタッチダウン入力でない場合(ステップS117でNO)、ステップS119に進み、ダウンフラグをリセットする。
【0304】
一方、ステップS117の判定において、座標入力ペン1からの発光がない場合には、座標入力ペン1以外の指等の指示具により座標入力が行われていると判断できるので、この場合のタッチダウンの有無の判定は、次のように行う。
【0305】
すでに図20及び図21を用いて説明したように、指等の指示具が完全に光を遮光、つまり、座標入力面をタッチすることによって、完全に光がさえぎられるようになると、その部分で検出される画素の出力によって得られる画素データの変化の比の値(図22(b)参照)は1に近づく(先に説明した様に、半分程度が遮光されるとその値は0.5)。そこで、この画素データの変化の比の値を監視することによって、指等の指示具が座標入力面をタッチしているか否かを判定することが可能となる。
【0306】
以上のようにして、座標入力ペン1以外の指等の指示具によるタッチダウンの有無の判定は、上記のような判定方法で実現する。そして、この判定結果に基づいて、ステップS118でダウンフラグのセット、あるいはステップS119でダウンフラグのリセットを行う。
【0307】
尚、指等の指示具による座標入力は、以上説明してきた専用の指示具である座標入力ペン1を用いた入力に比べ、例えば、操作者の意図する軌跡を忠実に残すことはできないが、道具を用いることなく座標入力が行えるという利点は有するので、操作の目的に応じてアプリケーションを切り替えれば良い。
【0308】
また、本実施形態の主眼となる座標入力ペン1を用いて座標入力を行う場合にあっては、座標入力ペン1の動作状態に応じて発光されるペンダウン信号を検出して、ダウンフラグのセット(ステップS118)あるいはリセット(ステップS119)が行われる。
【0309】
このように構成することで、表示画面上のカーソルを移動させることができる状態と、座標入力ペン1を移動させることによって、表示画面上のカーソル移動が筆跡となって表示される状態(通常、良く知られているマウスで説明すれば、マウス左ボタンを押した状態でマウスを操作することに相当)を実現することができる。
【0310】
そして、ステップS120で、ダウンフラグの状態(ペン情報(ペンダウンあるいはペンアップ))と算出した座標値を外部端末へ出力する。この出力は、USBインタフェースやRS232Cインタフェース等のシリアル通信で送っても良いし、無線LANやブルートゥース等の無線通信で送信しても良い。
【0311】
外部端末では、座標入力装置を制御するデバイスドライバが受信データを解釈して、カーソルの移動、マウスボタン状態の変更を行うことで、表示画面の操作を実現する。
【0312】
尚、ステップS120の処理が終了したら、ステップS110に戻り、以降、電源OFFまで、もしくは、操作者の意図によってリセット状態が設定されるまで、上記の処理を繰り返すことになる。
【0313】
以上説明したように、座標入力ペン1の先端が座標入力面とどのような位置関係にあるかを正確に判定するペン先スイッチ9を設けることで、先に説明した『尾引き』等の障害、あるいは操作性の低下等を回避することが可能となる。このような専用の指示具を用いた場合には、次のように構成することで、新たな利点を更に得ることが可能となる。
【0314】
図30で説明した通り、指等の遮蔽物によって座標入力を行う場合には、ダウンフラグの設定の制約により高さh1あるいはh2の値をできるだけ小さくするのが好ましいとされた。しかしながら、専用の指示具を用いる場合には、別の手段によってダウンフラグの設定は容易に行えるので、この制約が無くなる。
【0315】
従って、図30(b)に示すが如く意図的に高さh1の値を設定し、座標入力面より離れた位置にあっても座標入力を行えるように構成することができる。使い勝手としては、座標入力面より離れた位置にあっても指示具の位置を検出できる。そのため、その座標検出値で、例えば、表示されているカーソルを移動することで、指示具の位置を表示画面上で確認できるようになり、表示画面上の所望の位置を正確に指示することができる。
【0316】
この離れた位置でも座標入力が行える機能は、一般に『近接入力』と称され、近接入力を実現するために、図30(b)に示すが如く意図的に高さh1の値を設定し、高さh1の値を設定することで生じる各種障害をペン先スイッチ9の状態を検知することで解消している。
【0317】
従って、本実施形態の座標入力ペン1のような自発光型専用指示具による座標入力、及び指等の任意の遮蔽物による座標入力のどちらをも実現できる座標入力装置にあっては、任意の遮蔽物による座標入力の際には、高さh1の値をできるだけ小さく、逆に、自発光型専用指示具による座標入力の際には、高さh1の値をできるだけ大きく設定するように構成するのが好ましい。
【0318】
以上説明したように、本実施形態によれば、座標入力ペン1を構成するシリンダ部材11に小ストローク、軽動作荷重で動作するON/OFFスイッチ12を一体で構成するとともに、シリンダ部材11とスライド部材10の2部品で、スライド部材10の両方向へのスライド範囲を制限できるように構成したので、小ストローク、軽動作荷重で動作するペン先スイッチ9を調整組み立てすることなく、安価に生産することができ、操作性に優れる座標入力装置用入力ペン1を実現することができる。
【0319】
また、ペン先スイッチ9に異常荷重が負荷された場合には、その負荷が直接、ON/OFFスイッチ12に伝達することを防止できるので、操作者により座標入力ペン1を誤落下させる場合が有っても、座標入力ペン1の破壊防止に大きく寄与できる。
【0320】
また、本実施形態の変形例1のように、第一スライド部材48、第二スライド部材47を一体化してスライド部材10を構成する場合であっても、その一体化のための調整作業は不要であり、上記実施形態と同等の作用効果が得られる。
【0321】
また、これらのペン先スイッチ9を大量に生産する場合であっても、シリンダ部材11により、全部品の位置決めが行われ、ペン先スイッチ9の性能のばらつきが小さく、安定した性能を容易に実現できる。
【0322】
また、ペン先スイッチ9を座標入力ペン1の筐体に組み込むまで、ペン先スイッチ9からスライド部材10を分離可能とする構成なので、製造、輸送工程におけるON/OFFスイッチ12の性能維持を保つための管理が不要であり、コスト面、信頼性という観点で優れた効果も得ることができる。
【0323】
尚、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施形態では図に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
【0324】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0325】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であっても良い。
【0326】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などがある。
【0327】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0328】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0329】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0330】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【0331】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、安価で、かつ操作性に優れた座標入力装置用の入力ペンを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の座標入力ペンの概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態のスライド部材の開口部の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態のスイッチ信号の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態のスイッチ信号の送信の過程を示す図である。
【図5A】本発明の実施形態のペン先スイッチをペン先方向からみた外観図である。
【図5B】本発明の実施形態の図5Aのペン先スイッチのA−A断面図である。
【図5C】本発明の実施形態の図5Aのペン先スイッチのB−B断面図である。
【図6A】本発明の実施形態のスライド部材及びガイド部材の詳細構成を示す図である。
【図6B】本発明の実施形態のスライド部材及びガイド部材の詳細構成を示す図である。
【図6C】本発明の実施形態のスライド部材及びガイド部材の詳細構成を示す図である。
【図6D】本発明の実施形態のスライド部材及びガイド部材の詳細構成を示す図である。
【図7】本発明の実施形態のペン先スイッチの構成例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態のON/OFFスイッチの変形例1を示す図である。
【図9】本発明の実施形態の変形例1でのON/OFFスイッチの組立図である。
【図10】本発明の実施形態のON/OFFスイッチの変形例2を示す図である。
【図11】本発明の実施形態のON/OFFスイッチの変形例3を示す図である。
【図12A】本発明の実施形態のON/OFFスイッチの変形例4を示す図である。
【図12B】本発明の実施形態のON/OFFスイッチの変形例4を示す図である。
【図12C】本発明の実施形態のON/OFFスイッチの変形例4を示す図である。
【図13】本発明の実施形態の遮光方式の座標入力装置の概略構成を示す図である。
【図14】本発明の実施形態のセンサユニットの投光部の構成例を示す図である。
【図15】本発明の実施形態のセンサユニットの検出部の構成例を示す図である。
【図16】本発明の実施形態のセンサユニットの構成例を示す図である。
【図17】本発明の実施形態の制御・演算ユニットの詳細構成を示すブロック図である。
【図18】本発明の実施形態の制御信号のタイミングチャートである。
【図19】本発明の実施形態のセンサユニットによって得られる光量分布の一例を示す図である。
【図20】本発明の実施形態の入力例を説明するための図である。
【図21】本発明の実施形態のセンサユニットによって得られる光量分布の光量変化を説明するための図である。
【図22】本発明の実施形態のセンサユニットによって得られる光量分布における光量変化量と光量変化比を説明するための図である。
【図23】本発明の実施形態の光量分布における複数の立ち上がり及び立ち下がりを検出する場合を説明するための図である。
【図24】本発明の実施形態の画素番号に対するθ値の関係を示す図である。
【図25】本発明の実施形態の座標入力領域上に定義する座標とセンサユニット102L及び102Lとの位置関係を示す図である。
【図26】本発明の実施形態の座標入力ペンの発光により発生する障害を説明するための図である。
【図27】本発明の実施形態の座標入力ペンの発光により発生する障害を回避するためのタイミングチャートである。
【図28】本発明の実施形態の座標入力装置が実行する座標算出処理を示すフローチャートである。
【図29】従来の座標入力動作の一例を説明するための図である。
【図30】光束と座標入力面の位置関係を説明するための図である。
【図31】文字入力の際に発生する不具合を説明するための図である。
【符号の説明】
1 座標入力ペン
2 ペン先
3 筐体
4 発光部
5 ペンサイドスイッチ
6 ペン制御回路
7 DCコンバータ
8 電池
9 ペン先スイッチ
10 スライド部材
11 シリンダ部材
12 ON/OFFスイッチ

Claims (6)

  1. 座標入力面を有する座標入力装置用の入力ペンであって、
    ペン先端部が座標入力面を押圧することによってスライドするスライド部材と、
    導電性シート部材と電極を備え、前記スライド部材のスライドによって、前記導電性シート部材が変形して前記電極に接触することで動作するペンダウン検出用のスイッチ手段と、
    前記スライド部材を挿入することにより、そのスライド方向を規制し、かつ前記スイッチ手段を位置決めする位置決め部を有するシリンダ部材と、
    前記スライド部材の嵌合面の少なくとも一部にある凹部と、前記シリンダ部材の嵌合面の少なくとも一部にある凸部とを係合させるために、前記スライド部材を前記シリンダ部材に挿嵌後、該スライド部材をスライド軸周りに所定角度回動させることによって、前記スライド部材のスライド方向のスライド可動範囲を規制する規制手段と
    前記スライド部材及び前記シリンダ部材には、各々周り止め手段が設けられ、該スライド部材を該シリンダ部材に挿入し、かつ所定角度回動後においても両者の軸周りの相対的な角度が略一定に保持されるように、前記周り止め手段を装着する保持手段を有する筐体と
    を備えることを特徴とする入力ペン。
  2. 座標入力面を有する座標入力装置用の入力ペンであって、
    ペン先端部が座標入力面を押圧することによってスライドするスライド部材と、
    導電性シート部材と電極を備え、前記スライド部材のスライドによって、前記導電性シート部材が変形して前記電極に接触することで動作するペンダウン検出用のスイッチ手段と、
    前記スライド部材を挿入することにより、そのスライド方向を規制し、かつ前記スイッチ手段を位置決めする位置決め部を有するシリンダ部材と、
    前記スライド部材の嵌合面の少なくとも一部にある凸部と、前記シリンダ部材の嵌合面の少なくとも一部にある凹部とを係合させるために、前記スライド部材を前記シリンダ部材に挿嵌後、該スライド部材をスライド軸周りに所定角度回動させることによって、前記スライド部材のスライド方向のスライド可動範囲を規制する規制手段と
    前記スライド部材及び前記シリンダ部材には、各々周り止め手段が設けられ、該スライド部材を該シリンダ部材に挿入し、かつ所定角度回動後においても両者の軸周りの相対的な角度が略一定に保持されるように、前記周り止め手段を装着する保持手段を有する筐体と
    を備えることを特徴とする入力ペン。
  3. 前記シリンダ部材は、前記シリンダ部材の位置決め部により位置決めされた前記スイッチ手段を固定する固定部を更に備える
    ことを特徴とする請求項1または請求項に記載の入力ペン。
  4. 座標入力面を有する座標入力装置用の入力ペンであって、
    ペン先端部が座標入力面を押圧することによってスライドするスライド部材と、
    前記スライド部材のスライドによって動作するペンダウン検出用のスイッチ手段と、
    前記スライド部材を挿入することにより、そのスライド方向を規制し、かつ前記スイッチ手段を位置決めする位置決め部を有するシリンダ部材と、
    前記スライド部材の嵌合面の少なくとも一部にある凹部と、前記シリンダ部材の嵌合面の少なくとも一部にある凸部とを係合させることによって、前記スライド部材のスライド方向のスライド可動範囲を規制する規制手段とを備え、
    前記スライド部材は、少なくとも前記シリンダ部材のガイド穴と嵌合する円柱面と、前記ガイド穴の形状よりも小さな形状の圧入面を有する第一スライド部材、及び少なくとも前記シリンダ部材の嵌合面と嵌合する円柱面と、前記第一スライド部材の圧入面と圧入可能な圧入部を有する第二スライド部材からなり、
    前記第一スライド部材を前記シリンダ部材のガイド穴の一方より挿嵌後、前記第二スライド部材を該シリンダ部材の他方より挿嵌するとともに、所定の負荷荷重により前記第一スライド部材を前記シリンダ部材のガイド穴に設けられた突起部位置まで、前記第一スライド部材と前記第二スライド部材を前記圧入部にて圧入し、固定することで、前記スライド部材を一体に構成する
    ことを特徴とする入力ペン。
  5. 前記スイッチ手段は、少なくともその片面に導電性部材を設けた導電性シート部材と、円環状のスペーサ部材及び電極パターンを施した基板部材を順に積層した構造からなり、
    前記シリンダ部材と前記導電性シート部材が当接する当接面に設けられた複数のピン手段で、該導電性シート部材、前記スペーサ部材及び前記基板部材の相応の位置に各々設けられたガイド穴により位置決めし、該シリンダ部材、該導電性シート部材、該スペーサ部材、該基板部材を一体に構成する
    ことを特徴とする請求項1または請求項に記載の入力ペン。
  6. 前記スイッチ手段は、少なくともその片面に導電性部材を設けた積層形導電性シート部材と、電極パターンを施した基板部材を順に積層した構造からなり、
    前記シリンダ部材と前記積層形導電性シート部材が当接する当接面に設けられた複数のピン手段で、該積層形導電性シート部材と、前記基板部材の相応の位置に各々設けられたガイド穴により位置決めし、該シリンダ部材、該積層形導電性シート部材、該基板部材を一体に構成する
    ことを特徴とする請求項1または請求項に記載の入力ペン。
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