JP4315047B2 - ディーゼルエンジン制御システム - Google Patents

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Description

本発明は、燃料噴射量またはエンジン回転速度をドライバの意思に基づいて制御するディーゼルエンジン制御システムに関するもので、特にディーゼルエンジンの各気筒に噴射供給する燃料噴射量またはエンジン回転速度を要求図示トルクに基づいて制御するディーゼルエンジン制御システムに係わる。
[従来の技術]
近年の電子制御化された自動車のエンジン制御においては、ドライバのアクセル操作量に対応した応答性の良いドライバビリティを実現するために、ドライバのアクセルペダルの踏み込み量(つまりアクセル開度)とエンジン回転速度とからドライバの要求する要求軸トルク(ドライバ要求トルク)を求めて、スロットル開度、燃料噴射量、点火時期等を要求軸トルクに応じて制御する、所謂トルクディマンド制御を行うようにしたエンジン制御システムがある(例えば、特許文献1参照)。これは、アクセル開度とエンジン回転速度とから要求軸トルクを算出し、この要求軸トルクに、エンジンの消費トルクを加算して要求図示トルク(燃焼圧トルク)を求め、この要求図示トルクに応じてスロットル開度、燃料噴射量、点火時期等を制御している。
ここで、要求軸トルクは、エンジンのクランク軸から取り出される正味トルクの要求値(目標値)であり、要求図示トルクは、エンジンの燃焼によって発生する燃焼圧トルクの要求値(目標値)であり、消費トルクは、図10に示したように、エンジン内部の摺動部品(シリンダ内を摺動するピストン等)の機械摩擦損失(エンジンフリクション)等によって消費される内部損失トルクと、エンジン外部のエンジン補機類(例えばエアコンのコンプレッサ等)の駆動負荷によって消費される外部損失トルクとを加算したものである。これらの各トルクには下記の数1の式に示した関係があることが知られている。
〔数1〕
要求図示トルク=要求軸トルク+(内部損失トルク+外部損失トルク)
ところで、エンジン制御システム、特にディーゼルエンジン制御システムとして、燃料供給ポンプ(サプライポンプ)より圧送供給された高圧燃料を蓄圧すると共に、この蓄圧された高圧燃料を、ディーゼルエンジンの各気筒毎に搭載されたインジェクタに分配供給するコモンレールを備え、各気筒のインジェクタの電磁弁を所定のタイミングで開弁駆動して、ノズルニードルをリフトさせることで、コモンレール内に蓄圧された高圧燃料をディーゼルエンジンの各気筒の燃焼室内に噴射供給するようにしたコモンレール式燃料噴射システムが公知である。
上記のサプライポンプは、エンジンのクランク軸の回転動力(エンジン出力軸トルク)によってカムシャフト(またはドライブシャフト)が回転駆動されることで、ポンプシリンダ内をプランジャが往復方向に摺動することで、加圧室内に吸入された燃料を加圧して高圧化し、この高圧化した高圧燃料をコモンレールを介して各気筒のインジェクタに圧送供給している。なお、サプライポンプに要求される燃料吐出量は、エンジンの運転状態(例えばエンジン回転速度と指令噴射量)によって異なるため、ポンプ圧送期間を調整したり、加圧室に燃料を吸入する燃料吸入経路の開口面積を調整したりすることで、燃料吐出量を調整している。このようなコモンレール式燃料噴射システムとして、1回のポンプ圧送期間中に複数の気筒の燃料噴射が対応する非同期圧送(非同期噴射とも言う:例えば2噴射1圧送や6噴射4圧送)方式のものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
[従来の技術の不具合]
しかしながら、特許文献1に記載のエンジン制御システムにおいては、燃料噴射量を決定する際に考慮するエンジン補機類の消費トルク値、およびエンジンフリクショントルク値は、定量的な把握がなされておらず、ドライバからの要求軸トルク値と発生実トルク値との間に差異が生じて、エンジントルク制御の精度および安定性の向上を阻害する要因となっている。また、特許文献1に記載のエンジン制御システムを、要求図示トルクに基づいて燃料噴射量を調整してエンジン出力軸トルクを制御するディーゼルエンジン制御システムとして利用する場合が考えられる。ところが、ディーゼルエンジンにおいては、高圧の燃料噴射を実現するため、噴射圧力まで燃料を高圧化して圧送供給するサプライポンプは、他のエンジン出力軸トルクを消費するエンジン補機類(例えばエアコンのコンプレッサ、オルタネータ、トルクコンバータ、パワーステアリングのポンプ等)と比べて、その消費トルクが非常に大であるが、その消費トルクに応じて適正な補正を実施しないと、ドライバからの要求軸トルク値と発生実トルク値との間に差異が生じてしまう。
また、特許文献2に記載のコモンレール式燃料噴射システムでは、サプライポンプと各気筒のインジェクタとの間に蓄圧器としてのコモンレールが存在しているため、インジェクタから高圧燃料を噴射供給する回数と、サプライポンプから高圧燃料を圧送供給する回数とが一致しないケースもあり、サプライポンプの駆動に要する消費トルクのパターン周期が、燃料噴射の間隔と不一致になるため、エンジン回転速度変動およびエンジン振動が発生する可能性があった。
特開2002−276447号公報(第1−11頁、図1−図9) 特開2000−314339号公報(第1−7頁、図1−図8)
本発明の目的は、ドライバの意思に基づく要求軸トルクとディーゼルエンジンで発生する実際のエンジン出力軸トルクとの間の差を縮小して、エンジントルク制御の高精度化を図ることのできるディーゼルエンジン制御システムを提供することにある。また、非同期圧送システムにおいて、エンジン回転速度変動およびエンジン振動を抑制することできるディーゼルエンジン制御システムを提供することにある。
請求項1に記載の発明によれば、ドライバの意思に基づいて要求軸トルクを算出し、この要求軸トルクに、燃料供給ポンプにより消費されるポンプ駆動消費トルクを含んだ消費トルクを考慮して要求図示トルクを算出し、この要求図示トルクに基づいて燃料噴射量またはエンジン回転速度を調整してエンジン出力軸トルクを制御することにより、ドライバの意思に基づく要求軸トルク(要求トルク値)とディーゼルエンジンで発生する実際のエンジン出力軸トルク(発生実トルク値)との間の差を縮小化することができる。これによって、要求軸トルクに対する実際のエンジン出力軸トルクの精度、つまりドライバの意思に即応したエンジン出力軸トルクの制御精度の向上を実現することが可能となる。したがって、ディーゼルエンジンのエンジントルク制御の高精度化および安定性の向上を図ることができる。
そして、ディーゼルエンジン制御システムとして、燃料供給ポンプによる1回の燃料圧送期間中に、連続する複数の気筒の燃料噴射が対応するディーゼルエンジン用燃料噴射システム(コモンレール式燃料噴射システム)を採用している。このような燃料供給ポンプによる1回の燃料圧送期間中に、連続する複数の気筒の燃料噴射が対応する非同期圧送システムにおいて、上記の要求図示トルクに基づいて燃料噴射量またはエンジン回転速度を調整してエンジン出力軸トルクを制御するようにした場合には、燃料噴射間隔毎に消費されるポンプ駆動消費トルク差を吸収するようにエンジントルク制御手段を調整できるので、燃料噴射間隔間の軸発生トルクが均一になり、エンジン回転速度変動およびエンジン振動を抑制することできる。また、燃料の噴射圧力または燃料圧送量に基づいて、特定気筒への燃料噴射から次気筒への燃料噴射までのトルク発生間隔内で、燃料供給ポンプにより消費される平均駆動トルク値を算出し、ポンプ駆動消費トルクとして、平均駆動トルク値を考慮して要求図示トルクを決定するようにしても良い。
なお、上記のディーゼルエンジンとして、ディーゼルエンジンの出力軸で発生したエンジン出力軸トルクを複数の駆動輪に伝達する動力伝達装置を搭載した車両の走行用の内燃機関を用いても良い。ここで、動力伝達装置は、エンジン出力軸トルクを変速機出力軸に伝達するトランスミッション、このトランスミッションの変速機出力軸トルクを複数の駆動輪に分割するディファレンシャル、およびエンジン回転速度を複数の駆動輪の回転速度まで減速するファイナルギヤ等から構成されている。そこで、トランスミッションで必要とされる変速機出力軸トルク、あるいは複数の駆動輪で必要とされる駆動輪トルクを算出し、これを要求図示トルクの補正項として利用しても良い。
請求項2に記載の発明によれば、消費トルクには、ディーゼルエンジンの内部部品により消費される内部損失トルク、およびディーゼルエンジンの出力軸に駆動連結されたエンジン補機類により消費される外部損失トルクが含まれている。そこで、ドライバの意思に基づいて算出した要求軸トルクに、ディーゼルエンジンの内部損失トルクと、上記のポンプ駆動消費トルクを含んだエンジン補機類の外部損失トルクとを加算して、要求図示トルクを算出することにより、ドライバの意思に基づく要求軸トルク(要求トルク値)とディーゼルエンジンで発生する実際のエンジン出力軸トルク(発生実トルク値)との間の差を縮小化することができる。
請求項3に記載の発明によれば、ドライバの意思に基づく要求軸トルクとして、ドライバのアクセル操作量に対応したアクセル開度を考慮して求められる要求軸トルク(例えばドライバ要求トルク)を用いても良い。また、ドライバの意思に基づく要求軸トルクとして車両走行速度と目標走行速度との車速偏差を考慮して求められる要求軸トルク(例えばクルーズ制御ユニットからの要求値)を用いても良い。
求項に記載の発明によれば、上記のトルク発生間隔として、燃料供給ポンプによる1回の燃料圧送期間を用いても良い。
本発明を実施するための最良の形態は、燃料の燃焼によってエンジン出力軸トルクを発生するディーゼルエンジンのエンジントルク制御の高精度化を図るという目的を、外部損失トルクとして、ディーゼルエンジン制御システムに使用されるディーゼルエンジン用燃料供給ポンプにより消費されるポンプ駆動消費トルクを考慮して要求図示トルク値を算出し、この要求図示トルクに基づいて燃料噴射量またはエンジン回転速度を調整してエンジン出力軸トルクを制御することで実現した。
[実施例1の構成]
図1ないし図7は本発明の実施例1を示したもので、図2はコモンレール式燃料噴射システムの全体構成を示した図である。
本実施例のディーゼルエンジン制御システムは、例えば自動車等の車両に搭載されるものであり、運転者(ドライバ)のアクセル操作量に基づいて要求軸トルクを算出し、この算出した要求軸トルクに、多気筒ディーゼルエンジン等の走行用内燃機関(以下エンジン1と言う)の出力軸(例えばクランク軸:以下クランクシャフト2と言う)で発生したエンジン出力軸トルクを消費する消費トルクを加算して要求図示トルクを算出し、この要求図示トルクに基づいて、エンジン1の各気筒の燃焼室内に噴射供給する燃料噴射量を調整して、エンジン1の出力軸に発生するエンジン出力軸トルクを制御するエンジントルク制御装置を構成するものである。
このディーゼルエンジン制御システムを搭載した車両には、エンジン1のクランクシャフト2で発生したエンジン出力軸トルクを、駆動軸(車軸、ドライブシャフト)および複数の駆動輪(ドライブホイール)に伝達するための動力伝達装置が装備されている。この動力伝達装置は、エンジン出力軸トルクを変速機出力軸に伝達する自動変速機、この自動変速機の変速機出力軸トルクを複数の駆動輪に分割するディファレンシャル(差動制限装置)、およびエンジン回転速度を複数の駆動輪の回転速度まで減速するファイナルギヤ(終減速装置)を備えている。また、本実施例のエンジン1のクランクシャフト2には、エアコンのコンプレッサ、オルタネータ、オイルポンプ、パワーステアリングのポンプ、コモンレール式燃料噴射システムの燃料供給ポンプ(サプライポンプ)7等のエンジン補機類が駆動連結(ベルト駆動またはギヤ駆動等)されている。
ここで、エンジン1のクランクシャフト2と自動変速機の入力軸との間には、図示しない自動クラッチ機構としてのトルクコンバータが駆動連結(直結)されている。そして、本実施例では、自動変速機として、前進側の変速段が多段化されて、エンジン1の回転速度を所定の変速比に変速するオートマチック・トランスミッション(以下トランスミッションと言う:図示せず)が搭載されている。なお、トランスミッションの前進側の変速段(第1速〜第4速、または第1速〜第5速)の変速比(ギヤ比)は、車両諸元によって決定されている。また、ファイナルギヤの最終減速比(終減速比)や車両重量も車両諸元によって決定されている。なお、変速機(トランスミッション)としてマニュアル・トランスミッション、一対の滑車とその外周に掛け渡される金属ベルトで変速比を自在に変更することが可能な無段変速機(Continuously Variable Transmission)、およびこれらを組み合わせた動力伝達装置を用いても良い。
本実施例のディーゼルエンジン制御システム(エンジントルク制御装置)としては、ディーゼルエンジン用燃料噴射システムとして知られるコモンレール式燃料噴射システム(蓄圧式燃料噴射装置)が採用されており、コモンレール6内に蓄圧された高圧燃料を、エンジン1の各気筒毎に対応して搭載された複数個の燃料噴射弁(インジェクタ)5を介してエンジン1の各気筒の燃焼室内に噴射供給するように構成されている。このコモンレール式燃料噴射システムは、エンジン1の各気筒の燃焼室内に燃料を所定の噴射タイミングで噴射供給する複数個(本例では4個)のインジェクタ5と、燃料の噴射圧力に相当する高圧燃料を蓄圧するコモンレール6と、加圧室15内に吸入される燃料を加圧して高圧化するサプライポンプ7と、複数個のインジェクタ5の電磁弁16およびサプライポンプ7の電磁弁17を電子制御するエンジン制御ユニット(以下ECUと呼ぶ)10とを備えている。ここで、18は車載バッテリである。
コモンレール6は、2つの燃料供給経路を介して高圧燃料を吐出するサプライポンプ7の吐出口と接続されている。そして、エンジン1の各気筒毎に対応して搭載された複数個のインジェクタ5は、コモンレール6より分岐する複数の分岐管の下流端に接続されて、エンジン1の各気筒の燃焼室内への燃料噴射を行う燃料噴射ノズル、この燃料噴射ノズル内に収容されたノズルニードルを開弁方向に駆動する電磁弁16、およびノズルニードルを閉弁方向に付勢するスプリング等のニードル付勢手段(図示せず)等から構成された電磁式燃料噴射弁である。
そして、各気筒のインジェクタ5からエンジン1の各気筒の燃焼室内への燃料噴射は、ノズルニードルと連動するコマンドピストンの動作制御を行う背圧制御室内の燃料圧力を増減制御する電磁弁16のソレノイドコイルへの通電および通電停止(ON/OFF)により電子制御される。つまり、インジェクタ5の電磁弁16のソレノイドコイルが通電されてノズルニードルがノズルボデーの先端部に形成された複数個の噴射孔を開弁している間、コモンレール6内に蓄圧された高圧燃料がエンジン1の各気筒の燃焼室内に噴射供給される。これにより、エンジン1が運転される。
サプライポンプ7は、吸入した低圧燃料を加圧して高圧化しコモンレール6内に圧送供給する2つの圧送系統(ポンプエレメント:以下#1ポンプ、#2ポンプとも言う)を有する一般的な構成の高圧供給ポンプで、エンジン1のクランクシャフト2の回転に伴ってポンプ駆動軸(ドライブシャフトまたはカムシャフト)3が回転することで、燃料タンク(図示せず)から低圧燃料を汲み上げる周知のフィードポンプ(低圧供給ポンプ:図示せず)を内蔵している。そして、2つの圧送系統は、それぞれプランジャバレル21を備え、これに電磁弁17を介してフィードポンプから低圧燃料が吸入されるように構成されている。吸入された燃料は、各プランジャバレル21に摺動自在に差し込まれたプランジャ22がカム23により図示上下方向に往復運動することで、電磁弁17が閉じられた時に吐出弁24を経てコモンレール6に圧送供給される。
カム23は、エンジン1のクランクシャフト2で発生したエンジン出力軸トルクによりポンプ駆動軸3が駆動されることで、ポンプ駆動軸3と一体的に回転する。なお、カム23は、エンジン1のクランクシャフト2の回転数の1/2の回転数で回転するように構成されている。すなわち、カム23が上死点から下死点に至る間にプランジャバレル21の加圧室(プランジャ室)15内に最大量の燃料が吸入され、下死点を過ぎると再び加圧室15から燃料が排出される。そして、この燃料の排出は、電磁弁17の閉弁時点で停止し、このときの加圧室15内の燃料量で燃料吐出量(燃料圧送量:以下ポンプ吐出量またはポンプ圧送量と言う)が規定される。また、圧送開始時期である電磁弁17の閉弁時期を下死点側に進角させ、ポンプ圧送期間を長くすればポンプ吐出量は多くなる。なお、電磁弁17の閉弁時期が略下死点のときが最大のポンプ吐出量となる(全量圧送)。
ここで、上述したように、サプライポンプ7のカム23がエンジン1のクランクシャフト2の回転数の1/2の回転数で回転するので、エンジン1の720°CAに対して、すなわち、各気筒の燃料噴射が一巡する間にカム23が1回転して、そのうちの上死点から下死点に至る360°CA(ポンプカム角180°)の期間が、燃料の吸入期間(ポンプ吸入期間)となり、下死点から上死点に至る360°CA(ポンプカム角180°)の期間が、燃料の圧送期間(ポンプ圧送期間)となる。なお、ポンプ圧送期間は、実際のポンプ圧送期間が上述したように電磁弁17の閉弁時期で変わることになるのは言うまでもない。
そして、2つの圧送系統(#1ポンプ、#2ポンプ)は、それぞれ独立に燃料を吸入、圧送するが、カム23には互いに360°CA、つまりポンプカム角180°の位相差が設定してあり、2つの圧送系統のうちの一方がポンプ吸入期間であれば他方はポンプ圧送期間となっている。これを図3に示す。図中、長さが異なるポンプ圧送期間を3種類示している(1/4圧送、1/2圧送、全量圧送)。また、図中には、概略の燃料噴射時期である各気筒の上死点(TDC)を示している。すなわち、燃料の噴射順序は、#1気筒→#3気筒→#4気筒→#2気筒の順となる。
なお、各気筒の上死点(TDC)を規定するクランクシャフト2と、サプライポンプ7のポンプ吸入期間およびポンプ圧送期間を規定するカム23との位相は、ポンプ駆動軸3に設けられた位置決めキー等により規定されるが、以下の説明においては、図例のごとく、ポンプ#1の押し切り位置(ポンプ#1のカム23の上死点)が#1気筒の上死点(TDC)直前に設定され、ポンプ#1の燃料圧送に、連続する#4気筒、#2気筒への燃料噴射が対応し、ポンプ#2の押し切り位置(ポンプ#2のカム23の上死点)が#4気筒の上死点(TDC)直前に設定され、ポンプ#2の燃料圧送に、連続する#1気筒、#3気筒への燃料噴射が対応するものとして説明する。
本実施例のECU10には、制御処理、演算処理を行うCPU、各種プログラム、制御ロジックや制御データを保存する記憶装置(ROMまたはEEPROMおよびRAMまたはスタンバイRAM等のメモリ)、入力回路、出力回路、電源回路等の機能を含んで構成される周知の構造のマイクロコンピュータ、インジェクタ駆動回路(EDU)、ポンプ駆動回路が内蔵されている。なお、インジェクタ駆動回路(EDU)は、各気筒のインジェクタ5の電磁弁16のソレノイドコイルに個別にパルス状のインジェクタ駆動電流を印加するインジェクタ駆動手段である。また、ポンプ駆動回路は、サプライポンプ7の電磁弁16のソレノイドコイルにポンプ駆動電流を印加するポンプ駆動手段である。
そして、ECU10は、イグニッションスイッチがオン(IG・ON)されると、ECU電源の供給が成され、メモリ内に格納された制御プログラムに基づいて、例えば燃料噴射量または燃料噴射圧力(コモンレール圧力)が制御値となるように電子制御するように構成されている。また、ECU10は、イグニッションスイッチがオフ(IG・OFF)されてECU電源の供給が断たれると、メモリ内に格納された制御プログラムや制御ロジックに基づく上記の制御が強制的に終了されるように構成されている。そして、ECU10は、コモンレール6に設置された燃料圧力センサ31より出力された出力値(コモンレール圧力信号)、その他の各種センサからのセンサ信号、および車両に設置された一部のスイッチからのスイッチ信号が、A/D変換器でA/D変換された後に、ECU10に内蔵されたマイクロコンピュータに入力されるように構成されている。
また、マイクロコンピュータの入力回路には、エンジン1の運転状態や運転条件を検出する運転状態検出手段としての、ドライバのアクセルペダル19の踏み込み量であるアクセル操作量(以下アクセル開度と呼ぶ:ACCP)を検出するためのアクセル開度センサ(アクセル操作量検出手段)32、エンジン1のクランクシャフト2の回転角度(クランク角)を検出するためのクランク角度センサ33、エンジン冷却水温(THW)を検出するための冷却水温センサ34、およびサプライポンプ7内に吸入されるポンプ吸入側の燃料温度(THF)を検出するための燃料温度センサ(図示せず)等が接続されている。上記のセンサのうちアクセル開度センサ32は、アクセル開度(ACCP)に対応したアクセル開度信号を出力する。
また、クランク角度センサ33は、エンジン1のクランクシャフト2、あるいはサプライポンプ7のポンプ駆動軸3に取り付けられたNEタイミングロータ36の外周に対向するように設けられた電磁ピックアップコイルよりなる。そのNEタイミングロータ36の外周面には、所定回転角度毎に凸状歯37が複数個配置されている。そして、クランク角度センサ33は、NEタイミングロータ36の各凸状歯37がクランク角度センサ33に対して接近離反を繰り返すことにより、電磁誘導によってパルス状の回転位置信号(NE信号パルス)、特にエンジン1のクランクシャフト2の回転速度(エンジン回転速度)およびサプライポンプ7の回転速度(ポンプ回転速度)と同期したNE信号パルスが出力される。なお、ECU10は、クランク角度センサ33より出力されたNE信号パルスの間隔時間を計測することによってエンジン回転速度(以下エンジン回転数とも言う:NE)を検出するための回転速度検出手段として機能する。
また、ECU10は、トランスミッション制御ユニット(TCM:図示せず)、トラクション制御ユニット(TCS:図示せず)、クルーズ制御ユニット(ACC:図示せず)、アンチロックブレーキシステム(ABS:図示せず)、およびエアコンディショナ(A/C:図示せず)との間でCAN通信(例えば現在のギヤ位置、現在の制動トルク、車両走行速度と目標走行速度との車速偏差情報、エンジン出力軸トルクの増減要求やアイドルアップ要求等)を行うように構成されている。ここで、TCMには、上記のアクセル開度センサ32、車両の走行速度(車速)を検出する車速センサ35、および車両の車輪速度(駆動輪速度)を検出する車輪速度センサ等が接続されている。そして、車速センサ35は、例えばリードスイッチ式車速センサまたは磁気抵抗素子式車速センサであって、トランスミッションの出力軸の回転速度を計測して車速に対応した車速信号を出力する車速検出手段である。
また、TCMは、セレクトレバーがDレンジまたは2レンジの時に、アクセル開度センサ32からのアクセル開度(ACCP)に対応したアクセル開度信号と、車速センサ35からの車速(SPD)に対応した車速信号とによって、変速用のソレノイドバルブ等のアクチュエータのON、OFFの組み合わせにより油圧回路を切り替えて、複数のギヤ位置(前進4段の場合は第1速〜第4速、または前進5段の場合は第1速〜第5速)が選択され(ギヤ位置検出手段)、トランスミッションの変速状態を制御する。これにより変速が行われる。また、TCSは、積雪路等での発進加速時に、エンジン1のエンジン出力軸トルクや制動トルクを制御して、過剰な駆動力による駆動輪の空転(ホイールスピン)を防止する装置である。
また、ACCは、高速道路等を一定速度で長時間走行する場合に、セットスイッチを押すと、車両走行速度が目標走行速度以上になったら車両走行速度と目標走行速度との車速偏差に基づいて要求軸トルクを制限して、車両の走行速度を一定に保つ定速走行装置である。また、定速走行中に前車との距離が接近し過ぎると自動的にブレーキを作動させて前車との車間距離を安全側に保つこともできる。このクルーズ制御ユニットからは、車両走行速度と目標走行速度との車速偏差情報や要求軸トルクの制限値等をECU10に送信する。また、ABSは、積雪路等の滑り易い路面での制動時に、ブレーキペダルをいっぱいに踏み込んでいても各車輪のブレーキはオン、オフを繰り返すことで、車輪がロックしてステアリングがコントロールを失うのを防止する装置で、車輪速度センサにより車輪の回転状況を検知し、各種路面状況に応じてブレーキ液圧を電子制御する。このABSからは、ブレーキ液圧に基づく制動トルク(ブレーキトルク)をECU10に送信する。
そして、ECU10は、イグニッションスイッチがオン(IG・ON)された後、所定のタイミング毎に、エンジン1の運転状態または運転条件に対応した最適なコモンレール圧力を演算し、ポンプ駆動回路を介してサプライポンプ7の吸入調量弁14のソレノイドコイルを駆動する燃料圧力制御手段(コモンレール圧力制御手段)を有している。これは、エンジン回転数(NE)と基本噴射量(Q)または指令噴射量(QFIN)とによって目標コモンレール圧力(目標燃料圧力:PFIN)を演算する燃料圧力決定手段を有し、この目標燃料圧力(PFIN)を達成するために、吸入調量弁14のソレノイドコイルに印加するポンプ駆動電流を調整して、サプライポンプ7のポンプ吐出量をフィードバック制御するように構成されている。すなわち、燃料圧力センサ31によって検出されたコモンレール圧力(Pc)が目標燃料圧力(PFIN)と略一致するように、PI(比例積分)制御またはPID(比例積分微分)制御を用いて、サプライポンプ7のポンプ吐出量をフィードバック制御している。具体的には、燃料圧力センサ31によって検出されたコモンレール圧力(Pc)と目標燃料圧力(PFIN)との圧力偏差(ΔP)に基づいて、サプライポンプ7のポンプ吐出量と相関関係を有する(吸入調量弁14のソレノイドコイルに印加する)ポンプ駆動電流をフィードバック制御している。
[実施例1の制御方法]
次に、本実施例のエンジン1のクランクシャフト2で発生するエンジン出力軸トルクの制御方法を図1ないし図7に基づいて簡単に説明する。ここで、インジェクタ噴射量制御に用いる、エンジン出力軸トルクの制御方法(具体的にはドライバのアクセル操作量に基づく要求図示トルクの算出方法)を、図4の制御ロジックに示す。この図4の制御ロジックは、イグニッションスイッチがオン(IG・ON)された後、所定のタイミング毎に実行される。なお、エンジン1の各気筒の燃焼室内に噴射供給される燃料噴射量を、エンジン1の各気筒毎に個別に演算しても良い。
先ず、各種センサからのセンサ信号を取り込む。具体的には、アクセル開度センサ32より取り込んだアクセル開度信号によってアクセル開度(ACCP)を算出する(アクセル操作量検出手段)。また、クランク角度センサ33より取り込んだNE信号パルスの間隔時間を計測することでエンジン回転速度(NE)を算出する(エンジン回転速度検出手段)。また、燃料圧力センサ31より取り込んだコモンレール圧力信号によってコモンレール圧力(Pc)を算出する(燃料圧力検出手段)。
次に、アクセル開度(ACCP)に基づいて要求軸トルクを算出する(要求軸トルク演算手段:要求軸トルクマネージメント)。このとき、車両走行速度と目標走行速度との車速偏差に基づき、クルーズ制御ユニット(ACC)からエンジン出力軸トルクの増減要求がなされている場合には、そのエンジン出力軸トルクの増減要求に対応した要求軸トルクを算出する。ここで、要求軸トルクは、エンジン1のクランクシャフト2から取り出される正味トルクの要求値(目標値)である。次に、ドライバからの要求軸トルクを発生した時に車両に加わる走行抵抗(RR)を算出し、この走行抵抗(RR)にタイヤ有効半径(r)を乗算して、エンジン出力軸トルクを消費する動力伝達系の損失トルクとしてホイール(駆動輪)トルクを算出する(損失トルク演算手段:ホイールトルクマネージメント)。ここで、走行抵抗(RR)には、空気抵抗(FD)、ころがり抵抗(FR)、勾配抵抗(FS)、加速抵抗(Fa)等がある。
ECU10は、車速センサ35で検出した車両走行速度(車速)、空気密度(ρ)、前面投影面積(S)および走行抵抗係数(空気抗力係数、CD値:Cd)および下記の数2の演算式を用いて、車両を平坦路で定常走行させる際の空気抵抗(FD)を算出する(空気抵抗算出手段、空力抵抗算出手段)。
〔数2〕
FD=0.5×ρ×V2 ×S×Cd
ECU10は、車両重量(m)、タイヤの転がり抵抗係数(=路面摩擦抵抗係数:μ)、重力加速度(g)および下記の数3の演算式を用いて、車両を平坦路で定常走行させる際のころがり抵抗(FR)を算出する(ころがり抵抗算出手段)。なお、ころがり抵抗には、ブレーキの引き摺り損失等も含まれるため、アンチロックブレーキシステム(ABS)やトランスミッション制御ユニット(TCM)からの現在の制動トルクも考慮してころがり抵抗(FR)を算出する。
〔数3〕
FR=μ×m×g
ECU10は、車速センサ35で検出した車両走行速度(車速)を微分器で時間微分して車両加速度(α)を算出する。そして、算出した車両加速度(α)に、車両重量(m)を乗算して、車両を平坦路で加減速走行させる際の加速抵抗(FA)を算出する(加速抵抗算出手段)。なお、下記の数4の演算式を用いて加速抵抗(FA)を算出しても良い。 〔数4〕
FA={(W+ΔW)×α}/g
ここで、Wは車両重量(m)で、ΔWは回転部分相当重量で、αは車両加速度で、gは重力加速度である。
そして、ECU10は、車両が平坦路を定常走行している時には、空気抵抗(FD)と転がり抵抗(FR)とを加算して走行抵抗(RR=FD+FR)を算出する。また、車両が平坦路を加減速走行している時には、空気抵抗(FD)と転がり抵抗(FR)との和に加速抵抗(FA)を加算して走行抵抗(RR=FD+FR+FA)を算出する(走行抵抗算出手段)。
なお、車両が坂道を登坂走行している時には、空気抵抗(FD)と転がり抵抗(FR)との和に勾配抵抗(FS)を加算しても良い。そして、勾配抵抗(FS)は、下記の数5の演算式に基づいて算出される。
〔数5〕
FS=W×sinθ
ここで、Wは車両重量(m)で、θは路面勾配である。この路面勾配(θ)は、ナビゲーションシステム搭載車であれば、地図上の車両走行地点より読み取ることができる。また、路面勾配(θ)を検出または推定する装置を有している車両であれば、容易に路面勾配(θ)を検出または推定できる。
次に、エンジン出力軸トルクを消費するトルクコンバータまたはトランスミッションの損失トルクを算出する(損失トルク演算手段:ギアBOXトルクマネージメント)。なお、トルクコンバータの損失トルクは、エンジン回転速度(NE)とタービン回転速度との速度比等に基づいて算出し、トランスミッションの損失トルクは、エンジン回転速度(NE)と車両走行速度(SPD)との速度比等に基づいて算出すれば良い。
次に、要求軸トルクに、動力伝達系の損失トルクとしてのホイール(駆動輪)トルクと、トルクコンバータまたはトランスミッションの損失トルクと、エンジン1のクランクシャフト2で発生したエンジン出力軸トルクを消費する消費トルク(損失トルク)とを加算して、要求図示トルクを算出する(要求図示トルク演算手段:エンジントルクマネージメント)。ここで、要求図示トルクは、エンジンの燃焼によって発生する燃焼圧トルクの要求値(目標値)であり、エンジン1の内部損失やエンジン1の外部のエンジン補機類や動力伝達装置(車両駆動系)で消費される損失トルクを含むトルクである。したがって、要求図示トルクから損失トルクを差し引いたトルクは、エンジン1のクランクシャフト2から取り出されるエンジン出力軸トルク(軸トルク、正味トルク)となり、このエンジン出力軸トルクによって動力伝達装置が駆動されて車両が定常走行または加減速走行する。
また、エンジン出力軸トルクを消費する消費トルク(損失トルク)は、エンジン内部の摺動部品(シリンダ内を摺動するピストン等)の機械摩擦損失(エンジンフリクション)等によって消費される内部損失トルクと、エンジン外部のエンジン補機類(例えばエアコンのコンプレッサ、オルタネータ、トルクコンバータ、パワーステアリングのポンプ等)および動力伝達装置(車両駆動系)の駆動負荷によって消費される外部損失トルクとを合計したトルクである。
ここで、エンジン1の内部損失トルクとしては、エンジン1の機械摩擦損失トルク(エンジンフリクショントルク)とポンピング損失トルクとがある。このポンピング損失トルクは、エンジン回転速度(NE)と吸気圧とによって変化するため、ポンピング損失トルクの算出時には、エンジン回転速度(NE)と吸気圧とをパラメータとするポンピング損失トルクの2次元マップ(図示せず)を検索して、そのときのエンジン回転速度(NE)と吸気圧とに対応したポンピング損失トルクを算出する。また、エンジン補機類の外部損失トルクは、エンジン補機類の負荷特性に応じて損失トルクを算出する。例えばエアコンのコンプレッサの損失トルク(エアコン消費トルク)は、コンプレッサ回転速度に基づいて算出し、また、オルタネータの損失トルク(オルタネータ駆動消費トルク)は、バッテリ電圧とオルタネータのフィールド電流(励磁電流)に基づいて算出し、また、パワーステアリングの損失トルク(ポンプ駆動消費トルク)は、ハンドルの操舵量(または操作角速度)に基づいて算出する。
ここで、エンジン1の内部損失トルクの具体例としてエンジンフリクショントルクについて説明する。このエンジンフリクショントルクは、エンジン温度で変化する潤滑油の粘度やエンジン回転速度(NE)とによって変化するため、エンジンフリクショントルクの算出には、図1の制御ロジックに示したように、エンジン回転速度(NE)とエンジン冷却水温(THW)とをパラメータとするエンジンフリクショントルクの2次元マップ11を検索して、そのときのエンジン回転速度(NE)とエンジン冷却水温(THW)とに対応したエンジンフリクショントルクを算出する。なお、潤滑油の粘度を評価するエンジン情報として、エンジン冷却水温に代えて、潤滑油温や燃料温度(THF)を用いても良い。
また、エンジン補機類の損失トルクの具体例としてエアコン消費トルクについて説明する。このエアコン消費トルクは、コンプレッサ回転速度とエアコン圧(冷凍サイクル内の冷媒圧力、高圧圧力または低圧圧力)とによって変化するため、エアコン消費トルクの算出には、図1の制御ロジックに示したように、コンプレッサ回転速度と相関のあるエンジン回転速度(NE)とエアコン圧とをパラメータとするエアコン消費トルクの2次元マップ12を検索して、そのときのエンジン回転速度(NE)とエアコン圧とに対応したエアコン消費トルクを算出する。
次に、エンジン補機類の損失トルクの具体例としてポンプ駆動消費トルクについて説明する。このポンプ駆動消費トルクは、ポンプ吐出量とポンプ圧送圧とによって変化するため、ポンプ駆動消費トルクの算出には、図1の制御ロジックに示したように、ポンプ吐出量とポンプ圧送圧と相関のあるコモンレール圧力とをパラメータとするポンプ駆動消費トルクの2次元マップ13を検索して、そのときのポンプ吐出量とコモンレール圧力とに対応したポンプ駆動消費トルクを算出する。
ここで、ポンプ吐出量は、エンジン回転速度(NE)と指令噴射量(QFIN)とによって目標コモンレール圧力(目標燃料圧力:PFIN)を算出し、この目標燃料圧力(PFIN)に対応して算出されたポンプ制御量をポンプ吐出量として用いても良いし、また、燃料圧力センサ31によって検出されたコモンレール圧力(実燃料圧力、ポンプ圧送圧:Pc)と目標燃料圧力(PFIN)との圧力偏差(ΔP)に対応してフィードバック補正量を算出し、上記のポンプ制御量にフィードバック補正量を加算した値をポンプ吐出量として用いても良い。なお、ポンプ制御量の演算に燃料温度(THF)を考慮しても良い。
次に、図1の制御ロジックに示したように、加算器14で、エンジン1の内部損失トルク(例えばエンジンフリクショントルク)と、エンジン補機類の損失トルク(例えばエアコン消費トルク)と、ポンプ駆動消費トルクとを加算して、ポンプ駆動消費トルクを含む消費トルク(損失トルク)を求める。次に、ドライバからの要求軸トルクに、動力伝達系の損失トルクとしてのホイール(駆動輪)トルクと、トルクコンバータまたはトランスミッションの損失トルクと、ポンプ駆動消費トルクを含む消費トルク(損失トルク)とを加算して求めた要求図示トルクを、燃料噴射量(Q)に変換する(エンジントルク制御手段:トルク/Q変換)。
その後に、図4の制御ロジックを抜ける。具体的には、先ず、要求図示トルクを基本噴射量(Q)に換算する。次に、エンジン冷却水温(THW)と燃料温度(THF)等から、基本噴射量(Q)に対する噴射量補正量(ΔQ)を算出する(補正量算出手段)。ここで、噴射量補正量(ΔQ)を、公知の比例積分(PI)制御または比例積分微分(PID)制御を用いて算出しても良い。この場合には、車速センサ35によって検出した実際の走行速度(車速)と目標走行速度との車速偏差に基づいて噴射量補正量(ΔQ)をフィードバック演算する。次に、算出した基本噴射量(Q)に、噴射量補正量(ΔQ)を加算して指令噴射量(目標噴射量:QFIN)を算出する。
次に、エンジン回転速度(NE)と指令噴射量(QFIN)とによって指令噴射時期(T)を算出する(噴射時期決定手段)。次に、コモンレール圧力(Pc)と指令噴射量(QFIN)とによってインジェクタ5の電磁弁16の通電時間(噴射パルス長さ、指令噴射期間:TQ)を算出する(噴射期間決定手段)。次に、インジェクタ駆動回路(EDU)を介して各気筒のインジェクタ5の電磁弁16のソレノイドコイルに、指令噴射時期(T)から指令噴射期間(TQ)が経過するまでの間、パルス状のインジェクタ駆動電流を印加する(インジェクタ駆動手段)。
[実施例1の効果]
ここで、図5はサプライポンプ7の駆動トルクの変化を示した図である。サプライポンプ7の駆動トルクは、燃料を高圧圧送すると言う、「仕事」に対応して発生するため、ポンプ圧送圧が高いほど駆動トルク値が大きく、ポンプ圧送量が多いほどポンプ圧送期間が長くなる。なお、図中、高圧時の全量圧送時を全量圧送時として示し、全量圧送ではない時をパートロード時として示し、低圧時の全量圧送時を低圧時全量圧送時として示す。次に、図6はポンプ圧送量とポンプ圧送期間中の平均駆動トルク値との関係を示したグラフである。この図6からポンプ圧送量、ポンプ圧送圧によって平均駆動トルクが変化することが分かる。
本実施例では、図6のグラフに示したように、ポンプ圧送量とポンプ圧送圧によってサプライポンプ7の平均駆動トルク値(=ポンプ駆動消費トルク)を計算している。したがって、エンジン1の内部損失トルク(例えばエンジンフリクショントルク)と、エンジン補機類の損失トルク(例えばエアコン消費トルク)と、サプライポンプ7により消費するポンプ駆動消費トルクとを加算して、エンジン出力軸トルクを消費する消費トルク(損失トルク)を求め、ドライバからの要求軸トルクに消費トルク(損失トルク)を加算して要求図示トルクを計算する。すなわち、ポンプ駆動消費トルクを含んだ消費トルク(損失トルク)を要求図示トルクの算出に反映させることで、ドライバの意思に基づく要求軸トルク(要求トルク値)に対する、エンジン1のクランクシャフト2で発生する実際のエンジン出力軸トルク(発生実トルク値)との差が小さくなり、トルク制御精度の向上を実現することができる。
すなわち、ドライバの意思に基づいて要求軸トルクを算出し、この要求軸トルクに、サプライポンプ7により消費されるポンプ駆動消費トルクを含んだ消費トルクを考慮して要求図示トルクを算出し、この要求図示トルクに基づいて、エンジン1の各気筒毎の燃料噴射量を調整してエンジン出力軸トルクを制御することにより、要求トルク値と発生実トルク値との間の差を縮小化することができる。これによって、要求軸トルクに対する実際のエンジン出力軸トルクの精度、つまりドライバの意思に即応したエンジン出力軸トルクの制御精度の向上を実現することが可能となる。したがって、エンジン1のエンジントルク制御の高精度化および安定性の向上を図ることができる。
ここで、図4に、4気筒エンジンの非早期圧送システム(4噴射2圧送)のエンジン気筒と圧送パターンの例を示した。本実施例では、エンジン1の#1気筒、#4気筒の上死点(TDC)にサプライポンプ7のカムの上死点(圧送終了時期)となるように設定したものである。本設定において、エンジン1の#1気筒の上死点(TDC)〜#3気筒の上死点(TDC)、およびエンジン1の#4気筒の上死点(TDC)〜#2気筒の上死点(TDC)を期間1とし、エンジン1の#3気筒の上死点(TDC)〜#4気筒の上死点(TDC)、およびエンジン1の#2気筒の上死点(TDC)〜#1気筒の上死点(TDC)を期間2とした時に、ポンプ圧送量が少ない場合には、ポンプ圧送期間は、期間2に収まり、ポンプ圧送量が増えることにより、ポンプ圧送期間が期間1にも及んでいる。したがって、ポンプ圧送量に応じて期間1、2の平均駆動トルクが変化する。
次に、図7は、ポンプ圧送量に対する期間1、2平均駆動トルクを示したグラフである。この図7に示したように、ポンプ圧送量によって期間1、2平均駆動トルクが異なっている。このため、期間1、2平均駆動トルクを期間1、2内に発生するトルク発生手段、つまりエンジン1の各気筒の燃料噴射量(指令噴射量:QFIN)に期間1、2平均駆動トルクを反映させることで、燃料噴射間隔毎に消費されるポンプ駆動消費トルク差を吸収するように燃料噴射量を調整できるので、燃料噴射間隔間の軸発生トルクが均一になる。したがって、期間1、2のエンジン発生トルク変動の抑制が可能になり、ポンプ駆動消費トルク差が原因で発生するエンジン振動、エンジン回転速度変動等の抑制が可能となる。
図8および図9は本発明の実施例2を示したもので、図8はコモンレール式燃料噴射システムの全体構成を示した図である。
本実施例のエンジン1のクランクシャフト2は、図示しないクラッチ機構を介して多段歯車変速機の入力軸に連結されている。そして、本実施例では、多段歯車変速機として、前進側の変速段が多段化されて、エンジン1の回転速度を所定の変速比に変速する手動歯車変速機(マニュアル・トランスミッション:以下トランスミッションと略す)4が搭載されている。ここで、エンジン1とトランスミッション4との間で動力の伝達と遮断とを行うクラッチ機構は、エンジン1の直後に設置されており、クラッチペダルを踏み込むとエンジン1の回転動力を遮断し、クラッチペダルから足を離すと動力伝達を行う。なお、トランスミッション4を、実施例1のような自動変速機により構成しても良い。
サプライポンプ7は、吸入した低圧燃料を加圧して高圧化しコモンレール6内に圧送供給する圧送系統(ポンプエレメント)を2つ備え、1つの吸入調量弁8で、全ての圧送系統の燃料吐出量を、吸入燃料量を調量することで制御するタイプの高圧供給ポンプである。このサプライポンプ7は、エンジン1のクランクシャフト2の回転に伴ってポンプ駆動軸(ドライブシャフトまたはカムシャフト)3が回転駆動(ベルト駆動またはギヤ駆動)されることで、燃料タンク9から低圧燃料を汲み上げる周知のフィードポンプ(低圧供給ポンプ:図示せず)と、ポンプ駆動軸3により回転駆動されるカム(図示せず)と、このカムに駆動されて上死点と下死点との間を往復運動する複数個(本例では2個)のプランジャ#1、#2とを有している。また、加圧室からコモンレール6に向けて高圧燃料を吐出する燃料吐出経路には、加圧室内の燃料圧力が所定値以上に上昇すると開弁する複数個(本例では2個)の吐出弁(図示せず)が設置されている。
そして、サプライポンプ7は、プランジャ#1、#2がポンプシリンダ内を往復摺動することで、燃料タンク9から燃料供給配管を経て複数個(本例では2個)の加圧室(プランジャ室:図示せず)内に吸入された低圧燃料を加圧して高圧化する。そして、サプライポンプ7は、図9のタイミングチャートに示したように、プランジャ#1、#2が上死点(TDC)位置から下死点位置を過ぎるまでの期間が加圧室内に低圧燃料を吸入するポンプ吸入期間とされ、その後に、吐出弁が開弁している間、つまりプランジャ#1、#2が上死点(TDC)位置に戻るまでの期間が加圧室内で加圧された高圧燃料をコモンレール6側に圧送するポンプ圧送期間とされている。なお、図9のタイミングチャートは、1回圧送する間に燃料噴射が2回(2気筒分)行われる2圧送4噴射のタイプ(非同期圧送システム)を示す。
ここで、サプライポンプ7内に形成される、フィードポンプから加圧室に至る燃料吸入経路(図示せず)の途中には、その燃料吸入経路の開口度合(弁体のリフト量または弁孔の開口面積)を調整する吸入調量弁8が取り付けられている。この吸入調量弁8は、図示しないポンプ駆動回路を介してECU10から印加されるポンプ駆動電流(ポンプ駆動信号)によって電子制御されることにより、サプライポンプ7の加圧室内に吸入される燃料の吸入量(ポンプ吸入量)を調整することで、サプライポンプ7の加圧室からコモンレール6内に吐出される燃料吐出量(ポンプ吐出量またはポンプ圧送量)を制御する。この吸入調量弁8は、リフト量に応じて燃料吸入経路の開口度合を変更する弁体(図示せず)、この弁体を閉弁方向(または開弁方向)に駆動するソレノイドコイル(図示せず)、および弁体を開弁方向(または閉弁方向)に付勢するスプリング等の弁体付勢手段(図示せず)を有している。そして、吸入調量弁8は、ソレノイドコイルに印加されるポンプ駆動電流の大きさに比例して、サプライポンプ7の加圧室からコモンレール6内に吐出される燃料吐出量を調整することで、インジェクタ5からエンジン1の各気筒の燃焼室内に噴射供給する燃料の噴射圧力に相当するコモンレール6内の燃料圧力、所謂コモンレール圧力を変更する。
コモンレール6は、サプライポンプ7より圧送供給された高圧燃料を蓄圧室内に蓄圧すると共に、その蓄圧室内に蓄圧された高圧燃料を、複数の分岐流路を介して複数のインジェクタ5に分配供給するものである。また、コモンレール6には、連続的に燃料の噴射圧力に相当する高圧燃料が蓄圧される必要があり、そのために燃料供給配管を介して高圧燃料を吐出するサプライポンプ7の吐出口と接続されている。また、コモンレール6から燃料タンク9へのリリーフ配管(燃料還流路)には、プレッシャリミッタ39が取り付けられている。そのプレッシャリミッタ39は、コモンレール6内の燃料圧力が限界設定圧力を超えた際に開弁してコモンレール6内の燃料圧力を限界設定圧力以下に抑えるための圧力安全弁である。また、コモンレール6には、コモンレール6内の燃料圧力(コモンレール圧力)を検出する燃料圧力センサ(コモンレール圧センサ)31が設置されている。
なお、ECU10に内蔵されたマイクロコンピュータの入力回路には、アクセルペダル19の踏み込み量(アクセル操作量)を検出するアクセル開度センサ(アクセル操作量検出手段、アクセル開度センサ)32、およびエンジン1のクランクシャフト2のクランク角を検出するクランク角度センサ(回転速度検出手段)33等のエンジン1の運転状態や運転条件を検出する運転条件検出手段の他に、車両情報も入力可能とされており、例えば車両の走行速度を検出するための車速センサ35、ブレーキペダル(図示せず)の操作状態を検出するためのブレーキスイッチ、および車両の車室内を空調するエアコンの運転状態(エンジン補機類の外部負荷、エアコン負荷)を検出するためのエアコンスイッチ等が接続されている。また、ブレーキスイッチは、運転者(ドライバー:以下ユーザと言う)がブレーキペダルを踏み込んだ際にブレーキ信号(ON信号)を出力してブレーキランプを点灯すると共に、ユーザがブレーキペダルを離した際にブレーキ信号(OFF信号)を出力してブレーキランプ(図示せず)を消灯するためのスイッチである。また、エアコンスイッチは、エンジン1のクランクシャフト2からエアコン用コンプレッサへの動力伝達を断続する電磁クラッチ(図示せず)をONまたはOFFすることで、エアコンの運転および運転停止を指令するためのスイッチである。
クランク角度センサ33は、エンジン1のクランクシャフト2、あるいはサプライポンプ7のポンプ駆動軸3に取り付けられたNEタイミングロータ(図示せず)の外周に対向するように設けられた電磁ピックアップコイルよりなる。そのNEタイミングロータの外周面には、所定回転角度毎に凸状歯が複数個配置されている。ここで、本実施例では、図9のタイミングチャートに示したように、基準とする各気筒の基準位置(上死点位置:気筒#1のTDC位置、気筒#3のTDC位置、気筒#4のTDC位置、気筒#2のTDC位置)を判別するための4個の凸状歯が所定回転角度(180°CA)毎に設けられている。また、サプライポンプ7の吸入開始時期(上死点位置:プランジャ#1のTDC位置、プランジャ#2のTDC位置)を判別するための2個の凸状歯が所定回転角度(360°CA)毎に設けられている。そして、クランク角度センサ33は、NEタイミングロータの各凸状歯がクランク角度センサ33に対して接近離反を繰り返すことにより、電磁誘導によってパルス状の回転位置信号(NE信号パルス)、特にサプライポンプ7の回転速度(ポンプ回転速度)と同期したNE信号パルスが出力される。
そして、ECU10は、エンジン1の運転状態に応じた最適なコモンレール圧力を演算し、ポンプ駆動回路を介して吸入調量弁8のソレノイドコイルを駆動する燃料圧力制御手段(コモンレール圧力制御手段)を有している。これは、エンジン回転速度(NE)と基本噴射量(Q)または指令噴射量(QFIN)とによって目標コモンレール圧力(目標燃料圧力:PFIN)を演算する燃料圧力決定手段を有し、この目標燃料圧力(PFIN)を達成するために、吸入調量弁8のソレノイドコイルに印加するポンプ駆動電流を調整して、サプライポンプ7の燃料吐出量をフィードバック制御するように構成されている。すなわち、燃料圧力センサ31によって検出されたコモンレール圧力(Pc)が目標燃料圧力(PFIN)と略一致するように、PI(比例積分)制御またはPID(比例積分微分)制御によって、サプライポンプ7の燃料吐出量をフィードバック制御している。具体的には、燃料圧力センサ31によって検出されたコモンレール圧力(Pc)と目標燃料圧力(PFIN)との圧力偏差(ΔP)に応じて、サプライポンプ7の燃料吐出量と相関関係を有する(吸入調量弁8のソレノイドコイルに印加する)ポンプ駆動電流をフィードバック制御している。
以上のように、吸入調量弁8を経て加圧室内に吸入した燃料を加圧して高圧化する吸入調量型のサプライポンプ7を備えたコモンレール式燃料噴射システムにおいても、実施例1と同様な効果を得ることができる。すなわち、ドライバの意思に基づいて、エンジン出力軸トルクまたはホイールトルク等の要求軸トルクを算出し、その要求軸トルクを実現するために、エンジン補機類の消費トルクやエンジンフリクションを加味して要求図示トルクを算出し、要求図示トルクを実現するべく、要求図示トルクに対応してエンジン1の各気筒毎の燃料噴射量を決定するエンジントルク制御において、図1に示したように、エンジン出力軸トルクを消費する他のエンジン補機類と比べて消費トルクが非常に大きいサプライポンプ7のポンプ吐出量とポンプ圧送圧とに応じてサプライポンプ7の消費トルク(ポンプ駆動消費トルク)を計算して、この計算値を要求図示トルクに反映することで、ドライバの意思に基づく要求軸トルク(要求トルク値)に対する、エンジン1で発生する実際のエンジン出力軸トルク(発生実トルク値)の精度を向上させることができる。また、本実施例のような、噴射気筒毎のポンプ駆動消費トルクが異なる非同期圧送システムにおいても、エンジン1の各気筒でのポンプ駆動消費トルク分を要求図示トルクに反映することで、ポンプ駆動消費トルク変動を起因として発生していたエンジン振動、エンジン回転速度変動等を抑制することができる。
[変形例]
本実施例では、本発明のディーゼルエンジン制御システムを、コモンレール式燃料噴射システムに適用したが、本発明のディーゼルエンジン制御システムを、コモンレール6を持たず、燃料供給ポンプから高圧供給配管を経て直接燃料噴射弁または燃料噴射ノズルに高圧燃料を圧送供給するタイプのディーゼルエンジン用燃料噴射システムに適用しても良い。また、エンジン1の圧縮行程および膨張行程中に、インジェクタ5の電磁弁16を2回以上駆動して、エンジン1の各気筒の燃焼室内への高圧燃料の噴射を2回以上に分割して実施するマルチ噴射を行う噴射率制御手段を備えた内燃機関用燃料噴射装置に適用しても良い。例えば1回以上のパイロット噴射またはプレ噴射の後にメイン噴射を実施するマルチ噴射、あるいはメイン噴射の後に1回以上のアフター噴射を実施するマルチ噴射、あるいは1回以上のパイロット噴射またはプレ噴射の後にメイン噴射を実施し、更にメイン噴射の後に1回以上のアフター噴射を実施するマルチ噴射を行うようにしても良い。
本実施例では、ドライバのアクセルペダル19の踏み込み量(アクセル操作量)に対応したアクセル開度(ACCP)のみによって、要求軸トルク(ドライバ要求トルク)を算出するようにしているが、クランク角度センサ33等の回転速度検出手段、あるいは車速センサ35または車輪速度センサ等の車速検出手段からのセンサ信号と、アクセル操作量とによって、要求軸トルク(ドライバ要求トルク)を算出するようにしても良い。また、アンチロックブレーキシステム(ABS)、トランスミッション制御ユニット(TCM)、トラクション制御ユニット(TCS)、エアコンディショナ(A/C)、クルーズ制御ユニット(ACC)のうちのいずれか1つ以上のトルク変更要求手段から、ECU10にエンジン出力軸トルクを変更する旨の要求が成された場合には、ドライバのアクセル操作量に対応した要求軸トルク(ドライバ要求トルク)の代わりに、トルク変更要求手段からの要求軸トルクを、要求図示トルクの演算に用いても良い。
本実施例では、エンジン1の内部損失トルクとして、エンジン1の機械摩擦損失トルク(エンジンフリクショントルク)とポンピング損失トルクとの両方を用いているが、エンジンフリクショントルクまたはポンピング損失トルクのうちのいずれか一方のみをエンジン1の内部損失トルクとして用いても良い。また、本実施例では、エンジン補機類の外部損失トルクとして、エアコンのコンプレッサの損失トルク(エアコン消費トルク)とオルタネータの損失トルク(オルタネータ駆動消費トルク)とパワーステアリングの損失トルク(ポンプ駆動消費トルク)とサプライポンプ7の損失トルク(ポンプ駆動消費トルク)とを用いているが、サプライポンプ7の損失トルク(ポンプ駆動消費トルク)以外の、エアコン消費トルク、オルタネータ駆動消費トルクまたはパワーステアリングのポンプ駆動消費トルクのうちのいずれか1つ以上をエンジン補機類の外部損失トルクとして用いても良い。
本実施例では、動力伝達系の損失トルクとしてのホイール(駆動輪)トルクと、トルクコンバータまたはトランスミッション4の損失トルクと、ポンプ駆動消費トルクを含む消費トルク(損失トルク)とを別々に演算しているが、エンジン補機類の外部損失トルクの算出時に、動力伝達系の損失トルクとしてのホイール(駆動輪)トルク、あるいはトルクコンバータまたはトランスミッション4の損失トルクを算出するようにしても良い。また、動力伝達系の損失トルクとしてのホイール(駆動輪)トルク、あるいはトルクコンバータまたはトランスミッション4の損失トルクを算出しなくても良い。
ポンプ駆動トルクを含む消費トルクの算出方法を示した説明図である(実施例1)。 コモンレール式燃料噴射システムの全体構成を示した概略図である(実施例1)。 ポンプ#1、ポンプ#2のプランジャ位置の変化を示したタイミングチャートである(実施例1)。 エンジン出力軸トルクの制御方法を示した説明図である(実施例1)。 サプライポンプの駆動トルクの変化を示したタイミングチャートである(実施例1)。 ポンプ圧送量とポンプ圧送期間中の平均駆動トルク値との関係を示したグラフである(実施例1)。 ポンプ圧送量に対する期間1、2平均駆動トルクを示したグラフである(実施例1)。 コモンレール式燃料噴射システムの全体構成を示した概略図である(実施例2)。 NE信号パルス、サプライポンプのプランジャ#1位置、サプライポンプのプランジャ#2位置の推移を示したタイミングチャートである(実施例2)。 従来の消費トルクの算出方法を示した説明図である(従来の技術)。
符号の説明
1 エンジン(ディーゼルエンジン)
2 クランクシャフト(ディーゼルエンジンの出力軸)
3 ポンプ駆動軸
4 トランスミッション(変速機)
5 インジェクタ(燃料噴射弁)
6 コモンレール
7 サプライポンプ(燃料供給ポンプ、高圧供給ポンプ)
10 ECU(エンジン制御ユニット)
11 エンジンフリクショントルクを算出するための2次元マップ
12 エアコン消費トルクを算出するための2次元マップ
13 ポンプ駆動消費トルクを算出するための2次元マップ
14 加算器
31 燃料圧力センサ(コモンレール圧センサ)
32 アクセル開度センサ(アクセル操作量検出手段、アクセル開度センサ)
33 クランク角度センサ(回転速度検出手段)
34 冷却水温センサ
35 車速センサ(車速検出手段)

Claims (4)

  1. (a)燃料の燃焼によってエンジン出力軸トルクを発生するディーゼルエンジンと、
    (b)ドライバの意思に基づいて要求軸トルクを算出する要求軸トルク演算手段と、
    (c)前記要求軸トルクに、前記エンジン出力軸トルクを消費する消費トルクを加算して要求図示トルクを算出する要求図示トルク演算手段と、
    (d)前記要求図示トルクに基づいて燃料噴射量またはエンジン回転速度を調整して、前記エンジン出力軸トルクを制御するエンジントルク制御手段と
    を備え
    前記ディーゼルエンジンの各気筒毎に燃料噴射を行う複数のインジェクタ、
    および前記ディーゼルエンジンの出力軸に駆動連結された燃料供給ポンプより圧送供給された高圧燃料を蓄圧すると共に、この蓄圧した高圧燃料を前記複数のインジェクタに分配供給するコモンレールを有し、
    前記燃料供給ポンプによる1回の燃料圧送期間中に、2つ以上の気筒への燃料噴射が対応するコモンレール式燃料噴射システムを採用したディーゼルエンジン制御システムにおいて、
    前記消費トルクには、前記燃料供給ポンプにより消費されるポンプ駆動消費トルクが含まれており、
    前記要求図示トルク演算手段は、前記ポンプ駆動消費トルクを含んだ前記消費トルクを考慮して、前記要求図示トルクを算出し、前記インジェクタより前記ディーゼルエンジンの各気筒に噴射供給される燃料の噴射圧力または前記燃料供給ポンプより前記コモンレール内に圧送供給される燃料圧送量に基づいて、特定気筒への燃料噴射から次気筒への燃料噴射までのトルク発生間隔内で、前記燃料供給ポンプにより消費される平均駆動トルク値を算出するトルク値予測手段を有し、
    前記ポンプ駆動消費トルクとして、前記平均駆動トルク値を考慮して前記要求図示トルクを決定することを特徴とするディーゼルエンジン制御システム。
  2. 請求項1に記載のディーゼルエンジン制御システムにおいて、
    前記消費トルクには、前記ディーゼルエンジンの内部部品により消費される内部損失トルク、および前記ディーゼルエンジンの出力軸に駆動連結されたエンジン補機類により消費される外部損失トルクが含まれていることを特徴とするディーゼルエンジン制御システム。
  3. 請求項1または請求項2に記載のディーゼルエンジン制御システムにおいて、
    前記要求軸トルクとしては、前記ドライバのアクセル操作量に対応したアクセル開度を考慮して求められる要求軸トルク、あるいは車両走行速度と目標走行速度との車速偏差を考慮して求められる要求軸トルクを用いることを特徴とするディーゼルエンジン制御システム。
  4. 請求項1に記載のディーゼルエンジン制御システムにおいて、
    前記トルク発生間隔として、前記燃料供給ポンプによる1回の燃料圧送期間を用いることを特徴とするディーゼルエンジン制御システム。
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