JP4315003B2 - 多層磁性超微粒子および多層磁性超微粒子を用いた磁性連続体の形成方法および装置 - Google Patents

多層磁性超微粒子および多層磁性超微粒子を用いた磁性連続体の形成方法および装置 Download PDF

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この発明は、多層磁性超微粒子および多層磁性超微粒子を用いた磁性連続体の形成方法および装置に関し、特に、磁性超微粒子の表面が低融点合金で被覆された多層磁性超微粒子が分散した磁性インクをインクジェット方式による描画法を用いて基材上に任意形状を形成し、多層に積層された任意形状の多層磁性超微粒子の表面に被覆されている低融点合金を融解させ、各磁性超微粒子を互いに低温焼結あるいは常温接合させることによって磁性超微粒子の磁性連続体を基材上に形成する多層磁性超微粒子および多層磁性超微粒子を用いた磁性連続体の形成方法および装置に関する。
近年、情報機器や電子機器の発達と小型化に伴い、これらの機器で使用される種々の媒体が提供されるとともに、これらの機器に搭載する半導体チップ等の集積回路の狭小化が望まれている。
半導体チップ等の集積回路の狭小化によって、半導体チップ等の素子と電極基板等を導電接合するための種々の導電性の微粒子が開発され、情報機器等で使用される、例えば磁性記録媒体用の磁性材料として種々の複合微粒子が開発されている。
また、プリント配線基板上に回路パターンを形成する方法としては、例えば、スクリーン印刷法やインクジェット方式による描画法等も提供されている。
スクリーン印刷法は、メタルマスクを用いて導電性金属ペーストを塗布した後に加熱硬化させることで、所望の回路パターンをプリント配線基板上に形成する方法であり、インクジェット方式による描画法は、噴射する微小な液滴状の金属ペーストを噴射装置で噴射して直接描画する方法である。
これらの導電接合や回路パターンの形成、磁性材料等には、それらの用途に適した種々の微粒子が開発されて提供されており、例えば、特許文献1には、半導体チップ等の素子、電極基板等を導電接合する際に用いられる導電性微粒子及びそれを用いて導電接合された導電接続構造体の発明が示されている。
また、特許文献2には、磁気記録媒体の磁性材料として用いた場合に、高密度が達成されると共に高い保磁力が発現可能な複合超微粒子及びその製造方法の発明が示されており、特許文献3には、インクジェット方式による描画法を利用した回路パターンの形成方法の発明が示されている。
特開平11−152598号公報 特開平08−100201号公報 特開2002−324966号公報
ところで、上記特許文献1の発明は、金属粒子に低融点合金を被覆してなる金属球からなる導電性微粒子を、穴径が導電性微粒子の直径の半分であり、隣の電極との間隔が導電性微粒子の2倍である電極が配置されたBGAチップ上に配置し、引き出し電極のついた基板を重ね合わせ、加熱しながら接合するような導電性微粒子及び導電接続構造体に関する発明であり、特許文献2の発明は、強磁性超微粒子を含み、耐摩耗性及び強度、特に熱間強度に優れ、強磁性を永年にわたって保持できるnmオーダーの複合超微粒子及びその製造方法に関する発明である。
しかし、上記特許文献1及び特許文献2には、いずれにも導電性微粒子または複合超微粒子をインクジェット方式による描画法を用いて任意形状を形成し、任意形状に形成された多層に積層された導電性微粒子または複合超微粒子をそれぞれ低温焼結あるいは常温接合させて、これらの微粒子の連続体を形成するような方法や装置等は、開示されていない。
また、特許文献3の発明には、金属超微粒子を分散させたペーストを任意形状にパターニングして連続導体を形成するために、金属超微粒子の表面を金属超微粒子に含まれる金属元素と配位的結合が可能な基である窒素、酸素、イオウ原子を含む基を有する化合物により被覆される構造を有し、被覆状態において、金属表面が直接接触しないようにして、金属超微粒子の凝集を防ぎ、パターニング後の加熱により、熱的に当該被覆化合物を離脱させ、被覆層を除去し、金属超微粒子が相互に直接接触し、低温焼結し導体連続体を形成する発明が示されている。
しかしながら、上記特許文献3における低温焼結は、150℃の温度で30分の熱処理を行い、210℃の温度で60分の熱処理を行うように構成されており、オンデマンドで任意形状の磁性連続体を基材上に形成して提供する用途に適用するためには熱処理時間の面で困難がある。
また、上記特許文献3に示された金属超微粒子は、導体元素を列挙して示したものであり、列挙された元素の中には鉄(Fe)、コバルト(Co)等の磁性元素が記載されておらず、特許文献3で示された方法によって磁性連続体が形成できるか否かは明らかにされていない。
そこで、この発明は、磁性超微粒子の表面が低融点合金で被覆された多層磁性超微粒子が分散した磁性インクをインクジェット方式による描画法を用いて基材上に任意形状を形成し、磁性インクで任意形状を形成したと略同時に多層に積層された任意形状の多層磁性超微粒子の表面に被覆されている低融点合金を融解させ、各磁性超微粒子を互いに低温焼結あるいは常温接合させることによって磁性超微粒子の磁性連続体を基材上に形成する多層磁性超微粒子および多層磁性超微粒子を用いた磁性連続体の形成方法および装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1の発明の多層磁性超微粒子は、室温で強磁性を示す1または複数の磁性元素に前記磁性元素の磁気的性質を制御する1または複数のメタロイド元素および1または複数の添加金属元素を加えた粒径が1nmから500nmの磁性超微粒子の表面を、300℃以下の融点を有し、錫、ビスマス、インジウム、亜鉛、銀、ニッケル、アンチモン、ゲルマニウムから選択された2種以上を組み合わせた低融点合金で被覆したことを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記低融点合金の表面を徐酸化層で更に被覆したことを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記磁性元素は、鉄、コバルト、ニッケルから選択された少なくとも1つの元素であることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1または2の発明において、前記メタロイド元素は、ケイ素、ホウ素、炭素、リンから選択された少なくとも1つの元素であることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項1または2の発明において、前記添加金属元素は、クロム、モリブデン、タンタル、ニオブ、銅、アルミニウム、マンガン、タングステン、ジルコニウムから選択された少なくとも1つの元素であることを特徴とする。
また、請求項の発明の多層磁性超微粒子を用いた磁性連続体の形成方法は、基材上に、請求項1乃至5のいずれかに記載された多層磁性超微粒子を分散させた磁性インクを用いたインクジェット方式により所定の形状を描画し、該基材上に描画された磁性インクを加熱手段により加熱して磁性連続体を形成することを特徴とする。
また、請求項の発明は、請求項の発明において、前記基材上に描画された磁性インクに磁界を加えながら前記加熱手段による加熱を行うことを特徴とする。
また、請求項の発明の多層磁性超微粒子を用いた磁性連続体の形成装置は、基材を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送された基材上に、請求項1乃至5のいずれかに記載された多層磁性超微粒子を分散させた磁性インクを用いたインクジェット方式により所定の形状を描画する描画手段と、前記描画手段によって描画された磁性インクを加熱して磁性連続体を形成する加熱手段とを具備することを特徴とする。
また、請求項の発明は、請求項の発明において、前記加熱手段により加熱される磁性インクに対して磁界を加える磁界発生手段を更に具備することを特徴とする。
また、請求項10の発明は、請求項の発明において、前記磁界発生手段は、前記加熱手段と一体形成されていることを特徴とする。
この発明の多層磁性超微粒子および多層磁性超微粒子を用いた磁性連続体の形成方法および装置によれば、室温で強磁性を示す1または複数の磁性元素に前記磁性元素の磁気的性質を制御する1または複数のメタロイド元素および1または複数の添加金属元素を加えた粒径が1nmから500nmの磁性超微粒子の表面を低融点合金で被覆するように構成したので、多層磁性超微粒子が分散した磁性インクを基材上の所望の位置に所望の形状で多層に積層して描画したと略同時に磁性超微粒子が低温焼結、あるいは常温結合して磁性超微粒子の連続体を形成することができる。
また、磁性超微粒子及び磁性超微粒子を低融点合金で被覆した多層磁性超微粒子を従来の金属超微粒子の製造方法及び微粒子表面の被覆方法を用いて低コストで形成することが可能である。
更に、多層磁性超微粒子が分散した磁性インクの組成設計を行う際の自由度が格段と向上するという効果を奏する。
この発明に係わる多層磁性超微粒子および多層磁性超微粒子を用いた磁性連続体の形成方法および装置は、情報漏洩防止、機密保持、文書管理を目的とした機密情報等を印刷もしくは複写する用紙等の基材に磁性超微粒子の連続体である磁性連続体を形成付与して用紙固有を識別可能とするような磁性連続体の形成方法及び装置として用いられるものである。
例えば、大バルクハウゼン効果や磁歪振動するような特性を有する磁性素子を用紙等の基材に形成付与し、この磁性素子が付与された用紙に対して所定の交番磁界を与えることにより、用紙に形成された磁性素子が磁化反転時に検出される急峻なパルス信号や、磁歪振動による電磁波等の信号を検知装置で検知することにより用紙に形成付与された磁性素子を特定することが可能である。
磁性素子の検知信号は、磁性素子の大きさや形状等に対応した信号で検知できるので、用紙固有を識別可能とする大きさや形状の磁性素子を用紙に形成付与し、用紙に形成付与された磁性素子を検知装置で検知することにより用紙固有を識別することが可能となる。
例えば、前述した検知装置を複写機等に配設し、機密情報が印刷された用紙を複写機で複写する際に、機密情報が印刷された用紙に形成された磁性素子の情報を検知装置で読み取り、複写を許可するか否かを判断制御することにより機密情報等の不正複写を防止することが可能となる。
そこで、この発明に係わる多層磁性超微粒子および多層磁性超微粒子を用いた磁性連続体の形成方法および装置は、インクジェット印刷法を用いて、例えば用紙等の基材の所望の位置に所望の形状や大きさで磁性素子を描画して形成することが可能な磁性素子の形成装置とその装置に用いる磁気インクとして適用されるものである。
この実施例においては、この発明に係わる多層磁性超微粒子と樹脂及び分散剤を混合して構成された磁気インクをインクジェットプリンタ等で用いられるようなインクジェットヘッドのインクカートリッジに充填し、磁気インクの粒径に対応させたインクジェットヘッドに磁気インクを供給して用紙等の基材上の所望の位置に所望の形状や大きさの磁性連続体が描画可能なように磁性インクを噴射、塗布して磁性超微粒子の連続体で構成される磁性素子を形成する場合を例に説明する。
図1は、この発明に係わる磁性超微粒子の表面が低融点合金で被覆された多層磁性超微粒子が分散した磁性インクを、インクジェット方式による描画法を用いて基材上に任意形状を形成し、磁性インクで任意形状を形成したと略同時に多層に積層された任意形状の多層磁性超微粒子の表面に被覆されている低融点合金を融解させ、各磁性超微粒子を互いに低温焼結あるいは常温接合させることによって磁性超微粒子の磁性連続体を基材上に形成する磁性連続体形成装置の構成を示した概略図である。
図1に示すように、磁性連続体形成装置100は、磁性連続体1を形成する、例えば用紙等の基材2を搬送する搬送ベルト5と、搬送ベルト5の上方の所定位置に配置されたインクジェットヘッド6と、インクジェットヘッド6から所定距離だけ離間されて搬送ベルト5の上方の所定位置に配置された加熱手段の加熱ヘッド7と、加熱ヘッド7と対向して搬送ベルト5の下方の所定位置に配置された磁界発生手段の磁石8が配置されて構成されている。
なお、磁石8は、永久磁石または電磁石等、所定の磁界を発生させることが可能な手段であればよく、特に限定されるものではない。
搬送ベルト5は、図示せぬ駆動モータの駆動軸と嵌合されたプーリ9及びプーリ10によって所定方向(図中の矢印11の方向)へ移動し、インクジェットヘッド6は、搬送ベルト5の移動方向(図中の矢印11の方向)とは直交する方向へ自在に移動可能なように構成されており、搬送ベルト5及びインクジェットヘッド6の移動制御を行うことにより搬送ベルト5上に載置された基材2表面上の所望の位置へインクジェットヘッド6を移動させ、磁性インク滴4を噴射して所望の形状の磁性インク堆積層3を基材2表面上に形成する。
インクジェットヘッド6には、この発明に係わる多層磁性超微粒子が分散した磁性インクが供給されており、インクジェットヘッド6の略直下の基材2表面上の所望位置に磁性インク滴4を噴射して所望の形状の磁性インク堆積層3を形成する。
なお、図示せぬインクカートリッジには、この発明に係わる多層磁性超微粒子と樹脂及び分散剤を混合した磁性インクが充填され、この充填された磁性インクがインクカートリッジからインクジェットヘッド6へ供給される。
磁性インク堆積層3が形成された基材2は、搬送ベルト5及び加熱ヘッドの移動によって加熱ヘッド7の略直下へ搬送され、加熱ヘッド7によって加熱された磁性インク堆積層3は、その熱によって磁性インクの後述する磁性超微粒子の表面を被覆していた低融点合金の低融点合金層が融解する。
なお、加熱ヘッド7は、例えば発熱抵抗体等で構成されており、好適時に所定の電流を発熱抵抗体へ流すことにより発熱抵抗体が熱を発する。
磁性超微粒子の表面を被覆していた低融点合金層が融解すると、磁性超微粒子と磁性超微粒子との各表面が互いに直接接触して常温接合され、磁性超微粒子の連続構造体である磁性連続体1が基材2表面上に形成される。
なお、加熱ヘッド7と対向して搬送ベルト5の下方の所定位置に配置された磁石8は、搬送ベルト5及び磁石8の移動に伴って磁石8の略直上に搬送された基材2表面上に形成された磁性インク堆積層3の多層磁性超微粒子を磁化し、磁化された多層磁性超微粒子が互いに及ぼす磁気力の引力によって互いの密着性を高めるような作用を及ぼす。
また、加熱手段及び磁界発生手段を所定位置に配置し、搬送ベルト5に載置された基材2が搬送ベルト5によって搬送移動することにより加熱手段の直下または磁界発生手段の直上、直下を通過するような構成としてもよい。
ところで、前述した磁性超微粒子の大きさは、磁性超微粒子と磁性超微粒子との各表面が互いに接触して接合する際に外部から熱を供給することなく接合可能な、所謂、常温接合が可能な程度に超微小の粒径を有する磁性粒子であり、粒径が1nm(ナノメートル)〜500nm(ナノメートル)程度であれば好適である。
磁性超微粒子を構成する元素は、例えば、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)等のような室温で強磁性を示す元素の一つまたは二つ以上と、磁気的性質を制御する元素、例えば、Si(ケイ素)、B(ホウ素)、C(炭素)、P(リン)等のメタロイド元素の一つまたは二つ以上と、Cr(クロム)、Mo(モリブデン)、Ta(タンタル)、Nb(ニオブ)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、Mn(マンガン)、W(タングステン)、Zr(ジルコニウム)等の添加金属元素の一つまたは二つ以上の元素からなり、これらの元素からなる磁性化合物で構成されている。
この発明に係わる多層磁性超微粒子は、前述したような磁性化合物の磁性超微粒子が大気中で安定して存在可能なように磁性超微粒子の表面を低融点合金の低融点合金層で被覆して磁性超微粒子と低融点合金層との多層に構成されている。
図2は、この発明に係わる多層磁性超微粒子の断面概念図を示した図である。
図2(a)は、磁性超微粒子の表面が酸化されにくい低融点合金層で被覆された多層磁性超微粒子の断面図であり、図2(b)は、磁性超微粒子の表面が酸化されやすい低融点合金層で被覆された多層磁性超微粒子の断面図である。
なお、図2(a)及び(b)に示された磁性超微粒子の粒径は、1nm〜500nm程度である。
図2に示すように、この発明に係わる多層磁性超微粒子は、大気中において酸化反応が進行することなく安定して存在可能なように磁性超微粒子200の表面を低融点合金層201もしくは低融点合金層202が被覆されている。
低融点合金層201は、酸化されにくい低融点合金で磁性超微粒子200の表面を被覆した低融点合金層であり、低融点合金層202は、酸化されやすい低融点合金で磁性超微粒子200の表面を被覆した低融点合金層である。
なお、図2(b)に示すように、磁性超微粒子200の表面を酸化されやすい低融点合金で被覆した場合は、この発明に係わる多層磁性超微粒子の保存を考慮して、磁性超微粒子200の表面を低融点合金層202で被覆した後、酸素雰囲気中で徐々に酸化されて形成する徐酸化層203が多層磁性超微粒子の最表面を覆うように形成しておくことが好ましい。
これらの低融点合金層201及び202は、温度が300℃以下の融点を有する合金で、一般的にsolder alloyと呼ばれる半田材料に適用されている合金である。
例えば、Sn−Ag、Sn−Bi、Sn−Bi−Ag等のように、Sn(錫)、Bi(ビスマス)、In(インジウム)、Zn(亜鉛)、Ag(銀)、Ni(ニッケル)、Sb(アンチモン)、Ge(ゲルマニウム)等のような、半田材料に含まれている元素からなる二種類以上の元素を組合わせた合金が好適である。
このような合金を低融点合金として用いることにより、融点以上の加熱により融解した低融点合金層の漏れ性による不具合を誘発することが無く、低融点合金の組成設計に際しては、自由度の大きな成分選択を行うことが可能となる。
磁性超微粒子200の表面を被覆する低融点合金層201または202の被覆膜厚は、磁性超微粒子200の半径の1/5倍もあれば十分であり、磁性超微粒子200の平均粒径が100nmとした場合は、20nmの被覆膜厚の低融点合金層201または202を形成すれば十分である。
なお、微粒子の構造上、磁性超微粒子径がばらついて存在する場合は、安全を見込んで低融点合金層201または202の被覆膜厚に余裕をもって設定することが好ましい。
さて、この発明に係わる多層磁性超微粒子の磁性超微粒子200は、アーク放電法と呼ばれる方法を用いて製造することが可能である。
例えば、アーク放電装置内の水素雰囲気中でFe−Co−Si−B合金の金属インゴットと電極間にアーク放電を起こして金属インゴットの金属を蒸発させ、それを輸送ガス、例えばアルゴンと水素との混合ガスで捕集器まで搬送して急冷させることにより磁性化合物の超微粒子である磁性超微粒子200を製造することができる。
磁性超微粒子200が製造可能なアーク放電法とは他の方法としては、JAm.Chem.Soc.vol.118.No.47.(1996)11960−11961に開示されているソノケミカル法、Adv.Mater.vol11.No.15.(1999)1313−1316に開示されているマイクロ波プラズマ法、IBM J.Res.&Dev.vol45.No.(2001)47−56に開示されているコロイド法等を用いて磁性超微粒子200を製造することも可能である。
これらの方法により製造した磁性超微粒子200の表面を低融点合金で被覆して低融点合金層を形成する方法は、例えば、無電解メッキ、溶融メッキ、拡散メッキ、電気メッキ等のメッキ法や前述したアーク放電法、マイクロプラズマ法等の方法によって形成することが可能であり、例えば、低融点合金の蒸気中に磁性超微粒子200を置くことにより、磁性超微粒子200の表面を低融点合金層で被覆することができる。
なお、磁性超微粒子200の表面を低融点合金層で被覆する過程において、表面が低融点合金層で被覆された、この発明に係わる多層磁性超微粒子と、蒸発した低融点合金の微粒子とが回収されるが、電磁石等によりこれらの微粒子に磁界を与えることにより多層磁性超微粒子のみを容易に分別回収することができる。
このように製造された、この発明に係わる多層磁性超微粒子と樹脂及び分散剤を混合した磁性インクを図1で示したようなインクジェットヘッド6に供給し、基材2が載置された搬送ベルト5及びインクジェットヘッド6を自在に移動させながら基材2表面上の所望の位置にインクジェットヘッド6によって磁性インク滴4を噴射、塗布することにより所望の形状に描画された磁性連続体1を形成することが可能となる。
図3は、基材上の所望の位置に所望の形状の磁性連続体が形成される過程を示した図である。
図3(a)は、基材表面上の所望の位置に、所望の形状に対応してインクジェットヘッドから磁性インク滴を噴射、塗布して形成された磁性インク堆積層の状態を示す図であり、図3(b)は、磁性インク堆積層を構成する各磁性超微粒子の表面を被覆した低融点合金層が加熱ヘッドの熱によって融解した直後の各磁性超微粒子の状態を示した図、図3(c)は、図3(b)で示した各磁性超微粒子の表面が相互に直接接触して常温結合し、磁性超微粒子の磁性連続体が形成された状態の拡大図である。
なお、図3において、磁性インク中の樹脂及び分散剤は、この発明に係わる多層磁性超微粒子を用いた磁性連続体を形成する際の各磁性超微粒子が低温焼結あるいは常温接合する物理現象に及ぼす影響が少ないので、説明の便宜上省略してある。
図3を参照しながら基材上に磁性連続体が形成されるまでの過程について説明する。
図3(a)に示すように、基材2表面上の所望の位置には、表面が低融点合金層で被覆された、この発明に係わる多層磁性超微粒子と樹脂及び分散剤を混合した磁性インクの磁性インク滴4がインクジェットヘッド6によって噴射、塗布され、磁性インク滴4が多層に積層されて連続して連なった磁性インク堆積層3が形成される。
基材2上に形成された磁性インク堆積層3は、低融点合金層201または202で被覆された多層磁性超微粒子が多層に積層されて連続した状態で形成されている。
しかし、この磁性インク堆積層3が形成された状態は、各磁性超微粒子200の表面が低融点合金層で被覆されているために、低融点合金層の被覆膜厚分だけ各磁性超微粒子200間が離間された状態で多層に積層されて連なった状態であり、幾何学的には磁性超微粒子200が不連続の状態で形成されている。
磁性インク堆積層3が形成された基材2は、搬送ベルト5によって加熱ヘッド7の略直下及び磁石8の略直上に搬送され、磁石8によって多層磁性超微粒子が磁化され、加熱ヘッド7によって加熱される。
図3(b)に示すように、加熱ヘッド7によって加熱された基材2上の磁性インク堆積層3は、磁性インク堆積層3を構成する多層磁性超微粒子の表面が被覆された低融点合金層201または202が融解して基材2近傍に広がり、各磁性超微粒子200の表面が互いに接触するようになる。
また、多層に連なった各磁性超微粒子200は、図3(c)に示すように、各磁性超微粒子200が磁石8によって磁化されて互いに磁気力の引力によって引き合うとともに、各磁性超微粒子200の表面を被覆していた低融点合金層が融解することにより各磁性超微粒子200が互いに直接接触して連続となり、各磁性超微粒子200の表面が互いに常温接合する。
なお、図3(c)中に示した各磁性超微粒子200の太曲線210は、各磁性超微粒子200の表面が直接接触して常温接合した状態を示すために記したものである。
また、磁石8は、基材2の表面に対して垂直方向または平行方向、あるいはそれらの方向から形成される磁界が重ね合わされた磁界により、低融点合金層の融解前後での多層に連続して連なった各多層磁性超微粒子及び各磁性超微粒子200間の密着性を向上可能なように配置してもよい。
このように、この発明に係わる磁性連続体形成装置100は、この発明に係わる多層磁性超微粒子が分散した磁性インクを用いてインクジェット描画法を利用することにより、磁性インクを基材上の所望の位置に所望の形状で多層に積層して描画したと略同時に多層磁性超微粒子の低融点合金層を融解させ、磁性超微粒子の低温焼結、あるいは常温結合による磁性超微粒子の磁性連続体を形成することができる。
以上説明したように、この発明に係わる多層磁性超微粒子の磁性超微粒子を低温焼結、あるいは常温結合させて磁性超微粒子の磁性連続体を基材上に形成する磁性連続体形成装置100においては、磁性超微粒子の表面を被覆した低融点合金層を融解させる加熱手段と磁性超微粒子を磁化して各多層磁性超微粒子間及び各磁性超微粒子間の密着性を強制的に向上させる磁界発生手段とを個別に配置するような構成とした例を示したが、加熱手段と磁界発生手段とを一体化して収納した構成にしてもよい。
例えば、図4は、加熱手段と磁界発生手段とを一体化して構成した一例を示した図である。
図4に示すように、加熱ヘッド47(図中の破線部分)の周りには加熱ヘッド47を取り囲むようにコイル48が配設されている。
コイル48は、コイル48に電流を流すことにより磁界を発生させる、所謂、電磁石であり、加熱ヘッド47の直下を含む所定範囲内に所定強度以上の磁界が発生可能なように構成されている。
このように構成することにより、基材2上に形成された磁性インク堆積層の略直上まで加熱手段である加熱ヘッド47及び磁界発生手段であるコイル48を移動させる移動制御が同時に制御でき、磁性連続体形成装置の制御動作を簡略化することができる。
また、加熱手段は及び磁界発生手段を、例えば光ディスクの書き込みヘッドのように消去用のレーザ光を加熱手段として利用し、書き込み用の磁気コイルを磁界発生手段として用いるような構成としてもよい。
また、磁性連続体形成装置をインクジェットヘッドと加熱手段とを一体化した構成としてもよく、インクジェットヘッドと加熱手段及び磁界発生手段を一体化した構成としてもよい。
これらのインクジェットヘッド、加熱手段及び磁界発生手段を一体化することにより磁性連続体形成装置をより小型化することが可能となる。
この発明に係わる磁性連続体を形成する磁性連続体形成装置の概略図 この発明に係わる磁性超微粒子の断面概念図 基材上に磁性連続体が形成される過程を示した図 加熱手段と磁界発生手段とを一体化して構成した図
符号の説明
1 磁性連続体
2 基材
3 磁性インク堆積層
4 磁性インク滴
5 搬送ベルト
6 インクジェットヘッド
7、47 加熱ヘッド
8 磁石
9、10 プーリ
48 コイル(電磁石)
100 磁性連続体形成装置
200 磁性超微粒子
201、202 低融点合金層
203 徐酸化層

Claims (10)

  1. 室温で強磁性を示す1または複数の磁性元素に前記磁性元素の磁気的性質を制御する1または複数のメタロイド元素および1または複数の添加金属元素を加えた粒径が1nmから500nmの磁性超微粒子の表面を、300℃以下の融点を有し、錫、ビスマス、インジウム、亜鉛、銀、ニッケル、アンチモン、ゲルマニウムから選択された2種以上を組み合わせた低融点合金で被覆したことを特徴とする多層磁性超微粒子。
  2. 前記低融点合金の表面を徐酸化層で更に被覆したことを特徴とする請求項1記載の多層磁性超微粒子。
  3. 前記磁性元素は、
    鉄、コバルト、ニッケルから選択された少なくとも1つの元素であることを特徴とする請求項1または2記載の多層磁性超微粒子。
  4. 前記メタロイド元素は、
    ケイ素、ホウ素、炭素、リンから選択された少なくとも1つの元素であることを特徴とする請求項1または2記載の多層磁性超微粒子。
  5. 前記添加金属元素は、
    クロム、モリブデン、タンタル、ニオブ、銅、アルミニウム、マンガン、タングステン、ジルコニウムから選択された少なくとも1つの元素であることを特徴とする請求項1または2記載の多層磁性超微粒子。
  6. 基材上に、請求項1乃至5のいずれかに記載された多層磁性超微粒子を分散させた磁性インクを用いたインクジェット方式により所定の形状を描画し、
    該基材上に描画された磁性インクを加熱手段により加熱して磁性連続体を形成する
    ことを特徴とする多層磁性超微粒子を用いた磁性連続体の形成方法
  7. 前記基材上に描画された磁性インクに磁界を加えながら前記加熱手段による加熱を行うことを特徴とする請求項6記載の多層磁性超微粒子を用いた磁性連続体の形成方法。
  8. 基材を搬送する搬送手段と、
    前記搬送手段によって搬送された基材上に、請求項1乃至5のいずれかに記載された多層磁性超微粒子を分散させた磁性インクを用いたインクジェット方式により所定の形状を描画する描画手段と、
    前記描画手段によって描画された磁性インクを加熱して磁性連続体を形成する加熱手段と
    を具備することを特徴とする多層磁性超微粒子を用いた磁性連続体の形成装置
  9. 前記加熱手段により加熱される磁性インクに対して磁界を加える磁界発生手段
    を更に具備することを特徴とする請求項8記載の多層磁性超微粒子を用いた磁性連続体の形成装置。
  10. 前記磁界発生手段は、
    前記加熱手段と一体形成されていることを特徴とする請求項9記載の多層磁性超微粒子を用いた磁性連続体の形成装置。
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