JP4314398B2 - 燃料蒸発ガス通気弁アセンブリ - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関を作動させるとともに、エンジンが作動しない間、燃料蒸発ガスの放出を制御することが望ましい揮発性燃料を満たした燃料タンクに使用される形式の蒸発ガス通気弁に関する。
【０００２】
【従来の技術】
これまで、燃料タンクの蒸発ガス通気弁は、その弁配置に問題があり、タンクの壁を通して通気通路に接続されている弁出口がタンク内の液体燃料のレベル上昇により閉鎖されるという構造であった。特に、このような配置において、燃料の引き出し時に、弁の焼付き及び弁の再開ができないという問題を生じる。
【０００３】
低い蒸気圧で所望の蒸発ガスの流れを与えるために比較的大きい弁面積が必要とされる。弁の閉鎖力が比較的低い所では、十分な可撓性を有しかつ柔らかい弁部材を有するフロートが有効であり、この弁部材は、適用可能な低い閉鎖力を用いて弁表面に効果的に載置される。
【０００４】
公知のフロート式作動弁は、比較的薄い柔軟なメンブレンの弁部材を使用し、比較的低い閉鎖力の作動で弁を閉鎖することができる。しかし、このような弁において、タンクが液体燃料で完全に満たされている時、弁が焼付いて閉鎖されたままになる、即ち、「コーキング」が起こるという問題がある。更に、燃料の引き出し、及びフロートが、弁を再開させるレベルより降下するとき、増加した蒸発ガスは、メンブレンの弁部材を弁座に密着させて閉鎖状態を維持するように作用する。
【０００５】
このようなことから、フロー作動式の燃料蒸発ガス通気弁を確実に再開させるための方法及び手段を提供することが長い間望まれてきた。この通気弁は、比較的薄い可撓性の弁部材を有し、この弁部材が、フロートからの低圧の閉鎖力を用いて、通気通路のシートを容易にシールできるようにする。また、弁部材は、蒸発ガスの通気が必要とされるフロートのレベルを降下させて、燃料を引き出す時に弁部材が固着しないで弁を再び開くことができるようにする。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
このような事情に鑑みて、本発明の目的は、燃料蒸発ガス用のフロート作動式通気弁を確実に再開放させるための方法及び手段を提供することである。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、各請求項に記載の構成を有する。本発明の燃料タンク用の蒸発ガス通気弁アセンブリは、
(a) 通気通路およびこの通気通路の一端に弁座を形成するハウジングと、
(b) このハウジングに関連し、かつハウジングに対して移動可能に案内され、さらにケージ、および、このケージ内に前記ハウジングに対して制限された空動きを可能にする弾性シール部材を含むフロートアセンブリとを設け、
前記弾性シール部材は、燃料レベルが、一定のレベルに上昇するのに応じて、前記フロートアセンブリが上昇する際に前記弁座に接触する位置に配置されており、さらに、
(c)前記フロートアセンブリは、前記ケージの、燃料レベルに対して下方に傾斜した上部部分の下方端側から下方に伸びる突出部を有し、前記燃料レベルが前記一定のレベル以下に減少して前記フロートアセンブリを降下させるとき、前記弁座から前記弾性シール部材が離れるように、前記突出部が前記弾性シール部材に部分的に接触しかつ偏向させるように動作可能であることを特徴としている。
【０００８】
また、フロートアセンブリは、弾性シール部材を取り囲むケージを含み、前記弾性シール部材と前記ケージとの間の制限された空動きを可能にし、前記ケージから下方に伸びる突出部を有している。
【０００９】
【発明の実施の形態】
図１において、本発明の弁アセンブリ１０は、概略、参照番号１２で示された本体、即ち、ハウジングを有し、このハウジング１２は、燃料タンクの外部に配置される上部部分１４と、蒸発ガスの出口通路１８を形成するホース結合部１６とを有している。ハウジングの上部部分１４は、外側に伸長する環状フランジ部分２０を有する。弁本体のハウジング１２は、さらに、下方に伸長する部分２２を含み、この部分は、タンクに設けられたアクセス開口(図示略)を通じて燃料タンクの内側に伸びている。また、下方伸長部分２２は、フロートアセンブリ２６を摺動可能に受入れるフロートキャビティ２４を形成している。
【００１０】
上部部分１４に形成された外側伸長するフランジ２０は、環状の取付けフランジ２８を有し、この外側全体を、好ましくはプラスチックのモールドで覆っており、さらに、フランジ２８と下方伸長部分２２に係合する支持体、即ち保持リング３０を含んでいる。この保持リングの周囲には弾性シール材料３２が形成され、フランジ２０と外側モールド２８との間でほぼ蒸発ガスの影響を受けないシールを形成する。外側モールド２８は、同一材料のプラスチックタンクに溶着できるようになっている。
【００１１】
本体１２には、弁座部材３４が配置され、この弁座部材３４は、通気通路３８の下方端に形成された環状の弁座３６を含み、弁通路としての通気通路３８は、弁座部材３４を介して垂直方向に伸びている。通気通路３８の上端部には、好ましくは、球形の重力応答型チェック弁４０が配置され、このチェック弁は、好ましくは、弁座部材３４の一部として形成されている環状保持壁４２によって弁座部材の上に配置されている。
【００１２】
本体２２の下側部分は、ガイド又はカバー４４に受入られ、このカバーは、本発明の実施形態において、好ましくは、カップ形状、またはＵ形状の構造を有する。そして、カバーは、スナップロック係合または溶着等の適当な手段を用いて本体２２の下側部分に固定することができる。
【００１３】
蒸発ガスの通気通路３８の上端部は、少なくとも１つ、好ましくは複数の横溝４６を備えており、チェック弁４０が通気通路３８の端部に位置するとき、この溝４６は、燃料蒸発ガスの最小放出流れを可能にする。タンク内が過度の蒸気圧力になる場合、チェック弁４０の重さによる下方への力は、弁座の面積全体に作用する圧力によって、この蒸気圧力に打勝つ。そして、この弁座全体に作用する圧力によって、弁４０は、上方に移動し、流量面積を増加して圧力をリリースする。
【００１４】
図２において、フロートアセンブリ２６が詳細に示されており、このアセンブリは、ほぼ環状または筒状の構造を有する本体４８を含み、この本体内にコア部５０が配置される。または好ましくは、本体の上部端部に湾曲表面を形成する。このコア部(フロート）５０は、適当な手段で、たとえば、スナップロック又は溶着によって本体４８内に固定することができる。
【００１５】
本体４８は、その上端部にケージ５４を形成し、本体の上端部に、弁部材として、柔軟な弾性シール部材５６が収納され、この弁部材は、比較的薄いメンブレン形状のディスクを有し、外周回りに周辺ビードを形成する環状ビード（ビードリム）５８を有し、このリムとメンブレンは一体に形成されている。剛性プレートすなわち円板６０が弾性シール部材の下側に配置され、この円板は、コア部５０の湾曲表面５２に載置され、この表面上で旋回運動し、かつ環状ビード５８の位置決め又はシール表面を与えるために環状ビード５８に接触するように外側に延びている。
【００１６】
ケージ５４は、その上部部分６２がフロート本体４８の軸線に対して所定の角度で傾斜している。ケージの上部部分６２は、下方に伸びる突出部６４を有し、この突出部は、好ましくは、環状ビード５８の内周に隣接して配置されている。突出部６４は、フロートアセンブリ２６の下方移動時にメンブレン（弾性シール部材）５６に局所的に接触及び偏向を与えるように作動する。より詳細については後述する。ケージ５４は、コア部５２から十分な高さを有しており、弾性シール部材５６及び円板６０の制限された相対運動または空動きを可能にする。
【００１７】
図１において、フロートアセンブリは、スプリング６６によって上方に付勢されており、スプリング６６の下端部は、カップ４４の内側底部に位置し、上端部は、コア部５０の下方端に形成された環状溝６８にはまりこむ。
【００１８】
作動において、タンク内の燃料レベルが上昇すると、フロートは、図１の破線で示す位置にまで上昇する。このとき、弁部材のメンブレン５６は、弁座３６に接触する。そして、フロートとしてのコア部５０の湾曲表面が円板６０の下側表面に接触するので、メンブレンの環状ビード５８を押圧する円板６０によって、メンブレン５６がシールされる。
【００１９】
タンクから燃料を引き出すとき、燃料レベルが低い位置にあると、フロートアセンブリ２６は降下し、突出部６４を、弁部材すなわちメンブレン５６の一部分に接触させる。これにより、弁部材すなわちメンブレン５６が、弁座３６に固着するのを防止する。更に、フロートアセンブリ２６が降下すると、ケージの上部部分６２の下面が弁部材のビードリム５８に接触し、弁部材の一方側が剥がれるようになる。さらに、フロートアセンブリ２６が更に降下すると、ケージ６２の上部またはより高い部分は、突出部６４と反対側の、弁部材の環状ビード５８の側面に接触し、そして、弁座３６から弁部材を完全に開かせる。
【００２０】
本発明は、このように、ケージ内に取り付けられた比較的薄い弾性シール部材を有し、この弾性シール部材を、フロートが上昇するとき、フロート上で制限された空動きをさせ、静止の蒸発ガス通気弁の弁座をシールすることができる、燃料蒸発ガス用のフロート作動式通気弁の独特でかつ新規な構成を提供する。
【００２１】
燃料を引き出すときには、フロートを降下させ、ケージに形成されて下方に伸長する突出部が、弁部材であるメンブレンの一部分に接触し、そして、弁座からメンブレンの一部分を引き剥がし、これにより、弁が完全に閉じたままの状態に留まるのを防止する。さらに、フロートを降下させると、ケージは、メンブレン５６を引き剥がして、完全に弁座から離す。
【００２２】
本発明は、図示した実施形態に関して記載してきたが、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、種々の変更及び修正を含み、添付された特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
【００２３】
【発明の効果】
本発明のフロート作動式の蒸発ガス通気弁アセンブリは、フロート上で、空動きをする弾性シール部材のメンブレンを有し、燃料の再充填時、フロートを上昇させて、通気通路の弁座上でメンブレンをシールする。また、燃料がタンクから引き出されてエンジンに供給される時、フロートを降下させて弁を確実に開かせるために、ケージの上部から下方に伸びる突出部がメンブレンに接触し、弁としてのメンブレンを弁座から部分的に引き剥がすことにより、弁を再び開放することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】図１は、本発明に使用される弁アセンブリの断面図である。
【図２】図２は、図１の弁に使用されるフロートアセンブリの拡大図である。
【符号の説明】
２６ フロートアセンブリ
３６ 弁座
３８ 通気通路
５０ コア部
５４ ゲージ
５６ 弾性シール部材
５８ 環状ビード
６２ 上部部分
６４ 突出部

Claims (9)

1. (a) 通気通路（38）およびこの通気通路の一端に弁座（36）を形成するハウジングと、
   (b) このハウジングに関連し、かつハウジングに対して移動可能に案内され、さらにケージ（54）、および、このケージ内に前記ハウジングに対して制限された空動きを可能にする弾性シール部材（56）を含むフロートアセンブリ（26）とを設け、
   前記弾性シール部材（56）は、燃料レベルが、一定のレベルに上昇するのに応じて、前記フロートアセンブリ（26）が上昇する際に前記弁座（36）に接触する位置に配置されており、さらに、
   (c) 前記フロートアセンブリ（26）は、前記ケージ（54）の、燃料レベルに対して下方に傾斜した上部部分の下方端側から下方に伸びる突出部（64）を有し、前記燃料レベルが前記一定のレベル以下に減少して前記フロートアセンブリ（26）を降下させるとき、前記弁座（36）から前記弾性シール部材（56）が離れるように、前記突出部（64）が前記弾性シール部材（56）に部分的に接触しかつ偏向させるように動作可能であることを特徴とする、燃料タンク用の蒸発ガス通気弁アセンブリ。
2. 前記弾性シール部材（56）は、薄い円板形状を有することを特徴とする請求項１記載の通気弁アセンブリ。
3. 前記弾性シール部材（56）は、外周に形成される拡張した周辺ビードを備える薄い形状を有することを特徴とする請求項１記載の通気弁アセンブリ。
4. 前記弾性シール部材（56）は、この部材の外周に一体に形成された環状ビード（58）を備える薄い形状を有することを特徴とする請求項１記載の通気弁アセンブリ。
5. 前記フロートアセンブリ（26）は、前記弾性シール部材（56）と前記ケージ（54）との間の制限された前記空動きを可能にし、前記ケージ（54）は、前記弾性シール部材（56）を取り囲み、かつ前記突出部（64）を一体に形成していることを特徴とする請求項１記載の通気弁アセンブリ。
6. 燃料タンクにおける蒸発ガスの通気を制御する方法であって、
   (a) タンクの壁を貫く通気通路（38）を設け、この通気通路の回りに環状の弁座（36）を配置する工程と、
   (b) 前記弾性シール部材（56）を取り囲むケージ（54）を設けてフロート（50）上で制限された空動きをする弾性シール部材（56）を保持する工程と、
   (c)前記ケージ（54）の、燃料レベルに対して下方に傾斜した上部部分の下方端側から下方に伸びた突出部（64）を配置する工程とを含み、
   前記フロート（50）の上昇動作時に、前記フロート（50）が前記弾性シール部材（56）を動かして前記弁座（36）に接触させ、
   前記フロート（50）の下方移動時に、前記突出部（64）を部分的に前記弾性シール部材（56）に最初に接触させ、さらに、前記突出部（64）が、前記弁座（36）から前記弾性シール部材（56）を部分的に引き剥がすことを特徴とする方法。
7. 前記弾性シール部材（56）を保持する工程は、前記フロート（50）上に前記ケージ（54）を形成し、かつこのケージに前記弾性シール部材（56）を配置するステップを有することを特徴とする請求項６記載の方法。
8. 前記弾性シール部材（56）を保持する工程は、前記フロート（50）にケージ（54）を形成し、かつこのケージ内に薄いディスクを配置するステップを有することを特徴とする請求項６記載の方法。
9. 前記ディスクを配置するステップは、前記ディスクの回りに環状ビード（58）を形成することを特徴とする請求項８記載の方法。

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