JP4314362B2 - 金属酸化物ナノファイバー及びその製造方法、並びに該ナノファイバーを用いたナノ複合材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属酸化物ナノファイバー及びその製造方法、並びに該金属酸化物ナノファイバーを用いたナノ複合材料に関する。特に本発明は、水溶液に含まれる金属イオンのオーレーションを制御することにより得られ、表面が正電荷を帯びた水溶性の新規な金属酸化物ファイバー及び有機物又は無機質とのナノ複合材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
無機材料の構造をナノメートルの精度で制御することは、無機材料の幅広い応用に繋がるため、極めて重要な技術である。近年、ナノ粒子や超薄膜の研究は急速に発展しており、新しい製造技術も報告されつつある。カーボンナノチューブに代表される一次元ナノ構造物は、無機物及び有機物の応用分野を含め、高密度の電子デバイスのモジュールや化学反応の触媒、分離や吸着材料など様々な分野で応用されることが期待されている。
【0003】
しかしながら、金属酸化物の場合、一次元ナノ構造物を作製することは容易でない。例えば、結晶性の金属酸化物から一次元ナノ構造物を作製する場合、研削や研磨により加工せざるを得ないが、微細な構造に加工することは極めて難しい。また、ガラスは、その溶融状態で圧延や押出しによりファイバーやチューブなどに加工することができ、太さ方向の幅がサブミクロンオーダーの極微細なガラス繊維が市販されている。しかしながら、この場合もナノメートル領域での微細加工には限界があった。さらに、低温合成であるゾルゲル法は、微粒子や薄膜の製造方法としては適しているが、ファイバーを加工することに対しては不向きであった。
【0004】
一方、最近では、CVD法や水熱合成法によりサブミクロンオーダーの金属酸化物のファイバーを偶発的に合成した例が報告されている。例えば、半導体酸化物を高温で蒸発させることにより、太さ方向の幅が30nmの金属酸化物のファイバーが製造されている(例えば、非特許文献1参照)。また、五酸化バナジウム(V2O5)と水酸化カリウム(KOH)を用いて水熱合成法で酸化バナジウム(VO2)を製造する場合、還元剤としてヒドラジンを用いると、幅が25nm程度のロッド状のVO2が形成することが報告されている(例えば、非特許文献2参照)。
しかしながら、CVD法では1000℃以上の高温下で合成する必要があり、製造コストや生産面で問題があった。一方、水熱合成では、太さ方向の幅が20nm以下の金属酸化物のファイバーを作製することは困難であるという問題があった。
【0005】
また、有機材料を鋳型として用いる無機合成法も報告されている。例えば、高分子繊維の表面に金属酸化物を付着させた後に焼成し、繊維状の酸化チタンが作製された例が報告されている。さらに自己組織性を有する有機分子を用いると、多様な分子集合体の形態を無機材料に転写することもできることも知られ、例えば、両親媒性分子のロッド状会合体などは、金属酸化物の一次元構造の鋳型となることが報告されている。
【0006】
本発明者らは、1本の高分子鎖の周りにシリカ超薄膜を形成することにより単一分子レベルの紐状無機構造物の作製方法をこれまでに報告している。しかしながら、有機材料を鋳型として用いると、否応なく有機無機複合材料が得られるという問題があった。さらに、この有機無機複合材料を焼成などの操作により有機成分を除去すると鋳型の形状が失われてしまうという問題もあった。
【0007】
一方、V5+、W6+、Mo6+など酸化数が高い一部の金属イオンは、水中で複数の酸素原子が配位したオキソ酸イオンとして存在し、pHを低下させることで縮合し、頂点や稜、面を共有した巨大な酸化物クラスター(ポリオキソ酸)を形成することが知られている。近年、ポリオキソ酸は、より単純な構造から複雑な構造へと着実に進化しており、コアシェル型のポリオキソ酸や酸化モリブデンの超分子カプセルが得られた報告もある。しかしながら、その多くは、単結晶のX線構造解析により研究されたものであり、溶液中でファイバー状の構造が自発的に形成されたという報告はない。
【0008】
【非特許文献1】
Zheng Wei Panら、Science Vol.291、p1947-1949、2001年3月9日発刊
【非特許文献2】
Zhou Gui ら、Chemistry of Materials、Vol.14 p5053-5056、2002年11月15日
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来の技術では、極めて細い金属酸化物ファイバーを水中で形成させることができなかった。かくして本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、極めて細い金属酸化物ファイバーを提供することにある。また本発明の別の目的は、このようなナノファイバーを有機分子などと複合化することで、新規な形状や組成を有するナノ複合材料を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、表面に正電荷を有する金属酸化物ナノファイバーであれば、上記課題を解決し得ることを見出した。
本発明の金属酸化物ナノファイバーは、金属イオンのオーレーションにより形成することができる。本発明の金属酸化物ナノファイバーは、円相当径が0.5〜20nm、長さが円相当径の3倍以上であることが好ましい。さらに、本発明の金属酸化物ナノファイバーは、表面に正電荷を有する金属原子の含有率が金属酸化物に含まれる金属原子全体の1%以上であることが好ましい。また、本発明の金属酸化物ナノファイバーは、水に可溶性であってもよく、その表面に有機物又は無機物を静電的又は化学的に表面吸着可能なものが含まれ、キラリティーを有する分子により螺旋構造を誘起させることもできる。
【0011】
さらに、本発明の金属酸化物ナノファイバーは、金属塩を含有する水溶液に塩基性水溶液を添加することにより、前記水溶液のpH値を金属イオンのオーレーションが開始されるpH値から金属水酸化物が沈殿し始めるpH値までの間のpH値に調整することにより製造することができる。
【0012】
また、本発明の金属酸化物ナノファイバーは、有機物又は無機物とナノ複合材料を形成することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の金属酸化物ナノファイバー(以下、「ナノファイバー」ともいう)及びナノ複合材料について詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値をそれぞれの最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
【0014】
本発明のナノファイバーは、表面に正電荷を有することを特徴とする。このため、本発明のナノファイバーであれば、水中でも会合又は凝集することなく、分散状態で独立した構造を維持することができる。この特徴を界面活性分子が水中で形成するミセルと対比して以下に説明する。
【0015】
界面活性剤の場合、例えば、末端に四級アンモニウム基を有する長鎖アルキル化合物は、正電荷を有する親水部が外側に、疎水性のアルキル鎖が内側にそれぞれ向くことにより、球状又は棒状のミセルを形成する。このとき、ミセル表面は、四級アンモニウム基によって覆われており、互いに凝集することなく、水中での独立した構造を維持できる。
【0016】
これに対し、本発明のナノファイバーの場合、表面に正電荷を有することが独立した極めて細いファイバー構造の形成と維持に重要な役割を担っている。表面に正電荷を有する金属原子の含有率は、特に限定されるものではないが、金属酸化物ナノファイバーを構成している金属原子全体の1%以上であることが好ましく、5%以上であることがさらに好ましく、10%以上であることがさらに好ましい。また、金属酸化物ナノファイバーの表面を構成する金属原子の全てが正電荷を帯びている必要はなく、会合や凝集か起こらない程度に正電荷が分散していればよい。本発明のナノファイバーは、表面にこのような正電荷を有するため、水溶性であり得る。
【0017】
本発明のナノファイバーの大きさは、特に限定されるものではないが、円相当径が0.5〜20nm、好ましくは0.8〜10nm、さらに好ましくは1〜5nmであり、かつ、円相当径に対する長さの比(以下、「アスペクト比」と呼ぶ)は3以上であり、好ましくはアスペクト比が10以上であり、さらに好ましくは20以上であり、最も好ましくは100以上である。本発明のナノファイバーは、長さが数マイクロメートルに及ぶ場合があり、さらにアスペクト比が1000を超える場合もある。
【0018】
本発明のナノファイバーは、表面に正電荷を有するため、反対電荷を有する有機物又は無機物を静電的に吸着することができる。このような反対電荷を有する有機物又は無機物としては、例えば、カンファースルホン酸や酢酸などのアニオン性の有機イオン、塩化物イオン(Cl-)や臭化物イオン(Br-)などの負電荷をもつ無機イオンなどが挙げられる。また、本発明の金属酸化物ナノファイバーは、ポリスチレンスルホン酸やポリアクリル酸などのアニオン性のポリマーも強力に吸着することができる。
【0019】
さらに、本発明のナノファイバーは、金属酸化物表面の金属イオンに配位可能な有機物又は無機物を化学的に吸着することができる。このような有機物としては、例えば、複数の水酸基を有する糖、ヒドロキサム酸類、カルボキシル基を有する有機化合物などが挙げられる。また、無機物としては、例えば、リン酸や亜リン酸、ピロリン酸などの縮合したリン酸などが挙げられる。これらの配位による化学吸着の条件は、pHや本発明の金属酸化物ナノファイバーを構成する金属元素の種類によって大きく異なる。
【0020】
さらに、本発明のナノファイバーは、キラリティーを有する分子を吸着させることにより螺旋構造を誘起することができる。これは、特定のキラリティーを有する分子が規則的にナノファイバー表面に吸着し、該ナノファイバーに捩れを生じさせるためである。また、本発明のナノファイバーは、前述の有機物又は無機物とナノレベルで複合化した新しい材料を与えることができる。
【0021】
次に、本発明の金属酸化物ナノファイバーの製造方法について以下に説明する。
本発明のナノファイバーは、金属塩の水溶液を調製した後、攪拌しながら塩基性水溶液を添加して溶液のpHを徐々に上げることにより製造することができる。
【0022】
本発明の製造方法において、金属塩はpHを上昇させると水酸化物の沈殿を形成し得るような金属イオンの塩であれば特に制限はなく、公知の化合物を用いることができる。このような金属塩として代表的な化合物を例示すれば、例えば、硝酸カドミウム(Cd(NO3)2)、硝酸ガドリニウム(Gd(NO3)3)、硝酸ユウロピウム(Eu(NO3)3)などが挙げられる。水溶液中の金属イオン濃度は、0.01〜10mM程度であることが好適である。
【0023】
本発明の製造方法は、上記金属イオンを含む溶液を攪拌しながら、ゆっくりと塩基性水溶液を加える。本発明の製造方法において、塩基性水溶液は特に制限されるものではないが、0.02〜20mM程度の水酸化ナトリウム水溶液を好適に用いることができる。塩基性水溶液の添加時の金属イオンを含有する溶液の温度は、0〜50℃の範囲内で適宜決定することができ、室温付近であることが好ましい。塩基性水溶液の添加時間は、金属イオンを含有する溶液の体積により大きく変化するが、1〜60分の範囲内で適宜決定すればよい。
【0024】
水溶液中の金属イオンのモル数と添加する塩基性水溶液中の水酸化物イオンの濃度は、本発明の金属酸化物ナノファイバーの形成に極めて重要である。以下、具体的な例を挙げて説明する。
硝酸ガドリニウムの水溶液に水酸化ナトリウムを加える。ここで、ガドリニウムイオンの濃度を常に2mMとし、水酸化ナトリウムのモル濃度をガドリニウムイオンに対して、0倍から8倍まで変化させる。水酸化ナトリウムを加えない場合、水溶液のpHは6.03を示す。水酸化ナトリウムの濃度をガドリニウムイオンに対して2倍モル加えると、水溶液のpHは7.78を示す。この間、ガドリニウムイオンに配位している水分子のプロトンが順次解離し、配位水酸化物イオンとなっていく。すなわち、ガドリニウムイオンは、水酸化ナトリウムに対する緩衝剤として作用し、水溶液のpH値は徐々に上昇していく。一方、ガドリニウムイオンに配位した水酸化物イオンは、他のガドリニウムイオンにも配位することが可能であり、2つ(場合によっては3つ)のガドリニウム原子を酸素原子が架橋した構造を形成する。このような金属イオンの配位水酸基の形成と、それに引き続く酸素による架橋構造の形成を総じてオーレーションと呼ぶ。2つ以上の金属イオンを架橋した配位水酸化物イオンは、さらにプロトンを解離してμ−オキソ架橋構造(M−O−M)を形成することができる。
【0025】
さらに水酸化ナトリウム水溶液を添加し、水酸化ナトリウムの濃度をガドリニウムイオンに対して2.4倍モルにするとpHは8.01を示し、さらに2.8倍モルにするとpHは9.23を示す。一方、水酸化ナトリウムの濃度をガドリニウムイオンに対して3.2倍モルにすると、pHは10.84に上昇し、その後は、水酸化ナトリウムのモル濃度の増加と伴に、pHが急激に上昇する。ガドリニウムイオンでは、3倍モル以上の水酸化ナトリウムを加えると、水酸化物イオンに対する緩衝剤として作用しなくなる。このとき、ガドリニウムイオンの正味の電荷は、水酸化物イオンによって中和され、同時にオーレーションが繰り返し起こり、水酸化ガドリニウムとして沈殿する。
【0026】
本発明の製造方法では、金属イオンのオーレーションが開始する組成(又はpH)と水酸化物としての沈殿が生じる組成(又はpH)の間において金属酸化物ナノファイバーが形成される。このときの金属イオンのモル濃度と添加する水酸化物イオンの濃度は、金属イオンの価数やオーレーションの特性によって異なる。例えば、カドミウムイオンでは、2倍モルの水酸化物イオンを加えるまで沈殿を生じないが、鉄イオンでは、少量の水酸化物イオンを加えただけで沈殿を生じる。
いわゆる金属の水酸化物(すなわち、水和した金属酸化物)の形成の前段階では、オーレーションの進行と共に、全体として正電荷を帯びた縮合体が形成される。この状況は、オーレーションの一般式として次式のように示すことができる。
【0027】
【化1】
【0028】
上記式中、Mは金属イオンであり、OHは配位水酸化物イオンである。
なお、簡略のため、上記式ではμ−オキソ架橋構造(M−O−M)の形成を明示していない。
【0029】
本発明者らは、前述のとおり、水溶液中での金属イオンのオーレーションを系統的かつ詳細に研究する過程において、正電荷を有する水酸化物が極めて細いナノファイバーを形成することを見出した。このような金属酸化物ファイバーが形成される理由としては、次のように考えることができる。
金属イオンのオーレーションは、配位水酸化物イオンの無秩序な架橋が起こるのではなく、最初に一定の大きさを有する酸化物クラスター([Mn(H2O)np-m(OH)m](nz-m)+)が形成される。この酸化物クラスターは、表面に存在する金属イオンの正電荷が電気的に完全に中和されていないため、全体として正電荷を帯びている。このような酸化物クラスターが、引き続くオーレーションにより縮合するとき、無秩序な縮合が起こるのではなく、一定の方向での縮合を繰り返す。これは、最初に形成される酸化物クラスターに正電荷や縮合可能な配位水酸化物イオンの配置に異方性があるためである。しかしながら、最初に形成される酸化物クラスターが異方性を持たない場合でも、酸化物クラスターの縮合はできるだけ正電荷間の反発を避けるように起こる。その結果、金属酸化物のファイバー状の構造が形成される。
【0030】
上記の異方性が大きい場合には、硬直な金属酸化物ナノファイバーが形成され、反対に異方性が小さい場合には、柔軟な金属酸化物ナノファイバーが形成される。このため、本発明の製造方法により得られる金属酸化物ナノファイバーは、アモルファスでも結晶性でもあり得る。また、本発明の製造方法で得られた金属酸化物ナノファイバーは、水和した金属酸化物であるともいえる。
上記の酸化物クラスターの大きさや特性は、金属イオンの種類やpH等の条件に依存する。このため、得られるナノファイバーの円相当径や長さも変化する。また、後述する実施例において示されるように、分岐構造を有するナノファイバーが形成される場合もある。
【0031】
本発明の製造方法において、金属酸化物ナノファイバーの形成はpHの条件に大きく依存するところが大きい。このため、適当な酸や塩基を組み合わせた緩衝液を用いると、金属酸化物ナノファイバーの形成効率を飛躍的に向上することができる。代表的な酸と塩基の組み合わせとしては、アミン化合物と塩酸の組み合わせがある。特に、ポリアリルアミン塩酸塩は、広いpH範囲で安定な緩衝作用を与え、金属酸化物ナノファイバーの形成を容易にする。
【0032】
本発明の製造方法は、これまで無秩序に進行すると考えられていた金属の酸化物(水和した金属酸化物)の形成が一定の方向性をもって起こることをも証明するものであり、金属酸化物ナノファイバーの形態制御の新規な方法を提供すると同時に、金属酸化物ナノファイバーの自律的構造化という新しい概念をも与えることができる。
【0033】
本発明のナノファイバーは、表面に正電荷を有し、アニオン性の物質を吸着させることができる。例えば、複数のスルホン酸基を有する色素分子と水中で接触させるとしばしば水和ゲルを形成することができる。
【0034】
本発明のナノファイバーは、極めて大きな表面積を有するため、触媒や触媒の担体としての利用することができ、特に表面の吸着特性を利用した有害物質の分離にも有効である。さらに本発明のナノファイバーは、ナノレベルの網目構造を得るためのモジュールとして用いれば、フィルターなどの製造に用いることもできる。さらに、本発明のナノファイバーは、有機分子と共にゲルを形成させ、薬物の徐放システムに利用できる。さらに、本発明のナノファイバーは、レオロジーなどの高分子としての特徴を有する材料として利用することができる。
【0035】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0036】
(実施例1)
本発明の製造方法により、酸化ガドリニウムのナノファイバーが得られることを示すために、該ナノファイバーの電子顕微鏡観察を行った。
硝酸ガドリニウム(Gd(NO3)3・6H2O)の0.9027gを500mLのイオン交換水に溶解し、この溶液にpH緩衝剤としてポリアリルアミン(平均分子量7万)を18.7g添加し、一日攪拌させた。この溶液20mLにイオン交換水6mLを添加し、16×10-3Mの水酸化ナトリウム水溶液14mLを激しく攪拌させながら、2分間かけて添加した。このとき水溶液のpH値は9.03であり、ガドリニウムイオンのオーレーションが確実に起こり得るpH範囲内となった。この溶液を12時間放置し、約1mLを清浄なガラスの上に展開し、透過型電子顕微鏡用のマイクログリットを浮かべて1分間放置することでマイクログリットの表面にナノファイバーを吸着させ、過剰に吸着した溶液を清浄な濾紙で拭った後、常温で乾燥させた。このようにして作製した試料の透過型電子顕微鏡像を図1に示す。
【0037】
図1に示されるように、円相当径が約3nmのファイバー状構造が観察された。この結果は、ガドリニウムイオンのオーレーションにより、酸化ガドリニウムのナノファイバーが形成することを示している。前記ナノファイバーには、所々に分岐した部分があり、全体として曲がりくねっている。これは、前記ナノファイバーを構成する酸化ガドリニウムの結晶性が低いことを示している。また、前記ナノファイバーのアスペクト比は、少なくとも3以上で、平均して20であった。
同様に、硝酸ユウロピウム(Eu(NO3)3・6H2O)や硝酸ルテチウム(Lu(NO3)3・4H2O)からもナノファイバーを製造することができた。
【0038】
(実施例2)
本発明の製造方法により、酸化カドミウムのナノファイバーが得られることを示すために、該ナノファイバーの電子顕微鏡観察を行った。
硝酸カドミウム(Cd(NO3)2・4H2O)の0.6170gを500mLのイオン交換水に溶解し、一日攪拌させた。この溶液20mLにイオン交換水12mLを添加し、16×10-3Mの水酸化ナトリウム水溶液8mLを激しく攪拌させながら、2分間かけて添加した。このとき水溶液のpH値は8.82であり、カドミウムイオンのオーレーションが確実に起こり得るpH範囲内となった。この溶液を12時間放置し、約1mLを清浄なガラスの上に展開し、透過型電子顕微鏡用のマイクログリットを浮かべて1分間放置することでマイクログリットの表面にナノファイバーを吸着させ、過剰に吸着した溶液を清浄な濾紙で拭った後、常温で乾燥させた。このようにして作製した試料の透過型電子顕微鏡像を図2に示す。
【0039】
図2に示されるように、円相当径が約3nmのファイバー状構造が観察された。これは、カドミウムイオンのオーレーションにより、酸化カドミウムのナノファイバーが形成されたことを示している。酸化カドミウムのナノファイバーは、全体として直線性が高く、一定の円相当径を有する。酸化カドミウムのナノファイバーの長さは数マイクロメートルに及ぶものもあり、前記ナノファイバーを構成する酸化カドミウムの結晶性が高いことを示している。前記ナノファイバーのアスペクト比は、平均して300であり、大きなものでは1000以上であった。
【0040】
(実施例3)
本発明の製造方法により、酸化カドミウムの螺旋状ナノファイバーが得られることを示すために、該ナノファイバーの電子顕微鏡観察を行った。
硝酸カドミウム(Cd(NO3)2・4H2O)の0.6170gを500mLのイオン交換水に溶解し、一日攪拌させた。この溶液4mLにイオン交換水16mLを添加した。この溶液に、16×10-3Mの水酸化ナトリウム水溶液1mLとイオン交換水18mLの混合溶液を激しく攪拌させながら添加した。1分後、攪拌しながら1.6×10-3Mのd−カンファー−10−スルホン酸アンモニウム水溶液1mLを添加し、90分間放置した。このとき水溶液のpH値は8.59であり、カドミウムイオンのオーレーションが確実に起こり得るpH範囲内となった。上記溶液の約1mLを清浄なガラスの上に展開し、透過型電子顕微鏡用のマイクログリットを浮かべて1分間放置することでマイクログリットの表面にナノファイバーを吸着させ、過剰に吸着した溶液を清浄な濾紙で拭った後、常温で乾燥させた。このようにして作製した試料の透過型電子顕微鏡像を図3に示す。
【0041】
図3に示されるように、円相当径が約3〜5nmの螺旋状ナノファイバーが観察された。これは、酸化カドミウムのナノファイバーにキラリティーを有する分子を相互作用させることで、螺旋状の酸化カドミウムのナノファイバーを形成できることを示している。
【0042】
(実施例4)
本発明の製造方法により、金属酸化物ナノファイバーと色素とのナノ複合材料が製造されることを示すために、以下の実験を行った。
硝酸カドミウム(Cd(NO3)2・4H2O)の0.6170gを500mLのイオン交換水に溶解し、一日攪拌させた。この溶液20mL、イオン交換水14mLと16×10-3Mの水酸化ナトリウム水溶液5mLの混合溶液を激しく攪拌させながら2分間かけて添加し、その1分後に攪拌しながら1.6×10-3Mのd−カンファー−10−スルホン酸アンモニウム水溶液1mLを添加し、12時間放置した。この溶液を溶液Aとし、同じ溶液を2つ調製した。一方、先の硝酸カドミウムの溶液20mLに、イオン交換水14mLと16×10-3Mの水酸化ナトリウム水溶液5mLの混合溶液を激しく攪拌させながら2分間かけて添加し、12時間放置した。この溶液を溶液Bとし、同じ溶液を2つ調製した。
色素1(Evance Blue)の1mM溶液と色素2(アゾIII)の1mM溶液を別々に調製し、上記2種類のナノファイバーの溶液AとBに、それぞれ1mLずつ添加し、10分間攪拌させた。
なお、ここでは溶液Aと色素1の組み合わせをK1、溶液Aと色素2の組み合わせをK2、溶液Bと色素1の組み合わせをK3、溶液Bと色素2の組み合わせをK4と呼ぶ。
【0043】
K1からK4までの試料の2ヶ月後の様子を図4に示す。図4から明らかなように、色素と上記ナノファイバーの組み合わせでは、柔らかいゲルを形成し、そのゲルは、2ヶ月後も安定に存在できる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の金属酸化物ナノファイバーは、表面に正電荷を有する。このため、本発明であれば、正電荷を制御することにより、これまで製造が非常に困難とされていた20nm以下の極めて細い金属酸化物ナノファイバーを提供することができる。さらに本発明であれば、金属イオンのオーレーションを制御することにより、ある構造をもった酸化物クラスターを形成でき、極めて大きなアスペクト比を有する金属酸化物ナノファイバーを提供することができる。
【0045】
また、本発明であれば、金属イオンの水溶液に塩基性水溶液を添加してpHを調整するだけで金属酸化物ナノファイバーを作製し得る金属酸化物ナノファイバーの製造方法を提供することができる。
【0046】
さらに、本発明であれば、有機物又は無機物を表面に吸着できるため、金属酸化物ナノファイバーと有機物又は無機物からなるナノ複合材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1での酸化ガドリニウムのナノファイバーの電子顕微鏡観察像を示す図である。
【図2】 実施例2での酸化カドミウムのナノファイバーの電子顕微鏡観察像を示す図である。
【図3】 実施例3での酸化カドミウムの螺旋状ナノファイバーの電子顕微鏡観察像を示す図である。
【図4】 実施例4での酸化カドミウムのナノファイバーと色素とのナノ複合材料を示す図である。
Claims (6)
- 表面が正電荷を帯びており、表面を構成する金属原子のうち正電荷を帯びている金属原子が、金属酸化物に含まれる金属原子全体の1%以上であり、
円相当径が0.5〜20nmであり、長さが前記円相当径の3倍以上であり、
塩基性水溶液中において水酸化物の沈殿を形成し得る金属イオンを用いて形成される、水に可溶性の金属酸化物ナノファイバー。 - アルカリの添加による金属イオンの配位水酸基の形成、および前記配位水酸基の形成に引き続く酸素による架橋構造の形成により、形成される請求項1に記載の金属酸化物ナノファイバー。
- 有機物又は無機物を静電的又は化学的に表面に吸着可能な請求項1または2に記載の金属酸化物ナノファイバー。
- キラリティーを有する分子により誘起された螺旋構造を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属酸化物ナノファイバー。
- 表面が正電荷を帯びており、表面を構成する金属原子のうち正電荷を帯びている金属原子が金属酸化物に含まれる金属原子全体の1%以上であり、円相当径が0.5〜20nmであり、長さが前記円相当径の3倍以上であり、塩基性水溶液中において水酸化物の沈殿を形成し得る金属イオンを用いて形成される、水に可溶性の金属酸化物ナノファイバーの製造方法であって、
金属塩を含む水溶液に塩基性水溶液を添加することにより、前記水溶液のpH値を、金属イオンに水酸化物イオンが配位し酸素による架橋構造が形成され始めるpH値から金属水酸化物が沈殿し始めるpH値までの間のpH値に調整することを特徴とする金属酸化物ナノファイバーの製造方法。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属酸化物ナノファイバーと有機物又は無機物とからなるナノ複合材料。
Priority Applications (1)
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