JP4313333B2 - 核磁気共鳴計測装置 - Google Patents

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Description

本発明は、核磁気共鳴計測装置に係り、特に検出コイルを有する検出部を極低温に冷却することにより核磁気共鳴信号の検出感度を高めた低温プローブを備えた核磁気共鳴計測装置に好適なものである。
核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance:NMR)計測装置は、強く一様な静磁場中にさらされた核スピンと呼ばれる磁気モーメントを持つ核が、電磁波の特定周波数成分と共鳴する現象(核磁気共鳴現象)を利用して、検査サンプル(試料)の化学・物理的性質を明らかにすることを目的とした解析装置である。共鳴周波数は核種より異なるため、例えばタンパク質のような生体試料の分子構造の解析に適用されている。
従来の核磁気共鳴計測装置に用いる低温プローブとしては、特開2004−233337号公報(特許文献1)に示されたものがある。この核磁気共鳴低温プローブは、検出部を冷却した結果生じる、支柱の収縮に伴う検出部の位置ずれを、できる限り小さく抑えることができるようにするためになされたものであり、磁石内に挿入される筒状部(筒状容器)を有する真空断熱容器と、この筒状部内に配置される検出コイルと同調整合回路で構成される検出部とを備え、検出部を冷却手段(冷却部)で冷却することにより核磁気共鳴信号の検出感度を高めるようにすると共に、筒状部に検出部を断熱部材を介して取り付けるようにしたものである。
また、従来のNMR分析装置としては、特開2004−309208号公報(特許文献2)に示されたものがある。このNMR分析装置は、NMR計測感度が向上するようにソレノイド型検出コイルを有する低温プローブを適用しても主磁場に対して垂直方向からの計測試料(サンプル)の挿入を可能とするためになされたものである。このNMR分析装置は、ある軸を軸心とするように導電体が巻回される第1のコイルと、同様に形成される軸心を共有する第2のコイルとが対向するように配置され、第1のコイルと第2のコイルとによって囲まれる空間内部に計測空間を含む磁場空間が形成されるNMR分析装置用マグネットを備えている。このマグネットには、前記軸心の方向から前記計測空間にアクセスするための第1のアクセスポートと、第1のアクセスポートと垂直な方向からアクセス可能な第2のアクセスポートとが設けられている。かかる構成によって、NMR信号を計測するためのソレノイド型検出コイルを備えた低温プローブが第1のアクセスポートより挿入され、測定される試料が第2のアクセスポートより挿入され、前記計測空間において前記低温プローブおよび試料位置を一致させてNMR計測が行なわれる。さらに、この特許文献2には、マグネットが超電導コイルを備え、前記軸心が水平方向となるようにマグネットが配置され、前記第1のアクセスポートが水平であり、第2のアクセスポートがマグネットを貫通して構成されていることが開示されている。
特開2004−233337号公報 特開2004−309208号公報
上述した特許文献1の核磁気共鳴低温プローブでは、筒状部と検出部とを断熱部材は筒状部と検出部とのみ連結されているため、大気温度である筒状部の熱が全て極低温である検出部へ伝わることとなり、大きな熱量が伝達されることにより検出部の温度が上昇して検出感度が低下する、という問題があった。また、この特許文献1の核磁気共鳴低温プローブでは、筒状部と検出部とが直接対面しているため、筒状部から検出部へ大きな輻射熱量が与えられることなり、この点からも検出部の温度が上昇して検出感度が低下する、という問題があった。
また、上述した特許文献2のNMR分析装置では、低温プローブの内部構造については具体的に示されておらず、大気温度である筒状部と極低温である検出部との熱の移動については何ら開示されていない。特に、この特許文献2のNMR分析装置のように、NMR信号を計測するためのソレノイド型低温プローブを備えた低温プローブが第1のアクセスポートより挿入され、測定される試料が第2のアクセスポートより挿入される場合には、冷却部の熱収縮により、検出部とサンプルを挿入する部分とが接触することで検出部の温度が上昇し、検出感度が大幅に低下したり、検出部とサンプルを挿入する部分との衝突によりこれらが損傷したりするおそれがあった。
本発明の目的は、核磁気共鳴信号の検出感度の優れた核磁気共鳴計測装置を提供することにある。なお、本発明のその他の目的と有利点は以下の記述から明らかにされる。
前述の目的を達成するために、本発明は、アクセスポートを有するマグネットと、前記アクセスポート内に検出部を挿入して前記マグネットに取り付けられる低温プローブとを備え、前記低温プローブは、前記アクセスポートに挿入されると共に容器内部を真空に維持する筒状容器と、検出コイルを有し前記筒状容器の内部に設置される検出部と、前記筒状容器の内部に設置されると共に前記検出部を極低温に冷却する冷却部とを備えている核磁気共鳴計測装置において、前記検出部と前記筒状容器との間に設置されると共に前記筒状容器と前記検出部との中間温度に冷却される輻射シールドを設置し、前記筒状容器と前記検出部とを連結体により固定すると共に、この連結体を前記輻射シールドに熱的に接続したことにある。
係る本発明のより好ましい具体的な構成例は次の通りである。
(1)前記連結体を前記筒状容器から前記輻射シールドを貫通して前記検出部まで延びるように形成して前記筒状容器と前記検出部とを直接的に連結して固定すると共に、前記連結体の中間部分を前記輻射シールドに熱的に接続したこと。
(2)前記筒状容器と前記輻射シールドとを連結して固定する第1の連結体と、前記輻射シールドと前記検出部とを連結して固定する第2の連結体とから前記連結体を構成したこと。
(3)前記アクセスポートに挿入される前記筒状容器の軸心と前記検出コイルの軸心とが垂直に交差するように前記筒状容器及び前記検出コイルを配置し、前記検出部の筒状容器軸心方向外側と前記筒状容器とを前記連結体で連結して固定したこと。
(4)前記検出部の筒状容器軸心方向外側に前記冷却器を並置し、前記冷却器の設置位置の反対側位置に前記連結体を設置したこと。
(5)前記冷却器の筒状容器軸心方向外側に冷媒を供給・排出する冷媒配管を接続し、前記冷媒配管の設置位置の反対側位置に前記連結体を設置したこと。
(6)前記検出コイルの軸心部に同軸に前記筒状容器を貫通するサンプルポートを設け、前記サンプルポートの外側に同軸に前記輻射シールドを貫通する輻射シールド筒を設け、前記輻射シールド筒の外側に同軸に間隔を有して前記検出コイルを設置したこと。
(7)前記筒状容器と同軸の筒状部材で前記連結体を構成し、前記連結体の筒状部を熱伝導率の低い部材で構成すると共に、前記連結体の筒状部を熱伝導率の高い部材を全周に介して前記検出部に接続したこと。
(8)前記筒状容器と同軸の筒状部材で前記連結体を構成し、前記連結体の筒状部の端面
全周を熱伝導率の高い部材を介して前記検出部または前記輻射シールドに接続したこと。
(9)前記連結体は室温から極低温の検出コイル温度までの温度勾配が生じる連結体胴部を有し、前記連結体胴部を低熱伝導率、非磁性、低熱収縮率である石英ガラスで構成したこと。
本発明によれば、検出部を筒状容器に固定して検出部とサンプルとの位置精度を確保することができると共に、検出部を極低温に冷却した状態で筒状容器から検出部への熱の移動を低減して冷却部の温度上昇を抑制することができ、核磁気共鳴信号の検出感度の優れた核磁気共鳴計測装置を提供することができる。
以下、本発明の複数の実施形態について図を用いて説明する。各実施形態の図における同一符号は同一物または相当物を示す。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態の核磁気共鳴計測装置を図1から図3を用いて説明する。
本実施形態の核磁気共鳴計測装置100の全体構成に関して図1を参照しながら説明する。図1は本発明の第1実施形態の核磁気共鳴計測装置の全体構成を示す図である。なお、図1はスプリット型マグネットを用いた核磁気共鳴計測装置の構成例を示すものである。
核磁気共鳴計測装置100は、マグネット20、低温プローブ23、トランスファーチューブ22、冷却源21及び極低温冷凍機24を備えて構成されている。
マグネット20は、スプリット型超電導マグネットで構成され、複数のアクセスポート27、28が設けられている。アクセスポート27、28は、マグネット20を貫通すると共に、互いに交差するように形成されている。一方のアクセスポート27は、低温プローブ23を挿入するためのものであり、軸心40を有する水平のポートで形成されている。他方のアクセスポート28は、サンプル11(図2参照)を投入するためのものであり、軸心41を有する垂直のポートで形成されている。
また、マグネット20は、アクセスポート27の軸心40と同じ軸となるように導電体が巻回される第1のコイル20aと、同様に形成される軸心40を共有する第2のコイル20bとが対向するように分離して配置されている。第1のコイル20aと第2のコイル20bとによって囲まれる空間内部に計測空間を含む磁場空間が形成される。軸心40は、アクセスポート27及び第1のコイル20aの軸心となる他、低温プローブ23の軸心ともなる。軸心41は、アクセスポート28の軸心となる他、サンプル11及びサンプルポート5の軸心ともなる。
ここで、低温プローブ23を水平方向に挿入する構成としたことにより、マグネット20を支持する脚26の高さを低くすることができる。即ち、特許文献1のような縦型の低温プローブを使用する場合には、マグネット20の下方の床面に溝を設けて低温プローブを垂直なアクセスポートに挿入する必要があるが、本実施形態では、マグネット20を支持する脚26の高さを低くしても、低温プローブ23を水平方向に挿入することができることとなり、核磁気共鳴装置を設置するための部屋の条件が緩和される。また、本実施形態において、サンプルの交換はマグネット20の上方から行なうことができ、使い勝手の良いものである。
低温プローブ23は、マグネット20のアクセスポート27に挿入されると共に内部が空洞になった筒状容器12と、マグネット20の外部に設置されると共に筒状容器12よりも径が大きい拡大容器13とからなる真空容器15で外観が構成されている。筒状容器12は、アクセスポート27とアクセスポート28とが交差する部分よりも奥まで延びている。
低温プローブ23と冷却源21とはトランスファーチューブ22で連結されている。冷却源21には極低温冷凍機24が設置されている。冷却源21のヘリウムガスは、極低温冷凍機24により5K以下に冷却され、トランスファーチューブ22を介して低温プローブ23に移送されることにより、低温プローブ23の内部に設置した検出部3(図2参照)を5K以下に冷却する。
次に、低温プローブ23の詳細に関して図2を参照しながら説明する。図2は図1の核磁気共鳴計測装置における低温プローブ23の要部を示す断面図である。
低温プローブ23は、真空断熱容器15、輻射シールド8、検出部3、冷却部9及び連結体6を備えて構成されている。
真空断熱容器15は、上述したように、マグネット20のアクセスポート27に挿入される筒状容器12と、筒状容器12よりも径が大きくマグネット20の外部に設置される拡大容器13とから構成されている。筒状容器12の内部と拡大容器13の内部とは連通されており、共に減圧されて真空となっている。
筒状容器12の軸心40は、マグネット20のアクセスポート27に挿入する時、このアクセスポート27の軸心40と一致するように設置される。この筒状容器12には、筒状容器12の軸心40と垂直に交差した軸心41を有するサンプルポート5が設けられている。サンプルポート5はサンプル11を挿入するためのものであり、サンプルポート5の軸心41は、低温プローブ23をマグネット20に挿入・固定した状態で、マグネット20に設置されたアクセスポート28の軸心41と一致している。従って、サンプル11は、マグネット20のアクセスポート28を通してサンプルポート5に上方から簡単に挿入・取り外し可能である。
検出部3は、検出コイル1と回路部2とを備えて構成され、極低温に冷却された冷却器4に固定されて5K以下に冷却される。検出部3を5K以下に冷却することにより、検出部3による計測精度を格段に向上させることができる。回路部2は検出コイル1と共に共振回路を構成する。検出コイル1は、サンプルポート5の外側に、サンプルポート5の軸心41と同心状に設置されている。検出コイル1の検出中心は、サンプルポート5及びマグネット20のコイル20a、20bの軸心41と一致され、外部磁場源により印加される静磁場の磁場均一度の最も良い位置にセットされている。
冷却部9は、検出部3に固定された冷却器4と、冷却器4に固定された冷媒配管7とを備えて構成されている。冷却器4は、検出コイル1の円筒容器軸心方向外側で且つ拡大容器側に、検出コイル1と並置されている。
冷媒配管7は、トランスファーチューブ22を介して冷却源21と結合され、トランスファーチューブ22から真空断熱容器15内に入り、拡大容器側から冷却器4に延びて冷却器4内に至るように構成されている。外部の冷却源21で極低温に冷却されたヘリウムガスが冷媒配管7を流れることにより、冷媒配管7および冷却器4が冷却される。そして、冷却器4からの熱伝導および輻射により、検出コイル1及び回路部2は極低温に冷却される。
また、冷媒配管7は途中でフレキシブルな構造を持たせており、熱収縮によって冷媒配管7にかかる力の多くは、このフレキシブルな部分で吸収するようになっている。フレキシブルな構造は、例えばフレキシブルなベロー管であってもよく、L字型に曲げた配管部の弾性変形を利用したものであってもよい。
輻射シールド8は、室温に維持される筒状容器12およびマグネット外に設置される筒状容器よりも径が大きい容器13と、極低温に冷却される冷媒配管7、冷却器4及び検出部3(検出コイル1及び回路部2)との間に配置され、極低温に冷却される部分が受ける輻射熱量を小さくするようになっている。この輻射シールド8を設置することにより、検出部3を5K以下の低温とすることができる。
また、輻射シールド8は、検出部3及び冷却器4より冷却源側の部分を、熱伝導率が高く、非磁性材料である無酸素銅の輻射シールド部材8aで製作され、検出部3及び4の周りの部分を、熱伝導率が高く、非金属・非磁性材料である窒化アルミニウムの輻射シールド部材8bで製作されている。輻射シールド8は、検出コイル1の温度と室温(真空断熱容器15の温度)との中間温度に冷却されている。輻射シールド8の温度をより低温にすることにより、輻射シールド8に囲まれた極低温に冷却される部分への熱量を小さくすることができる。
さらに、輻射シールド8はサンプルポート5と同軸の輻射シールド筒14を設けている。この輻射シールド8は、サンプルポート5の外側で且つ検出コイル1の内側にそれぞれ間隔をあけて配置されている。
検出コイル1とサンプルポート5との距離をできるだけ近くに設置することが感度の上から望ましい。本実施形態では、検出コイル1は内径が10.8mmであり、サンプルポート5は内径5.6mm、外径6.6mmの薄肉円筒であり、サンプルポートと検出コイル1の間には、内径8mm、外形10mmの窒化アルミニウム製の輻射シールド筒14が設けられている。従って、検出コイル1と輻射シールド筒14の隙間は0.7mm、サンプルポート5と輻射シールド筒14との隙間は0.4mmとなっている。
連結体6は、室温である筒状容器12と極低温である検出コイル1とを連結して固定するものであり、輻射シールド8に熱的に接続されている。検出部3が筒状容器15に固定されることにより、冷却部9の熱収縮があっても検出部4とサンプル11との位置精度を確保することができる。また、筒状容器12からの熱の一部が輻射シールド8に移動されることより、検出部3への熱の移動が低減されて冷却部の温度上昇を抑制することができる。これらによって、核磁気共鳴信号の検出感度の優れた核磁気共鳴計測装置を実現できる。
また、アクセスポート27に挿入される筒状容器12の軸心と検出コイル1の軸心とが垂直に交差するように筒状容器12及び検出コイル1を配置し、検出部3の筒状容器軸心方向外側と筒状容器12とを連結体6で連結して固定しているので、検出部4の軸心とサンプル11の軸心との一致精度を確保することができ、核磁気共鳴信号の検出感度の優れたものとすることができる。
さらには、検出部3の筒状容器軸心方向外側に冷却器4及び冷媒配管7を並置し、冷却器4及び冷媒配管7の設置位置の反対側位置に連結体6を設置しているので、冷却器4及び冷媒配管7による熱収縮による検出部3の移動を阻止することができ、検出部4とサンプル11との位置精度を容易に確保することができる。
次に、連結体6の詳細に関して図3を参照しながら説明する。図3は図2の低温プローブにおける要部を示す断面図である。
連結体6は、室温である筒状容器12の先端部と固定される連結体先端部90と、室温から極低温の検出コイル温度までの温度勾配が生じる連結体胴部91、検出コイル1と固定される連結体根元部92とを備えて構成されている。
連結体胴部91は、低熱伝導率、非磁性、低熱収縮率という特徴を持つ材料で製作する必要があり、ここでは石英ガラスを使用している。石英ガラスの熱伝導率は、例えば100Kで0.54W/(m・K)、4Kで0.1W/(m・K)と低い値を持つ。また、石英ガラスの熱収縮率は、4Kまで冷却した時の熱収縮量が室温時の長さに対して約0.05%と低い値を持つ。温度勾配が生じる連結体胴部91では、熱伝導面積を小さくするため、断面が中空円筒状となっている。石英ガラスは非磁性であるため、マグネットから発生する強磁場の影響を受けることがなく、また均一磁場空間を乱すことがない。
室温部と同じ温度になる連結体先端部90は非磁性材料である真鍮で作られ、筒状容器12の先端部との固定用のネジが加工されている。連結体先端部90は軸方向で段差があり、筒状容器12の先端部との固定は、筒状容器12の先端部の真空側端面と、連結体先端部90の段差部の面を合わせることによって、筒状容器12の先端部の真空側端面からの距離を正確に一致させることができる。
連結体胴部91は、室温である筒状容器12との固定部と、極低温に冷却される他端の検出コイル1との固定部との間でフランジ95を備えており、このフランジ95を輻射シールドフランジ10と結合させている。これにより、フランジ95の温度を輻射シールド8の温度まで低下させることができ、連結体6から検出コイル1への熱伝導による侵入熱量の一部を輻射シールド8が負荷することとなり、検出コイル1への熱伝導による侵入熱量を低減することができる。
フランジ95の直径は、輻射シールド8の内径と等しいか、輻射シールド8の内径より小さくなっており、検出コイル1に連結体6を取り付けた後、輻射シールド8を取り付け可能な構造になっている。フランジ95の温度を輻射シールド8の温度と等しくするために、フランジ95は高熱伝導率・非磁性材料であるアルミニウムで製作されている。
連結体胴部91は、両端を熱伝導率の高い真鍮、窒化アルミニウムで固定され、フランジ95との結合部では、同様に熱伝導率の高いアルミニウムで固定されているため、各固定部では、連結体胴部91の周方向で温度分布を生じさせないことができる。したがって、連結体胴部91の軸方向で温度分布が均一となり、熱収縮による検出コイル1の傾きを抑制することができる。
連結体胴部91の内部には、連結体胴部91に取り付けられたフランジ95と連結体先端部90との間に位置して、積層断熱材99が設置されている。これにより、連結体先端部90から検出コイル1へ伝わる連結体胴部91の内面の輻射熱量を低減することができる。
検出コイル1及び回路部2が冷却され、例えば5K(−268℃)まで冷却された場合、全長1mの配管は約3mm熱収縮する。連結体6が無い場合、熱収縮により検出コイル1及び回路部2が3mm冷却源側に移動することになる。この移動量が検出コイル1と輻射シールド筒14の隙間である0.7mm、輻射シールド筒14とサンプルポート5の隙間である0.4mmよりも大きくなるため、室温で熱収縮しないサンプルポート5と接触するだけでなく、検出コイル1が破壊されてしまう可能性が高い。
しかし、連結体6で筒状容器12の先端部に検出部3を固定した場合には、筒状容器12の先端部から検出コイル1までの距離の熱収縮量は連結体胴部90の熱収縮量と等しいと考えてよく、例えば全長70mmの連結体胴部91を用いた場合、検出コイル1を5Kまで冷却した時の連結体胴部91の熱収縮量は0.035mmである。サンプルポート5とサンプルポート5の周囲に設置される輻射シールド筒14の隙間は0.7mm、サンプルポート5の周囲に設置される輻射シールド筒と検出コイル1の内径との隙間は0.4mmであり、連結体6で筒状容器12の先端部より固定したことにより、熱収縮に伴う検出コイル1の移動量が、検出コイル1と輻射シールド筒14の隙間よりも小さくなるため、検出コイル1と輻射シールド筒14が接触することがなくなり、温度が低温に維持されるとともに、検出コイル1が破壊されることがなくなる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図4を用いて説明する。図4は本発明の第2実施形態の核磁気共鳴計測装置の低温プローブの要部を示す断面図である。この第2実施形態は、次に述べる点で第1実施形態と相違するものであり、その他の点については第1実施形態と基本的には同一であるので、重複する説明を省略する。
この第2実施形態では、連結部6は、室温である筒状容器12の先端部と固定される連結体先端部90と、室温から輻射シールド温度までの温度勾配が生じる連結体第1胴部8第1の連結体)96と、輻射シールド温度から極低温の検出コイル温度までの温度勾配が生じる連結体第2胴部(第2の連結体)98と、検出コイル1と固定される連結体根元部92と備えて構成されている。
連結体第1胴部96および連結体第2胴部98は、低熱伝導率、非磁性、低熱収縮率という特徴を持つ材料で製作する必要があり、ここでは石英ガラスを使用している。温度勾配が生じる連結体第1胴部96および連結体第2胴部98では、熱伝導面積を小さくするため、断面が中空円筒状となっている。
連結体第1胴部96および連結体第2胴部98は、輻射シールドフランジ10を挟んだ形で固定される。輻射シールドフランジ10の両面中心部には円筒状の突起を設けており、円筒状突起の直径を連結体第1胴部96および連結体第2胴部98の中空円筒断面の内径と等しくすることで、検出コイル1と輻射シールドフランジ10との軸心を揃えることができる。
連結体第1胴部96と連結体第2胴部98とを、それぞれを輻射シールドフランジ10に固定することにより、連結体第1胴部96と連結体第2胴部98が直接結合した部分がなくなり、輻射シールドフランジの温度で連結体6から検出コイル1への熱伝導による進入熱量をより小さくすることができる。
また、連結体第1胴部96および連結体第2胴部98と輻射シールドフランジ10との固定部が、連結体第1胴部96および連結体第2胴部98の側面ではなく端面で接触することにより、端面全体が均一温度となるため、連結体第1胴部96および連結体第2胴部98の周方向の温度分布を均一化する。そのため、連結体第1胴部96および連結体第2胴部98の熱収縮量が周方向で均一となり、検出コイル1の軸が傾くことを防止できる。
筒状容器12の先端部より固定した場合には、筒状容器12の先端部から検出コイル1までの距離の熱収縮量は連結体第1胴部96と連結体第2胴部98の各熱収縮量の和である。例えば全長40mmの連結体第1胴部96と全長30mmの連結体第1胴部98を冷却した場合、連結体第1胴部96の熱収縮量は0.020mm、連結体第2胴部の熱収縮量は0.015mmであり、その総和は0.035mmである。サンプルポート5とサンプルポート5の周囲に設置される輻射シールド筒14との隙間は0.7mm、サンプルポート5の周囲に設置される輻射シールド筒と検出コイル1の内径との隙間は0.4mmである。連結体6で筒状容器12の先端部より固定したことにより、熱収縮に伴う検出コイル1の移動量が、検出コイル1と輻射シールド筒14の隙間よりも小さくなるため、検出コイル1と輻射シールド筒14が接触することがなくなり、温度が低温に維持されるとともに、検出コイル1が破壊されることがなくなる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図5を用いて説明する。図5は本発明の第3実施形態の核磁気共鳴計測装置を示す構成図である。この第3実施形態は、次に述べる点で第1実施形態と相違するものであり、その他の点については第1実施形態と基本的には同一であるので、重複する説明を省略する。
この第3実施形態では、低温プローブ23を挿入するためのアクセスポート27が図5に示す軸心40を有する垂直のポートで形成され、サンプル11を投入するためのアクセスポート28が図5に示す軸心41を有する垂直のポートで形成されている。
この第3実施形態によれば、マグネット20の下方の床面に低温プローブ23をマグネット20に挿入するための溝を設ける必要があるが、マグネット20の上方に必要なスペースがなくなるため、核磁気共鳴装置を設置するための部屋の条件がこの点で緩和される。
本発明の第1実施形態の核磁気共鳴計測装置の全体構成を示す図である。 図1の核磁気共鳴計測装置における低温プローブの要部を示す断面図である。 図2の低温プローブにおける要部を示す断面図である。 本発明の第2実施形態の核磁気共鳴計測装置の低温プローブの要部を示す断面図である。 本発明の第3実施形態の核磁気共鳴計測装置を示す構成図である。
符号の説明
1…検出コイル、2…回路部、3…検出部、4…冷却器、5…サンプルポート、6…連結体、7…冷媒配管、8…輻射シールド、9…冷却部、10…輻射シールドフランジ、11…サンプル、12…筒状容器、13…拡大容器、14…輻射シールド筒、15…真空断熱容器、20…マグネット、20a…第1のコイル、20b…第2のコイル、21…冷却源、22…トランスファーチューブ、23…低温プローブ、24…極低温冷凍機、26…マグネット脚、27…マグネット水平方向アクセスポート、28…アクセスポート、40…軸心、41…軸心、90…連結体先端部、91…連結体胴部、92…連結体根元部、95…連結体フランジ、99…積層断熱材。

Claims (10)

  1. アクセスポートを有するマグネットと、前記アクセスポート内に検出部を挿入して前記マグネットに取り付けられる低温プローブとを備え、
    前記低温プローブは、
    前記アクセスポートに挿入されると共に容器内部を真空に維持する筒状容器と、
    検出コイルを有し前記筒状容器の内部に設置される検出部と、
    前記筒状容器の内部に設置されると共に前記検出部を極低温に冷却する冷却部とを備えている核磁気共鳴計測装置において、
    前記検出部と前記筒状容器との間に設置されると共に前記筒状容器と前記検出部との中間温度に冷却される輻射シールドを設置し、
    前記筒状容器と前記検出部とを連結体により固定すると共に、この連結体を前記輻射シールドに熱的に接続した
    ことを特徴する核磁気共鳴計測装置。
  2. 請求項1に記載の核磁気共鳴計測装置において、前記連結体を前記筒状容器から前記輻射シールドを貫通して前記検出部まで延びるように形成して前記筒状容器と前記検出部とを直接的に連結して固定すると共に、前記連結体の中間部分を前記輻射シールドに熱的に接続したことを特徴とする核磁気共鳴計測装置。
  3. 請求項1に記載の核磁気共鳴計測装置において、前記筒状容器と前記輻射シールドとを連結して固定する第1の連結体と、前記輻射シールドと前記検出部とを連結して固定する第2の連結体とから前記連結体を構成したことを特徴とする核磁気共鳴計測装置。
  4. 請求項1に記載の核磁気共鳴計測装置において、前記アクセスポートに挿入される前記筒状容器の軸心と前記検出コイルの軸心とが垂直に交差するように前記筒状容器及び前記検出コイルを配置し、前記検出部の筒状容器軸心方向外側と前記筒状容器とを前記連結体で連結して固定したことを特徴とする核磁気共鳴計測装置。
  5. 請求項4に記載の核磁気共鳴計測装置において、前記検出部の筒状容器軸心方向外側に前記冷却器を並置し、前記冷却器の設置位置の反対側位置に前記連結体を設置したことを特徴とする核磁気共鳴計測装置。
  6. 請求項4に記載の核磁気共鳴計測装置において、前記冷却器の筒状容器軸心方向外側に冷媒を供給・排出する冷媒配管を接続し、前記冷媒配管の設置位置の反対側位置に前記連結体を設置したことを特徴とする核磁気共鳴計測装置。
  7. 請求項4に記載の核磁気共鳴計測装置において、前記検出コイルの軸心部に同軸に前記筒状容器を貫通するサンプルポートを設け、前記サンプルポートの外側に同軸に前記輻射シールドを貫通する輻射シールド筒を設け、前記輻射シールド筒の外側に同軸に間隔を有して前記検出コイルを設置したことを特徴とする核磁気共鳴計測装置。
  8. 請求項4に記載の核磁気共鳴計測装置において、前記筒状容器と同軸の筒状部材で前記連結体を構成し、前記連結体の筒状部を熱伝導率の低い部材で構成すると共に、前記連結体の筒状部を熱伝導率の高い部材を全周に介して前記検出部に接続したことを特徴とする核磁気共鳴計測装置。
  9. 請求項4に記載の核磁気共鳴計測装置において、前記筒状容器と同軸の筒状部材で前記連結体を構成し、前記連結体の筒状部の端面全周を熱伝導率の高い部材を介して前記検出部または前記輻射シールドに接続したことを特徴とする核磁気共鳴計測装置。
  10. 請求項1から9の何れかに記載の核磁気共鳴計測装置において、前記連結体は室温から極低温の検出コイル温度までの温度勾配が生じる連結体胴部を有し、前記連結体胴部を低熱伝導率、非磁性、低熱収縮率である石英ガラスで構成したことを特徴とする核磁気共鳴計測装置。
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