JP4312549B2 - 生産計画分析装置,生産計画分析方法及び生産計画分析プログラム - Google Patents
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Description
一方,生産効率向上,リードタイム短縮等を目的とする可能な取り組みには,1) 物(ワーク,部品等)の流し方をコントロールする生産計画の改良,2) 生産能力の過不足調整のための資源(人員,設備など)のシフト,3) 不足する資源能力を補うための資源能力の増強,4) 同一能力での生産性向上のための工程改善等があり,上記特許文献1に代表される従来のスケジューラは,上記項目1)に該当している。
この構成によって,スケジューリング結果,すなわち成功事例のみの情報では判明し得ない生産効率を向上させるための資源及び工程の改善に関する指針を得ることが可能となる。
このとき,上記生産指示が,生産すべき製品の製品種類についての情報を含むとともに,上記スケジューリング装置が,上記製品種類毎に当該製品を製造するために実行すべき工程についての情報を記憶する製品マスタ・データベース手段と,上記工程毎に使用する資源に関する情報を記憶する工程マスタ・データベース手段と,上記製品マスタ・データベース手段及び工程マスタ・データベース手段により記憶された情報に基づいて所定のアルゴリズムで上記生産指示を達成するために実行すべき工程と対応付けて定義した各ジョブの割付を行う割付手段とを有してなる構成が好ましい。
これにより,生産指示により生産が指示される製品(実施形態でいう加工品)の製品種類に応じて実行すべき工程を抽出し,抽出された加工品の各工程と対応付けてジョブを定義し,所定のアルゴリズムで各ジョブの割付を行ったときの失敗事例に関する情報から現時点の資源及び工程の問題点を抽出して,それを改善するための指針を得ることが可能となる。
また,上記情報抽出手段の抽出する失敗事例に関する情報が,上記ジョブを特定する情報,上記割付を試行したときの日時,上記割付に失敗した理由及び上記割付に失敗した資源を特定する情報を含む構成とすることが望ましい。
この構成によって,現時点における資源及び工程の有する問題点をより明確に捉えることが可能となる。
また,本発明は,更に,上記情報抽出手段により抽出される情報に基づいて上記資源及び/又は工程の改善に関する指標を演算する指標演算手段を備えて構成される。
この構成により,上記指標により資源及び工程における問題点の所在が明確になり,より適切な改善のための指針を得ることが可能となる。
このとき,上記指標演算手段が,所定期間における上記資源毎の上記失敗事例の個数を上記失敗の理由別に計数し,該計数値を上記資源の改善に関する指標として出力する構成とすることが好ましい。
これにより,能力が不足する資源を特定することができるとともに,その能力の不足が例えば当該資源の稼働時間が不適切であることに由来するものであるのか,その資源を操作する操作者などが不足するためであるのか,それとも能力が絶対的に不足しているのかといった明確な原因を特定することも可能となる。
また,上記指標演算手段が,所定期間に上記情報抽出手段により抽出された失敗事例に関する情報及び上記割付手段による割付結果を参照して,上記割付手段が1つの上記ジョブの割付に初めて失敗してから当該ジョブの割付に成功するまでの時間を滞留時間として算出する滞留時間算出手段と,上記滞留時間算出手段により各上記ジョブについて算出された上記滞留時間を,上記製品種類毎に上記工程により区別して集計する滞留時間集計手段とを有し,上記滞留時間集計手段による集計結果を上記資源の改善に関する指標として出力する構成とすることが望ましい。
これにより,滞留時間,すなわち待ち時間の発生しがちな製品と工程とを特定して,製品を製造する際に実施すべき工程についての明確な改善の指針を得ることができる。
また,上記指標演算手段が,上記資源毎に上記失敗事例の個数を計数し,該計数値の時間分布を上記資源の改善に関する指標として出力する構成とすることが考えられる。
これによって,資源毎に能力の不足しやすい時間帯などを特定して,当該資源の稼働時間帯を変更するなどの改善の指針を得ることができる。
また,上記指標演算手段が,所定期間における上記製品種類毎の上記失敗事例の個数を上記失敗の理由により区別して計数し,該計数値を上記資源の改善に関する指標として出力する構成とすることが望ましい。
これにより,能力の不足しがちな製品種類を特定するとともに,その理由を特定して資源及び工程の改善のための指針を得ることができる。
また,上記指標演算手段が,所定期間に上記情報抽出手段により抽出された失敗事例に関する情報及び上記割付手段による割付結果を参照して,上記割付手段が1つの上記ジョブの割付に初めて失敗してから当該ジョブの割付に成功するまでの時間を滞留時間として算出する滞留時間算出手段と,上記滞留時間算出手段により各上記ジョブについて算出された上記滞留時間を,上記資源毎に上記失敗の理由により区別して集計する滞留時間集計手段とを有し,上記滞留時間集計手段による集計結果を上記資源の改善に関する指標として出力する構成が好ましい。
これにより,待ち時間の発生しがちな資源を特定することができるとともに,その理由についての情報が得られるので,より適切な資源及び工程の改善のための指針を得ることができる。
また,上記指標演算手段が,所定期間に上記情報抽出手段により抽出された失敗事例に関する情報及び上記割付手段による割付結果を参照して,上記割付手段が1つの上記ジョブの割付に初めて失敗してから当該ジョブの割付に成功するまでの時間を滞留時間として算出する滞留時間算出手段と,上記滞留時間算出手段により各上記ジョブについて算出された上記滞留時間を,上記製品毎に上記失敗の理由により区別して集計する滞留時間集計手段とを有し,上記滞留時間集計手段による集計結果を上記資源の改善に関する指標として出力する構成が好ましい。
これにより,待ち時間の発生しがちな製品を特定することができるとともに,その理由についての情報が得られるので,より適切な資源及び工程のための指針を得ることができる。
また,上記情報抽出手段は,上記ジョブ毎に使用可能な資源が複数あり且つ上記割付手段がそのいずれの資源に対しても上記ジョブの割付に失敗したときに,当該失敗事例に関する情報を抽出する構成とすることが望ましい。
これにより,比較的無意味な情報の抽出を抑えて,生産効率を向上させる上でより正確な資源及び工程の改善についての情報を得ることができる。
また,更に,上記失敗事例の数を上記資源毎に計数する計数手段を備え,上記情報抽出手段は,上記計数手段による計数結果が最多である資源について上記ジョブの割付に失敗したときに,当該失敗事例に関する情報を抽出する構成とすることが好ましい。
これにより,処理すべき情報量を抑えながら,資源及び工程の改善の指針を得るのに必要な情報を抽出することが可能となる。
また,本発明は,与えられた生産指示を達成するための生産計画の立案を行うスケジューリング装置から生産計画を立案する処理の過程で得られる所定の情報を抽出する情報抽出手順を備えた生産計画分析方法であって,上記情報抽出手順は,上記スケジューリング装置が,与えられた生産指示を達成するために実行すべきジョブの資源への割付を試行したときの失敗事例に関する情報を抽出する生産計画分析方法において,上記情報抽出手順により抽出される情報に基づいて上記資源及び/又は工程の改善に関する指標を演算する指標演算手順を備えてなることを特徴とする生産計画分析方法として構成される。
また,本発明は,与えられた生産指示を達成するための生産計画の立案を行うスケジューリング装置から生産計画を立案する処理の過程で得られる所定の情報を抽出する情報抽出手順をコンピュータに実行させる生産計画分析プログラムであって,上記情報抽出手順は,上記スケジューリング装置が,与えられた生産指示を達成するために実行すべきジョブの資源への割付を試行したときの失敗事例に関する情報を抽出する生産計画分析プログラムにおいて,上記情報抽出手順により抽出される情報に基づいて上記資源及び/又は工程の改善に関する指標を演算する指標演算手順を備えてなることを特徴とする生産計画分析プログラムとして構成する事ができる。
図1に,本発明の一実施形態に係る生産計画スケジューラの機能ブロック図を示す。このスケジューラAは,割付機能1と,生産指示テーブル2,製品マスタ3,工程マスタ4,資源マスタ5,資源稼働カレンダ6,未割付ジョブリスト7,割付不能情報テーブル8及び割付情報テーブル9の各データベースとを備え,所定の生産ラインにおける生産計画の立案を行うとともに,資源,工程の改善に資するように生産計画の立案を行う過程で得られる割付不能情報を抽出するものである。
ここで,生産計画とは,与えられた生産指示を達成するように,生産すべき製品の全工程について,開始時刻,終了時刻,及び使用する資源を決定し,その結果をリスト化したものをいう。また,各工程について,開始時刻,終了時刻,及び使用する資源を決定する行為を割付という。なお,割付不能情報については後で詳しく説明する。
以下,スケジューラAの各機能を説明する。生産指示テーブル2は,与えられた生産指示に関する情報を例えば表形式で記憶する。
図2に,生産指示テーブル2の一例を示す。ここでは,個々の生産指示により生産が指示された製品の集合(ロット)を加工品と称するものとし,各加工品N1,N2,N3,N4の属性値として,当該加工品を特定するための生産指示コード(P01, P02, P03, P04),当該加工品として製造される製品の製品種類(製品M1,M2,M3,M4),生産の優先度(4,3,1,5)が記憶されている。
製品マスタ3は,各製品種類の工程に関する情報(工程の連なり,いわゆる工順)等を例えば表形式で記憶する。
図3に,製品マスタ3の一例を示す。ここでは,各製品(製品種類)について,当該製品を特定するための製品コード(J1,J2,J3),製品名称,工程数,工程の連なりについての情報(各工程の名称及びその工順)が記憶されている。
工程マスタ4は,総ての製品(製品種類)の各工程の連なりについての情報と,各工程の詳細についての情報を記憶する。
図4に,工程マスタ4の一例を示す。ここでは,各工程が製品(製品種類)毎に工順にしたがって並べられており,各工程について,工程コード(K11, K12, …),主資源(資源L1,資源L2,…),副資源(資源L10,資源L10,…)及び当該工程の所要時間(工程時間)が記憶されている。ここで,主資源とはその作業に使用される主要な資源であり通常は生産設備,生産装置である。また,副資源は,生産設備,生産装置の操作者などである。
資源マスタ5は,各資源に関する情報(名称,能力等)を記憶する。
図5に,資源マスタ5の一例を示す。ここでは,各資源L1,L2,…について,当該資源を特定するための資源コード(R01, R02, …),当該資源が主資源であるか副資源であるかの別が記憶されている。
資源稼働カレンダ6は,各資源の稼働可能な期間についての情報を記憶する。
図6に,資源稼働カレンダ6の一例を示す。ここでは,各資源L1,L2,…の稼働時間帯(9:00-12:00,13:00-17:00等)についての情報が記憶されている。
未割付ジョブリスト7は,生産指示テーブル2に記憶された各生産指示に対応する加工品を完成させるために実行すべきジョブの内,割付の済んでいない各ジョブに関する情報を記憶する。ここで,ジョブとは,生産ラインに存在する製品,すなわち各生産指示における加工品の工程を特定する呼び名である。
図7に,未割付ジョブリスト7の一例を示す。ここでは,各ジョブが加工品毎に工順に従って並べられており,各ジョブについて,当該ジョブを特定するためのジョブコード(P01-K11, P01-K12, …),当該ジョブにより製造される加工品に対応する生産指示の生産指示コード(P01,P02,…),当該ジョブと対応する工程の工程コード(K11,K12,…),当該ジョブが使用する主資源及び副資源,当該ジョブに対応する工程の所要時間(工程時間),当該ジョブにより製造される加工品の優先度が記憶されている。
割付機能1は,未割付ジョブリスト7にリストアップされた各ジョブを所定のアルゴリズムにより資源に割り付ける割付処理を実施する。この割付処理においては,未割付ジョブリスト7にリストアップされた各ジョブの中で所定の時点毎に割付を試行する割付対象ジョブテーブルが作成され,ここにリストアップされた各ジョブに対して例えば優先順位情報に基づいて割付が試行される。
ここで,割付に成功したジョブは未割付ジョブリスト7及び割付対象ジョブテーブルから削除されるとともに,その割付結果が割付情報として順次割付情報テーブルに出力され,記憶される。
また,割付機能1は,割付不能情報アクセス手段10を含んでおり,この割付不能情報アクセス手段10によって,割付を試行したが割付に成功しなかった失敗事例に関する情報が抽出され,割付不能情報として割付不能情報テーブル8に出力され,記憶される。
すなわち,割付不能情報テーブル8は,割付機能1が割付を試行したジョブについて,その失敗事例に関する情報を表形式で記憶する。
図8に,割付不能情報テーブル8の一例を示す。ここでは,割付を試行して失敗した各ジョブについて,当該ジョブのジョブコード,使用する資源(主資源及び副資源),割付試行日時,割付の失敗理由が記憶されている。失敗理由は定型化されており,例えば下記のような内容のものとされる。
主資源割付中:ジョブの使用する主資源が別のジョブに割り付けられた状態となっており,割り付けることができない,あるいは主資源のその時点における残り能力ではジョブを処理するのに必要な能力が確保できない。
副資源割付中:ジョブの使用する主資源は未割付の状態であったが,副資源が別のジョブに割り付けられた状態となっており,割り付けることができない。
主資源非稼働:ジョブの使用する主資源の稼働カレンダが,ジョブが必要とする稼働時間を満足しない(非稼働なタイミングがある)。
副資源非稼働:ジョブの使用する主資源は稼働状態であるが,副資源が稼働カレンダが,ジョブが必要とする稼働時間を満足しない(非稼働なタイミングがある)。
優先順位落ち:ジョブの使用する主資源,副資源ともに割付可能であったが,割付アルゴリズムにおいて他のジョブの実行優先度が高いため,割り付けることができない。
図9に,割付情報テーブル9の一例を示す。ここでは,割付を試行して成功した各ジョブについて,当該ジョブのジョブコード,工程コード,使用する資源(主資源及び副資源),使用開始日時,使用終了日時が記憶されている。
以下,上記図2乃至図7により示した例(設例と称する)を用いて,実施形態の割付機能1の割付不能情報アクセス手段10により割付不能情報を抽出する手順を具体的に説明する。
ここでは,説明の簡単化のために,各ジョブの割付を行う所定のアルゴリズムとして,製品種類毎にあらかじめ設定される優先度にしたがって割付を行う優先順位計画アルゴリズムを採用した場合を説明する。また,各工程で使用する主資源は1個,副資源は0又は1個とし,それらは1対1に対応するものとする。また,各製品(製品種類)の工程は,第1工程,第2工程,…の順に実施しなければならないものとする。また,計画開始時刻を2003年4月1日(以下,03/04/01のように表記する)の9時(以下,9:00のように表記する)として,この時刻から各ジョブの割付を行うものとする。
計画上の現在時刻(以下,計画日時という)を計画開始日時(03/04/01 9:00)に設定し,図2の生産指示テーブルから加工品N1〜N4毎の製品種類を抽出し,抽出された製品種類を参照して図4の工程マスタから各加工品N1〜N4を製造するために実施すべき総ての工程を抽出し,抽出された各工程をジョブとして定義する。ここで定義されたジョブのリストが図7に示す初期状態の未割付ジョブリストである。
次に,各加工品の第1工程から実施しなければならないという制約に基づいて,第1回目の割付試行において割付の対象となる各ジョブを抽出し,そのリスト(割付対象ジョブテーブルと称する)を作成する。
図10に,第1回試行の際(初期状態)における割付対象ジョブテーブルを示す。ここでは,各加工品N1〜N4の第1工程の各ジョブがリストアップされている。
次に,各ジョブの優先度を参照して割付を行う。具体的には,割付対象ジョブテーブルにリストアップされた各ジョブが使用する総ての資源を抽出し,抽出された資源について順次割付を行っていく。設例では,資源L1,L2,L3の順に割付を行うものとする。
資源L1については,ジョブコードがP01-K11, P02-K11の各ジョブが競合しているが,ジョブコードがP01-K11であるジョブ(以下,各ジョブを特定する符号としてジョブコードを用いる)の方が優先度(4)が高いので,このジョブが資源L1に対して優先的に割り付けられる。この時点では,主資源(L1),副資源(L10)ともに他に割り付いたジョブはなく資源の稼働時間についての条件も満足しているため,このジョブP01-K11に資源L1,L10が9:00-12:00の期間割り付けられる。また,この結果は,割付情報として割付情報テーブル9に出力され,記憶される。
また,同じ資源を使用するジョブP02-K11は,この時点では割り付けることができず,その結果が,割付不能情報として割付不能情報アクセス手段10により抽出されて,割付不能情報テーブル8に出力され,記憶される。
同様にして,他の資源(主資源)L2,L3についても割付がなされ,各ジョブP03-K21, P04-K31がそれぞれ割り付けられる。その結果が割付情報として割付情報テーブル9に記憶される。
この時点で,上記割付に成功した各ジョブP01-K11, P03-K21, P04-K31は,図8の割付対象ジョブテーブル及び図7の未割付ジョブリストから削除される。一方,割付に失敗したジョブP02-K11は,割付対象ジョブテーブルに残される。
図9に,その時点における割付対象ジョブテーブルを示す。
次に,上記割付に成功した各ジョブP01-K11, P03-K21, P04-K31についてその工程が最も早く終わるジョブを調べる。ここでは,ジョブP03-K21の工程時間が最短(1時間)であり,日時(03/04/01 10:00)に工程が終了するので,その日時に計画日時を設定する。
この時点(03/04/01 10:00)にジョブP03-K21が終了しているため,対応する加工品N3の第2工程のジョブP03-K22が割付対象ジョブテーブルに加わる(図12参照)。また,この時点に資源L2は使用状態から解放される。しかしながら,この時点で,割付対象ジョブテーブルにある各ジョブP02-K11, P03-K22が使用する資源(L1,L3)は使用中であり,割り付けることができないため,その結果が割付不能情報として割付不能情報テーブル8に記憶される(図16参照)。また,この時点において割付に成功するジョブはないので,割付対象ジョブテーブルの内容は,この試行の前後において同一である(図12参照)。
さらに,この時点で割付中の各ジョブP01-K21, P04-K31についてその工程が最も早く終わるジョブを調べる。ここでは,ジョブP04-K31の工程が日時(03/04/01 11:00)に終了するので,その日時に計画日時を設定する。
この時点(03/04/01 11:00)には,ジョブP04-K31が終了し,図13に示すように,次の工程に対応するジョブP04-K32が割付対象ジョブテーブルに加わるとともに,資源L3の使用状態が終了する。したがって,この時点の割付対象ジョブテーブルの中のジョブP03-K22の割付が可能となるが,ジョブP03-K22の工程時間が2時間であるのに対して図6の資源稼働カレンダによれば資源L3の稼働時間帯は期間(9:00-1200, 13:00-17:00)であるため,稼働時間が適切ではなく割付を行うことができない。この結果は,「稼働時間不足」という失敗理由が付された割付不能情報として割付不能情報テーブルに記憶される(図8参照)。また,他のジョブP02-K11,P04-K32については,「主資源割付中」という失敗理由が付された割付不能情報として割付不能情報テーブルに記憶される。
次に,計画日時は,ジョブP01-K11の工程が終了する日時(03/04/01 12:00)に設定される。この時点で,現在割付状態にあるジョブはなくなる。また,図14に示すように,ジョブP01-K11の次の工程に対応するジョブP01-K12が割付対象ジョブテーブルに加わるが,資源の稼働時間との関係で割付可能なジョブは存在しない。したがって,割付対象ジョブテーブルに挙がっている総てのジョブについて失敗理由が「稼働時間不足」である割付不能情報が割付不能情報テーブルに記憶される。
次に,計画日時は,図6の資源稼働カレンダの最も早い稼働開始時刻である(03/04/01 13:00)に設定される。
図15に示すように,この時点の割付対象ジョブテーブルは図14により示したものと同一であり,この中で,最も優先度の高いジョブP04-K32が資源L1に割り付けられる。また,資源L3にはジョブP03-K22が割り付けられ,それらの結果が割付情報として割付情報テーブル9に記憶される。また,この時点で割付に失敗した各ジョブP01-K12, P02-K11については,「優先順位落ち」という失敗理由が付された割付不能情報が割付不能情報テーブルに記憶される。
このようにして,未割付ジョブリストに残るジョブがなくなるまで割付試行が行われる。
ステップS1:計画日時を計画開始日時に設定する。
ステップS2:生産指示テーブル2,製品マスタ3及び工程マスタ4の各データベースに記憶された情報を参照して,生産指示を達成するために実行すべき総てのジョブを抽出し,抽出されたジョブに関する情報を未割付ジョブリスト7に記憶させる。
ステップS3:未割付ジョブリスト7に割付未済のジョブがあるか否かを判別する。ここで,割付の済んでいないジョブがなければ,つまり総てのジョブが割付済みであれば処理を終了する。割付未済のジョブがあれば,ステップS4に進む。
ステップS4:その時点においていずれかの資源に割り付いた割付状態のジョブがあるか否かを判別する。いずれかの資源に割り付いたジョブがある場合はステップS5に進み,ない場合はステップS6に進む。
ステップS5:割付状態にある各ジョブの完了日時の中で最も早い完了日時,あるいは割付状態のジョブが内場合は最も近い各資源の稼働開始日時に計画日時を設定する。
ステップS6:各加工品の工程情報によりその時点で割付を試行するジョブのリストである割付対象ジョブテーブルを作成する。
ステップS7:割付対象ジョブテーブルにリストアップされたジョブがあるか否かを判別する。ここで,ジョブがなければ処理を終了し,ジョブがあればステップS8に進む。
ステップS8:割付対象ジョブテーブルに含まれる主資源を抽出する。すなわち,割付対象ジョブテーブル及びその元となる未割付ジョブリストにはジョブ毎の使用資源についての情報が含まれるので,その情報を抽出する。これにより,今回割付が試行される各ジョブの使用する主資源のリストRが作成される。
ステップS9:ジョブが割り付いていない主資源を抽出する。これにより現時点で割付可能な主資源のリストLが作成される。
ステップS10:上記ステップS8で抽出された主資源のリストRから上記ステップS9で作成された主資源のリストLに含まれない主資源を除いて,リストRの内容を更新する。つまり,上記ステップS8で抽出された,割付対象候補の主資源のリストからその時点で使用中である主資源を除く。これにより,以下の手順において,今回,割付状態から解放された資源についてのみ割付を試行することができる。したがって,無駄な割付試行と冗長な割付不能情報の蓄積を防止することができる。なお,上記ステップS9とステップS10の手順を省略し,以下の手順において上記ステップS8で作成されたリストRをそのまま用いることも可能である。
ステップS11:上記ステップS10(又はステップS8)で作成されたリストRの中の1つの主資源(Ri)(Riは変数)を選び,割付対象ジョブテーブルからこれを使用するジョブ(Ji(Ri))(Jiは配列要素)を総て抽出する。
ステップS12:上記ステップS11のジョブ(Ji(Ri))を優先度の高いものから順に並べて,それぞれのジョブコードを配列(J1,J2,…)に格納するとともに,この中から初めは要素J1に対応する第1優先順位のジョブ(J1)を選ぶ。
ステップS13:選ばれたジョブ(Ji),初回はジョブ(J1)が当該主資源(Ri)に割付可能であるかを判別する。割付可能でない場合はステップS14に進み,割付可能である場合はステップS17に進む。
ステップS14:当該ジョブ(Ji)についての割付不能情報を割付不能情報テーブル8により記憶させる。
ステップS15:上記ステップS12で定義されるジョブ(Ji)の次順位のジョブ(Ji)があるかを判別する。次順位のジョブ(Ji)があればステップS16に進み,なければステップS22に進む。
ステップS16:当該次順位のジョブ(Ji)を選び,上記ステップS13に進む。
ステップS17:上記ステップS13においてジョブ(Ji)が主資源(Ri)に割付可能である場合は,当該ジョブ(Ji)の使用する副資源があるかを判別する。使用する副資源がある場合はステップS18に進み,ない場合はステップS20に進む。
ステップS18:ジョブ(Ji)を副資源に割付可能であるか否かを判別する。当該副資源への割付が可能でない場合はステップS19に進み,可能である場合はステップS20に進む。
ステップS19:当該ジョブ(Ji)についての割付不能情報(失敗理由は「副資源使用中」など)を割付不能情報テーブル8により記憶させ,上記ステップS15に進む。
ステップS20:当該ジョブ(Ji)についての割付結果を割付情報テーブル9により記憶させるとともに,当該ジョブ(Ji)についての情報を割付対象ジョブテーブル及び未割付ジョブリストから削除する。
ステップS21:残ったジョブの割付不能情報を割付不能情報テーブル8により記憶させる。残ったジョブは,当該ジョブJjが割り付いたことにより割り付けられなかったジョブであるため,割付不能情報テーブルに登録する。
ステップS22:上記ステップS10(又はステップS8)で作成された主資源のリストRに含まれる総ての主資源(Ri)について,上記ステップS11〜S21の手順,割付試行が行われたか否かを判別する。ここで,総ての主資源(Ri)について割付試行が行われた場合は上記ステップS4に戻り,総ての主資源(Ri)について割付試行が行われていない場合はステップS23に進む。
ステップS23:変数Riを値1だけインクリメントし,上記ステップS11に戻る。
以下,図19を参照しながら,割付不能情報テーブル8により記憶された割付不能情報と,割付情報テーブル9により記憶された割付情報とを用いた生産性分析の手法を説明する(請求項4)。
図19(a)は,所定期間(例えば一ヶ月)内に蓄積された割付不能情報に基づいて,割付不能が発生した回数を失敗理由により分類して資源毎に集計した結果をグラフ化したものである(請求項5)。これにより,どの資源の能力が不足しているのか,逆にどの資源の能力が無用に高すぎるのかが分かる。また,その原因は何であるのかが明確となり,資源の改善(能力の増強等)を行うための指針が得られる。
また,図19(b)は,所定期間(例えば一ヶ月)内に蓄積された割付不能情報に基づいて,製品(製品種類)毎の滞留時間を各工程(割付ができなかった工程)により分類して集計した結果をグラフ化したものである(請求項6)。ここで,滞留時間とは,あるジョブの1つの工程が終了し次の工程の割付が可能になった時点から,その工程の割付に成功するまでの時間である。
これにより,どの製品のどの工程で待ち時間が多く発生するのかが明らかとなり,工程を改善するための指針が得られる。また,他の分析結果と複合して用いることによって,より具体的な対策が可能となる。例えば,指定された工程における資源別の滞留時間を調べることによって,どの資源に問題があるのかを知ることができる。
また,図19(c)は,資源毎の割付不能回数の時間経過による推移をグラフ化した一例である(請求項7)。これにより,どの期間において,どの資源の割付不能が発生することが多いのかが明確になる。したがって,このグラフからどの期間の割付不能が多いかを見極めた後で,その期間について図19(a)のグラフを作成し,失敗原因を把握することによって,より効率的な分析が可能となる。
また,図19(d)は,所定期間(例えば一ヶ月)内に蓄積された割付不能情報に基づいて,製品(製品種類)毎の割付不能回数を失敗の理由別に分類して集計した結果をグラフ化したものである(請求項8)。
これにより,いずれの製品においてどのような理由により割付不能が発生するのかが明らかとなる。
また,図19(e)は,所定期間(例えば一ヶ月)内に蓄積された割付不能情報に基づいて,資源毎の滞留時間を失敗の理由別に集計した結果をグラフ化したものである(請求項9)。
これにより,いずれの資源においてどのような理由で待ち時間が多く発生するのかが明らかとなり,どの資源をどのように改善すべきかが明らかとなる。
また,図19(f)は,所定期間(例えば一ヶ月)内に蓄積された割付不能情報に基づいて,製品毎の滞留時間を失敗の理由別に集計した結果をグラフ化したものである(請求項10)。
図19(g)は,ある原因1回によって発生した滞留時間のグラフであり,図7と図9から得られる。この図により,どの原因での滞留の影響の傾向かが分かる。
即ち,これにより,いずれの製品の工程にどのような問題点があるのかが明らかとなり,どの工程を改善すべきかの指針が得られる。また,他の分析結果と複合して用いることによって,より具体的な対策が可能となる。例えば,指定された工程における資源別の滞留時間を調べることによって,どの資源に問題があるのかを知ることができる。
なお,図8により示したような割付不能情報を記憶する構成に代えて,資源毎の割付不能回数についての情報のみを残す構成も考えられる。この構成によって,記憶されるデータ量が飛躍的に少なくなって,割付不能情報の記録に要する時間が大幅に短縮される。この構成を用いた場合にはその代償として高精度な分析はできなくなるので,以下のような対策が必要である。
すなわち,割付不能情報テーブルとして2つのものを用意する。その第1のものは,図8に示すものと同様の情報を記憶する機能を有し,第2のものは資源毎の割付不能回数を計数して記憶する機能を有するものとする。ここで,第1の割付不能情報テーブルは,あらかじめ指定された資源についての割付不能情報のみを記憶する機能を有するものとして構成する。これらの割付不能情報テーブルを用いて,初めに割付不能回数の記録のみを行い,どの資源に割付不能が多発するかを調べる。その後,割付不能が多発する資源を第1の割付不能情報テーブルにおいて書き込み対象の資源として指定し,その資源についてのみ詳細な情報を記憶させる。これによって,どのような理由により割付不能が生じているのかのより合理的に行うことが可能となる(請求項12)。
また,各ジョブについて,使用可能な資源(主資源)が複数ある場合にはその総ての資源に対する割付が失敗したときにのみ割付不能情報を記憶させる構成とすることも考えられる(請求項11)。
2…生産指示テーブル
3…製品マスタ
4…工程マスタ
5…資源マスタ
6…資源稼働カレンダ
7…未割付ジョブリスト
8…割付不能情報テーブル
9…割付情報テーブル
Claims (13)
- 与えられた生産指示を達成するための生産計画の立案を行うスケジューリング装置から生産計画を立案する処理の過程で得られる所定の情報を抽出する情報抽出手段を具備し,
上記情報抽出手段は,
上記スケジューリング装置が,与えられた生産指示を達成するために実行すべきジョブの資源への割付を試行したときの失敗事例に関する情報を抽出するものを含むものである生産計画分析装置であって,
上記情報抽出手段により抽出される情報に基づいて上記資源及び/又は工程の改善に関する指標を演算する指標演算手段を備えてなることを特徴とする生産計画分析装置。 - 上記生産指示が,生産すべき製品の製品種類についての情報を含むとともに,
上記スケジューリング装置が,上記製品種類毎に当該製品を製造するために実行すべき工程についての情報を記憶する製品マスタ・データベース手段と,上記工程毎に使用する資源に関する情報を記憶する工程マスタ・データベース手段と,上記製品マスタ・データベース手段及び工程マスタ・データベース手段により記憶された情報に基づいて所定のアルゴリズムで上記生産指示を達成するために実行すべき工程と対応付けて定義した各ジョブの割付を行う割付手段とを有してなる請求項1記載の生産計画分析装置。 - 上記情報抽出手段の抽出する失敗事例に関する情報が,上記ジョブを特定する情報,上記割付を試行したときの日時,上記割付に失敗した理由及び上記割付に失敗した資源を特定する情報を含む請求項1又は2記載の生産計画分析装置。
- 上記指標演算手段が,所定期間における上記資源毎の上記失敗事例の個数を上記失敗の理由により区別して計数し,該計数値を上記資源の改善に関する指標として出力する請求項1〜3のいずれかに記載の生産計画分析装置。
- 上記指標演算手段が,
所定期間に上記情報抽出手段により抽出された失敗事例に関する情報及び上記割付手段による割付結果を参照して,上記割付手段が1つの上記ジョブの割付に初めて失敗してから当該ジョブの割付に成功するまでの時間を滞留時間として算出する滞留時間算出手段と,
上記滞留時間算出手段により各上記ジョブについて算出された上記滞留時間を,上記製品種類毎に上記工程により区別して集計する滞留時間集計手段とを有し,
上記滞留時間集計手段による集計結果を上記資源の改善に関する指標として出力する請求項項1〜3のいずれかに記載の生産計画分析装置。 - 上記指標演算手段が,上記資源毎に上記失敗事例の個数を計数し,該計数値の時間分布を上記資源の改善に関する指標として抽出する請求項項1〜3のいずれかに記載の生産計画分析装置。
- 上記指標演算手段が,所定期間における上記製品種類毎の上記失敗事例の個数を上記失敗の理由により区別して計数し,該計数値を上記資源の改善に関する指標として出力する請求項項1〜3のいずれかに記載の生産計画分析装置。
- 上記指標演算手段が,
所定期間に上記情報抽出手段により抽出された失敗事例に関する情報及び上記割付手段による割付結果を参照して,上記割付手段が1つの上記ジョブの割付に初めて失敗してから当該ジョブの割付に成功するまでの時間を滞留時間として算出する滞留時間算出手段と,
上記滞留時間算出手段により各上記ジョブについて算出された上記滞留時間を,上記資源毎に上記失敗の理由により区別して集計する滞留時間集計手段とを有し,
上記滞留時間集計手段による集計結果を上記資源の改善に関する指標として出力する請求項項1〜3のいずれかに記載の生産計画分析装置。 - 上記指標演算手段が,
所定期間に上記情報抽出手段により抽出された失敗事例に関する情報及び上記割付手段による割付結果を参照して,上記割付手段が1つの上記ジョブの割付に初めて失敗してから当該ジョブの割付に成功するまでの時間を滞留時間として算出する滞留時間算出手段と,
上記滞留時間算出手段により各上記ジョブについて算出された上記滞留時間を,上記製品毎に上記失敗の理由により区別して集計する滞留時間集計手段とを有し,
上記滞留時間集計手段による集計結果を上記資源の改善に関する指標として出力する請求項項1〜3のいずれかに記載の生産計画分析装置。 - 上記情報抽出手段は,上記ジョブ毎に使用可能な資源が複数あり且つ上記割付手段がそのいずれの資源に対しても上記ジョブの割付に失敗したときに,当該失敗事例に関する情報を抽出する請求項1〜9のいずれかに記載の生産計画分析装置。
- 更に,上記失敗事例の数を上記資源毎に計数する計数手段を備え,
上記情報抽出手段は,上記計数手段による計数結果が最多である資源について上記ジョブの割付に失敗したときに,当該失敗事例に関する情報を抽出する請求項1〜10のいずれかに記載の生産計画分析装置。 - 与えられた生産指示を達成するための生産計画の立案を行うスケジューリング装置から生産計画を立案する処理の過程で得られる所定の情報を抽出する情報抽出手順を備えた生産計画分析方法であって,
上記情報抽出手順は,
上記スケジューリング装置が,与えられた生産指示を達成するために実行すべきジョブの資源への割付を試行したときの失敗事例に関する情報を抽出する生産計画分析方法において,
上記情報抽出手順により抽出される情報に基づいて上記資源及び/又は工程の改善に関する指標を演算する指標演算手順を備えてなることを特徴とする生産計画分析方法。 - 与えられた生産指示を達成するための生産計画の立案を行うスケジューリング装置から生産計画を立案する処理の過程で得られる所定の情報を抽出する情報抽出手順をコンピュータに実行させる生産計画分析プログラムであって,
上記情報抽出手順は,
上記スケジューリング装置が,与えられた生産指示を達成するために実行すべきジョブの資源への割付を試行したときの失敗事例に関する情報を抽出する生産計画分析プログラムにおいて,
上記情報抽出手順により抽出される情報に基づいて上記資源及び/又は工程の改善に関する指標を演算する指標演算手順を備えてなることを特徴とする生産計画分析プログラム。
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