JP4311543B2 - 固体レーザ装置 - Google Patents

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本発明は、固体レーザ媒質を励起ランプにより励起する固体レーザ媒質の励起方法と、それを利用した固体レーザ装置に関するものである。
固体レーザ媒質としてYAGロッドを用い、これをパルス駆動する励起ランプからの励起光により励起してレーザ光をショット出力させて光ファイバ伝送し溶接などを繰り返すような加工が行われている。例えば、自動車の製造段階における溶接では、加工上600W以上の出力、コア径0.6mm以下の光ファイバ結合が要求されている。
ところで、長さが180mm以上の長いYAGロッドでは外径が7mmを超えると単ランプでは熱レンズ効果と片側照射による反りコア径0.6mmの光ファイバ結合は難しくなる。しかし、従来から知られている1つの固体レーザ媒質の両側に励起ランプを配し、これら2つの励起ランプからの励起光を双集光反射面により前記1つの固体レーザ媒質に対しその外径のほぼ一杯に集光させる方式(例えば、特許文献1参照。)によると、150mm程度のYAGロッドによっても600W程度の出力が得られ、コア径0.6mmの光ファイバ結合が可能である。また、左右からの対照的な励起によって固体レーザ媒質の熱歪みによる反りをキャンセルでき、必要な出力が600Wを超えて大きくなるにつれて、共振ミラー間にYAGロッドおよび励起ランプの組を複数直列に配置するタンデム構造として対応することが行われている(例えば、特許文献2参照)。
特開平05−063268号公報(図1、図10) 特開2001−127361号公報(図1、図4、図5)
しかし、上記のようなツインランプ構成の固体レーザ装置では装置が複雑で大型化するし、高価にもつく。また、固体レーザ媒質まわりの水没環境域を固体レーザ媒質の両端部で封止し、大気との間をシールするOリングが固体レーザ媒質からのレーザ光によってダメージを受けないように、Oリング近傍に及ぶレーザ光をアパーチャにより遮断するようにしており、結果的に、固体レーザ媒質からのレーザ光にけられによるロスが発生する。このため、励起光を固体レーザ媒質の外径のほぼ一杯に集光させることにより、固体レーザ媒質のボリュームの全体を有効利用できるようにしながらそれを活かせず、出力効率向上の限界になっている。その上、固体レーザ媒質における前記ロス範囲にも励起による熱歪みが発生する不合理があり、寿命低下の原因にもなっている。
これらにつき、本発明者等が種々に実験をしながら研究を重ねたところ、180mm以上の長いYAGロッドでも固体レーザ媒質の外径ないしは水没環境を封止する封止部の径に対する励起域を制限することによって熱歪みが抑えられ、その分、固体レーザ媒質の長尺化によるボリュームおよび出力の増大が図れることを知見した。
本発明の目的は、このような新たな知見に基づき、小型で高出力、長寿命、低コストな固体レーザ装置が得られる固体レーザ媒質の励起方法とそれを利用した固体レーザ装置を提供することにある。
上記目的を達成させるために、本発明の固体レーザ装置は、内側に2つの焦線を持った集光反射面を形成した集光器と、前記集光器内の、一方の焦線側に配置されランタノイド希土元素をドープした円筒形状の固体レーザ媒質と、前記集光器の他方の焦線側に配置され、円形断面と前記固体レーザ媒質とほぼ同じ長さとを有し、前記固体レーザ媒質を励起するための発光径が前記固体レーザ媒質の外径よりも小さく、セリウムドープされた励起ランプと、前記固体レーザ媒質の両側に配置された出力ミラーおよびリアミラーと、これらミラー間に位置して前記固体レーザ媒質からの前記励起によるレーザ光の通過域を規制するアパーチャとを備え、前記固体レーザ媒質の長さが180mm以上、前記出力ミラーおよびリアミラーがなす共振器長が500mm以上、前記アパーチャのアパーチャ径および前記励起ランプの発光径がほぼ等しく、かつ前記固体レーザ媒質の外径よりも小さく、集光反射面は励起ランプからの励起光を固体レーザ媒質に対しその外径よりも小さい集光
径にて集光させるようにし、前記固体レーザ媒質は、その両端部をOリングにより支持して水没環境を封止すると共に、前記外径を前記両端部にて満足し、前記両端部間は前記励起ランプの発光径およびアパーチャ径と同等であることを特徴としている。
このような構成では、励起ランプの発光径が固体レーザ媒質の外径よりも小さい関係から1:1の集光比にても固体レーザ媒質はその両端部の外径よりも小さな集光径を持つように、集光器および励起ランプによる励起が行われて、固体レーザ媒質の前記集光径に見合った範囲で励起によるレーザ光が発生して出射し、加工などに供することができる。つまり、固体レーザ媒質はその外径に対する励起域が制限されて外周部層は励起が及ばない分だけ熱歪みが抑えられる。これにより、1つの励起ランプの片側からの励起によっても固体レーザ媒質の寿命は高まり、主として長尺化による出力の増大が図れて、固体レーザ装置の簡略化、小型化、低コスト化が実現する。特に、180mm以上の長さの固体レーザ媒質を用いることによりゲインを高められるため出力効率が従来の3%程度に比して4%程度と向上し、1KW以上の出力が得られる上に、熱歪みによる寿命低下が大きく緩和されて数億ショットという従来の数倍の寿命が実現している。また、外径を7mm以下として0.6mm以下の集光も可能である。さらに、必要な出力を得るための励起ランプの駆動電流を抑えられるので、ランニングコストが低減するし、超高速のIGBTを電流制御に用いて制御周波数を高められる。また、低電流で大きなパワーが得られるためIGBTにより電流制御するのにその寿命上従来困難であった周波数の上限500PPSを超えて700PPS〜1KPPSを実現することができる。しかも、励起ランプからの励起光を固体レーザ媒質に対しそのアパーチャ径とほぼ同径な中間部より大きい両端部の外径よりも小さい集光径にて集光させるので、集光上、励起域、レーザ光発生域を抑えた分だけ固体レーザ媒質の外径での水没環境を封止する封止部にレーザ光がより及ばないようにすることができる上、励起ランプによる集光径がアパーチャのアパーチャ径とほぼ一致し異常発振光だけを遮光して封止のためのOリングにダメージを与えることなくアパーチャによるこれら損失がさらに低減するので出力効率がさらに向上する。また、固体レーザ媒質に対しその外径よりも小さく、アパーチャ径にほぼ等しい集光径をもって集光させるのに、励起ランプの発光系がそれらアパーチャ径および集光径にほぼ等しいことにより、集光器における集光反射面の通常の楕円形状による集光比1:1の通常の集光状態にて簡単かつ確実に安定して達成することができる。
前記励起ランプは、キセノンフラッシュランプであり、ガス圧が600Pa以上である、さらなる構成では、
励起ランプは固体レーザ媒質の長大化に見合った長さの増大によって電子ビームの長行路化による十分な減速に加え、キセノンは原子量が大きく電子ビームを減速させるので、電子ビームがランプ電極に与える衝撃を緩和してランプ寿命を高めるのに好適であり、ガス圧を600Pa以上とすることによって発光密度が高まり十分な発光出力が得られる。
出射ミラーの後段にカップリングした光ファイバを備え、この光ファイバのコア径が、
アパーチャ径の1/15である、さらなる構成では、
1/15の集光比にて透過出力1KW、100%近い透過率で光ファイバを透過させることができ、0.6mm以下の集光状態を得るのに好適である。
前記固体レーザ媒質のリアミラー側またはおよび出力ミラー側に、リアミラー側またはおよび出力ミラー側のOリングにリアミラーまたはおよび出力ミラーからのレーザ光が及ぶのを遮断するプロテクタ径を有したプロテクタを備え、前記プロテクタ径が前記集光径およびアパーチャ径と同等である、さらなる構成では、
Oリングを専用のプロテクタによってレーザ光から保護することができ、特に専用であることにより、その保護のための独自な配置や形態、材質などとして異常発振するレーザ光にも十分配慮しながら、プロテクタ径がアパーチャ径と同等であることにより、アパーチャ以上にレーザ光にけられが生じるのを防止し、出力効率が低下しないようにすることができる。
プロテクタは、対応するOリングの端部から5mm以内の位置に配置する、さらなる構成では、
Oリングとプロテクタとの間からOリングに異常発振光が働くようなことを防止することができ、このような意味ではプロテクタはOリングに近いほどよい。しかし、近すぎるとプロテクタのOリング側の端面で反射するレーザ光がOリングに及ぶので、1.5mm程度以上とするのが好適であり、より好適には1.5〜3mm程度とする。
出力ミラーおよびリアミラーのミラー面近傍にレーザ光の通過域を規制するアパーチャを設けた、さらなる構成では、
これらアパーチャがプロテクタと互いの邪魔なく協働してより多くの個所にてレーザ光に働くので、レーザ光の整形性、所定位置への集光性を高められ、0.6mm以下の集光にて光ファイバに入力させるのに好適であるし、異常発振したレーザ光を遮断しやすい利点もある。
リアミラーと固体レーザ媒質との間に光軸に対し傾けて配置され、レーザ光の外部出力を阻止する内部シャッタを備えた、さらなる構成では、
リアミラーと固体レーザ媒質との間に配置した内部シャッタであるため、外部出力側のような高いパワーのレーザ光に曝されないで、外部出力を遮断することができるし、シャッタは光軸に斜めに配置したので通過を遮断するレーザ光を光軸外に向け反射させてダメージを受けにくくすることができるので、寿命が向上する。また、内部シャッタにより通過を遮断されるレーザ光は光路外へ反射されて、Oリング側に向かうようなことがあっても前記のような専用のプロテクタによってそれを遮断することができるのでOリングにダメージを与えるようなことがない。
励起電流を制御してレーザ光を所定の出力エネルギにて繰り返しショット出力して加工に供するのに、所定回数目ごとの出力エネルギを検出する検出手段と、この検出された出力エネルギに基づき次の所定回目までのショット出力時に所定のエネルギになるように拡大、縮小係数を変化させて励起電流を制御する制御手段とを備えた、さらなる構成では、
励起電流に対する外部出力の関係をショット出力単位のエネルギによって計測して、これが目標エネルギになるように次のショット出力に対する励起電流の拡大、縮小係数を変える制御をするので、設定した出力波形を特に変化させることなくエネルギに過不足ないよう出力を安定させられる。また、この制御は前のショット出力について行った計測を次のショット出力の電流制御に生かすショット出力単位のフィードバック制御となるので、もし加工時の生産タクトや加工動作を加工中に切り換えることにより固定レーザ発振器の熱レンズ効果やミラー平行度に変動が生じてもこれの影響に対しリアルタイムに対応して出力を精度よく安定させられる。それには、前記拡大、縮小係数を変化させる割合を波形やエネルギ、周波数、熱レンズ効果の大小などに応じて設定すればよい。また、加工に必要なショット出力の目標エネルギの設定があれば、初回のショット出力が目標エネルギを満足するような関係になくても、言い換えるとそのような関係を予め計測して設定しておくような手間を省略しても、初回のショット出力にて計測した関係から次のショット出力が目標エネルギになる励起電流と出力との適正な関係を得て設定通りの出力にて加工ができるようにするので、加工が不良となる確立の高い初回のショット出力だけをダミーとする簡単な対応にて短時間に立ち上げることができる。
固体レーザ媒質から出力ミラー側またはおよびリアミラー側の光軸を可変とした、さらなる構成では、
固体レーザ媒質の長尺化などボリューム増大に伴うドープ密度のバラツキの増大によって、機械加工などにより得ている光軸に対してレーザ光の発振ビームの光軸が必ずしも一致しないことに対して、固体レーザ媒質から出力ミラー側またはおよびリアミラー側の光軸の角度などを調節することにより固体レーザ装置ごとに簡単に調整し適性化できる。
光軸は、固体レーザ媒質の水没環境を封止するOリング部を支点に可変とする、さらなる構成では、
Oリングによる水没環境の封止に影響せずに、前記のような光軸調整がミラーやアパーチャ、プロテクタなどの光学機器を伴い調整できる。
本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の詳細な説明および図面の記載によって明らかになる。本発明の各特徴は、それ単独で、あるいは可能な限りにおいて、種々な組合せで複合して採用することができる。
以下、本発明の実施の形態に係る固体レーザ媒質の励起方法とそれを利用した固体レーザ装置につき、図1〜図8を参照しながら詳細に説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の説明は本発明の具体例であって、特許請求の範囲の記載を限定するものではない。
本実施の形態に係る固体レーザ装置は図1に示すような全体構成を有している。これにつき説明すると、固体レーザ装置の本体部分である固体レーザ発振器12と、この固体レーザ発振器12に備える励起ランプ14を駆動する駆動回路30とを備えている。固体レーザ発振器12は、丸棒状の固体レーザ媒質13と、この固体レーザ媒質13の近傍箇所に平行に配置される単一で丸棒状の励起ランプ14と、内側に2つの焦線を持った集光反射面の、一方の焦線位置に固体レーザ媒質13を収納、配置し、他方の焦線位置に励起ランプ14を収納、配置した集光器40と固体レーザ媒質13の光軸上の両側に配置されたリアミラー18と出力ミラー19とで構成され、駆動回路30は前記励起ランプ14を駆動する。リアミラー18および出力ミラー19は励起ランプ14からの励起光14aの照射によって励起された固体レーザ媒質13から発生するレーザ光20を正帰還してレーザ発振を実現する光共振器17をなし、発生したレーザ光20を通過させる円形の光通過孔を有した出力側のアパーチャ21a、およびリア側のアパーチャ21bを備え、これら2つでレーザ光20を整形するようにしている分だけ整形度が高まる。しかし、基本的にはいずれか1つ、好適には出力側の1つでもよい。
前記出力側のアパーチャ21aおよび出力ミラー19を通過したレーザ光20は、凹レンズと凸レンズの組み合わせからなるビームエキスパンダ23によって平行光を維持して拡径される。ビームエキスパンダ23を通過したレーザ光20は集光レンズ28により集光して光ファイバ29に入射させる光ファイバ結合によって加工などに供される。集光レンズ28は例えば焦点距離が30〜50mm程度の回折限界集光レンズである。
駆動回路30は、交流電源31の商用交流電力を整流回路32によって直流電力に変換し、この直流電力により電解コンデンサ33を充電し、この電解コンデンサ33の充電電荷を、チョッパ回路35によって所定のチョッピング周期でスイッチング制御されるスイッチング素子34を介して放電させた後、この放電電流をリアクタンス素子37および逆流防止用ダイオード38を介して励起ランプ14の電極に供給している。これにより、励起ランプ14はフラッシュ制御されて固体レーザ媒質13を励起するので、固体レーザ媒質13はパルス励起されてレーザ光20を所定の周期でショット出力する。上記スイッチング素子34としては、本実施の形態において電圧制御形トランジスタであるIGBTが用いられている。このスイッチング素子34は印加電圧が制御されることによって電解コンデンサ33の放電電流を制御する。また、リアクタンス素子37は、電流チョッピング周期を最適化するよう機能する。
集光器40は、例えば、横断面楕円形の内面に金めっきして集光反射面とされている。集光反射面は、いわゆる双楕円形集光反射面とは異なり、幾何学の原理によって一方の焦線位置に配置された励起ランプ14から出た励起光14aの全てを反射させて他方の焦線位置に配置された固体レーザ媒質13に集光させることができ、1本の励起用ランプ14から出射する励起光に対する固体レーザ媒質13の励起効率が格段に向上する。なお、集光器には、上記楕円形集光反射面に代えて、放物線形集光反射面などを形成したものでもよい。要は励起ランプ14から出射した励起光14aの全てを固体レーザ媒質13に集光できるものであればよい。
本実施の形態では、特に、励起ランプ14によって固体レーザ媒質13を励起する励起方法として、図2の例、図3の例、図4の例、図5の例でそれぞれ示すように、励起ランプ14からの励起光14aを集光器40の集光反射面により、固体レーザ媒質13に対しその外径dYよりも小さな集光径dAにて集光させることにより励起し、レーザ光20を出射させることを基本的な特徴としている。固体レーザ媒質13はその外径dYよりも小さな集光径dAを持った励起光14aの集光が行われると、固体レーザ媒質13における外径dY内の前記集光径dAに見合った範囲で励起によるレーザ光20が発生して出射する。
つまり、固体レーザ媒質13はその外径dYに対する励起域が前記集光径dAの範囲に制限されて、励起域から外れる外周部層13aはそこに励起が及ばない分だけ熱歪みが抑えられる。また、片側からのアンバランスな励起に起因した反りも緩和できる。これにより、1つの励起ランプ14の片側からの励起によっても固体レーザ媒質13の寿命は高まり、主として長尺化によるボリュームおよび出力の増大が図れる。この結果、固体レーザ装置の簡略化、小型化、低コスト化が実現し、併せて、0.6mm以下の集光を可能とする7mm以下の外径dYでの実用にも対応できる。しかも、励起域、レーザ光発生域を抑えた分だけ固体レーザ媒質13の外径dYでの水没環境を封止する封止部にレーザ光20が及ばないようにすることができ、アパーチャ21a、21bは固体レーザ装置から出力するレーザ光20を整形する程度でよくなり、封止のためのOリング51にダメージを与えることなくアパーチャ21a、21bによるけられ損失が低減するので出力効率が向上する。さらに、必要な出力が高くなる分だけ励起ランプ14の駆動電流を抑えられるので、ランニングコストが低減するし、スイッチング素子34として超高速のIGBTを電流制御に用いて制御周波数を高められる。
ここで、励起光14aの集光位置は固体レーザ媒質13とほぼ同心位置とすると、固体レーザ媒質13がその外径dYよりも小さいほぼ同心位置にて励起されて、外周部層13aの熱歪みがほぼ均等に抑えられるので、熱歪みが外周部の偏った部分に集中して生じダメージとなるようなことを防止することができ寿命が高まる。また、前記励起光14aを固体レーザ媒質13に対しその外径よりも小さい集光径dAにて集光させるのに、さらに、この集光径dAがレーザ光20の通過域を規制するアパーチャ21a、21bのアパーチャ径dXa、dXbとほぼ同径となるようにする。このように、固体レーザ媒質13に対する前記励起光14aの集光径dAがアパーチャ径dXa、dXbとほぼ同等とすると、従来、固体レーザ媒質13の全域に及んで発振するレーザ光20をそれがOリング51に及ばないビーム径にまでアパーチャ21a、21bによって規制しているのに対し、本実施の形態のアパーチャ21a、21bは異常発振するレーザ光20を遮断する程度のものでよくなり、アパーチャけられによる出力効率の低下を前記の場合よりも、さらに抑えられる。具体的にはレーザ光20のロスは0.数mmオーダとなり、低電流での出力が固体レーザ媒質外径dY/ランプ発光径dLの比近くまで向上する。
このような固体レーザ媒質の励起方法を実現するのに、本実施の形態の固体レーザ装置は、特に、図2で代表して示すように、2つの焦線を持った集光反射面を形成した集光器40と、この集光器40内の、一方の焦線側に配置し端部外周部でOリング51により水没環境を封止するとともにランタノイド希土元素をドープした円形断面の固体レーザ媒質13と、集光器40の他方の焦線側に配置され、円形断面で、かつ前記固体レーザ媒質13とほぼ同じ長さを有し、さらに固体レーザ媒質13を励起するための発光径dLが固体レーザ媒質13の外径dY(あるいは封止部径)よりも小さく、セリウムドープされた励起ランプ14と、固体レーザ媒質13の両側に配置された出力ミラー19およびリアミラー18と、これらミラー18、19間に位置して固体レーザ媒質13からの前記励起によるレーザ光20の通過域を規制するアパーチャ21a、21bとを備えたものとするのに加え、さらに、固体レーザ媒質13の長さLがL≧180mm、出力ミラー19およびリアミラー18がなす共振器長LLがLL≧500mm、前記アパーチャ21a、21bのアパーチャ径dXa、dXbおよび励起ランプ14の発光径dLがほぼ等しく、かつ固体レーザ媒質13の外径dYよりも小さいものとしている。
このようにすると、励起ランプ14の発光径dLが固体レーザ媒質13の外径dYよりも小さい関係から単純な1:1の集光比にても固体レーザ媒質13はその外径dYよりも小さな集光径dAを持つように、集光器40および励起ランプ14による励起が行われる。これによって、固体レーザ媒質13の集光径dAに見合った範囲で励起によるレーザ光20が発生して出射し、加工などに供することができる。つまり、固体レーザ媒質13はその外径dYに対する励起域が集光径dA域に制限する前記基本的な励起方法が実現できる。その上で、180mm以上の長さLの固体レーザ媒質13を用いることによりゲインを高められるため出力効率が従来の3%程度に比して4%程度と向上し、1KW以上の出力が得られる。しかも、熱歪みによる寿命低下が大きく緩和されて数億ショットという従来の数倍の寿命が実現している。また、外径dYを7mm以下として光ファイバ29などに対する0.6mm以下の集光も可能である。
これに併せ、必要な出力を得るための励起ランプ14の駆動電流を低く抑えられるので、ランニングコストが低減するし、ランプの長寿命化が図れる。同時に、超高速のIGBTを電流制御用のスイッチング素子34に用いて制御周波数を高められる。また、低電流で大きなパワーが得られるためIGBTにより電流制御するのにその寿命上従来困難であった1KWでの繰り返し周波数の壁500PPSを破り、周波数の上限500PPSを超えて700PPS〜1KPPSを実現することができる。しかも、前記集光上、励起域、レーザ光発生域を抑えた分だけ固体レーザ媒質13の外径での水没環境を封止する封止部52にレーザ光20が及ばずOリング51にダメージを与えないようにすることができる上、既述した励起方法での励起ランプ14による集光径dAがアパーチャ21a、21bのアパーチャ径dXa、dXbとほぼ一致することによる特徴も発揮する。また、励起ランプ14の発光径dAが固体レーザ媒質13の外径dYよりも小さくなった分だけ、発光密度が高まり発光出力が高まる。
なお、アパーチャ21a、21bのアパーチャ径dXa、dXbは、固体レーザ媒質13の外径dYの−1mm程度が好適で、そのときの許容誤差は±0.3mm程度である。
また、励起ランプ14は固体レーザ媒質13の長大化に見合った長さ、つまり発光する範囲である励起長lの増大よって、電子ビームの長行路化による十分な減速が図れて、電子ビームがランプ電極14b、14cに与える衝撃を緩和してランプ寿命を高められる。具体的には定格10KWのランプを2倍の20KWで使用してもランプの励起長lを250mm程度にすると、電流が100〜150Aで300〜800Wという十分な発光出力が単ランプにて得られ、しかも、数億ショットと通常のランプの数倍以上の寿命を実現している。
励起ランプ14としてキセノンフラッシュランプを採用すると、キセノンは原子量が大きく電子ビームを減速させるので、これによっても前記ランプ電極14b、14cに与える衝撃をさらに緩和させることができる。このような意味からキセノン100%のものとするのが好適である。また、ランプの長寿命化にはキセノンが有効であるが、キセノンは発光密度を上げないとクリンプトンよりも発光効率が低いので、ガス圧を600Pa以上と上げることによって発光密度が高まり十分な発光出力が得られる。具体的には600Paのガス圧よりも800〜1600Pa程度とさらに高めることにより励起密度をあげて、より低い電流で同じパワーを得ることができる。なお、励起長lは固体レーザ媒質13の両側における封止部21間の長さllよりも小さい。
一方、励起ランプ14の励起長lが180mmを超えると、ガス圧が600Paより高くなればランプ抵抗値、つまりV=K0×SQR(I)におけるK0値が高くなり、またランプのコイル特性であるL成分が大きくなって、レーザショット直後の0電圧発生によりシマー電流が落ちやすくなる。この現象を回避するためにK0が30を超えるランプに関してはシマー電流を通常の最大値の1.5Aより高く1.7A以上にする。
さらに、1KW以上の出力を得るには固体レーザ媒質13の長さLは図3に示す例で示すようにL≧200mmとすればよく、250mm以上とするのがより好適である。また、出力ミラー19の後段にカップリングした光ファイバ29のコア径dfを、アパーチャ径dXa、dXbの1/15程度に設定すると、1/15以上の集光比にて透過出力1KW、100%近い透過効率で光ファイバ29を透過させることができ、0.6mm以下の集光状態を得るのに好適である。また、リアミラー18の反射率はリアミラー18の後方に図1に示すようなセンサ71を設けてレーザ光20の出力をモニタする以外は100%、出力ミラー19は平面で透過率が70%程度以下とするのが好適である。また、固体レーザ媒質13は長さLが180mm以上でネオジウムドープ量NdがNd=0.8%〜0.7%程度の範囲にするのが熱レンズ効果を低減するのに好適である。
具体的には、固体レーザ媒質長さL=200mm、アパーチャ径dXa、dXb/固体レーザ媒質外径dYの比を9/10mmに設定し、レーザ光20の出力をビームエキスパンダ23により100/60のコリメートをした後、既述した回折限界レンズである集光レンズ28により集光することにより、NA=0.2、コア径df=0.6mm=9/15の光ファイバ29を透過出力1KW以上、透過効率98%以上で透過させることができる。
さらに、励起ランプ発光径dA/固体レーザ冷媒外径dYの比を6/7mm〜6/8mmにして、レーザ光20の出力をビームエキスパンダ23により100/60のコリメートをした後、既述した回折限界レンズである集光レンズ28により集光することにより、NA=0.2、コア径df=0.4mmの光ファイバ29を透過出力1KW以上、透過効率97%以上で透過させることができる。さらに、NA=0.15の光ファイバ29を用いることにより微小金属板の切断に好適になる。
また、別に、前記固体レーザ媒質13の前記外径dYは図4の例で示すように封止用のOリング51により支持される両端部13b、13cの外径dY1として満足し、これら両端部13b、13c間の中間部分13dは前記励起ランプ14の発光径dLおよびアパーチャ径dXa、dXbとほぼ同等の外径dY2とすることができる。これにより、集光径dLによって設定される固体レーザ媒質13の励起域径よりも大きく、かつ、両端部13b、13cの外まわりに位置するOリング51のレーザ光20に対する安全が図れる、固体レーザ媒質13の外径dYを、その両端部13b、13cの外径dY1として確保しながら、この両端部13b、13c間の中間部分13dでは固体レーザ媒質13の外径を集光径dAおよびアパーチャ径dXa、dXbとほぼ同等程度の外径dY2までスリム化することにより、励起光14aが固体レーザ媒質13を通過することによるロスを低減し出力効率を高められる。具体的には、既述した最大効率4%以上が得られる。
セリウムドープセラミックにすると任意形状の固体レーザ媒質13を焼結により形成することができ、上記のような両端部13b、13cと中間部分13dとの間に段差ができるような形状も容易に得られる。しかし、その段差部は例えばアールと称される図4に示すような曲面13eにて連続させるのが耐久性上好適である。一方、段付き形状は前記中間部分13dの外径dY2を持って形成したストレートな固体レーザ媒質13の両端部外周に、前記レーザ光20に対するOリング51の安全を図るのに必要な外径dYとの差dY3を埋める厚みを持った図示しないカラーを装着してフリット材で封止し段付き形状にすることもできる。このときのカラーは固体レーザ媒質13と同質のセラミックとするのが好適である。このカラーをレーザ光20を通さないものとすると、その外まわりを支持するOリング51にレーザ光20が及びにくくなり、Oリング51に対するいわゆるプロテクタとしても働く。具体的には、図7(a)に破線で示すような固体レーザ媒質13内でOリング51の内周部対応いちにて反射する異常発振光20aが生じても、これがOリング51に及ぶのを防止することができる。
一方、異常発振光には、図7(a)に示すように出力ミラー19やリアミラー18にて異常発振して直接Oリング51に及ぶ実線で示した異常発振光20b、図7(b)に示すように固体レーザ媒質13での異常発振を経て出力ミラー19やリアミラー18を介しOリング51に及ぶ異常発振光20cなどがあり、180mm以上の長い固体レーザ媒質13を用いると、Oリング51のレーザ光20に対する保護のために、外径dY=10mmの固体レーザ媒質13に対してアパーチャ径dXa、dXb=9mmのアパーチャ21a、21bを用いても、これら異常発振光20b、20cなどによってOリング51にダメージを与える懸念がある。これに対応するのに、図5の例では、固体レーザ媒質13のリアミラー18側またはおよび出力ミラー19側、好適には両側のOリング51に対して、リアミラー18や出力ミラー19からのレーザ光20が及ぶのを遮断するプロテクタ径dPa、dPbの円形な光通過穴を有したプロテクタ53aまたはおよび53bを備えたものとする。しかも、プロテクタ径dPa、dPbが前記集光径dA、アパーチャ径dXa、dXbとほぼ同等としてある。
このようにすると、Oリング51を専用のプロテクタ53a、53bによってレーザ光20、つまり上記のような異常発振光20b、20cなどから保護することができ、特に、専用であることにより前記保護のための独自な配置や形態、材質などとして種々に異常発振するレーザ光20にも十分配慮しながら、プロテクタ径dPa、dPbがアパーチャ径dXa、dXbとほぼ同等であることにより、アパーチャ21a、21b以上にレーザ光20にけられが生じるのを防止し、出力効率が低下しないようにすることができる。また、このように、アパーチャ21a、21b、およびプロテクタ53a、53bを併用すると、ビームの通過規制機能が、より多くの個所にてレーザ光20に働くので、レーザ光20の整形性、所定位置への集光性を高められ、コア径dfが0.6mm以下の光ファイバ29に集光させるのに好適であるし、異常発振したレーザ光20を遮断しやすい利点もある。それには、互いの誤差が±0.2mm程度以内とするのが好適である。また、プロテクタ53a、53bなどはそのプロテクタ機能上から、対応するOリング51の対向する端部からほぼ5mm以内の位置に配置すると、Oリング51とプロテクタ53a、53bとの間からOリング51に異常発振光が働くようなことを防止しやすく好適である。
また、図5に示すように、出力ミラー19およびリアミラー18のミラー面近傍にアパーチャ21a、21bを設けると、これらアパーチャ21a、21bが対応するプロテクタ53a、53bと互いの邪魔なく協働することができ、アパーチャ21a、21b、およびプロテクタ53a、53bを併用するのに好適であり、ポインティングスタビリティが安定し、ファイバ結合したときにも焦光点がぶれないため高出力のファイバ伝送が可能になる。しかも、このようなアパーチャ21a、21bの配置は内部シャッタなど他のものを配置するのにも好適である。
図6にプロテクタ53a、53bを設ける具体例を示している。これについて説明すると、固体レーザ媒質13の外径dY=10mm、プロテクタ径dPa、dPb=発光径(ランプ内径)dL=9mmとし、筒状をしたロッドホルダ81の固体レーザ媒質13の端部を受け入れて支持する端部内フランジ81aの外面と、ロッドホルダ81の端部外周にねじ嵌合部83でねじ嵌合して装着したOリングキャップ82の端部内フランジ82aの内面との間で軸線方向に挟み付けたOリング51によってロッド状の固体レーザ媒質13の端部外周を支持し、水没環境84を封止し、まわりの空気環境85から隔絶している。Oリング51は前記軸線方向の挟み付けによって内周側に厚み出しをして固体レーザ媒質13の外周に圧着させ前記封止を行うことはできる。しかし、本例ではこれに代えて、あるいは、さらに、Oリングキャップ82の内周のねじ嵌合部83を避けた、内フランジ82a側部分をテーパ面82bとし、前記ロッドホルダ81とのねじ嵌合時にOリング51をテーパ面82bによってOリング51を固体レーザ媒質13の外周に押し付けて、より強力な封止ができるようにしてある。ロッドホルダ81の内周には筒状をしたプロテクタ53a、53bを嵌め合せてあり、ロッドホルダ81の内フランジ81aの内面に突き当ててOリング51との間の距離S1を所定値に設定している。この距離S1は、既述した異常発振光がOリング51とプロテクタ53a、53bとの間からOリング51に及ぶのを防止する意味からはプロテクタ53a、53bは前記5mmの範囲でもOリング51に近いほど望ましい。しかし、近すぎると銅製などとされるプロテクタ53a、53bのOリング側の端面53cに入射するレーザ光により生じる熱などがOリング51に及ぶことがあるので距離S1は1.5mm程度以上とするのが好適であり、より好適には1.5〜3mm程度の範囲とする。
また、Oリングキャップ82はL型断面をなしてOリング51を励起ランプ14からの励起光14aに曝されないように覆っている。このため、Oリング51よりも固体レーザ媒質13の中央側への張り出し寸法S2だけ長くなっている。しかし、張り出し寸法S2は装置の軽量、コンパクト化には小さくするほどよく、0.5mm程度以上あればよいが、レーザ光20の出力が大きくなるに従ってOリングキャップ82が励起光14aによって吸熱し、Oリング51や固体レーザ媒質13に熱影響を与える。このため、レーザ光20の出力の大きさに応じて張り出し寸法Sを大きくしていくのが好適である。具体的には、出力が500Wの場合はS=0.5mm程度、750Wの場合はS=1mm程度、1KWの場合はS=1.5mm程度とする。
この張り出し寸法S2は図示する例では内フランジ82aの厚みと等しくなっており、張り出し寸法S2を大きくしていくと熱容量が増大して吸熱による昇温が抑えられる。しかし、前記テーパ面82bによるOリング51の押し付けによって、内フランジ82aはOリング51を内フランジ81aとの間で挟み付けなくても、固体レーザ媒質13の外周に押し付けて保持でき、内フランジ82aをOリング51から離して前記の張り出し寸法S2を大きくすることができ、Oリング51に対する熱影響を防止するのに好都合である。
さらに、Oリングキャップ82の外面をAuメッキして鏡面とし、励起光14aの反射率を高めて励起光14aによる吸熱を軽減するようにしている。これによってOリングキャップ82によるOリング51や固体レーザ媒質13に対する熱影響をさらに抑えられる。
ところで、従来、固体レーザ装置の動作の開始時、固体レーザ媒質13の熱歪み変化に伴うレーザ光20の出力ビーム変動による加工への影響を回避するために、まず、発振を阻止する内部シャッタを開いて発振動作を開始させ、続いて外部シャッタを閉じてレーザ光照射開始後の数百秒間レーザ光20の出射を止めた後、外部シャッタを開いて加工を開始するようにしている。しかし、KW級のレーザ光を止めるのは容易ではなく、ハイパワーのために外部シャッタが溶けたり、ソレノイドなどのシャッタ駆動用のアクチュエータが熱のために動作しなくなったりするトラブルが発生している。また、外部シャッタの開閉を検出するセンサも強い光や電気ノイズにより誤動作することがよくあり、今後の課題になっている。
そこで、図5に示す固体レーザ装置では、さらに、リアミラー18と固体レーザ媒質13との間に光軸61に対し傾けて配置され、レーザ光20の外部出力を阻止する内部シャッタ62を備えたものとしてある。この内部シャッタ62はリアミラー18と固体レーザ媒質13との間に配置したものであるため、外部出力側のような高いパワーのレーザ光20に曝されないで、外部出力を遮断することができる。また、内部シャッタ62は光軸61に斜めに配置したので通過を遮断するレーザ光20を破線で示すように光軸61外に向け反射させることにより、内部シャッタ62自体にダメージを受けにくくすることができるので、寿命が向上する。また、内部シャッタ62により通過を遮断されるレーザ光20は光軸61外へ反射されて、Oリング51の側に向かうようなことがあっても前記のような専用のプロテクタ53a、53bによってそれを遮断することができるのでOリング51にダメージを与えるようなことがない。従って、1つの内部シャッタ62にて、レーザ光20の発振を遮断する従来の2つの内部シャッタの機能を発揮するのは勿論、出力が安定しない間の外部出力を遮断する従来の外部シャッタに対する代替シャッタとしても有効であり、誤動作しやすいシャッタが1つになる利点もある。これらの結果、信頼性の高いものとなる。また、リアミラー18側の内部シャッタ62だけになることで、シャッタの故障は、センサ71がシャッタ閉じタイミングでありながらリアミラー18を抜け出るレーザ光20を検出したり、シャッタ開きタイミングでありながらリアミラー18から抜け出るレーザ光20が検出されなかったりすることにより容易に判定でき、シャッタ故障の専用のセンサが不要となる。よって、構造が簡単で安価なものでありながら信頼性の高いものとなる。
また、光軸61は固体レーザ媒質13の水没環境を封止するOリング51部を支点Qとして可変、つまり図5に矢印72で示すように首振り可能にすると、Oリング51による水没環境の封止に影響せずに、前記のような光軸調整がミラーやアパーチャ、プロテクタなどの光学機器を伴い調整できる。これを実現するには、例えば、支点Qとなる側のOリング51の外まわり、つまりOリング51と干渉しない外まわり位置に、支点Qを仮想支点として得る光軸調整用の図示しない自在継手を設ければよい。
これにより、固体レーザ媒質13の長尺化などボリューム増大に伴うドープ密度のバラツキの増大によって、機械加工などにより得ている光軸61に対してレーザ光20のビーム光軸が必ずしも一致しないことに対して、固体レーザ媒質13から出力ミラー19側またはおよびリアミラー18側の光軸61の角度などを調節することにより固体レーザ装置ごとに簡単に調整し適性化できる。
光軸61を可変とするのを出力側とすれば出射方向、特に焦光位置を直接調整できる利点がある。しかし、出力側およびリア側の双方に設けることもでき、そのようにすると両側で少しずつ調整でき、片側だけの調節で調節量が多くなりすぎて不具合になるようなことを回避することができる。
また、光軸61を調整する側となる例えばアパーチャ21aおよびプロテクタ53a間の外周は破線で示すように遮光部材64により遮光している。これにより、固体レーザ媒質13のボリュームの増大に伴い多くなる異常発振光はもとより、光軸61を調節して傾かせたことによって、かえって、光路外へ洩れるレーザ光20が生じるのを遮断することができ、出射効率が低下したり、Oリング51にダメ−ジを与えるようなことを防止することができる。この場合の遮光はプロテクタ53a、53bをそれらが対向しているアパーチャ21a、21bまで延長することで実現できるし、逆にアパーチャ21a、21bの側をそれらが対向しているプロテクタ53a、53bまで延長しても実現する。また、対向し合うプロテクタ53a、アパーチャ21aどうし、プロテクタ53b、アパーチャ21bどうしを一体物に形成してもよい。
なお、Oリング51はレーザ光20を吸収して寿命低下を招かないように透明な材料よりなるのが望ましく、特に、透明なパーフロロエラストマー(例えば、カルレッツ社製)を用いるのが好適である。
本実施の形態では、また、励起ランプ14に直列接続されるリアクタンス素子37として、2本の励起用ランプを個々に駆動するランプ駆動電源に用いられているリアクタンス素子よりも小さいリアクタンスのものを用いている。上述のように励起ランプ14は、封入ガス圧が高くなったのに対応して電気的インピーダンスが高くなっているから、この電気的インピーダンスが高いのに伴い励起ランプ14の応答時間が長くなるのを、リアクタンス素子37のリアクタンスを低くしたことによって補償するように図っている。これにより、励起ランプ14を高速応答させて、固体レーザ媒質13の出力レーザ光を高ピークパワーまで高速で瞬時に立ち上がる波形、例えば図8に例示する出力P0のような波形に制御することを可能としている。
また、固体レーザ媒質13は、単結晶でなく多結晶のレーザ材料を用いて形成されている。これにより、単一の励起ランプ14により一方側からのみ光励起されることに起因して発生する固体レーザ媒質13の反りは、一層効果的に抑制される。また、セラミックYAGは、単結晶のいわゆるガラスYAGよりも1.2倍の耐力を有しているため、例えば、通常500W用に用いるロッドサイズのYAGロッドで600Wを得ることができる。
チョッパ回路35は電流制御型または電流、電圧制御型であって、これによる励起ランプ14の駆動は図1に示すコントローラ73によって設定する電流、電圧に従って行われる。このときの励起電流I(A)と固体レーザ発振器の出力P(W)との相関関係を模式的に示すと図8に示すようになる。図8では励起電流Iの変化に対し出力Pが全く、またはほとんど変化しない不感帯域Aと、直線比例関係が成立する相関域B、Cが認められる。しかし、相関域B、Cでは相関比率が異なっている。このような相関の境界点はそれらの域での実際の電流Iと出力Pとの相関特性線についての近似直線の交点D1、D2として求めることができる。
ここで、相関域B、Cの電流Iの範囲ではそれぞれでの直線的な相関比率に基づき励起電流Iを制御すれば、目標とする出力Pが得られることを意味する。言い換えると、加工対象や加工の種類に応じて理想的に設定した目標出力、例えば目標エネルギや目標波形を設定すれば、これに見合う出力Pが得られるように前記相関域BやCでの相関比率に従って算出した励起電流にて励起ランプ2を駆動すればよいことになる。
しかし、固体レーザ発振器12自体の特性によってこの相関性が一定しないし、同じ固体レーザ発振器12にても熱レンズ効果やミラー平行度に変化のある過渡期では相関性は変化し続け、その後は熱レンズ効果やミラー平行度が定常的になって相関性は安定するが、加工時の生産タクト周期が変更されたり変動するようなことがあると、熱レンズ効果やミラー平行度が不安定になって相関性も不安定になる。また、励起ランプ14は経時的に劣化するので相関比率が徐々に低下し、不感帯域Aまで劣化したときは交換しないと励起電流Iをいくら上げても出力Pは上がらない。また、光学系の汚れなども励起電流Iに対する出力Pの経時的な相関比率の低下を招く。
これら励起電流Iと出力Pとの相関性、相関比率の変動や、低下は目標出力に見合った励起電流制御によるときの図6に破線で示す出力P1、P2のような正規出力P0に対する変動や低下につながり、出力Pが安定せず、加工が不安定になる。中でも、熱レンズ効果やミラー平行度による相関性の変動は立ち上げ時の短い時間の内に大きく生じて加工に大きく影響するので特に問題である。しかも、上記のような2つのアパーチャ21a、21bと2つのプロテクタ53a、53bの配置によってポインティングスタビリティが高くても、固体レーザ媒質13の熱レンズ効果によってレーザ光20のビーム光軸が振れるとレーザ光20に多くのけられが生じるので、レーザ照射開始の数百ミリ秒間のパワーが半減しやすい。
これらに対応するのに、本実施の形態では、さらに、励起電流を制御してレーザ光20を所定の出力エネルギにて繰り返しショット出力して加工に供するのに、前記センサ71により所定回数目ごとの出力エネルギを検出し、この検出された出力エネルギに基づきコントローラ73が次の所定回目までのショット出力時に所定のエネルギになるように励起電流Iの拡大、縮小係数を変化させて励起電流Iを制御するようにしている。これにより、コントローラ73は励起電流Iに対する外部出力Pの関係をショット出力単位のエネルギによって計測して、これが目標エネルギになるように次のショット出力に対する励起電流Iの拡大、縮小係数を変える制御をするので、設定した出力波形を特に変化させることなくエネルギに過不足ないよう出力を安定させられる。前記所定回目は1回目と少なく設定するほどきめ細かな制御ができる。つまり、前のショット出力について行った計測を次のショット出力の電流制御に生かすショット出力単位のフィードバック制御となることになり、もし加工時の生産タクトや加工動作を加工中に切り換えることにより固定レーザ発振器12の熱レンズ効果やミラー平行度に変動が生じてもこれの影響に対しリアルタイムに対応して出力を精度よく安定させられる。それには、前記拡大、縮小係数を変化させる割合を波形やエネルギ、周波数、熱レンズ効果の大小などに応じて設定すればよい。また、加工に必要なショット出力の目標エネルギの設定があれば、初回のショット出力が目標エネルギを満足するような関係になくても、言い換えるとそのような関係を予め計測して設定しておくような手間を省略しても、初回のショット出力にて計測した関係から次のショット出力が目標エネルギになる励起電流と出力との適正な関係を得て設定通りの出力にて加工ができるようにするので、加工が不良となる確立の高い初回のショット出力だけを内部シャッタ62によって遮断しダミーとする簡単な対応にて短時間に立ち上げることができる。
本発明は溶接や切断に実用して、小型、長寿命、安価なものにて加工に適した高出力が得られる。
本発明の実施の形態に係る固体レーザ装置の1つの例を示すブロック構成図。 図1の装置に適用される固体レーザ装置の1つの具体例を示す縦断面図および横断面図。 図1の装置に適用される固体レーザ装置の他の具体例を示す縦断面図。 図1の装置に適用される固体レーザ装置の別の具体例を示す縦断面図。 図1の装置に適用される固体レーザ装置の今1つの具体例を示す縦断面図。 図1の装置に適用される固体レーザ装置のさらに他の具体例を示す一部の縦断面図およびその上面図。 固体レーザ装置の異常発振状態とOリングの関係を示す説明図。 励起電流Iと出力Pとの関係を示すグラフ。
符号の説明
13 固体レーザ媒質
14 励起ランプ
14a 励起光
18 リアミラー
19 出力ミラー
20 レーザ光
21a、21b アパーチャ
28 集光レンズ
29 光ファイバ
34 スイッチング素子
40 集光器
51 Oリング
52 封止部
53a、53b プロテクタ
61 光軸
62 内部シャッタ
71 センサ
81 ロッドホルダ
82 Oリングキャップ
82a、83a 内フランジ
84 水没環境
85 空気環境
dY 外径
dA 集光径
dL 発光径
dXa、dXb アパーチャ径
dPa、dPb プロテクタ径
L 固体レーザ媒体長
LL 共振器長
S1 距離
S2 張り出し寸法

Claims (9)

  1. 内側に2つの焦線を持った集光反射面を形成した集光器と、この集光器内の、一方の焦線側に配置されランタノイド希土元素をドープした円筒形状の固体レーザ媒質と、前記集光器の他方の焦線側に配置され、円形断面と前記固体レーザ媒質と同等の長さとを有し、前記固体レーザ媒質を励起するための発光径が前記固体レーザ媒質の外径よりも小さく、セリウムドープされた励起ランプと、前記固体レーザ媒質の両側に配置された出力ミラーおよびリアミラーと、前記ミラー間に位置して前記固体レーザ媒質からの前記励起によるレーザ光の通過域を規制するアパーチャとを備え、
    前記固体レーザ媒質の長さが180mm以上、前記出力ミラーおよびリアミラーがなす前記共振器長が500mm以上、前記アパーチャのアパーチャ径および前記励起ランプの発光径が同等で、かつ前記固体レーザ媒質の外径よりも小さく、集光反射面は励起ランプからの励起光を固体レーザ媒質に対しその外径よりも小さい集光径にて集光させるようにし
    前記固体レーザ媒質は、その両端部をOリングにより支持して水没環境を封止すると共に、前記外径を前記両端部にて満足し、前記両端部間は前記励起ランプの発光径およびアパーチャ径と同等であることを特徴とする固体レーザ装置。
  2. 前記励起ランプは、キセノンフラッシュランプであり、ガス圧が600Pa以上である請求項に記載の固体レーザ装置。
  3. 出射ミラーの後段にカップリングした光ファイバを備え、この光ファイバのコア径が、アパーチャ径の1/15である請求項1〜2のいずれか1項に記載の固体レーザ装置。
  4. 前記固体レーザ媒質のリアミラー側またはおよび出力ミラー側に、リアミラー側またはおよび出力ミラー側のOリングにリアミラーまたはおよび出力ミラーからのレーザ光が及ぶのを遮断するプロテクタ径を有したプロテクタを備え、前記プロテクタ径が前記集光径およびアパーチャ径と同等である請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体レーザ装置。
  5. プロテクタは、対応するOリングの端部から5mm以内の位置に配置する請求項に記載の固体レーザ装置。
  6. 出力ミラーおよびリアミラーのミラー面近傍にレーザ光の通過域を規制する前記アパーチャを設けた請求項に記載の固体レーザ装置。
  7. リアミラーおよび固体レーザ媒質との間に光軸に対し傾けて配置され、レーザ光の外部出力を阻止する内部シャッタを備えた請求項に記載の固体レーザ装置。
  8. 励起電流を制御してレーザ光を所定の出力エネルギにて繰り返しショット出力して加工に供するのに、所定回数目ごとの出力エネルギを検出する検出手段と、この検出された出力エネルギに基づき次の所定回目までのショット出力時に所定のエネルギになるように拡大、縮小係数を変化させながら励起電流を制御する制御手段とを備えた請求項1〜7のいずれか1項に記載の固体レーザ装置。
  9. 固体レーザ媒質から出力ミラー側またはおよびリアミラー側の光軸を可変とした請求項1〜8のいずれか1項に記載の固体レーザ装置。
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