JP2004363296A - 固体レーザ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】励起用ランプを単一のみ備える構成としながらも、300W以上の高ピークパワーまで高速で瞬時に立ち上がる波形に制御した場合にも不具合が発生しない構成を備えた固体レーザ装置を提供する。
【解決手段】2本の励起用ランプで励起する場合の励起長の4/3以上の励起長を確保できる長さを有し、ランタノイド希土元素をレーザ材料の中心軸に対して両側のドープ量が対称となるようにドープしたレーザ媒質13と、レーザ媒質13に対応する長さを有する単一の励起用ランプ14と、楕円形集光ミラー41または放物線形ミラーの2つの焦点軸位置にレーザ媒質13および励起用ランプ14がそれぞれ配置された集光器ケース40と、複数本設ける場合の励起用ランプへの印加電圧の1.2倍以上の電圧を励起用ランプ14に印加するランプ駆動電源30とを備える。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、励起用ランプを単一備えるだけであるにも拘わらず励起用ランプを2本備えたものと同等のレーザパワーを有したランプ励起型のものであって、例えばアルミニウム製部材をレーザ溶接する用途などに特に適した固体レーザ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、リチウムイオン二次電池は、携帯電話機を始めとして多くの携帯型電子機器の内蔵電源に採用されており、一般にアルミニウム製の電池ケースにより外装されている。この電池ケースの封口は、固体レーザ装置を用いたレーザ溶接により行われているが、電池ケースの素材であるアルミニウムは高い光反射率を有しているので、図3に示すように、レーザ出力を300W以上の高いピークパワーまで高速で瞬時に立ち上げる波形となるように制御する必要がある。
【0003】
このようなレーザ溶接に励起用ランプを単一のみ有するランプ励起型固体レーザ装置を用いる場合には、上述の高いピークパワーを得るために、ランプ径の大きな励起用ランプを用いなければならないが、そのような励起用ランプを用いると、レーザ出力取出用の光ファイバに対するカップリングが困難となるだけでなく、高いピークパワーまで高速で瞬時に立ち上げる波形に制御することから、励起用ランプの電極の損傷や劣化の発生が著しく、比較的高価な励起用ランプの寿命が短くなり、さらに、レーザ媒質としてのYAGロッドが単一の励起用ランプによって片側からのみ光照射されるので、YAGロッドに熱影響による反りや膨張が発生するのに伴い、光ファイバの入光端面におけるレーザの集光位置が比較的大きく変動して、光ファイバへのレーザビームの伝達が不十分となる。
【0004】
そこで、従来では、上記電池ケースのようなアルミニウム製部材を300W以上の高いピークパワーに高速で瞬時立ち上がる波形に制御したレーザビームによりレーザ溶接するに際しては、複数の励起用ランプを有するランプ励起型固体レーザ装置が一般的に用いられている(例えば、特許文献1参照)。この固体レーザ装置は、光共振器を構成する全反射ミラーと出力ミラーとの間に図4の断面図に示すような固体レーザ発振器本体1を配置した固体レーザ発振器を有している。固体レーザ発振器本体1は、2つの楕円形をそれらの一部が重ね合わさる配置で組み合わせた双楕円形状の孔を有する筒状の集光器ケース2を備え、この集光器ケース2の内面は金めっきにより双楕円形集光ミラー3に形成されている。集光器ケース2には、図の左右両側の各楕円形における各焦点軸位置にそれぞれ励起用ランプ4が配置され、センター軸位置にレーザ媒質としての板状のYAGロッド7が配置されている。励起用ランプ4はランプ用フローチューブ8内に収納され、YAGロッド7はロッド用フローチューブ10内に収納されて保持体9により保持されている。
【0005】
この固体レーザ装置では、固体レーザ発振器において、双方の励起用ランプ4から出射した光が双楕円形集光ミラー3で反射してYAGロッド7に集光され、光照射により励起されたYAGロッド7から出射したレーザビームが、全反射ミラーと出力ミラーとの間で共振して、出力ミラーから外部に取り出される。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−64889号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記固体レーザ装置は、2つの励起用ランプ4が放電管であることから、この2つの励起用ランプ4を直列接続または並列接続して単一の電源装置で同時に駆動することができないので、2つの励起用ランプ4を個々に駆動するための2台の電源装置が必要となり、コスト高になるとともに発振器全体の形状が大型化する。
【0008】
また、励起用ランプ4は、放電管であることから大きな電流を流すことができ、1本だけでもYAGロッド7を破壊する程の光パワーを出力することが可能であるが、当然のことながらYAGロッド7の耐力に基づき各励起用ランプ4の出力パワーを自体の最大出力パワーに対し数分の1に制御して使用している。すなわち、上記固体レーザ装置では、高価な励起用ランプ4をこれが有する光パワーの能力を十分に発揮できない状態で複数本同時に使用しているので、ランニングコストが高くつく。
【0009】
さらに、上記固体レーザ装置では、それぞれ2つ備えた励起用ランプ4またはランプ駆動電源の何れか一方に異常が発生した場合に、固体レーザ装置自体の故障となることから、信頼性が低い。しかも、2つの励起用ランプ4および電源装置には、何れもばらつきが存在するので、図3のような波形に制御する場合に、その制御波形が上記2つのばらつきの合成となるため、どうしても精密な波形制御ができない問題もある。
【0010】
さらにまた、上記固体レーザ装置では、集光器ケース2のセンター軸位置にYAGロッド7を配置することから、双楕円形集光ミラー3を大き目の形状に形成する必要があり、この形状に伴って、図4に矢印で示すように、励起用ランプ4から出射した励起光11のうちのYAGロッド7に集光できない励起光11が存在するので、この励起光の損失がYAGロッド7の励起効率を10〜20%程度低下させる要因になっている。
【0011】
そこで本発明は、励起用ランプを単一のみ備えるランプ励起型の構成を採用して、コストダウン、小型化、信頼性および励起効率の向上を図りながらも、300W以上の高ピークパワーまで高速で瞬時に立ち上がる波形に制御した場合にも不具合が発生しない構成を備えた固体レーザ装置を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る固体レーザ装置は、2本の励起用ランプで励起する場合の励起長の4/3以上の励起長を確保できる長さを有し、ランタノイド希土元素をレーザ材料の中心軸に対して両側のドープ量が対称となるようにドープしたレーザ媒質と、前記レーザ媒質に対応する長さを有して前記レーザ媒質に励起光を与える単一の励起用ランプと、楕円形集光ミラーまたは放物線形ミラーの2つの焦点軸位置に前記レーザ媒質および励起用ランプをそれぞれ配置して収納した集光器ケースと、低インピーダンスのチョッパインバータ電流制御方式によって、複数本設ける場合の励起用ランプへの印加電圧の1.2倍以上の電圧を前記励起用ランプの電極に印加するランプ駆動電源とを備えることを特徴としている。
【0013】
この固体レーザ装置では、2本の励起用ランプを備えたランプ励起型固体レーザ装置が本来有している欠点、つまり、コスト高になるとともに発振器全体の形状が大型化し、信頼性が低く、レーザ出力の精密な波形制御が困難であり、励起効率が低いといった種々の欠点が解消されている。そして、楕円形集光レンズによってレーザ媒質への励起光の集光効率が向上するとともに、レーザ媒質は、単一の励起用ランプによって光照射されるにも拘わらず、2本の励起用ランプで光照射された場合の励起体積とほぼ同じ励起体積となって、2本の励起用ランプにより光照射される励起時とほぼ同じパワーのレーザビームを出射することができるので、平均出力が300Wを超える場合であっても、単一の励起用ランプを用いる構成でありながらも2本の励起用ランプを備えたものと同等の性能を得ることができる。
【0014】
また、励起用ランプは、2本の励起用ランプを用いる場合よりもレーザ媒質の熱レンズ効果によって大きな反りが発生し易くなるが、レーザ媒質は、自体の中心軸に対してドープ量が対称となるようにランタノイド希土元素がドープされていることにより熱レンズ効果の発生が規制されるため、励起用ランプの反りの発生が可及的に抑制される。さらに、ランプ駆動電源は、低インピーダンスのチョッパインバータ電流制御方式に構成されて、2個の励起用ランプを個々に駆動するランプ駆動電源の出力電圧の1.2倍以上の高電圧を励起用ランプに印加するので、レーザ媒質からの出力レーザビームを高ピークパワーまで高速で瞬時に立ち上がる波形になるよう制御できるとともに、高電圧を励起用ランプに印加することにより、励起用ランプの封入ガス圧を高くした場合にも、それに伴って電気的インピーダンスが上昇することに起因して電流が低減するのを補償できる。したがって、この固体レーザ装置は、アルミニウム製部材のレーザ溶接を良好に行えるものとなる。
【0015】
上記発明において、励起用ランプは、複数本設ける場合の励起用ランプよりも高い封入ガス圧でクリプトンガスまたはキセノンガスが封入されたものであることが好ましい。この構成によれば、励起用ランプは、2本用いる場合の励起用ランプよりも高い封入ガス圧でガスが封入されているので、高電圧を印加された場合における電極の損傷や劣化の発生が効果的に防止されて、所要の寿命を確保することができる。
【0016】
同上の構成において、ランプ駆動電源に設けられて励起用ランプの電極に直列接続されるリアクタンス素子は、複数本設ける励起用ランプに直列接続される場合よりも小さなリアクタンスに設定されていることが好ましい。この構成によれば、励起用ランプは、封入ガス圧が高くなったのに対応して電気的インピーダンスが高くなっているから、この電気的インピーダンスが高いのに伴い励起用ランプの応答時間が長くなるのを、リアクタンス素子のリアクタンスを低くしたことによって補償することができ、励起用ランプを高速応答させて、レーザ媒質の出力レーザビームを高ピークパワーまで高速で瞬時に立ち上がる波形に制御することが可能となる。
【0017】
上記発明において、レーザ媒質から出射したレーザビームを通過させる円形の光通過孔を有するアパーチャを備え、このアパーチャの前記光通過孔が、レーザ媒質の直径よりも小さな内径に設定されていることが好ましい。この構成によれば、アパーチャによるレーザビームの損失を低減することができる。
【0018】
上記発明において、励起用ランプの外装管、前記励起用ランプを収納するランプ用フローチューブまたはレーザ媒質を収納するロッド用フローチューブのうちの少なくとも一つに、セリウムがドープされていることが好ましい。この構成によれば、ドープしたセリウムは紫外線のエネルギを遮断するから、紫外線がレーザ媒質内で熱に変わるのを規制することができ、レーザ媒質の熱レンズ効果を効果的に抑制できる。
【0019】
上記発明において、レーザ媒質から出射したレーザビームの光径を拡大するビームエキスパンダと、拡大されたレーザビームを光ファイバの受光端面に集光する集光レンズとを備え、前記ビームエキスパンダは、間隔を存して対置された凹面レンズと凸面レンズとを備えてなり、前記凹面レンズと凸面レンズとの間隔が前記光ファイバでのレーザビームの通過率が最大となるように調整されていることが好ましい。この構成によれば、例えば、レーザ媒質として、レーザ材料にランタノイド希土元素をドープしたNd:YAGなどの丸棒状であって、ロッド径が7〜10mmのものを用い、励起用ランプとして、ランプボア径が7〜9mmのものを用い、レーザビーム20の光径を7〜9mmに設定して、500Wの平均レーザパワーのレーザビームを直径が0.6mmの光ファイバに確実に入射することが可能となる。
【0020】
同上の構成において、ビームエキスパンダで拡大されたレーザビームをこれの光軸に対し直交方向に反射させて集光レンズに向けて光路を変更させる透明反射ミラーと、この透明反射ミラーのレーザビームの反射方向とは反対側からレーザビームの光ファイバの受光端面への集光点を前記透明反射ミラーを通じて透視できる位置に設けられた観察系とを備え、前記光ファイバが変位可能または前記透明反射ミラーが回動可能に設けられていることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、レーザビームを用いた加工、例えばレーザ溶接を連続的に行う際に、レーザ出力を300W以上に向けて徐々に増大させていき、それに伴ってレーザビームの光ファイバの受光端面への集光点が眩しく光りながら再現性良く変位していくのを作業者が観察系を通して正確に確認し、レーザ出力が所定の最大パワーに達した時点で、光ファイバと集光レンズとを一体的に変位させるか、或いは透明反射ミラーを回動させて傾斜角度を変えることにより、レーザビームの集光点が光ファイバの受光端面の中心に合致するように補正することができる。そのため、例えば、170mm以上の比較的長いレーザ媒質が一方側のみから励起用ランプによる光励起を受けることに起因してレーザ媒質に熱歪による反りが発生した場合であっても、そのレーザ媒質の反りに伴うレーザビームの光ファイバの受光端面への集光点の変位を正確に補正することができる。
【0022】
上記発明において、レーザ媒質の光軸上において前記レーザ媒質の両側に配置されたリア反射ミラーと出力ミラーとからなる光共振器の共振器長が500mm以上に設定され、長さが150mm以上で直径が8〜10mmのサイズのレーザ媒質と、内径が8〜9.5mmのアパーチャが設けられている構成とすることができる。この構成によれば、平均出力が300Wまでは、直径が0.6mmの光ファイバにレーザビームを確実に入射させることができる。
【0023】
上記発明において、レーザ媒質の光軸上において前記レーザ媒質の両側に配置されたリア反射ミラーと出力ミラーとからなる光共振器の共振器長が500mm以上に設定され、長さが170mm以上で直径が8〜10mmのサイズのレーザ媒質と、内径が8〜9.5mmのアパーチャが設けられている構成とすることができる。この構成によれば、平均出力が300W以上の場合に、直径が0.6mmの光ファイバにレーザビームを確実に入射させることができる。
【0024】
上記発明において、長さが200mm以上で直径が8〜10mmのサイズのレーザ媒質と、内径が9〜9.5mmのアパーチャが設けられて、直径が0.8mm以上の光ファイバにレーザビームを入射するように構成されていることが好ましい。この構成によれば、平均出力の大小とは無関係に、直径が0.8mm以上の光ファイバにレーザビームを確実に入射させることができる。
【0025】
上記発明において、単一の励起用ランプとレーザ媒質とを収納した集光器ケースを複数備え、これら各集光器ケースが、各々の光軸が同軸上で合致する配置で連設されていることが好ましい。この構成によれば、出力ロスが若干増加するが、一つの集光器ケースのレーザ媒質からのレーザ出力に集光器ケースの設置数を乗算したレーザ出力を得られるので、大きなレーザ出力を容易に得ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る固体レーザ装置を示す概略構成図であり、先ず、同図の固体レーザ装置の構成の概略について説明する。この固体レーザ装置の本体部分である固体レーザ発振器12は、丸棒状のレーザ媒質13と、このレーザ媒質13の近傍箇所に平行に配置された単一の励起用ランプ14と、レーザ媒質13および励起用ランプ14を収納した集光器ケース40と、レーザ媒質13の光軸上の両側に配置されたリア反射ミラー18と出力ミラー19とで構成されて励起用ランプ14からの光照射によって励起されたレーザ媒質13から発生するレーザビーム20を正帰還してレーザ発振を実現する光共振器17と、ランプ励起されたレーザビーム20を通過させる円形の光通過孔を有するアパーチャ21とを備えて構成されている。
【0027】
上記アパーチャ21および出力ミラー19を通過したレーザビーム20は、ビームエキスパンダ22によって非平行に拡大される。すなわち、ビームエキスパンダ22は、間隔を存して対置された凹面レンズ23と凸面レンズ24とにより構成されて、アパーチャ21および出力ミラー19を通過したレーザビーム20を1〜2倍の光径に拡大する。この拡大されたレーザビーム20は、このレーザビーム20の光軸に対し45°の傾斜角度に配置された透明反射ミラー27によって自体の光軸に対し直交方向に向け反射するように光路変更されて、焦点距離が30〜50mmである回折限界集光レンズ28によって光ファイバ29の受光端面に焦点を結ぶように集光されて入射し、光ファイバ29を通して取り出される。
【0028】
励起用ランプ14に駆動電力を供給するランプ駆動電源30は、交流電源31の商用交流電力を整流回路32によって直流電力に変換し、この直流電力により電解コンデンサ33を充電し、この電解コンデンサ33の充電電荷を、チョッパ回路35によって所定のチョッピング周期でスイッチング制御されるスイッチング素子34を介して放電させたのち、この放電電流をリアクタンス素子37および逆流防止用ダイオード38を介して励起用ランプ14の電極に供給している。したがって、励起用ランプ14はフラッシュ制御されてレーザ媒質13がパルス励起される。上記スイッチング素子34としては、この実施の形態において電圧制御形トランジスタであるIGBTが用いられている。このスイッチング素子34は印加電圧が制御されることによって電解コンデンサ33の放電電流を定電流制御する。また、リアクタンス素子37は、電流チョッピング周期を最適化するよう機能する。
【0029】
図2は、上記固体レーザ発振器12を集光器ケース40の箇所で切断した拡大断面図であり、図1と同一のものには同一の符号を付して、重複する説明を省略する。レーザ媒質13および励起用ランプ14を内部に収納する集光器ケース40は、楕円形の孔を有し、その孔の内面が金めっきされて楕円形集光ミラー41が形成されている。楕円形集光ミラー41には2つの焦点軸が存在し、そのうちの一方の焦点軸位置にレーザ媒質13が、且つ他方の焦点軸位置に励起用ランプ14がそれぞれ配置されている。楕円形集光ミラー41は、図4の双楕円形集光ミラー3とは異なり、幾何学の原理によって一方の焦点軸位置に配置された励起用ランプ14から出射した励起光11の全てを反射させてレーザ媒質13に集光させることができ、1本の励起用ランプ14から出射する励起光に対するレーザ媒質13の励起効率が格段に向上する。なお、集光器ケース40には、上記楕円形集光ミラー41に代えて、放物線形集光ミラーなどを形成してもよい。要は励起用ランプ14から出射した励起光11の全てをレーザ媒質13に集光できるものであればよい。
【0030】
レーザ媒質13としては、この実施の形態において、丸棒状のYAGロッドが用いられている。このレーザ媒質13は、ロッド用フローチューブ42内に収納して集光器ケース40に保持されている。一方、励起用ランプ14としては、クリプトンガス封入ランプまたはキセノン封入ランプが用いられており、この励起用ランプ14はランプ用フローチューブ43内に収納して、集光器ケース40に保持されている。
【0031】
つぎに、上記固体レーザ装置の特徴とする構成について詳細に説明する。この固体レーザ装置は、単一の励起用ランプ14を備えたランプ励起型の構成としながらも、2本の励起用ランプを備えたランプ励起型のものと同等の性能を得られるようにして、アルミニウム製部材のレーザ溶接を良好に行えるように図ったものであり、これの詳細については後述する。したがって、この固体レーザ装置は、2本の励起用ランプを備えたランプ励起型固体レーザ装置が本来有している欠点、つまり、コスト高になるとともに発振器全体の形状が大型化し、信頼性が低く、レーザ出力の精密な波形制御が困難であり、励起効率が低いといった種々の欠点が解消されたものである。
【0032】
一方、上記固体レーザ装置は、励起用ランプ14を単一のみ有する構成でありながら、アルミニウム製部材のレーザ溶接を良好に行えることを可能にするために、レーザ出力を300W以上の高ピークパワーまで高速で瞬時に立ち上げる波形となるように良好に制御できる構成を備えている。すなわち、この固体レーザ装置は、光ファイバ29に対する良好なカップリング、高ピークパワまで高速で瞬時に立ち上げる波形に制御したときの励起用ランプ14における電極の損傷や劣化の防止、レーザ媒質13であるYAGロッドに熱影響によって発生し易い反りや膨張の防止といった課題を解決しており、この点について、以下に詳述する。
【0033】
レーザ媒質13としては、2本の励起用ランプで励起する場合の励起長の4/3以上の励起長を確保できる比較的長いものであって、2本の励起用ランプによる発光体積で励起された場合と同等の励起体積を有するものを用いる。レーザ媒質13として用いるYAGロッドは、ネナオジウムなどのランタノイド希土元素をレーザ材料の中心軸に対して両側のドープ量が対称となるように0.8%から1%ドープしたものである。
【0034】
これにより、レーザ媒質13は、単一の励起用ランプ14によって光照射されるにも拘わらず、2本の励起用ランプで光照射された場合の励起体積とほぼ同じ励起体積となって、2本の励起用ランプにより光照射される励起時とほぼ同じパワーのレーザビーム20を出射する。したがって、平均出力が300Wを超える場合であっても、単一の励起用ランプ14を用いる構成でありながらも2本の励起用ランプを備えたものと同等の性能を得ることができる。また、励起用ランプ14は、2本の励起用ランプを用いる場合よりもレーザ媒質13の熱レンズ効果によって大きな反りが発生し易くなるが、レーザ媒質13は、自体の中心軸に対してドープ量が対称となるようにランタノイド希土元素がドープされていることにより熱レンズ効果の発生が規制される。これにより、励起用ランプ14の反りの発生は可及的に抑制される。
【0035】
また、励起用ランプ14としては、2本用いる場合の励起用ランプよりも高い封入ガス圧でクリプトンガスまたはキセノンガスが封入されたものを用いる。これにより、励起用ランプ14は、高電圧を印加された場合における電極の損傷や劣化の発生が効果的に防止されて、所要の寿命を確保することができる。
【0036】
この励起用ランプ14に駆動電力を供給するランプ駆動電源30は、低インピーダンスのチョッパインバータ電流制御方式に構成されて、2個の励起用ランプを個々に駆動するランプ駆動電源の出力電圧の1.2倍以上の高電圧を励起用ランプ14に印加して、レーザ媒質13からの出力レーザビーム20を高ピークパワーまで高速で瞬時に立ち上がる波形になるよう制御する。このように、ランプ駆動電源30は、高電圧を励起用ランプ14に印加することにより、励起用ランプ14の封入ガス圧が高くなったのに伴い電気的インピーダンスが上昇したことに起因して電流が低減するのを補償できる。
【0037】
上記励起用ランプ14に直列接続されるリアクタンス素子37としては、2本の励起用ランプを個々に駆動するランプ駆動電源に用いられているリアクタンス素子よりも小さいリアクタンスのものが用いられている。上述のように励起用ランプ14は、封入ガス圧が高くなったのに対応して電気的インピーダンスが高くなっているから、この電気的インピーダンスが高いのに伴い励起用ランプ14の応答時間が長くなるのを、リアクタンス素子37のリアクタンスを低くしたことによって補償するように図っている。これにより、励起用ランプ14を高速応答させて、レーザ媒質13の出力レーザビームを高ピークパワーまで高速で瞬時に立ち上がる波形に制御することを可能としている。
【0038】
上記リアクタンス素子37の実際の設定数値について説明する。励起用ランプ14の放電長が200mmにもなると、この励起用ランプ14のインピーダンス係数Koは、25〜30となって、図4に示したように2本設ける場合の500W級励起用ランプ4のインピーダンス係数Ko=15〜20に比較して約1.5倍となる。そこで、ランプ駆動電源30からは、2本設ける場合の励起用ランプ4に供給する駆動電圧に対し1.2倍の駆動電圧を励起用ランプ14に印加することにより、出力レーザパワーを500W以上に設定している。
【0039】
また、励起用ランプ14として、上述したように、2本の励起用ランプで励起する場合の励起長の4/3以上の励起長を確保できるレーザ媒質13に対応した比較的長いものを用いるようにしているが、これは、リアクタンス素子37のリアクタンスが1.2倍以上に大きくなったことに相当するため、アルミニウム製部材をレーザ溶接する際に必要となる条件、つまり100μsec以内に5KW以上のピークパワーを得ようとすれば、リアクタンス素子37のリアクタンスを75〜150μHに設定して、励起用ランプ14の両電極間に700V以上の電圧を印加する必要がある。 上記固体レーザ装置では、以下のように設定すれば、光ファイバ29に対するカップリングが良好とする。すなわち、平均出力が300W以下のレーザービーム20を直径が0.6mmの光ファイバ29に入射する場合には、光共振器17の共振器長(リア反射ミラー18と出力ミラー19との間の間隔)Lを500mm以上に設定し、レーザ媒質13として、長さが150mm以上で直径が8〜10mmのサイズのものを用い、光共振器17内のアパーチャ21として、内径が8〜9.5mmのものを用いる。平均出力が300W以上のレーザービーム20を直径が0.6mmの光ファイバ29に入射する場合には、光共振器17の共振器長Lを500mm以上に設定し、レーザ媒質13として、長さが170mm以上で直径が8〜10mmのサイズのものを用い、上記アパーチャ21として、内径が8〜9.5mmのものを用いる。一方、直径が0.8mm以上の光ファイバ29に入射する場合には、レーザ出力の大小とは無関係に、レーザ媒質13として、長さが200mm以上で直径が8〜10mmのサイズのものを用い、光共振器17内のアパーチャ21として、内径が9〜9.5mmのものを用いる。
【0040】
比較的長い励起用ランプ14の反りの発生は、上述したように、レーザ媒質13のレーザ材料の中心軸に対してドープ量が対称となるようにランタノイド希土元素がドープすることによってレーザ媒質13の熱レンズ効果を規制していることにより、可及的に抑制しているが、これに加えて、この実施の形態では、励起用ランプ14の外装体である石英管(図示せず)、ランプ用フローチューブ43およびロッド用フローチューブ42のうちの少なくとも何れかに、セリウムをドープするようにしている。これにより、ドープしたセリウムは紫外線のエネルギを遮断するので、紫外線がレーザ媒質13であるYAGロッド内で熱に変わるのを規制して、レーザ媒質13の熱レンズ効果を効果的に抑制できる。
【0041】
さらに、この実施の形態のレーザ媒質13は、単結晶でなく多結晶のレーザ材料を用いて形成されている。これにより、単一の励起用ランプ14により一方側からのみ光励起されることに起因して発生するレーザ媒質13の反りは、一層効果的に抑制される。また、セラミックYAGは、単結晶のいわゆるガラスYAGよりも1.2倍の耐力を有しているため、例えば、通常500W用に用いるロッドサイズのYAGロッドで600Wを得ることができる。
【0042】
ところで、光ファイバ29によって取り出すレーザビーム20によってアルミニウム製部材のレーザ溶接などの加工を連続的に行う際には、パワーアップしていくに従ってレーザビーム20の光ファイバ29の受光端面への集光点が一方向に移動していく。このレーザビーム20の集光点の位置ずれは、レーザ媒質13のランタノイド希土元素のドープ量のばらつきや、励起用ランプ14からの励起光11がレーザ媒質13における励起用ランプ14との対向面側に多く照射することによる光アンバランスによってレーザ媒質13に生じる反りに起因して発生する。
【0043】
そこで、上記固体レーザ装置では、固体レーザ発振器12からのレーザビーム20を透明反射ミラー27によってレーザビーム20の光軸に対し直交方向に反射させたのち回折限界集光レンズ28で光ファイバ29の受光端面に集光させる構成とすることにより、透明反射ミラー27のレーザビーム20の反射方向とは反対側からレーザビーム20の光ファイバ29の受光端面への集光点を透明反射ミラー27を通じて透視できるようにして、透明反射ミラー27に対し光ファイバ29とは反対側におけるレーザビーム20の延長線上に、作業者がレーザビーム20の集光点を正確に視認できる観察系39を設ける。
【0044】
そして、上述のレーザビーム20を用いた加工、例えばレーザ溶接を連続的に行う際に、レーザ出力を300W以上に向けて徐々に増大させていき、それに伴ってレーザビーム20の光ファイバ29の受光端面への集光点が眩しく光りながら再現性良く変位していくのを作業者が観察系39を通して正確に確認し、レーザ出力が所定の最大パワーに達した時点で、光ファイバ29と回折限界集光レンズ28とを一体的に変位させるか、或いは透明反射ミラー27を回動させて傾斜角度を変えることにより、レーザビーム20の集光点が光ファイバ29の受光端面の中心に合致するように補正する。これにより、170mm以上の比較的長いレーザ媒質13が励起用ランプ14による光励起を一方側からのみ受けることに起因してレーザ媒質13に熱歪による反りが発生し、そのレーザ媒質13の反りに伴いレーザビーム20の光ファイバ29の受光端面への集光点が比較的大きく変位しても、その変位を正確に補正することができる。
【0045】
なお、上記レーザビーム20の集光点の補正は最初に1回行うだけでよい。また、観察系39として、例えば撮像管やイメージセンサを設けて、これらの観察系39が検出したレーザビーム20の集光点の位置ずれに応じて光ファイバ29と回折限界集光レンズ28とを自動的に変位させることにより、レーザビーム20の集光点の補正を行うように構成することもできる。
【0046】
上記アパーチャ21の光通過孔はレーザ媒質13であるYAGロッドの外径よりも小さく設定している。具体的には、アパーチャ21の光通過孔の径は励起用ランプ14の発光断面径±0.5mm程度に設定している。これにより、アパーチャ21によるレーザビーム20の損失を低減することができる。
【0047】
さらに、上記固体レーザ装置では、固体レーザ発振器12から出射したレーザビーム20をビームエキスパンダ22よって光径を1〜2倍に拡大したのち、焦点距離が30〜50mmの回折限界集光レンズ28を用いて直径が0.6mmの光ファイバ29の受光端面に集光するに際して、ビームエキスパンダ22の凹面レンズ23と凸面レンズ24との間隔を、上記光ファイバ29でのレーザビーム20の通過率が最大となるように調整している。これにより、レーザ媒質1として、レーザ材料にランタノイド希土元素をドープしたNd:YAGなどの丸棒状であって、ロッド径が7〜10mmのものを用い、励起用ランプ14として、ランプボア径が7〜9mmのものを用い、レーザビーム20の光径を7〜9mmに設定して、500Wの平均レーザパワーのレーザビーム20を直径が0.6mmの光ファイバ29に入射することが可能となる。
【0048】
また、図1における単一の励起用ランプ14とレーザ媒質13とを収納した集光器ケース40を複数備えて、これら各集光器ケース40を、各々の光軸が同軸上で合致する配置で連設すれば、出力ロスが若干増加するが、一つの集光器ケース40によるレーザ出力を500Wとすると、500Wに集光器ケース40の設置数を乗算したレーザ出力を得られることになり、大きなレーザ出力を容易に得ることができる。
【0049】
つぎに、上記固体レーザ装置のメリットについて、理論的に説明する。この固体レーザ装置における単一の励起用ランプ14の電極に供給する電圧および電流をV1、I1とし、ランプ抵抗係数をK1とする。一方、比較例として、2本の励起用ランプを備えた既存の固体レーザ装置における励起用ランプの電極に供給する電圧および電流をV2、I2とし、ランプ抵抗係数をK2とする。上記固体レーザ装置の単一の励起用ランプ14により既存の固体レーザ装置の2本の励起用ランプと同じ発光体積を得る場合において、単一の励起用ランプ14のランプボア径を2本用いる励起用ランプと同一に設定すると、単一の励起用ランプ14の長さは、2本用いる励起用ランプの各々の長さの和に設定する必要があり、ランプ抵抗係数は励起用ランプのアーク長に比例するから、K2=2×K1となる。
【0050】
ランプ電圧は電流の1/2乗に比例し、比例乗数すなわちランプ抵抗係数は乗数として、上記固体レーザ装置と比較例の固体レーザ装置との各々の励起パワーPが同じであると仮定すると、下記の式が成立する。
【0051】
P(I×V)=K1×(I1)3/2 =K2×(I2)3/2
この式にK2=2×K1を代入すると、(I1)3/2 =2×(I2)3/2 となり、したがって、I1≒0.63×I1となる。このことは、同一の励起パワーを得るために単一の励起用ランプ14に供給する電流I1を、2本設ける励起用ランプの電流I2の2倍に設定する必要がないことを示している。一般に、励起用ランプを駆動する電源の銅損は電流の2倍に比例するので、(0.63)≒0.4となり、図1のランプ駆動電源30の銅損は、既存の2本の励起用ランプを駆動するランプ駆動電源の銅損の40%に低減するので、上記ランプ駆動電源30は効率が格段に改善されたものとなる。
【0052】
また、アルミニウム製部材をレーザ溶接するに際しては、共振器長Lが600mmの一般的なパルスYAGレーザから500Wの平均出力を得て、この出力を、直径が0.6mmの光ファイバで取り出している。この場合には、レーザ媒質の熱レンズ効果により集光サイズが大きくなるので、YAGロッドのロッド径を6.3〜7mm、励起用ランプのランプボア径を7mm以下に設定しなければならない。
【0053】
2本の励起用ランプを備えた既存の固体レーザ装置において、ランプボア径を7mm、アーク長を142mmにそれぞれ設定した場合、本発明の固体レーザ装置では、既存の固体レーザ装置に備えた2本の励起用ランプと同じランプボア径の励起用ランプ14を単一用いるのみで同じ発光体積を得ようとすれば、計算上のアーク長は、142×2=284mmとなるが、上述したように、本発明の固体レーザ装置における集光器ケース40が有する楕円形集光ミラー41は、図4の双楕円形集光ミラー3よりも集光効率が1〜2割程度向上するため、上記アーク長は230〜250mm程度でよいことになる。また、本発明の固体レーザ装置では、ランプ駆動電源30の銅損が励起用ランプを2本備えた既存の固体レーザ装置のランプ駆動電源の銅損の40%に低減されるので、既存の固体レーザ装置と同じランプ駆動電源を用いた場合には、既存の固体レーザ装置の2.5倍の励起パワーを得ることができる。
【0054】
一方、YAGロッドの長さが2倍になると、熱レンズ効果が半分に低減するので、YAGロッドのロッド径を上述の6.3〜7mmで、励起用ランプ14のランプボア径を上述の7mm以下に設定しなくてもよい。本発明者らが行った実験では、ビームエキスパンダ22によりレーザビーム20を10:6〜7の割合に拡大したのち、焦点距離が30〜50mmの回折限界集光レンズ28を用いて、直径が0.6mmの光ファイバ29に入射する際に、光ファイバ29におけるレーザビーム20の通過率が最大となるようにビームエキスパンダ22の凹面レンズ23と凸面レンズ24との間隔を調節すれば、ロッド径が7〜10mmのYAGロッドと、ランプボア径が7〜9mmの励起用ランプ14とを用いて、500Wの平均出力を得ながら、7〜9mmのビーム径に設定したレーザビーム20を、直径が0.6mmの光ファイバ29で取り出せることを検証できた。
【0055】
これにより、励起用ランプ14のランプボア径は、(9〜7)/7=1.3〜1倍大きくでき、YAGロッドのロッド径を増大でき、上述の楕円形集光ミラー41によって集光効率が1〜2割程度向上することとの相乗効果により、励起用ランプを2本備えた既存の固体レーザ装置におけるYAGロッドの長さの4/3以上の長さを有するYAGロッドを用いることにより、単一の励起用ランプ14を備える構成としながらも励起用ランプを2本備えた既存の固体レーザ装置と同等の性能を得ることができる。
【0056】
また、本発明の固体レーザ装置は、励起用ランプ14を単一備えるだけであるから、上述したように、固体レーザ発振器12の簡素化、効率アップ、ランプ駆動電源30の銅損の60%低減または電源能力の2.5倍向上といった種々の効果が得られるのに加えて、省エネルギによるランニングコストの低減に伴い大きな経済的効果を得ることができる。
【0057】
例えば、携帯電話機の内蔵電源などに用いられているリチウムイオン二次電池のアルミニウム製電池ケースをレーザ溶接により封口する場合には、24時間生産で1週間に1億個のリチウムイオン二次電池を製造すると仮定すると、励起用ランプを1週間毎に交換する必要がある。励起用ランプの価格は固体レーザ装置の種別に関係なく約5万円程度であるから、励起用ランプ14を単一備えるだけの本発明の固体レーザ装置では、2本の励起用ランプを備えた既存の固体レーザ装置に比較して励起用ランプ14の交換数が半分で済み、1年間の励起用ランプ14の費用として、5万円×(365/7)=260万円を節減できる。一方、年間電気消費量は金額にして40〜50万程度節減できるので、上記励起用ランプ14の費用を加えると、年間約300万円のコスト削減が可能となる。
【0058】
【発明の効果】
以上のように本発明の固体レーザ装置によれば、2本の励起用ランプを備えたランプ励起型固体レーザ装置が本来有している欠点、つまり、コスト高になるとともに発振器全体の形状が大型化し、信頼性が低く、精密な波形制御が困難であり、励起効率が低いといった種々の欠点が解消されている。そして、楕円形集光レンズによってレーザ媒質への励起光の集光効率が向上するとともに、レーザ媒質は、単一の励起用ランプによって光照射されるにも拘わらず、2本の励起用ランプで光照射された場合の励起体積とほぼ同じ励起体積となって、2本の励起用ランプにより光照射される励起時とほぼ同じパワーのレーザビームを出射することができるので、平均出力が300Wを超える場合であっても、単一の励起用ランプを用いる構成でありながらも2本の励起用ランプを備えたものと同等の性能を得ることができる。
【0059】
また、励起用ランプは、2本の励起用ランプを用いる場合よりもレーザ媒質の熱レンズ効果によって大きな反りが発生し易くなるが、レーザ媒質は、自体の中心軸に対してドープ量が対称となるようにランタノイド希土元素がドープされていることにより熱レンズ効果の発生が規制されるため、励起用ランプの反りの発生が可及的に抑制される。励起用ランプは、2本用いる場合の励起用ランプよりも高い封入ガス圧でガスが封入されているので、励起用ランプは、高電圧を印加された場合における電極の損傷や劣化の発生が効果的に防止されて、所要の寿命を確保することができる。さらに、ランプ駆動電源は、低インピーダンスのチョッパインバータ電流制御方式に構成されて、2個の励起用ランプを個々に駆動するランプ駆動電源の出力電圧の1.2倍以上の高電圧を励起用ランプに印加するので、レーザ媒質からの出力レーザビームを高ピークパワーまで高速で瞬時に立ち上がる波形になるよう制御できるとともに、高電圧を励起用ランプに印加することにより、励起用ランプの封入ガス圧が高くなったのに伴い電気的インピーダンスが上昇したことに起因して電流が低減するのを補償できる。したがって、この固体レーザ装置は、アルミニウム製部材のレーザ溶接を良好に行えるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る固体レーザ装置を示す概略構成図。
【図2】同上の固体レーザ装置における固体レーザ発振器を示す拡大断面図。
【図3】アルミニウム製部材をレーザ溶接する場合に必要な固体レーザ装置の出力パワーの波形を示す図。
【図4】複数の励起用ランプを有する従来の固体レーザ装置を示す断面図。
【符号の説明】
13 レーザ媒質
14 励起用ランプ
17 光共振器
18 リア反射ミラー
19 出力ミラー
20 レーザビーム
21 アパーチャ
22 ビームエキスパンダ
23 凹面レンズ
24 凸面レンズ
27 透明反射ミラー
28 集光レンズ
29 光ファイバ
30 ランプ駆動電源
37 リアクタンス素子
39 観察系
40 集光器ケース
41 楕円形集光ミラー
42 ロッド用フローチューブ
43 ランプ用フローチューブ

Claims (11)

  1. 2本の励起用ランプで励起する場合の励起長の4/3以上の励起長を確保できる長さを有し、ランタノイド希土元素をレーザ材料の中心軸に対して両側のドープ量が対称となるようにドープしたレーザ媒質と、
    前記レーザ媒質に対応する長さを有して前記レーザ媒質に励起光を与える単一の励起用ランプと、
    楕円形集光ミラーまたは放物線形ミラーの2つの焦点軸位置に前記レーザ媒質および励起用ランプをそれぞれ配置して収納した集光器ケースと、
    低インピーダンスのチョッパインバータ電流制御方式によって、複数本設ける場合の励起用ランプへの印加電圧の1.2倍以上の電圧を前記励起用ランプの電極に印加するランプ駆動電源とを備えることを特徴とする固体レーザ装置。
  2. 励起用ランプは、複数本設ける場合の励起用ランプよりも高い封入ガス圧でクリプトンガスまたはキセノンガスが封入されたものである請求項1に記載の固体レーザ装置。
  3. ランプ駆動電源に設けられて励起用ランプの電極に直列接続されるリアクタンス素子は、複数本設ける励起用ランプに直列接続される場合よりも小さなリアクタンスに設定されている請求項2に記載の固体レーザ装置。
  4. レーザ媒質から出射したレーザビームを通過させる円形の光通過孔を有するアパーチャを備え、このアパーチャの前記光通過孔が、レーザ媒質の直径よりも小さな内径に設定されている請求項1ないし3の何れかに記載の固体レーザ装置。
  5. 励起用ランプの外装管、前記励起用ランプを収納するランプ用フローチューブまたはレーザ媒質を収納するロッド用フローチューブのうちの少なくとも一つに、セリウムがドープされている請求項1ないし4の何れかに記載の固体レーザ装置。
  6. レーザ媒質から出射したレーザビームの光径を拡大するビームエキスパンダと、拡大されたレーザビームを光ファイバの受光端面に集光する集光レンズとを備え、
    前記ビームエキスパンダは、間隔を存して対置された凹面レンズと凸面レンズとを備えてなり、前記凹面レンズと凸面レンズとの間隔が前記光ファイバでのレーザビームの通過率が最大となるように調整されている請求項1ないし5の何れかに記載の固体レーザ装置。
  7. ビームエキスパンダで拡大されたレーザビームをこれの光軸に対し直交方向に反射させて集光レンズに向けて光路を変更させる透明反射ミラーと、この透明反射ミラーのレーザビームの反射方向とは反対側からレーザビームの光ファイバの受光端面への集光点を前記透明反射ミラーを通じて透視できる位置に設けられた観察系とを備え、
    前記光ファイバが変位可能または前記透明反射ミラーが回動可能に設けられている請求項6に記載の固体レーザ装置。
  8. レーザ媒質の光軸上において前記レーザ媒質の両側に配置されたリア反射ミラーと出力ミラーとからなる光共振器の共振器長が500mm以上に設定され、長さが150mm以上で直径が8〜10mmのサイズのレーザ媒質と、内径が8〜9.5mmのアパーチャが設けられている請求項1ないし7の何れかに記載の固体レーザ装置。
  9. レーザ媒質の光軸上において前記レーザ媒質の両側に配置されたリア反射ミラーと出力ミラーとからなる光共振器の共振器長が500mm以上に設定され、長さが170mm以上で直径が8〜10mmのサイズのレーザ媒質と、内径が8〜9.5mmのアパーチャが設けられている請求項1ないし7の何れかに記載の固体レーザ装置。
  10. 長さが200mm以上で直径が8〜10mmのサイズのレーザ媒質と、内径が9〜9.5mmのアパーチャが設けられて、直径が0.8mm以上の光ファイバにレーザビームを入射するように構成されている請求項1ないし7の何れかに記載の固体レーザ装置。
  11. 単一の励起用ランプとレーザ媒質とを収納した集光器ケースを複数備え、これら各集光器ケースが、各々の光軸が同軸上で合致する配置で連設されている請求項1ないし10の何れかに記載の固体レーザ装置。
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