JP4310364B1 - タイヤ走行試験装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のタイヤ走行試験装置1は、2つのドラム4,5の間に架け渡されたベルト6と、ベルト6を裏面側から支持する荷重支持装置7と、ベルト6の下方へ支持液を供給する給液手段10とを有し、荷重支持装置7は、ベルト6の走行方向に沿って、タイヤ上流部U、タイヤ接触部E、タイヤ下流部Dに区分されると共に、給液手段10は、支持液を吐出可能であり且つベルト6の走行方向に延出する成分を有している長溝12を有し、長溝12が、タイヤ上流部Uに形成され且つタイヤ上流部Uとタイヤ接触部Eとの境界を横断しないよう配設されている。
【選択図】図2
Description
荷重支持装置は、ベルトの走行を円滑に支持するために、加圧された水や油等の支持液を、ベルト下面と荷重支持装置の上面(ベルト支持面)との間に供給するように構成されている。つまり、ベルト接触面に支持液を給液しベルトを浮かせて上方へ支持する機能を備えている。
特許文献1に開示された荷重支持装置には、ベルト走行方向と直角な方向(幅方向)に複数の長溝が設けられており、その中央部に支持液を噴射する給水孔が設けられている。長溝を設けることにより、少ない給水孔でベルトの幅方向全体に水を供給することができるものとなっている。
また、長溝と長溝の間のランド部においては、ベルトとベルト支持面の間にくさび状の隙間が形成されていている。くさび状の隙間に上流側から流れ込んできた支持液は、そのくさび効果により動圧を生じベルトが上方に支持される。
特許文献2の技術では、支持液の静圧と動圧を利用し、ベルトを上方に向けて支持しするものとなっている。すなわち、ポケットが幅方向および走行方向に独立していることから、高圧の支持液が逃げることがなく、静圧によるタイヤ支持力が確保され大きなタイヤ荷重にも耐えれるようになっている。一方で、ベルトの走行速度が上昇し、ベルトとベルト支持面の間に支持液が入り込み動圧による支持が可能となると、支持液の供給圧力を下げて供給量を減らすようにしている。
このように、従来のタイヤ走行試験装置に備えられた荷重支持装置において、動圧による支持を確実に行うためには、多量の支持液の供給が必要であった。そのため、タイヤ走行試験装置全体に対する支持液供給手段の占める割合が大きくなることは否めず、この支持液供給手段を出来る限り小さくすることが切望されているのが現状である。
すなわち、本発明に係るタイヤ走行試験装置は、2つのドラムの間に架け渡されたベルトと、該ベルトの平坦面を裏面側から支持する荷重支持装置と、該荷重支持装置に設けられ且つ前記ベルトを下方から支持する支持液を当該荷重支持装置とベルトとの間に供給する給液手段とを有するものであって、前記荷重支持装置は、ベルトの走行方向に沿って、タイヤ上流部、タイヤ接触部、タイヤ下流部に区分されると共に、前記給液手段は、支持液を吐出可能であり且つベルトの走行方向に延出する成分を有している長溝を有しており、前記長溝が、前記タイヤ上流部に形成され且つタイヤ上流部とタイヤ接触部との境界を横断しないよう配設されていることを特徴とする。
一方、動圧方式をもって確実なベルト浮上力・タイヤ支持力を得るためには、タイヤ上流部側からタイヤ接触部へ向けて多くの支持液を供給する必要がある。しかしながら、タイヤ接触部は、ベルトとタイヤ支持面との隙間が狭い上に面圧が高いことから、タイヤ接触部の上流側に多量の支持液を供給したとしても支持液の大半はタイヤ接触部を迂回するように流れる。
なお、静圧によるベルト浮上・タイヤ支持を期待しない場合は、タイヤ接触部に支持液を噴射する必要がなく、タイヤ接触部に給液手段を設ける必要はない。支持液供給手段の小型化を図るためには、タイヤ下流部にも給液手段を設ける必要もない。
なお、前記タイヤ上流部に形成された長溝は、タイヤ上流部とタイヤ接触部との境界の直前まで延設されているとよい。
好ましくは、前記長溝はタイヤ接触部にも形成されており、前記タイヤ接触部に形成された長溝は、タイヤ上流部とタイヤ接触部との境界を横断しないよう配設されているとよい。
さらに好ましくは、前記タイヤ接触部に支持液を吐出可能な供給孔が形成されているとよい。
こうすることで、静圧によるベルト浮上・タイヤ支持を行うことができる。
前記給液手段は、前記タイヤ上流部、タイヤ接触部、タイヤ下流部のそれぞれで、支持液の給液状態を独立して変更可能に構成されているとよい。
さらには、前記給液手段は、前記荷重支持装置の幅方向に沿って支持液の給液状況を可変に構成されていて、前記タイヤ接触部の幅方向両側での支持液の供給量を、タイヤ接触部での支持液の供給量よりも少なくするとよい。
図1に示すように、タイヤ走行試験装置1は、タイヤ2を装着するスピンドル軸3と、正逆に回転自在とされた駆動ドラム4と、駆動ドラム4に対して距離をあけて軸心同士が互いに平行となるように設けられる従動ドラム5と、駆動ドラム4と従動ドラム5との間に架け渡された無端の金属板の走行ベルト(以降、ベルト6と呼ぶ)とを有している。
ベルト6には駆動ドラム4と従動ドラム5との間に上下2つの平坦面が形成され、ベルト6の上側の平坦面に形成された路面(試験路面)にタイヤ2を接触させることで、路面上を転動するタイヤ2の走行特性が評価可能となっている。平坦面の下方、すなわち試験路面に対応するベルト6の裏面には、タイヤ荷重が付与されたベルト6を支える荷重支持装置7が設けられている。
具体的には、荷重支持装置7の上面(以降、タイヤ支持面11)は平面となっており、このタイヤ支持面11をベルト6が摺動する。タイヤ支持面11のベルト走行方向に直角方向(以降、幅方向)の長さは、ベルト6の幅より若干大きなものとなっている。タイヤ支持面11からは、ベルト6の裏面に対して加圧された水や油等の支持液が噴射されていて、この支持液の静圧や動圧によりベルト6は上方へ支持され、ベルト6とタイヤ支持面11とが接触することが防止されている。
ところで、タイヤ支持面11であって、図2〜図6の一点破線で示す部分は、タイヤ接触部Eとなっている。タイヤ接触部Eは、タイヤ走行試験時にタイヤ2がベルト6に接触する部分を含む領域であって、タイヤ荷重が付与される面である。
タイヤ接触部Eよりベルト走行方向に沿って上流側をタイヤ上流部Uとしている。タイヤ接触部Eの下流側をタイヤ下流部Dとしている。
同様に、タイヤ接触部Eに位置する給液手段10を「接触給液手段28」とし、接触給液手段28にを連通する切替弁を開閉することで、接触給液手段28の給液状況を独立して制御するようにしている。タイヤ下流部Dに対応する給液手段10を「下流給液手段29」と考え、下流給液手段29にを連通する切替弁26を開閉することで、下流給液手段29の給液状況を独立して制御するようにしている。
[第1実施形態]
図2(a)には、第1実施形態に係る給液手段10(上流給液手段27、接触給液手段28、下流給液手段29)が示されている。この図においては、ベルトは左(上流側)から右(下流側)に走行するものとなっている。
この長溝12はタイヤ走行方向に平行に長く形成され、タイヤ接触部Eの幅方向の位置と略同じ箇所に設けられている。さらに、タイヤ上流部Uであってタイヤ支持面11の幅方向両端部(タイヤ接触部Eの両外側)にも、タイヤ走行方向に長く形成された長溝12が形成されている。
各長溝12の断面形状は、下方に凹状であって、長溝12内には支持液を噴射する給液孔13が等間隔に配設されている。
なお、本実施形態の場合、接触給液手段28としては何も設けられていない。つまり、タイヤ接触部Eには給液手段10が存在せず、支持液の下方からの直接供給は行われないしない。
下流給液手段29としては、上流給液手段27と同様の長溝12が設けられるものとなっている。この下流給液手段29は、通常は使用せずベルト6を反転させタイヤ2の逆回転試験を行うに際し、上流給液手段27として用いる。
給液路14の中途部から上方へは給液支管15が連通状に形成されている。この給液支管15の先端が長溝12内に開放状となっていて前述の給液孔13となっている。
平面視でこれら複数の長溝12を囲むように、タイヤ支持面11の周縁近傍には、断面凹状に形成された復水溝16が形成されている。この復水溝16は、荷重支持装置7の内部に形成された排水室17に連通し、排水室17内の支持液は、荷重支持装置7に設けられた排水孔18を介してタンク19へ返還されるようになっている。
前述の給液路14へは、外部に設けられた支持液供給手段22から支持液が供給される。
支持液供給手段22は、加圧前の支持液を貯蔵しているタンク19と、タンク19内の支持液を加圧する1つのポンプ23とを有している。さらに、このポンプ23を駆動するモータ24と、ポンプ23で加圧された支持液を給液路14に導く導入路25とを有している。
切替弁26が開の場合、ポンプ23で加圧された支持液は、切替弁26を通って上流給液手段27を構成する給液路14内に導入される。給液路14内の支持液は給液支管15を通って給液孔13からタイヤ支持面11上に噴射される。
下流給液手段29も上述同様の構成となっている。
以上述べたタイヤ走行試験装置1を用いて、タイヤ2試験を実施するに際しては、まず、スピンドル軸3のリムにタイヤ2を装着する。タイヤ2を装着した状態で荷重支持装置7の上部を移動しているベルト6上面に押し付けて所定の荷重を付与する。その状態で、ステアリング角やキャンバ角を付与しつつ、タイヤ2の鉛直荷重(荷重反力)や転がり抵抗を求める。
さらに、上流給液手段27の長溝12に供給された支持液は、長溝12内を下流側に流下するため、効果的にタイヤ接触部Eに支持液を供給可能となる。加えて、タイヤ上流部Uとタイヤ接触部Eとの境界に形成された断続部39において、ベルト6とタイヤ支持面11の間にくさび状の隙間が形成されており、このくさび状隙間に支持液が入り込み、タイヤ支持・ベルト浮上のための動圧が確実に発生するようになる。
なお、本実施形態では、下流給液手段29は作動させず、タイヤ接触部E及びタイヤ下流部Dへの支持液の供給は行わないこととしている。
また、タイヤ2を反転させてつつ試験を行う際には、タイヤ下流部Dがタイヤ上流部Uとなり、タイヤ上流部Uがタイヤ下流部Dとなるため、タイヤ正転時における下流給液手段29を上流給液手段27と考え、支持液の給液を行うとよい。タイヤ反転時における給液の条件はタイヤ正転時と同じとするとよい。
[第2実施形態]
次に、本発明に係るタイヤ走行試験装置の第2実施形態について説明する。
詳しくは、図3に示すように、上流給液手段27として、タイヤ支持面11の幅方向両側部(タイヤ接触部Eの両外側に対応する位置)に形成された溝が、幅方向に沿った横溝37となっている点が大きく異なっている。
この横溝37は、タイヤ上流部U内であってベルト走行方向に沿って複数本設けられており、図例の場合、ベルト走行方向に沿った上流側と下流側のそれぞれに1本ずつ設けられている。
他の構成や奏する作用効果については、第1実施形態と略同様であるため、説明を省略する。
[第3実施形態]
本発明に係るタイヤ走行試験装置の第3実施形態について説明する。
このポケット31は、平面視で円形孔で且つ断面凹状であって、幅方向に長い給液路14の上部に等間隔に配備されている。ポケット31の配置ピッチは全てのポケット31,31,31・・・で同じであるため、上方から見ると、ポケット31は、ベルト走行方向及び幅方向に規則正しく格子状に配置されている。
他の構成や奏する作用効果については、第2実施形態と略同様であるため、説明を省略する。
[第4実施形態]
本発明に係るタイヤ走行試験装置の第4実施形態について説明する。
さらに、上流給液手段27、接触給液手段28、下流給液手段29の長溝12は、幅方向全体すなわちベルト支持面11の全面に設けられている。当然ながら、タイヤ上流部Uの長溝12は、タイヤ上流部Uとタイヤ接触部Eとの境界を横断しないように配設されている。タイヤ下流部Dとタイヤ接触部Eの長溝12はも分断されるように形成されていて、両部E,Dの長溝12も非連通である。
加えて、上流給液手段27、接触給液手段28、下流給液手段29は、タイヤ支持面11の幅方向に沿って、支持液の給液状況を可変に構成されていている。
詳しくは、図5に示すように、各長溝12の下側であって荷重支持装置7の内部には、各長溝12に対応しタイヤ走行方向に沿って給液路14が設けられている。この給液路14と長溝12内の給液孔13とが給液支管15で繋がっている。給液路14の一端側から支持液が供給されるものとなっており、給液路14の他端側は閉塞され止水構造となっている。このような構造のため、幅方向に複数ある長溝のそれぞれを独立して作動させ、支持液を噴射又は非噴射できる。
他の構成や奏する作用効果については、第1実施形態と略同様であるため、説明を省略する。
[第5実施形態]
本発明に係るタイヤ走行試験装置の第5実施形態について説明する。
詳しくは、図6に示すように、タイヤ上流部Uの中央部において、ベルト走行方向に沿って複数の給液孔13が等間隔に形成されている。各給液孔13からは、約45度の角度で上流側且つ幅方向左側(図の左上側)へ向けて斜め溝38Lが形成されていると共に、上流側且つ幅方向右側(図の左下側)へ向けても斜め溝38Rが形成されている。2つの斜め溝38R,38Lは中央部の給液孔13で連通しているため、斜め溝38は下流側(図の右側)を向く矢印状となっている。当然ながら、この斜め溝38は断続部39を横切ってはいない。
このような斜め溝38のそれぞれに支持液が供給されると、斜め溝38に沿って支持液が断続部39の中央部へ集まってきて、それらはタイヤ接触部Eへと供給され動圧となり、ベルト浮上・タイヤ支持の力となる。
一方、タイヤ下流部Dにも、矢印形状の斜め溝38が形成され下流給液手段29となっている。かかる斜め溝38の形状や構造は、前述した上流給液手段27の斜め溝38を、タイヤ接触部Eの中央を幅方向に通る仮想線に対して鏡像したもの(対称なもの)となっている。
以上説明した本発明に係るタイヤ走行試験装置は、上述した実施の形態に限定されるものではない。
2 タイヤ
3 スピンドル軸
4 駆動ドラム
5 従動ドラム
6 ベルト
7 荷重支持装置
10 給液手段
11 タイヤ支持面
12 長溝
13 給液孔
14 給液路
15 給液支管
16 復水溝
17 排水室
18 排水孔
19 タンク
20 水切りシール
22 支持液供給手段
23 ポンプ
24 モータ
25 導入路
26 切替弁
27 上流給液手段
28 接触給液手段
29 下流給液手段
31 ポケット
37 横溝
38 斜め溝
38R 右側の斜め溝
38L 左側の斜め溝
39 断続部
E タイヤ接触部
U タイヤ上流部
D タイヤ下流部
Claims (7)
- 2つのドラムの間に架け渡されたベルトと、該ベルトの平坦面を裏面側から支持する荷重支持装置と、該荷重支持装置に設けられ且つ前記ベルトを下方から支持する支持液を当該荷重支持装置とベルトとの間に供給する給液手段とを有するタイヤの走行試験装置において、
前記荷重支持装置は、ベルトの走行方向に沿って、タイヤ上流部、タイヤ接触部、タイヤ下流部に区分されると共に、前記給液手段は、支持液を吐出可能であり且つベルトの走行方向に延出する成分を有している長溝を有しており、
前記長溝が、前記タイヤ上流部に形成され且つタイヤ上流部とタイヤ接触部との境界を横断しないよう配設されていることを特徴とするタイヤの走行試験装置。 - 前記タイヤ上流部に形成された長溝は、タイヤ上流部とタイヤ接触部との境界の直前まで延設されていることを特徴とする請求項1に記載のタイヤの走行試験装置。
- 前記長溝はタイヤ接触部にも形成されており、
前記タイヤ接触部に形成された長溝は、タイヤ上流部とタイヤ接触部との境界を横断しないよう配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤの走行試験装置。 - 前記タイヤ接触部に支持液を吐出可能な供給孔が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤの走行試験装置。
- 前記長溝は、タイヤ上流部からタイヤ接触部に向かうにつれて前記荷重支持装置の上面幅方向の中央部に近接する斜め溝であることを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤの走行試験装置。
- 前記給液手段は、前記タイヤ上流部、タイヤ接触部、タイヤ下流部のそれぞれで、支持液の給液状態を独立して変更可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤの走行試験装置。
- 前記給液手段は、前記荷重支持装置の幅方向に沿って支持液の給液状況を可変に構成されていて、前記タイヤ接触部の幅方向両側での支持液の供給量を、タイヤ接触部での支持液の供給量よりも少なくしていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤの走行試験装置。
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