図1は本発明の一実施形態に係る冷蔵庫の斜視図である。図1(a)は最上段に配設される冷蔵室の前面開口部を覆う扉6を両開きの扉としたいわゆる観音開き式の冷蔵庫を示し、図1(b)は冷蔵室の前面開口部を1つの扉6で覆った冷蔵庫を示すものである。いずれも、冷凍温度帯の貯蔵室の上方に冷蔵室が、下方に野菜室が配設された例を示しており、本実施例はこれらを区別するものではない。
図2は、図1(a)に示した例における冷蔵庫の室内構造の概要を示す図である。図2(a)は全体構成を示した図であり、図2(b)は要部の拡大図である。
本実施例の冷蔵庫1は、内部に上から冷蔵室2、上段の冷凍室3、下段の冷凍室4、及び野菜室5を備えている。上段冷凍室3は、左右に区画された製氷室3aと急冷凍室3bから構成されている。符号6〜10は上記各室の前面開口部を閉塞する扉である。冷蔵室2の前面を閉塞する冷蔵室扉6は、図示しないヒンジを用いて回動自在に冷蔵庫本体1に取り付けられる回転式扉である。
製氷室3a、急冷凍室3b、下段の冷凍室4、及び野菜室5の前面開口をそれぞれ閉塞する製氷室扉7、急冷凍室扉8、下段冷凍室扉9及び野菜室扉10は、いずれも引出し式の扉である。これらの扉に取り付けられた枠に、貯氷容器13、急冷凍室容器14、冷凍室容器15、野菜室容器16がそれぞれ保持され、冷蔵庫本体1側に設けられるレール上をスライドして引出し自在に取り付けられている。
なお、本明細書においては、上段冷凍室3、下段冷凍室4とをあわせて、単に冷凍室、あるいは冷凍温度帯の貯蔵室等と称することがある。
冷蔵室2内の底面部には、貯水タンク11が載置されている。この貯水タンク11内の水が製氷室3a内に配設される自動製氷装置の製氷皿へと給水される。自動製氷装置については後述するが、少なくとも製氷皿を備えるとともに製氷室3a内に配置され、貯水タンク11から製氷皿に供給された水を製氷するものである。製氷が完了すると製氷皿が駆動され、製氷皿の回動によって離氷が行われ、自動製氷装置の下方に配置される貯氷容器13内に氷が落下するように構成される。離氷の後は、再び貯水タンク11からの水を受けられるように元の状態に戻される。
図3は本実施例の冷蔵庫の縦断面図であり、図4は冷蔵庫背部の冷気循環構造を示す図である。これらの図3及び図4を用いて本実施例の冷気の流れについて説明する。
本実施例の冷蔵庫は、図に示すように、冷凍室3、4の上部に冷蔵室2を備え、冷凍室3、4の下部に野菜室5を備えたいわゆるミッドフリーザタイプの冷蔵庫である。中段に配置される冷凍室の背面には冷凍サイクルの一部を構成する冷却器18を有している。また、冷却器18の上方に送風機19を備え、冷却器18で生成された冷気が、送風機19によって冷蔵室2、上段の冷凍室3、下段の冷凍室4及び野菜室5の各室に送られる構造となっている。図中の矢印は冷気の流れを示している。
冷却器18によって生成された冷気の一部は、送風機18によって、上方の冷蔵室2の背面に形成された冷気通路から、冷蔵室前面側に開口した吐出口から冷蔵室2内に吹き出される。野菜室5には、冷蔵室2へ向かう冷気通路から分岐した冷気通路を野菜室5に連通させ、野菜室容器16の周囲を冷気が回るように冷気が供給される。
下段冷凍室4には、冷凍室容器15内に冷気が吹き込まれるように冷凍室吹出口が配置され、本実施例では、冷凍室容器15を上下に3段備えたことを考慮し、冷凍室吹出口もそれに対応して上下に3つ並べられている。なお、最上段の冷凍室吹出口25は、上段の冷凍室3との間を区画する仕切壁の後方投影面に位置するように設けられている。
製氷室3a内には製氷皿を備えた自動製氷装置12が配設されている。この製氷室3aにも製氷室背面側から製氷室3a内に冷気を吐出する製氷吹出口24が設けられている。この製氷吹出口24は、送風機19によって送られた冷気が吹き出されるものである。ここでいう送風機19は、製氷室3aの専用の送風機ではなく、少なくとも製氷室3a、急冷凍室3b及び下段冷凍室4のような冷凍温度帯の貯蔵室に対して冷気を送る機能を備えている。本実施例では、さらに、冷蔵温度帯の貯蔵室である、冷蔵室2及び野菜室5に対しても、この送風機19によって冷気を送っている。
製氷吹出口24は、後述するように、製氷皿の上端部よりも上側に開口を有する吐出口となっている。製氷吹出口24から吐出された冷気は、製氷皿上を後方から前方へと流れ、製氷皿を冷却する。このように、製氷皿内の水は冷気によって長手方向に冷却されるため、効率的に製氷を行うことができる。
図5は、本実施例の要部を拡大して示す図であり、図5を用いて製氷室の冷却構造について説明する。下段冷凍室4の背部に冷却器室17が設けられ、この冷却器室17内に冷却器18が配設されている。冷却器18の上方には送風機19が、冷却器18の下方には除霜用ヒータ20がそれぞれ配設されている。送風機19は、前述のように、冷却器18で冷却された冷気を冷蔵室2、冷凍室3、4及び野菜室5に冷気を送るものであり、換言すれば、本実施例の冷蔵庫は送風機19によって冷気が強制循環する構造となっている。
なお、図には示してないが冷蔵室2、野菜室5に送る冷気は図示しないダンパー装置によって制御され、それぞれの貯蔵室を適温に保持している。また、上段冷凍室3及び下段冷凍室4の温度は、冷凍室内に設置された温度センサーによって検出された温度に基づいて、冷凍サイクルの運転が制御される。また、送風機19も検出温度によって運転が制御され、冷気が必要な場合には冷凍サイクル及び送風機19が運転することで冷気が供給される。室内の温度が充分低い場合には冷凍サイクル及び送風機19の運転が停止され、これらの制御によって温度が適正に保たれている。
冷却器18の下方に配設された除霜用ヒータ20は、冷却器18に蓄積した霜を取り除く働きをする。除霜用ヒータ20が発熱し、冷却器18に着いた霜を溶かして発生する除霜水は、さらい下方の樋21に落下し、この樋21と室外とを連通する排水管21aによって庫外に排出される。
冷却器室17と冷凍室3、4との間は仕切部材22によって区画されている。この仕切部材22は、図にも示す如く、送風機19より吐出される冷気を冷凍室3、4に導くため冷気ダクト23を備えている。冷気ダクト23は冷凍室3、4と連通する開口を有しており、この開口から冷気が吐出されて冷凍室3、4を冷却する。
製氷室3aに冷気を吐出する開口としては、製氷吹出口24が製氷室3aの背面部に設けられる。また下段冷凍室4に冷気を吐出する開口としては、冷凍室吹出口25が設けられ、この冷凍室吹出口25のうち少なくとも1つは、冷凍室容器15の配置位置よりも上部に設けられている。なお、製氷吹出口24は、製氷室3aの天井面26に近接して設けられることが望ましく、少なくとも製氷皿30の上縁部28よりも上方に位置させるとともに、製氷皿30に対して長手方向に冷気が吐出されるように構成されている。
自動製氷装置12は、製氷フレーム27内に駆動部29及び製氷皿30を備えて構成されている。駆動部29と製氷皿30とからなる製氷ユニットは、製氷皿30が駆動部29から着脱可能としており、駆動部29と取外し可能な製氷皿としたことによって、製氷フレーム27から製氷皿30を取り外すことを可能としている。なお、製氷皿30の取外しに際しては、製氷フレーム27が製氷室3aから引き出されるように構成することが望ましい。また、駆動部29は駆動モータを有し、図示しない制御部によって駆動が制御される。
自動製氷装置12の動作について簡単に説明する。冷蔵室2内に載置された貯水タンク11から図示しない給水パイプによって製氷皿30に給水され、製氷室3a内で製氷が行われる。図示しないセンサーによって氷が生成されたことが確認されると、駆動部29が製氷皿30に駆動力を与え、製氷皿30が回転する。このとき、製氷皿30の反駆動部側は所定の回転角度以上に回転しないように規制されているため、製氷皿30が捩られ、製氷ブロック内の氷が製氷皿30より離氷する。製氷皿30の下方には貯氷容器13が配置されているので、離氷された氷は貯氷容器13に落下し、貯氷容器13内には氷が貯められる。離氷後、次の製氷に備えて製氷皿30は元の状態に戻される。これらの動作を繰り返すことによって、製氷が行われる。
製氷皿30の上面を冷気が通過すると、製氷皿30内の水と冷気とが熱交換するため、製氷時間の短縮には、製氷皿30の全面にわたって冷気が通過する構成にすることが必要である。
本実施例の製氷皿30は、製氷室3aの奥行方向を長手方向として配設されているため、後方から前方へと冷気が吹き出される構成を採用している。この構造について詳述する。
自動製氷装置12は、製氷皿30の上面28と製氷フレーム27の天井面との間に空間32を有している。この空間32によって、離氷のために製氷皿30が回転する動作軌跡を確保している。したがって、この空間32に対して、製氷皿30の後方から冷気を供給することが製氷時間の短縮には有効である。
一方、製氷室3aの限られた空間を有効に利用するために、自動製氷装置12は製氷室3aの天井面26に取り付けられている。自動製氷装置12と製氷室の天井面26との間を離し過ぎると貯氷容器13の容量が小さくなってしまうため、利用しづらい上方の空間がなるべく小さくなるように自動製氷装置12が取り付けられる。
これらの構成を有するものにおいて、空間32に後方から冷気が供給できるように、本実施例では駆動部29の上方に製氷吹出口24と連通する連通路を備えている。具体的には、駆動部29の天井面29aと製氷室3aの天井面26との間に、後方側に開口する連通路を有し、製氷吹出口24からの冷気が空間32内へと効率的に供給可能なように、連通路として、ダクト形状の冷気ダクト33を配設している。
冷気ダクト33によって前方に向かって吐出される冷気は、空間32内へと至り、製氷皿30の上端部28の近傍を長手方向に通過していく。したがって、製氷時間を効率的に短縮することができる。また、冷気ダクト33は駆動部29よりも上方に位置しているため、空間32内に導かれる冷気を製氷皿30の上縁部28へと案内するガイド部材31を設けてもよい。ガイド部材31は、特に位置、形状、材質が限られるものではなく、冷気ダクト33の吐出口形状を下向きにしたようなガイド形状吹出口であってもよいが、本実施例では製氷フレーム27の上面から下方に延伸する部材で構成している。なお、このガイド部材31は、製氷皿30の回転に干渉しないものとしていることはいうまでもない。
製氷室3a内の限られた室内空間をさらに有効に利用するための構成について説明する。
上述のように、離氷のための製氷皿30の動作軌跡分だけ、少なくとも空間32は確保されている。一方、上述のように、自動製氷装置12は、駆動部29の天井面29aと製氷フレーム27の天井面との間に風路(連通路)が確保されている。
したがって、駆動部29の天井面29aを製氷皿30の動作軌跡の最高点よりも低く設定すれば、天井面29aと製氷室の天井面26との間には必ず空間が生じ、この空間内に風路を設ければ、製氷室3a内の無効空間を小さくすることができる。
すなわち、冷気ダクト33が、製氷皿動作軌跡の最高点の高さ内に全て収まれば、無効空間は極小化され、冷気ダクト33の一部でも上記高さ内に収めるだけで、その分だけ無効空間が縮小するということである。
そこで、本実施例では、少なくとも駆動部29の上端(天井面29a)を上記高さよりも低く設定し、この駆動部29上部の風路から空間32内に冷気を供給する構成としている。これは、駆動部29の天井面29aの全てを上記高さ内に必ずしも収める必要はなく、駆動部29の上端の一部であっても、通風路が構成できれば問題はない。
冷気ダクト33は、手前側の一端が駆動部29上端と、製氷フレーム27の天井面又は製氷室3の天井面26との間に差し込まれ、奥側の他端が仕切部材22に設けられた製氷吹出口24に接続されたダクト形状の部材であり、送風機19より吹き出された冷気が製氷皿30側に吹き出されるように取り付けられている。
冷気ダクト33の奥行寸法としては、製氷吹出口24と駆動部29との距離以上が必要であるが、本実施例では、駆動部29の天井面29aと重ね合わされる寸法に作られている。すなわち、冷気ダクト33の配設時には、駆動部29と奥行方向でラップして取り付けられる。したがって、寸法上の多少の取付誤差があっても、製氷吹出口24から十分な量の冷気を製氷皿30へと供給することができる。
この冷気ダクト33は送風機19より吹き出された冷気が駆動部29の天井面29a相当位置まで送られれば、駆動部29の天井面29aを冷気案内部として、製氷皿30側に冷気を吹き出される。なお、冷気ダクト33の上壁は、製氷室の天井面26を利用してもよい。
また、冷気ダクト33を駆動部29と重ね合わせて配設可能としたことによって、自動製氷装置12の取付位置を変更しても、同構成によって対応することが可能となる。すなわち、冷気ダクト33と駆動部29の天井面29aとの重ね合わせ寸法(ラップ寸法)の範囲内であれば、自動製氷装置12の取付位置を前方(手前側)に移しても、風路が維持されるため、冷気を製氷皿30へ供給することができる。
なお、冷気ダクト33は、駆動部29の天井面29aに固定してもよいが、固定しなくても特段の問題はない。通常は、製氷フレーム27等によって冷気ダクト33の位置決めがなされる。つまり、冷気ダクト33は仕切部材22に固定されていれば、吹出し側の端部は固定される必要はなく、実際、本実施例でも端部はフリーな状態となっている。
このことは、奥行寸法の異なる冷蔵庫であっても、同形状の自動製氷装置12を配設可能であることを意味している。次に、図6及び図7を用いて奥行寸法の異なる冷蔵庫に自動製氷装置12を取り付けた例について説明する。
図6及び図7は、製氷室周辺の要部の構造を示す縦断面図であり、それぞれ異なる奥行寸法を有する冷蔵庫に自動製氷装置12を取り付けた構成を示すものである。これらの説明において、図5以前と同符号を付したものは同一部材を示しているので、詳細な説明は省略する。
先に述べたように、奥行寸法が異なる冷蔵庫であっても、製氷室3aの開口前縁部から自動製氷装置12までの距離(L1、L2)を無制限に変えることはできない。本実施例によれば、図6に示した奥行寸法の大きな冷蔵庫における距離L1と、図7に示した奥行寸法の小さな冷蔵庫における距離L2との差は、両冷蔵庫の奥行寸法差よりも小さく設定することができる。
例えば、L1=L2となるように自動製氷装置12を製氷室3aに取り付けた場合、図6と図7の冷蔵庫は、製氷室3aの奥行寸法が異なるため、製氷室3aの背面との距離が異なっている。
しかし、上述のように、冷気ダクト33を用いて、駆動部29の上方の連通路から冷気を供給する構造とすれば、この奥行寸法差は吸収できる。したがって、機種ごとに異なる自動製氷装置12を用意することなく部品の共用化が図れるため、製造効率の向上するとともに、コストを抑えて冷蔵庫を製造することができる。
また、自動製氷装置12を駆動するために用いられる電源コード34等は、製氷室3aの背面を構成する仕切部材22と駆動部29との間に収納することで、冷気ダクト33の下側の空間も有効に活用することができる。また、この収納を助ける部品、部材を冷気ダクト33と一体もしくは別体に作っておけば、さらに効率向上や安価な構成に寄与する。
次に、自動製氷装置12の取付位置の変更について図6及び図7を用いて説明する。本説明において、図6と図7は、それぞれ自動製氷装置12の取付位置を変更した例を示すものである。図6の自動製氷装置12は、手前側からL1寸法の位置に取り付けられ、図7に示すものはL2寸法の位置に取り付けられている。
この例では、L1<L2と設定されており、その分だけ製氷室3aの背面との距離が異なっている。L1とL2との差は、少なくとも駆動部29の天井面29aの奥行寸法分だけ確保することができ、通常の大きさを有する自動製氷装置12であれば、30〜60mm程度は位置を変えることができる。
さらには、冷気ダクト33は、製氷皿30の上面に冷気を送る連通路を形成するものであるため、L1とL2との差は天井面29aの奥行寸法分に限られるものではない。すなわち、冷気ダクト33は、図6及び図7の矩形点線で囲まれた部分(製氷皿30の製氷ブロック部)に冷気が供給される構成であればよいので、この位置までダクトが延伸していても特段の問題はない。したがって、天井面29aの奥行寸法分に、駆動部29から製氷皿の製氷ブロック部までの寸法を加えた分まで確保することができる。
この事情は、上述した奥行寸法の異なる冷蔵庫の場合においても同様であり、上記寸法分だけ奥行寸法の異なる冷蔵庫においても同様に対応することができる。
冷蔵庫の内容積を拡大する際に、冷蔵庫1の奥行寸法のみを変えた場合には、奥行寸法に直接関係する冷蔵室2内の棚、あるいは冷凍室3、4や野菜室5等の容器類は変える必要がある。しかし、奥行寸法には関係しない扉6、7、8、9、10や仕切部材22等は同一の部品を使用して、部品の共用化を図れば、部品製作時における型治工具費を低減することができる。
ここで、上述のように、冷気ダクト23と駆動部29の天井面29aとを重ね合わせて配設し、この寸法に余裕をもたせておけば、奥行寸法が変更されても自動製氷装置の共用化を図ることができる。奥行寸法が変われば、電源コード34を収納する空間の大きさ(駆動部29と仕切部材22間の寸法)も変わってしまうが、この空間が最も小さくなる寸法に対応する電源コード収納ケースを作っておくようにしておけば、特段の問題は生じない。
上記構成を備えることで、冷却器18で冷却された冷気が、仕切部材22に設けられた製氷吹出口24から方向を変更することなく冷気ダクト33を介して、駆動部29の天井面29a部に導かれるため、製氷吹出口24から吹き出される冷気の風路が複雑化せず、製氷室専用の送風機を用いることなく製氷を行うことができる。
また、天井面29aに導かれた冷気は、駆動部29の天井面29aで方向付けがなされ、ガイド部材31によって、製氷皿30の長手方向をいわば舐めるように冷却されるので、冷気と製氷皿30内の水とが十分に熱交換され、製氷時間の短縮を図ることができる。また、製氷フレーム27と、製氷皿30の上縁部28との間に作られる空間32は、製氷皿30の動作軌跡で使われる必要寸法を確保するためにも利用される。したがって、製氷室3aの限られた室内空間を有効に利用することができる。また、製氷皿30と駆動部29上面の位置を予め決めておけば、最良の冷気風路を構成することができる。
また、製氷フレーム27と冷気ダクト33とを別部材として用い、冷気ダクト33と製氷フレーム27とが相対的に移動しても冷気の供給が行えるように配設されているため、冷蔵庫の奥行寸法が異なっても同形状の自動製氷装置を用いることができる。
また、冷気ダクト33と駆動部天井面29aの重ね合わせ部は製氷フレーム27の取付位置がずれた場合であっても、駆動部29の厚さ分は確保されるので、冷気ダクト33と駆動部29のラップ寸法内であれば、駆動部29の位置を変更でき、設計変更等も容易に行うことができる。
また、駆動部天井面29aと製氷フレーム28間に作られた風路の前方延長上にガイド部材31を設け、風路から出た冷気を製氷皿30側に向けて案内したため、製氷時間のさらなる短縮が可能である。なお、風路の上面として製氷室3aの天井面26を用いれば、ガイド部材31の高さ位置の調整も極めて簡単に行える。
次に、図8及び図9を用いて奥行方向の異なる冷蔵庫における製氷室等の構造について説明する。図8は製氷室と急冷凍室を示す上面図であり、図9は図8のA−A断面図である。
製氷室3aと急冷凍室3bとの間は上下に延伸する梁状の前仕切35によって、前面の開口部が区画されており、この前仕切35は製氷室扉7及び急冷凍室扉8側のゴム磁石着磁面を形成する。また、前仕切35は冷気漏洩等によって表面が冷却されやすいため、冷凍サイクルの配管の一部を露付防止パイプ36として前仕切35内に通しており、この露付防止パイプ36が放熱することによって、露付を防止している。
前仕切35の後方には、縦仕切37が備えられており、この縦仕切37には製氷室扉7及び急冷凍室扉8の開閉のためのレール39が設けられている。本実施例の縦仕切37は、前面が前仕切35に取り付けられて固定されているが、後方は仕切部材22に当接せずに、仕切部材22の手前で止められている。すなわち、仕切部材22と縦仕切37の後端との間には、隙間38が設けられている。
この隙間38は製氷室3aと急冷凍室3bとの間を連通し、両室の間で冷気の流出入を行われる。したがって、急速製氷運転モードが実施された場合や、あるいは急冷凍室3b内の収納物が急冷凍室3bへの冷気吹出口を塞いだ場合のように、製氷室3a側に冷気の大半が集中したときは、製氷室3aは急冷凍室3bより一時的に低い温度となるが、両室間には冷気の流出入を可能とする隙間38が設けられていることによって、長期的には隙間38を通して冷気が流れ、両室の均温化に寄与している。これは、急冷凍室3bに冷気を多量に集められた場合も同様である。
本実施例の縦仕切37は、前仕切35のみに取り付けられて片持状態で固定されているわけではなく、製氷室3a、急冷凍室3bの天井面26等に固定される。製氷室3a及び急冷凍室3bの天井面26は、冷蔵室2と冷凍室3との間の断熱仕切壁の下側面によって構成されており、縦仕切37はこの断熱仕切壁の下側面に固定されるということである。
また、各扉7、8には各容器13、14を載置する支持枠40が取り付けられ、この支持枠40がレール39を摺動して扉7、8が引き出されるように構成されている。支持枠40には引出しのためにローラを設けてもよい。レール39は縦仕切37の両側及び冷蔵庫本体1を構成する内箱1aの側面にも設けられており、容器13、14を支持する支持枠40の摺動部を構成するとともに、扉や容器の重量を受ける部分でもある。
縦仕切37は合成樹脂等が用いられ、型形成されるものであるから、レール39は、縦仕切37と一体に作られており、リブ等の補強部材としても機能し、縦仕切37自体の強度アップにも寄与している。すなわち、縦仕切37は、支持枠40に支持された容器13、14が収納食品を入れた状態で出入する際の負荷に耐える構造を有している。
上段の冷凍室3と下段の冷凍室4との間には、これらを区画する前仕切41が設けられており、この前仕切41も前仕切35と同様に前面開口部に取り付けられる梁状の仕切である。また、各冷凍室扉7、8、9のゴム磁石着磁面を形成しており、内部には露付防止用のパイプ36が設けられている。
前仕切41の後方には底板42が設けられ、この底板42は前端が前仕切41に強固に固定されている。この底板42の後端も、図9に示す如く仕切部材22との間に隙間43を形成している。この隙間43は下段の冷凍室4と上段の冷凍室3との間の温度分布を均温化するものである。底板42は縦仕切37や内箱1aに固定して設けてもよい。
このように、奥行方向を形成する部品である、縦仕切37及び底板42を冷凍室3、4に組み込むにあたって、本実施例では、冷凍室3、4の背面を構成する仕切部材22との間に隙間38、隙間43を設けている。したがって、間口(幅)寸法が同じで、奥行が異なる機種に対してもこれらの部品を組み込むことができる。
すなわち、予め、隙間38、43の寸法を、例えば50mm確保しておけば、奥行寸法が50mm小さい冷蔵庫に対してまで同部品を取り付けられる。また、隙間38、43寸法を80mm確保しておけば、奥行寸法がたとえ50mm小さくなった冷蔵庫に取り付けたとしても30mmの隙間が残り、この隙間38、43を通しての冷気の出入りを確保することができる。したがって、上述した均温化の作用も奏する。
その際は、冷気ダクト33を仕切部材22側に固定する構造を採用すれば、冷気の供給も問題はない。すなわち、何れかに固定された各部分に対して、これらの各部分の奥行寸法を調整する部材(冷気ダクト33等)を備えることによって、奥行寸法の異なる冷蔵庫に対して部品の共用化を図ることができる。
このように、上述の実施例によれば、以下のような作用効果が得られる。奥行対応部品の一方端を、相手部材に固着しない構造で庫内等に取り付けて固定するようにしたため、奥行方向の部品の共用化が図れ、部品製作時の型治工具費の低減だけではなく、部品在庫の低減をも併せて図れることができる。
具体的には、自動製氷装置12と仕切部材22、あるいは製氷室3aと急冷凍室3b間を区画する縦仕切37と仕切部材、の関係のように、冷蔵庫の奥行方向に設置される部品の一方端側が固定され、他方端側の奥側部材とは固定しない構成としたので、奥行寸法が異なる機種においても同形状の部品を使用することができる。
さらに、自動製氷装置12においては、以下のような作用効果が得られる。すなわち、冷気ダクト33を有することによって、駆動部29が製氷皿30よりも後方に位置して、製氷皿29が取り出せる構造の自動製氷装置であっても製氷をより効率的に行うことが可能となる。さらには、自動製氷装置12の後方の空間を電源コード34等の収納に利用できるといった二次的な効果も得られる。縦仕切37においては、隣接する各貯蔵室間の温度の均温化も合わせて図ることができる。
また、縦仕切37は、製氷室扉7側に取り付けられる支持枠40の摺動部材と急冷凍室扉8側の摺動部材とが摺動するレール39を一体に形成したので、レール39を後から縦仕切37に取り付ける手間が省けるだけではなく、縦仕切37自身の強度も強くなる。特に、上述のように奥行対応として、縦仕切37の後端部を仕切部材22のような冷凍室背面部材で支持しない構造としたため、縦仕切37をレール39と一体に形成することが強度保持に有効である。
次に、上述の実施例とは異なる実施例について、図10を用いて説明する。図10は製氷室と急冷凍室を示す上面図であり、製氷室3a内に複数の製氷皿を配置した構成を示すものである。複数の製氷皿は、全て自動製氷が可能な構成としてもよい。このときは、駆動部29を複数備えることによって、上記の同様な構成を採用すればよい。また、一方を自動製氷を可能なものとし、他方を手動で製氷を行うものとしてもよい。すなわち、自動製氷と手動製氷を行う製氷皿を製氷室3a内に混在して設けても差し支えない。
複数の製氷皿を設けた場合には、冷気ダクト33は、これらの複数の製氷皿に対して冷気を供給する構造とする。すなわち、いずれの製氷皿に対しても製氷皿の奥側から手前側に向かうように冷気を供給し、製氷皿の長手方向に冷気が流れるものとしている。このように複数の製氷皿を備えた場合であっても、製氷効率の高い構造とすることができる。
図11は本実施例の冷気ダクト33の一例を示す斜視図である。冷気ダクト33は、平面部から冷気吹出口が延出しており、この例では、2つの製氷皿を有する製氷室の例として、2つの冷気吹出口33a、33bを備えた構成としている。しかし、1つの製氷皿を有する場合には冷気吹出口は必ずしも2つ設ける必要はない。また、この例は、一方の製氷皿は自動製氷が可能なものとし、他方の製氷皿は手動としたものに用いられる冷気ダクトであり、冷気吹出口33aと33bは形状が異なっている。
自動製氷が可能な製氷皿に冷気を供給する冷気吹出口33aは上面が開口した構造とし、この開口部は製氷室3a内に取り付けられる状態では、天井面26と当接するため、ダクト形状となる。
また、冷気吹出口33aの平面部からの延出寸法は、自動製氷装置12の取付位置を考慮して定められている。さらに述べれば、冷気吹出口33aの下面は、駆動部29の天井面29a形状とあわせた形状としている。自動製氷装置12の取付位置の変更等の関係から、天井面29a形状と冷気吹出口33aの下面形状をともに平面形状とすれば、取付位置変更に容易に対応が可能となる。
また、冷気ダクト33の平面部の冷気吹出口33a、33bの下側には水平面を有するリブ部材が33cが設けられている。このリブ部材33cは電源コード34等を収納する空間を形成し、リブ部材33cと冷気吹出口との間の空間が電源コード34等の収納空間となる。
冷気吹出口33bは、手動の製氷皿に冷気を供給するものであるため、この製氷皿と製氷室3aの背面との間に駆動部29が存在しない。したがって、冷気吹出口33bは冷気吹出口33aよりも低い位置に設けられ、また、ダクト形状も上面を開放させていない。ただし、自動製氷装置12の取付位置の変更等を考慮しているため、平面からの延出寸法は冷気吹出口33aと同程度としている。
このような冷気ダクト部材を、製氷室3aの背面を構成する仕切部材22に取り付けることで、自動製氷装置12内の製氷皿に対して冷気を供給でき、効率的な製氷が可能であるとともに、自動製氷装置12の取付位置が変更されても容易に対応が可能な構成とすることができる。
図12及び図13は比較例を示すもので、図12は要部の縦断面図であり、図13は製氷室と急冷凍室を示す上面図である。これらの図において、上記の実施例と同名の部材は符号は異なって示しているが同一作用の部材あるいはそれに相当する部材であるため、詳細な説明を省略する。
この比較例においても、冷蔵庫本体51内に冷蔵室、冷凍室53、野菜室を備え、冷凍室53は、上段の冷凍室53aと下段の冷凍室53bとからなっている。上段の冷凍室53aは製氷室と急冷凍室とが左右に区画されている。
冷凍室53の背部には冷却器室54を有し、冷却器55が配設され、冷却器55の上方には送風機56が設けられている。冷凍室53と冷却器室54との間は仕切部材57で仕切られ、この仕切部材57には製氷吹出口57a及び冷凍室吹出口57bが設けられる。
製氷室内には自動製氷装置58が配設される。この自動製氷装置58は、製氷皿59と製氷皿59を駆動する駆動部60からなる製氷ユニット61と、この製氷ユニット61を包んで外郭を形成する製氷フレーム62とを備えて構成される。製氷皿59上方には、製氷皿59の動作軌跡を考慮して空間が設けられる。製氷フレーム62が、製氷室の天井面に取り付けられることで、自動製氷装置58が製氷室内に配設される。
駆動部60は製氷皿59の後方に位置し、製氷皿59と仕切部材57との間に設けられ、製氷皿59は製氷ユニット61から着脱自在とすることによって、製氷皿の取出しが可能な自動製氷装置としている。
このような構成を備えたものにおいて、この比較例では、製氷吹出口57aから送られる冷気を製氷皿59へと供給する冷気ダクト65を有している。この冷気ダクト65の一端は製氷フレーム62の側壁に設けられた冷気取入口66に接続され、他端が仕切部材57に設けられた製氷吹出口57aに接続される。この冷気ダクト65は製氷フレーム62と一体に形成してもよいが、別部材としてもよい。
冷気ダクト65を有することによって、駆動部60を避けて製氷皿59へと冷気が送られるため、製氷が可能となる。しかし、冷気ダクト65によって送られた冷気が、冷気取入口66より製氷フレーム62内に入る際には、冷気吹出口57bより吹き出された冷気の方向が変えられている。すなわち、冷気ダクト65内で冷気は方向を変え、製氷皿59の短手方向に冷気が当たることになるので、製氷皿59の冷却としては効率の良い冷却法とは言いにくい。
製氷フレーム62の側面に設けられた冷却取入口66から製氷皿59側に吹き出される冷気は、製氷皿59を短手方向に通過してしまうため、製氷皿全体を冷却するには、製氷皿59の上方の空間でさらに冷気の進行方向を変えなければならない。この比較例では、送風機56によって、他の貯蔵室とともに冷気が送られる構造であるため、冷気進行経路が複雑化すると、冷却効率の維持が上記の実施例と比べて困難となってしまう。
両室間は縦仕切73によって左右に区画されこの縦仕切73は、開口前面に位置し、内部に露付防止パイプ74を有する前仕切と、冷凍室の背面を構成する仕切部材57に固定される。
また、縦仕切73には、貯氷容器64を支持する支持枠70a及び急冷凍容器71を支持する支持枠70bの摺動部が前後に摺動するレール72が設けられている。レール72は、冷蔵庫内箱にも設けられ、これらの構成によって、製氷室扉68、急冷凍室扉69が引出し可能となるとともに、これらの扉を引き出すことによって、貯氷容器64、急冷凍容器71が引き出される。
なお、容器64、71の引出しを補助するレール72は、縦仕切73の側壁に図に示す如く設けられており、このレール72を縦仕切73と一体に設けることによって、強度の向上にも寄与している。
上記の構成において、間口(幅)寸法が同じで、奥行寸法が異なる冷蔵庫に対しては、仕切部材57と縦仕切73との位置決めが必要となるため、これらを用いることはできない。したがって、奥行寸法が異なる冷蔵庫に対しては、別の縦仕切を用意することが必要となってしまう。
したがって、奥行寸法のみを異にする冷蔵庫であっても、奥行寸法の違った縦仕切が必要であり、コスト増となり、また、取付誤差等に対しても管理が必要になり、製造効率の低下を招くものとなってしまう。
さらには、自動製氷機58及び仕切部材57は、ともに製氷室に対する取付位置が決まっている。自動製氷装置58の奥行寸法L1は製氷室の奥行寸法L2より当然小さいため、自動製氷装置58を製氷室のどこに設置するかは、使用者の使い勝手を考慮して定められる。したがって、極端に奥側に偏って配置することはできない。
手前側に配置しようとすれば、奥行方向が異なる冷蔵庫との共用化が困難となる。なぜなら、製氷室の背面と製氷皿59との位置関係が変わってくるからである。これに対しては、大きさの異なる冷気ダクト65を用いることで対応は可能であるが、コスト増を招いてしまう。
さらには、駆動部60との仕切部材57との間の空間Sが有効に活用されずそのまま空間Sとして存在してしまう。自動製氷装置58の高さ寸法H1は、駆動部60の高さ寸法あるいは製氷皿59の動作軌跡で決まってしまう。上記の実施例のように、たとえ駆動部60の高さ寸法をその製氷皿59の動作軌跡より低くしたとしても、製氷フレーム62の側面に設けた冷気取入口66から冷気を取り入れるとすれば、駆動部60の空間を有効に活用するには至らない。
1…冷蔵庫、2…冷蔵室、3…上段冷凍室、3a…製氷室、3b…急冷凍室、4…下段冷凍室、5…野菜室、6…冷蔵室扉、7…製氷室扉、8…急冷凍室扉、9…下段冷凍室扉、10…野菜室扉、11…貯水タンク、12…自動製氷装置、13…貯氷容器、14…急冷凍容器、15…冷凍室容器、16…野菜室容器、17…冷却器室、18…冷却器、19…送風機、20…除霜用ヒータ、21…樋、21a…排水管、22…仕切部材、23…冷気ダクト、24…製氷吹出口、25…冷凍室吹出口、26…製氷室の天井面、27…製氷フレーム、28…製氷皿の上縁部、29…駆動部、29a…駆動部の天井面、30…製氷皿、31…ガイド部材、32…空間、33…冷気ダクト、34…電源コード、35…前仕切、36…露付防止パイプ、37…縦仕切、38…隙間、39…レール、40…支持枠、41…前仕切、42…底板、43…隙間。