JP4309526B2 - 溝入れ用スローアウェイチップ及び溝入れ加工方法 - Google Patents

溝入れ用スローアウェイチップ及び溝入れ加工方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、旋削加工に使用される溝入れ用スローアウェイチップ(以下、溝入れ用チップ、又は単にチップともいう)、及びこれを用いた溝入れ加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、従来の溝入れ用チップ101をすくい面103側からみた図であり、このものは、すくい面103側から見て切込み方向(図6中矢印A方向)に垂直な前切れ刃(底切れ刃)107を備えている。このチップ101を用い、同図に示したように被削材(ワークともいう)Hに複数回の切込みで前切れ刃107の全刃幅Wより幅の広い溝Mを形成するにあたっては、2回目以降の切込みは全刃幅Wより幅の小さい加工代Kで切込むことになる。つまり、2回目以降の切込みではチップ101の前切れ刃107の途中(中間)部位によつて、それまでに切込み形成した溝の端壁面Т、つまり被削材の外周面と端壁面Тとのなす稜線Lを切り込むことになる。そして2回目以降の切込みでは幅方向の加工代(削り代)Kを一定にして切り込むのが普通である。
【0003】
ところで、このように2回目以降の切込みにおいて、加工代Kを一定にして繰り返し切り込むときは、ワークHの溝の端壁面(稜線L)Тがチップ101の前切れ刃107の同じ位置に当りながらの切削となる。したがって、このような溝加工では同端壁面Тより溝側に位置する切れ刃107の部分は1回目以外は切削に殆ど使用されない一方で、反対側に位置する切れ刃107の部分は常時切削に使用されることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
こうしたことから、このような形態の溝加工に用いられるチップ101は、図7に示したように、前逃げ面105のうちワークHの溝の端壁面Тが当る部位を中心として境界摩耗(ノッチ摩耗)等の異常摩耗Nが発生しやすいといった問題があった。そして、このような異常摩耗が発生すると、この摩耗部を起点としてチップ101が破損する危険性が高く、チップの短寿命化を招いていた。
【0005】
こうした中、本願発明者において前切れ刃107の端縁に、形状や角度を変えた面取りを付与したチップ試料をつくり、その面取り部にワークHの溝の端壁面が当るようにして試験加工を繰り返したところ、一定条件下においてチップ寿命の飛躍的延長が図られることを知るに至った。
【0006】
本発明は、前記問題点及びこうした知見に基づいてなされたもので、溝入れ用チップにおける前記した加工に起因する境界摩耗等の異常摩耗の発生を抑制して同チップの寿命の延長を図ることをその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために請求項1に記載の溝入れ用スローアウェイチップは、切込み方向に垂直な前切れ刃の少なくとも一方の端縁を、すくい面側から見て円弧状に面取りして該端縁に円弧状切れ刃を形成すると共に、その円弧半径を2mm以上としたことにある。
そして、請求項2に記載の本発明の溝入れ加工方法は、複数回の切込みで前切れ刃の全刃幅より幅の広い溝を被削材に旋削加工で形成するにあたって、2回目以降の切込みを全刃幅より幅の小さい加工代で切込んで溝入れ加工する方法において、下記の(1)の溝入れ用スローアウェイチップを用い、
2回目以降の切込みの際、それまでに被削材に形成した溝の端壁面を前記傾斜状切れ刃によって切込むことを特徴とする。
(1)被削材に旋削加工で、複数回の切込みで前切れ刃の全刃幅より幅の広い溝を形成するのに使用される溝入れ用スローアウェイチップであって、
切込み方向に垂直な前切れ刃の少なくとも一方の端縁を、すくい面側から見て傾斜状に面取りして該端縁に傾斜状切れ刃を形成すると共に、切込み方向に引いた線(仮想線)と、該傾斜状切れ刃に沿って切込み側に引いた線(仮想線)とのなす角度をαとしたとき、この角度αを70度以下とした溝入れ用スローアウェイチップ。
【0008】
請求項2に記載の本発明では、該端縁に角度αが70度以下の傾斜状切れ刃を形成してあるため、2回目以降の切込みの際、それまでに被削材に形成した溝の端壁面をこの傾斜状切れ刃によって切込むことができる。
【0009】
本発明者による試験結果からすると、角度αが70度を超える場合には同角度αが90度、つまり切込み方向に垂直なフラットの前切れ刃をもつチップによる切込みの場合と同様に異常摩耗が大きい。これに対し、このように角度αを70度以下とすると、異常摩耗の発生が抑制でき、同チップの寿命の延長が図られる。このような作用ないし効果のメカニズムは明確でないが、溝の端壁面を切込む切れ刃の角度αが70度以下であることにより、同切れ刃に対する切削抵抗が分散されるためと考えられる。
【0010】
なお前記手段における角度αは、請求項2に記載の発明における70度以下に代えて、請求項3に記載の発明のように、50度以下とするのが異常摩耗の低減のために好ましい。ただし、請求項4に記載の発明のように、いずれにおいても角度αは30度以上とするのが適切である。角度αが30度より小さいと、傾斜状切れ刃の前逃げ面側からみた幅を確保しにくくなるためである。また、前記傾斜状切れ刃の前逃げ面側からみた幅は、狭すぎると同傾斜状切れ刃による溝の端壁面の切込みの設定がしにくくなる。こうしたことから、請求項5に記載の発明のように、前記傾斜状切れ刃の前逃げ面側からみた幅は2mm以上とするのが適切である。ただし、この幅は最大でも4mm以下とするのがよい。
【0011】
また本発明の請求項1に記載の溝入れ用スローアウェイチップは、上記もしたように、切込み方向に垂直な前切れ刃の少なくとも一方の端縁を、すくい面側から見て円弧状に面取りして該端縁に円弧状切れ刃を形成すると共に、その円弧半径を2mm以上としたものである。
【0012】
従来のような半径が0.2mm〜0.4mm程度の微小半径の面取りと異なり、このような大きさをもつ半径の円弧状切れ刃を設けたことから、すくい面側から見て、切込み方向に引いた線(仮想線)と、前記円弧状切れ刃のうち前記端壁面に当接する点で該円弧状切れ刃に切込み側に引いた接線(仮想接線)とのなす角度をβとしたとき、この角度βを70度以下に設定して切込むことができる。すなわち、従来のような微小半径の面取りでは、このような設定は困難であるが、本発明のように円弧半径を2mm以上としたことでその設定が可能となることから、従来のような前逃げ面の異常摩耗の発生が抑制できる。なお、前記円弧半径は4mm以下とするのが適切である。
【0013】
上記した傾斜状切れ刃をもつ前記溝入れ用スローアウェイチップを用いる本発明の請求項2〜5のいずれか1項に記載の溝入れ加工方法は、複数回の切込みで前切れ刃の全刃幅より幅の広い溝を被削材に形成するにあたって、2回目以降の切込みを全刃幅より幅の小さい加工代で切込んで溝入れ加工する方法において、2回目以降の切込みの際、それまでに被削材に形成した溝の端壁面を前記傾斜状切れ刃によって切込むことにある。
【0014】
また、本発明の請求項6に記載の溝入れ加工方法は、円弧半径が2mm以上の円弧状の面取りによる円弧状切れ刃をもつ前記溝入れ用スローアウェイチップを用いるときは、2回目以降の切込みの際、それまでに被削材に形成した溝の端壁面を前記円弧状切れ刃によって切込むと共に、すくい面側から見て、切込み方向に引いた線(仮想線)と、前記円弧状切れ刃のうち前記端壁面に当接する点で該円弧状切れ刃に切込み側に引いた接線(仮想接線)とのなす角度をβとしたとき、この角度βを70度以下として切込むことにある。この場合においては、本発明の請求項7に記載の溝入れ加工方法のように、角度βを70度以下に代えて50度以下として切込むのが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1〜図3を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の溝入れ加工に用いるスローアウェイチップ1の平面図(すくい面3側から見た図)及び要部拡大図であり、図2は前逃げ面5側から見た拡大図であり、図3は横逃げ面6側から見た図である。すなわち、このチップ1は1コーナータイプ(1つの前切れ刃をもつ形)のものであり、図1のようにすくい面3側から前切れ刃7を上にしてみた時、前切れ刃7の右端を傾斜状に面取りして傾斜状切れ刃9を形成したものである。ただし、傾斜状切れ刃9は、それに沿って切込み側に引いた線(2点鎖線)S1と、切込み方向(図1中矢印A方向)に引いた線(2点鎖線)S2とのなす角度をαとしたとき、この角度αは70度以下とされている。
【0016】
なおチップ1の材質は、被削材に応じて適宜のものとすればよく、セラミックや超硬合金など、従来と同様の材質として具体化できる。また、前切れ刃7の左端には0.2mm程度の半径の微小面取りが付与されている。
【0017】
図4は本発明の実施形態に係るスローアウェイチップ21の要部拡大平面図であるが、すくい面23側から見て前切れ刃27の一端の面取りを図1に示したチップ1の傾斜に代えて円弧状とし、図示右端に円弧状切れ刃29を形成すると共に、その円弧半径Rを例えば2〜3.2mmとした点のみが相違するだけであるため、同一部位には同一の符号を付すに止める。
【0018】
前記各チップ1、21では、前切れ刃7、27における一端縁(右端)に、傾斜状切れ刃9や円弧状切れ刃29があることから、複数回の切込みで前切れ刃7、27の全刃幅Wより幅の広い溝を形成するにあたって、2回目以降の切込みの際、それまでに被削材に形成した溝の端壁面を、それぞれ傾斜状切れ刃9や円弧状切れ刃29によって切込むことができる。そしてこの切込みにおいては、従来のように切込み方向に垂直(フラット)な前切れ刃が溝の端壁面に当らないようにすることができることから、前逃げ面5、25の異常摩耗の発生が抑制でき、同チップの寿命の延長を図ることができる。
【0019】
ここで、図1のチップ1について、全刃幅Wが7.925mm、傾斜状切れ刃9の幅D1が2mmで、すくい面3側からみたバックテーパ角2度、前逃げ角及び横逃げ角がそれぞれ11度、角度αが10〜90度のチップ試料を5個づつ作成した。ただし、チップの材質はAl2O3−SiCを主成分とするウィスカー系ものである。この試料を用いて図5に示したような試験加工(切削)をし、異常摩耗量(境界摩耗量)Nの最大値及びチップ破損に至るまでの加工距離を測定した。
【0020】
なお、切削条件は次のようである。切削速度:250m/min、送り量:0.08mm/rev、ウエット切削。そして、被削材はインコネル718(時効処理品)製で直径300mmのもの。ただし、図5に示したようにこの試験では加工代Kが6.5mm一定の端面切削とし、被削材Hの端面(稜線L)Тが常に傾斜状切れ刃9の一定位置に当るようにして切り込むこととし、複数回の切込みで全刃幅より幅の広い溝を形成するにあたって、傾斜状切れ刃9の一定位置が溝の端壁面を切込むのと同一の切削条件とした。比較例として角度αが70度を超えるものと、90度のもの(フラットな前切れ刃)で被削材の端面を切込んだ。
【0021】
チップの境界摩耗量(以下、単に摩耗量ともいう)の大きさについての結果は表1に示した通りである。ただし、この摩耗量Nは、被削材Hを直径180mmまで端面旋削後、拡大鏡(30倍)で拡大して測定した値である。なおその値は試料数5個の平均値である。以下同じ。
【0022】
【表1】
Figure 0004309526
【0023】
表1に示したように、摩耗量Nは、角度αが75度以上ある比較例(試料Nо.6〜Nо.8(面取りなし))では、0.7mm以上と大きかったのに対し、角度αが70度以下である本発明範囲の試料(試料Nо.1〜Nо.5)では、0.5mm以下と小さかった。とくに、角度αが50度以下のもの(試料Nо.1〜Nо.3)では摩耗量Nが0.3mm以下と極めて小さかった。これより、角度αは50度以下とするのがより好ましいことが分かる。
【0024】
次に同一の試料を別に各5個つくり、同様の試験加工をしてチップの破損(破壊)に至るまでの加工距離を測定した。結果は表2に示した通りである。
【0025】
【表2】
Figure 0004309526
【0026】
表2に示したように、チップの破損に至るまでの加工距離は、角度αが75度以上ある比較例(試料Nо.6〜Nо.8(面取りなし))では、1057m以下と短かったのに対し、角度αが70度以下である本発明範囲の試料(試料Nо.1〜Nо.5)では、1967m以上と長かった。とくに、角度αが50度以下のもの(試料Nо.1〜Nо.3)では2800m以上と極めて長かった。この結果からしても、傾斜状切れ刃を設ける場合にはチップの長寿命化が図られる事がわかるが、その角度αは50度以下とするのがより好ましい。なお傾斜状切れ刃の前逃げ面側からみた幅の確保の点などより、角度αは前記もしたが30度以上とするのが適切である。
【0027】
さて次に、図4の形態のチップ21について、前記試料と円弧状切れ刃とした点のみ変更した試料をつくり、同様の試験をした。境界摩耗量の大きさの結果は表3に示した通りである。なお、本形態のチップによる端面の試験加工は、すくい面23側から見て、切込み方向に引いた線(2点鎖線)S2と、円弧状切れ刃29のうち被削材の端面(周面と端面とのなす稜線)Тに当接する点で円弧状切れ刃に切込み側に引いた接線(2点鎖線)S3とのなす角度をβとしたとき、この角度βを70度以下となるようにして端面切削したものである。なお、加工代は各試料とも6.5mmとした。なお、試料Nо.11、12、13は、円弧状半径2.0mmの同一試料(チップ)であり、そのうち、試料Nо.12、13では加工代をそれぞれ6.7mm、7.3mmとすることで角度βをかえて加工した。
【0028】
【表3】
Figure 0004309526
【0029】
表3に示したように、境界摩耗量Nは、円弧状半径が2mm以下であり、角度βが70度を超える比較例(試料Nо.9〜Nо.11)では、0.6mm以上と大きかったのに対し、円弧状半径が2mm以上あり、角度βが70度以下の試料(試料Nо.12〜Nо.16)では0.5mm以下と小さかった。とくに、円弧状半径が2mmの試料で、角度βが45度となるようにして試験加工した場合の境界摩耗量Nは0.3mm以下と極めて小さかった。これより、円弧状切れ刃を形成したものでは、角度βが50度以下となるようにして加工するのがより好ましいことが分かる。
【0030】
図4の形態のチップ21についても、同一の試料を別に各5個つくり、同様の試験加工をしてチップの破損(破壊)に至るまでの加工距離を測定した。結果は表4に示した通りである。
【0031】
【表4】
Figure 0004309526
【0032】
表4に示したように、チップの破損に至るまでの加工距離は、円弧状半径が2mm以下であり、角度βが70度を超える比較例(試料Nо.9〜Nо.11)では、1230m以下と短かったのに対し、円弧状半径が2mm以上あり、角度βが70度以下の試料(試料Nо.12〜Nо.16)では2200m以上と長かった。とくに、円弧状半径が2mmの試料で、角度βが45度となるようにして試験加工した場合の加工距離は3200m以上と極めて長かった。これより、円弧状切れ刃を形成したものでは、角度βが50度以下となるようにして加工するのがより好ましいことが分かる。
【0033】
なお、チップの構成素材(材質)について、前記形態ではウィスカー系チップ素材において適用したが、本発明はこれに限らず、被削材に応じて最適なチップ素材で形成すればよく、ちっ化珪素系チップ素材、Al2O3−TiC系チップ素材のようなセラミックのみならず、超硬合金などにおいても同様の効果が期待される。また、本発明のチップは外周面の溝入れ加工のみならず、内周面の溝入れ加工においても、さらには端面への溝入れ加工においても効果がある。
【0034】
前記の各形態では、前切れ刃が1つのチップにおいて具体化したが、本発明は前切れ刃の数が2つのチップにおいても具体化できる。また本発明における傾斜状切れ刃又は円弧状切れ刃は前切れ刃の一方の端縁に形成したものとしたが、両端縁に形成したものとしても具体化できるなど、その要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更して具体化できる。
【0035】
【発明の効果】
以上の説明及び試験結果から明らかなように、本発明の溝入れ用スローアウェイチップによれば、前記のような切削状態とすることによって、幅広の溝加工においてチップ寿命の飛躍的延長を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の溝入れ加工に用いる溝入れ用スローアウェイチップの平面図及び要部拡大図。
【図2】 図1のチップを前逃げ面側から見た拡大図。
【図3】 図1のチップを横逃げ面側から見た拡大図。
【図4】 本発明に係る溝入れ用スローアウェイチップの実施形態の平面図及び要部拡大図。
【図5】 試験加工の状態の説明図。
【図6】 従来の溝入れ用スローアウェイチップによる溝入れ加工の説明図。
【図7】 図6の使用済みチップを前逃げ面側上方から見た図。
【符号の説明】
1、21 溝入れ用スローアウェイチップ。
3 すくい面
5 前逃げ面
7、27 前切れ刃
9 傾斜状切れ刃
29 円弧状切れ刃
A 切込み方向
W 前切れ刃の全刃幅
S1 傾斜状切れ刃に沿って切込み側に引いた線(仮想線)
S2 切込み方向に引いた線(仮想線)
S3 端壁面に当接する点で円弧状切れ刃に切込み側に引いた接線(仮想接線)
D1 傾斜状切れ刃の前逃げ面側からみた幅
H 被削材
Т 溝の端壁面

Claims (7)

  1. 切込み方向に垂直な前切れ刃の少なくとも一方の端縁を、すくい面側から見て円弧状に面取りして該端縁に円弧状切れ刃を形成すると共に、その円弧半径を2mm以上としたことを特徴とする溝入れ用スローアウェイチップ。
  2. 複数回の切込みで前切れ刃の全刃幅より幅の広い溝を被削材に旋削加工で形成するにあたって、2回目以降の切込みを全刃幅より幅の小さい加工代で切込んで溝入れ加工する方法において、下記の(1)の溝入れ用スローアウェイチップを用い、
    2回目以降の切込みの際、それまでに被削材に形成した溝の端壁面を前記傾斜状切れ刃によって切込むことを特徴とする溝入れ加工方法。
    (1)被削材に旋削加工で、複数回の切込みで前切れ刃の全刃幅より幅の広い溝を形成するのに使用される溝入れ用スローアウェイチップであって、
    切込み方向に垂直な前切れ刃の少なくとも一方の端縁を、すくい面側から見て傾斜状に面取りして該端縁に傾斜状切れ刃を形成すると共に、切込み方向に引いた線と、該傾斜状切れ刃に沿って切込み側に引いた線とのなす角度をαとしたとき、この角度αを70度以下とした溝入れ用スローアウェイチップ。
  3. 請求項2において、
    前記角度αを70度以下に代えて、50度以下とした、ことを特徴とする溝入れ加工方法。
  4. 請求項2又は3のいずれか1項において、
    前記角度αが30度以上あることを特徴とする溝入れ加工方法。
  5. 請求項2、3又は4のいずれか1項において、
    前記傾斜状切れ刃の前逃げ面側からみた幅を2mm以上としたことを特徴とする溝入れ加工方法。
  6. 複数回の切込みで前切れ刃の全刃幅より幅の広い溝を被削材に形成するにあたって、2回目以降の切込みを全刃幅より幅の小さい加工代で切込んで溝入れ加工する方法において、請求項1に記載の溝入れ用スローアウェイチップを用い、2回目以降の切込みの際、それまでに被削材に形成した溝の端壁面を前記円弧状切れ刃によって切込むと共に、すくい面側から見て、切込み方向に引いた線と、前記円弧状切れ刃のうち前記端壁面に当接する点で該円弧状切れ刃に切込み側に引いた接線とのなす角度をβとしたとき、この角度βを70度以下として切込むことを特徴とする溝入れ加工方法。
  7. 請求項6において、角度βを70度以下に代えて50度以下として切込むことを特徴とする溝入れ加工方法。
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