JP4308506B2 - アクチュエータ駆動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はアクチュエータ駆動装置に関し、特にドップラーセンサを用いたアクチュエータ駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ドップラーセンサは、送信部から発した送信波が移動する検知対象に当って反射すると、その反射波の周波数が送信波に対して変化する、即ち送信波と反射波とで周波数にずれが生ずるドップラー効果を利用したセンサで、移動する検知対象の有無や移動の向き,移動速度等を検知するセンサとして各種分野で利用されている。
【0003】
このドップラーセンサは人体検知センサとしても用いられている。
例えば下記特許文献1には、かかるドップラーセンサを用いて人体の接近又は離間を検知し、その結果に基づいてマイコンを搭載した制御装置により照明や空調器,ドア等の作動を制御するようになした点が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−305220号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この特許文献1においてもそうであるように、従来のドップラーセンサの利用の仕方は、単に人体等移動する検知対象が接近運動しているか離間運動しているか等を検知するセンサとしての利用に止まるものであり、従来にあってはその結果をマイコン等の信号処理回路で信号処理し且つ各種アクチュエータ等の制御対象を制御するものであった。
この場合ドップラーセンサの他に信号処理回路を含む制御装置が必要で、必然的にアクチュエータ駆動装置の構成が複雑化し、またこれに伴ってコストも高いものとなってしまう。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のアクチュエータ駆動装置はこのような課題を解決するために案出されたものである。
而して請求項1のものは、ドップラーセンサからの出力を駆動源として利用し、アクチュエータを駆動するようになしてあり、前記ドップラーセンサは移動する検知対象の接近時と離間時とで正,負逆の電圧を出力し、正の電圧出力で前記アクチュエータを一方向に、負の電圧出力で他方向に駆動するようになしてあることを特徴とする。
【0007】
請求項2のものは、請求項1において、前記ドップラーセンサは送信部と第1及び第2受信部とを有しており、該第2受信部が該第1受信部に対して、送信波の波長をλとしたときn(λ/2)+λ/4(n:整数)だけ位置をずらせて配置してあることを特徴とする。
【0008】
【作用及び発明の効果】
以上のように本発明は、ドップラーセンサの出力をそのまま駆動源として利用し、所定のアクチュエータを駆動するようになしたもので、本発明によれば、複雑な信号処理回路を省略することができ、従ってアクチュエータ駆動装置の構成を簡素なものとなし得て、そのコストも低減することができる。
【0009】
本発明では、検知対象の接近時と離間時とでドップラーセンサから正,負逆の電圧を出力し、そして正の電圧出力でアクチュエータを一方向に、また負の電圧出力で他方向に駆動するようになす。
これにより、検知対象の接近時と離間時とでアクチュエータを互いに逆向きの方向に駆動することが可能となる。
【0010】
本発明においては、好適にはドップラーセンサを送信部と第1及び第2受信部とを備えて構成し、そしてその第2受信部を第1受信部に対し、送信波の波長をλとしたとき、n(λ/2)+λ/4(n:整数)だけ位置をずらせて配置しておく(請求項2)。
この場合、第2受信部における受信波の波形は、第1受信部における受信波の波形に対して位相がπ/2だけずれた波形となり、従って第1受信部における波形を基準としたとき、第2受信部における波形は検知対象の接近時と離間時とで逆転した波形となる。
【0011】
それ故検知対象の接近時と離間時とで、第2受信部からの電圧出力は正,負逆の電圧となり、アクチュエータを正電圧と負電圧とで互いに逆向きに駆動することで、検知対象の接近時と離間時とでアクチュエータを互いに逆向きに作動させることが可能となる。
【0012】
本発明は、特に電磁バルブにおける電磁コイルの駆動装置として好適なものである。
【0013】
【実施例】
次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において10はドップラーセンサで、12は送信器であり、送信部(送信アンテナ)14からマイクロ波を送信する。その周波数fは約10GHzである。
【0014】
16は第1受信部(第1受信アンテナ)で、18は第2受信部(第2受信アンテナ)である。
第2受信部18は、第1受信部16に対しπ/2だけ、即ち送信波の波長をλとしたときλ/4だけ位置をずらせて配置してある。
【0015】
このドップラーセンサ10では、移動する検知対象20に対して送信部14から周波数fでマイクロ波を送信する。
この送信波は、第1受信部16及び第2受信部18においても受信される。
【0016】
送信部14から発せられた送信波は、移動する検知対象20に当って反射し、その反射波が第1受信部16及び第2受信部18において受信される。
尚、反射波の周波数frは検知対象20が離間するときには送信波の周波数fに対して低くなり、また検知対象20が接近するときには送信波の周波数fに対して高い周波数となる。
【0017】
その際の反射波の周波数frは以下の式(1)で与えられる。
fr={(1−v/c)/(1+v/c)}f≒(1−2v/c)f・・・式(1)
ここでvは検知対象20の移動速度で、検知対象20が離間するときにvの値は正となり、接近するときには負の値となる。
またcは送信波の速度で、ここでは送信波が電磁波であることからcは光速となって、c=3×108m/sとなる。
尚、vは例えばv=0.1m/s程度である。
【0018】
図1(B)は、第1受信部16及び第2受信部18における受信波の波形モデル図であって、(イ)は第1受信部16における受信波1の波形を、(ロ),(ハ)は第2受信部18における受信波2の波形を表している。
尚(B)(ロ)は検知対象20が接近する際の第2受信部18の受信波2の波形b-1を示し、また(ハ)は検知対象20が離間する際の第2受信部18の受信波2の波形b-2を表している。
【0019】
(イ)の波形aと(ロ)の波形b-1との比較から明らかなように、第2受信部18の受信波2の波形b-1は、第1受信部16の受信波1の波形aに対しπ/2(λ/4)だけ波形の位相がずれている。
これは、第2受信部18の位置を第1受信部16に対しλ/4だけずらせて配置したことによるものである。
【0020】
また一方、(ロ)の波形b-1と(ハ)の波形b-2とを比較して明らかなように、第2受信部18における波形は、検知対象20の接近時の波形b-1に対し、離間時の波形b-2は丁度反転した波形となる。
即ち第2受信部18の受信波2の波形b-1,b-2は、第1受信部16を基準として見たときπ/2だけ位相がずれた波形となり、且つ検知対象20の接近時と離間時とで波形が反転したものとなる。
尚、(B)において横軸は時間を、縦軸はドップラーセンサ10の電圧出力値を表している。
【0021】
図2は第2受信部18からの出力を電圧増幅した結果の波形B-1,B-2を表したものである。
図1(B)に示しているように第2受信部18における出力電圧は、第1受信部16を基準としたとき検知対象20の接近時において負電圧となり、検知対象20の離間時において正電圧となる。
【0022】
そこで図2において例えば基準電圧+1Vを設定して、その基準電圧との比較を取ると、検知対象20の接近時においては−5Vの負電圧が発生し(電圧増幅の結果波形中心から±4Vの電圧を発生させる場合)、また検知対象20の離間時においては基準電圧に対し+3Vの正電圧が発生する。
【0023】
従ってそれら発生した電圧を、図3に示す電磁コイル28に印加することで、検知対象20の接近時において電磁コイル28を−5Vで駆動し、また検知対象20の離間時において電磁コイル28を+3Vで駆動することができる。
【0024】
図3はドップラーセンサ10を含むアクチュエータとしての、電磁コイル28の駆動装置の構成例を示したもので、図示のようにこの駆動装置22は電圧増幅回路24,基準電圧比較回路26を備え、その電圧増幅回路24によってドップラーセンサ10からの電圧出力を電圧増幅する。
また基準電圧比較回路26でその増幅電圧と設定した基準電圧とを比較して、その差電圧をアクチュエータとしての電磁コイル28への印加電圧とする。
この場合電磁コイル28には検知対象20の接近時と離間時とで逆向きの電流が流れる。
【0025】
この電磁コイル28は、図4に示す電磁バルブ40の電磁コイルであり、従って検知対象20の接近時において電磁バルブ40を開く向きに、電磁コイル28に電流を通じ、また検知対象20が遠ざかるときに電磁バルブ40を閉じる向きに、電磁コイル28に電流を通ずるようになしておくことで、検知対象20の接近時において自動的に電磁バルブ40を開き、また離間時において自動的に電磁バルブ40を閉じるようになすことができる。
【0026】
即ち本例においてドップラーセンサ10は、検知対象20の接近と離間とを検知すると同時に、これに合せて電磁バルブ40を開閉させるための正,負逆の電圧を発生させる。
この例の駆動装置22では、そのドップラーセンサ10の出力をそのまま駆動源として利用し、電圧増幅した上で電磁バルブにおける電磁コイル28に作用させる。
【0027】
尚ここで、電磁バルブ40の開弁時において−5Vの負電圧を電磁コイル28に印加し、また閉弁時において電磁コイル28に+3Vの電圧を印加するようにしているのは、開弁時の方が閉弁時よりもより大きな電力を必要とするためである。
【0028】
図4は電磁バルブ40の具体的な構成例を示したもので、ここでは電磁バルブ40が、開弁状態と閉弁状態と保持するラッチ式の電磁バルブとして構成されている。
この図において30は磁性材料から成る固定コア、32は同じく磁性材料から成るプランジャ弁体で、34はプランジャ弁体32が開弁作動した後において、これを開弁状態に保持するラッチマグネット、36は水路であり、38はその水路36上に設けられた弁座である。
【0029】
このラッチ式電磁バルブ40は次のように作動する。
即ち、検知対象20の接近時において電磁コイル28に負の−5Vの電圧が印加されると電磁コイル28に電流が流れて、プランジャ弁体32が固定コア30側に吸引されて、そこに吸着される。これによって水路36が開放状態とされる。
尚このとき、固定コア30に吸着されたプランジャ弁体32は、ラッチマグネット34の磁力によって、電磁コイル28への通電停止後においてもその開弁状態に保持される。
【0030】
一方検知対象20の離間時に電磁コイル28に+3Vの電圧が印加されると、ここにおいて電磁コイル28に上記とは逆向きに電流が流れてその電流によりプランジャ弁体32が図中上向きに押し上げられる。押し上げられたプランジャ弁体32には弁座38に着座して水路36を遮断する。
このとき、プランジャ弁体32はスプリング42の付勢力によって、電磁コイル28への通電が停止された後においても弁座38への着座状態、即ち閉弁状態に保持される。
【0031】
以上のように本例によれば、ドップラーセンサ10からの出力をそのまま駆動源として利用し、電磁コイル28を駆動するようにしているため、複雑な信号処理回路を省略することができ、駆動装置22の構成を簡素なものとなし得て、そのコストも低減することができる。
【0032】
以上本発明の実施例を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば上例ではドップラーセンサの出力に基づいて電磁コイルを駆動するようにしているが、モータその他のアクチュエータを駆動するようになすことも可能であるなど、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例におけるドップラーセンサの構成を出力波形とともに示す図である。
【図2】 図1の出力波形を電圧増幅した波形図である。
【図3】 本発明の一実施例の駆動装置の構成説明図である。
【図4】 図3の電磁コイルを含んだ電磁バルブの構成図である。
【符号の説明】
10 ドップラーセンサ
14 送信部
16 第1受信部
18 第2受信部
20 検知対象
22 駆動装置
28 電磁コイル
40 電磁バルブ
Claims (2)
- ドップラーセンサからの出力を駆動源として利用し、アクチュエータを駆動するようになしてあり、
前記ドップラーセンサは移動する検知対象の接近時と離間時とで正,負逆の電圧を出力し、正の電圧出力で前記アクチュエータを一方向に、負の電圧出力で他方向に駆動するようになしてあることを特徴とするアクチュエータ駆動装置。 - 請求項1において、前記ドップラーセンサは送信部と第1及び第2受信部とを有しており、該第2受信部が該第1受信部に対して、送信波の波長をλとしたときn(λ/2)+λ/4(n:整数)だけ位置をずらせて配置してあることを特徴とするアクチュエータ駆動装置。
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