JP4308497B2 - Electrode substrate for organic electroluminescence device, organic electroluminescence device and method for producing the device - Google Patents

Electrode substrate for organic electroluminescence device, organic electroluminescence device and method for producing the device Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機電界発光装置用の電極基板に関する。
【0002】
【従来技術】
従来から、2個の電極間に有機発光層を挟持した構造を有する有機EL素子が、以下に示す理由等から、鋭意研究開発され、開発の対象とされている。
【0003】
(1)完全固体素子であるため、取り扱いや製造が容易である。
(2)自己発光が可能であるため、発光部材を必要としない。
(3)視認性に優れているため、ディスプレイに好適である。
(4)フルカラー化が容易である。
【0004】
しかしながら、有機発光層は、有機物であり、一般に電子や正孔を輸送しにくいため劣化しやすく、長期間使用すると、リーク電流が生じやすいという問題が知られている。
【0005】
このような問題に対して、従来から種々の工夫がされてきた。
【0006】
例えば、後述する特許文献1には、陽極の仕事関数と正孔輸送層のイオン化エネルギーとの間のエネルギー差を小さくし、長寿命化を図った有機EL素子が示されている。このような目的を達成するために、陽極に、酸化錫インジウム(ITO:Indium Tin Oxide)よりも仕事関数が大きく、かつ、導電性である金属酸化物材料を用いることが特許文献1に記載されている。このような導電性金属酸化物としては、例えば、RuOx 、MoO3、V25が記載されており、これらの金属酸化物を用いた有機EL素子が特許文献1に開示されている。
【0007】
また、この特許文献1においては、光透過率(%)を向上させるために、これらの導電性の金属酸化物材料からなる薄膜とITOとを積層した2層構造の陽極が提案されている。
【0008】
また、下記特許文献2には、長期間の使用を可能にすべく、電極と有機発光層との間に、絶縁性薄膜層を備えた有機EL素子が開示されている。この特許文献2に開示された有機EL素子は、具体的には、陽極層と有機発光層との間、あるいは陰極層と有機発光層との間に、窒化アルミニウムや窒化タンタル等からなる絶縁性薄膜層を備えた構成を採用している。
【0009】
また、下記特許文献3には、m−MTDATAやテトラアリールジアミン誘導体等を使用することのない低コストの有機EL素子を提供することを目的として、電極と有機発光層との間に、NiOにIn23 ,ZnO,SnO2又はB,P,C,N,Oの少なくとも一つを添加した無機材料層、あるいはNi1-xO(0.05≦x≦0.5)よりなる無機材料層を形成した有機EL素子が開示されている。
【0010】
また、下記特許文献4には、ITO表面をフッ素化して仕事関数6.2eVのITOを得る技術が開示されている。
【0011】
【特許文献1】
特許2824411号公報
【特許文献2】
特開平8−288069号公報
【特許文献3】
特開平9−260063号公報
【特許文献4】
特開2000−277256号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に開示された有機EL素子は、RuOx、MoO、V等の金属酸化物材料を使用しても、正孔の移動性や耐久性がいまだ不充分であると考えられる。また、RuOx 、MoO、V等の金属酸化物材料は、光吸収係数の値が27000cm-1以上であり、大きな値を示す。これは、着色の程度が強いことを意味する。したがって、これらの金属酸化物材料からなる陽極層は、可視光域における光透過率(%)が、例えばITOの約1/9〜1/5という極端に低い値を示している。そのため、有機EL素子としては、発光効率が低かったり、外部に取り出せる光量が少ないという問題が存在する。また、これらの金属酸化物材料からなる薄膜とITOとを積層した2層構造の陽極を構成しても、光透過率(%)はITOの約1/2程度であり、いぜんとして値が低く、実用に供する値ではないという問題の存在が確認できた。また、この2層構造の陽極層を構成する場合、ITOや金属酸化物薄膜の厚さを所定範囲内の値にそれぞれ制限しなければならず、製造上の制約が大きいという問題も見られる。
【0012】
また、仕事関数はITOより大きくすることができるが、その抵抗値はITOと同等かもしくは大きくなり、実用上問題があった。
【0013】
また、上記特許文献2に開示された有機EL素子では、絶縁性薄膜層に窒化アルミニウムや窒化タンタル等を使用しているため、この部分(絶縁性薄膜層)で電圧のロス(電圧降下)があり、結果として駆動電圧が高くなりやすいという問題が見られた。
【0014】
また、上記特許文献4に開示された方法では、ITO表面をフッ素化しており、仕事関数は6.2eVまで向上する。しかし、仕事関数は向上するが、その一方においてITOの表面が絶縁膜化してしまう。その結果、仕事関数向上の効果が得られにくいという問題がある。
【0015】
上記問題について、本願発明者らが鋭意検討したところ、有機EL素子の電極層に特定の金属酸化物とAgを主成分とする多層膜を組み合わせて使用することによって優れた結果が得られることを見いだした。具体的には、上記構成を採用することによって、透明性や耐久性に優れ、しかも、低電圧(例えば、直流5V以下)の印加であっても優れた発光輝度が得られる有機EL素子が構成できることが見いだされた。
【0016】
すなわち、本発明は、特定の金属酸化物層とAgを主成分とする薄膜層の組み合わせからなる電極層を備えたことにより、表面抵抗が著しく小さく、透明性や耐久性に優れるとともに、低い駆動電圧を印加した場合でも高い発光輝度が得られる有機EL素子およびそのような有機EL素子が効率的に得られる有機EL素子用の基板およびそのような有機EL素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本願発明は、以下のような手段を採用する。
【0018】
A.有機電界発光装置用電極基板の発明
1.まず、本発明は、有機電界発光層を駆動する電極と、基材と、を備える有機電界発光装置用電極基板において、前記電極が、次の2層の積層体から成ることを特徴とする有機電界発光装置用電極基板である。
【0019】
(1)仕事関数が5.6eVを超える値である金属酸化物の薄膜層
(2)Agを主成分とする薄膜層
さて、多層膜を構成として採用する場合、最外層または有機発光層と接する面は金属酸化物層にする必要がある。その理由は、低電圧化、発光輝度向上、耐久性の向上等の効果が小さいからである。
【0020】
上で示した手段を採用すれば、最外層または有機発光層と接する面は金属酸化物層にすることができるのである。
【0021】
ここで、仕事関数が5.6eV以上であるとしたのは、この条件を満たさない場合には、低電圧化、発光輝度向上、耐久性の向上等の効果が小さいためである。
【0022】
2.次に、本発明は、上記有機電界発光装置用電極基板において、前記金属酸化物の薄膜層の仕事関数が5.8eV以上であることを特徴とする。
【0023】
上述したように、仕事関数が5.6eV以上である必要があるが、より好ましくは、5.8eV以上である。
【0024】
なお、この値は、成膜後、空気中で測定した値であり、UV洗浄等を施す以前の値(洗浄前の値)である。この仕事関数は、理化学技研社製「AC−1」を光電子放出法により測定した。測定試料に3.5〜6.5eVの光を照射し、試料より放出される電子を計測した。仕事関数は、電子が放出されるのに要する照射光エネルギーより得られる。
【0025】
3.次に、本発明は、上で述べた電極基板において、前記金属酸化物の薄膜層が、酸化インジウムを主成分とし、酸化ニオブ、酸化ハフニウム、酸化タンタル、ランタノイド系金属酸化物の群から選択される少なくとも一種以上の金属酸化物を含有することを特徴とする。
【0026】
4.さらに、前記電極基板において、前記金属酸化物の薄膜層が、主成分として、前記酸化インジウムに加え、酸化亜鉛又は酸化スズを含むことを特徴とする。
【0027】
このように、本発明は、金属酸化物の薄膜層の主成分として酸化インジウムを含む。更に、酸化亜鉛および/又は酸化スズを含む物である。
【0028】
例えば、酸化インジウム+酸化亜鉛を主成分とする場合には、In/(In+Zn)=0.5〜0.95原子%とすることが望ましい。ここで、In/(In+Zn)は、金属酸化物の薄膜層中のインジウム原子と亜鉛原子の個数の総和中におけるインジウム原子の比率を表す。
【0029】
上記In/(In+Zn)の値は、好ましくは0.7〜0.9、より好ましくは0.8〜0.9の比率にする。この値が0.5未満では、金属酸化物の薄膜層の導電性が低下する場合があり、その一方、0.95を超えるとエッチング特性が劣る場合があるからである。
【0030】
また、例えば、酸化インジウム+酸化スズを主成分とする場合には、In/(In+Sn)=0.7〜0.95原子%とすることが望ましい。ここで、In/(In+Sn)は、金属酸化物の薄膜層中のインジウム原子とスズ原子の個数の総和中におけるインジウム原子の比率を表す。
【0031】
上記In/(In+Sn)の値は、好ましくは0.8〜0.95、より好ましくは0.85〜0.95の比率にする。この値が0.7未満の場合や、0.95を超える場合では、金属酸化物の薄膜層の導電性が低下する場合があるからである。
【0032】
また、酸化ニオブ、酸化ハフニウム、酸化タンタル、ランタノイド系金属酸化物の添加量は全金属原子に対して0.1から20原子%未満、好ましくは、1から10原子%未満、より好ましくは、1〜5原子%未満である。添加量が、0.1原子%未満では、添加の効果が意味のある程度に至らず、仕事関数が5.6eV以上とすることができない場合があるからである。一方、添加量が20原子%以上では、金属酸化物の薄膜が絶縁膜化して導電性が低下する問題があるからである。
【0033】
5.また、本発明は、上で述べた電極基板において、前記ランタノイド系金属酸化物が、酸化セリウム、酸化プラセオジウム、酸化ネオジウム、酸化サマリウム、酸化テルビウムの群から選択される少なくとも一種以上の金属酸化物であることを特徴とする。
【0034】
なお、本発明において、電極を構成する当該多層膜の表面抵抗は10Ω/□未満がよい。好ましくは、6Ω/□未満、より好ましくは4Ω/□未満がよい。
【0035】
6.また、本発明は、上記電極基板において、前記Agを主成分とする薄膜層が、仕事関数が5.0以上である金属を含有していることを特徴とする。
【0036】
7.さらに、本発明は、上記仕事関数が5.0以上の金属が、Au、Ir、Ni、Pd、Ptから選択された1種または2種以上の金属を含有することを特徴とする。
【0037】
これら6、7の発明のように、仕事関数が5.0以上の金属を添加することにより、Ag層の安定性が増す。添加量としては、0.01から5wt%以下、好ましくは0.1〜2wt%、より好ましくは1〜2wt%である。
【0038】
これは、添加量が0.01未満では、添加の効果が小さく、一方、添加量が5wt%超の場合はAg薄膜層の導電性を低下させてしまう場合や高価になる場合があるためである。
【0039】
また、第三成分として、安定性や抵抗値、反射率に影響しない範囲で別の金属(Cu、Co、Zrなど)を添加しても良い。
【0040】
本発明を利用して、有機電界発光装置、たとえば有機EL素子を構成した場合、以下のような膜厚を採用することが好ましい。
【0041】
(1)陽極より光を取り出す場合
この場合、「Agを主成分とする薄膜層」(単にAg薄膜と呼ぶ場合もある)の厚さは3〜15nm、好ましくは5〜10nmである。その理由は、Ag薄膜の厚さが3nm未満では、陽極の抵抗値が下がらない場合もあるからである。一方、Ag薄膜の厚さが15nmを超える場合には、透過率が低下して、発光層からの光の取り出し効率が低下する可能性があるからである。
【0042】
また、金属酸化物の薄膜層(単に酸化物層と呼ぶ場合もある)の厚さはAg層からの反射を押さえるために10〜200nmの範囲から選ぶことが可能である。この酸化物層の厚さは好ましくは、20〜50nm、より好ましくは25〜40の範囲から選ぶことがよい。この酸化物層の厚さが10nm未満の場合は、Ag層の安定化が達成できず、有機電界発光装置の耐久性が低下することも想定されるからである。一方、この酸化物層の厚さが200nmを超える場合は、透過率が低下し、光の取り出しの効率の低下を招くおそれがあるためである。
【0043】
(2)陰極より光を取り出す場合
この場合、Ag層は、発光層からの光を陰極側へ反射する目的で厚い膜にすることができる。Ag層の厚さの範囲は、30〜300nm、好ましくは、50〜250nm、より好ましくは100〜200nmにするのが良い。
【0044】
このAg層の厚さを300nm以上にすると、厚膜となりすぎるので、電極端面でのリーク電流の発生等が起こる場合がある。逆に、Ag層の厚さを30nm未満にした場合には、光を陰極側へ反射する機能が弱くなってしまうおそれがある。このAg層の反射の機能を発揮させるという観点からは、このAg層の厚さは30nm以上好ましくは50nm以上にすることが望まれる。
【0045】
B.有機電界発光装置の発明
Aで述べた上記有機電界発光装置用電極基板と同様の特徴を有する有機電界発光装置の発明を以下示す。これらは、Aで述べた有機電界発光装置用電極基板と同様の作用を有する。
【0046】
本発明は、上記課題を解決するために、少なくとも陽極層と、有機電界発光層と、陰極層とを積層した構造を有する有機電界発光装置において、前記陽極層又は陰極層のいずれか一方又は両方の電極が、仕事関数が5.6eVを超える値である金属酸化物の薄膜層、および、Agを主成分とする薄膜層、の積層体から成ることを特徴とする有機電界発光装置である。
【0047】
また、本発明は、前記金属酸化物の薄膜層の仕事関数が5.8eV以上であることを特徴とする。
【0048】
また、本発明は、前記金属酸化物の薄膜層が、酸化インジウムを主成分とし、酸化ニオブ、酸化ハフニウム、酸化タンタル、ランタノイド系金属酸化物の群から選択される少なくとも一種以上の金属酸化物を含有することを特徴とする。
【0049】
また、本発明は、前記金属酸化物の薄膜層が、主成分として、前記酸化インジウムに加え、酸化亜鉛又は酸化スズを含むことを特徴とする。
【0050】
また、本発明は、前記ランタノイド系金属酸化物が、酸化セリウム、酸化プラセオジウム、酸化ネオジウム、酸化サマリウム、酸化テルビウムの群から選択される少なくとも一種以上の金属酸化物であることを特徴とする。
【0051】
また、本発明は、前記Agを主成分とする薄膜層が、仕事関数が5.0以上である金属を含有していることを特徴とする。
【0052】
また、本発明は、仕事関数が5.0以上の金属が、Au、Ir、Ni、Pd、Ptから選択された1種または2種以上の金属を含有することを特徴とする。
【0053】
C.有機電界発光装置の製造方法の発明
また、本発明は、上で述べた有機電界発光装置の製造方法において、前記電極をスパッタリング法により形成し、前記有機電界発光層を真空蒸着法により形成することを特徴とする有機電界発光装置の製造方法である。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0055】
[実施例1]
(1)有機EL素子用基板の製造準備(ターゲットの作成)
まず、有機EL素子の電極をスパッタリング法で形成する際に用いるスパッタリングターゲットを作成する。
【0056】
まず、酸化インジウムと酸化セリウムとの粉末(平均粒子径1μm以下)を、湿式ボールミル容器内に収容し、72時間にわたって混合粉砕した。この際、全体の量に対する酸化セリウムのモル比(このモル比をCe/(In+Ce)で表す)が0.05となるように、混合粉砕する。
【0057】
次いで、得られた粉砕物を造粒してから、直径4インチ、厚さ5mmの寸法にプレス成形した。これを焼成炉に収容した後、1400℃の温度で、36時間加熱焼成し、陽極層用のターゲット1を作成した。
【0058】
なお、本実施の形態では有機EL素子について説明を行うが、この有機EL素子は、請求の範囲の有機電界発光装置の一例に相当する。
【0059】
(2)陽極層の形成
次いで、高周波スパッタリング装置と真空蒸着装置における共用の真空槽内に厚さ1.1mm、縦25mm、横75mmの透明なガラス基板10および、上記作成したターゲット1およびAgターゲット(Ag:98.5wt%、Pd:0.5%、Cu:1.0wt%)を配置する。
【0060】
そして、高周波スパッタリング装置を稼働して、ガラス基板10上に、厚さ35nmの金属酸化物層12a、厚さ5nmのAg薄膜14、厚さ35nmの金属酸化物層12b、を形成した。このようにして、この3層から成る陽極層16を備えた電極基板18が得られた。この様子が図1に示されている。
【0061】
ここで、ガラス基板10は、請求の範囲の「基材」の一例に相当する。本実施例では、ガラス基板10を用いたが、用途によってはプラスチック基板や、シリコンウェハ等の基板でも良い。また、このようなスパッタリングによって、陽極層を形成する工程は、請求の範囲における「電極をスパッタリング法により形成し、」の一例に相当する。すなわち、陽極層16は、請求の範囲の「電極」の一例に相当する。
【0062】
なお、真空度を5×10−4Paまで減圧した状態で、アルゴンガスに酸素ガスを混入したガスを封入し、当該雰囲気中において、真空度3×10−1Pa、基板温度25℃、投入電力100W、成膜時間14分の条件で、スパッタリングを行っている。
【0063】
以下、このガラス基板10と陽極層16とを併せた電極基板18を単に基板18と呼ぶ。この基板18は請求の範囲の有機電界発光装置用電極基板の一例に相当する。
【0064】
続いて、この基板18をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、さらに、N(窒素ガス)雰囲気中で乾燥させた後、UV(紫外線)およびオゾンを用いて10分間洗浄した。
【0065】
(3)測定結果
基板のUV洗浄前後における陽極層16の仕事関数の値をAC−1(理研計器社製)を用いて測定したところ、5.85eV(洗浄前)、6.20eV(洗浄後)であった。また、陽極層16を形成した基板の光透過率(波長550nm)を測定したところ、84%であった。表面抵抗を4端針法で測定したところ4.6Ω/□であった。
【0066】
(4)有機EL素子の形成
次に、真空蒸着装置における真空槽の基板ホルダに上記「基板」を装着し、次いで、真空槽内を、1×10−6Torr以下の真空度になるまで減圧した後、基板18の陽極層16に、正孔輸送層20、有機発光層22、電子注入層24および陰極層26を順次積層して有機EL素子を得た。この様子が図2に示されている。
【0067】
なお、このとき、正孔輸送層20の形成から陰極層26の形成までの間は、一度も真空状態を破ることなく、同一真空条件であった。
【0068】
このような真空蒸着によって、有機発光層22を形成する工程は、請求の範囲における「有機電界発光層を真空蒸着法により形成すること」の一例に相当する。すなわち、有機発光層22は、請求の範囲の「有機電界発光層」の一例に相当する。
【0069】
まず、正孔輸送層20として、TBDBを60nm真空蒸着した。次に有機発光層22としてDPVDPANとD1を真空下で40nm共蒸着した。この時のDPVDPANの蒸着速度は40nm/sであり、D1の蒸着速度は 1nm/sであった。
【0070】
次いで、電子注入層24としてAlqを20nm真空蒸着した。最後に、AlおよびLiを真空蒸着し、電子注入層24上に陰極層26を形成し、有機EL素子30を製造した。なお、この時のAlの蒸著速度は 1nm/sであり、Liの蒸著速度は0.01nm/sであり、Al/Liの膜厚は200nmであった。
【0071】
TBDBや、DPVDPAN、D1、Alqの化学式が図3に示されている。
【0072】
(5)製造した有機EL素子の評価
得られた有機EL素子30における陰極層26をマイナス(−)電極、陽極層16をプラス(+)電極として、両電極間に4.3Vの直流電圧を印加した。このときの電流密度は2.0mA/cmであり、発光輝度は160nit(cd/m)であった。また、発光色は青色であることを確認した。さらに、耐久性評価として、10mA/cmで定電流駆動したところ、1000時間以上経過後にも、特にリーク電流の発生は見られなかった。
【0073】
なお、実施例1の結果が表1中に示されている。
【0074】
【表1】

Figure 0004308497
[実施例2]
実施例1におけるターゲット1の代わりに、以下に示すターゲット3を用いた。このターゲット3は、酸化インジウムと、酸化スズと、酸化亜鉛と、酸化ネオジウムとからなるターゲットであり、その具体的な組成は以下の通りである。ここで、酸化インジウムと、酸化スズと、酸化亜鉛とを主成分金属と呼ぶ。
【0075】
まず、主成分金属中でのインジウムのモル比(In/(In+Sn+Zn)で表す)が0.8であり、主成分金属中でのスズのモル比(Sn/(In+Sn+Zn)で表す)が0.1であり、主成分金属中での亜鉛のモル比(Zn/(In+Sn+Zn)で表す)が0.1であり、かつ、金属全体におけるネオジウムのモル比(Nd/(In+Sn+Zn+Nd)で表す)が0.06である。
【0076】
ターゲット1の代わりにターゲット3を用いた点以外は、上記実施例1と同様にして、有機EL素子30を作成した。
【0077】
なお、陽極層16を作成した際の、仕事関数の値は、5.81eV(洗浄前)、5.85eV(洗浄後)であった。また、陽極層16の表面抵抗は、4.3Ω/□であった。
【0078】
また、得られた有機EL素子30に実施例1と同様に、電極間に4.8Vの直流電圧を印加したところ、電流密度の値は2.0mA/cmであり、発光輝度は156nitであった。また、発光色は青色であることを確認した。さらに、耐久性評価として、10mA/cmで定電流駆動したところ、1000時間以上経過後にも、特にリーク電流の発生は見られなかった。
【0079】
なお、実施例2の結果も表1中に示されている。
【0080】
[実施例3]
実施例1におけるターゲット1の代わりに、以下に示すターゲット4を用いた。このターゲット4は、酸化インジウムと、酸化スズと、酸化亜鉛と、酸化サマリウムとからなるターゲットであり、その具体的な組成は以下の通りである。
【0081】
主成分金属中におけるインジウムのモル比(In/(In+Sn+Zn))が0.8であり、主成分金属中におけるスズのモル比(Sn/(In+Sn+Zn))が0.1であり、主成分金属中における亜鉛(Zn/(In+Sn+Zn))のモル比が0.1であり、かつ、金属全体におけるサマリウムのモル比(このモル比はSm/(In+Sn+Zn+Sm)で表す)が0.04である。
【0082】
ターゲット1の代わりにターゲット4を用いたほかは、実施例1と同様にして、有機EL素子30を作成した。
【0083】
なお、陽極層16の仕事関数の値は、5.84eV(洗浄前)、5.95eV(洗浄後)であった。また、陽極層16の表面抵抗は、3.9Ω/□であった。得られた有機EL素子30に実施例1と同様にして、電極間に4.5Vの直流電圧を印加したところ、電流密度の値は2.0mA/cmであり、発光輝度は164nitであった。また、発光色は青色であることを確認した。さらに、耐久性評価として、10mA/cmで定電流駆動したところ、1000時間以上経過後にも、特にリーク電流の発生は見られなかった。
【0084】
なお、実施例3の結果も表1中に示されている。
【0085】
[実施例4]
実施例1におけるターゲット1の代わりに、以下に示すターゲット5を用いた。このターゲット5は、酸化インジウムと、酸化スズと、酸化亜鉛と、酸化プラセオジムとからなるターゲットであり、その具体的な組成は以下の通りである。
【0086】
主成分金属中におけるインジウムのモル比(In/(In+Sn+Zn))が0.8であり、主成分金属中におけるスズのモル比(Sn/(In+Sn+Zn))が0.1であり、主成分金属中における亜鉛(Zn/(In+Sn+Zn))のモル比が0.1であり、かつ、金属全体におけるプラセオジムのモル比(Pr/(In+Sn+Zn+Pr))が0.04である。
【0087】
ターゲット1の代わりにターゲット5を用いたほかは、実施例1と同様にして、有機EL素子30を作成した。なお、陽極層16の仕事関数の値は、5.80eV(洗浄前)、5.85eV(洗浄後)であった。また、陽極層16の表面抵抗は、4.0Ω/□であった。
【0088】
得られた有機EL素子30に実施例1と同様に、電極間に4.6Vの直流電圧を印加したところ、電流密度の値は2.0mA/cmであり、発光輝度は161nitであった。また、発光色は青色であることを確認した。さらに、耐久性評価として、10mA/cmで定電流駆動したところ、1000時間以上経過後にも、特にリーク電流の発生は見られなかった。
【0089】
なお、実施例4の結果も表1中に示されている。
【0090】
[実施例5]
実施例1におけるターゲット1の代わりに、以下に示すターゲット6を用いた。このターゲット6は、酸化インジウムと、酸化スズと、酸化亜鉛と、酸化タンタルとからなるターゲットであり、その具体的な組成は以下の通りである。
【0091】
主成分金属中におけるインジウムのモル比(In/(In+Sn+Zn))が0.8であり、主成分金属中におけるスズのモル比(Sn/(In+Sn+Zn))が0.1であり、主成分金属中における亜鉛(Zn/(In+Sn+Zn))のモル比が0.1であり、かつ、金属全体におけるタンタルのモル比(Ta/(In+Sn+Zn+Ta))が0.06である。
【0092】
ターゲット1の代わりにターゲット6を用いたほかは、実施例1と同様にして、有機EL素子30を作成した。なお、陽極層16の仕事関数の値は、5.60eV(洗浄前)、5.64eV(洗浄後)であった。また、陽極層16の表面抵抗は、4.8Ω/□であった。
【0093】
得られた有機EL素子30に実施例1と同様に、電極間に5.1Vの直流電圧を印加したところ、電流密度の値は162mA/cmであり、発光輝度は62nitであった。また、発光色は青色であることを確認した。さらに、耐久性評価として、10mA/cmで定電流駆動したところ、1000時間以上経過後にも、特にリーク電流の発生は見られなかった。
【0094】
なお、実施例5の結果は表2中に示されている。
【0095】
【表2】
Figure 0004308497
[実施例6]
実施例1におけるターゲット1の代わりに、以下に示すターゲット7を用いた。このターゲット7は、酸化インジウムと、酸化スズと、酸化亜鉛と、酸化ニオブとからなるターゲットであり、その具体的な組成は以下の通りである。
【0096】
主成分金属中におけるインジウムのモル比(In/(In+Sn+Zn))が0.8であり、主成分金属中におけるスズのモル比(Sn/(In+Sn+Zn))が0.1であり、主成分金属中における亜鉛(Zn/(In+Sn+Zn))のモル比が0.1であり、かつ、金属全体におけるNbのモル比(Nb/(In+Sn+Zn+Nb))が0.12である。
【0097】
ターゲット1の代わりにターゲット7を用いたほかは、実施例1と同様にして、有機EL素子30を作成した。
【0098】
なお、陽極層16の仕事関数の値は、5.64eV(洗浄前)、5.71eV(洗浄後)であった。また、陽極層16の表面抵抗は、4.8Ω/□であった。
【0099】
得られた有機EL素子30に実施例1と同様に、電極間に5.1Vの直流電圧を印加したところ、電流密度の値は2.0mA/cmであり、発光輝度は166nitであった。また、発光色は青色であることを確認した。さらに、耐久性評価として、10mA/cmで定電流駆動したところ、1000時間以上経過後にも、特にリーク電流の発生は見られなかった。
【0100】
なお、実施例6の結果も表2中に示されている。
【0101】
[実施例7]
実施例1におけるターゲット1の代わりに、以下に示すターゲット8を用いた。このターゲット8は、酸化インジウムと、酸化スズと、酸化亜鉛と、酸化ハフニウムとからなるターゲットであり、その具体的な組成は以下の通りである。
【0102】
主成分金属中におけるインジウムのモル比(In/(In+Sn+Zn))が0.8であり、主成分金属中におけるスズのモル比(Sn/(In+Sn+Zn))が0.1であり、主成分金属中における亜鉛(Zn/(In+Sn+Zn))のモル比が0.1であり、かつ、金属全体におけるハフニウムのモル比(Hf/(In+Sn+Zn+Hf))が0.06である。
【0103】
ターゲット1の代わりにターゲット8を用いたほかは、実施例1と同様にして、有機EL素子30を作成した。なお、陽極層16の仕事関数の値は、5.61eV(洗浄前)、5.65eV(洗浄後)であった。また、陽極層16の表面抵抗は、5.6Ω/□であった。
【0104】
得られた有機EL素子30に実施例1と同様に、電極間に4.8Vの直流電圧を印加したところ、電流密度の値は2.0mA/cmであり、発光輝度は163nitであった。また、発光色は青色であることを確認した。さらに、耐久性評価として、10mA/cmで定電流駆動したところ、1000時間以上経過後にも、特にリーク電流の発生は見られなかった。
【0105】
なお、実施例7の結果も表2中に示されている。
【0106】
[実施例8]
実施例3におけるターゲット4を用いて、陽極層16の膜厚を酸化物層:35nm、金属層:100nm、酸化物層:35nmとして形成した。また、陰極の構成をMg/Agの膜厚:5nm、および、酸化インジウムと酸化亜鉛(In/(In+Zn)=0.85)から成る透明導電膜:75nmとした。ここでIn/(In+Zn)は、インジウムと亜鉛の全量に対するインジウムのモル比を表す。これらの点以外は、実施例1と同様にして有機EL素子30を作成した。
【0107】
陽極層16の仕事関数の値は、5.72eV(洗浄前)、5.95eV(洗浄後)であった。また、陽極層16の表面抵抗は、0.2Ω/□であった。
【0108】
得られた有機EL素子30に実施例1と同様に、電極間に4.4Vの直流電圧を印加したところ、電流密度の値は2.0mA/cmであり、発光輝度は166nitであった。また、発光色は青色であることを確認した。さらに、耐久性評価として、10mA/cmで定電流駆動したところ、1000時間以上経過後にも、特にリーク電流の発生は見られなかった。
【0109】
なお、実施例8の結果も表2中に示されている。
【0110】
[比較例1]
実施例1におけるターゲット1の代わりに、酸化インジウムと、酸化スズと、酸化亜鉛とからなるターゲット9を用いた。ターゲット9の具体的な構成は、以下の通りである。
【0111】
ターゲット9においては、主成分金属中のインジウムのモル比(In/(In+Sn+Zn))が0.6であり、主成分金属中のスズのモル比(Sn/(In+Sn+Zn))が0.3であり、主成分金属中の亜鉛(Zn/(In+Sn+Zn))のモル比が0.1である。このターゲット9を用いた他は、実施例1と同様にして、有機EL30素子を作成した。
【0112】
なお、陽極層16の仕事関数の値は、4.65eV(洗浄前)、5.23eV(洗浄後)であった。得られた有機EL素子30に実施例1と同様に、電極間に6.0Vの直流電圧を印加したところ、電流密度の値は2.0mA/cmであり、発光輝度は166nitであった。また、発光色は青色であることを確認した。
【0113】
なお、比較例1の結果は表3中に示されている。
【0114】
【表3】
Figure 0004308497
[比較例2]
実施例1におけるターゲット1の代わりに、酸化セリウム100%のターゲットを用いた。その他の点は実施例1と同様にして成膜を行った。
【0115】
この結果、陽極層16の仕事関数の値は、5.25eV(洗浄前)、5.46eV(洗浄後)と計測された。なお、陽極層16の表面抵抗は、表面が絶縁性であり測定できなかった。
【0116】
なお、比較例2の結果も表3中に示されている。
【0117】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明の有機電界発光装置(たとえば、有機EL素子)によれば、特定の無機化合物からなる電極(例えば陽極層等)を備えることにより、透明性や耐久性に優れ、駆動電圧が低くとも、高い発光輝度が得られる有機EL素子を提供することができるようになった。
【0118】
また、本発明で示した特定の無機化合物からなる陽極層等は、エッチング特性が劣化しないことも確認された。
【0119】
また、本発明の有機電界発光装置(たとえば、有機EL素子)によれば、上述した透明性や耐久性に優れ、駆動電圧が低くとも、高い発光輝度が得られる有機EL素子を効率的に提供することができるようになった。
【0120】
また、本発明の電極基板によれば、上記のような効果が得られる有機電界発光装置を製造することができる。
【0121】
また、本発明の製造方法によれば、上記のような効果が得られる有機電界発光装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態における電極基板の断面図である。
【図2】本実施の形態における有機EL素子の断面図である。
【図3】各種物質の化学式を表した図である。
【符号の説明】
1、3、4、5、6、7、8、9 ターゲット
10 ガラス基板
12 金属酸化物層
14 Ag薄膜層
16 陽極層
18 基板(電極基板)
20 正孔輸送層
22 有機発光層
24 電子注入層
26 陰極層
30 有機EL素子[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to an electrode substrate for an organic electroluminescent device.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, an organic EL element having a structure in which an organic light emitting layer is sandwiched between two electrodes has been earnestly researched and developed for the following reasons.
[0003]
(1) Since it is a completely solid element, it is easy to handle and manufacture.
(2) Since self-emission is possible, a light emitting member is not required.
(3) Since it is excellent in visibility, it is suitable for a display.
(4) Full color is easy.
[0004]
However, the organic light emitting layer is an organic substance, and generally has a problem that it easily deteriorates because it is difficult to transport electrons and holes, and a leak current is likely to occur when used for a long period of time.
[0005]
Various devices have been conventionally devised for such problems.
[0006]
For example, Patent Document 1 described later discloses an organic EL element that reduces the energy difference between the work function of the anode and the ionization energy of the hole transport layer, thereby extending the lifetime. In order to achieve such an object, Patent Document 1 describes that a metal oxide material having a work function larger than that of indium tin oxide (ITO) and being conductive is used for the anode. ing. Examples of such conductive metal oxides include RuOx and MoO.Three, V2OFivePatent Document 1 discloses an organic EL element using these metal oxides.
[0007]
In Patent Document 1, in order to improve the light transmittance (%), an anode having a two-layer structure in which a thin film made of these conductive metal oxide materials and ITO are laminated is proposed.
[0008]
Patent Document 2 below discloses an organic EL element including an insulating thin film layer between an electrode and an organic light emitting layer so as to enable long-term use. Specifically, the organic EL element disclosed in Patent Document 2 has an insulating property made of aluminum nitride, tantalum nitride, or the like between the anode layer and the organic light emitting layer or between the cathode layer and the organic light emitting layer. A configuration having a thin film layer is employed.
[0009]
In addition, in Patent Document 3 below, NiO is provided between the electrode and the organic light emitting layer for the purpose of providing a low-cost organic EL device that does not use m-MTDATA or a tetraaryldiamine derivative. In2OThree , ZnO, SnO2Or an inorganic material layer to which at least one of B, P, C, N, and O is added, or Ni1-xAn organic EL element in which an inorganic material layer made of O (0.05 ≦ x ≦ 0.5) is formed is disclosed.
[0010]
Patent Document 4 below discloses a technique for obtaining ITO having a work function of 6.2 eV by fluorinating the ITO surface.
[0011]
[Patent Document 1]
Japanese Patent No. 2824411
[Patent Document 2]
JP-A-8-288069
[Patent Document 3]
JP-A-9-260063
[Patent Document 4]
JP 2000-277256 A
[Problems to be solved by the invention]
However, the organic EL element disclosed in Patent Document 1 is RuOx, MoO.3, V2O5Even if a metal oxide material such as the above is used, it is considered that hole mobility and durability are still insufficient. RuOx, MoO3, V2O5The metal oxide material such as 2 has a light absorption coefficient value of 27000 cm.-1These are the large values. This means that the degree of coloring is strong. Therefore, the anode layer made of these metal oxide materials has an extremely low value of light transmittance (%) in the visible light region, for example, about 1/9 to 1/5 that of ITO. Therefore, the organic EL element has problems such as low light emission efficiency and a small amount of light that can be extracted outside. Moreover, even if a two-layered anode in which a thin film made of these metal oxide materials and ITO are laminated, the light transmittance (%) is about 1/2 of that of ITO, and the value is still low. The existence of a problem that the value is not practically used was confirmed. Further, when the anode layer having the two-layer structure is formed, the thickness of the ITO or metal oxide thin film must be limited to a value within a predetermined range, and there is a problem that manufacturing restrictions are large.
[0012]
In addition, the work function can be made larger than that of ITO, but its resistance value is equal to or larger than that of ITO, which causes a problem in practical use.
[0013]
Further, in the organic EL element disclosed in Patent Document 2, since the insulating thin film layer uses aluminum nitride, tantalum nitride, or the like, voltage loss (voltage drop) occurs in this portion (insulating thin film layer). As a result, there was a problem that the drive voltage tends to be high.
[0014]
In the method disclosed in Patent Document 4, the ITO surface is fluorinated, and the work function is improved to 6.2 eV. However, although the work function is improved, on the other hand, the surface of ITO becomes an insulating film. As a result, there is a problem that the effect of improving the work function is difficult to obtain.
[0015]
The inventors of the present invention diligently studied the above problem and found that excellent results can be obtained by using a combination of a specific metal oxide and a multilayer film mainly composed of Ag for the electrode layer of the organic EL element. I found it. Specifically, by adopting the above-described configuration, an organic EL element that is excellent in transparency and durability, and that can obtain excellent emission luminance even when applied with a low voltage (for example, DC 5 V or less) is configured. I found something I could do.
[0016]
That is, the present invention includes an electrode layer composed of a combination of a specific metal oxide layer and a thin film layer containing Ag as a main component, so that the surface resistance is remarkably small, the transparency and durability are excellent, and the driving is low. An object of the present invention is to provide an organic EL element capable of obtaining high emission luminance even when a voltage is applied, a substrate for the organic EL element from which such an organic EL element can be efficiently obtained, and a method for producing such an organic EL element. And
[0017]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above problems, the present invention employs the following means.
[0018]
A. Invention of electrode substrate for organic electroluminescence device
1. First, the present invention provides an organic electroluminescent device electrode substrate comprising an electrode for driving an organic electroluminescent layer and a base material, wherein the electrode comprises the following two-layer laminate. This is an electrode substrate for an electroluminescence device.
[0019]
(1) A thin film layer of metal oxide having a work function exceeding 5.6 eV
(2) Thin film layer mainly composed of Ag
When a multilayer film is employed as a configuration, the outermost layer or the surface in contact with the organic light emitting layer needs to be a metal oxide layer. The reason for this is that the effects of lowering the voltage, improving the light emission luminance, and improving the durability are small.
[0020]
If the means shown above is employed, the outermost layer or the surface in contact with the organic light emitting layer can be a metal oxide layer.
[0021]
Here, the reason that the work function is 5.6 eV or more is that, when this condition is not satisfied, the effects of lowering the voltage, improving the light emission luminance, and improving the durability are small.
[0022]
2. Next, the present invention is characterized in that, in the electrode substrate for an organic electroluminescence device, a work function of the metal oxide thin film layer is 5.8 eV or more.
[0023]
As described above, the work function needs to be 5.6 eV or more, more preferably 5.8 eV or more.
[0024]
This value is a value measured in air after film formation, and is a value before UV cleaning or the like (value before cleaning). This work function was measured by a photoelectron emission method for “AC-1” manufactured by Riken Giken. The measurement sample was irradiated with light of 3.5 to 6.5 eV, and the electrons emitted from the sample were measured. The work function is obtained from the irradiation light energy required for electrons to be emitted.
[0025]
3. Next, according to the present invention, in the electrode substrate described above, the metal oxide thin film layer is mainly composed of indium oxide and selected from the group of niobium oxide, hafnium oxide, tantalum oxide, and lanthanoid metal oxides. It contains at least one or more metal oxides.
[0026]
4). Furthermore, in the electrode substrate, the metal oxide thin film layer includes zinc oxide or tin oxide in addition to the indium oxide as a main component.
[0027]
Thus, the present invention includes indium oxide as the main component of the metal oxide thin film layer. Furthermore, it contains zinc oxide and / or tin oxide.
[0028]
For example, when indium oxide + zinc oxide is the main component, it is desirable that In / (In + Zn) = 0.5 to 0.95 atomic%. Here, In / (In + Zn) represents a ratio of indium atoms in the total number of indium atoms and zinc atoms in the metal oxide thin film layer.
[0029]
The value of In / (In + Zn) is preferably 0.7 to 0.9, more preferably 0.8 to 0.9. This is because if this value is less than 0.5, the conductivity of the metal oxide thin film layer may decrease, whereas if it exceeds 0.95, the etching characteristics may be inferior.
[0030]
For example, when indium oxide + tin oxide is the main component, it is desirable that In / (In + Sn) = 0.7 to 0.95 atomic%. Here, In / (In + Sn) represents the ratio of indium atoms in the sum of the number of indium atoms and tin atoms in the metal oxide thin film layer.
[0031]
The value of In / (In + Sn) is preferably 0.8 to 0.95, more preferably 0.85 to 0.95. This is because if this value is less than 0.7 or exceeds 0.95, the conductivity of the metal oxide thin film layer may be lowered.
[0032]
Further, the addition amount of niobium oxide, hafnium oxide, tantalum oxide, and lanthanoid metal oxide is 0.1 to less than 20 atom%, preferably 1 to less than 10 atom%, more preferably 1 to all metal atoms. Less than ˜5 atomic%. This is because if the addition amount is less than 0.1 atomic%, the effect of addition does not reach a meaningful level, and the work function may not be 5.6 eV or more. On the other hand, when the addition amount is 20 atomic% or more, there is a problem that the metal oxide thin film becomes an insulating film and the conductivity decreases.
[0033]
5). In the electrode substrate described above, the lanthanoid metal oxide is at least one metal oxide selected from the group consisting of cerium oxide, praseodymium oxide, neodymium oxide, samarium oxide, and terbium oxide. It is characterized by being.
[0034]
In the present invention, the surface resistance of the multilayer film constituting the electrode is preferably less than 10Ω / □. Preferably, it is less than 6Ω / □, more preferably less than 4Ω / □.
[0035]
6). In the electrode substrate, the thin film layer containing Ag as a main component contains a metal having a work function of 5.0 or more.
[0036]
7. Furthermore, the present invention is characterized in that the metal having a work function of 5.0 or more contains one or more metals selected from Au, Ir, Ni, Pd, and Pt.
[0037]
As in the sixth and seventh inventions, the stability of the Ag layer is increased by adding a metal having a work function of 5.0 or more. The addition amount is 0.01 to 5 wt% or less, preferably 0.1 to 2 wt%, more preferably 1 to 2 wt%.
[0038]
This is because if the addition amount is less than 0.01, the effect of the addition is small, while if the addition amount exceeds 5 wt%, the conductivity of the Ag thin film layer may be lowered or expensive. is there.
[0039]
Further, as the third component, another metal (Cu, Co, Zr, etc.) may be added within a range that does not affect stability, resistance value, and reflectance.
[0040]
When an organic electroluminescent device, for example, an organic EL element is configured using the present invention, it is preferable to employ the following film thickness.
[0041]
(1) When extracting light from the anode
In this case, the thickness of the “thin film layer containing Ag as a main component” (sometimes simply referred to as an Ag thin film) is 3 to 15 nm, preferably 5 to 10 nm. The reason is that when the thickness of the Ag thin film is less than 3 nm, the resistance value of the anode may not decrease. On the other hand, when the thickness of the Ag thin film exceeds 15 nm, the transmittance decreases, and the light extraction efficiency from the light emitting layer may decrease.
[0042]
The thickness of the metal oxide thin film layer (sometimes simply referred to as an oxide layer) can be selected from a range of 10 to 200 nm in order to suppress reflection from the Ag layer. The thickness of the oxide layer is preferably selected from the range of 20 to 50 nm, more preferably 25 to 40. This is because when the thickness of the oxide layer is less than 10 nm, the stabilization of the Ag layer cannot be achieved, and it is assumed that the durability of the organic electroluminescent device is lowered. On the other hand, when the thickness of the oxide layer exceeds 200 nm, the transmittance is lowered, which may cause a reduction in light extraction efficiency.
[0043]
(2) When light is extracted from the cathode
In this case, the Ag layer can be a thick film for the purpose of reflecting light from the light emitting layer to the cathode side. The range of the thickness of the Ag layer is 30 to 300 nm, preferably 50 to 250 nm, more preferably 100 to 200 nm.
[0044]
If the thickness of the Ag layer is 300 nm or more, the film becomes too thick, which may cause leakage current at the electrode end face. On the contrary, when the thickness of the Ag layer is less than 30 nm, the function of reflecting light to the cathode side may be weakened. From the viewpoint of exhibiting the reflecting function of the Ag layer, it is desired that the thickness of the Ag layer is 30 nm or more, preferably 50 nm or more.
[0045]
B. Invention of organic electroluminescent device
The invention of the organic electroluminescence device having the same characteristics as those of the electrode substrate for organic electroluminescence device described in A will be described below. These have the same action as the electrode substrate for an organic electroluminescence device described in A.
[0046]
In order to solve the above-described problems, the present invention provides an organic electroluminescent device having a structure in which at least an anode layer, an organic electroluminescent layer, and a cathode layer are laminated, and either or both of the anode layer and the cathode layer. The organic electroluminescent device is characterized by comprising a laminate of a metal oxide thin film layer having a work function exceeding 5.6 eV and a thin film layer mainly composed of Ag.
[0047]
In the present invention, the metal oxide thin film layer has a work function of 5.8 eV or more.
[0048]
In the present invention, the metal oxide thin film layer is composed of indium oxide as a main component and at least one metal oxide selected from the group consisting of niobium oxide, hafnium oxide, tantalum oxide, and lanthanoid metal oxides. It is characterized by containing.
[0049]
Further, the present invention is characterized in that the thin film layer of the metal oxide contains zinc oxide or tin oxide as a main component in addition to the indium oxide.
[0050]
Further, the present invention is characterized in that the lanthanoid metal oxide is at least one metal oxide selected from the group consisting of cerium oxide, praseodymium oxide, neodymium oxide, samarium oxide, and terbium oxide.
[0051]
In the present invention, the thin film layer containing Ag as a main component contains a metal having a work function of 5.0 or more.
[0052]
In the present invention, the metal having a work function of 5.0 or more contains one or more metals selected from Au, Ir, Ni, Pd, and Pt.
[0053]
C. Invention of manufacturing method of organic electroluminescent device
According to another aspect of the present invention, there is provided an organic electroluminescent device according to the above-described method, wherein the electrode is formed by a sputtering method and the organic electroluminescent layer is formed by a vacuum deposition method. It is a manufacturing method.
[0054]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
DESCRIPTION OF EXEMPLARY EMBODIMENTS Hereinafter, preferred embodiments of the invention will be described with reference to the drawings.
[0055]
[Example 1]
(1) Preparation for manufacturing organic EL element substrate (creation of target)
First, a sputtering target used when forming an electrode of an organic EL element by a sputtering method is created.
[0056]
First, a powder of indium oxide and cerium oxide (average particle size of 1 μm or less) was placed in a wet ball mill container and mixed and ground for 72 hours. At this time, the mixture is pulverized so that the molar ratio of cerium oxide to the total amount (this molar ratio is expressed by Ce / (In + Ce)) is 0.05.
[0057]
Next, the obtained pulverized product was granulated and then press-molded into a size of 4 inches in diameter and 5 mm in thickness. After this was accommodated in a firing furnace, it was heated and fired at a temperature of 1400 ° C. for 36 hours to prepare a target 1 for an anode layer.
[0058]
In this embodiment, an organic EL element will be described. This organic EL element corresponds to an example of an organic electroluminescent device in the claims.
[0059]
(2) Formation of anode layer
Next, the transparent glass substrate 10 having a thickness of 1.1 mm, a length of 25 mm, and a width of 75 mm in the vacuum chamber shared by the high-frequency sputtering apparatus and the vacuum evaporation apparatus, and the target 1 and Ag target prepared above (Ag: 98.5 wt%). , Pd: 0.5%, Cu: 1.0 wt%).
[0060]
Then, the high-frequency sputtering apparatus was operated to form a 35 nm thick metal oxide layer 12 a, a 5 nm thick Ag thin film 14, and a 35 nm thick metal oxide layer 12 b on the glass substrate 10. Thus, an electrode substrate 18 provided with the anode layer 16 composed of the three layers was obtained. This is shown in FIG.
[0061]
Here, the glass substrate 10 corresponds to an example of a “base material” in the claims. In this embodiment, the glass substrate 10 is used, but a plastic substrate or a substrate such as a silicon wafer may be used depending on the application. In addition, the step of forming the anode layer by such sputtering corresponds to an example of “form an electrode by sputtering” in the claims. That is, the anode layer 16 corresponds to an example of an “electrode” in the claims.
[0062]
The degree of vacuum is 5 × 10-4In a state where the pressure is reduced to Pa, a gas in which oxygen gas is mixed into argon gas is sealed, and in this atmosphere, the degree of vacuum is 3 × 10.-1Sputtering is performed under the conditions of Pa, substrate temperature of 25 ° C., input power of 100 W, and film formation time of 14 minutes.
[0063]
Hereinafter, the electrode substrate 18 in which the glass substrate 10 and the anode layer 16 are combined is simply referred to as a substrate 18. This substrate 18 corresponds to an example of an electrode substrate for an organic electroluminescent device in the claims.
[0064]
Subsequently, the substrate 18 is ultrasonically cleaned with isopropyl alcohol, and further, N2After drying in an atmosphere (nitrogen gas), the substrate was washed with UV (ultraviolet light) and ozone for 10 minutes.
[0065]
(3) Measurement results
When the value of the work function of the anode layer 16 before and after UV cleaning of the substrate was measured using AC-1 (manufactured by Riken Keiki Co., Ltd.), they were 5.85 eV (before cleaning) and 6.20 eV (after cleaning). Further, the light transmittance (wavelength 550 nm) of the substrate on which the anode layer 16 was formed was measured and found to be 84%. The surface resistance was measured by a four-end needle method and found to be 4.6Ω / □.
[0066]
(4) Formation of organic EL elements
Next, the above-mentioned “substrate” is mounted on the substrate holder of the vacuum chamber in the vacuum deposition apparatus, and then the inside of the vacuum chamber is 1 × 10-6After reducing the pressure to a degree of vacuum of Torr or lower, the hole transport layer 20, the organic light emitting layer 22, the electron injection layer 24, and the cathode layer 26 were sequentially laminated on the anode layer 16 of the substrate 18 to obtain an organic EL element. . This is shown in FIG.
[0067]
At this time, the same vacuum conditions were applied between the formation of the hole transport layer 20 and the formation of the cathode layer 26 without breaking the vacuum state.
[0068]
The step of forming the organic light emitting layer 22 by such vacuum vapor deposition corresponds to an example of “forming the organic electroluminescent layer by vacuum vapor deposition” in the claims. That is, the organic light emitting layer 22 corresponds to an example of the “organic electroluminescent layer” in the claims.
[0069]
First, as the hole transport layer 20, TBDB was vacuum deposited by 60 nm. Next, DVPDPAN and D1 were co-deposited as an organic light emitting layer 22 under a vacuum of 40 nm. At this time, the deposition rate of DPVDPAN was 40 nm / s, and the deposition rate of D1 was 1 nm / s.
[0070]
Subsequently, Alq was vacuum deposited as the electron injection layer 24 by 20 nm. Finally, Al and Li were vacuum-deposited to form the cathode layer 26 on the electron injection layer 24, whereby the organic EL element 30 was manufactured. At this time, the evaporation rate of Al was 1 nm / s, the evaporation rate of Li was 0.01 nm / s, and the film thickness of Al / Li was 200 nm.
[0071]
The chemical formulas of TBDB, DPVDPAN, D1, and Alq are shown in FIG.
[0072]
(5) Evaluation of the manufactured organic EL element
In the obtained organic EL element 30, the cathode layer 26 was a negative (-) electrode and the anode layer 16 was a positive (+) electrode, and a DC voltage of 4.3 V was applied between both electrodes. The current density at this time is 2.0 mA / cm.2The emission luminance is 160 nit (cd / m2)Met. It was also confirmed that the emission color was blue. Furthermore, as a durability evaluation, 10 mA / cm2When constant current driving was performed, no leakage current was found even after 1000 hours had passed.
[0073]
The results of Example 1 are shown in Table 1.
[0074]
[Table 1]
Figure 0004308497
[Example 2]
Instead of the target 1 in Example 1, the target 3 shown below was used. This target 3 is a target composed of indium oxide, tin oxide, zinc oxide, and neodymium oxide, and its specific composition is as follows. Here, indium oxide, tin oxide, and zinc oxide are referred to as main component metals.
[0075]
First, the molar ratio of indium (represented by In / (In + Sn + Zn)) in the main component metal is 0.8, and the molar ratio of tin in the main component metal (represented by Sn / (In + Sn + Zn)) is 0. 1 and the molar ratio of zinc in the main component metal (represented by Zn / (In + Sn + Zn)) is 0.1, and the molar ratio of neodymium in the entire metal (represented by Nd / (In + Sn + Zn + Nd)) is 0. .06.
[0076]
An organic EL element 30 was produced in the same manner as in Example 1 except that the target 3 was used instead of the target 1.
[0077]
The work function when the anode layer 16 was formed was 5.81 eV (before cleaning) and 5.85 eV (after cleaning). The surface resistance of the anode layer 16 was 4.3Ω / □.
[0078]
Moreover, when a 4.8 V DC voltage was applied between the electrodes in the same manner as in Example 1 to the obtained organic EL element 30, the current density value was 2.0 mA / cm.2The emission luminance was 156 nit. It was also confirmed that the emission color was blue. Furthermore, as a durability evaluation, 10 mA / cm2When constant current driving was performed, no leakage current was found even after 1000 hours had passed.
[0079]
The results of Example 2 are also shown in Table 1.
[0080]
[Example 3]
Instead of the target 1 in Example 1, the target 4 shown below was used. This target 4 is a target composed of indium oxide, tin oxide, zinc oxide, and samarium oxide, and its specific composition is as follows.
[0081]
The molar ratio of indium in the main component metal (In / (In + Sn + Zn)) is 0.8, and the molar ratio of tin in the main component metal (Sn / (In + Sn + Zn)) is 0.1. The molar ratio of zinc in Zn (Zn / (In + Sn + Zn)) is 0.1, and the molar ratio of samarium in the entire metal (this molar ratio is represented by Sm / (In + Sn + Zn + Sm)) is 0.04.
[0082]
An organic EL element 30 was produced in the same manner as in Example 1 except that the target 4 was used instead of the target 1.
[0083]
The work function value of the anode layer 16 was 5.84 eV (before cleaning) and 5.95 eV (after cleaning). The surface resistance of the anode layer 16 was 3.9Ω / □. When a DC voltage of 4.5 V was applied between the electrodes in the same manner as in Example 1 to the obtained organic EL element 30, the current density value was 2.0 mA / cm.2The emission luminance was 164 nit. It was also confirmed that the emission color was blue. Furthermore, as a durability evaluation, 10 mA / cm2When constant current driving was performed, no leakage current was found even after 1000 hours had passed.
[0084]
The results of Example 3 are also shown in Table 1.
[0085]
[Example 4]
Instead of the target 1 in Example 1, the target 5 shown below was used. This target 5 is a target composed of indium oxide, tin oxide, zinc oxide, and praseodymium oxide, and its specific composition is as follows.
[0086]
The molar ratio of indium in the main component metal (In / (In + Sn + Zn)) is 0.8, and the molar ratio of tin in the main component metal (Sn / (In + Sn + Zn)) is 0.1. The molar ratio of zinc (Zn / (In + Sn + Zn)) is 0.1, and the molar ratio of praseodymium in the whole metal (Pr / (In + Sn + Zn + Pr)) is 0.04.
[0087]
An organic EL element 30 was produced in the same manner as in Example 1 except that the target 5 was used instead of the target 1. The work function value of the anode layer 16 was 5.80 eV (before cleaning) and 5.85 eV (after cleaning). The surface resistance of the anode layer 16 was 4.0Ω / □.
[0088]
When a DC voltage of 4.6 V was applied between the electrodes in the same manner as in Example 1 to the obtained organic EL element 30, the current density value was 2.0 mA / cm.2The emission luminance was 161 nit. It was also confirmed that the emission color was blue. Furthermore, as a durability evaluation, 10 mA / cm2When constant current driving was performed, no leakage current was found even after 1000 hours had passed.
[0089]
The results of Example 4 are also shown in Table 1.
[0090]
[Example 5]
Instead of the target 1 in Example 1, the target 6 shown below was used. The target 6 is a target made of indium oxide, tin oxide, zinc oxide, and tantalum oxide, and its specific composition is as follows.
[0091]
The molar ratio of indium in the main component metal (In / (In + Sn + Zn)) is 0.8, and the molar ratio of tin in the main component metal (Sn / (In + Sn + Zn)) is 0.1. The molar ratio of zinc (Zn / (In + Sn + Zn)) is 0.1, and the molar ratio of tantalum (Ta / (In + Sn + Zn + Ta)) in the entire metal is 0.06.
[0092]
An organic EL element 30 was produced in the same manner as in Example 1 except that the target 6 was used instead of the target 1. The work function value of the anode layer 16 was 5.60 eV (before cleaning) and 5.64 eV (after cleaning). The surface resistance of the anode layer 16 was 4.8Ω / □.
[0093]
When a DC voltage of 5.1 V was applied between the electrodes in the same manner as in Example 1 to the obtained organic EL element 30, the current density value was 162 mA / cm.2The emission luminance was 62 nit. It was also confirmed that the emission color was blue. Furthermore, as a durability evaluation, 10 mA / cm2When constant current driving was performed, no leakage current was found even after 1000 hours had passed.
[0094]
The results of Example 5 are shown in Table 2.
[0095]
[Table 2]
Figure 0004308497
[Example 6]
Instead of the target 1 in Example 1, the target 7 shown below was used. The target 7 is a target made of indium oxide, tin oxide, zinc oxide, and niobium oxide, and the specific composition thereof is as follows.
[0096]
The molar ratio of indium in the main component metal (In / (In + Sn + Zn)) is 0.8, and the molar ratio of tin in the main component metal (Sn / (In + Sn + Zn)) is 0.1. The molar ratio of zinc (Zn / (In + Sn + Zn)) is 0.1, and the molar ratio of Nb in the whole metal (Nb / (In + Sn + Zn + Nb)) is 0.12.
[0097]
An organic EL element 30 was produced in the same manner as in Example 1 except that the target 7 was used instead of the target 1.
[0098]
The work function value of the anode layer 16 was 5.64 eV (before cleaning) and 5.71 eV (after cleaning). The surface resistance of the anode layer 16 was 4.8Ω / □.
[0099]
When a DC voltage of 5.1 V was applied between the electrodes in the same manner as in Example 1 to the obtained organic EL element 30, the current density value was 2.0 mA / cm.2The emission luminance was 166 nit. It was also confirmed that the emission color was blue. Furthermore, as a durability evaluation, 10 mA / cm2When constant current driving was performed, no leakage current was found even after 1000 hours had passed.
[0100]
The results of Example 6 are also shown in Table 2.
[0101]
[Example 7]
Instead of the target 1 in Example 1, the target 8 shown below was used. This target 8 is a target made of indium oxide, tin oxide, zinc oxide, and hafnium oxide, and its specific composition is as follows.
[0102]
The molar ratio of indium in the main component metal (In / (In + Sn + Zn)) is 0.8, and the molar ratio of tin in the main component metal (Sn / (In + Sn + Zn)) is 0.1. The molar ratio of zinc (Zn / (In + Sn + Zn)) is 0.1, and the molar ratio of hafnium in the whole metal (Hf / (In + Sn + Zn + Hf)) is 0.06.
[0103]
An organic EL element 30 was produced in the same manner as in Example 1 except that the target 8 was used instead of the target 1. The work function value of the anode layer 16 was 5.61 eV (before cleaning) and 5.65 eV (after cleaning). The surface resistance of the anode layer 16 was 5.6Ω / □.
[0104]
When a DC voltage of 4.8 V was applied between the electrodes in the same manner as in Example 1 to the obtained organic EL element 30, the current density value was 2.0 mA / cm.2The emission luminance was 163 nit. It was also confirmed that the emission color was blue. Furthermore, as a durability evaluation, 10 mA / cm2When constant current driving was performed, no leakage current was found even after 1000 hours had passed.
[0105]
The results of Example 7 are also shown in Table 2.
[0106]
[Example 8]
Using the target 4 in Example 3, the anode layer 16 was formed with the oxide layer: 35 nm, the metal layer: 100 nm, and the oxide layer: 35 nm. The cathode was composed of Mg / Ag film thickness: 5 nm and transparent conductive film composed of indium oxide and zinc oxide (In / (In + Zn) = 0.85): 75 nm. Here, In / (In + Zn) represents the molar ratio of indium to the total amount of indium and zinc. Except for these points, an organic EL element 30 was produced in the same manner as in Example 1.
[0107]
The work function value of the anode layer 16 was 5.72 eV (before cleaning) and 5.95 eV (after cleaning). The surface resistance of the anode layer 16 was 0.2Ω / □.
[0108]
When a DC voltage of 4.4 V was applied between the electrodes in the same manner as in Example 1 to the obtained organic EL element 30, the current density value was 2.0 mA / cm.2The emission luminance was 166 nit. It was also confirmed that the emission color was blue. Furthermore, as a durability evaluation, 10 mA / cm2When constant current driving was performed, no leakage current was found even after 1000 hours had passed.
[0109]
The results of Example 8 are also shown in Table 2.
[0110]
[Comparative Example 1]
Instead of the target 1 in Example 1, a target 9 made of indium oxide, tin oxide, and zinc oxide was used. The specific configuration of the target 9 is as follows.
[0111]
In the target 9, the molar ratio of indium in the main component metal (In / (In + Sn + Zn)) is 0.6, and the molar ratio of tin in the main component metal (Sn / (In + Sn + Zn)) is 0.3. The molar ratio of zinc (Zn / (In + Sn + Zn)) in the main component metal is 0.1. An organic EL 30 element was produced in the same manner as in Example 1 except that this target 9 was used.
[0112]
The work function value of the anode layer 16 was 4.65 eV (before cleaning) and 5.23 eV (after cleaning). When a DC voltage of 6.0 V was applied between the electrodes in the same manner as in Example 1 to the obtained organic EL element 30, the current density value was 2.0 mA / cm.2The emission luminance was 166 nit. It was also confirmed that the emission color was blue.
[0113]
The results of Comparative Example 1 are shown in Table 3.
[0114]
[Table 3]
Figure 0004308497
[Comparative Example 2]
Instead of the target 1 in Example 1, a cerium oxide 100% target was used. In other respects, film formation was performed in the same manner as in Example 1.
[0115]
As a result, the work function value of the anode layer 16 was measured to be 5.25 eV (before cleaning) and 5.46 eV (after cleaning). The surface resistance of the anode layer 16 could not be measured because the surface was insulative.
[0116]
The results of Comparative Example 2 are also shown in Table 3.
[0117]
【The invention's effect】
As described above in detail, according to the organic electroluminescent device (for example, organic EL element) of the present invention, transparency and durability can be provided by providing an electrode (for example, an anode layer) made of a specific inorganic compound. It is possible to provide an organic EL element that is excellent in light emission and can obtain high emission luminance even when the driving voltage is low.
[0118]
It was also confirmed that the anode layer made of the specific inorganic compound shown in the present invention did not deteriorate the etching characteristics.
[0119]
Moreover, according to the organic electroluminescent device (for example, organic EL element) of the present invention, an organic EL element that is excellent in the transparency and durability described above and can obtain high emission luminance even when the driving voltage is low is efficiently provided. I was able to do that.
[0120]
In addition, according to the electrode substrate of the present invention, an organic electroluminescent device capable of obtaining the above effects can be manufactured.
[0121]
Moreover, according to the manufacturing method of this invention, the organic electroluminescent apparatus from which the above effects are acquired can be manufactured.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view of an electrode substrate in the present embodiment.
FIG. 2 is a cross-sectional view of an organic EL element in the present embodiment.
FIG. 3 is a diagram showing chemical formulas of various substances.
[Explanation of symbols]
1, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9 targets
10 Glass substrate
12 Metal oxide layer
14 Ag thin film layer
16 Anode layer
18 Substrate (electrode substrate)
20 Hole transport layer
22 Organic light emitting layer
24 electron injection layer
26 Cathode layer
30 Organic EL device

Claims (13)

有機電界発光層を駆動する電極と、基材と、を備えた有機電界発光装置用電極基板において、
前記電極が、仕事関数が5.6eVを超える値である金属酸化物の薄膜層、および、Agを主成分とする薄膜層、の積層体から成り、
前記金属酸化物の薄膜層が、前記有機電界発光層と接するように形成され、
さらに、前記金属酸化物の薄膜層が、
酸化インジウムを主成分とし、
酸化ニオブ、酸化ハフニウム、酸化タンタル、ランタノイド系金属酸化物の群から選択される少なくとも一種以上の金属酸化物を含有し、
前記一種以上の金属酸化物の添加量が、前記金属酸化物の薄膜層を構成する全金属原子に対して0.1から20原子%未満であることを特徴とする有機電界発光装置用電極基板。
In an electrode substrate for an organic electroluminescent device comprising an electrode for driving an organic electroluminescent layer and a base material,
The electrode is composed of a laminate of a metal oxide thin film layer having a work function exceeding 5.6 eV and a thin film layer mainly composed of Ag,
The metal oxide thin film layer is formed in contact with the organic electroluminescent layer,
Furthermore, the metal oxide thin film layer comprises:
Mainly composed of indium oxide,
Containing at least one metal oxide selected from the group of niobium oxide, hafnium oxide, tantalum oxide, and lanthanoid metal oxides ,
An electrode substrate for an organic electroluminescence device , wherein the addition amount of the one or more metal oxides is 0.1 to less than 20 atomic% with respect to all metal atoms constituting the metal oxide thin film layer. .
前記ランタノイド系金属酸化物が、酸化プラセオジウム、酸化ネオジウム、酸化サマリウム、酸化テルビウムの群から選択される少なくとも一種以上の金属酸化物であることを特徴とする請求項に記載の有機電界発光装置用電極基板。The lanthanoid-based metal oxide, oxidation praseodymium, neodymium oxide, samarium oxide, organic light emitting device according to claim 1, characterized in that at least one or more metal oxide selected from the group of terbium oxide Electrode substrate. 前記金属酸化物の薄膜層の仕事関数が5.8eV以上であることを特徴とする請求項1又は2の有機電界発光装置用電極基板。The electrode substrate for an organic electroluminescence device according to claim 1 or 2 , wherein a work function of the metal oxide thin film layer is 5.8 eV or more. 前記金属酸化物の薄膜層が、
主成分として、前記酸化インジウムに加え、酸化亜鉛および/又は酸化スズを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電界発光装置用電極基板。
The thin film layer of the metal oxide is
As the main component, the addition to indium oxide, the electroluminescent device electrode substrate according to claim 1, characterized in that it comprises zinc oxide and / or tin oxide.
前記Agを主成分とする薄膜層が、仕事関数が5.0eV以上である金属を含有していることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の有機電界発光装置用電極基板。The thin film layer mainly composed of Ag is organic electroluminescent device electrode substrate according to any one of claims 1 to 4, wherein the work function contains a metal is not less than 5.0 eV. 仕事関数が5.0eV以上の金属が、Au、Ir、Ni、Pd、Ptから選択された1種または2種以上の金属を含有することを特徴とする請求項記載の有機電界発光装置用電極基板。6. The organic electroluminescent device according to claim 5 , wherein the metal having a work function of 5.0 eV or more contains one or more metals selected from Au, Ir, Ni, Pd, and Pt. Electrode substrate. 少なくとも陽極層と、有機電界発光層と、陰極層とを積層した構造を有する有機電界発光装置において、
前記陽極層又は陰極層のいずれか一方又は両方の電極が、仕事関数が5.6eVを超える値である金属酸化物の薄膜層、および、Agを主成分とする薄膜層、の積層体から成り、
前記金属酸化物の薄膜層が、前記有機電界発光層と接するように形成され、
さらに、前記金属酸化物の薄膜層が、
酸化インジウムを主成分とし、
酸化ニオブ、酸化ハフニウム、酸化タンタル、ランタノイド系金属酸化物の群から選択される少なくとも一種以上の金属酸化物を含有し、
前記一種以上の金属酸化物の添加量が、前記金属酸化物の薄膜層を構成する全金属原子に対して0.1から20原子%未満であることを特徴とする有機電界発光装置。
In an organic electroluminescent device having a structure in which at least an anode layer, an organic electroluminescent layer, and a cathode layer are laminated,
Either one or both of the anode layer and the cathode layer is composed of a laminate of a metal oxide thin film layer having a work function exceeding 5.6 eV and a thin film layer mainly composed of Ag. ,
The metal oxide thin film layer is formed in contact with the organic electroluminescent layer,
Furthermore, the metal oxide thin film layer comprises:
Mainly composed of indium oxide,
Containing at least one metal oxide selected from the group of niobium oxide, hafnium oxide, tantalum oxide, and lanthanoid metal oxides ,
The organic electroluminescence device according to claim 1, wherein the addition amount of the one or more metal oxides is 0.1 to less than 20 atomic% with respect to all metal atoms constituting the thin film layer of the metal oxide .
前記ランタノイド系金属酸化物が、酸化プラセオジウム、酸化ネオジウム、酸化サマリウム、酸化テルビウムの群から選択される少なくとも一種以上の金属酸化物であることを特徴とする請求項記載の有機電界発光装置。The lanthanoid-based metal oxide, oxidation praseodymium, neodymium oxide, samarium oxide, the organic electroluminescent device according to claim 7, wherein the at least one or more metal oxide selected from the group of terbium oxide. 前記金属酸化物の薄膜層の仕事関数が5.8eV以上であることを特徴とする請求項7又は8の有機電界発光装置。9. The organic electroluminescent device according to claim 7, wherein a work function of the metal oxide thin film layer is 5.8 eV or more. 前記金属酸化物の薄膜層が、
主成分として、前記酸化インジウムに加え、酸化亜鉛又は酸化スズを含むことを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の有機電界発光装置。
The thin film layer of the metal oxide is
The organic electroluminescent device according to any one of claims 7 to 9 , wherein zinc oxide or tin oxide is contained as a main component in addition to the indium oxide.
前記Agを主成分とする薄膜層が、仕事関数が5.0eV以上である金属を含有していることを特徴とする請求項10のいずれかに記載の有機電界発光装置。The organic electroluminescence device according to any one of claims 7 to 10 , wherein the thin film layer containing Ag as a main component contains a metal having a work function of 5.0 eV or more. 仕事関数が5.0eV以上の金属が、Au、Ir、Ni、Pd、Ptから選択された1種または2種以上の金属を含有することを特徴とする請求項11記載の有機電界発光装置。12. The organic electroluminescent device according to claim 11 , wherein the metal having a work function of 5.0 eV or more contains one or more metals selected from Au, Ir, Ni, Pd, and Pt. 請求項12のいずれかに記載の有機電界発光装置の製造方法において、前記電極をスパッタリング法により形成し、前記有機電界発光層を真空蒸着法により形成することを特徴とする有機電界発光装置の製造方法。In the manufacturing method of the organic electroluminescent device according to any one of claims 7 to 12, the electrode is formed by sputtering, the organic electroluminescent device, which comprises forming by a vacuum deposition method the organic electroluminescent layer Manufacturing method.
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