しかし、火災等の災害が発生したときには、エレベータが設置されている建物や構築物から有効に避難できるようにすることが重要である。このため、それぞれの階に設けられる防災用閉鎖手段をこのような視点に基づいて作動させなければならないが、従来、このような視点に着目して開発された防災用閉鎖装置は見当たらない。
本発明の目的は、火災等の災害発生時に有効に避難できるようになる昇降装置のための防災用閉鎖装置及びその作動方法を提供するところにある。
本発明に係る昇降装置のための防災用閉鎖装置は、昇降装置で昇降する複数の階に前記昇降装置の出入箇所において設置される防災用閉鎖手段と、これらの防災用閉鎖手段を総合制御する制御手段とを備えることを特徴とするものである。
この昇降装置のための防災用閉鎖装置によると、昇降装置で昇降する複数の階に設置される防災用閉鎖手段は、互いに他の防災用閉鎖手段と個別に作動するのではなく、制御手段によって総合制御されることになるため、言い換えると、それぞれの防災用閉鎖手段は互いに制御手段で関連づけられて作動するため、火災等の災害発生時において、例えば、昇降装置の運転状況や、予め決められていた決定事項、さらには災害状況や、災害が発生した階等の各種条件に応じて、それぞれの防災用閉鎖手段の閉鎖、開放の作動を互いの防災用閉鎖手段の間で制御手段によって関連づけて制御することにより、有効に避難できる状態を創出することができる。
したがって、制御手段によってそれぞれの防災用閉鎖手段を総合制御するための制御内容は、例えば、昇降装置の運転状況や、予め決められていた決定事項、さらには災害状況や、災害が発生した階等に応じた任意な制御内容でよい。
なお、この昇降装置のための防災用閉鎖装置における制御手段は、それぞれの防災用閉鎖手段を昇降装置の運転状態とは無関係に制御するものでもよい。
また、この昇降装置のための防災用閉鎖装置における制御手段は、1個でそれぞれの防災用閉鎖手段を総合制御するものでもよく、あるいは、例えば、防災用閉鎖手段ごとに配置された複数個となっていて、これらでそれぞれの防災用閉鎖手段を総合制御するものとなっているものでもよい。
また、本発明に係る昇降装置のための防災用閉鎖装置は、昇降装置で昇降する複数の階に前記昇降装置の出入箇所において設置される防災用閉鎖手段と、それぞれの前記防災用閉鎖手段と前記昇降装置とを連繋させて制御する連繋制御手段とを備えることを特徴とするものである。
この昇降装置のための防災用閉鎖装置によると、それぞれの防災用閉鎖手段と昇降装置はそれぞれ独立した関係で駆動制御されるのではなく、連繋制御手段によって互いに連繋した関係で駆動制御されるため、火災等の災害発生時に昇降装置を利用して避難する際に、複数の階に設置される防災用閉鎖手段の駆動制御と昇降装置の駆動制御とにより、この避難を有効に行える状態を創出できることになる。
言い換えると、連繋制御手段がそれぞれの防災用閉鎖手段と昇降装置の運転とを連繋させて制御することになり、このため、昇降装置を利用した避難行動と防災用閉鎖手段の作動とを関係づけることができ、これにより、一層有効に避難できる状態を創出できる。
この昇降装置のための防災用閉鎖装置において、前記連繋制御手段によってそれぞれの防災用閉鎖手段と昇降装置とを連繋制御する内容は、予め想定される災害発生状況や災害発生場所等に応じた任意な制御内容でよい。
また、昇降装置と防災用閉鎖手段とを連繋制御手段によって連繋制御する場合には、連繋制御される主体を昇降装置としてよく、防災用閉鎖手段としてもよい。
連繋制御される主体を昇降装置とする場合には、この連繋制御は、防災用閉鎖手段についての情報と、昇降装置で昇降する階についての情報とのうちの少なくとも一方が用いられ、昇降装置を連繋制御するための情報として少なくとも防災用閉鎖手段についての情報を用いた場合には、より有効な連繋制御を実現できる。また、連繋制御される主体を防災用閉鎖手段とする場合には、昇降装置についての情報が用いられる。
これらの場合において、連繋制御するために用いる防災用閉鎖手段についての情報と、昇降装置についての情報と、昇降装置で昇降する階についての情報は、連繋制御する内容等に応じて任意に決められることになる。
このように任意に決めることができる情報のうち、防災用閉鎖手段についての情報には、防災用閉鎖手段の属性についての情報と、防災用閉鎖手段の動作状況についての情報とがあり、防災用閉鎖手段の属性についての情報とは、例えば、防災用閉鎖手段を形成している材料、材質等に基づく防災機能、防災特性や、開放は自動的に行われるか手動で行われるか等であり、防災用閉鎖手段の動作状況についての情報とは、例えば、防災用閉鎖手段が閉鎖動作中か、開放動作中か、停止中か、閉鎖終了済みか、開放終了済みか等である。昇降装置についての情報にも、昇降装置の属性についての情報と、昇降装置の動作状況についての情報とがあり、昇降装置の属性についての情報とは、例えば、昇降装置がエレベータである場合には、昇降箱の定員人数、その昇降箱が人間用か荷物用か、人間用である場合には身障者が同乗可能の設備を有しているか否か、同一縦穴に他の昇降箱も配設されている連装タイプのものか否か等であり、昇降装置の動作状況についての情報とは、例えば、上昇動作中か、下降動作中か、停止中か、どの階を通過したか、最上階まで上昇済みか、最下階まで下降済みか等である。昇降装置で昇降する階についての情報とは、例えば、どの階が予め決められた避難階となっているか、防災用閉鎖手段が設置されている階はどの階か、防災用閉鎖手段が設置されている階では昇降装置から防災用閉鎖手段までの距離はどのくらいか(例えば、数cmから100cmまでのうちのどのくらいか、数cmよりも小さいか、100cmよりも大きいか)等である。
また、連繋制御手段は、昇降装置を駆動させるための装置や昇降装置の昇降位置を検出するための検出手段等からの信号に基づきそれぞれの防災用閉鎖手段を総合的及び/又は集中的に制御する1個のものでもよく、あるいは、例えば、防災用閉鎖手段ごとに配置された複数個となっていて、これらが、昇降装置を駆動させるための装置や昇降装置の昇降位置を検出するための検出手段等からの信号に基づきそれぞれの防災用閉鎖手段をこれらごとに制御するものでもよく、さらには、それぞれの防災用閉鎖手段から個別に送信される信号に基づき昇降装置の運転を制御する1個のものでもよく、あるいは、例えば、防災用閉鎖手段ごとに配置された複数個となっていて、これらから送信する信号により昇降装置の運転を制御するものでもよく、それぞれの防災用閉鎖手段と昇降装置とを連繋させて制御できるものであれば、任意な形態、形式、構造等のものでよい。
以上において、より具体的な第1例に係る昇降装置のための防災用閉鎖装置は、災害発生時に、昇降装置で昇降する複数の階に昇降装置の出入箇所において設置されている防災用閉鎖手段のうちの所定の防災用閉鎖手段を閉鎖する防災用閉鎖手段閉鎖制御手段と、閉鎖された防災用閉鎖手段が設置されていて昇降装置が停止した階を把握する昇降装置停止把握手段と、この昇降装置停止把握手段が把握した階に設置されている防災用閉鎖手段を開放する防災用閉鎖手段開放制御手段と、を備えるものである。
この昇降装置のための防災用閉鎖装置では、災害発生時に、昇降装置で昇降する複数の階に昇降装置の出入箇所において設置されている防災用閉鎖手段のうちの所定の防災用閉鎖手段を閉鎖し、次いで、昇降装置を、閉鎖させた防災用閉鎖手段が設置されている階に停止させ、この階に設置されている防災用閉鎖手段を開放させることができる。
これによると、例えば、昇降装置に乗っていた人が昇降装置を停止させることを指定した指定階において、その避難者の意志のとおりに昇降装置を停止させてこの昇降装置から脱出し、避難できることになる。
なお、防災用閉鎖手段閉鎖制御手段により閉鎖する前記所定の防災用閉鎖手段は、昇降装置で昇降する複数の階に昇降装置の出入箇所において設置されている全部の防災用閉鎖手段でもよく、これらの防災用閉鎖手段のうち、例えば、火災等の災害が発生した階等に応じて予め決められた防災用閉鎖手段でもよい。
より具体的な第2例に係る昇降装置のための防災用閉鎖装置は、災害発生時に避難階を把握する避難階把握手段と、昇降装置で昇降する複数の階に昇降装置の出入箇所において設置されている防災用閉鎖手段のうち、避難階把握手段が把握した避難階を除く所定の階の防災用閉鎖手段を閉鎖する防災用閉鎖手段閉鎖制御手段と、昇降装置を避難階把握手段が把握した避難階に停止させる昇降装置避難階停止制御手段と、昇降装置が避難階に停止したことを把握する昇降装置避難階停止把握手段と、この昇降装置避難階停止把握手段が昇降装置の停止を把握した後、昇降装置より避難者が脱出したか否かを判定する避難者脱出判定手段と、この避難者脱出判定手段が昇降装置より避難者が脱出したと判定した場合に、昇降装置避難階停止把握手段が把握した避難階に設置されている防災用閉鎖手段を閉鎖する避難階防災用閉鎖手段閉鎖制御手段と、を備えるものである。
この昇降装置のための防災用閉鎖装置では、災害発生時に、昇降装置で昇降する複数の階に昇降装置の出入箇所において設置されている防災用閉鎖手段における所定の防災用閉鎖手段のうち、予め決められた避難階の防災用閉鎖手段を除く残りの防災用閉鎖手段を閉鎖し、この後、昇降装置が避難階で停止してこの昇降装置より避難者が脱出してから、避難階の防災用閉鎖手段を閉鎖することができる。
これによると、予め決められている避難階において昇降装置より避難者を予定どおりに脱出させることができる。
また、この第2例によると、災害発生時に防災用閉鎖手段が行う作動は閉鎖だけとなり、防災用閉鎖手段を開放させなくてもよいため、防災用閉鎖手段は自動開放する機能を有しないものでもよく、このため、それだけ防災用閉鎖手段を簡単化できる。
なお、防災用閉鎖手段閉鎖制御手段により閉鎖する前記所定の階の防災用閉鎖手段は、避難階を除く全部の階の防災用閉鎖手段でもよく、これらの防災用閉鎖手段のうち、例えば、火災等の災害が発生した階等に応じて予め決められた防災用閉鎖手段でもよい。
より具体的な第3例に係る昇降装置のための防災用閉鎖装置は、災害発生時に、昇降装置で昇降する複数の階について危険度合いの高い順番を把握する危険度合い把握手段と、この危険度合い把握手段が把握した順番にしたがい、昇降装置で昇降する複数の階に昇降装置の出入箇所に設置されている防災用閉鎖手段のうちの複数の防災用閉鎖手段を閉鎖する危険度合い順防災用閉鎖手段閉鎖制御手段と、を備えるものである。
この昇降装置のための防災用閉鎖装置では、例えば、災害が発生した階の防災用閉鎖手段を最初に閉鎖し、次いで最上階の防災用閉鎖手段を閉鎖し、この後、災害発生階の下の階の防災用閉鎖手段を閉鎖するというように、災害発生時に、昇降装置で昇降する複数の階に昇降装置の出入箇所において設置されている防災用閉鎖手段のなかから、危険度合いの高い階の順番にしたがい防災用閉鎖手段を順次閉鎖することができる。
これによると、複数の階にいる人達に、開放されている防災用閉鎖手段を通過させて昇降装置に乗らせることにより与えることができる避難の機会は、危険度合いの低い階の順番にしたがって多くなり、避難のための機会と、防災用閉鎖手段による災害防止機能とを合理的に適合させることができる。
なお、危険度合い順防災用閉鎖手段閉鎖制御手段により閉鎖する前記複数の防災用閉鎖手段は、昇降装置で昇降する複数の階に昇降装置の出入箇所に設置されている全部の防災用閉鎖手段でもよく、これらの防災用閉鎖手段のうち、例えば、火災等の災害が発生した階等に応じて予め決められた防災用閉鎖手段でもよい。
また、最後に閉鎖する防災用閉鎖手段は最も危険度合いの低い階の防災用閉鎖手段でもよく、予め決められている避難階の防災用閉鎖手段でもよい。
より具体的な第4例に係る昇降装置のための防災用閉鎖装置は、災害発生時に昇降装置が通過した階を把握する通過階把握手段と、昇降装置で昇降する複数の階に昇降装置の出入箇所において設置されている防災用閉鎖手段のうちの所定の防災用閉鎖手段のうち、通過階把握手段が把握した通過階の防災用閉鎖手段を閉鎖する防災用閉鎖手段閉鎖制御手段と、を備えるものである。
この第4例によると、昇降装置が通過し、したがって昇降装置を利用して避難しないことが明らかになった階の防災用閉鎖手段を閉鎖させることができる。
なお、昇降装置が通過したために防災用閉鎖手段閉鎖制御手段により閉鎖する前記所定の防災用閉鎖手段は、昇降装置で昇降する複数の階に昇降装置の出入箇所において設置されている全部の防災用閉鎖手段でもよく、これらの防災用閉鎖手段のうち、例えば、火災等の災害が発生した階等に応じて予め決められた防災用閉鎖手段でもよい。
より具体的な第5例に係る昇降装置のための防災用閉鎖装置は、災害発生時に、昇降装置で昇降する複数の階に昇降装置の出入箇所において設置されている防災用閉鎖手段のうちの一つを抽出する防災用閉鎖手段抽出手段と、この防災用閉鎖手段抽出手段で抽出された防災用閉鎖手段を除く所定の防災用閉鎖手段を閉鎖する防災用閉鎖手段閉鎖制御手段と、昇降装置を、防災用閉鎖手段抽出手段が抽出した防災用閉鎖手段が設置されている階に停止させる昇降装置停止制御手段と、を備えるものである。
この第5例は、昇降装置で昇降する複数の階に昇降装置の出入箇所において設置されている防災用閉鎖手段と、集中制御手段等の制御手段との間が、双方向で信号を送受信できる制御系となっている場合、又は防災用閉鎖手段から制御手段へ信号を送信できる制御系となっている場合に適用でき、災害が発生したとき、例えば、それぞれの防災用閉鎖手段には記憶部が設けられ、それぞれの記憶部には、その記憶部が設けられた防災用閉鎖手段が備えている防災機能情報が記憶されているため、それぞれの防災用閉鎖手段から送信される防災機能情報に基づき、昇降装置を停止させて避難者を避難させるために都合のよい防災用閉鎖手段が設置されている階を選択できるようになる。
なお、防災用閉鎖手段抽出手段で抽出された防災用閉鎖手段を除き、防災用閉鎖手段閉鎖制御手段により閉鎖する前記所定の防災用閉鎖手段は、昇降装置で昇降する複数の階に昇降装置の出入箇所において設置されている全部の防災用閉鎖手段でもよく、これらの防災用閉鎖手段のうち、例えば、火災等の災害が発生した階等に応じて予め決められた防災用閉鎖手段でもよい。
より具体的な第6例に係る昇降装置のための防災用閉鎖装置は、昇降装置で昇降する複数の階に昇降装置の出入箇所において設置されている防災用閉鎖手段のうちの少なくとも一つは脱出口を有し、災害発生時に、脱出口を有する一つの防災用閉鎖手段を抽出する防災用閉鎖手段抽出手段と、この防災用閉鎖手段抽出手段が抽出した防災用閉鎖手段を含む所定の防災用閉鎖手段を閉鎖する防災用閉鎖手段閉鎖制御手段と、昇降装置を防災用閉鎖手段抽出手段が抽出した防災用閉鎖手段が設置されている階に停止させる昇降装置停止制御手段と、を備えるものである。
この第6例によると、昇降装置を、脱出口を有する防災用閉鎖手段が設置された階に停止させることができるため、この脱出口を利用して有効に避難できる。
なお、防災用閉鎖手段閉鎖制御手段により閉鎖する前記所定の防災用閉鎖手段は、昇降装置で昇降する複数の階に昇降装置の出入箇所において設置されている全部の防災用閉鎖手段でもよく、これらの防災用閉鎖手段のうち、例えば、火災等の災害が発生した階等に応じて予め決められた防災用閉鎖手段でもよい。
より具体的な第7例に係る昇降装置のための防災用閉鎖装置は、災害発生時に、昇降装置で昇降する複数の階に昇降装置の出入箇所において設置されている防災用閉鎖手段のうちの所定の防災用閉鎖手段を閉鎖する防災用閉鎖手段閉鎖制御手段と、防災用閉鎖手段のうち、避難者の脱出に不適正となっている防災用閉鎖手段を抽出する脱出不適正防災用閉鎖手段抽出手段と、昇降装置を、この脱出不適正防災用閉鎖手段抽出手段が抽出した防災用閉鎖手段が設置されている階を通過させる昇降装置通過制御手段と、を備えるものである。
この第7例によると、開放等しても避難者の脱出に不適正となっている防災用閉鎖手段が設置されている階について、昇降装置を通過させることができ、これにより、避難者の脱出に適正となっている防災用閉鎖手段が設置されている階又は避難階等に指定されていて防災用閉鎖手段が設置されていない階等に昇降装置を停止させることができるため、災害からに避難を有効に行える。
なお、防災用閉鎖手段閉鎖制御手段により閉鎖する前記所定の防災用閉鎖手段は、昇降装置で昇降する複数の階に昇降装置の出入箇所において設置されている全部の防災用閉鎖手段でもよく、これらの防災用閉鎖手段のうち、例えば、火災等の災害が発生した階等に応じて予め決められた防災用閉鎖手段でもよい。
以上の本発明に係る昇降装置のための防災用閉鎖装置において、制御手段はプログラムに基づき作動するコンピュータでもよく、リレースイッチ等で組み立てられたシーケンス回路等でもよく、それぞれの防災用閉鎖手段や昇降装置を制御できるものであれば、任意な構造、形式等の制御手段でよい。
そして、本発明に係る昇降装置のための防災用閉鎖装置の作動方法は、災害発生時に、昇降装置で昇降する複数の階に昇降装置の出入箇所において設置されている防災用閉鎖手段のうちの所定の防災用閉鎖手段を閉鎖し、次いで、昇降装置を、閉鎖させた防災用閉鎖手段が設置されている階に停止させ、この階に設置されている防災用閉鎖手段を開放することを特徴とするものである。
なお、閉鎖する前記所定の防災用閉鎖手段は、昇降装置で昇降する複数の階に昇降装置の出入箇所において設置されている全部の防災用閉鎖手段でもよく、これらの防災用閉鎖手段のうち、例えば、火災等の災害が発生した階等に応じて予め決められた防災用閉鎖手段でもよい。
また、本発明に係る昇降装置のための防災用閉鎖装置の作動方法は、災害発生時に、昇降装置で昇降する複数の階に昇降装置の出入箇所において設置されている防災用閉鎖手段のうちの所定の防災用閉鎖手段のうち、予め決められた避難階の防災用閉鎖手段を除く残りの防災用閉鎖手段を閉鎖し、この後、昇降装置が避難階で停止してこの昇降装置より避難者が脱出してから、避難階の防災用閉鎖手段を閉鎖することを特徴とするものである。
なお、予め決められた避難階の防災用閉鎖手段を除いて閉鎖する前記所定の防災用閉鎖手段は、昇降装置で昇降する複数の階に昇降装置の出入箇所において設置されている全部の防災用閉鎖手段でもよく、これらの防災用閉鎖手段のうち、例えば、火災等の災害が発生した階等に応じて予め決められた防災用閉鎖手段でもよい。
さらに、本発明に係る昇降装置のための防災用閉鎖装置の作動方法は、災害発生時に、昇降装置で昇降する複数の階に昇降装置の出入箇所において設置されている防災用閉鎖手段のうちの所定の防災用閉鎖手段のなかから、危険度合いの高い階の順番にしたがい防災用閉鎖手段を順次閉鎖することを特徴とするものである。
なお、危険度合いの高い順番にしたがい閉鎖する前記所定の防災用閉鎖手段は、昇降装置で昇降する複数の階に昇降装置の出入箇所に設置されている全部の防災用閉鎖手段でもよく、これらの防災用閉鎖手段のうち、例えば、火災等の災害が発生した階等に応じて予め決められた防災用閉鎖手段でもよい。
以上の昇降装置のための防災用閉鎖装置の作動方法において、防災用閉鎖手段を作動させることは、プログラムに基づき作動するコンピュータや、リレースイッチ等で組み立てられたシーケンス回路等による制御手段により自動的に行ってもよく、また、操作盤等の操作装置を人為操作することにより行ってもよい。
以上の本発明に係る昇降装置のための防災用閉鎖装置と、昇降装置のための防災用閉鎖装置の作動方法とにおいて、昇降装置はエレベータでもよく、エスカレータ等でもよく、本発明は任意な昇降装置に適用できる。
しかし、本発明に係る昇降装置のための防災用閉鎖装置と、昇降装置のための防災用閉鎖装置の作動方法とをエレベータに適用した場合には、エレベータの昇降動する同じ昇降箱が複数の階を停止、通過するため、これらの階に設置され、この停止、通過に伴って閉鎖、開放の制御がなされるそれぞれの防災用閉鎖手段の制御を有効に行えるという利点を得られる。
また、本発明に係る昇降装置のための防災用閉鎖装置と、昇降装置のための防災用閉鎖装置の作動方法とをエレベータに適用した場合には、狭い空間となっている昇降箱の内部に閉じ込められた状態の人を、昇降箱を適切な階に停止させるとともに、防災用閉鎖手段を適切に制御することにより、昇降箱からより確実に脱出させることができ、エレベータに特に求められる要請に有効に応えることができる。
なお、昇降装置がエレベータである場合には、昇降装置を指定した階等の所定の階で停止させるとは、エレベータの昇降箱をその階で停止させることである。また、昇降装置がエスカレータである場合において、昇降装置を指定した階等の所定の階で停止させるとは、上下二階分の間に跨設されている単位エスカレータの連続で形成されている単位エスカレータ群のうち、下り用エスカレータについては、その階から下へ降りるための単位エスカレータの運転を停止させることであり、登り用エスカレータについては、その階から上へ登るための単位エスカレータの運転を停止させることである。
また、複数の階に設置される防災用閉鎖手段は、シャッターカーテンを有するシャッター装置でもよく、開き戸を有する開き戸装置でもよく、引き戸を有する引き戸装置でもよく、ウォータカーテン装置でもよく、エアカーテン装置でもよく、任意な構造、形式等の防災用閉鎖手段でよい。
また、防火用閉鎖手段がシャッター装置である場合には、そのシャッターカーテンは、シートによるものでもよく、スラットによるものでもよく、複数の材料を複合したものでもよい。
また、複数の階に設置される防災用閉鎖手段は、上記のうちの一種類だけで形成してもよく、これらのうちの複数の組み合わせからなる複合式防災用閉鎖手段としてもよい。
さらに、同じ階にエレベータ等の昇降装置が複数台並設されている場合に、その階に設置される防災用閉鎖手段は、これらの昇降装置ごとに個別となったものでもよく、これらの昇降装置に共通となったものでもよい。
また、防災用閉鎖手段がエレベータであって、このエレベータが複数並設されされているとともに、それぞれのエレベータの昇降箱が同じ縦穴に上下動自在に配設されている場合には、これらの昇降箱で昇降する階に、それぞれが1個のエレベータ用として又は複数個のエレベータ用として複数個設置される防災用閉鎖手段について、異なる開放、閉鎖の制御態様で制御してもよいが、同じ開放、閉鎖の制御態様で制御することが好ましい。これにより、同じ階に複数の防災用閉鎖手段が設置されていても、それぞれのエレベータによるその階についての避難行動を同じにできる。
また、複数の階において防災用閉鎖手段を設置する昇降装置の出入箇所は、昇降装置に極めて近い箇所でもよく、あるいは昇降装置との間に、例えば、一人又は複数人の避難者が入るスペースのある箇所でもよい。
また、本発明に係る昇降装置のための防災用閉鎖装置と、昇降装置のための防災用閉鎖装置の作動方法とが適用される昇降装置は、建物に設置されるものでもよく、地下街等の構築物に設置されるものでもよい。
さらに、本発明に係る昇降装置のための防災用閉鎖装置と、昇降装置のための防災用閉鎖装置の作動方法とを適用することができる最も一般的な災害は、火災である。しかし、これに限らず、本発明に係る昇降装置のための防災用閉鎖装置と、昇降装置のための防災用閉鎖装置の作動方法は、例えば、有毒ガスの発生に対する対策や、有害細菌の散布に対する対策、火災の発生が予想される大きな地震が発生したときの対策、水害に対する対策等としても有効であり、任意な災害のために適用できる。
本発明に係る昇降装置のための防災用閉鎖装置と、昇降装置のための防災用閉鎖装置の作動方法とが適用される災害が火災である場合には、防災用閉鎖手段は昇降装置で昇降する全部の階に設置することが好ましい。しかし、本発明に係る昇降装置のための防災用閉鎖装置と、昇降装置のための防災用閉鎖装置の作動方法とが適用される災害が水害である場合には、防災用閉鎖手段は、昇降装置で昇降する全部の階のうちの複数の低階だけに設置すればよく、このように防災用閉鎖手段を設置する階は、本発明に係る昇降装置のための防災用閉鎖装置と、昇降装置のための防災用閉鎖装置の作動方法とが適用される災害の種類、性質等に応じて任意に設定することができる。
また、防災用閉鎖手段は、災害の内容や防災の性格、目的等に応じた適切な機能、性能を有すればよく、例えば、有害細菌のみの対策用であれば、気密性があれば充分で防火性は必ずしも必要ではなく、また、火災対策用であれば、防火性と防煙性の両方の機能を有していてもよいが、これらのいずれか一方、例えば、昇降装置がエレベータであって、このエレベータが防火性を有していれば、防煙性のみを有するものでもよい。
また、以上の本発明に係る昇降装置のための防災用閉鎖装置及びその作動方法において、「災害発生時」とは、実際の災害が発生したときでもよく、あるいは、この昇降装置のための防災用閉鎖装置を備えた建物や地下街等の構造物が完成したときに行う試験運転における仮想上の災害の発生時でもよく、避難訓練を行うときにおける仮想上の災害の発生時でもよく、さらには、修理作業後や点検作業後に行う機能確認のための仮想上の災害の発生時でもよい。
本発明によると、火災等の災害発生時に有効に避難できるようになるという効果を得られる。
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。初めに、昇降装置で昇降する階における昇降装置の出入箇所に設置される防災用閉鎖手段について説明する。
なお、防災用閉鎖手段は、同じ昇降装置で昇降する全部の階に設けてもよいが、これらの階のうち、防災用閉鎖手段の設置が必要とされる特定の複数の階だけに設けてもよい。以下の実施形態は、同じ昇降装置で昇降する全部の階に防災用閉鎖手段が設けられている場合である。
また、以下の説明は、昇降装置がエレベータであって、防災用閉鎖手段が防災用シャッター装置となっている場合である。
図1は、そのエレベータ1の正面図であり、図2は、図1のS2−S2線断面図である。建物内のそれぞれ階へ昇降するために利用されるエレベータ1は、図2に示すように、それぞれの階を上下に連通して形成された縦穴としてのエレベータシャフト2に昇降箱3を上下動自在に配設することによって形成され、この昇降箱3は扉4を有する。また、図1に示すように、それぞれの階のコンクリート壁には、エレベータシャフト2に達するエレベータ用出入口としての開口部5が設けられ、この開口部5の奥には、図2で示されているように、エレベータ扉6が配置されている。上部のガイドレール7と下部のガイド溝8に案内されて開閉自在となっているこのエレベータ扉6は、昇降箱3がそのエレベータ扉6の設置されている階に停止したときに、昇降箱3の扉4と図示しない装置で機械的に連結され、この扉4を開閉させるために昇降箱3に設置されている開閉装置で扉4が開閉するときに、エレベータ扉6も同時に開閉するようになっている。
なお、エレベータ扉6は、上記開閉装置とは別の装置によって昇降箱3の扉4と同時に開閉されるものになっていてもよい。
そして、図2で示すように、開口部5の幅内であってエレベータ扉6よりも手前側には、エレベータ1のための防災用閉鎖手段である防災用シャッター装置10が設置されている。この防災用シャッター装置10は、開口部5より上の空間に一対のブラケット11で水平に架設された巻取軸12と、スプロケットとチェーン等による駆動力伝達手段13を介して巻取軸12を正逆回転させる開閉機14と、上端が巻取軸12に結合され、下端が座板15Aとなったシャッターカーテン15とを含んで形成され、開閉機14からの駆動力で巻取軸12が正逆回転することにより、左右両端部が開口部5の左右の側壁部5Aに設けられたガイドレール16に抜け止めされて摺動自在に挿入されているシャッターカーテン15が上下動し、このシャッターカーテン15が下降して座板15Aが着床することにより、その階でのエレベータ用出入り箇所がその階に設置された防災用シャッター装置10によって閉鎖され、また、シャッターカーテン15が上昇して座板15Aが開口部5の上面のまぐさ5Bに達することにより、その階でのエレベータ用出入り箇所がその階の設置された防災用シャッター装置10によって開放される。
なお、この防災用シャッター装置10は火災対策用のものであるため、シャッターカーテン15は防火性と防煙性とを有するシートで形成されているとともに、シャッターカーテン15の左右両端部が挿入されているガイドレール16及びシャッターカーテン15が上下に挿通するまぐさ5Bには、遮煙部材が組み込まれている。また、座板15Aの下面には、座板15Aが着床したときに遮煙性を確保するための遮煙部材が設けられている。
図3は、以上の防災用シャッター装置10が設置された建物の概念的縦断面図であり、この図3で示されているとおり、エレベータの昇降箱3が昇降するそれぞれ階には、エレベータ扉6と防災用シャッター装置10とが設置されている。
図4は、それぞれの防災用シャッター装置10の作動を制御するための制御系を示すブロック図である。本実施形態における制御手段となっていて、記憶部を有し、この記憶部に記憶された情報とプログラムに基づき作動するコンピュータとなっている集中制御装置20には、それぞれの階に配置されている火災検知センサ21とエレベータ操作装置22とからの信号が入力する。エレベータ操作装置22は、エレベータ1の昇降箱3の内部に配置されていて、昇降箱3に乗った人が降りる階を指定するなどエレベータ1を利用する人が操作するための装置である。また、集中制御装置20は、エレベータ1の昇降箱3を昇降させるための巻き上げ機等によるエレベータ駆動装置23を駆動制御する信号と、昇降箱3の扉4を開閉させるための昇降箱扉開閉装置24を制御する信号と、それぞれの階に設置されている防災用シャッター装置10を駆動制御するための信号とを出力する。集中制御装置20から防災用シャッター装置10に出力される制御信号は、前記開閉機14の正駆動、逆駆動、停止を指示するものであり、これにより、それぞれの防災用シャッター装置10は、シャッターカーテン15が巻取軸12から所定位置まで繰り出される閉鎖、及びシャッターカーテン15が巻取軸12に所定位置まで巻き取られる開放を行う。
また、集中制御装置20には、昇降箱3に設置され、この昇降箱3の内部に人間がいるか否かを確認するための昇降箱内人間確認装置25が接続され、昇降箱3の内部に人間がいない場合に、その確認信号が集中制御装置20に入力するようになっている。
また、集中制御装置20は時間をカウントするカウント部20Aを有し、また、集中制御装置20へはエレベータ駆動装置23からのフィードバック信号が入力するようになっている。このため、このフィードバック信号により集中制御装置20は、昇降箱現在位置把握部20Bにおいて昇降箱3の現在の位置を常に把握するとともに、昇降箱3が通過した階や停止している階等についての情報も得るようになっている。
なお、それぞれの階やエレベータシャフト2に昇降箱3の位置を常に検出するための検出手段を設け、この検出手段からのフィードバック信号により、集中制御装置2が、昇降箱現在位置把握部20Bにおいて昇降箱3の現在の位置を常に把握するとともに、昇降箱3が通過した階や停止している階等についての情報も得るようにしてもよい。以下の説明では、エレベータ駆動装置23からのフィードバック信号が集中制御装置20に入力するとする。
この実施形態では、集中制御装置20によりそれぞれの防災用シャッター装置10の制御がなされ、したがって、これらの防災用シャッター装置10は集中制御装置20で総合制御されるものになっている。
また、集中制御装置20によってエレベータ駆動装置23も制御され、集中制御装置20には、エレベータ駆動装置23からのフィードバック信号によってエレベータ1の昇降箱3が到達している階等についてのデータが常にあるため、集中制御装置20は、それぞれ階の防災用シャッター装置10をエレベータ1の昇降箱3の昇降位置等と連繋させて制御できるものとなっている。
また、この実施形態では、前述したとおり、昇降箱3の扉4が昇降箱扉開閉装置24で開閉されると、昇降箱3が停止した階のエレベータ扉6はこの扉4と機械的に連結されるため、エレベータ扉6は扉4と同時に開閉されることになっている。
しかし、エレベータ扉6が開閉装置24とは別の装置によって開閉されるものになっている場合には、このエレベータ扉6を開閉するための装置も集中制御装置20からの信号で制御し、これにより、エレベータ扉6を昇降箱3の扉4と同時に開閉するようにしてもよい。
以下の説明では、昇降箱3の扉4が昇降箱扉開閉装置24で開閉されると、前述したように、昇降箱3が停止した階のエレベータ扉6がこの扉4と機械的に連結され、エレベータ扉6と扉4が同時に開閉されることになっているとする。
図5は、図4の制御系で実施される防災用シャッター装置10の1番目の制御内容を示すフローチャートであり、図6は、この制御内容における防災用シャッター装置10の作動順序を(A)(B)(C)で示した図である。
図5において、建物内のいずれかの階で火災が発生し、これが火災検知センサ21で検知されると(ステップ1)、このセンサ21からの信号が集中制御装置20に入力することにより、集中制御装置20は、全部の階における防災用シャッター装置10の閉鎖を開始させ(ステップ2)、これにより、エレベータシャフト2で連通状態にあったそれぞれの階を、図6の(A)で示されているように、防災用シャッター装置10で仕切られた防火区画にするとともに(ステップ3)、集中制御装置20は建物内に配置されている図示しない警報装置を作動させ、これにより、建物内のそれぞれの階にいた人達は非常階段を利用して建物から避難する。
一方、エレベータ1の昇降箱3に乗りこの昇降箱3に配置されている警報装置で火災の発生を知った人は、昇降箱3に設けられているエレベータ操作装置22を操作し、これにより、昇降箱3を停止させて昇降箱3より脱出する階を指定する。そして、エレベータ操作装置22からの信号が入力した集中制御装置20からエレベータ駆動装置23に出力される信号により、昇降箱3が指定階に到着して停止すると(ステップ4)、あるいは、警報装置の作動前から操作されていたエレベータ操作装置22からの信号が入力する集中制御装置20からエレベータ駆動装置23に出力される信号により、昇降箱3が警報装置の作動前から指定されていた指定階に到着して停止すると、エレベータ駆動装置23からのフィードバック信号を受ける集中制御装置20からの信号によって昇降箱3の扉4は、図6の(B)で示されているように、開閉装置24で開くとともにエレベータ扉6も開き(ステップ5)、また、これと同時又はこれよりも少し前に、その指定階の防災用シャッター装置10は集中制御装置20からの信号で開放される(ステップ6)。
これにより、昇降箱3内にいる人は昇降箱3より脱出し(ステップ7)、そして、集中制御装置20に設けられている図4のカウント部20Aでカウントされる時間が、エレベータ駆動装置23からのフィードバック信号を集中制御装置20が受けて昇降箱3の扉4とエレベータ扉6が開き始めたとき又は集中制御装置20からの信号で指定階の防災用シャッター装置10が開放され始めたときから予め決められていた一定の時間になると、及び/又は、図4の昇降箱内人間確認装置25から昇降箱3の内部に人がいない信号が集中制御装置20に入力すると、図6の(C)で示すように、集中制御装置20からの信号が入力する昇降箱3の扉4の開閉装置24によって昇降箱3の扉4とエレベータ扉6が閉じるとともに(ステップ8)、集中制御装置20からの信号で指定階の防災用シャッター装置10は閉鎖する(ステップ9)。
このため、集中制御装置20は、火災発生時に、エレベータ1で昇降するそれぞれの階にエレベータ1の出入箇所において設置されている防災用シャッター装置10を閉鎖する防災用閉鎖手段閉鎖制御手段になっているとともに、このエレベータ駆動装置23からのフィードバック信号を受け、昇降箱現在位置把握部20Bを有している集中制御装置20は、エレベータ操作装置22で指定されて昇降箱3が停止した階を把握する昇降装置停止把握手段ともなっており、また、集中制御装置20は、昇降箱3が停止した階に設置されている防災用シャッター装置10を開放する防災用閉鎖手段開放制御手段ともなっている。、
以上説明した実施形態によると、それぞれの階に設置されている防災用シャッター装置10は、火災発生時に集中制御装置20で総合制御されるため、火災発生時において、それぞれの階の防災用シャッター装置10を避難者が有効に避難できる状態に制御できることになる。
また、それぞれの防災用シャッター装置10とエレベータ駆動装置23は集中制御装置20で制御され、防災用シャッター装置10を集中制御装置20によってエレベータ1の昇降箱3の昇降位置と連繋させて作動させることができるため、エレベータ1を利用した避難行動と防災用シャッター装置10の作動とを関係づけることができ、これにより、一層有効に避難できる状態を創出できることになる。
また、この実施形態では、昇降箱3が指定階に到着して昇降箱3の扉4とエレベータ扉6が開くと、これと同時又はこれよりも少し前に指定階の防災用シャッター装置10は開放されるため、昇降箱3より脱出する人の前には防災用シャッター装置10の閉鎖されたシャッターカーテン15はなく、このため、昇降箱3から脱出する人は心理的に落ち着いた状態で脱出でき、より確実に避難できる。
さらに、昇降箱3から人が脱出した後は、指定階の防災用シャッター装置10は閉鎖され、これにより全部の防災用シャッター装置10は閉鎖されることになるため、昇降箱1から避難者が指定階へ脱出、避難するときだけその脱出、避難を行う階の防災用シャッター装置10を開放しながらも、この後は、閉鎖された全部の防災用シャッター装置10によって充分な災害防止機能を発揮させることができる。
なお、集中制御装置20のカウント部20Aでカウントされる時間が、エレベータ駆動装置23よりのフィードバック信号を集中制御装置20が受けて昇降箱3の扉4とエレベータ扉6が開き始めたとき又は集中制御装置20よりの信号で指定階の防災用シャッター装置10が開放され始めたときから予め決められていた一定の時間を経過することを第1番目の条件とし、昇降箱内人間確認装置25から昇降箱3の内部に人がいないとの情報内容の信号が集中制御装置20に入力することを第2番目の条件とした場合において、第1番目と第2番目の両方の条件が満たされたときに昇降箱扉開閉装置24によって昇降箱3の扉4とエレベータ扉6が閉じるようにしておくと、昇降箱3の内部に人がいるにもかかわらず、例えば、人がうずくまるなどし、このため、昇降箱内人間確認装置25がその人を検出できず、昇降箱内人間確認装置25から昇降箱3内にいないとの情報内容の信号が集中制御装置20に送信されても、その人に昇降箱3から脱出する時間を確保させることができる。
また、昇降箱3が指定階に到着した後に集中制御装置20がその指定階の防災用シャッター装置10を開放するとは、全開放でもよく、半開放等でもよく、避難者が昇降箱3から指定階へ脱出できる状態に開放することでは、任意な開放状態でよい。また、指定階の防災用シャッター装置10が開放され始めるときは、その防災用シャッター装置10が全閉となった後でもよく、閉鎖途中となっているときでもよく、閉鎖を開始していないときでもよい。
図7は、防災用シャッター装置10の2番目の制御内容を示すフローチャートであり、図8は、この制御内容における防災用シャッター装置10の作動順序を(A)(B)(C)で示した図である。
図7において、建物内のいずれかの階で火災が発生し、これが火災検知センサ21で検知されると(ステップ1)、このセンサ21からの信号が集中制御装置20に入力することにより、集中制御装置20は、記憶部に記憶されていた避難階についての情報と予め決められていたプログラムにしたがい、避難階を決めるとともに、この避難階の防災用シャッター装置10を除く残りの防災用シャッター装置10を閉鎖させ(ステップ2)、これにより、図8の(A)で示されているように、エレベータシャフト2で連通状態にあったそれぞれの階を、避難階を除き、防災用シャッター装置10で仕切られた防火区画にするとともに(ステップ3)、集中制御装置20は建物内に配置されている図示しない警報装置を作動させ、これにより、建物内のそれぞれの階にいた人達は非常階段を利用して建物から避難する。
一方、エレベータ1の昇降箱3に乗りこの昇降箱3に配置されている警報装置で火災の発生を知った人は、昇降箱3に設けられているエレベータ操作装置22を操作するが、この実施形態では、この操作に拘わらず、また、警報装置の作動前に行われたエレベータ操作装置22の操作に拘わらず、集中制御装置20は、予め決められていたプログラムを優先してこのプログラムに基づきエレベータ駆動装置23の駆動を制御することにより、昇降箱3を上記避難階へ到着させて停止させる(ステップ4)。
この後、エレベータ駆動装置23からのフィードバック信号が入力する集中制御装置20は、昇降箱扉開閉装置24に制御信号を出力することにより、図8の(B)で示すように、昇降箱3の扉4とエレベータ扉6を開かせ(ステップ5)、そして、昇降箱3に乗っている人は昇降箱3より脱出する(ステップ6)。次いで、集中制御装置20に設けられている図4のカウント部20Aでカウントされる時間が、エレベータ駆動装置23からのフィードバック信号を集中制御装置20が受けて昇降箱3の扉4とエレベータ扉6が開き始めたときから予め決められていた一定の時間になると、及び/又は、図4の昇降箱内人間確認装置25から昇降箱3の内部に人がいない信号が集中制御装置20に入力すると、図8の(C)で示すように、集中制御装置20からの信号が入力する昇降箱扉開閉装置24によって昇降箱3の扉4とエレベータ扉6が閉じるとともに、集中制御装置20からの信号で避難階の防災用シャッター装置10は閉鎖する(ステップ7)。
このため、火災が発生したときの避難階についての情報が記憶された記憶部を有する集中制御装置20は、火災発生時に避難階を把握する避難階把握手段となっているとともに、プログラムにしたがって作動して避難階を除くそれぞれの防災用シャッター装置10を閉鎖する集中制御装置20は、それぞれ階に設置されている防災用シャッター装置10のうち、避難階を除くそれぞれ防災用シャッター装置10を閉鎖する防災用閉鎖手段閉鎖制御手段ともなっており、また、このエレベータ駆動装置23からのフィードバック信号が入力する集中制御装置20と、この集中制御装置20からの信号で昇降箱3を指定階に停止させるエレベータ駆動装置20とは、昇降箱3を避難階に停止させる昇降装置避難階停止制御手段と、昇降箱3が前記避難階に停止したことを把握する昇降装置避難階停止把握手段ともなっている。また、カウント部20Aを有し、昇降箱内人間確認装置25からの信号を受ける集中制御装置20は、昇降箱3より避難者が脱出したか否かを判定する避難者脱出判定手段となっており、さらに、昇降箱3から避難者が脱出したのちに避難階に設置されている防災用シャッター装置10を閉鎖する避難階防災用閉鎖手段閉鎖制御手段ともなっている。
この実施形態によると、それぞれの防災用シャッター装置10は集中制御装置20で制御されるとともに、それぞれの防災用シャッター装置10とエレベータ駆動装置23は、火災検知センサ21からの信号が入力する集中制御装置20で連繋して制御できるものとなっているため、火災が発生した場合には、火災からの避難が容易等の理由によって予め決められている避難階の防災用シャッター装置10を除く残りの防災用シャッター装置10を閉鎖できるとともに、エレベータ操作装置24の操作とは無関係に、昇降箱3をこの避難階に到着させて停止させることができ、これにより、昇降箱3に乗っている人を有効に脱出、避難させることができる。
また、この実施形態でも、昇降箱3が避難階に到着して昇降箱3の扉4とエレベータ扉6が開くと、この避難階の防災用シャッター装置10は開放された状態になっているため、昇降箱3より脱出する人の前には防災用シャッター装置10の閉鎖されたシャッターカーテン15はなく、このため、昇降箱3から脱出する人は心理的に落ち着いた状態で脱出できる。また、昇降箱3から人が脱出した後は、避難階の防災用シャッター装置10は閉鎖され、これにより全部の防災用シャッター装置10は閉鎖されることになるため、昇降箱1から避難者が避難階へ脱出、避難するときに、その脱出、避難を行う階の防災用シャッター装置10を開放させておいても、この後は、閉鎖された全部の防災用シャッター装置10によって充分な災害防止機能を発揮させることができる。
また、この実施形態によると、火災発生時において全部の防災用シャッター装置10が行う作動は閉鎖だけであるため、これらの防災用シャッター装置10に付与しなければならない自動作動機能は自動閉鎖だけでよく、この自動閉鎖は、例えば、集中制御装置20からの信号によって図2に示した前記開閉機14に設けられたブレーキを解除することにより、前記座板15Aやシャッターカーテン15の自重を利用してシャッターカーテン15を下降させるものとすることができ、シャッターカーテン15を巻取軸12に巻き取る防災用シャッター装置10の開放は、例えば、開閉機14を手動ハンドルによる構造とすることができるため、防災用シャッター装置10の構造を簡単化することができる。
なお、集中制御装置20は、例えば、火災が複数の階で発生したときに、これらの火災発生階についての情報に基づき昇降箱3を停止させる避難階を論理的に演算する機能を有するものでもよい。
図9は、防災用シャッター装置10の3番目の制御内容を示すフローチャートである。
図9において、建物内のいずれかの階で火災が発生し、これが火災検知センサ21で検知されると(ステップ1)、このセンサ21からの信号が集中制御装置20に入力することにより、その火災発生階ごとについての火災による危険度合いの高い階の順番の情報が記録されている記憶部を備える集中制御装置20は、プログラムにしたがい、先ず、火災が発生した階における防災用シャッター装置10を閉鎖させ(ステップ2)、次いで、最上階における防災用シャッター装置10を閉鎖させ(ステップ3)、この後、火災が発生した階の下の階における防災用シャッター装置10を閉鎖させる(ステップ4)。すなわち、それぞれの階における防災用シャッター装置10のなかから、火災による危険度合いの高い階の順番にしたがい、これらの階における防災用シャッター装置10を順次閉鎖することが行われる。
この後は、前記記憶部に記憶された情報とプログラムに基づき、予め決められている避難階の防災用シャッター装置10を除く残りのそれぞれの防災用シャッター装置10を、火災による危険度合いの高い階の順番にしたがい、又は、例えば上階から下階へというように、火災による危険度合いとは無関係の一定の関係で予め決められている順序にしたがい順次又は同時に閉鎖し(ステップ5)、最後に上記避難階の防災用シャッター装置10を閉鎖する(ステップ6)。
また、この実施形態において、火災検知センサ21が火災を検知すると、集中制御装置20は警報装置を作動させ、これにより、それぞれの階にいる人達の大部分は非常階段を利用して避難するが、エレベータ1の近いにいた人は、その階で停止して扉4とエレベータ扉6が開いていた昇降箱3があると、その昇降箱3に乗って避難しようとする。
このように昇降箱3に人が乗ると、また、火災が発生したときに人が乗らなくても、この昇降箱3の扉4とエレベータ扉6は、集中制御装置20の予め定められていたプログラムに基づき、集中制御装置20からの信号が入力する昇降箱扉開閉装置24の駆動によって閉じ、また、集中制御装置20からの信号で制御されるエレベータ駆動装置23により、昇降箱3は上記避難階に到着して停止する。そして、昇降箱3の扉4とエレベータ扉6は、集中制御装置20からの信号が入力する上記装置24によって開き、このときには、上記避難階の防災用シャッター装置10はまだ閉鎖しておらず、これにより、昇降箱3に乗っている人は昇降箱3より脱出して避難する。
このため、火災発生階ごとについての火災による危険度合いの高い階の順番の情報が記録されている記憶部を備えた集中制御装置20は、火災発生時にそれぞれの階について危険度合いの高い順番を把握する危険度合い把握手段となっており、また、それぞれの階うちの複数の階の防災用シャッター装置10を危険度合いの高い順番にしたがって順次閉鎖する危険度合い順防災用閉鎖手段閉鎖制御手段ともなっている。
この実施形態によると、防災用シャッター装置10の閉鎖は、火災発生による危険度合いの高い階の順番に従って行われるため、それぞれの階にいる人達に、開放されている防災用シャッター装置10を通過させてエレベータ1の昇降箱3に乗らせることにより与えることができる避難の機会を、危険度合いの低い階の順番にしたがって多くでき、避難のための機会と、防災用シャッター装置10による災害防止機能とを合理的に適合させることができる。
図10は、防災用シャッター装置10の4番目の制御内容を示すフローチャートである。
建物内のいずれかの階で火災が発生し、これが火災検知センサ21で検知されると(ステップ1)、このセンサ21からの信号が集中制御装置20に入力することにより、集中制御装置20は、エレベータ操作装置22で指定された又は予め指定されていた階へ昇降箱3を移動させるとともに、昇降箱3が停止せずに通過した階における防災用シャッター装置10が、エレベータ駆動装置23からのフィードバック信号が入力する集中制御装置20からの信号で閉鎖し(ステップ2)、エレベータ操作装置22で指定されず又は予め指定されていない階となっていて、所定の事象、具体的には火災が発生した階が生ずるすると、この階の火災検知センサ21からの信号を受ける集中制御装置20は、この所定の事象が発生した階の防災用シャッター装置10も閉鎖する(ステップ3)。
昇降箱3が指定階に到着すると、エレベータ駆動装置23からのフィードバック信号が入力する集中制御装置20からの信号により昇降箱3はその指定階に停止する(ステップ4)。そして、集中制御装置20からの信号を受ける昇降箱扉開閉装置24によって昇降箱3の扉4とエレベータ扉6は開く(ステップ5)。これにより、昇降箱3内にいる人は昇降箱3より脱出し(ステップ6)、そして、集中制御装置20のカウント部20Aでカウントされる時間が、エレベータ駆動装置23からのフィードバック信号を集中制御装置20が受けて昇降箱3の扉4とエレベータ扉6が開き始めたときから予め決められていた一定の時間になると、及び/又は、昇降箱内人間確認装置25から昇降箱3の内部に人がいない信号が集中制御装置20に入力すると、集中制御装置20からの信号が入力する昇降箱扉開閉装置24によって昇降箱3の扉4とエレベータ扉6が閉じるとともに(ステップ7)、集中制御装置20からの信号で指定階の防災用シャッター装置10は閉鎖する(ステップ8)。
このため、エレベータ駆動装置23からのフィードバック信号が入力する集中制御装置20は、火災発生時に昇降箱3が通過した階を把握する通過階把握手段となっており、また、昇降箱3が通過した階の防災用シャッター装置10を閉鎖する防災用閉鎖手段閉鎖制御手段ともなっている。さらに、集中制御装置20は、所定の事象が発生した階の防災用シャッター装置10を閉鎖させる防災用閉鎖手段閉鎖制御手段ともなっている。
この実施形態によると、昇降箱3が停止せずに通過し、したがって昇降箱3に乗っている人が降りず避難しないことが明らかになった階の防災用シャッター装置10を閉鎖できるという効果を得られる。
図11は、防災用シャッター装置10の5番目の制御内容を示すフローチャートである。
この制御内容が適用される制御系は、それぞれの階に設置された防災用シャッター装置10が備えている防災機能が同じではなく、主たる防災機能が防煙性となっている防災用シャッター装置と、主たる防災機能が防火性となっている防災用シャッター装置とがあり、それぞれの防災用シャッター装置10には、その防災用シャッター装置10が有する防災機能を記憶している記憶部を備えた制御部が設けられ、それぞれの防災用シャッター装置10からその防災機能についての情報が集中制御装置20へ送信できるようになっており、また、それぞれの階に設置されている火災検知センサ21は煙と炎の両方を検知でき、このため、これらのセンサ21から集中制御装置20へ送信される情報は、発生した火災が煙を主体としたものか炎を主体したものかの区別がなされて送信されるようになっている場合に適用される。
図11において、建物内のいずれかの階で火災が発生し、これが火災検知センサ21で検知されると(ステップ1)、このセンサ21からの信号が集中制御装置20に入力することにより、集中制御装置20はそれぞれの防災用シャッター装置10へ、これらの防災用シャッター装置10の制御部の記憶部に記憶されている防災機能についての情報を集中制御装置20へ送信すべきとの指令信号を送り、それぞれの防災用シャッター装置10からは防災機能についての情報が集中制御装置20に送信される。火災を検知したセンサ21からの信号により集中制御装置20では、その火災が煙を主体としたものか炎を主体としたものかが判別されるとともに、その火災内容に基づき集中制御装置20は、昇降箱3内の避難者を脱出させるべき特定の防災用シャッター装置10を抽出し、具体的には、例えば、火災が煙を主体とするものである場合には、主たる防災機能が防火性となっている防災用シャッター装置10を抽出する。
そして、集中制御装置20は、この抽出された防災用シャッター装置10を除く全部の防災用シャッター装置10を閉鎖し(ステップ2)、また、集中制御装置20は、エレベータ駆動装置23を駆動させることにより、抽出された防災用シャッター装置10が設置されている階へ昇降箱3を到着、停止させる(ステップ3)。
そして、エレベータ駆動装置23からのフィードバック信号を受けた集中制御装置20からの信号により昇降箱扉開閉装置24は、昇降箱3の扉4とエレベータ扉6は開け(ステップ4)、これにより、昇降箱3内にいる人は昇降箱3より脱出し(ステップ5)、そして、集中制御装置20のカウント部20Aでカウントされる時間が、エレベータ駆動装置23からのフィードバック信号を集中制御装置20が受けて昇降箱3の扉4とエレベータ扉6が開き始めたときから予め決められていた一定の時間になると、及び/又は、昇降箱内人間確認装置25から昇降箱3の内部に人がいない信号が集中制御装置20に入力すると、集中制御装置20からの信号が入力する昇降箱扉開閉装置24によって昇降箱3の扉4とエレベータ扉6が閉じるとともに(ステップ6)、抽出された防災用シャッター装置10は集中制御装置20からの信号で閉鎖する(ステップ7)。
このため、それぞれの階に設置されている防災用シャッター装置10から防災機能についての情報を受ける集中制御装置20は、災害発生時に、これらの防災用シャッター装置10のうちから一つを抽出する防災用閉鎖手段抽出手段となっているとともに、抽出された防災用閉鎖手段を除く所定の前記防災用閉鎖手段を閉鎖する防災用閉鎖手段閉鎖制御手段ともなっており、また、エレベータ駆動装置23と、このエレベータ駆動装置23からのフィードバック信号を受ける集中制御装置20は、昇降箱3を、抽出された防災用シャッター装置10が設置されている階に停止させる昇降装置停止制御手段となっている。
この実施形態によると、火災の内容に応じて昇降箱3内の避難者を脱出させるべき防災用シャッター装置10を、それぞれに防災用シャッター装置10が有する防災機能に応じて選択できるという効果を得られる。
図12は、図1及び図2で示した防災用シャッター装置10とはシャッターカーテンの部分が異なる防災用シャッター装置40を示す。
この防災用シャッター装置40のシャッターカーテン45は、脱出口46Aが形成されているカーテン本体46と、このカーテン本体46に上辺部が結合され、めくり上げ自在となっていて通常時は脱出口46Aを塞いでいる遮蔽シート47とを有する。遮蔽シート47をめくり上げることにより、シャッターカーテン45全体が下降して閉鎖した状態となっていても、昇降箱3内の避難者は昇降箱3から脱出できるようになっている。
このような防災用シャッター装置40は、エレベータで昇降するそれぞれの階のうちの一つの階に設置されている。
図13は、それぞれの階に設置されている防災用シャッター装置のなかにこの防災用シャッター装置40が含まれている場合についての6番目の制御内容を示すフローチャートである。
建物内のいずれかの階で火災が発生し、これが火災検知センサ21で検知されると(ステップ1)、このセンサ21からの信号が集中制御装置20に入力することにより、集中制御装置20は、全部の階における防災用シャッター装置10,40を閉鎖し(ステップ2)、また、集中制御装置20は、エレベータ駆動装置23からのフィードバック信号を受けつつこのエレベータ駆動23を駆動制御することにより、集中制御装置20の記憶部に記憶されている脱出口46A付きの防災用シャッター装置40が設置された階についての情報により、この防災用シャッター装置40が設置された階へ昇降箱3を到着させ、停止させる(ステップ3)。
昇降箱3がその階に停止すると、エレベータ駆動装置23からのフィードバック信号を受ける集中制御装置20からの信号により昇降箱扉開閉装置24は昇降箱3の扉4とエレベータ扉6を開かせ(ステップ4)、これにより、昇降箱3内にいる避難者は、防災用シャッター装置40の遮蔽シート47をめくり上げて脱出口46Aより脱出する(ステップ5)。そして、集中制御装置20に設けられているカウント部20Aでカウントされる時間が、エレベータ駆動装置23からのフィードバック信号を集中制御装置20が受けて昇降箱3の扉4とエレベータ扉6が開き始めたときから予め決められていた一定の時間になると、及び/又は、昇降箱内人間確認装置25から昇降箱3の内部に人がいない信号が集中制御装置20に入力すると、集中制御装置20からの信号が入力する開閉装置24によって昇降箱3の扉4とエレベータ扉6が閉じる(ステップ6)。
このため、脱出口付き防災用シャッター装置40が設置された階についての情報が記憶された記憶部を有する集中制御装置20は、脱出口46Aを有する防災用シャッター装置40を抽出する防災用閉鎖手段抽出手段となっているとともに、全部の防災用シャッター装置10,40を閉鎖する防災用閉鎖手段閉鎖制御手段ともなっており、さらに、エレベータ駆動装置23と、このエレベータ駆動装置23からのフィードバック信号を受ける集中制御装置20は、昇降箱3を抽出された防災用シャッター装置40が設置されている階に停止させる昇降装置停止制御手段になっている。
この実施形態によると、火災発生時に、シャッターカーテン45に脱出口46Aが形成され、このため、昇降箱3から避難者が脱出することが容易となっている防災用シャッター装置40を設置した階に昇降箱3を到着、停止させることができ、また、全部の防災用シャッター装置を、火災発生時に自動閉鎖するだけの機能を有するものとすることができる。
図14は、防災用シャッター装置10の7番目の制御内容を示すフローチャートである。この制御内容は、防災用シャッター装置が設置されたそれぞれの階のなかに、脱出することが不適正な防災用シャッター装置10が設置されているために脱出不適切となった階がある場合における制御内容であり、脱出することが不適正な防災用シャッター装置10とは、例えば、閉鎖はするが開放はできない防災用シャッター装置や、火災による煙や炎を受けると、シャッターカーテンに含まれている特別の材料が反応して避難者の避難が困難になる防災用シャッター装置等である。
建物内のいずれかの階で火災が発生し、これが火災検知センサ21で検知されると(ステップ1)、このセンサ21からの信号が集中制御装置20に入力することにより、集中制御装置20は、全部の階における防災用シャッター装置10を閉鎖させる(ステップ2)。また、記憶部に、ある階には脱出することが不適正な防災用シャッター装置が設置されていることについての情報が記憶されている集中制御装置20は、プログラムにしたがい、エレベータ駆動装置23をこの装置23からのフィードバック信号を受けながら駆動制御し、これにより、昇降箱3を、脱出することが不適正な防災用シャッター装置が設置されているために脱出が不適切となった階を通過させ(ステップ3)、昇降箱3を脱出するのに適切となった階に到着、停止させる(ステップ4)。そして、エレベータ駆動装置23からのフィードバック信号を受ける集中制御装置20からの信号によって昇降箱3の扉4とエレベータ扉6は開閉装置24で開かれ(ステップ5)、また、昇降箱3が停止し、昇降箱3からの脱出を適正に行える防災用シャッター装置10が集中制御装置20からの信号で開放される(ステップ6)。
これにより、昇降箱3内にいる人は、脱出を適正に行える防災用シャッター装置10を通って昇降箱3より脱出し(ステップ7)、そして、集中制御装置20のカウント部20Aでカウントされる時間が、エレベータ駆動装置23からのフィードバック信号を集中制御装置20が受けて昇降箱3の扉4とエレベータ扉6が開き始めたとき又は集中制御装置20からの信号により脱出が適正に行える防災用シャッター装置10が開放され始めたときから予め決められていた一定の時間になると、及び/又は、昇降箱内人間確認装置25から昇降箱3の内部に人がいない信号が集中制御装置20に入力すると、集中制御装置20からの信号が入力する昇降箱扉開閉装置24によって昇降箱3の扉4とエレベータ扉6が閉じるとともに(ステップ8)、集中制御装置20からの信号により脱出が適正に行える防災用シャッター装置10は閉鎖する(ステップ9)。
このため、集中制御装置20は、災害発生時に全部の防災用シャッター装置10を閉鎖する防災用閉鎖手段閉鎖制御手段となっているとともに、記憶部に、ある階には脱出することが不適正な防災用シャッター装置が設置されていることについての情報が記憶されている集中制御装置20は、脱出することが不適正な防災用シャッター装置10を抽出する脱出不適正防災用閉鎖手段抽出手段となっており、また、エレベータ駆動装置23と、この装置23からのフィードバック信号を受ける集中制御装置20は、脱出するのに不適切となった階を昇降箱3を通過させる昇降装置通過制御手段と、昇降箱3を脱出するのに適切となった階に停止させる昇降装置停止制御手段とになっており、また、集中制御装置20は、脱出するのに適正となった防災用シャッター装置を開放し、この後にこの防災用シャッター装置を閉鎖する脱出適性防災用閉鎖手段開放閉制御手段となっている。
この実施形態によると、脱出することが不適正な防災用シャッター装置10が設置されている階を昇降箱3に通過させ、脱出することが適正となった防災用シャッター装置10が設置されている階に昇降箱3を停止させることができるという効果を得られる。
以上説明した7つの制御内容は、本実施形態に係る昇降装置のための防災用閉鎖装置によって実現できる制御内容の一部である。集中制御装置20の記憶部に、それぞれの階に設置されている防災用シャッター装置10,40についての機能、性質、特性等の情報を記憶させておくことにより、エレベータの昇降運転と連繋した各種の制御内容を実現できる。
集中制御装置20の記憶部に記憶させておくそれぞれの防災用シャッター装置10,40についての機能、性質、特性等の情報とは、前述した制御内容と重複するものもあるが、例えば、シャッターカーテンの材質等に基づくそれぞれの防災用シャッター装置の防災機能や防災特性、その防災用シャッター装置は複数のエレベータに共通となったものか否か、その防災用シャッター装置が設置されている階は予め避難階として指定された階か否か、その防災用シャッター装置には脱出口が設けられているか否か等であり、実施しようとする制御内容に応じて任意な情報を記憶させておくことができる。
図15は、図4とは異なる制御系を示すブロック図である。この制御系では、それぞれの階に設置される防災用シャッター装置10,40ごとにカウント部を有する制御部50が設けられ、それぞれの階に設けられている火災検知センサ21からの信号は、これらの制御部50に入力するとともに、エレベータ駆動装置23からのフィードバック信号を受信しかつ昇降箱現在位置把握部60Aを有するエレベータ制御装置60にも入力するようになっている。また、それぞれの制御部50には昇降箱内人間確認装置25からの信号が送信され、エレベータ制御装置60は、それぞれのセンサ21からの信号と、それぞれの制御部50からの信号と、エレベータ操作装置22からの信号とを受けるとともに、エレベータ駆動装置23、昇降箱扉開閉装置24を駆動制御し、また、それぞれの防災用シャッター装置10,40の開放閉鎖も制御する。
それぞれの制御部50は、図4で示した制御系における集中制御装置20の機能と同じ機能を分散負担して達成するものとなっており、それぞれの制御部50の間で情報の送受信を行うことにより、前述したものと同じ制御内容を実現できる。