JP4307668B2 - 風邪又はインフルエンザ用組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は風邪又はインフルエンザ予防又は治療用組成物、より詳しくはのど粘膜を覆いそれ本来の湿潤状態に保って風邪又はインフルエンザの感染を予防又は治療できる新しいタイブの風邪又はインフルエンザ予防又は治療用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
毎年冬になると、風邪が発生し特にインフルエンザはその型を変えるため予防が不可能であり大流行することがしばしばである。特に老齢者ではインフルエンザで死亡することもありうる。しかるに、風邪又はインフルエンザの予防方法としては、頻繁にうがいと手洗いをする以外何ら有効な手だてがないのが現状である。又、風邪又はインフルエンザ予防又は治療用の薬剤又は食品は開発されておらず、かかる風邪及びインフルエンザ予防又は治療用組成物の開発が望まれている。
【0003】
上記の風邪又はインフルエンザ予防又は治療用組成物とは直接関連はないが、従来、のどに適用される製剤としては、のどの疾患を治癒するための、例えばポピドンヨードに代表される殺菌消毒剤を含む医薬品が知られている。しかしながら、これは刺激性があり、味も悪く、使用を誤ればのどの常在菌バランスを崩し、効果が必ずしも満足すべきものではなく、むしろのどを傷める原因となる不利もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、風邪及びインフルエンザウイルスや他の雑菌ののど粘膜への付着を防止できる、のど保護剤を提供することにある。
【0005】
本発明者は、上記目的より、まずのど粘液の物性、殊にその特有の粘弾性(チキソトロピー性)及び低pH性に着目し、之等の物性を有する液剤が開発できれば、保湿、潤滑等によるのどの保護が行ない得るとの着想から、該液剤の開発に着手した。本発明者はさらに、粘弾性を有する組成物中に、ポリフェノール類を添加することにより、該組成物中に取り込まれたウイルスがのど粘膜より細胞中に届くことなく死滅あるいは、消化管へと流され、よって感染を予防又は治療することが可能となることを知見した。
【0006】
そして本発明者は、グリチルリチン酸又はその塩及び甘草抽出物から選ばれる少なくとも1種と、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、マルチトール、キシリトール及びトレハロースからなる群から選ばれる少なくとも1種と、酸性物質とを所定割合で組合せた組成物が、上記のど粘液と同様のチキソトロピー性及び低pHを有し、上記目的に合致するのど粘膜保護作用を有するという新しい事実を発見した。本発明はこのような新しい着想乃至新知見に基づきさらに検討を重ねて完成されたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、
(1)グリチルリチン酸又はその塩及び甘草抽出物からなる群から選ばれる少なくとも1種0.01〜1.0重量%、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、マルチトール、キシリトール及びトレハロースからなる群から選ばれる少なくとも1種5〜50重量%及び組成物のpHを4以下の酸性とする酸性物質を有効成分として含有することを特徴とする風邪又はインフルエンザ用組成物、
(2)吐出可能な液状形態を有する前記(1)に記載の風邪又はインフルエンザ用組成物、
(3)酸性物質が乳酸、クエン酸、アスコルビン酸、酢酸、グルコン酸及びこれらの塩から選択され、組成物のpHを2.0〜4.0程度の範囲とする前記(1)又は(2)に記載の風邪又はインフルエンザ用組成物、
(4)グリチルリチン酸又はその塩及び甘草抽出物からなる群から選ばれる少なくとも1種の含有量が0.01〜0.3重量%及びグリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、マルチトール、キシリトール及びトレハロースからなる群から選ばれる少なくとも1種の含有量が20〜35重量%から選ばれる前記(1)に記載の風邪又はインフルエンザ用組成物、
(5)さらにポリフェノール類を含むことを特徴とする前記(1)〜(4)記載の風邪又はインフルエンザ用組成物、及び
(6)ポリフェノール類がブドウポリフェノール、カカオ豆ポリフェノール、茶ポリフェノール、テン茶ポリフェノール、りんごポリフェノール、しそポリフェノール、大豆ポリフェノール、カカオマスポリフェノール及びバナナポリフェノールからなる群から選択される一種以上である前記(5)に記載の風邪又はインフルエンザ用組成物、
に関する。
【0008】
本発明によれば、グリチルリチン酸又はその塩及び甘草抽出物からなる群から選ばれる少なくとも1種約0.01〜1.0重量%程度、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、マルチトール、キシリトール及びトレハロースからなる群から選ばれる少なくとも1種約5〜50重量%程度及び組成物のpHを4以下の酸性とする酸性物質を有効成分として含有することを特徴とする風邪又はインフルエンザ予防又は治療用組成物が提供される。
【0009】
特に本発明によれば、吐出可能な液状形態を有する上記風邪又はインフルエンザ予防又は治療用組成物、酸性物質が乳酸、クエン酸、アスコルビン酸、酢酸、グルコン酸及びこれらの塩から選択され、組成物のpHが約2.0〜4.0程度の範囲とされる上記風邪又はインフルエンザ予防又は治療用組成物、及びグリチルリチン酸又はその塩及び甘草抽出物からなる群から選ばれる少なくとも1種の含有量が約0.01〜0.3重量%程度の範囲にあり、且つグリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、マルチトール、キシリトール及びトレハロースからなる群から選ばれる少なくとも1種の含有量が約20〜35重量%程度の範囲にある上記風邪又はインフルエンザ予防又は治療用組成物が提供される。
【0010】
本発明の風邪又はインフルエンザ予防又は治療用組成物は、上記特定の3成分を組合せ配合したことに基づいて、のど粘液と同様のチキソトロピー性を有する。ここで、「チキソトロピー性」とは、応力による物体の軟化現象のうち、回復を伴う可逆的なものをいう。多くのコロイド系エマルジョン等の固形に近い粘弾性を有する物質は、これに例えば攪拌、振盪等の応力を加えると、軟化(粘度低下乃至流動性増加)し、応力を除くと、硬化して元の粘弾性を有するものとなる。かかる粘弾性がチキソトロピー性といわれている。のど粘液は、このチキソトロピー性を有することに基づいて、のど粘膜の繊毛運動により上記軟化及び硬化を調節して、のどの保湿、潤滑等に寄与するものと考えられる。本発明組成物は、該粘液と同様のチキソトロピー性、特に約0.1〜5ポイズ程度(デジタル粘度計(DL−B型、東京計器社製)を用いて、室温下、0.6〜12rpmの攪拌下に測定)の範囲で変化する粘弾性を有することに基づいて、同様の保湿、潤滑作用等を奏し得、かくして、のどの保護に優れた効果を奏し得るのである。
【0011】
又、本発明の風邪又はインフルエンザ用組成物は、その一つの必須成分として上記酸性物質を添加配合したことに基づいて、上記特有の粘弾性を保持したままで、低pH(約4以下2以上、通常3付近)を有している。この低pHは、それ自体適用による違和感がなく、口中清涼感を与えるに加えて、併用される他の必須成分との共同作用によって、静菌効果を発揮し得、風邪インフルエンザウイルス等の雑菌類の侵入、繁殖を防止し得るものである。特に、本発明組成物は、のど粘膜を被覆して、上記菌類の付着を防止する作用を有しており、この面から風邪又はインフルエンザの予防又は治療等に好適である。
【0012】
本発明組成物を構成する上記3種の必須成分は、いずれも刺激性がなくしかも異味臭を与えないものであり、しかも本発明組成物中には他に何らの刺激性の強い薬剤、例えば殺菌剤等や苦み、渋み等を有する成分を含ませる必要はないので、その適用時の使用感も、非常に優れたものである。
さらに、植物由来のポリフェノール類である、ぶどうポリフェノール、茶ポリフェノール、りんごポリフェノール、バナナポリフェノール等を含有させることにより先述のチキソトロピー性とあいまって風邪及びインフルエンザ予防又は治療効果を増強し得る。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明組成物において、第1の有効成分は、グリチルリチン酸又はその塩及び甘草抽出物からなる群から選択される。ここでグリチルリチン酸は、グリチルリチンとも称される、豆科カンゾウ(Glycyrrhiza glabra L.)等の根(甘草)に含まれるグリチルレチン酸の配糖体である。これは甘草の甘味成分であり、甘草中に約6〜14%程度含まれている。その塩としては、例えばカリウム塩、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩の他、アンモニウム塩等を例示できる。之等グリチルリチン酸及びその塩としては、通常入手されるもののいずれでもよく、その具体例としては、例えばグリチルリチン酸ジカリウム(丸善製薬社製)を例示することができる。
【0014】
又、甘草抽出物には、日本薬局方に収載されている、カンゾウ粗エキスやカンゾウエキスやその希濃縮前濾液、希釈液等が包含される。これらは、例えば甘草の根を水抽出し、水不溶分を除去し、乾燥粉末化することにより製造できる。上記甘草抽出物の具体例としては、市販品、例えば「グリチミンW」(グリチルリチン17.5%含有、丸善製薬社製)、「リコゲン」(甘草エキス100%)、「スターリチン」(酵素分解甘草、丸善製薬社製)等を例示することができる。本発明に利用する甘草抽出物は、上記日本薬局方に収載されているものに限定されず、甘草抽出物であればいかなるものであってもよい。その抽出も水抽出に限らず、例えばエタノール抽出であることもできる。
【0015】
本発明の第1有効成分は、上記各成分から選ばれる一種を単独で又は二種以上を混合して利用することができる.その本発明組成物中の含有量(濃度)は、特に限定されるものではないが、通常約0.01〜1.0重量%程度、好ましくは約0.01〜0.3重量%程度の範囲から選ばれるのが望ましく、この範囲の配合にて、本発明組成物に、所期の効果、特にチキソトロピー性を付与できる。
【0016】
しかるに、上記第1有効成分以外の一般的に知られている各種の増粘剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体やヒアルロン酸等では、之等を単独で用いる場合も、後記する本発明の第2有効成分及び第3有効成分と組合せて配合する場合も、本発明所期のチキソトロピー性は発揮できない.
【0017】
尚、本発明に第1有効成分として利用する上記グリチルリチン酸等は、従来、之等に更に多価アルコールを併用して、外用剤、例えば化粧料や医薬品におけるゲル状製品の基材として提案された例はある(特開平6−279265号公報参照)が、該組成物の性質は、のど粘液のそれとは程遠いものであり、勿論、該組成物はのど保護のための利用を意図されていない。即ち、該ゲル状製品は、本発明における第3の有効成分を利用しておらず、そのため中性付近のpHを呈しており、又これが第1有効成分本来のチキソトロピー性を有効に発揮し得ないものとしている。
【0018】
本発明組成物において、第2の有効成分は、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、マルチトール、キシリトール及びトレハロースからなる群から選ばれる。之等特定の多価アルコール及び糖類は、その1種を単独で利用することもでき、又2種以上を併用することもできる。之等はその所定量を本発明組成物に配合することによって、上記第1有効成分(チキソトロピー主剤)の溶解性を向上させて、得られる組成物を安定化させる作用を奏する。その配合量は、通常本発明組成物中に約5〜50重量%程度、好ましくは約10〜40重量%程度、より好ましくは約20〜35重量%程度となる割合とされるのがよく、この範囲での配合によって、本発明所期の効果を奏し得る。しかるに、上記範囲を外れる割合で利用するときには、本発明に特有の効果は奏し難い。
【0019】
又、本発明組成物は、第3の有効成分として、組成物のpHを4以下の酸性とする酸性物質の利用を必須とする。ここで、酸性物質としては、上記所定のpHに調整できるものであれば特に限定されるものではなく、従来より知られている各種のものであることができる。その例としては、例えば乳酸、クエン酸、アスコルビン酸、酢酸、グルコン酸等やそれらの塩類、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩等を例示できる。
【0020】
之等の酸性物質は、第1の有効成分(チキソトロピー主剤)が所望のチキソトロピー性を発揮するのに必要である。即ち、之等酸性物質の添加によって、組成物が所定のpH範囲に調整されるときには、所望のチキソトロピー性が発揮されるが、得られる組成物のpHが上記範囲を外れて中性付近に近ずくと、かなり多量の第1有効成分を利用しても所望の粘度(チキソトロピー性)を発揮させることは困難となる。尚、上記第1有効成分は、化粧品や医薬部外品に配合して利用できることの知られているものであるが、その配合量は例えば化粧品種別許可基準によれば、0.3%以下と規制されている。
【0021】
さらに好ましくは、植物由来のポリフェノール類、例えば、茶ポリフェノール、ブドウポリフェノール、テンチャポリフェノール、カカオ豆ポリフェノール、りんごポリフェノール、しそポリフェノール、大豆ポリフェノール、カカオマスポリフェノール、その他植物性色素を添加することにより、風邪、インフルエンザ等の感染予防・治療効果を増強することが可能となる。
【0022】
すなわち、粘度を有する該組成物を使用することにより、インフルエンザウイルス等が直接粘膜に付着することを防止し、該組成物中のポリフェノール類がウイルスを死滅させるか、あるいは活動を抑制し、その間にウイルスが消化管内へと運ばれるため感染の予防効果を増強することが可能となる。ポリフェノール類の使用量は一概には云えないが通常は製剤全体に対して約0.01〜10重量%程度、好ましくは約0.1〜2重量%程度である。
【0023】
本発明組成物は、上記第1〜3有効成分の所定量を単に水中に投入混合することによって、水溶液形態に調製することができる。
【0024】
上記水溶液形態の本発明組成物は、特に好ましくは、第1有効成分及び第2有効成分を秤量し、所定量の水中に投入し攪拌混合して溶解させ、得られる水溶液に第3有効成分の所定量を加えて攪拌することにより、調製できる。
【0025】
本発明組成物には、更に必要に応じて、例えば、香料、メントール、ハッカ油、生薬類、ビタミン類、多糖類、アルコール類、防腐剤、pH調整剤等の適当な添加剤を添加することができる。
【0026】
かくして調製される本発明組成物は、その形態に応じて、例えば吐出、塗布等により、のど保覆を要求されるヒトに適用することができる。上記吐出剤形態に調製される場合、本発明組成物は例えばスプレータイプ、チューブタイプ、ボトルタイプ、ガス充填タイプ等の各種容器に充填して実用することができる。その噴霧乃至塗布量は、特に限定されるものではないが、一般には1回当たり約0.05〜2ml程度の範囲とされるのが適当である。
【0027】
本発明組成物は、上記適用によって、のど粘膜への細菌の付着を防止することができ、風邪等の予防剤として有用である。
【0028】
なお、本願明細書の全体を通じて、含有割合や配合割合を表わす%は特にことわりのない場合は重量%を表わす。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を更に詳しく説明するため、実施例を挙げる。
実施例1〜21
下記表1に記載の第1成分及び第2成分のそれぞれを秤量し、精製水の所定量に投入して表1記載の含有%になるよう配合し、攪拌溶解させた。得られる溶解液中に第3成分を表1記載の含有%になるように所定量加えて更に攪拌しさらに実施例21では0.2重量%となるように茶ポリフェノールを添加し、一昼夜放置して、本発明の風邪又はインフルエンザ予防・治療用組成物を調製した。
【0030】
尚、グリチルリチン酸ジカリウムは、丸善製薬社製のものを用いた。甘草抽出物としては、スターリチン(丸善製薬社製)を用いた。グリセリン、ジグリセリン及びソルビトールは花王社製を、マルチトール及びトレハロースは林原社製を、キシリトールはザイロフィン社製を、乳酸は昭和化工社製を、クエン酸及び酢酸は和光純薬社製を、アスコルビン酸は武田薬品社製を、グルコン酸は藤沢薬品社製を、茶ポリフェノールとしては三井農林(株)製ポリフェノン(登録商標)をそれぞれ用いた。
【0031】
比較例1〜7
下記表1に記載の第1成分、第2成分及び第3成分を用いる(但し、第2成分の配合量を本発明範囲外とした、比較例1)か、その内のいずれか2種のみを用いて(比較例2〜4)、実施例1〜20と同様にして比較組成物を調製した。
【0032】
又、所定濃度のカルボキシメチルセルロース水溶液(和光純薬社製、比較例5)、メチルセルロース水溶液(和光純薬社製、比較例6)及びヒアルロン酸水溶液(キューピー社製、比較例7)を、比較組成物として調製(各物質を精製水に攪拌溶解)した。
【0033】
表1には、用いた各成分の種類及び配合量と共に、得られた組成物のpH、外観及び粘性を測定した結果を併記する。尚、pHは、pHメーター(HM−40V、TOA社製)にて測定し、外観及び粘性は、目視観察した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
上記表より次のことが判る。即ち、実施例1〜21に示された本発明組成物は、第1成分〜第3成分の所定量を必須成分として含有させたことに基づいて、いずれも低pH(2.7〜3.9)値を示し且つ粘性を有するものであった。これに対して、比較例1として示した組成物は、第2成分を本発明範囲を超えて多量に配合したことによって、粘性が認められないものとなった。
【0038】
又、比較例2〜4として示す各組成物は、本発明組成物において必須成分とする上記3成分中のいずれか一成分を欠く(配合しない)ことにより、それぞれpHが高すぎ、粘性が認められない(第3成分を欠く、比較例2)、溶解性が不充分で沈殿が析出する(第2成分を欠く、比較例3)、粘性が認められない(第1成分を欠く、比較例4)等の欠点が認められた。
【0039】
試験例1
この試験は、上記実施例及び比較例で調製した各組成物につき、それらがチキソトロピー性を有するか否かを検討するために行なったものである。
各組成物の粘度を、デジタル粘度計(DL−B型、東京計器社製)を用いて、室温下、0.6〜12rpmの攪拌(応力負荷)下に測定した。
まず、本発明組成物のチキソトロピー性が、第1成分の配合量変化に影響されるか否かを明らかにするため、実施例2及び実施例10〜12で調製した各組成物と比較例4で調製した組成物とについて、上記粘度の測定結果を対比した。
【0040】
結果を図1に示す。
図中、横軸は回転数(rpm)を、縦軸は粘度(ポイズ)を示す。又、図中(1)は実施例2で調製した本発明組成物(第1成分含量0.2%)を、(2)は実施例10で調製した本発明組成物(第1成分含量0.3%)を、(3)は実施例11で調製した本発明組成物(第1成分含量0.4%)を、(4)は実施例12で調製した本発明組成物(第1成分含量0.5%)を、又(5)は比較例4で調製した比較組成物(第1成分無添加)を、それぞれ示す。
【0041】
該図より次のことが判る。即ち、第1成分を0.2〜0.5%含む本発明組成物は、いずれも適度のチキソトロピー性を有する(回転数の増加に伴う顕著な粘度低下が認められる)。又、各回転数における粘度は、第1成分の配合量の増加に伴って、増加する傾向が認められた。これに対して第1成分を含まない比較組成物は、いずれの回転数の場合においても粘度が低すぎて、実質的にチキソトロピー性を有しないことが判った。
【0042】
次に、本発明組成物の有するチキソトロピー性が、他の高分子物質溶液でも認められるか否かを明らかにするため、実施例2で調製した本発明組成物と、比較例5〜7のそれぞれで調製した比較組成物との粘度測定結果を対比した。
【0043】
結果を下記表4に示す。
【表4】
【0044】
表中、括弧内数値は、各供試組成物における0.6rpmでの粘度測定値を100として算出した各回転数における相対粘度を示す。
又表中、(1)は実施例2で調製した本発明組成物を、(2)は比較例5で調製した比較組成物(CMC溶液)を、(3)は比較例6で調製した比較組成物(MC溶液)を、又(4)は比較例7で調製した比較組成物(Hya溶液)をそれぞれ示す。
【0045】
表4より、本発明組成物(供試組成物(1))に認められるチキソトロピー性、即ち回転数の増加に応じて急激に粘度が低下する性質は、本発明組成物に特有のものであり、比較例5〜7の組成物(供試組成物(2)、(3)及び(4))では、回転数の増加に応じて若干の粘度低下が認められる場合もあるが、その場合も該粘度低下は微弱であり、実質的にチキソトロピー性は認められないことが明らかである。
【0046】
更に、第2成分の配合量変化が本発明組成物に与える影響を明らかにするため、実施例2、8及び9で調製した各組成物と比較例1及び3で調製した比較組成物の粘度測定結果を対比した。
【0047】
結果を図1と同様にして図2に示す。
図2中、(1)は実施例8で調製した本発明組成物(第2成分含量10%)を、(2)は実施例2で調製した本発明組成物(第2成分含量30%)を、(3)は実施例9で調製した本発明組成物(第2成分含量50%)を、(4)は比較例1で調製した比較組成物(第2成分含量70%)を、又(5)は比較例3で調製した比較組成物(第2成分無添加)を、それぞれ示す。
【0048】
該図より、第2成分を10〜50%の範囲で含む本発明組成物(1)〜(3)は、本発明所期のチキソトロピー性を有しているのに対して、第2成分の配合量を本発明範囲を超えて70%とした比較組成物(4)は、もはやチキソトロピー性を有しないものとなった。なお、第2成分無添加の比較組成物(5)では、チキソトロピー性は有するものの、第1成分の溶解性が悪く、溶液が不均一となり、沈殿が生じる不利があった(表2の比較例3参照)。
【0049】
最後に、第3成分の配合量変化が本発明組成物に与える影響を明らかにするため、実施例1〜3で調製した各組成物と、比較例2で調製した比較組成物の粘度測定結果を対比した。
【0050】
結果を図1と同様にして図3に示す。
図3中、(1)は実施例1で調製した本発明組成物(第3成分含量0.1%)を、(2)は実施例2で調製した本発明組成物(第3成分含量0.2%)を、(3)は実施例3で調製した本発明組成物(第3成分含量0.4%)を、又(4)は比較例2で調製した比較組成物(第3成分無添加)を、それぞれ示す。
【0051】
該図より、第3成分を0.1〜0.4%の範囲で含む本発明組成物(1)〜(3)は、いずれも本発明所期のチキソトロピー性を有するのに対して、第3成分無添加の比較組成物(4)は、チキソトロピー性を有しないことが明らかとなった。
効力試験例は、本発明組成物の有するインフルエンザに対する効力を確認するために、次の通り行なわれた。
【0052】
効力試験例1
(1)のど保護剤の抗インフルエンザウイルス活性の測定方法(in vitro)
96well培養プレートで培養したMDCK細胞にインフルエンザウイルスA/PR/8/34(HINI)を感染させる(100TCID50)と同時に、実施例No.19の製剤を20μL加え、対照には蒸留水を20μL加えて、37℃−5%CO2下で3日間培養した。
その後、シアリダーゼ活性測定により培養上清中のインフルエンザウイルス量を定量した。対照(蒸留水)のインフルエンザウイルス生存率を100%として、のど保護剤添加検体のインフルエンザウイルスの生存率を算出した。
(2)結果
結果は、実施例No.19の組成物投与によるインフルエンザウイルスの生存率を表わす図4が示すとおりであり、本発明の製剤がインフルエンザウイルスに対して優れた効力があることがわかる。
【0053】
効力試験例2
(1)のど保護剤の抗インフルエンザウイルス活性の測定方法(in vitro)
96well培養プレートで培養したMDCK細胞にインフルエンザウイルスA/PR/8/34(HINI)を感染させる(100TCID50)と同時に、実施例No.21の製剤を10μL及び20μLをそれぞれ加え、対照には蒸留水を20μL加えて、37℃−5%CO2下で3日間培養した。
その後、シアリダーゼ活性測定により培養上清中のインフルエンザウイルス量を定量した。対照(蒸留水)のインフルエンザウイルス生存率を100%として、のど保護剤添加検体のインフルエンザウイルスの生存率を算出した。
(2)結果
結果は、実施例No.21の組成物投与によるインフルエンザウイルスの生存率を表わす図5が示すとおりであり、本発明の製剤がインフルエンザウイルスに対して優れた効果があることがわかる。
【0054】
効力試験例3
(1)のど保護剤のインフルエンザ感染予防又は治療効果の検討方法
BALB/cマウス(6週齢、雌)を各10匹づつ2群(A群、B群)に分け、1週間予備飼育し、試験に用いた。
飼育
環境:温度;23±2℃、湿度;55±15%
食餌:飼料、飲料は自由に摂取させた。
投与
A群:マウスを麻酔し、片方の鼻腔に実施例21の製剤20μLを投与し、もう一方の鼻腔にウイルス液20μLを投与した。
B群:マウスを麻酔し、片方の鼻腔にウイルス液20μLを投与した。
測定
両群のマウスの体重を経時的に測定した。
計算
初期の体重からの変化量を変化率として計算した。
変化率={(初期体重−経時体重)÷初期体重}×100
(2)結果
混合効果モデルでの分散分析の結果、図6に示すとおり、経時的な体重変化において有意差が認められた。
本発明の製剤が、インフルエンザの予防又は治療に優れた効果があることがわかる。インフルエンザウイルス投与マウスに本発明の製剤を投与すれば、体重変化が少なく、体調は良好である。
【0055】
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例1に従い行なわれた試験において、本発明組成物のチキソトロピー性が第1成分の配合量変化に影響されるか否かを明らかにするグラフである。
【図2】試験例1に従う試験において、第2成分の配合量変化が本発明組成物に与える影響を明らかにするグラフである。
【図3】試験例1に従う試験において、第3成分の配合量変化が本発明組成物に与える影響を明らかにするグラフである。
【図4】実施例No.19の製剤投与によるインフルエンザウイルスの生存率を示すグラフである。
【図5】実施例No.21の製剤投与によるインフルエンザウイルスの生存率を示すグラフである。
【図6】実施例No.21の製剤投与によるインフルエンザウイルス投与マウスの体重変化率を示すグラフである。
Claims (7)
- グリチルリチン酸又はその塩及び甘草の根を水抽出又はエタノール抽出することにより製造される甘草抽出物からなる群から選ばれる少なくとも1種0.01〜1.0重量%、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、マルチトール、キシリトール及びトレハロースからなる群から選ばれる少なくとも1種5〜50重量%及び組成物のpHを2.7〜3.9の酸性とする酸性物質を有効成分として含有することを特徴とするインフルエンザ予防又は治療用のど粘膜保護用組成物。
- 吐出可能な液状形態を有する請求項1に記載の組成物。
- 酸性物質が乳酸、クエン酸、アスコルビン酸、酢酸、グルコン酸及びこれらの塩から選択され、組成物のpHを2.7〜3.9の範囲とする請求項1又は2に記載の組成物。
- グリチルリチン酸又はその塩及び甘草抽出物からなる群から選ばれる少なくとも1種の含有量が0.01〜0.3重量%であり、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、マルチトール、キシリトール及びトレハロースからなる群から選ばれる少なくとも1種の含有量が20〜35重量%である請求項1に記載の組成物。
- さらにポリフェノール類を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
- ポリフェノール類がブドウポリフェノール、カカオ豆ポリフェノール、茶ポリフェノール、テン茶ポリフェノール、りんごポリフェノール、しそポリフェノール、大豆ポリフェノール、カカオマスポリフェノール及びバナナポリフェノールからなる群から選択される一種以上である請求項5に記載の組成物。
- グリチルリチン酸又はその塩及び甘草抽出物からなる群から選ばれる少なくとも1種の含有量が0.05〜0.5重量%であり、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、マルチトール、キシリトール及びトレハロースからなる群から選ばれる少なくとも1種の含有量が10〜50重量%である請求項1に記載の組成物。
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