JP4307597B2 - 可変抵抗回路及び電圧制御発振回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術の分野】
本発明は、電圧制御により発振周波数を制御する電圧制御発振器に係り、特に、電圧制御発振器に含まれる遅延回路の出力信号の振幅を調整する可変抵抗回路に関する。さらに詳しくは、電圧制御発振器において、可変抵抗回路の抵抗値を変化させたときに、発振周波数およびVCOゲインが変動するのを防止するのに好適な可変抵抗回路および電圧制御発振器に関する。
【0002】
【従来の技術】
電圧制御発振器(以下、単にVCO(Voltage Controlled Oscillator )という。)は、電圧制御により発振周波数を制御する回路であって、例えば、リードライトLSIにおいて、位相検出器を基本要素とするPLL(Phase locked loop )等に用いられる。こうした回路に用いられるVCOは、高速でゼロフェーズであること、広範な発振周波数領域、一定のVCOゲインを有すること等が要求される。
【0003】
まず、VCOの一般的な構成を説明する。図3は、VCOの構成を示す概略構成図である。
VCO100は、図3に示すように、複数(例えば、4つ)の遅延回路200a〜200dを有し、各遅延回路200a〜200dを循環接続して、すなわち前段の遅延回路200a〜200cの出力信号を次段の遅延回路200b〜200dに入力し、最終段の遅延回路200dの出力信号を反転して初段の遅延回路200aに入力して構成されている。遅延回路200aには、VCO100の出力端子であるコンパレータ300が設けられており、コンパレータ300は、遅延回路200aの出力信号の極性が反転したときに、ハイレベルまたはローレベルの信号を出力するようになっている。
【0004】
次に、遅延回路200a〜200dの構成を詳細に説明する。図4は、遅延回路200aの構成を示す等価回路図である。なお、遅延回路200a〜200dは、いずれも同一に構成されているので、以下、遅延回路200aの構成についてのみ説明し、遅延回路200b〜200dの構成については説明を省略する。
【0005】
遅延回路200aは、図4に示すような等価回路により構成されており、発振周波数を制御する制御電圧VDDに一端を接続した可変抵抗回路210,220と、可変抵抗回路210の他端に一端を接続しかつ他端を接地したコンデンサ230と、可変抵抗回路220の他端に一端を接続しかつ他端を接地したコンデンサ240と、可変抵抗回路210の他端にドレインを接続したn型チャネル電界効果トランジスタ(以下、単にn型MOSという。)250と、可変抵抗回路220の他端にドレインを接続したn型MOS260と、n型MOS250,260のソースに接続した定電流源270と、で構成されており、n型MOS250,260のゲートを入力端子とし、その入力端子に入力された電圧の差動を増幅してn型MOS250,260のドレインから出力するようになっている。
【0006】
このような構成となっているため、VCO100が動作した場合、出力波形は自然対数の関数となり、出力電圧Vおよびその周期Tは、出力信号の最大振幅をVr 、可変抵抗回路210,220の抵抗値をR、コンデンサ230,240の容量をC、遅延回路の段数をNとすると、下式(1),(2)に示すようになる。
【0007】
V = Vr (1−e-t/CR ) (1)
T = 2NCR{−ln(0.5)} (2)
このとき、可変抵抗回路210,220の抵抗値Rは、下式(3)に示すように、Vr が一定となるように調整されている。したがって、周期Tおよび周波数fは、可変抵抗回路210,220に流れる電流をIとすると、下式(4),(5)に示すようになる。
【0008】
R = (VDD−Vr )/I (3)
T = 2NCVr {−ln(0.5)}/I (4)
f = 1/T = I/[2NCVr {−ln(0.5)}] (5)
また、VCOゲインKVCO は、電流Iの変化に対する周波数fの変化の割合となるので、下式(6)に示すようになる。
【0009】
以上のことから、VCO100の発振周波数fは、遅延回路の段数N、コンデンサ230,240の容量C、出力信号の最大振幅Vr に反比例するということができる。
【0010】
次に、従来の可変抵抗回路210,220の構成を詳細に説明する。図5は、可変抵抗回路210の構成を示す回路図である。なお、可変抵抗回路210,220は、いずれも同一に構成されているので、以下、可変抵抗回路210の構成についてのみ説明し、可変抵抗回路220の構成については説明を省略する。
【0011】
可変抵抗回路210は、図5に示すように、制御電圧VDDにソースを接続したp型チャネル電界効果トランジスタ(以下、単にp型MOSという。)212と、制御電圧VDDにソースを接続したp型MOS214と、p型MOS214のゲートをp型MOS212のゲートと制御電圧VDDとに接続切換する切換スイッチ216と、で構成されており、切換信号に基づいて切換スイッチ216を切り換えることにより、抵抗値を制御するようになっている。
【0012】
p型MOS212,214のドレインは、いずれも図4に示すコンデンサ230の一端およびn型MOS250のドレインに接続されている。なお、p型MOS212のゲートには、各p型MOS212,214が線形領域で動作するように所定のバイアス電圧が印加されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のVCO100、特に可変抵抗回路210,220にあっては、次のような問題があった。すなわち、図4の等価回路に示した遅延回路200a〜200dは、あくまで理想的な場合であり、上式(5),(6)中における実際の容量Cは、コンデンサ230,240のほかに、次段のゲート容量や配線の寄生容量等により構成される。このゲート容量には、可変抵抗回路210,220におけるp型MOS212,214のゲート容量が含まれている。それら合成のゲート容量CG は、p型MOS212,214のゲート幅をL、ゲート面積をW、単位面積当たりの酸化膜の容量をCOXとすると、切換スイッチ216により、p型MOS214のゲートがp型MOS212のゲートに接続切換されたときは、下式(7)に示すようにWLCOXとなるが、p型MOS214のゲートが制御電圧VDDに接続切換されたときは、下式(8)に示すようにWLCOX/2となる。したがって、切換の前後における容量変化の割合は、切換前のゲート容量から切換後のゲート容量を減算してこれを切換前のゲート容量で除算することにより、50%となる。
【0014】
CG = WLCOX/2 + WLCOX/2 = WLCOX (7)
CG = WLCOX/2 + 0 = WLCOX/2 (8)
なお、上式(7),(8)において、第1項は、p型MOS212のゲート容量であり、第2項は、p型MOS214のゲート容量である。
【0015】
このような値となるのは、各p型MOS212,214のゲート容量が次の2つの状態に応じて求められるからである。すなわち、p型MOS212,214が線形領域で動作している場合において、ソース,ドレイン間に制御電圧VDDが印加されているときは、WLCOX/2となる。一方、p型MOS212,214がオフとなっているとき、すなわち制御電圧VDDにソースおよびゲートが接続されているときは、“0”となる。
【0016】
以上のようにして、可変抵抗回路210,220のゲート容量CG は、切換スイッチ216を切り換えることにより変化する。したがって、発振周波数fおよびVCOゲインKVCO が切換スイッチ216の切換に伴って変動してしまい、その結果、VCO100を用いて構成されるPLLの特性が変化してしまうという問題があった。
【0017】
そこで、本発明は、このような従来の問題を解決することを課題としており、電圧制御発振器において、可変抵抗回路の抵抗値を変化させたときに、発振周波数およびVCOゲインが変動するのを防止することにより、電圧制御発振器の特性を一定に保つのに好適な可変抵抗回路および電圧制御発振器を提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、発明1の可変抵抗回路は、並列接続した複数のトランジスタを有し、前記いずれかのトランジスタの制御電圧を切り換えて抵抗値を制御するようになっている可変抵抗回路において、抵抗要素を構成する新たなトランジスタを、制御電圧の切換対象となる前記トランジスタの低電位側に直列接続して設けた。
【0019】
このような構成であれば、例えば、並列接続するトランジスタがn+1個、そのうち制御電圧の切換対象となるトランジスタが1個、これに直列接続する新たなトランジスタが1個設けられている場合において、制御電圧の切換対象となるトランジスタが線形領域で動作するようにその制御電圧が切り換えられたときは、それら合成のゲート容量CG は、上記トランジスタのゲート長をL,LN 、ゲート面積をW,WN 、単位面積当たりの酸化膜の容量をCOXとすると、下式(9)に示すようになる。
【0020】
なお、上式(9)において、第1項は、制御電圧の切換対象となるトランジスタの容量であり、第2項は、これに直列接続する新たなトランジスタの容量であり、第3項は、これらに並列接続するトランジスタの容量である。
【0021】
このような値となるのは、各トランジスタのゲート容量が次の2つの状態に応じて求められるからである。すなわち、トランジスタが線形領域で動作している場合において、トランジスタの入力端子と出力端子との間に電圧が印加されているとき(Case1)は、Wx Lx COX/2となる。また、こうした状態でトランジスタ(例えば、x1 ,x2 )が直列接続されているとき(Case2)は、(Wx1Lx1COX+Wx2Lx2COX)/2となる。
【0022】
一方、上記同様の条件下において、制御電圧の切換対象となるトランジスタがオフとなるようにその制御電圧が切り換えられたときは、それら合成のゲート容量CG は、下式(10)に示すようになる。
【0023】
なお、上式(10)において、第1項から第3項までは、上式(9)と同様の内容を示すものである。
【0024】
このような値となるのは、各トランジスタのゲート容量が上記2つの状態に加えて次の2つの状態に応じて求められるからである。すなわち、トランジスタが線形領域で動作している場合において、トランジスタの入力端子と出力端子との間に電圧が印加されていないとき(Case3)は、Wx Lx COXとなる。一方、トランジスタがオフとなっているとき(Case4)は、“0”となる。
【0025】
したがって、上式(9)におけるCG をCG(9)、上式(10)におけるCG をCG(10) とすると、制御電圧を切り換える前後における容量変化の割合dは、下式(11) に示すようになり、CG(10) −2(CG(9)−CG(10) )>0であることから、50%未満となる。
【0026】
d = (CG(9)−CG(10))/CG(10)
= (WL−WNLN)/{(n+1)WL+WNLN} (11)
なお、発明1の可変抵抗回路において、制御電圧の切換対象となるトランジスタは、複数設けられていてもよく、この場合、制御電圧を切り換える前後における容量変化の割合をより低減するには、これら各トランジスタの低電位側にそれぞれ新たなトランジスタを設けるのが好ましい。
【0027】
また、制御電圧をどのような値に切り換えるようにしてもよいが、制御電圧を切り換える前後における容量変化の割合をより低減するには、制御電圧の切換状態に、当該トランジスタを線形領域で動作させる状態(上記Case1〜3が適用可能)と、当該トランジスタをオフとする状態(上記Case4が適用可能)と、が含まれているのが好ましい。
【0028】
また、複数のトランジスタを並列接続することには、各トランジスタを1つずつ並列接続することのほか、複数のトランジスタを直列接続したトランジスタ組を複数生成し、これらをさらに並列接続することも含まれている。すなわち、複数のトランジスタを接続した結果、少なくとも一対のトランジスタが並列関係を有していれば足りる。
【0029】
また、各トランジスタおよび新たなトランジスタの制御電圧は、いずれも同一の電圧源から供給されるものであってもよいし、それぞれ異なる電圧源から供給されるものであってもよい。すなわち、各トランジスタおよび新たなトランジスタの制御端子は、特に、共通の電圧線に接続されている必要はない。
【0030】
また、発明1の可変抵抗回路における作用を説明するにあたっては、説明の簡略化を図るため、各トランジスタは、いずれも同一の容量となるように構成されている場合について説明したが、これに限らず、各トランジスタは、いずれも同一の容量となるように構成されている必要はなく、それぞれ異なる容量となるように構成されていてもよい。
【0031】
発明1の可変抵抗回路において、「制御電圧」とは、トランジスタの抵抗値を制御するためにその制御端子に印加する電圧をいう。
さらに、発明2の可変抵抗回路は、発明1の可変抵抗回路において、前記新たなトランジスタを、前記直列接続するトランジスタと同一の容量となるように構成した。
【0032】
このような構成であれば、発明1と同様の条件下において、各トランジスタの容量と、新たなトランジスタの容量と、が同一であるため、LN=L、WN=Wとなるので、制御電圧を切り換える前後における容量変化の割合dは、下式(12) に示すように0%となる。
【0033】
d = (WL−WL)/{(n+1)WL+WL} = 0 (12)
さらに、発明3の可変抵抗回路は、所定電位にソースを接続しかつ少なくとも前記所定電位にゲートが接続切換可能となっている、MOS型の電界効果トランジスタである第1のトランジスタを有する可変抵抗回路において、MOS型の電界効果トランジスタである第2のトランジスタを、前記第1のトランジスタのドレインに直列接続して設けた。
【0034】
このような構成であれば、例えば、第1のトランジスタが線形領域で動作するようにその制御電圧が切り換えられたときは、それら合成のゲート容量CG は、第1および第2のトランジスタのゲート長をL1 ,L2 、ゲート面積をW1 ,W2 、単位面積当たりのゲート容量COXとすると、下式(13)に示すようになる。
【0035】
CG = (W1 L1 COX+W2 L2 COX)/2 (13)
なお、上式(13)において、第1項は、第1のトランジスタの容量であり、第2項は、第2のトランジスタの容量である。また、各トランジスタのゲート容量は、上記Case1,2を適用して求められる。
【0036】
一方、上記同様の条件下において、第1のトランジスタのゲートが所定電位にその接続を切り換えられたときは、第1のトランジスタがオフとなるので、それら合成のゲート容量CG は、下式(14)に示すようになる。
【0037】
CG = 0 + W2 L2 COX = W2 L2 COX (14)
なお、上式(14)において、第1項、第2項は、上式(13)と同様の内容を示すものである。また、各トランジスタのゲート容量は、上記Case1〜4を適用して求められる。
【0038】
したがって、上式(13)におけるCG をCG(13) 、上式(14)におけるCG をCG(14) とすると、制御電圧を切り換える前後における容量変化の割合dは、下式(15) に示すようになり、3W2 L2 >W1 L1 の条件を満たせば、CG(14) −2(CG(13) −CG(14) )>0となって50%未満となる。
【0039】
d = (CG(13)−CG(14))/CG(14)
= (W1L1−W2L2)/W2L2 (15)
一方、発明4の電圧制御発振器は、発明1ないし3の可変抵抗回路を含む複数の遅延回路を、環状接続して構成した。
【0040】
このような構成であれば、発振信号は、各遅延回路により遅延された周期をもって出力される。このとき、発振周波数は、発振周波数を制御する発振周波数制御電圧と、次段の遅延回路のゲート容量と、により決定されるが、遅延回路が発明1ないし3の可変抵抗回路を含んでいるので、発振周波数制御電圧の大きさに応じて可変抵抗回路のトランジスタの制御電圧が切り換えられたときは、遅延回路のゲート容量が変化するのが抑制される。
【0041】
また、発明5の電圧制御発振器は、環状接続した複数の遅延回路を有する電圧制御発振器において、前記遅延回路は、発明1ないし3の可変抵抗回路と、入力電圧の差動を増幅する対のトランジスタと、を有し、前記可変抵抗回路の抵抗値により前記トランジスタの出力信号の振幅を調整するようになっている。
【0042】
このような構成であれば、発振信号は、各遅延回路により遅延された周期をもって、かつ、発明1ないし3の可変抵抗回路の抵抗値により調整された振幅をもってトランジスタから出力される。このとき、発振周波数およびVCOゲインは、発振周波数を制御する発振周波数制御電圧と、次段の遅延回路のゲート容量と、により決定されるが、遅延回路が発明1ないし3の可変抵抗回路を含んでいるので、発振周波数制御電圧の大きさに応じて可変抵抗回路のトランジスタの制御電圧が切り換えられたときは、遅延回路のゲート容量が変化するのが抑制される。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る可変抵抗回路の構成を示す回路図である。なお、従来と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0044】
この実施の形態は、本発明に係る可変抵抗回路を、図3,4に示すように、VCO100において、遅延回路200a〜200dの出力信号の振幅を調整する可変抵抗回路210,220に適用したものである。
【0045】
まず、本発明に係る可変抵抗回路210の構成を説明する。なお、可変抵抗回路210,220は、いずれも同一に構成されているので、以下、可変抵抗回路210の構成についてのみ説明し、可変抵抗回路220の構成については説明を省略する。
【0046】
可変抵抗回路210は、図1に示すように、制御電圧VDDにソースを接続したp型MOS312と、制御電圧VDDにソースを接続したp型MOS314と、p型MOS312のドレインにソースを接続したp型MOS316と、p型MOS314のドレインにソースを接続したp型MOS318と、p型MOS314のゲートをp型MOS312のゲートと制御電圧VDDとに接続切換する切換スイッチ320と、で構成されており、切換信号に基づいて切換スイッチ320を切り換えることにより、抵抗値を制御するようになっている。また、各p型MOS312〜318は、いずれもゲート長がL/2、ゲート面積がWとなるように構成されている。
【0047】
p型MOS316,318のゲートは、いずれもp型MOS312のゲートに接続されており、p型MOS316,318のドレインは、いずれも図4に示すコンデンサ230の一端およびn型MOS250のドレインに接続されている。すなわち、p型MOS312,316とp型MOS314,318とは、並列に接続されており、p型MOS312とp型MOS316と、およびp型MOS314とp型MOS318とは、直列に接続されている。なお、p型MOS312のゲートには、各p型MOS312〜318が線形領域で動作するように所定のバイアス電圧が印加されている。
【0048】
次に、上記実施の形態の動作を図面を参照しながら説明する。図2は、p型MOSのゲート容量を求める場合を説明するための図である。
まず、切換スイッチ320により、p型MOS314のゲートがp型MOS312のゲートに接続切換されたときは、p型MOS312〜318はいずれも線形領域で動作する。このとき、各p型MOS312〜318の合成のゲート容量CG は、単位面積当たりの酸化膜の容量をCOXとすると、下式(16)に示すようになる。
【0049】
なお、上式(16)において、第1項および第2項は、p型MOS312,316の容量であり、第3項および第4項は、p型MOS314,318の容量である。
【0050】
このような値となるのは、各p型MOS312〜318のゲート容量が次の2つの状態に応じて求められるからである。すなわち、図2(a)に示すように、p型MOSが線形領域で動作している場合において、p型MOSのソース,ドレイン間に制御電圧VDDが印加されているときは、WLCOX/4となる。また、図2(b)に示すように、p型MOS同士が直列接続されているときは、WLCOX/2となる。
【0051】
次に、切換スイッチ320により、p型MOS314のゲートが制御電圧VDDに接続切換されたときは、p型MOS312,316,318はいずれも線形領域で動作するが、p型MOS314はオフとなる。このとき、各p型MOS312〜318の合成のゲート容量CG は、下式(17)に示すようになる。
【0052】
CG = {W(L/2)COX+W(L/2)COX}/2
+ 0 + W(L/2)COX = WLCOX (17)
なお、上式(17)において、第1項から第4項までは、上式(16)と同様の内容を示すものである。
【0053】
このような値となるのは、各p型MOS312〜318のゲート容量が上記2つの状態に加えて次の2つの状態に応じて求められるからである。すなわち、図2(c)に示すように、p型MOSが線形領域で動作している場合において、p型MOSのソース,ドレイン間に制御電圧VDDが印加されていないときは、WLCOX/2となる。一方、図2(d)に示すように、p型MOSがオフとなっているときは、“0”となる。
【0054】
したがって、上式(16)におけるCG をCG(16) 、上式(17)におけるCG をCG(17) とすると、切換スイッチ320を切り換える前後における容量変化の割合dは、下式(18) に示すように0%となる。
【0055】
このようにして、並列接続した複数のp型MOS312〜316を有し、p型MOS314のゲートを接続切換することにより、抵抗値を制御するようになっている可変抵抗回路210において、p型MOS318を、ゲートを接続切換するp型MOS314の低電位側に直列接続したから、p型MOS314,318の合成のゲート容量は、p型MOS314のゲートをp型MOS312のゲートに接続切換したときは、各ゲート容量の総和の1/2となり、p型MOS314のゲートを制御電圧VDDに接続切換したときは、p型MOS318のゲート容量となるので、従来に比して、p型MOS314のゲートを接続切換しても、その切換前後で各p型MOS312〜318の合成のゲート容量が変化するのを比較的防止することができる。
【0056】
特に、p型MOS318を、p型MOS314と同一の容量となるように構成したから、p型MOS314,318の合成のゲート容量は、p型MOS314のゲートをp型MOS312のゲートに接続切換したときは、各ゲート容量の総和の1/2、すなわちp型MOS318のゲート容量と等しくなり、p型MOS314のゲートを制御電圧VDDに接続切換したときは、p型MOS318のゲート容量となるので、p型MOS314のゲートを接続切換しても、その切換前後で各p型MOS312〜318の合成のゲート容量が変化するのをさらに防止することができる。
【0057】
また、可変抵抗回路210,220を含む遅延回路200a〜200dを、環状接続して構成したから、切換スイッチ320を切り換えたときに、上式(5),(6)中の容量Cが変化するのが抑制されるので、従来に比して、VCO100において、p型MOS314のゲートを接続切換しても、発振周波数およびVCOゲインKVCO の変動を抑えることができる。
【0058】
なお、上記実施の形態においては、p型MOS312側とp型MOS314側との整合性をとるために、p型MOS312側にp型MOS316を設けたが、これに限らず、p型MOS316を特に設けなくてもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、発明1または2の可変抵抗回路によれば、従来に比して、トランジスタの制御電圧を切り換えても、その切換前後で各トランジスタおよび新たなトランジスタの合成のゲート容量が変化するのを比較的防止することができるという効果が得られる。
【0060】
特に、発明2の可変抵抗回路によれば、トランジスタの制御電圧を切り換えても、その切換前後で各トランジスタおよび新たなトランジスタの合成のゲート容量が変化するのをさらに防止することができるという効果も得られる。
【0061】
また、発明3の可変抵抗回路によれば、従来に比して、第1のトランジスタの制御電圧を切り換えても、その切換前後で第1のトランジスタおよび第2のトランジスタの合成のゲート容量が変化するのを比較的防止することができるという効果が得られる。
【0062】
一方、発明4または5の電圧制御発振器によれば、従来に比して、発振周波数およびVCOゲインの変動を抑えることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る可変抵抗回路および電圧制御発振器の実施の形態を示す図である。
【図2】p型MOSのゲート容量を求める場合を説明するための図である。
【図3】電圧制御発振器100の構成を示す概略図である。
【図4】遅延回路200aの構成を示す等価回路図である。
【図5】従来の可変抵抗回路210の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
100 電圧制御発振器
200a〜200d 遅延回路
300 コンパレータ
210,220 可変抵抗回路
230,240 コンデンサ
250,260 n型MOS
270 定電流源
212,214 p型MOS
312〜318 p型MOS
216,320 切換スイッチ
VDD 制御電圧
Claims (3)
- 並列接続した複数のトランジスタを有し、前記いずれかのトランジスタの制御電圧を切り換えて抵抗値を制御するようになっている可変抵抗回路において、
制御電圧の切換対象となる前記トランジスタの切り換えに係わらず自身の制御電圧を切り換えない、抵抗要素を構成するトランジスタを、制御電圧の切換対象となる前記トランジスタの低電位側に直列接続して設け、
自身の制御電圧を切り換えない前記トランジスタのゲート容量を、制御電圧の切換対象となる前記トランジスタのゲート容量と同一の容量となるように構成したことを特徴とする可変抵抗回路。 - 請求項1記載の可変抵抗回路を含む複数の遅延回路を、環状接続して構成したことを特徴とする電圧制御発振器。
- 環状接続した複数の遅延回路を有する電圧制御発振器において、
前記遅延回路は、請求項1記載の可変抵抗回路と、入力電圧の差動を増幅する対のトランジスタと、を有し、前記可変抵抗回路の抵抗値により前記トランジスタの出力信号の振幅を調整するようになっていることを特徴とする電圧制御発振器。
Priority Applications (1)
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