JP4306175B2 - パッチを用いた印刷方法および印刷物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷品質を検査しあるいは管理するためのコントロール・ストリップを印刷紙面内に入れて、そのコントロール・ストリップのパッチを測定することにより、印刷物の品質を検査しあるいは管理する技術に関し、さらに、少数のパッチを測定することにより能率の良い検査あるいは管理を可能とする印刷方法とそれに用いる印刷物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、印刷品質を測定するためのコントロール・ストリップを印刷紙面内に入れて、そのコントロール・ストリップのパッチを測定することにより、印刷物の品質を検査し、あるいは管理する印刷方法では、印刷の基本色であるK,C,M,Yの4色のベタのパッチからインキ量を検査する方法が用いられることが大半であった。しかし、この方法によると、通常、ドットゲインと呼ばれる、印刷される網点の太り量の変動やダブリ・スラーなどの印刷不良を検査しないために、印刷された絵柄の中の全ての色を保証することが大変困難であった。特に、中間からライト部にかけての色調の制御に問題があった。
【0003】
最近になり、前記の問題点を解決するために、印刷の基本色であるK,C,M,Yの4色のベタパッチを測定することよるインキ量のみの検査に加えて、K,C,M,Yの4色のドットゲインの変動量を検査するための部分を備えたコントロール・ストリップを用いて、印刷物の検査あるいは管理を行う技術も行われるようになってきている。
【0004】
オフセット印刷においてこのコントロール・ストリップを用いる印刷方法は、紙面上のスペースの問題に起因して枚葉印刷機で利用されることが多く、オフセット輪転印刷機(以下では単にオフ輪と称する)で利用されることはまれであった。
【0005】
一方、最近は印刷物への要求品質の厳しさから、オフ輪でもコントロール・ストリップを利用した品質管理を適用することが検討され、紙面上のスペースの狭いスペースに細く長いコントロール・ストリップが設けられるようになり、このコントロール・ストリップに対して測定できる機器も開発されてきている。
【0006】
しかしながら、測定対象となるパッチが、細くまた小さいものが求められる状況にあるとはいっても、色に関する必要な情報を得るためには、隣接する別のパッチ等の影響を低減させるなど、測定機器の測定可能な解像度を考慮する必要もある。その結果、測定対象となるパッチは、2次元形状の縦方向(高さ方向)と横方向(幅方向、パッチが並んでいる方向)のうち、縦を短く(高さを低く)する一方で、横方向を長く(幅を広く)する形状を採用することにより、ある程度の面積を確保している。
【0007】
オフセット印刷の場合のインキ量の調整は、印刷用紙が搬送される流れを横切る方向に沿って複数配置されたインキキーを用いて調整するのが一般的である。そして、印刷の流れ方向に沿って使用するインキの数だけ分割されたブレードの開き量によってインキ量の調整が行われるため、絵柄と印刷の流れ方向で対応していないパッチからは、その絵柄の情報は得ることができない。
従って、各ブレードごとに制御に必要な情報を得られるだけのパッチ数を割り当てることが大切であるが、前述のようにパッチの横幅を広くすると、一つのブレードに入るパッチ数は減少させることを迫られる傾向があり、印刷の基本色であるK,C,M,Yの4色のインキ量を検査するパッチに限定されることが多い。
【0008】
一方、コントロール・ストリップに、もしC,M,Yの3色の平網の掛け合わせで構成されるグレーのパッチを配置して検査の対象とした場合には、印刷の基本色であるK,C,M,Yの4色のインキ量のみを検査する方法と比較して、印刷される絵柄に関する情報量が多く、その結果印刷物の品質もより安定することがわかっている。この理由は、C,M,Yの3色の平網の掛け合わせで構成されるグレーのパッチの検査では、印刷の基本色であるK,C,M,Yの4色のインキ量の検査では得られない印刷品質に関する情報(例えばC、M、Y、3色のインキ量のバランス、ドットゲイン、コントラスト、トラッピングなど)が得られるためである。
【0009】
上記印刷品質に関する情報のうち、トラッピングは、印刷中に通常のインキや水の調整で制御するのは難しく、現在も、単に材料や印刷機の状態のチェックに使用している。
【0010】
一方、ドットゲイン、コントラストは、出版印刷物や商業印刷物に掲載される絵柄のほとんどが、網あるいは2色以上の網の掛け合わせで表現されているため、印刷品質に大きな影響を与える。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、印刷紙面内に品質を測定するためのコントロール・ストリップを入れて、そのコントロール・ストリップを測定器で測定することにより、印刷物の品質を検査あるいは管理する精度アップや(処理や作業などの)能率アップに有効で、特にコントロール・ストリップに配置するパッチの数を節約してもなお印刷品質を検査あるいは管理する精度アップや能率アップに有効な、印刷方法およびそれに好適な印刷物を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等の研究成果より、K,C,M,Yの4色の各々の60〜85%の範囲の単色の平網パッチの濃度を測定することにより、K,C,M,Yの各色のインキ量とドットゲインに相当する情報を得られることが判っている。
【0013】
そこで、前記課題を解決するために本発明が提供する手段は、すなわち、印刷紙面内にコントロール・ストリップを設け、該コントロール・ストリップのパッチを測定することにより得られたデ−タに基づいて、印刷品質を検査あるいは管理する印刷方法において、前記パッチは、印刷機にある複数のインキキーの並びの方向に、複数色が繰り返し配置してあり、且つ、少なくとも、印刷の基本色であるK,C,M,Yの各単色のそれぞれ、Kは、印刷による絵柄内の文字量及び前記絵柄の色によって100%若しくは60〜85%の範囲にある平網のパッチのいずれかを選択され、C,M,Yは、60〜85%の範囲にある平網のパッチであって、CとMは隣接しており、1インキキー幅内の中央寄りに配置された計4色のパッチを測定対象に含めた測定を行い、得られたデータを該1インキキー幅内の印刷品質を代表するデータとして、検査あるいは管理を行うことを特徴とするパッチを用いた印刷方法である。(請求項1)
【0014】
ここで、平網が60〜85%の範囲を下回るか又は越えた場合には、印刷品質を検査する精度が劣るので不適当である。
また、上記4色(4通り、4類型)のK,C,M,Yのパッチは必ず印刷紙面上に設けられており、これらを測定し測定データを使用するわけであるが、同じ印刷紙面上にこれらの類型以外のパッチが設けてあって良いが、コントロール・ストリップを設けられるエリアが狭い場合にはパッチをあまり多く設けられないので、これらの類型以外のパッチの類型数は少数に成らざるをえない。
また、本発明の上記4色(4通り、4類型)のK,C,M,Yのパッチと同じ印刷紙面上のこれらの類型以外のパッチについても測定し、また測定データを使用してもよいが、あくまで上記4色(4通り、4類型)のK,C,M,Yのパッチの測定及び測定データに対する補助的な作業である。
【0015】
また、印刷紙面内にコントロール・ストリップを設け、該コントロール・ストリップのパッチを測定することにより得られたデ−タに基づいて、印刷品質を検査あるいは管理する印刷方法において、前記パッチは、印刷機にある複数のインキキーの並びの方向に、複数色が繰り返し配置してあり、且つ、少なくとも、印刷の基本色であるK,C,M,Yの各単色のそれぞれ、Kは、印刷による絵柄内の文字量及び前記絵柄の色によって100%若しくは60〜85%の範囲にある平網のパッチのいずれかを選択され、C,M,Yは、60〜85%の範囲にある平網のパッチであって、並びが連続した複数個のインキキー分の幅内の中央寄りにCとMを隣接して配置された計4色のパッチを測定対象に含めた測定を行い、得られたデータを該複数個のインキキー幅内の印刷品質を代表するデータとして、検査あるいは管理を行うことを特徴とするパッチを用いた印刷方法である。(請求項2)
【0018】
また、前記コントロール・ストリップのパッチの配置は、少なくとも、前記測定対象に含めた計4色の平網のパッチが複数個並んだ行が、印刷紙の流れ方向に1行のみ配置された構造であることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載のパッチを用いた印刷方法である。(請求項3)
【0019】
また、前記測定対象に含めた計4色の平網のパッチは、印刷紙の流れ方向を高さとして、それぞれ該高さが2mm以下であり、且つ、該1パッチの外形は高さより幅が大であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のパッチを用いた印刷方法である。(請求項4)
高さが2mm以下の小さなパッチ、特には1.6mm以下の場合が、コントロール・ストリップを設けるスペースが狭くそこに配置されるパッチの大きさや個数に制約を受ける状況下で、本発明を好ましく適用できる。例えば、1インキキー幅の30〜40mm内においても必要パッチ面積を確保しながら、最低限必要な4個のパッチを設けることができる。
【0021】
それから、複数色のパッチを備えたコントロール・ストリップが、印刷紙面内に設けてある印刷物であって、該パッチは、印刷機にある複数のインキキーの並びの方向に、複数色が繰り返し配置してあり、且つ、少なくとも、印刷の基本色であるK,C,M,Yの各単色のそれぞれ、Kは、印刷による絵柄内の文字量及び前記絵柄の色によって100%若しくは60〜85%の範囲にある平網のパッチのいずれかを選択し、C,M,Yは、60〜85%の範囲にある平網のパッチが、該印刷物の印刷に使用した印刷機の1インキキー幅内の中央寄りにCとMを隣接して配置してあることを特徴とする印刷物である。(請求項5)
【0023】
また、前記4色の平網のパッチが複数個並んだ行が、印刷紙の流れ方向に1行のみ配置された構造であることを特徴とする請求項5に記載の印刷物である。(請求項6)
【0024】
また、前記4色の平網のパッチは、印刷紙の流れ方向を高さとして、それぞれの高さが2mm以下であり、且つ、該1パッチの外形は高さより幅が大きいことを特徴とする請求項5乃至6のいずれかに記載の印刷物である。(請求項7)
【0026】
Kについては、印刷される絵柄内の文字の量や絵柄の色によって、100%のパッチから得るインキ量のみの情報がよい場合と、60〜85%の範囲のパッチから得るインキ量とドットゲインに相当する情報がよい場合の、二通り考えられるので、印刷物によって使い分けるのがよい.
【0027】
【発明の実施の形態】
印刷紙面内の任意の位置に、品質を測定するためのコントロール・ストリップを入れて、そのコントロール・ストリップを測定器で測定することにより、印刷物の品質を検査あるいは管理を行う。この任意の位置とは、製本工程で最終的な雑誌・書籍になるときに、断裁されてしまう部分やあるいは絵柄のない余白の部分である。
【0028】
コントロール・ストリップは、印刷の基本色である、K,C,M,Yの各々のインキ量を検査するため(検査結果は品質管理にも利用できる)の部分が含まれている。
本発明において、この各々のインキ量を検査するために必ず使用するパッチは、K,C,M,Yの各々の60〜85%の範囲の単色の平網パッチか、あるいはKの100%のパッチとC、M、Yの各々の60〜85%の範囲の単色の平網パッチである。60〜85%の範囲の単色の平網パッチについては、より好ましくは、75%〜85%の間の平網パッチの測定データを用いて制御することが望ましい。
【0029】
この75%〜85%の間の平網パッチの測定データを用いる点について、制御とデータ測定という観点から考察する。
通常インキ量を調節する際には、あるしきい値を設けて、計測した濃度値または色情報などの測定データの変動量がそのしきい値を越えた場合に、印刷機のインキ量を調節するという方法を使う。このしきい値を印刷物が安定するように、且つ精度よく決定するためには、計測した測定データの精度が良いことが前提である。
【0030】
「必ず使用するパッチ」としたのは、前記いずれかの4類型のパッチは必ず設けてあり、且つ、測定し測定データを使用するが、さらに補助的に他の類型のパッチも測定しまた測定データを使用して、検査や管理のより良い向上(例えば精度アップ、能率アップ、その他の情報入手など)を図ることも許されるという意味である。
但し、この場合はあくまで補助的であって、測定し又は測定データを利用する他のパッチの類型は少数である。また、印刷物に設けてある「他の類型のパッチ」も少数である。
【0031】
ここで、測定データとして濃度値を用いて制御した場合について考える。
一般のオフセット印刷における、75%平網の光学的反射濃度値は0.8程度、85%平網の光学的反射濃度値は1.0程度である。この時、ベタ部の光学的反射濃度値は1.4程度である。一方、オフセット印刷で推奨されているベタ濃度値の変動許容幅は±0.14であるが、得意先の要求品質を考慮すると、ベタ濃度値の変動許容幅は±0.10程度の品質管理が望ましい。
この変動許容幅いっぱいでベタ濃度が変動した場合に、75%平網濃度の変動幅は±0.05程度、85%平網濃度の変動幅は±0.07程度である。
【0032】
また、印刷機や印刷材料、周りの雰囲気などの微妙な変化の影響により、印刷物はある幅の範囲内変動することは良く知られている。これは、自然変動などと呼ばれるが、たとえば濃度値の推移をみると、ある範囲内で上下を繰り返し、その中央値が目標の濃度値となっている状態である。通常、インキ量を調節する場合には、この自然変動分プラスアルファ程度のしきい値を設定する。これは、しきい値を小さくしてあまり頻繁なインキ量調節を行って、かえって印刷物の変動を大きくしてしまうことを避けるためである。
【0033】
この自然変動分プラスアルファと、さらに濃度値の計測誤差を考慮すると、通常のオフセット印刷において、制御のためのしきい値は、ベタ濃度で±0.05程度以上とすることが望ましい。また、75%平網濃度や85%平網濃度では、±0.02、±0.03程度以上とすることが望ましい。
【0034】
以上のことから、濃度値の変動許容幅としきい値の関係は、以下のようにまとめられる。
ここで、しきい値調整可能量とは、印刷物の変動を許容幅内に納めるためにインキ量をコントロールする信号を出すしきい値であるため、コントロールされた結果が印刷物に反映されるまでの変動を考慮し、変動許容幅マイナス0.02とした。
【0035】
一方、濃度値の計測方法には、いろいろな方法がある、高速で移動する印刷用紙上のある1点を計測することを考えると、印刷用紙の暴れを吸収するための画像処理ができる方法が望ましい。その候補としては、CCDを使ったカメラやラインセンサが考えられる。CCDを使用した場合、その特性から、濃度値に換算した場合の有効数字は小数点以下2桁である。また、フォトマルなどの、光量の少ない部分に感度のよいセンサーを用いると、濃度値に換算した場合の有効数字は小数点以下3桁まで精度が上げられるが、印刷用紙の暴れを吸収するための画像処理ができないため、高速で移動する印刷用紙上の濃度値としては、むしろ精度が悪くなり、場合によって有効数字は小数点以下1桁になることもある。
【0036】
以上、制御のしきい値と濃度値の計測誤差という観点から考えると、75%平網の濃度値がインキ量コントロールの際の下限の好ましい値であると言える。
【0037】
次に、制御の効果の点から考える。
前述のように、ベタ部の管理だけでは、中間からライト部にかけての品質保証ができないので、中間とベタ部両方をバランスよく管理するために、60%から85%の平網の濃度値あるいは色情報を用いてインキ量をコントロールすることが有効である。管理に使用する平網%が小さくなるほど、中間部に近づくので、印刷物のベタ部よりも中間からライト部の品質が安定する。反対に、使用する平網%が大きくなるほど、ベタ部に近づくので、印刷物の中間からライトの変動が大きくなる。このことから、制御の観点からは網%が高い方がよいが、85%を越えることは望ましくない。
【0038】
従って、制御のしきい値と濃度値の計測誤差、制御の効果という観点から、75%から85%の間の平網の濃度値または色情報などの測定データを用いて制御することが望ましいと言える。
【0039】
オフセット印刷の場合には、インキ量の調整は、印刷の流れ方向に沿って分割されたブレードの開き量によって行われるため、絵柄と印刷の流れ方向で対応していないパッチからは、絵柄の情報は得ることができない。従って、好ましくは各ゾーンのブレードごとに、印刷の基本色であるK,C,M,Yの4色のインキ量を検査する部分を配置した方が良いが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0040】
コントロール・ストリップに入れられた、K,C,M,Y、各々の60〜85%の範囲の単色の平網パッチ、あるいはK100%のパッチとC、M、Yの各々の60〜85%の範囲からの情報によって、絵柄全体の印刷品質が作られる。
【0041】
K,C,M,Yの各々の60〜85%の範囲の単色の平網パッチからの情報には、インキ量とドットゲインに相当する情報が含まれており、各色とも中間からシャドーにかけてバランスのとれた印刷物が作成される。
Kの100%のパッチとC、M、Yの各々の60〜85%の範囲からの情報には、Kのインキ量に関する情報と、C、M、Yの各々のインキ量とドットゲインに相当する情報が含まれており、Kに関しては、インキ量が安定した、例えば文字の濃度の揃った、C、M、Yの各色については、中間からシャドーにかけてバランスのとれた印刷物が作成される。
以上のことから、従来のインキ量のみ管理された印刷物よりも、品質の高い印刷物が作成される。
【0042】
印刷機の1インキキーの幅は必ずしも限定されるわけではないが、代表例ではおよそ30〜40mm程度である。また本発明は、1インキキー幅に相当する印刷紙面上の範囲内にインキキーの並びに沿って配置する(代表例は1行に並べる)パッチの数を必ずしも制限するものではないが、仮に1インキキー幅が前記の30〜40mm程度であった場合、その範囲内に1行に並べるパッチの数は、最高でおよそ14個程度である。
尚、将来もしパッチの小型化が迫られ、また測定技術も発達しこれらの小型パッチさえも測定可能になってきても、本発明にある4つの類型のパッチを中心に利用する技術思想、特には本発明の4つの類型のパッチのみを利用する技術思想は、やはり適用されうる。
【0043】
<実施例1>
本実施例では、図1に示すようなコントロール・ストリップを使用した。図中、印刷機のインキキーはパッチの並びに沿って複数配置されており、この例ではK,C,M,Yの4つのパッチで1インキキーに対応する領域となる。また印刷時には、印刷用紙はこれらパッチの並びに垂直な方向に搬送される。
尚、K,C,M,Yの色の順番は任意であるが、もしこの例のように1インキキー相当内にこれら4パッチのみを配置する場合は、CとMを隣接させ1インキキーの中央に相当する位置に配置する並び方が管理精度の観点からより好ましい。
また、コントロール・ストリップを構成する複数パッチの繰り返しの単位中に、もし本発明に係る4通りのパッチ以外に、他の類型のパッチをさら配置する場合には、周辺の領域のインク等の影響を低減させる観点から、本発明に係る4通りのパッチをなるだけ繰り返し単位中の中央寄りに配置する方が好ましい。
【0044】
本実施例では、印刷方式としてオフセット印刷を採用したため、各インキブレード内に4色のパッチが入り、各々の色の情報が得られるよう、パッチのサイズを調整した。また、絵柄として女性、化粧品、空、森を含む自然画など、一般的な雑誌によくある絵柄を選んだ。
【0045】
まず最初に、各々のインキ量を検査するためのベタパッチからの情報によって印刷を行った。各々の値が基準範囲に入ったところで、連続した20枚をサンプリングした。その中からランダムに5枚を選び、分光光度計にて、色見本である校正刷りとの色差(CIELAB)を測定した。各々の印刷物と色見本との色差を平均した結果、平均値は2.9であった。色によっては、色差が5を越える個所もあった。一般に、印刷における色差については、6以下が望ましく、高級印刷物では、3以下が望ましいと言われている。
【0046】
次に、K,C,M,Y、各々80%の単色の平網パッチが入ったコントロール・ストリップを入れた版に変更し、同様のテストを行った。各色の値が基準範囲に入ったところで、連続した20枚をサンプリングした。その中からランダムに5枚を選び、分光光度計にて、色見本である校正刷りとの色差(CIELAB)を測定した。各々の印刷物と色見本との色差を平均した結果、平均値は2.4であった。色差の最大値は3.8であった。
【0047】
<実施例2>
コントロールストリップ中に、K,C,M,Y、各々80%の単色の平網パッチとベタパッチの計8個のパッチを設けて、80%の単色の平網パッチでインキキー制御を行った場合とベタパッチでインキキー制御を行った場合の色差と相対度数の関係を図2に示す。また、その時の平均色差と色差毎の相対累積度数%を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
図2を見ると、ベタ濃度制御に比べて80%平網制御の方が、色差の小さいところの度数が大きくなっているのがわかる。また、表1に示すとおり、平均色差や各色差毎の相対累積度数%においても80%平網制御の方がベタ濃度制御に比べて勝っているのがわかる。
【0050】
【発明の効果】
本発明による印刷方法の使用により、K,C,M,Y、各々のインキ量だけを考慮して制御された印刷物に比べて、色見本により近く再現された印刷物を作成することができる。
また、この印刷方法を用いることにより、スキルの低い若年層の印刷オペレータでも、スキルの高い熟練工と同程度とまではいかないが、中から低程度の要求品質に対応した印刷物を作成することができる。
このように、印刷紙面内に品質を測定するための平網パッチを設けたコントロール・ストリップを入れて、そのコントロール・ストリップを測定器で測定することにより、印刷物の品質を検査あるいは管理する精度アップや(処理や作業などの)能率アップに有効で、特にコントロール・ストリップに配置するパッチの数を節約してもなお印刷品質を検査あるいは管理する精度アップや能率アップに有効な、印刷方法およびそれに好適な印刷物を提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の印刷方法及び印刷物の一実施例におけるコントロール・ストリップを示す説明図。
【図2】本発明の印刷方法の他の実施例における80%濃度制御とベタ濃度制御を行った場合の色差と相対度数の関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1・・・コントロール・ストリップ
2・・・Kパッチ(60〜85%平網、又は100%平網)
3・・・Cパッチ(60〜85%平網)
4・・・Mパッチ(60〜85%平網)
5・・・Yパッチ(60〜85%平網)
Claims (7)
- 印刷紙面内にコントロール・ストリップを設け、該コントロール・ストリップのパッチを測定することにより得られたデ−タに基づいて、印刷品質を検査あるいは管理する印刷方法において、
前記パッチは、印刷機にある複数のインキキーの並びの方向に、複数色が繰り返し配置してあり、且つ、
少なくとも、印刷の基本色であるK,C,M,Yの各単色のそれぞれ、Kは、印刷による絵柄内の文字量及び前記絵柄の色によって100%若しくは60〜85%の範囲にある平網のパッチのいずれかを選択され、C,M,Yは、60〜85%の範囲にある平網のパッチであって、CとMは隣接しており、1インキキー幅内の中央寄りに配置された計4色のパッチを測定対象に含めた測定を行い、
得られたデータを該1インキキー幅内の印刷品質を代表するデータとして、検査あるいは管理を行うことを特徴とするパッチを用いた印刷方法。 - 印刷紙面内にコントロール・ストリップを設け、該コントロール・ストリップのパッチを測定することにより得られたデ−タに基づいて、印刷品質を検査あるいは管理する印刷方法において、
前記パッチは、印刷機にある複数のインキキーの並びの方向に、複数色が繰り返し配置してあり、且つ、
少なくとも、印刷の基本色であるK,C,M,Yの各単色のそれぞれ、Kは、印刷による絵柄内の文字量及び前記絵柄の色によって100%若しくは60〜85%の範囲にある平網のパッチのいずれかを選択され、C,M,Yは、60〜85%の範囲にある平網のパッチであって、並びが連続した複数個のインキキー分の幅内の中央寄りにCとMを隣接して配置された計4色のパッチを測定対象に含めた測定を行い、
得られたデータを該複数個のインキキー幅内の印刷品質を代表するデータとして、検査あるいは管理を行うことを特徴とするパッチを用いた印刷方法。 - 前記コントロール・ストリップのパッチの配置は、少なくとも、前記測定対象に含めた計4色の平網のパッチが複数個並んだ行が、印刷紙の流れ方向に1行のみ配置された構造であることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載のパッチを用いた印刷方法。
- 前記測定対象に含めた計4色の平網のパッチは、印刷紙の流れ方向を高さとして、それぞれ該高さが2mm以下であり、且つ、該1パッチの外形は高さより幅が大であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のパッチを用いた印刷方法。
- 複数色のパッチを備えたコントロール・ストリップが、印刷紙面内に設けてある印刷物であって、
該パッチは、印刷機にある複数のインキキーの並びの方向に、複数色が繰り返し配置してあり、且つ、
少なくとも、印刷の基本色であるK,C,M,Yの各単色のそれぞれ、Kは、印刷による絵柄内の文字量及び前記絵柄の色によって100%若しくは60〜85%の範囲にある平網のパッチのいずれかを選択し、C,M,Yは、60〜85%の範囲にある平網のパッチが、該印刷物の印刷に使用した印刷機の1インキキー幅内の中央寄りにCとMを隣接して配置してあることを特徴とする印刷物。 - 前記4色の平網のパッチが複数個並んだ行が、印刷紙の流れ方向に1行のみ配置された構造であることを特徴とする請求項5に記載の印刷物。
- 前記4色の平網のパッチは、印刷紙の流れ方向を高さとして、それぞれの高さが2mm以下であり、且つ、
該1パッチの外形は高さより幅が大きいことを特徴とする請求項5乃至6のいずれかに記載の印刷物。
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