JP4304892B2 - 溶接継手 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製鉄用圧延ロール軸の溶接補修、あるいは高炉、転炉などの製錬炉の炉体鉄皮の部分補修などのような拘束度の高い溶接継手に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、製鉄用ロール軸の折損や、高炉・転炉鉄皮の溶損、亀裂の補修を溶接により行う場合、ロール軸については、新しい軸材料を用意して既設ロール軸と溶接し、また、高炉・転炉鉄皮については、劣化・損傷した部分を除去し、その除去により形成された開口部分に対し新しい鉄皮を額縁形状に嵌め込んで溶接する方法が採られる。
【0003】
上記溶接の際に使用する溶接材料として、例えば、軸材料や鉄皮材料と同等の引張強さを有する、50〜80キロ高張力鋼用炭素鋼若しくは低合金鋼が使用される。
なお、上記製鉄用ロール軸や高炉・転炉鉄皮の材料は、一般に、炭素鋼若しくは合金鋼である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、製鉄用圧延ロール軸の軸材料は直径50mm以上の大径のものであり、また炉体鉄皮の板厚は25〜90mm程度と厚いため、溶接継手の拘束度が高い条件にある。このため、溶接による補修にあたって溶接継手部に溶接残留応力が強くなる傾向があり、このために、溶接残留応力による破壊といった事態が懸念される。
【0005】
通常、このような事態を防止するために、溶接ビードの1パス毎にピーニングにより塑性加工を施したり、JISZ3700に規定されるように、溶接後に600℃前後の後熱処理を施したりすることによって、溶接による残留応力を緩和することが推奨されている。
また、溶接部では拡散性水素に起因する遅れ破壊が問題となるため、溶接の前後に300℃程度で予熱、および後熱処理を行なうといった工程も必要である。
【0006】
このために、製鉄用圧延ロール軸の溶接補修、あるいは高炉、転炉などの製錬炉炉体鉄皮の部分補修などのような拘束度の高い溶接継手の溶接を行なうにあたって、溶接能率の低下や、予熱・後熱処理のような溶接前後に工程の追加を余儀なくされる結果、補修作業の長期化を招くといった問題点があった。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、拘束度の高い溶接継手の溶接を行なうにあたって、簡便な作業により溶接部の残留応力を低減し、遅れ破壊を防止することができて、能率的な溶接継手を提供することを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、各種溶接材料の性質と、溶接作業の前後におけるピーニング有無及び予熱、後熱の有無による溶接残留応力との関係について実験し調査した。その結果、炭素鋼・低合金高張力鋼を母材とする溶接に際して、低炭素オーステナイト系ステンレス溶接材料を使用した場合には、予熱なし、ピーニングなし、後熱なしの条件下でも溶接部の遅れ割れがなく、しかも溶接残留応力が低いことを見出した。
【0008】
本発明は、このような知見に基づきなされたものであり、上記課題を解決するために、炭素鋼及び合金高張力鋼の少なくとも一方の材料からなる鋼材間を溶接によって接合してなる溶接継手であって、拘束度が5000(N/mm・mm)以上の溶接継手において、溶接材料として炭素含有量が0.1mass未満の低炭素オーステナイト系ステンレスが使用されたことを特徴とするものである。
【0009】
ここで、拘束度とは、溶接継手の開先間隙(ルート間隔)を弾性的に平均1mm短縮せしめるのに要する単位溶接長当たりの力の大きさ、として定義されるものであり、単位は(N/mm・mm)で表される。本明細書では、(N/mm・mm)は(N/(mm・mm))を表す。
また、拘束度を5000(N/mm・mm)以上と規定しているのは、本発明が対象とする、製鉄用圧延ロール軸の溶接補修、あるいは高炉、転炉などの製錬炉炉体鉄皮の部分補修などに構成される溶接継手にあっては、通常、5000(N/mm・mm)程度の拘束度となっているからである。
【0010】
なお、対象とする拘束度の上限は、対象とする鋼材に生じる最大値であり、この拘束度であっても、予熱などが不要であることを確認してあるからである。
また、上記低炭素オーステナイト系ステンレスとは、炭素含有量が、0.1mass%未満のオーステナイト系ステンレスをいう。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
本発明では、高炉鉄皮の部分補修を溶接により行うことで形成される溶接継手を例に説明する。
次に、本願発明に基づく溶接継手の構築例を次に説明する。
【0012】
まず、高炉鉄皮1について、図1に示すように、劣化・損傷した部分を額縁状に開口する。次に、その開口部2に係合可能な形状の新たな鉄皮3を、当該開口部2内を額縁状に嵌め込む。このとき、新たな鉄皮3の外周端面と開口部2との間は、全周にあたって、図2に示す拡大図のようなルート間隔となるように設定されている。図2では、新たな鉄皮3の外周端面側のみを切り欠いて片側開先を形成している。
【0013】
次に、高炉鉄皮1と新しい鉄皮3との境界(接合部)に沿ってアーク溶接などの溶接方式で溶接して両者1,2を接合し溶接継手を構成する。図2中、符号4は溶接金属を指す。
上記溶接の際に使用する溶接材料として低炭素オーステナイト系ステンレスからなる溶接棒を使用する。
【0014】
ここで、上記鉄皮1,3は、肉厚であり、しかも炉体鉄皮1部分の剛性が高いと共に額縁溶接であるために、変形し難く拘束度が高い。また、溶接高さが25mm以上となるような厚肉の炭素鋼や合金鋼を溶接する場合には、溶接量が多くなるため、溶接残留応力が大きくなり、拘束力が高くなる。
このように、上記部分補修は拘束度の高い溶接継手となるが、本実施形態においては、溶接材料としてJISZ3221に規定されている溶接材の内のオーステナイト系ステンレス溶接材を用いることにより、残留応力の低減が可能となる。その理由は、オーステナイト系ステンレス溶接材では、高い引張応力を有しながら、0.2%耐力は比較的低いという性質があるためである。
【0015】
また、オーステナイト系ステンレス溶接材では、溶接金属4がオーステナイト金属相となり、結晶構造が面心立方格子となるため、その格子間に拡散性水素を固溶することが可能となる。したがって、溶接材料としてオーステナイト系ステンレスを採用することで、溶接作業前後の予熱、後熱処理作業を施さなくても溶接施工完了後の拡散性水素の働きによる遅れ破壊の発生が防止できる。
【0016】
このように、拘束度の高い溶接継手の溶接にあたり、本発明に基づき、溶接材料としてオーステナイト系ステンレス溶接材を用いることが好適である。
さらに、本実施形態では、JISZ3221に規定されるオーステナイト系ステンレス溶接材のなかでも、D309系やD310系のようなフェライト相の比較的少ない溶接材よりも、炭素量が少ないD308系のようなフェライト相が比較的多い溶接材、つまり低炭素オーステナイト系ステンレスを採用する。この理由は、オーステナイト系ステンレス溶接材の中で、フェライト相が比較的多い方が、0.2%耐力が低くかつ線膨張係数も低減できるので、溶接後の加工が不要で残留応力を低減することができるからである。
【0017】
以上の理由から、本実施形態の溶接継手においては、溶接作業の前後に予熱、後熱処理作業やピーニング処理などを施さなくても、拘束割れが回避でき、また、残留応力を低減することができる。
【0018】
【実施例】
本発明の効果を確認するために、上記図1に併記してあるように、長さ3m×幅3m×厚み90mmの試験材1の中央に対し、長さ0.5m×幅0.5mの開口を開け、この開口部2に、長さ0.492m × 0.492m×厚さ90mmの補修部材3を嵌めて額縁溶接を行なった。この溶接継手における拘束度は5000(N/mm・mm)であった。
【0019】
試験材1と補修部材3はいずれもJISG3106に規定されるSM520(引張強さ520〜640MPa)を用いた。
本発明に基づく実施例として、溶接材料にJISG3221に規定されるD308L−16(引張強さ546MPa,0.2%耐力327MPa)を用いて、ルートギャップ4mmの片側開先で溶接した。
【0020】
また、比較例として、溶接材料にJISG3212に規定されるD5016(引張強さ560MPa,0.2%耐力490MPa)を用いて、本実施例と同様にルートギャップ4mmの片側開先で溶接した。すなわち、溶接材料以外は、実施例と同じ条件とした。
そして、これら2種の試験体を用いて拘束割れ試験を行なったところ、図3に示す結果を得た。
【0021】
ここで、拘束割れ試験に際し、比較例による試験体は、溶接前に100℃で予熱したものと、予熱しなかったものとの2種の試験体で試験を行なった。なお、各条件で3回の試験を行なった。
図3から分かるように、比較例における予熱なしの条件で溶接を行なったものは、溶接部断面割れ率が40%を超える結果であったのに対し、本発明に基づく実施例の条件で溶接を行なったものは、予熱を行なわなくとも溶接部断面割れ率は3回とも0%であり、比較例で予熱を行なったものと同等以上の結果となった。
【0022】
さらに、上記比較例と実施例の2種の溶接を施した試験体を用いて、溶接残留応力を測定した。図4にその結果を示す。
この試験は、図2に示すように溶接継手の両側表裏にそれぞれ歪ゲージ5を貼付して溶接を行ない、溶接後の歪を計測することにより溶接により生じた応力を測定するものである。各部位に発生した応力値を、図4では幅で示している。
【0023】
比較例の条件で溶接した試験体では溶接後にピーニングを行なったもの、およびピーニングを行なった上に後熱処理を行なったものについても試験を行ない、示した。
図4に示されるように、比較例でピーニングや後熱処理を行なわなかったものでは高い溶接残留応力を示しているのに対し、本実施例では、ピーニングや後熱処理を施さなくても、従来法でピーニングや後熱処理を行なったものと同等の溶接残留応力レベルに留まっていることが分かる。
【0024】
以上のことから分かるように、本発明の適用により、拘束度5000(N/mm・mm)という高い拘束度の溶接において、溶接継手の溶接前の予熱や、溶接後の後熱処理、ピーニングといった処理を施さなくても、拘束割れを回避でき、また残留応力を低減することができる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明を採用すると、拘束度が5000(N/mm・mm)を超えるような高い拘束度の溶接継手であっても、溶接継手部の予熱や、後熱処理、ピーニングといった処理を省略することが可能となり、溶接工程を簡略化することができ、溶接能率を向上させて、工期短縮が可能となる溶接継手を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく実施形態に係る溶接継手の形成を説明するための図である。
【図2】本発明に基づく実施形態に係る溶接継手を説明するための図である。
【図3】実施例における各溶接継手と溶接部断面割れ率との関係を説明する図である。
【図4】実施例における各溶接継手と溶接残留応力との関係を説明する図である。
【符号の説明】
1 鉄皮
2 開口部
3 新たな鉄皮
4 溶接金属
5 歪ゲージ

Claims (1)

  1. 炭素鋼及び合金高張力鋼の少なくとも一方の材料からなる鋼材間を溶接によって接合してなる溶接継手であって、拘束度が5000(N/mm・mm)以上の溶接継手において、溶接材料として炭素含有量が0.1mass未満の低炭素オーステナイト系ステンレスが使用されたことを特徴とする溶接継手。
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