JP4304450B2 - 真空排気装置 - Google Patents

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本発明は、コールドトラップとターボ分子ポンプとを併用した真空排気装置に関する。
真空チャンバ内を排気する真空排気装置の一例としてターボ分子ポンプがある。このターボ分子ポンプは、排出しようとする気体分子の分子量(分子の大きさ)により排気性能が異なる。特に分子量が小さい水蒸気の排気が困難であり、例えば、ターボ分子ポンプにより真空チャンバ内の気体を排気し、10−6Pa〜10−12Pa程度まで排気した場合、真空チャンバ内における残留ガスは、その大部分が水蒸気である。このような水蒸気が真空チャンバ内に残留すると、真空度および真空環境に悪影響を及ぼす。
そこでターボ分子ポンプの上流(一般には真空チャンバとターボ分子ポンプとの間)にコールドトラップが設けられる。
このコールドトラップは、極低温に冷却された面(以下、コールドパネルという)と接するようにガスを通過させ、このような通過するガスに含まれる水蒸気を冷却して氷に凍結して捕集する装置であり、真空チャンバ内に水蒸気の少ない真空環境を得ることができる。
コールドトラップの水蒸気除去により、ターボ分子ポンプに水蒸気をあらかじめ取り除いたガスを流入させて、真空チャンバの排気速度を向上させることができる。また、コールドトラップは冷却温度を適宜設定することにより、他のガス(例えば、Br,NH,Cl,CO等)も凍結捕集することができる。
なお、本来は固体(氷)から気体(水蒸気)への変化、および、気体(水蒸気)から固体(氷)への変化をともに昇華というが、混乱を招きやすいことに鑑み、本明細書中では特に気体(水蒸気)から固体(氷)への変化を凍結といい、固体(氷)から気体(水蒸気)への変化を昇華と呼んで区別する。
さて、このようなコールドトラップには各種の従来技術がある。他の従来技術として、例えば、特許文献1(ターボ分子ポンプ)、または、特許文献2(コールドトラップおよび真空排気装置)に記載された発明が知られている。
特許文献1には、液体窒素により冷却するコールドトラップについて記載されており、また、特許文献2には、GM方式(ギフォード・マクマホン方式)のヘリウム冷凍機を利用するコールドトラップについて記載されている。
特開平9−317688号公報 (段落番号0022〜0036,図1〜図4) 特開平11−294330号公報 (段落番号0032〜0049,図1〜図3)
コールドトラップは、冷却されたコールドパネルに気体分子を凍結吸着させて、コールドパネル全面が氷で覆われるまで溜めるという溜め込み方式であるため、一定の運転時間ごとにコールドパネルから氷を除去する再生を行う必要がある。
コールドパネルの再生には、外部ヒータによる加熱方法や、または、コールドパネル近傍に配管を配置しておき、ガスなどの冷媒を加熱して流すことにより、コールドパネルの温度を上昇させるようにする方法が行われている。しかし、コールドパネルの再生に関し、従来技術によるコールドトラップには以下のような課題がある。
<特許文献1記載の液体窒素により冷却するコールドトラップ>
(1)冷媒として使用する液体窒素の補給、保管設備が必要であり、ランニングコストも高い。
(2)特許文献1の図1で示すように、コールドパネル(コールドトラップ50)の再生に液体窒素を加熱した窒素ガスを用いているが、間接的な加熱のためコールドパネル(コールドトラップ50)の温度上昇に時間を要し、生成の立ち上がりが遅い。
<特許文献2記載のGM方式のヘリウム冷凍機を利用するコールドトラップ>
(1)GM方式のヘリウム冷凍機3(特許文献2の図1,図2参照)は、配管8(低温端)が低温になるまでの立ち下がり時間が長いため、一旦立ち下げたら負荷に関係なく定格で連続運転する必要がある。また、原理的に冷凍機の効率が低いため消費電力が大きい。
(2)特許文献2の図1,図2で示すように、コールドパネル(パネル6)の再生は、GM式のヘリウム冷凍機を運転したまま行うため、冷凍機3の配管8(冷却端部)の温度を上げるための加熱手段に容量が大きなものが必要となる。
(3)冷凍機3には機械的な膨張ピストンが存在するため、シリンダ内を封止するガスシールを使用している。このガスシールに使用される樹脂部分の耐熱温度、および、ガス放出等の諸条件により、再生温度が100℃以下程度に制限され、再生の効率が悪くなり、再生時間がかかる。
そこで、上記した問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、再生に要する時間(以下、再生時間という)が短く、かつ、ランニングコストを低減するコールドトラップにターボ分子ポンプを併用した真空排気装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に係る真空排気装置は、
ケーシング内にコールドパネルを備えるコールドトラップと、当該コールドトラップから流出したガスを排気するターボ分子ポンプと、当該ターボ分子ポンプによりガスが排気される真空チャンバと、前記コールドパネルの温度を制御する温度制御手段と、から構成される真空排気装置であって、
前記真空チャンバは、真空チャンバ内の圧力を計測する圧力計測手段を備え、
前記コールドトラップは、前記コールドパネルを加熱する加熱手段と、圧縮機、膨張機および冷却端を有し、少なくとも前記ケーシングの内部に冷却端が前記コールドパネルに熱的に接続されて配置される冷凍機と、前記コールドパネルの温度を計測する温度計測手段と、を備え、
前記温度制御手段は、前記圧力計測手段、前記加熱手段、前記冷凍機および前記温度計測手段が接続され、前記圧力計測手段が計測した真空チャンバ内の圧力および前記温度計測手段が計測したコールドパネルの温度に基づき、前記真空チャンバの圧力を所定圧力に維持しつつ、コールドパネルの温度を目標温度とするように冷凍機または加熱手段を制御することを特徴とする。
この構成によれば、冷凍機または加熱手段を温度制御することで、コールドパネルの表面温度(トラップ面)を吸着・再生に最適な任意の温度とすることができる。
求項に係る真空排気装置は、
請求項記載の真空排気装置において、
前記温度制御手段は、
前記真空チャンバの圧力が所定圧力より上昇した場合には、前記コールドパネルの温度が低下するように冷凍機または加熱手段を制御し、
前記コールドパネルの温度が目標温度より低く、かつ、前記真空チャンバの圧力が所定圧力以下の場合には、コールドパネルの温度が上昇するように冷凍機または加熱手段を制御することを特徴とする。
求項に係る真空排気装置は、
請求項1または請求項2に記載の真空排気装置において、
真空排気装置の通常運転中にコールドパネルを再生するに際し、
前記温度制御手段は、前記圧力測定値に基づき再生時のコールドパネルの目標温度と温度上昇時間とを設定することを特徴とする。
求項に係る真空排気装置は、
請求項1〜請求項の何れか一項に記載の真空排気装置において、
前記加熱手段は、前記コールドパネルに内蔵されることを特徴とする。
この構成によれば、コールドパネルを均一に素早く加熱できるとともにヒータ等の構成部材からのアウトガスを真空チャンバ内に放出することがない。
求項に係る真空排気装置は、
請求項1〜請求項の何れか一項に記載の真空排気装置において、
前記コールドパネルは、低温域における熱伝導率が大きい純チタンを材料とすることを特徴とする。
この構成によれば、コールドパネルの表面温度分布を、通常用いられるステンレス材に比べて均一にすることができるので、コールドパネルの有効表面積を大きくすることができる。
求項に係る真空排気装置は、
請求項1〜請求項の何れか一項に記載の真空排気装置において、
前記コールドパネルは、低温域における熱伝導率が大きい銅または銅合金を材料とすることを特徴とする。
この構成によれば、純チタン同様にコールドパネル全体の表面温度分布を、通常用いられるステンレス材に比べて均一にすることができるため、コールドパネルの有効表面積を大きくすることができる。
求項に係る真空排気装置は、
請求項に記載の真空排気装置において、
前記コールドパネルは、その表面に耐食性を向上させる保護層を形成したことを特徴とする。
銅または銅合金にガスが接触しないような保護層を形成することで銅または銅合金の表面の腐食を防止することができる。
求項に係る真空排気装置は、
請求項1〜請求項の何れか一項に記載の真空排気装置において、
前記コールドパネルは、水分子を凍結捕集するトラップ面を、突起体を多数形成した凹凸面またはなし地面として表面積を大きくし、トラップ面以外の外表面を放射率の小さな光沢面とすることを特徴とする。
この構成によれば、低温側であるトラップ面として、例えば、なし地状の面、突起体による凹凸面を採用することでガスを吸着できる表面積を大きくすることができる。また、トラップ面以外の外表面を逆に放射率の小さな光沢面として常温側から侵入する熱量を低減できる。
以上のような本発明によれば、再生時間が短く、かつ、ランニングコストを低減するコールドトラップにターボ分子ポンプを併用した真空排気装置を提供することができる。
続いて、本発明を実施するための最良の形態について、図を参照しつつ説明する。図1は本形態のコールドトラップ、ならびに、コールドトラップおよびターボ分子ポンプからなる真空排気装置の側面断面図、図2は本形態の真空排気装置のブロック構成図、図3は温度制御系のブロック図、図4は本形態の真空排気装置のブロック構成図である。
本形態の真空排気装置100は、図1,図2で示すように、コールドトラップ10とターボ分子ポンプ20とを備えている。図1では具体的構成を、図2では単純化したブロック図として図示している。
コールドトラップ10は、ケーシング11と、コールドパネル12と、ヒータ13と、パルスチューブ冷凍機14と、温度センサ15と、端子部16と、コントローラ17と、電源18と、を備えている。
ケーシング11は、胴部11aと、フランジ11bと、を備えている。胴部11aは円筒状であり、フランジ11bはこの胴部11aの上下の開口部の周縁に連接して形成されている。
コールドパネル12は、外周パネル12a、内周パネル12b、支持部12cを備えている。
外周パネル12aは略円筒体であり、その内側に棒やパイプなどである支持部12cが取り付けられる。内周パネル12bは、外周パネル12aの内側に収納できる大きさの略円筒体であり、支持部12cに支持固定されている。これら外周パネル12a、内周パネル12b、支持部12cは熱的に接続されている。このコールドパネル12は、ケーシング11内の略中央に設置される。
このようなコールドパネル12は、70K(−203℃)程度の極低温でステンレスよりも熱伝導率の大きな純チタンを材料として製作される。純チタンを材料とするコールドパネル12を使用することにより、表面温度分布を通常用いられるステンレス材に比べて均一にすることができ、コールドパネル12の有効表面積を大きくすることができる。
また、純チタンは水蒸気・ガスに対して錆びないため耐食性が高いという利点もある。
また、このコールドパネル12は、70K(−203℃)程度の極低温域においてステンレスよりも熱伝導率が大きい銅または銅合金を材料としても良い。このように熱伝導率が大きいため、冷却端14aの熱が直ちにコールドパネル12全体に熱伝導されて短時間でコールドパネル12全体が冷却端14aと同じ温度となる。この場合、コールドパネル12全体の表面温度分布が均一な状態となり、通常用いられる熱伝導率が小さいステンレス材のように不均一な温度分布とならないため、コールドパネル12の有効表面積を大きくすることができ、コールドパネル12の全面で水分子を捕集できる。
さらに銅または銅合金を材料とするコールドパネル12は、その表面に耐食性を向上させる保護層(具体的にはニッケルメッキ層)を形成し、ガスが銅・銅合金と接触しないようにしている。これにより、腐食(つまり酸化)しやすい銅または銅合金に対して、耐食性を向上させてガス(特に水蒸気)により緑青等が生じないように配慮している。銅または銅合金の熱伝導性とニッケルの耐腐食性により、コールドトラップ10特有の用途(水分子の凍結捕集)に適したものとしている。
さらに、外周パネル12aおよび内周パネル12bの内側面(トラップ面)は、例えばブラスト加工やピーニング加工によりなし地状に形成して表面積を拡大するように構成する。なお、表面積を拡大できれば良く突起体を多数形成した凹凸面としてもよい。
また、外周パネル12aおよび内周パネル12bの外側面(ケーシング11の胴部11aに相対向する面)ではできるだけ放射率の小さな鏡面(光沢面)に仕上げて放射率を小さくするように構成する。これにより常温側から侵入する熱量を低減できる。
ヒータ13は、本発明の加熱手段の一具体例であり、例えばコールドパネル12の外周面パネル12aおよび内周面パネル12bの内部にサンドイッチ状に密封内蔵され、円筒状となった面状ヒータであり、電流線や絶縁部がコールドパネル12の外周面パネル12aおよび内周面パネル12bのトラップ面から露出しないように構成する。
なお、ヒータ13は、コールドパネル12の外周面パネル12aおよび内周面パネル12bにほぼ均一に設置できればシーズヒータのような線状ヒータでも良い。また、コールドパネル12の外周面パネル12aおよび内周面パネル12bを鋳物として製造する場合には、鋳込みヒータとしても良く、各種ヒータの採用が可能である。
パルスチューブ冷凍機14は、本発明の冷凍機の具体例であり、冷却端14a、膨張機14b、圧縮機14cを備えている。パルスチューブ冷凍機14は、ヘリウムガスを冷媒としたクローズドタイプの冷凍機であり、膨張機14bおよび圧縮機14cのスターリングサイクルにより冷却端14aが冷却されるように構成されている。通常のスターリング型冷凍機では膨張機がピストンとシリンダとにより機械的に構成されるが、パルスチューブ冷凍機14では可動部がなく、パルスチューブ(図示せず)内のガス(ガスピストン)がその役割を担っている。
パルスチューブ冷凍機14は、ケーシング11の胴部11aの外側面に圧縮機14cおよび膨張機14bが取り付けられ、また、ケーシング11の胴部11aの内部に少なくとも冷却端14aが配置されるように取り付けられる。
外周パネル12aは、このパルスチューブ冷凍機14の冷却端14aに熱的に接続されており、外周パネル12a、支持部12c、内周パネル12bという経路を経てコールドパネル12全体が、パルスチューブ冷凍機14により冷却される。
温度センサ15は、本発明の温度計測手段の一具体例であり、図1で詳述していないが、シーズタイプのものをコールドパネル12の外周パネル12aや内周パネル12bに取り付け、コールドパネル12の主要部の温度を計測できるようにする。
端子16は、ヒータ13に接続された電流線および温度センサ15に接続された信号線をケーシング11から引き出すために設けられる。この端子16は真空下で使用できるものであり、例えばハーメチック等が用いられる。
コントローラ17は、本発明の温度制御手段の一具体例であり、ケーシング11から外部に引き出された制御線、電流線および信号線と接続されている。コントローラ17は、電流線を介して接続されるヒータ13、制御線を介して接続されるパルスチューブ冷凍機14、さらに信号線を介して接続される温度センサ15に対して後述するような情報の読み出し、各種の制御を行う。
電源18は、コントローラ17を介してヒータ13やパルスチューブ冷凍機14へ電源を供給する。このコールドトラップ10の温度制御系は図3で示すようになる。なお、圧力センサ19については後述する。
コールドトラップ10はこのように構成される。
ターボ分子ポンプ20は、周知技術であるが、多数の動翼と多数の固定翼を交互に配置し、動翼を数万rpmという極めて高速で回転させて、分子を移動させて排気するポンプである。クリーンな真空が得られる、という利点がある。
これらコールドトラップ10およびターボ分子ポンプ20により真空排気装置100が構成される。
続いて、真空排気装置100を稼働させるときのコールドトラップ10およびターボ分子ポンプ20の動作について説明する。なお、図4で示すような排気システムを想定し、真空チャンバ30、ゲートバルブ40、コールドトラップ10、ターボ分子ポンプ40が接続され、真空チャンバ10内を排気するものとして説明する。
上記構成の真空排気装置100において、ターボ分子ポンプ20の排気とともにコールドトラップ10を動作させる。
真空チャンバ30内のガスが排気され始めると、真空チャンバ30内のガスの圧力が低下し始める。真空チャンバ30内のガスの圧力の低下とともに真空チャンバ30の水分は水蒸気へと気化する。これらの水蒸気を含むガスが、ゲートバルブ40を経てコールドトラップ10を通過する。
コールドトラップ10では、図1,図3で示すように、コントローラ17がパルスチューブ冷凍機14を運転を開始するとともに、温度センサ15が出力する温度計測信号をフィードバック入力することにより、コールドパネル12を所定温度に維持する。
例えば、コールドパネル12の所定温度の一例として水蒸気のみを凍結捕集する最適な温度である120K〜150K(−153℃〜−123℃)の範囲内の温度を選択して制御し、コールドパネル12に水蒸気を凍結捕集して吸着させるようにする。
これにより、真空チャンバ30内の水分が吸着され、水分以外の分子はターボ分子ポンプ20で高い圧縮比に圧縮されて排気される。
このようなコールドトラップ10について以下のような利点がある。
例えば、従来技術のGM式の冷凍機では、一旦稼働させたならば負荷に関係なく定格で連続運転していたが、本形態のコールドトラップ10では、パルスチューブ冷凍機14の運転を、コールドパネル10の吸着能力に応じた最適な温度となるような電力とするだけでよく、無駄な電力消費を回避できる。
また、コールドトラップ10は、冷却ではパルスチューブ冷凍機14を用いたり、加熱ではヒータ13を用いたり、または、パルスチューブ冷凍機14およびヒータ13を併用したりすることで、コールドパネル12に直接に冷却・加熱の両方が可能となり、60K〜573K(−213℃〜300℃)という広範囲の任意の温度に制御でき、水蒸気だけでなく任意のガス(例えばBr,NH,Cl,CO等)を選択吸着することも可能である。
さて、このようなコールドトラップ10のコールドパネル12の全面が氷に覆われて吸着効率が落ち、排気速度が低下した場合は、以下の第1の方法(便宜上、急速再生法と呼ぶ。)および第2の方法(便宜上、緩速再生法と呼ぶ。)によりコールドパネル12から氷を取り除いて再生することができる。以下、第1,第2の方法について説明する。
第1の方法(急速再生法)について
本方法では、凝結した氷を急速に高温加熱して全て水蒸気とし、コールドトラップ10内から排気除去して、コールドパネル12を急速に再生するというものである。以下、図1,図3,図4を参照しつつ時系列的に説明する。
(1)図4で示すように。真空チャンバ30とコールドトラップ10との間に設けたゲートバルブ40を閉じる。
(2)図1,図3で示すように、コントローラ17がパルスチューブ冷凍機14の運転を停止するように制御する。
(3)コントローラ17がヒータ13を制御し、コールドパネル12を一気に300℃まで加熱する。コントローラ17は温度センサ15から出力される温度計測信号に基づいて、立ち上がり時間が最短となるように温度制御する。
(4)ケーシング11の胴部11aに設けた図示しない再生排気口から気化した水蒸気を排出する。なお、再生排気口の下流には図示しない真空ポンプが接続され、高速に排気する。
(5)コントローラ17がパルスチューブ冷凍機14の運転を再開するように制御する。
(6)図4で示すように、真空チャンバ30とコールドトラップ10との間に設けたゲートバルブ40を開き、ターボ分子ポンプ20による真空チャンバ40内の排気を継続する。
このような急速再生方法の採用は、従来技術では困難であった。従来のGM式冷凍機の膨張機は、樹脂材による耐摩耗性シールが存在するため、上限温度が100℃以下に制限されている。最近では180℃程度で再生できるものも出現しているが、本質的に高温加熱はできない構成である。
一方、本形態では、特に、パルスチューブ冷凍機14のパルスチューブ膨張機は可動部がなく、全て金属で構成されている。これにより温度の上限が緩和され、短時間で300℃まで加熱することができる。これにより再生時間を大幅に短縮できる。
第2の方法(緩速再生法)について
本方法では、真空排気装置100を通常運転している最中に、コールドパネル12に凍結した氷を少しづつ水蒸気に昇華し、コールドトラップ10内からターボ分子ポンプ20を経て少しづつ排気除去して、コールドパネル12を緩速(ゆっくり)に再生するというものである。
(1)図1で示すように、コントローラ17は、真空チャンバ30(またはコールドトラップ10のケーシング11)の内部に設けられた圧力センサ19(図3参照)から圧力計測信号を入力する。例えば圧力センサ19(図3参照)からの圧力計測信号に基づいてコントローラ17が10−8Paと判断したものとする。
(2)コントローラ17は、この圧力計測信号から算出した圧力に対応する水蒸気の飽和温度を図示しないメモリから読み出す。例えば10−8Pa に対応する飽和温度は約130Kである。
(3)コントローラ17は、コールドパネル12の温度が飽和温度より少し低い温度となるように制御する。この場合コントローラ17の制御は、温度センサ15から出力される温度計測信号をフィードバック入力し、目標温度に近づくようにヒータ13(またはパルスチューブ冷凍機14)の温度を制御する。ここに目標温度とは例えば飽和温度130Kを下回る約125Kであるものとする。コールドパネル12に直接接触する位置にある氷は飽和温度を上回ることはないが、コールドパネル12から離れた箇所にある氷は飽和温度を超える。
(4)飽和温度に到達した氷は、この低温度下では液化することなく、直ちに水蒸気へと昇華する。
(5)以下、コールドパネル12の温度を飽和温度130Kに近づけるように徐々に上昇させて、コールドパネル12を徐々に再生する。ここで温度上昇時間は予め実験等により最適な時間を図示しないメモリに登録するようにしても良い。
なお、温度上昇が急激すぎると、水蒸気分子の増大により真空チャンバ30内の真空度が低下するため、コントローラ17は、圧力センサ19から出力される圧力計測信号から得られる圧力値を監視し、圧力が急激に上昇しないようにヒータ13(またはパルスチューブ冷凍機14)の温度を上昇させていき、圧力値が上昇(真空度が低下)したならば、ヒータ13を停止させる(またはパルスチューブ冷凍機14による冷却温度の低下させる)ような制御を行うようにしてもよい。
なお、本実施形態ではコールドトラップ10の下流に直接ターボ分子ポンプ20を直列に配置した構成であるが、他の形態を採用することもできる。図5,図6は他の真空排気装置のブロック構成図である。
例えば、図5で示すように、真空チャンバ30の上流にコールドトラップ10を、また、下流にターボ分子ポンプ20を接続してもよい。
また、図6で示すように真空チャンバ30にそれぞれ多数の真空排気装置100を並列に取り付けても良い。真空チャンバ30の大きさによって接続数が決定される。
以上の通り、本発明のコールドトラップ10または真空排気装置100によれば、最適な電力でコールドパネル12の表面温度を吸着に最適な任意の温度に一定に保つことができる。このため、ヒータ13の加熱による余分な電力を必要としないのでランニングコストを大幅に低減することができる。
また、コールドパネル12の温度を最低60K(−213℃)から最高573K(+300℃)までに制御できるので、水蒸気以外にも、吸着しようとするガスの吸着特性に合わせた最適温度による選択吸着を可能とし、さらに再生時には、水分の放出を短時間で効果的にコントロールすることができる。
また、加熱手段であるヒータ13をコールドパネル12に内蔵したため、コールドパネル12を均一に素早く加熱できるとともにヒータ13の構成部材からのアウトガスを真空チャンバ30内に放出することがないので、信頼性の高いクリーンな環境を提供できる。
また、冷凍機として高効率でコンパクトなパルスチューブ冷凍機14を採用した。このパルスチューブ冷凍機14が内蔵するパルスチューブ膨張機には、樹脂など非金属の摺動材などの可動部がなく、全て金属製の部品で構成されており、再生処理時の加熱温度を可動部のあるGM冷凍機に比べて大幅に高く設定することができるとともにヒートショックに対する信頼性も向上させることができる。
また、コールドパネル12の表面材質を低温域における熱伝導率がステンレスよりも大きい純チタンや、銅または銅合金としたため、コールドパネル12の表面温度分布を通常用いられるステンレス材に比べて均一にすることができ、コールドパネル12の有効表面積を大きくすることができ、吸着速度を大きくすることができる。
なお、銅または銅合金のコールドパネルには水蒸気による錆を発生させないように保護層を形成して耐食性を向上させ、装置寿命を長くしている。
また、コールドパネル12の表面のうち、トラップ面をなし地の面とすることでガスを吸着できる表面積を大きくし、また、トラップ面以外の外表面の表面積と放射率を小さくしたため、常温側から侵入する熱量を低減でき、効率のよいコールドトラップとすることができる。
また、水分子を凍結捕集した後の気体を流出させるコールドトラップ10と、気体分子を圧縮して排出するターボ分子ポンプ20と、を備えたため、ガス吸着時はコールドパネル12の負荷に応じて温度制御し、再生時はパルスチューブ冷凍機14を停止してヒータ13により均一に高温で加熱することができるので、ターボ分子ポンプ20と併用して稼働率が高く、ランニングコストの低い真空排気装置100を提供することができる。
本発明を実施するための最良の形態のコールドトラップ、ならびに、コールドトラップおよびターボ分子ポンプからなる真空排気装置の側面断面図である。 本発明を実施するための最良の形態の真空排気装置のブロック構成図である。 温度制御系のブロック図である。 本発明を実施するための最良の形態の真空排気装置のブロック構成図である。 本発明を実施するための最良の形態の他の真空排気装置のブロック構成図である。 本発明を実施するための最良の形態の他の真空排気装置のブロック構成図である。
符号の説明
100 :真空排気装置
10 :コールドトラップ
11 :ケーシング
11a :胴部
11b :フランジ
12 :コールドパネル
12a :外周パネル
12b :内周パネル
12c :支持部
13 :ヒータ
14 :パルスチューブ冷凍機
14a :冷却端
14b :膨張機
14c :圧縮機
15 :温度センサ
16 :端子部
17 :コントローラ
18 :電源
19 :圧力センサ
20 :ターボ分子ポンプ
30 :真空チャンバ
40 :ゲートバルブ

Claims (8)

  1. ケーシング内にコールドパネルを備えるコールドトラップと、当該コールドトラップから流出したガスを排気するターボ分子ポンプと、当該ターボ分子ポンプによりガスが排気される真空チャンバと、前記コールドパネルの温度を制御する温度制御手段と、から構成される真空排気装置であって、
    前記真空チャンバは、真空チャンバ内の圧力を計測する圧力計測手段を備え、
    前記コールドトラップは、前記コールドパネルを加熱する加熱手段と、圧縮機、膨張機および冷却端を有し、少なくとも前記ケーシングの内部に冷却端が前記コールドパネルに熱的に接続されて配置される冷凍機と、前記コールドパネルの温度を計測する温度計測手段と、を備え、
    前記温度制御手段は、前記圧力計測手段、前記加熱手段、前記冷凍機および前記温度計測手段が接続され、前記圧力計測手段が計測した真空チャンバ内の圧力および前記温度計測手段が計測したコールドパネルの温度に基づき、前記真空チャンバの圧力を所定圧力に維持しつつ、コールドパネルの温度を目標温度とするように冷凍機または加熱手段を制御することを特徴とする真空排気装置。
  2. 請求項1記載の真空排気装置において、
    前記温度制御手段は、
    前記真空チャンバの圧力が所定圧力より上昇した場合には、前記コールドパネルの温度が低下するように冷凍機または加熱手段を制御し、
    前記コールドパネルの温度が目標温度より低く、かつ、前記真空チャンバの圧力が所定圧力以下の場合には、コールドパネルの温度が上昇するように、冷凍機または加熱手段を制御することを特徴とする真空排気装置。
  3. 請求項1または請求項2記載の真空排気装置において、
    真空排気装置の通常運転中にコールドパネルを再生するに際し、
    前記温度制御手段は、前記圧力測定値に基づき再生時のコールドパネルの目標温度と温度上昇時間とを設定することを特徴とする真空排気装置。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の真空排気装置において、
    前記加熱手段は、前記コールドパネルに内蔵されることを特徴とする真空排気装置。
  5. 請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の真空排気装置において、
    前記コールドパネルは、低温域における熱伝導率が大きい純チタンを材料とすることを特徴とする真空排気装置。
  6. 請求項1〜請求項の何れか一項に記載の真空排気装置において、
    前記コールドパネルは、低温域における熱伝導率が大きい銅または銅合金を材料とすることを特徴とする真空排気装置。
  7. 請求項に記載の真空排気装置において、
    前記コールドパネルは、その表面に耐食性を向上させる保護層を形成したことを特徴とする真空排気装置。
  8. 請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の真空排気装置において、
    前記コールドパネルは、水分子を凍結捕集するトラップ面を、突起体を多数形成した凹凸面またはなし地面として表面積を大きくし、トラップ面以外の外表面を放射率の小さな光沢面とすることを特徴とする真空排気装置。
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