JP4303451B2 - タイヤ/車輪の質量非一様性を使用してステアリング性能安定性を向上させる方法 - Google Patents

タイヤ/車輪の質量非一様性を使用してステアリング性能安定性を向上させる方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗物、特に空気入りタイヤを有する乗物のステアリング性能を向上させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
「ステアリング性能」(または単に「ステアリング」)は、乗物のステアリング(および/または「ハンドリング」)がステアリングホイールの動きに応答しているように感じる乗物の運転者の感覚を指す。ステアリング性能が高いほど、乗物のステアリングを制御しているように感じる運転者の「感覚」が強くなる。ステアリング性能は、運転者の側の「感覚」に関係しているので、乗物のステアリングの主として主観的な評価である。ステアリング性能は、時間の経過に応じて変化し、乗物のステアリングシステムの要素が磨耗、老朽化、または損傷するために主として低下する恐れがある。ステアリングシステムの部品には、ステアリングホイールと、タイヤおよび車輪と、ステアリングボックス、あらゆる補助動力部品、リンケージおよびジョイントのようなタイヤと車輪の間にあるあらゆる部品とが含まれる。ステアリング性能は、例えば路面の状態、乗物の速度、ステアリングホイールの設定、タイヤの空気圧の小さい変化、タイヤ/車輪の一様性の変化(例えば、釣合い)を含む動作条件に応じて変化することもある。
【0003】
ステアリング性能の低下を一般に、「ステアリング性能損失」(SP損失)または「ギブアップ」と呼ぶ。ステアリング性能損失に強いステアリングシステムまたは部品は「安定」しており、「ステアリング性能安定性」を有すると言える。同様に、乗物のステアリングシステムにおけるSP損失を遅延させるかまたは防止するように思われる、部品の任意の変更は、ステアリング性能安定性を向上させると言える。さらに、一般に非常に良好で切れの良いステアリングを有する乗物の方がSP損失が顕著であることを述べておく必要がある。最後に、ステアリング性能安定性を向上させるステアリング要素の変更によって通常、ステアリング性能に対する運転者の認識も改善されることが指摘されている。この逆は真にならない場合がある。即ち、ステアリング性能を向上させる要素の変更は最初、安定しないことがあり、したがって、この場合、ステアリング性能は急速に低下して正味ステアリング性能損失をもたらす。
【0004】
ステアリング性能損失は主として、空気入りタイヤおよび補助動力ステアリング(パワーステアリング)を有する乗用車における問題である。ただし、この現象は、パワーステアリングを有さない乗用車でも見られる。経験を積んだ運転者ならば乗物のほぼあらゆる速度でステアリング性能を判定することができるが、ステアリング性能(したがって、性能の変化、例えばSP損失)は、乗物のある速度しきい値を超えたときに最も顕著になる。SP損失は一般に経時的な変化であるが、事実上瞬間的に生じることもある。
【0005】
ある種の乗物は比較的SP損失を受けやすいようであり、(特にこのような乗物では)ステアリング性能が、タイヤ構成の違い、または場合によっては同じタイヤ構成のあるタイヤと別のタイヤとの違いの影響を受けることが指摘されている。(一般的な業界用語の「タイヤ構成」は、例えばタイヤ/カーカス形状、トレッドパターン、プライの数および種類、使用される材料および製造方法などを含む、タイヤの構造のすべての要素を含む。)タイヤの一様性(例えば、釣合い)がタイヤ毎に異なり、タイヤの釣合いが取れていない場合、ステアリングで感じられる振動が起こり、したがって、タイヤの一様性はほぼ普遍的に、タイヤおよび車輪を製造している間およびタイヤ/車輪組立体を形成した後にタイヤ・車輪構造において調節されることが公知である。タイヤ/車輪の一様性が向上すると、ステアリング性能が改善され、場合によってはステアリング性能安定性の改善にもつながると一般に仮定されている。上記で指摘したように、これは常にそうなるわけでなく、したがって、タイヤ構造の様々な変更のような、SP損失に対する他の解決策に関する多くの研究がなされている。
【0006】
タイヤ・乗物業界は一般に、タイヤの構成/構造にはかかわらず、タイヤの最高の一様性を追及し、さらに、乗物で使用される車輪上にタイヤが取り付けられるときにはいつでもタイヤ/車輪組立体の最高の一様性を追及する。これは、タイヤ製造業者がタイヤの最適な一様性を追求し、車輪製造業者が車輪の最適な一様性を追及し、次に乗物の運転者が、タイヤ/車輪組立体を「釣合い」に関して試験し補正する多部品(multi−part)最適化プロセスである。
【0007】
タイヤの一様性およびタイヤ/車輪の釣合いはタイヤ業界で公知の問題である。次に、これらの問題のある関連部分について簡単に説明する。
一様性およびバランス
タイヤ製造業者は一般に、製造プロセス中の様々な点でタイヤの品質検査を行う。タイヤの一様性は、当技術分野で公知であり本明細書では詳しく説明しないタイヤ一様性マシン(TUM)で通常行われる重要な性能関連検査である。タイヤ一様性マシンは一般に、一様であることが分かっている車輪、即ち「真走行(true running)」車輪に取り付けられたタイヤを回転させ、車輪軸(またはロードホイール)に対する力変動を測定し、および/またはタイヤの外面位置の変動を測定する。代表的な力変動測定値には、例えば静不釣合いやラジアル振れ(radial runout)を示す半径方向力変動(RFV)と、例えば偶力不釣合い(couple imbalance)や、横振れ(lateral runout)や、タイヤのラジアル振れの歪み(skewness)を示す横力変動(LFV)が含まれる。タイヤ面測定値は、触れ条件およびコニシティ(conicity)を直接示す値である。一般にサンプリングに基づいて専門実験室グレードの高速TUMで測定される他の測定値として、接線力変動(TFV)や、タイヤと路面の間の接触面において、タイヤトレッドに接すると共にタイヤの回転軸に垂直な方向で生じる縦力(fore−aft force)変動がある。
【0008】
乗物およびそのタイヤに対する影響に関しては、あらゆる種類の力変動によって、力変動の規模に応じた(ホイールサスペンションの質量/剛性/減衰条件のような乗物の特性によって修正される)振動が起こる可能性がある。横力変動(および/または偶力不釣合い)では、振動の回転軸が、垂直方向または水平方向に延び、タイヤの外周面に平行であり、概ねタイヤ/車輪の体積内に位置する、タイヤのよろめき運動(wobbling motion)による振動が主として起こる。これに対して、半径方向と接線方向の力変動および/または静不釣合いでは主として、垂直方向および縦方向の移動による振動が起こる(いくらかの横方向の移動が存在するが、このような移動は赤道面に対して対称的に分配され、総タイヤ/車輪組立体質量のうちの小さい割合しか占めない)。
静不釣合いおよび偶力不釣合い
一般的に言って、タイヤ/車輪組立体の「釣合い」が取れていないとき、現代の慣習では、組立体の静不釣合いと偶力不釣合いの両方を試験し、必要に応じて補正する。この釣合わせは一般に、専用機器を使用して行われる。偶力釣合わせの場合、機器は一般に、タイヤ/車輪組立体を比較的高速に回転させ、タイヤは(TUM試験で使用されるロードホイールとは異なり)どんな表面にも接触しない。
【0009】
静不釣合いは、回転システムの各可動部分から生じる遠心力ベクトルの和が非零になるように、回転するタイヤ/車輪組立体の質量が回転軸を中心として非一様に分配されるときに、タイヤ・車輪組立体などの回転システムで生じる。「静(static)」という用語は、回転の釣合いに関連して使用されるとき、回転の不釣合いを識別し、見つけ、修正するうえで回転運動が必要とされないことを指す。即ち、静不釣合いを有する車輪では、回転軸を中心とするある静止角方向で、重力のために回転軸を中心としてトルクベクトルが発生する。最適な釣合いを有するタイヤ/車輪システムでは、回転軸を中心とするそのようなトルクベクトルが生じることはない。もちろん、「完全な」静釣合いを有することのできる回転システムはないが、タイヤ/車輪組立体および航空機のプロペラや、ガスタービンエンジンおよびスチームタービンエンジンの高回転速度部品のような現実の回転システムで適切または最適な静釣合いを実現できることを理解されたい。理想的な静釣合いを記述し定義する1つの厳密な方法は、すべての(回転軸に直角に作用する)遠心力ベクトルが零の和を有する場合に回転システムが静釣合い状態にあるとすることである。
【0010】
静不釣合いとは異なり、偶力不釣合いは、どんな場合でも、回転運動中にしか検出できず、したがって動釣合わせ機を必要とする。即ち、タイヤ/車輪組立体などの回転システムは、完全な静釣合いを有するように見えることがあるが、それにもかかわらず回転時には、偶力不釣合いのために、不釣合い力に関連する振動が起こる。
【0011】
動釣合わせ機は、偶力不釣合いと静不釣合いの両方を検出し補正するのに用いることができ、したがって、「動的に釣合いが取れている」と特徴付けされたタイヤ/車輪組立体は一般に、静釣合いと偶力釣合いの両方の釣合いが取れていると理解される。上記で静釣合いに関して与えられた定義、即ち、すべての遠心力ベクトルが零の和を有するという定義は、動釣合いの対応する定義を与えるように補うことができる。即ち、回転システムの動釣合いは、すべての遠心力ベクトルの和が零であり(静釣合い)、回転軸に直角な任意の軸を中心とするこれらの遠心力ベクトルのモーメントの輪が零である(偶力釣合い)ときに存在する。
【0012】
静釣合いを有するが、動不釣合いを有するタイヤ/車輪組立体の一例は、タイヤの一方のサイドウォールが非一様であり、したがって、サイドウォールのある角部分がサイドウォールの他の部分よりも軽いかまたは重く、同時に、他方のサイドウォールが、全く同じ質量分布特性を有しているが、各サイドウォールのそれぞれの非一様性がタイヤ/車輪の回転軸から互いに離れる角方向に位置するような回転軸を中心とする向きになっているタイヤ/車輪組立体である。したがって、このようなタイヤ/車輪組立体において、遠心力ベクトルは結果として非零モーメントを有し、回転軸とこれらの遠心力ベクトルの方向との両方に直角な軸の周りでタイヤを回転させようとする。しかし、静釣合いに関しては、このようなタイヤの遠心力ベクトルは、上記の例でそれぞれのサイドウォールに関連する過度の質量の位置が互いに離れる角方向に位置する場合に全体として零の和を有することがある。例えば、2つの等しい過度の質量「M」がそれぞれ各サイドウォール内の点に位置している場合、静釣合いを伴う動不釣合い(即ち、純粋な偶不釣合い)は、第1のサイドウォール内の質量Mが第2のサイドウォール内の質量Mに対して180度の向きに位置し、両質量Mが同じ半径上に位置する場合に生じる。(上記で動不釣合いに関して与えられた不ぞろいのサイドウォールの例では、一方のサイドウォールのみの釣合いが取れていない場合、タイヤ/車輪組立体は静不釣合いと偶力不釣合いの両方を有する。)
他の非一様性
静不釣合いおよび偶力質量不釣合いだけでなく、タイヤ/車輪組立体の他の非一様性によって回転振動が起こる場合もある。例えば、タイヤは、ある角部分内の可撓性(剛性)がトレッドまたはサイドウォールの他の部分よりも高いかまたは低いトレッドまたはサイドウォールを有することがある。このようなタイヤ/車輪組立体は、「完全な」、即ち、可能な限り完全に近い偶力釣合いおよび静釣合いを有する可能性があるが、乗物上で動作させられたときに、トレッドまたはサイドウォールの、より柔らかいかまたはより堅い部分が、タイヤ/車輪組立体の、釣合いの取れていない部分と同等な(ある点では類似しているが、いくらかより複雑な)振動を引き起こすように路面と相互作用する。
【0013】
例えば、トレッドの一部がトレッドの他の部分よりも高いかまたは低い可撓性を有しており、タイヤの、横方向寸法に沿った特性が、他の場合には一様である場合、結果として得られる振動は、静不釣合いによって起こる振動と同等になることがある。あるいは、タイヤの剛性特性が側面ごとに、かつタイヤの外周面に沿って一様でない場合、結果として得られる回転振動は偶力不釣合いの影響に類似した振動になる。
【0014】
同様に、半径方向または横振れは、静不釣合いまたは動不釣合いを有するタイヤ/車輪組立体の振動と同等な振動を引き起こすように路面と相互作用する。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、添付の特許請求の範囲の1つまたは2つ以上の請求項で定義されているように、乗物のステアリング性能およびステアリング性能安定性を向上させる(ステアリング性能損失の可能性を低減させる)方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ステアリング性能安定性を向上させる方法は、
2つのフロントタイヤ/車輪組立体と2つのリアタイヤ/車輪組立体を含み、各タイヤ/車輪組立体が車輪に取り付けられたタイヤを有する、複数のタイヤ/車輪組立体を前記乗物に取り付けるステップと、
前記の複数のタイヤ/車輪組立体の少なくとも1つに、調節された量の質量非一様性を与えて、乗物のステアリング性能安定性を向上させるステップであって、前記の少なくとも1つの前記タイヤ/車輪組立体の周方向の1つまたは複数の場所に余分な量の質量を加えて、該余分な量の質量が加えられた前記の少なくとも1つの前記タイヤ/車輪組立体に残留静不釣合い(RSI)を与えるステップを含む、少なくとも1つの前記タイヤ/車輪組立体に、調節された量の質量非一様性を与えて、乗物のステアリング性能安定性を向上させるステップ
有する
【0017】
本発明の第1の実施態様によれば、質量非一様性は、少なくとも1つのタイヤ/車輪組立体のタイヤの少なくとも1つの部分、好ましくはタイヤの外周の近くの部分に余分な質量を組み込むことによって加えられる。次に、すべての複数のタイヤ/車輪組立体の静釣合いおよび動釣合いが取られる。余分な質量が、タイヤの赤道面に対して子午線方向に対称的に分配されることによってタイヤ内に残留静不釣合い(SRI)を形成し、かつ余分な質量を有するタイヤが横力変動を最小限に抑えるために必要に応じて修正されることが好ましい。質量非一様性は、例えば、少なくとも1つの重いスプライスを用いるか、少なくとも1つの余分な布地を用いるか、または余分な質量を有するタイヤ構成要素の少なくとも1つのセクタを利用することによって加えることができる。
【0018】
本発明の第2の実施態様によれば、質量非一様性は、少なくとも1つのタイヤ/車輪組立体上に少なくとも1つの静不釣合い錘を設置することによって少なくとも1つのタイヤ/車輪組立体に加えられる残留静不釣合い(RSI)であり、偶力不釣合いを含む横力変動(LFV)は、RSIが加えられるあらゆるタイヤ/車輪組立体を含む少なくとも1つのタイヤ/車輪組立体において最小限に抑えられる。
【0019】
本発明の第2の実施態様による静不釣合い錘を使用する技術は、第1に、少なくとも1つのタイヤ/車輪組立体の静釣合いおよび動釣合いを取り、第2に、該少なくとも1つのタイヤ/車輪組立体上に少なくとも1つの静不釣合い錘を設置して少なくとも1つのタイヤ/車輪組立体に残留静不釣合いを加えることを含む。少なくとも1つのタイヤ/車輪組立体の各タイヤ/車輪組立体上に設置された少なくとも1つの静不釣合い錘の合計質量はタイヤ/車輪組立体当たり2.5gから40gの間である。
【0020】
本発明によれば、いくつかのフロントタイヤ/車輪組立体といくつかのリアタイヤ/車輪組立体を含み、各タイヤ/車輪組立体が車輪に取り付けられたタイヤを有する、複数のタイヤ/車輪組立体を有する乗物におけるステアリング性能安定性を向上させる方法は、少なくとも1つのタイヤ/車輪組立体に、調節された量の半径方向力変動および/または接線力変動を加え、該少なくとも1つのタイヤ/車輪組立体における横力変動を最小限に抑えることを含む。少なくとも1つのタイヤ/車輪組立体は、1つまたは2つ以上のフロントタイヤ/車輪組立体から選択されることが好ましい。
【0021】
本発明の方法の好ましい実施態様において、調節された量の半径方向力変動および/または接線力変動は、少なくとも1つのタイヤ/車輪組立体のタイヤに変更を施すことによって加えられる。さらに、すべての複数のタイヤ/車輪組立体の静釣合いおよび動釣合いを取ることが好ましい。さらに、タイヤに施される変更には、タイヤの質量非一様性、寸法非一様性、および剛性非一様性に対する変更の任意の組合せを含めてよい。
【0022】
本発明によれば、いくつかのフロントタイヤ/車輪組立体といくつかのリアタイヤ/車輪組立体を含み、各タイヤ/車輪組立体が車輪に取り付けられたタイヤを有する、複数のタイヤ/車輪組立体を有する乗物におけるステアリング性能安定性を判定する方法は、乗物の一連のステアリング性能試験を行い、少なくとも1つのタイヤ/車輪組立体が選択され、その釣合い状態が各ステアリング性能試験ごとに変更されるステップと、すべての選択されたタイヤ/車輪組立体に対して同時に同じ釣合い状態変更を施すステップと、ステアリング性能に好ましい値、ステアリング性能に対して中立的な値、およびステアリング性能に好ましくない値から選択された漸次大きくなる所定の値を用いることによって少なくとも1つのタイヤ/車輪組立体の釣合い状態を変更するステップと、比較的安定したステアリング性能を有する(複数のタイヤ/車輪組立体を含む)乗物は、ステアリング性能に対して比較的好ましくない所定の釣合い状態値を有する少なくとも1つのタイヤ/車輪組立体を用いて試験したときに比較的優れたステアリング性能を有する乗物であると判定するステップとを含むことを特徴としている。本発明の方法は、偶力不釣合いを伴わない調節された残留静不釣合いを使用して、ステアリング性能に好ましい釣合い状態値を得るステップと、偶力釣合いを伴う静釣合いを使用して、ステアリング性能に対して中立的な釣合い状態値を得るステップと、調節された偶力不釣合いを伴う静釣合いを使用して、ステアリング性能に好ましくない釣合い状態値を得るステップとを含むことをさらに特徴とすることが好ましい。さらに、少なくとも1つのタイヤ/車輪組立体が1つまたは2つ以上のフロントタイヤ/車輪組立体から選択されることが好ましい。任意に、ステアリング性能を試験しつつ乗物の振動レベルが評価される。
【0023】
本発明の他の目的、特徴、および利点は以下の説明を考慮すれば明らかになろう。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を添付の図面を参照して説明する。各図は例示的なものであり、制限的なものではない。本発明をこれらの好ましい実施形態に関して概略的に説明するが、この説明が本発明の趣旨および範囲をこれらの特定の実施形態に制限するためのものではないことを理解されたい。
【0025】
選択された図面におけるある要素は、図を明確にするために、一定の比例に縮小して描かれてはいない。本明細書で提示される断面図は、「スライス」、即ち「近視眼的な」断面図の形であり、真の断面図では見えるある種の背景線が、図を明確にするために省略されている。
【0026】
各図の要素には、類似の要素(同一の要素を含む)が1枚の図面内で類似の番号によって参照されるように番号を付けることができる。例えば、複数の要素199をそれぞれ、個々に199a、199b、199cなどと呼んでよい。あるいは関連するが修正された要素は、同じ番号を有してよいが、プライム符号によって区別される。例えば、109、109’、および109”は、ある点で類似または関連しているが、顕著な修正を有する3つの異なる要素であり、例えば、タイヤ109は静不釣合いを有するが、同じ構造の異なるタイヤ109’は偶力不釣合いを有する。同じ図または互いに異なる図内の互いに類似した要素間にこのような関係がある場合、必要に応じて特許請求の範囲および要約を含め、明細書全体に亘って明らかになろう。
【0027】
本発明の現在の好ましい実施形態の構造、動作、および利点は、以下の説明を添付の図面と共に検討したときにさらに明らかになろう。
定義
本明細書で提示される説明全体に亘って以下の用語が使用され、本明細書に記載された他の説明と矛盾するかまたはそのような説明によって詳述されないかぎり、これらの用語には一般に以下の意味を与えなければならない。
【0028】
「軸方向」は、タイヤの回転軸に平行な方向を指す。
【0029】
「釣合い」は、タイヤまたはタイヤ/車輪組立体の周りの質量の分布を指す。
【0030】
「周方向」は、軸線方向に直角な、環状トレッドの表面の周囲に沿って延びている円形状のラインまたは方向を指し、断面図で見たときに半径がトレッドの軸線方向の湾曲を形成する数組の互いに隣接する円形曲線の方向を指すこともある。
【0031】
「コニシティ」は、例えば円錐状のタイヤから生じる平均横力である。一般に、コニシティは、寸法特性、剛性特性、または質量特性によって生じる非一様性であり、タイヤの子午線方向の外郭に沿って非対称的に分散し、それによって、回転方向とは無関係に一定の横方向に横(即ち、ステアリング)力を生じさせる。コニシティは、例えば、偏心させたタイヤ部品によって生じさせることができる。
【0032】
「偶力不釣合い」は、回転軸に直角な軸の周りでタイヤを回転させ、それによって一般に、タイヤ/車輪組立体のよろめきを引き起こそうとする不釣合を指す。
【0033】
「寸法非一様性」は、タイヤの寸法の非一様性を指し、この非一様性はタイヤの休止時に測定することができる。
【0034】
「動釣合わせ」は、タイヤ/車輪組立体を回転中に釣り合わせる方法を指す。
【0035】
「動的非一様性」は、タイヤの回転時に生じる非一様性を指す。
【0036】
「赤道面」は、タイヤの回転軸に直角であり、トレッドの中心を通過する平面、またはトレッドの周方向の中心線を含む平面を指す。
【0037】
「フットプリント」は、標準荷重および標準圧力下において平坦な表面(地面、道路)に接触するタイヤトレッドの接触部分、即ち領域を指す。フットプリントは速度に応じて変化する可能性がある。
【0038】
「ホップ」は、路面とばね質量との間の車輪の垂直振動運動を指す。
【0039】
「膨張」は、特定の荷重条件および速度条件に必要なタイヤ常温空気圧を指す。
【0040】
「不釣合い」は、釣合いの取れていない状態を指す。
【0041】
「横方向」は、軸線方向に平行な方向を指し、通常、タイヤトレッドに横(軸線)方向に作用する力を指す。
【0042】
「横力変動」は、タイヤの横(軸線方向)力が円周に沿って一様でなく、そのため、走行中に横方向の振動(例えば、よろめき)が起こることを指す動的非一様性である。横力変動は通常、子午線方向の外郭とタイヤの外円周面との両方に沿った非一様な寸法分布、剛性分布、または質量分布によって生じる。
【0043】
「子午線」および「子午線方向の」は、タイヤ軸を含む平面に沿って切断されたタイヤの断面を指す。
【0044】
「オフセット」は、リムの中心(フランジ同士の中間位置)からリムの車輪取付け面までの横方向距離を指す。
【0045】
「オンセンターフィール」は、顕著なステアリング応答が起こる前の、乗物のステアリングホイール内の遊びの有無に関する主観的な感覚を指す。
【0046】
「オーバーステア」は、リアタイヤがフロントタイヤよりも大きなスリップアングルを有し、したがって、乗物が運転者が望むよりも小さい半径で回る状態を指す。
【0047】
「パラレルホップ」は、一対の車輪が互いに同相でホップする車輪ホップの形態を指す。
【0048】
「空気入りタイヤ」は、2つのビードと、2枚のサイドウォールと、トレッドとを有しており、ゴム、薬品、布地、およびスチールまたは他の材料で作られ、通常圧力で空気で膨らまされる、概ねトロイダル状(通常、開いたトーラス)の積層された機械的装置である。
【0049】
「半径方向力変動」は、タイヤの半径方向力がタイヤの外周面に沿って一様でなく、そのため、走行中に垂直方向および縦方向の振動が起こることを指す動的非一様性である。半径方向力変動は通常、タイヤの外周面に沿った非一様な寸法分布、剛性分布、または質量分布によって生じる。
【0050】
「ラジアル振れ」は、回転するタイヤの外円周面のまわりの、タイヤ半径の変動を表す寸法動的非一様性である。
【0051】
「残留静不釣合い」、すなわちRSIは、タイヤまたはタイヤ/車輪組立体に静不釣合いを意図的に導入することを指す。RSIは、車輪軸に縦力および/または鉛直力の変動を生じさせることによって、ステアリング性能に有益な影響を与えるのに十分な大きさ有し、同時に、乗物の乗員に振動として認識されるのに十分な大きさは有していない。
【0052】
「振れ」は、回転する物体の寸法指示器の読取り値の変動を指す。振れは一般に、最大読取り値と最小読取り値との差(ピークツーピーク)を指し、以下のように使用される。
【0053】
a.車輪のラジアル振れ−回転軸に直角に測定された、ホイールビードシ ートの半径の最大測定値と最小測定値との差。値は各側面(フランジ)ごと に異なることがある。
【0054】
b.車輪の横振れ−リムフランジの内側の垂直部分上の回転軸に平行な最 大測定値と最小測定値との差。値は各側面(フランジ)ごとに異なることが ある。
【0055】
c.タイヤのラジアル振れ−タイヤが真走行車輪上に取り付けられている 間の、トレッド面上および回転軸に垂直な平面内の最大測定値と最小測定値 との差。振れ値は、トレッド面上の測定点の軸線方向位置に依存することが ある。
【0056】
d.タイヤの横振れ−タイヤが真走行車輪上に取り付けられている間の、 タイヤ面の所定の点(装飾品を除く、各サイドウォールの最も幅の広い点) における回転軸に平行な最大測定値と最小測定値との差。
【0057】
e.ラジアル振れの歪み−この語は、車輪またはタイヤに用いることがで き、互いに位相が外れているかまたは赤道面に対して非対称的な2つの側面 (ホイールフランジまたはタイヤショルダ)のラジアル振れを指す。
【0058】
「シミー」(Shimmy)は、前輪の横方向の急激な振動を指し、乗物のステアリング機構のキングピンまたは他の部分が磨耗することと、タイヤが偶力不釣合いを有することによって起こりうる。
【0059】
「サイドウォール」は、タイヤの、トレッドとビードとの間の部分を指す。
【0060】
「スリップアングル」は、乗物の走行方向と、前輪が向いている方向との間の角度を指す。
【0061】
「静不釣合い」は、タイヤ/車輪組立体が、非常に摩擦の少ない水平方向の自由車軸上を回ったとき常に所定の回転位置で休止する(静止する)ような状態を指す。
【0062】
「ステアリング安定性」(Steering Robustness)は、タイヤ/車輪/乗物システムが、不利な試験条件および/または可変試験条件にかかわらず高いステアリング性能を維持する能力を指す。「ステアリング安定性レベル(SRL)」は、ステアリング安定性を記述し測定するのに用いられる概念である。
【0063】
「ステアリング安定性レベル」すなわちSRLは、ステアリング性能に対するすべての正の寄与と負の寄与(静不釣合い、偶力不釣合い、および他のすべての関連因子)の組合せ(付加機能)を指す。例えば、組み込まれた非一様性を含む、タイヤの特性に関連する真性寄与と、乗物/道路/試験条件、試験条件の変動、タイヤ製造むらなどに関連する外因性寄与とを含むようにSRLに対する「真性」(intrinsic)寄与と「外因性」(extrinsic)寄与を区別することができる。
【0064】
「接線力変動」は、タイヤのビード領域の回転に対するタイヤの外側の表面の非一様な回転を指す。接線力変動により、タイヤと路面との間の接触面に、タイヤビードの接続方向およびタイヤ回転軸に直角な方向に、縦力変動、即ち「押し引き」力変動が生じる。
【0065】
「タイヤの釣合わせ」は、組立てユニットとしてのタイヤおよび車輪の静不釣合いおよび/または偶力不釣合いを補償するようにタイヤ/車輪組立体の周りに外部の錘を付加することを指す。
【0066】
「牽引」(Traction)は、タイヤと、タイヤが移動している表面との間の摩擦力を指す。
【0067】
「ばたつき」(Tramp)は、一対の車輪が逆位相にホップするホイールホップの形態を指す。
【0068】
「真走行車輪」(または「真車輪」)は、いかなる形の振れも不釣合いも示さずに回転(「走行」)する車輪をさす。
【0069】
「アンダーステア」は、フロントタイヤがリアタイヤよりも大きなスリップアングルを有し、そのため、乗物が、車輪が向けられている角度よりも大きな角度で回ろうとする状態を指す。適切に回れるように乗物を保持する必要がある。
【0070】
「一様性」は、タイヤまたは車輪が円滑に振動なしで走行する能力の尺度を指す。通常、タイヤ一様性マシンを用いて測定される。測定値には、例えば、半径方向/横/接線力変動、ラジアル/横振れ、静/偶力釣合いが含まれる。
【0071】
「車輪」は、通常空気入りタイヤを支持し、乗物の車軸に取り付けられる、概ね円筒状で通常金属製の円板状の機械的支持体を指す。車輪は、各々が、取り付けられたタイヤの2つのビードのそれぞれをしっかりと受け入れるようになっている、軸線方向に間隔をおいて配置されたフランジ(すなわち環状リップ)を有する。
【0072】
「車輪の位置合わせ」(Wheel Alignment)は、車輪(およびタイヤ)を乗物のシャシに対して適切な向きにすると共に車輪同士を適切な向きにするように車輪の位置を調整することを指す。
【0073】
「車輪釣合い錘」は、釣合いの取れていないタイヤおよび/または車輪の状態を修正するために車輪(多くの場合、車輪のフランジの外側部分)に取り付けられる(固定または接着される)小さい錘を指す。
【0074】
「車輪ジオメトリ」(Wheel Geometry)は、車輪組立体が周りで回転する軸を指す。車輪の湾曲、ブッシングの磨耗、不適切な位置合わせなどの条件は車輪ジオメトリに悪影響を与える。
【0075】
「よろめきモーメント変動」(Wobbling moment variation)は、縦水平軸(キャンバーモーメントまたは転倒モーメント)または鉛直軸(ステアモーメントまたはセルフアライニングモーメント)を中心としたモーメントの変動を指し、横力変動として、非一様な寸法分布、剛性分布、または質量分布により子午線方向の外郭とタイヤの外周面との両方に沿って生じる。
序論
本発明者は、ステアリング性能に対するタイヤおよび車輪の特性の影響を研究している間に、従来技術の仮定とは異なり、タイヤ/車輪のある種類および大きさの変動が、ステアリング性能およびステアリング性能安定性を改善する効果を有し、したがって、上記の「従来の技術」で説明したステアリング性能損失(SP損失)問題を解決できることを発見した。したがって、本発明は、この発見と、ステアリング性能安定性を向上させ、即ち、SP損失を長期的に防止する方法に用いることに関する。
【0076】
多くの乗物はステアリング性能の損失を受ける傾向を有する。この傾向は、例えば乗物の構造および状態と、道路の状態および駆動条件と、タイヤ/車輪の特性とに依存する。SP損失は以下のように、即ち、走行中のステアリング精度の変動およびオンセンターフィール(on center feel)(それほど重大でないケース)、走行中のステアリング精度の急激な低下およびオンセンターフィール(最も明確に検出されるケース)、試験開始時からのステアリング精度の不十分な性能およびオンセンターフィールといった形で生じる。SP損失が生じると、乗物の応答の位相がステアリングホイールからのトルクフィードバックの位相から外れているように感じられる。本発明者の研究によれば、SP損失は、タイヤの力特性およびモーメント特性の変化に関係するものとは感じられず、乗物のステアリングシステムと、乗物を実際に操縦するタイヤおよび車輪に運転者のステアリングホイールを連結するリンケージとの内部で起こっているように感じられる。
【0077】
以下に詳しく説明するように、横力変動(LFV、例えば偶力不釣合い)によるタイヤ/車輪の振動が一般に、ステアリング性能およびステアリング性能安定性に悪影響を及ぼし、容易にSP損失につながり、したがって無くならない場合には最小限に抑えなければならないことが分かっている。一方、例えば静不釣合いによって起こったり、(トレッドゴム、その下に位置するベルトおよびカーカス層を含む)トレッド領域に集中し赤道面に対して対照的に位置する質量非一様性によって生じる半径方向力変動(RFV)および/または接線力変動(TFV)による振動は、ステアリング性能およびステアリング性能安定性に有益な影響を与えることがあり、このような有益な影響は、半径方向/接線力変動が、乗物の運転者や乗員によって認識されないように十分に小さく、かつタイヤの磨耗に及ぼす影響も無視できるものであるときにも得ることができる。
【0078】
ある種の振動がSP損失をどのように発生させるかまたは防止するかを説明する様々な理論が提案されている。さらに、ステアリング性能損失の原因は理論上のものであり、様々である。最も重要な原因は、タイヤ/車輪組立体の静不釣合いと偶力不釣合いとの関係の理論的な影響、より一般的には、RFV/TFVとLFVとの関係の影響である。各種の不釣合い/非一様性の一般的な特性は、ステアリング性能損失問題と少なくとも表面上のありがちな関係を有する1つの特定の点で互いに区別することができる。即ち、RFV/TFV(例えば、純粋な静不釣合い)は、タイヤ/車輪組立体の軸に多少とも直角な力を加えるようにタイヤの回転軸に作用する振動を引き起こし、一方、LFV(例えば、偶力不釣合い)は、回転軸を、該軸がタイヤの赤道面と交差する部分の近くに位置する該軸上の点を中心として回転させようとする振動を引き起こす。乗物およびその部品(ステアリングシステム、サスペンションシステム、ブレーキシステムなど)の構造により、横方向のハブ振動は、半径方向または縦方向の振動とは異なるように伝搬し、かつ異なる影響を与えることが考えられる。一方、関与する部品間の接合点における摩擦および粘着/スリップ挙動に影響を与える振動が分かっている。例えば、動摩擦は静摩擦よりも少ない。ステアリングシステムのような複雑なシステムにおける摩擦の変化は、全体として、そのシステムの応答性およびその応答の主観的な認識に論理的に影響を与える。
【0079】
回転するタイヤ/車輪組立体の接線力変動、半径方向力変動、および横力変動には様々な原因があることが分かっている。最も明確な原因であり、研究の試験において調節しながら変動させるのが最も簡単な原因は、タイヤ/車輪組立体の不釣合いである。ホイールリムに釣合い錘を付加することは、タイヤ/車輪組立体の「釣合いを取り」、それにより、半径方向力変動および横方向力変動の一部を、該変動を既存のタイヤ釣合わせ機器によって非不可回転条件下で測定できる範囲で打ち消す公知の方法である。(以下に詳しく論じるように、この方法は一般に、タイヤの局部的な非一様性によって生じる力およびモーメントの急激なピークのような、タイヤのすべての特性の影響を完全に補償することはできない。)したがって、まず、ステアリング性能安定性を向上させる本発明の方法の基本となる考え方について、タイヤ/車輪の釣合いに関連する簡略化された考え方を使用して説明する。
静不釣合いおよび偶力不釣合い
「完全に」釣合いの取れた理論上の回転システムにおいて、回転軸に直角に作用する遠心力ベクトルは、零の和を有する。このような完全な状態に(あらゆる努力を払って)近づくことはできるが、通常、達成されない。
【0080】
図1(A)には、この図において、回転シャフト12の回転軸16から質量mの中心までの半径方向距離ともみなされる長さrを有するアーム14の端部に質量mが取り付けられた回転シャフト12を有する回転システム10を示している。平面EPは、質量mが、半径rを有する円形軌跡を描いて回転する赤道面である。(赤道面EPは、この平面が存在することを示すことのみのために円形の外側の境界を有するものとして示されている。)点Pは、回転軸16が赤道面EPと交差する点を表している。質量mは、ニュートンの運動の第2法則により、大きさがmとrとシャフトの回転速度(秒当たりラジアン単位)の二乗との積である、半径方向外側を向いた遠心力ベクトルFを生成する。このような回転システムは自明の不釣合いを有する。
【0081】
図1(A)を参照して、赤道面EPがタイヤ/車輪組立体の赤道面を表すと仮定すると、赤道面内の質量mの位置により、図示のシステムの静不釣合いが生じるが、偶力不釣合いは生じない。これに対して、質量mが赤道面EPの外側、即ち赤道面のいずれかの側に位置する場合、静不釣合い型と偶力不釣合い型の両方の不釣合いが生じる。このことは、図1(B)および図1(C)を調べるとより明白になろう。
【0082】
図1(B)は、それぞれの長さr1、r2を有するアーム15および17の端部に2つの質量m1およびm2を有する回転システム10’を示している。2つの質量m1およびm2とそれぞれのアーム15および17は、回転(スピン)軸16を中心として半径方向の互いに反対側で、かつ赤道面EP内に位置するように示されている。シャフト12の回転時に、それぞれの遠心力ベクトルF1およびF2は互いに反対方向を向く。F1とF2の大きさが等しい場合、図1(B)に示されている回転システムは、完全に動釣合い(即ち、静釣合いと偶力釣合いの両方)が取れている。たとえF1とF2が等しくても、それぞれの質量m1およびm2とそのそれぞれの回転軸16から距離r1およびr2をそれぞれ互いに等しくする必要がないことに留意されたい。さらに、2つの質量m1およびm2とそのそれぞれのアーム15および17を赤道面EPの外側に移動させる場合、2つの質量が回転軸16を中心として1800離れているかぎり、2つの質量が同じ平面内に維持されていない場合でも、静釣合いが維持されることに留意されたい。言い換えれば、静釣合いは、回転軸に直角に作用するすべての遠心力ベクトルが、ほぼ零の和を有するかぎり実現され、維持される。
【0083】
図1(C)に示されている回転システム10”において、同じ2つの質量m1およびm2は、図1(B)と同様に互いに反対側に配設されているが、それぞれ別々の平面内、例えば赤道面EPの両側に配設されるものとして示されている。この説明の残りの部分における偶力不釣合いに関する説明では、m1が軸16を中心として回転する平面の、赤道面EPからの距離を、m2が回転する平面の、赤道面EPからの距離と等しくする必要がないことに留意されたい。しかし、この議論を簡単にするために、それぞれの質量のそれぞれの回転面から赤道面EPまでの距離が等しいと仮定すると、有用であろう。図1(C)に示されている回転システムは、それぞれの遠心力F1およびF2の大きさが等しい場合(この場合、システムは静釣合いを有する)でも偶力不釣合いを有する。力F1およびF2が異なる大きさを有する場合、図1(C)に示されている回転システム10”は、静不釣合いと偶力不釣合いの両方を有する。
【0084】
引き続き図1(C)を参照すると、特に本発明との関連が深い当業者には、それぞれの力F1およびF2がそれぞれ、点Pに対してねじりモーメントを生成し、このねじりモーメントによって、軸が、以下に詳しく説明する複雑なパターンで回転しようとすることが認識されよう。
【0085】
図2(A)および図2(B)は、2つの釣合い錘が例えば、車輪の構造のために、赤道面から同じ軸線方向距離および/または回転軸から同じ半径方向距離に配置されることはなく、またはそのように2つの釣合い錘を配置することができず、そのため非対称形状を使用せざるを得ないタイヤ/車輪組立体釣合わせの例を示している。このような場合でも、2つの釣合い錘が異なる質量を有するならば、非対称形状が補償されるように純粋な静不釣合いまたは純粋な偶力不釣合いを実現することができる。図2(A)は、回転軸16を中心として回転し、赤道面EPを有する車輪11の概略断面図である。車輪11(およびそれに取り付けられたタイヤ(不図示))の場合、質量比m1/m2が、赤道面EPからのそれぞれの軸線方向距離l1およびl2の比l1/l2にほぼ反比例し、回転軸16からのそれぞれの半径方向距離r1およびr2の比r1/r2にもほぼ反比例するように、それぞれの異なる質量を有する2つの釣合い錘m1およびm2を回転軸16を中心としてほぼ同じ回転角度に設置することによって、偶力不釣合いを伴わない純粋な静不釣合いを実現することができる。このことは数式m1/m2=(l2/l1)*(r2/r1)として表される。これらの条件を所与のものとすれば、結果として得られるそれぞれの遠心力ベクトルF1およびF2は、回転軸からのそれぞれの距離の比にほぼ反比例し(F1/F2=l2/l1)、したがって、回転軸に直角な任意の軸を中心とする結果として得られるモーメント(例えば、F1*l1−F2*l2)はほぼ零になる(偶力釣合い)。
【0086】
図2(B)は、回転軸16を中心として回転し、赤道面EPを有する車輪11’の概略断面図である。図2(A)の車輪11とは異なり、車輪11’ (およびそれに取り付けられたタイヤ(不図示))の場合、質量比m3/m4が、回転軸16からのそれぞれの半径方向距離r3およびr4の比r3/r4にほぼ反比例するように、それぞれの異なる質量を有する2つの釣合い錘m3およびm4を回転軸16を中心として1800離して設置することによって、静不釣合いを伴わない純粋な偶力不釣合いを実現することができる。このことは数式m3/m4=r4/r3として表される。これらの条件を所与のものとすれば、結果として得られるそれぞれの遠心力ベクトルF3およびF4はほぼ等しく、かつ方向が反対であり、したがって完全な静釣合いが確保されるが、これらのベクトルの軸線方向オフセットl3およびl4のそれぞれにより、回転軸16に直角な軸を中心とする結果として得られる非零モーメント(例えば、F3*l3+F4*l4)(よろめきモーメント)が発生する。
【0087】
図3(A)を参照すると、前述の図1(A)、図1(B)、および図1(C)と同様に、タイヤ/車輪組立体の赤道面EP(図3(A)および図3(B)には示されていない)内に位置する点Pを通過する回転軸16が示されている。軸16は、完全に釣合いの取れた回転システムの理想的な回転軸である。図3(A)は、回転軸16に対する純粋な静不釣合い(質量は不図示)の影響が示している。具体的には、純粋な静不釣合いにより、点線16aで示されており、理想的な回転軸16を中心として円運動したとする軸16の軌道運動を引き起こそうとする力が発生する。軌道軸16aの円運動は矢印18で示されている。図3(A)は、それぞれ図1(A)および図1(B)に示されている種類の回転システム10、10’の回転軸16に対する純粋な静不釣合いの影響を理想化した図である。
【0088】
図3(B)を参照すると、前述の図1(A)、図1(B)、および図1(C)と同様に、タイヤ/車輪組立体の赤道面EP(図3(A)および図3(B)には示されていない)内に位置する点Pを通過する理想的な回転軸16が示されている。図3(B)は、回転軸16に対する純粋な偶力不釣合い(質量は不図示)の影響を示している。具体的には、純粋な偶力不釣合いにより、点線16bで示されており、点Pを中心としてよろめき運動しようとする傾向がある軸16の章動(よろめき)運動を引き起こそうと力が発生する。よろめき軸16bの運動は、互いに反対の方向を向いた2つの矢印19および21で示されている。図3(B)は、図1(C)に示されている種類の回転システム10”の回転軸16に対する純粋な偶力不釣合いの影響を理想化した図である。
【0089】
自動車用の空気入りタイヤに関しては、偶力不釣合いと静不釣合いは、タイヤの回転軸16を複雑に移動させるようとする仕方で相互作用する。回転軸16が図3(A)および図3(B)に示されているように影響を受ける傾向は、乗物の構造の関数である機械的制約および慣性制約の影響を受けることもある。これらの制約は、不釣合いが励起される頻度に応じて変動し(乗物の速度に依存する)、システムの共振振動数でわずかに弱くなる可能性がある。これらの制約は、この頻度に応じて、垂直方向と縦方向で異なる場合がある。図3(A)に純粋な静不釣合いの場合に関して示されている回転軸16aの運動が専ら、理想的な軸16に直角な方向で起こり、したがって軸線方向(横)成分を有さないことに留意されたい。
タイヤ/車輪組立体の関数としてステアリング性能
図4(A)、図5(A)、図6(A)、図6(C)、および図7(A)は、ステアリング性能損失(SP損失)の現象に対するタイヤ/車輪の不釣合いの影響を示す試験結果を示している。これらの試験は、タイヤ/車輪組立体のホイールフランジに取り付けられた釣合い錘を使用して行ったものであり、ステアリング性能損失を特に受けやすいことが分かっている試験用の乗物にタイヤ/車輪組立体を取り付けた。以下に詳しく説明する試験では、大部分のケース(図6(C)に示されている試験を除くすべてのケース)で、試験用の乗物が、釣合いの取れたタイヤ/車輪組立体に対して不十分な(「OKでない」)ステアリング性能(零不釣合い質量)を示したことが分かる。上述のように、これらの不釣合い試験の結果は、タイヤおよび車輪の非一様性の影響を示すように一般化することができる。上記で参照された図4(A)、図5(A)、図6(A)、図6(C)、および図7(A)に示されているそれぞれの不釣合いの場合に関連するステアリング性能損失の大きさは、乗物試験の運転者によるステアリング性能の主観的な報告から得られ、かつ該報告によって評価される。参照された図4(A)、図5(A)、図6(A)、図6(C)、および図7(A)の各グラフにおける垂直軸上の番号3、5、および7は、ステアリング性能の向上を表すステアリング性能評価値である。一般に、6以上の評価は「OK」(良好)であり、5以下は「NOK」(不良)である。図4(A)、図5(A)、図6(A)、図6(C)、および図7(A)の水平軸は、所望の大きさおよび種類)の不釣合い(例えば、純粋な静不釣合いや純粋な偶力不釣合い)を生じさせるために各フランジ上に付加された釣合い錘の質量(グラム単位)を表す。試験錘を付加する前に、試験用の乗物上のすべてのタイヤ/車輪組立体の静釣合いおよび動釣合いを取り、すでに存在する静不釣合いおよび偶力不釣合いをできるかぎり無くした。真走行車輪および優れた一様性を有するタイヤを使用した。静不釣合いが付加される試験に偶力不釣合いを付加するのを避けるために、車輪の両方のフランジに試験錘を付加した。例えば、試験結果の表に示されている5gの不釣合い質量は、それぞれが各ホイールフランジに(即ち、タイヤ/車輪の赤道面の両側に)付加される2つの5g釣合い錘を意味する。純粋な静不釣合いを示す図4(A)、図5(A)、および図6(A)の場合、2つの釣合い錘を各フランジ上に同じ回転角で付加した。釣合いの取れているタイヤ/車輪組立体に静不釣合いを課すとき、この不釣合いを残留静不釣合い(RSI)と呼ぶ。本発明では、RSIは一般に、ステアリング性能に正の影響を与えるのに十分な残留静不釣合いを意味する。
【0090】
図4(B)を参照すると、試験用の乗物20は、タイヤ/車輪組立体に静不釣合いを生じさせるように配置された、フランジに取り付けられた1組の釣合い錘24(したがって、「静不釣合い錘」)によって車輪に静不釣合いが課される単一の後部取付けタイヤ/車輪組立体22を備えている。(各車輪の位置に示されている2つの円は、点で示されている不釣合い錘が取り付けられた車輪のフランジに対応する。)図4(A)は、単一の後部取付けタイヤ/車輪組立体22に静不釣合いをもたらすのに用いられる質量の量(グラム単位)の関数としての、運転者によるステアリング性能の主観的評価を示している。簡単に言えば、図4(A)は、調節された量(例えば、各フランジに5gよりも多い量)のRSIが組み込まれている単一の後部取付けタイヤ/車輪組立体が所与の乗物のステアリング性能に有益な影響を与えることを示している。一般に、タイヤ/車輪組立体に組み込まれるRSIが多いほど、ステアリング性能とステアリング性能安定性に対する影響が良好となる。しかし、少なくとも特定の試験用乗物20との関係において、乗物の運転者または乗員によって認識できる乗物の振動を発生させずに組み込める最大RSIとして、各フランジに対するRSIの上限20g(即ち、合計で40g)を経験的に定めた。
【0091】
図5(A)および図5(B)は、試験用乗物20a(図4(B)の20に対応)上の単一のタイヤ/車輪組立体26に対して残留静不釣合い(RSI)を課すように配置された1組のフランジ取付け釣合い錘24a(図4(B)の24に対応)を有する単一の前部取付けタイヤ/車輪組立体26を取り付けた結果としての、ステアリング性能に対する影響が示されている。図5(A)に垂直軸で示されている、ステアリング性能に対する、試験運転者の主観的な感覚は、単一の前部取付けタイヤ/車輪組立体26における、各フランジ上の5gほどの小さいRSIによって、ステアリング性能を著しく改善できることを示している。図5(A)と図4(A)を比較すると、RSIを組み込んだ4つのタイヤ/車輪組立体の1つがリアタイヤ/車輪組立体24ではなくフロントタイヤ/車輪組立体26であるとき、ステアリング性能に対する有益な影響が一般により顕著であったことが明らかである。
【0092】
図6(A)および図6(B)には、試験用乗物20bのすべての4本の車輪28にRSIを付加した結果としての、ステアリング性能に対する影響を示している。図6(A)の垂直軸で示されている、ステアリング性能に対する運転者の主観的な感覚は、すべての4つのタイヤ/車輪組立体28にRSIを導入すると、前の2回の試験(図5(A)および図4(A)参照)よりもずっと有益な影響が得られることを示している。
【0093】
図6(C)および図6(D)は、試験用乗物20c上の単一の前部取付けタイヤ/車輪組立体29に対して純粋な偶力不釣合い(静不釣合い無し)を導入した結果としての、ステアリング性能に対する影響を示している。図4(A)、図5(A)、図6(A)、および図7(A)に示されている他の試験とは異なり、この試験用乗物20cが零不釣合いの高いステアリング性能評価を示したことに留意されたい。図6(D)に示されているように、純粋な偶力不釣合いが確実に付加されるように、偶力不釣合いを導入するために付加した釣合い錘を、1800離れた互いに向かい合うフランジ上に取り付けた。図6(C)は、試験用乗物20cが、不釣合いがほとんど無いかまたは全く無い優れたステアリング性能を示したが、単一の前部取付けタイヤ/車輪組立体29の各フランジ上の質量が10g以上の場合に生じる偶力不釣合いではステアリング性能が不十分になることがあることを示している。偶力不釣合いを付加したフランジ当たり40gほどの大きい不釣合いを付加した場合でも、ステアリング性能はNOK評価レベル(4.0)から回復しなかった(フランジ当たり20gを超える結果は図6(C)には示されていない)。
【0094】
図7(A)および図7(B)は、試験用乗物20d上の単一の前部取付けタイヤ/車輪組立体30に対して不完全な静不釣合い(静成分中程度偶力成分とを有する動釣合い)を導入した結果としての、ステアリング性能に対する影響を示している。図7(A)は、混合された静不釣合いと偶力不釣合いとを有する単一の組立体30がステアリング性能に主として悪影響を及ぼすことを示している。フランジ当たり5gの混合された不釣合いはステアリング性能を向上させるかもしれないが、不釣合い質量をこれより多くしても無用であり、場合によってはステアリング性能を低下させさえする。図6(C)および図6(D)に示されている試験のような他の試験は、釣合いの取れたタイヤ/車輪組立体を有する優れたステアリング性能の乗物/タイヤ/車輪の組合せは、十分な偶力不釣合いが付加されたときにステアリング性能損失を生じることがあることを示している。
【0095】
要約すると、ステアリング性能およびステアリング性能安定性の向上は、偶力不釣合いを最小限に抑え、同時に、乗物のタイヤ/車輪組立体に好ましくはそれらの全てに適切な量の残留静不釣合いを導入することによって最もうまく実現される。この考え方は非常に様々な乗物、例えば油圧パワーステアリングまたは電気パワーステアリングあるいは基本的な機械的ステアリングシステムを有する乗物、前輪駆動、後輪駆動、または全輪駆動の乗物などにわたって有効に働くことに留意されたい。さらに、ステアリング性能に対する影響が有益な半径方向/接線方向力変動および有害な横力変動によって得られることが理論的に示されているので、この結論は、横力変動を最小限に抑え、同時に、1つまたは2つ以上のタイヤ/車輪組立体、好ましくはすべてのタイヤ/車輪組立体に適切な量の半径方向力および/または接線力変動を導入することによって、ステアリング性能およびステアリング性能安定性の向上を最もうまく実現できると解釈するように拡大することができる。
付加の原理およびステアリング安定性レベル(SRL)の概念
図6(A)〜図6(A)に示されているように、静不釣合いはステアリング性能に正であるが非線形の影響を与える。即ち、静不釣合いの1フランジ当たり5gを付加すると、ステアリング性能は、すでに実現されている静不釣合いのレベルに応じて大幅に向上するか、わずかに向上するか、または全く向上しない。図6(C)に示されているように、偶力不釣合いはステアリング性能に負で非線形の影響を与える。即ち、偶力不釣合いの1フランジ当たり5gを付加すると、ステアリング性能は、すでに実現されている偶力不釣合いのレベルに応じて大幅に低下するか、わずかに低下するか、または全く低下しない。さらに、偶力不釣合いの影響を表す曲線が垂直方向に鏡像を形成している場合、基本的に、静不釣合いの影響を表す曲線に類似の曲線が得られることに留意されたい。さらに、ステアリング性能に正または負の影響を与える他の多数の要因が特定されており、これらの要因もステアリング性能に非線形に影響を与えるようである。あらゆる要因の影響は互いに加算または減算される傾向がある(付加挙動)。ステアリング安定性レベル(SRL)は、任意の原因によるすべての有益な要因および有害な要因(乗物/道路/運転条件、タイヤ/車輪組立体の特性など)の付加的な組合せを表す。図7(C)に、垂直軸上にステアリング性能評価を示し、水平軸上にステアリング安定性レベルを示す代表的なSRL曲線61および62を示している。SRL曲線61および62は、ステアリング性能に対するSRLの(正で非線形の)影響を示している。有益な寄与が有害な寄与よりもずっと強い場合、SRLは、乗物をSRL曲線61、62の右側の高原部で動作させるのに十分な高いレベルになり、高いステアリング性能評価が得られる(OK以上のステアリング性能)。負の寄与が正の寄与よりもずっと強い場合、SRLは低レベルになり、乗物はSRL曲線61、62の左側の部分で動作しようとし、ステアリング性能が低くなる(NOK以下であり、ステアリング性能損失が著しいことを示す)。正の寄与と負の寄与が類似している中間の状況では、乗物は、SRL曲線61、62の中央部で動作し、試験中の調節されないSRL変動が小さいため、場合によっては大きなステアリング性能変動と低いテスト再現性を示す。タイヤ製造業者の立場から、ステアリング安定性レベルはタイヤ・ベースのSRL(真性)と試験ベースのSRL(外因性)に分割することができる。一例として、SRL曲線61および62は、様々なレベルの静不釣合いまたは偶力不釣合い、あるいは他のあらゆる外因性SRL変動を使用した結果を示し、2つの異なるタイヤ構成(任意に「A」「B」と符号が付けられている)を有するように製造された2本のタイヤを比較した曲線である。タイヤ構成Aを有するタイヤのSRL曲線61は、タイヤ構成Aがタイヤ構成Bを有するタイヤ(SRL曲線62として示されている)よりも高い真性ステアリング性能安定性を有することを示している。というのは、タイヤ構成AのSRL曲線61が高いステアリング性能評価のところに比較的広い高原部を有しており、このことは、この構成が外因性ステアリング安定性レベルに関して、比較的厳しい試験条件下において比較的高いステアリング性能を維持できることを意味しているからである。同じ手法を使用して、様々な乗物、様々な道路、様々な試験条件などのステアリング性能安定性を比較することができる。
タイヤの不釣合いの関数としてのステアリング性能
ホイールフランジに錘を付加することによって不釣合いを生じさせた上述の試験に加えて、ステアリング性能およびステアリング性能安定性に対するタイヤ質量の非一様性の影響を判定する他の試験を行った。試験用乗物の1本または2本以上のタイヤ上の様々な位置に接着した様々なサイズの鉛錘によって、タイヤの非一様性をシミュレートし調節した。これらの試験は、良好で安定したステアリング特性を示すことが分かっているタイヤ構成を有するタイヤと組み合わされた、特にステアリング性能損失を受けやすいことが分かっている試験用乗物上で行った。これらの試験により、タイヤのサイドウォール、ショルダ領域、またはビード領域については、ステアリング性能をかなり低下させるのに1.5gから3gの偶力不釣合いで十分であることが分かった。タイヤの内側の、その外周面の中心線の近くに鉛錘を取り付けた場合、ステアリング性能に負の影響は与えられない。さらに、サイドウォール、ショルダ領域、ビード領域のいずれかにおいてタイヤの両側に不釣合い錘を対称的に取り付けた場合は、ステアリング性能に負の影響は与えられず、正の影響が与えられる。このことは、釣合い錘を互いに向かい合うホイールフランジ上に対称的に取り付けることによる静不釣合いを付加することに関して上記で詳しく説明した試験結果と一致する。ただし、タイヤ質量の非一様性によって起こる振動は、車輪質量の非一様性によって起こる振動よりもいくらか複雑である。タイヤ上に赤道面に対して非対称的に錘を付加した場合(例えば、各ショルダまたはサイドウォールごとに1つの鉛錘を接着し、これらの鉛錘をそれぞれの異なる回転角位置に配置したり、1つのショルダまたはサイドウォールにのみ1つの鉛錘を接着した)、乗物のステアリング性能が悪影響を受け、ステアリング性能損失が起こった。このことは、上記で偶力不釣合いの付加に関して詳しく説明した試験結果と一致する。ただし、タイヤ質量の非一様性によって起こる振動は、車輪質量の非一様性によって起こる振動よりもいくらか複雑である。
【0096】
赤道面を中心として対称であることの重要性は、質量の等しい2つ、3つ、または4つの釣合い錘を、良好なステアリング性能を有することが分かっているタイヤの各サイドウォールに、すべての錘を同じ半径方向位置に、かつ各サイドウォール上の回転軸を中心として等間隔回転角位置に取り付ける実験によってさらに明らかになった。両のサイドウォール上の同じ回転角位置に錘を有する(同相)タイヤ構成と、各サイドウォール上のそれぞれの異なる(位相外れ)回転角位置に錘を有する(サイドウォール当たり2つ、3つ、または4つの釣合い錘を有する構成に対してそれぞれ、900、600、または450の位相差)タイヤ構成とでステアリング性能を比較した。赤道面を中心とする同相の、即ち対称的な錘分布では、良好な低下しないステアリング性能評価が得られ、非対称(位相外れ)構成の方がステアリング性能性能評価が低かった。図7(D)および図7(E)はそれぞれ、タイヤの各ショルダ上に2つの釣合い錘を接着した場合の対称構成および非対称構成を示している。(後者を二次タイヤ質量非一様性を呼ぶことがある。)
図7(D)を参照すると、2つのショルダ66、即ち左ショルダ66aと右ショルダ66bとを有するタイヤ65が概略的に示されている。例示のために、タイヤ65はそれ自体で完全に一様であると仮定する。左ショルダ66a上に、1800離れて2つの釣合い錘68aおよび68cが取り付けられている。右ショルダ66b上には、やはり1800離れて2つの釣合い錘68bおよび68dが取り付けられている。例えば、すべての釣合い錘68(68a、68b、68c、68d)の質量が等しい場合、図示のように位置する釣合い錘68によって静不釣合いが生じることはないことが分かる。釣合い錘68b、68dは、右ショルダ66b上に、左ショルダ66a上の釣合い錘68a、68cと同相になるように、即ち同じ回転角に位置しているので、釣合い錘68aと68bの質量が等しく、また釣合い錘68cと68dの質量が等しいかぎり偶力不釣合いは生じない(即ち、タイヤ65の赤道面を中心とした対称的な錘分布が得られる)。さらに、釣合い錘68aおよび68bの質量が等しく、また釣合い錘68cと68dの質量が等しいが、釣合い錘68aと68bの(等しい)質量が釣合い錘68cと68dの(等しい)質量と適切に異なる場合、偶力不釣合いを伴わない静不釣合いがタイヤ65に導入されるであろう。タイヤ65は、(静不釣合いを伴い、あるいは伴わない)対称二次質量非一様性を有すると言うことができ、このような高次対称錘分布は、タイヤ65が回転するとき、特に支持面(例えば、道路)上で負荷をかけられて回転するときに接線力および/または半径方向力変動を生じさせることによって、ステアリング安定性レベル(SRL)に有益な影響を与える。
【0097】
図7(E)を参照すると、2つのショルダ66’、即ち左ショルダ66a’と右ショルダ66b’とを有するタイヤ65’が概略的に示されている。説明のために、タイヤ65’はそれ自体で完全に一様であると仮定する。左ショルダ66a’上に、1800離れて2つの釣合い錘68a’および68c’が取り付けられている。右ショルダ66b’上には、やはり1800離れて2つの釣合い錘68b’および68d’が取り付けられている。例えば、すべての釣合い錘68’(68a’、68b’、68c’、68d’)の質量が等しい場合、図示のように位置する釣合い錘68’によって静不釣合いが生じることはないことが分かる。釣合い錘68b’、68d’は、右ショルダ66b’上に、左ショルダ66a’上の釣合い錘68a’、68c’と位相が外れるように(非対称的に)、即ち同じ回転角には位置していないのが、少なくともすべての質量が等しい場合、偶力不釣合いは生じない。タイヤ65は、(偶力不釣合いを伴い、あるいは伴わない)非対称二次質量非一様性を有すると言うことができ、このような高次非対称錘分布は、タイヤ65’が支持面上で負荷をかけられて回転するときに横力変動(例えば、車輪軸におけるよろめき運動の変動)を生じさせることによって、SRLに悪影響を与える。
タイヤおよび車輪の非一様性
タイヤ・車輪構成の様々な非一様性を、ステアリング性能安定性を向上させる本特許の方法を実施するのに用いることができる。有益な非一様性、即ち半径方向力および/または接線力変動を生じさせるが横力変動は生じさせないことのない非一様性は、3つの一般的な範疇、すなわち質量非一様性、寸法非一様性、および剛性非一様性に分類される。有害な非一様性、即ち横力変動を生じさせる非一様性も同じ3つの一般的な範疇に分類される。
【0098】
質量非一様性は、例えば静不釣合い(有益)および偶力不釣合い(有害)を含み、タイヤおよび/または車輪で生じることがある。有益な質量非一様性をタイヤまたは車輪に組み込むことができ、タイヤおよび/または車輪における有害な質量非一様性および有益な質量非一様性のランダムな発生を、例えばタイヤ一様性マシンやタイヤ/車輪釣合わせ機器を使用して、経験的に決定された限界内で制御することができ、および/または適切な余分な質量を故意にタイヤまたは車輪に付加することができる。
【0099】
寸法非一様性は例えば、ラジアル振れ(有益)と、横振れ、トレッドスネーキング(トレッドの横方向の歪み)、タイヤの歪み(ショルダが逆相である非対称的なラジアル振れ)、車輪の歪み、非一様な(先細状の)車輪オフセットのような有害な非一様性とを含む。寸法非一様性は、タイヤおよび/または車輪の設計および製造時に故意に導入および/または調節してよい。
【0100】
剛性非一様性は例えば、タイヤの周りの回転角に応じて変動する、タイヤトレッド、ベルト、および/またはサイドウォールの剛性を含む。剛性非一様性は、それがタイヤのあらゆる子午線方向部分に沿って対称的であるかぎり、例えば所定の子午線方向部分の両方のサイドウォールの剛性が等しいかぎり、有益である場合がある。剛性非一様性は、タイヤおよび/または車輪の設計および製造時に故意に導入および/または調節してよい。
【0101】
質量非一様性、寸法非一様性、および剛性非一様性の影響が基本的に付加的なものであるので、必要なステアリング性能およびステアリング安定性レベルを実現するために複数の方法を同時に用いることが望ましい。これによって、比較的小さい個々の非一様性を使用して、許容乗物振動レベルを超えずにあるステアリング性能を実現することができる。
【0102】
本発明の主要な考え方は、調節された大きさの寸法非一様性をタイヤに導入し、それによって、タイヤが乗物上で動作させられたときにタイヤによって生じる縦力および鉛直力の変動を引き起こすことである。この影響は、最初に論じた質量非一様性の影響に類似している。
質量非一様性
上述の試験では、釣合い錘を車輪に付加することによって質量非一様性を導入した。実際には、これは所望のRSIを導入するうえで信頼性のない方法であろう。なぜならば、この場合、製造業者が乗物の性能を調節できなくなり、その代り乗物の適切な性能を得るのに必要なRSIの導入が乗物の運転者(および乗物の運転者により代理として選任された機械工)に任されるからである。さらに、故意に不釣合いを導入することは常識に反しており、したがって抵抗させる可能性がある。したがって、タイヤの構成や製造プロセスの制御などによって、有益な質量非一様性(例えば、RSI)をタイヤに導入することは有利である。タイヤ解決策の他の利点は以下の説明で明白になろう。
【0103】
「Fore-Aft Forces in Tire-Wheel Assemblies Generated by Unbalances and the Influence of Balancing (タイヤ−車輪組立体の非平衡によって生じる縦力と平行の影響)」(TSTCS、第19巻、第3号、1991年7月〜9月、142ページ〜162ページ)と題する、Stutts等によるTire Science and Technologyの論文では、「ドラム試験[例えばTUMでのタイヤ/車輪組立体の道路−車輪試験]において、ある速度を超えると、水平力変動、即ちいわゆる縦力が垂直方向の力変動よりも大きくなった」と述べられている。この論文は、次にこの現象を説明する理論を仮定し証明している。特に、この論文は、タイヤのトレッド部内または該トレッド部の近くの釣合いの取れていない質量によってこの結果が生じることを示し、タイヤ/車輪組立体をホイールリム(フランジ)のところで釣り合わせる場合でもこの影響がある程度まで残ることをさらに示している。この影響の説明については、図8(A)および図8(B)を参照されたい。上述のように、回転する質量による遠心力は、質量と、質量のある場所の半径とに比例する。タイヤは一般に、車輪73に取り付けられたタイヤ70が回転軸71を中心として回転する、図8(A)のように、自由に回転するときに釣り合わされる。タイヤ70は、質量Mtを有し、タイヤ70の外周面の近く(例えば、トレッド内)で、軸71から半径Rtのところに位置する余分な質量74を有する質量非一様性を有している。余分な質量74を釣り合わせるために、質量Mwを有する釣合い錘72が、一定の半径Rwにある車輪73のリム、即ちフランジに取り付けられている。説明を簡単にするために、2つの寸法のみを図示し論じる。偶力不釣合い(横力変動)を無くすには、質量MtおよびMwをタイヤ/車輪組立体の赤道面に対して横方向に適切に分配する必要があることを理解されたい。タイヤ質量Mtの場合、質量非一様性Mtがタイヤ/車輪組立体の赤道面に対して横方向に対称的に分配される子午線方向対称条件を厳密に満たす必要がある。車輪に取り付けられた質量Mwの場合、偶力不釣合いが生じないならば、質量を赤道面に対して対称的に分配する必要はない。例えば、釣合い錘を赤道面に対して対称的に取り付けることのできない車輪の場合、質量Mwは、上記で図1(D)を参照して説明したように、零偶力不釣合いを維持しつつ対称形状の欠如が補償され、即ちm1/m2=(l2/l1)*(r2/r1)であるように取り付けられた、等しくない質量m1、m2(m1+m2=Mw)を有する1組の2つの釣合い錘として理解することができる。釣合い錘Mwの質量は、式Mtt=Mwwに従って選択され、それによって遠心力が釣り合わされ正味遠心力が零になる(釣合い錘72が余分な質量74から1800の方向に位置すると仮定する)。次に、図8(B)を参照すると、釣合いの取れたタイヤ70が路面76と接触しながら回転しているとき、余分な質量74が位置するトレッド部が道路76に接触すると必ず、余分な質量74の半径がRtからRt’に小さくなる。これが起こると必ず、余分な質量74による慣性力(例えば、遠心力)が一時的に打ち消され、リム上の釣合い錘72が、その遠心力Mwwが依然として存在するために不釣合いになる。したがって、余分なタイヤ質量が主としてタイヤのトレッド領域に位置しているならば、タイヤの釣合いが取れているかどうかにかかわらず、回転するタイヤ70に周期的な力変動が生じる。
【0104】
他の分析によって、タイヤ上の局部的な質量非一様性(余分な質量)が、やはりホイールフランジ上に釣合い錘を付加しても補償できない、ある他の特定の影響を与えることが分かっている。質量は、質量が非線形軌跡に従うとき、および/または速度が一定でない(即ち、加速/減速を受ける)場合に慣性力を生じる。乗物の回転するタイヤ内の質量の場合、このような慣性力を測定または計算する正しい方法は、タイヤ/車輪が移動している水準面(例えば、平滑で水平な道路)に取り付けられた座標系(基準フレーム)に対して測定または計算を行うことである。このような座標系は、地球の運動を無視した場合、慣性座標系とみなすことができる。しかし、道路に固定された観察者に対してではなく、タイヤ/車輪組立体の中心にある回転軸に取り付けられ、該軸と共に回転する観察者に対する「回転車輪」基準フレーム内の慣性力を考慮すると好都合である。回転車輪基準フレームにおいて、遠心力は、単に、回転する車輪に対して非常に簡単に測定または予想できるが、質量非一様性が回転軸を中心とする平面円形(一定の半径)軌跡に従い(車輪釣合い錘の場合に実質的にあてはまる)、また速度を一定に維持する必要がある場合にのみ真の慣性力を反映するので非常に好都合である。例えば、錘をタイヤのトレッド領域またはサイドウォール領域に取り付けた場合のような回転軸を中心とする非円形軌跡の場合、遠心力の計算は負荷/回転状態の間、真の慣性力を計算するのには不十分であり、計算に補正項(例えば、角加速度、コリオリ加速度、相対的な半径方向加速度および横方向加速度の項)を付加する必要が生じる。簡単に言えば、質量非一様性の軌跡に沿った速度または曲率の変化によって(カーブしたおよび/または坂の多い道路を走行する乗物の乗員が感じる影響に類似した)慣性力が生じる。
【0105】
図9(A)および図9(B)(図8(A)、図8(B)、図10(A)、および図10(B)参照)は、乗物(不図示)に取り付けられた車輪73上に取り付けられた完全に一様なタイヤ70の赤道面においてトレッド面の近くに取り付けられた例示的な6g質量74によってタイヤ70の周囲上に生じる予想される力およびモーメントを示すグラフで、タイヤ/車輪組立体70/73は、タイヤ質量非一様性74の軌跡が時間の経過にかかわらず一定であるという簡単に仮定して、負荷を受けて水平な路面76上で120km/hで回転している。「周囲」は、車輪73、回転軸71、タイヤ70、および道路76を含むことを意味する。タイヤ/車輪組立体70/73の質量非一様性によって生じる力が車輪軸71および道路76にどのように伝達され分布するかは、車輪73上に取り付けられたタイヤ70の動特性と、タイヤ/車輪組立体70/73が取り付けられた乗物のサスペンションの動特性に依存する。しかし、車輪軸71で何が起こるかを定量的に示すために図9(A)および図9(B)のグラフに示されている予想を用いる。理想的な「完全に一様なタイヤ70」は、(例えば、車輪73のフランジに釣合い錘72としての適切な質量Mwを付加することによって)タイヤ70に余分な質量74が付加された後、完全に釣合いが取れ、静不釣合いも偶力不釣合いも生じないと仮定する。図9(A)および図9(B)において、力およびモーメントは、タイヤ70の外周面に沿って余分な質量74の(時間に関連する)位置に対して垂直方向に示されており、外周方向の位置は回転度で示されている(零度がフットプリント領域の中心に位置する)。図9(A)は、鉛直力(曲線77)および縦力(曲線78)を示している。タイヤ/車輪組立体70/73の釣合いがうまく取れているので、フットプリント領域から遠ざかる余分な質量74の軌跡の大部分について、鉛直力および縦力がほぼ零であることが分かる。フットプリント領域に接近するとき、該領域を通過するとき、および該領域を離れるときに、鉛直力曲線77はそれぞれ大きい/小さい/大きい値(ピーク)を示す。これは、余分な質量74の軌跡が連続的に大きい/小さい/大きい曲率を示すからである(例えば、フットプリント領域において曲率は基本的に零になる)。中央のフットプリント領域における負の鉛直力値は、上記で図8(A)および図8(B)を参照して説明した一時的な不釣合いを表している。鉛直力ピークの方向は図10(A)で矢印75aで示されており、正の鉛直力は下向きである(回転軸71から離れる方向)。
【0106】
図9(A)の縦力曲線78は、余分な質量74が(負の回転角で)フットプリント領域に入るときの負の力ピークを示し、余分な質量74がフットプリント領域から離れるときの正の力ピークを示している。負および正の縦力ピークはそれぞれ、通常それぞれフットプリント領域に入るときとフットプリント領域から離れるときにタイヤトレッドに起こる余分な質量74(および該質量74が取り付けられたタイヤトレッド部)の減速および加速によるものである。減速方向および加速方向は図10(B)で矢印75bで示されており、「周囲」(車輪73、回転軸71、および道路76)に作用する、余分な質量74による力は、図10(B)で矢印75fで示されており、正の縦力は、乗物の、矢印75eで示されている運動方向に対応する方向を有する。図9(B)は、曲線78で示されている縦力と共に変動する回転軸73を中心としたモーメントを示している(曲線79)。モーメント曲線79は、余分な質量がフットプリント領域に入るときに負のピークを有し、フットプリント領域から離れるときに正のピークを有することが分かる。モーメント方向は、図10(B)で矢印75cで示されており、正のモーメント方向は、タイヤの、矢印75dで示されている回転方向と同じである。
有益な質量非一様性をタイヤ/車輪組立体に組み込む方法
本発明の考え方は、本発明者は調節された量の縦力変動および半径方向力変動を生じさせることを望み、またタイヤを取り付けるものを誰でもタイヤ/車輪組立体を正常に釣り合わせることを誰でもできるようにしつつこれらの有益な力変動を維持することが望むので、上述の質量非一様性の影響を利用する。
したがって、ステアリング性能およびステアリング性能安定性を向上させる本発明の方法は、適切な量の余分な質量74(即ち、質量非一様性)をタイヤ70の、外周面(例えば、トレッド領域)のできるだけ近くに組み込むことによって有益な力変動を生じさせる。有益な力変動は静不釣合いからは得られるが、偶力不釣合いからは得られないので、タイヤ70に付加される余分な質量74は、タイヤ(即ち、タイヤトレッド、ベルトパッケージ、およびカーカス)の赤道面に対して子午線方向に対称的に分布させる必要がある。
【0107】
図11(A)および図11(B)は、本発明による質量非一様性(例えば、余分な質量74)を付加する様々な方法を示す、タイヤのあるセクタの周方向断面図である(図を明確にするために、断面領域の斜線を除去してある)。余分な質量74をタイヤに迅速にかつ容易に付加する方法は、好ましくはトレッド82領域の下の、タイヤ80の内側の表面(インナーライナー86)にパッチ(不図示)を取り付けることである。他の方法としては、余分な布地89(即ち、トレッドベルトまたはカーカスプライ材料を含む任意の適切な布地)をカーカス90(好ましくはトレッド領域)に付加するか、あるいはタイヤ80’のトレッドベルト84パッケージまたはトレッド82のゴムに付加する方法がある。図11(B)を参照すると、トレッド82と、1本または2本以上のベルト84(ベルトパッケージ)と、1つまたは2つ以上のカーカスプライ85、1枚の布地89、およびインナーライナー86を有するカーカス90とを有する、タイヤ80’のセクタが、すべて断面図で示されている。カーカス90の内側の表面(インナーライナー86)は、トレッド領域82から下向きに、周りにカーカス90が巻かれたビード88およびエイペックス87まで延びるように示されている。布地89は、タイヤ80’のセクタ81’において幅W’を有し、所望の余分な質量74を備えるのに適した材料で作られており、一方、湾曲や耐久性のような、タイヤの使用に適した物理的特性も有している。布地89は、完全にトレッド82領域内に存在しても、ビード88まで延びてビード88を覆い、図11(B)の部分89aに示されているように端部89aまで延びてもよい。偶力不釣合いが入り込むのを防止するために、2つの布地端部89aはタイヤ80’の周方向面に対して対称的に配置されている。このようにして、タイヤ80’の周方向面の各側に等しい質量の布地89が配置される。布地89の質量非一様性の有益な影響は、布地89を配置する層としてどのタイヤ層82、84、85、86を選択するかによってわずかに影響を受け、したがって、この選択プロセスに通常のタイヤ構成要件を組み込むことができる。図示のように、布地89は、最も内側のカーカスプライ85とインナーライナー86との間に位置しているが、本発明の基本的に同等な実施形態では、布地89を例えば、層82、84、85、86のうちの他の層同士の間に配置しても、場合によってはトレッド82のゴムに埋め込むなど層の中央に配置しても、ベルト85同士の間に配置しても、インナーライナー86の内側の表面上、またはサイドウォール(不図示)の、ショルダ(不図示)の近くの部分のような、タイヤの外側の表面上に取り付けてもよい。
【0108】
前述の布地付加実施形態が、タイヤに「パッチ」を付加するという考えをその範囲内に含むことに留意されたい。というのは、「布地」は、タイヤ構成に適合するすべての態様の材料(金属を含む)を含み、あるタイヤ層の外側の表面にパッチを取り付けることは、その層に布地を付加することと同等であるからである。
【0109】
有益な質量非一様性(例えば、余分な質量74)を付加する比較的賢明な方法は、(図11(A)のタイヤ80に関して図示されている)「重いスプライス」を形成し、それによってすべてのタイヤ内の既存の質量非一様性を利用することである。例えば、カーカスプライ85の完全な円を形成するためにカーカスプライ85(1つのプライ85が示されている)の端部85a、85bが重なり合った様々なタイヤ層のスプライスが形成される。他のスプライスは、例えば、トレッド82の材料(子午線方向線83に沿って合体されている)、1本または2本以上のトレッドベルト84(端部84a、84bが重なった1本のベルト84が示されている)と、インナーライナー86の材料(重なり合った端部86a、86bを有する)とを含んでいる。所望の余分な質量74を形成するのにビード88内およびビード88の近くのサイドウォール/エイペックス領域内の他のスプライスを用いることもできるが、以下の説明で明らかになる理由で好ましくない(主として、ビードの質量非一様性が車輪上の釣合い錘によってほぼ打ち消されることがあるため)。例えば、ビード88は、スプライス、即ち少なくとも2つの重なり合った端部88a、88bを有している。例えば、エイペックス87は、2つの端部が点線領域87abで合体したスプライスを有している。
【0110】
代表的なタイヤ構成方法では、タイヤの外周面に沿って種々なスプライスを分散配置することを試みるが、本発明のタイヤ80の実施形態では、例えば、異なるタイヤ層のスプライスが、それらが全てほぼ同じ子午線方向セクタ内に埋められるように位置合わせされる。導入される質量非一様性の量は、同じ子午線方向セクタ81内にあるスプライスの数を変更し、また各スプライスの重なり合いの量(例えば、幅W)を変更することによって調節することができる。さらに、インナーライナー86の材料をより厚いものに変更すると、インナーライナースプライス86a/86bのために質量非一様性がさらに増す。スプライスを使用してタイヤに有益な質量非一様性を生じさせることの利点は、適切に形成されたスプライスが本質的に、子午線方向に対称的であることである。
【0111】
他の手法として、縦力ピークおよび半径方向力ピークをより頻繁に生成するためタイヤの外周面に沿っていくつかの「重いスプライス」(2つ、3つ、4つなど)を形成することから成る手法がある。この方法は、有益な縦力ピークおよび半径方向力ピーク(即ち、それぞれ接線力変動および半径方向力変動)をより頻繁に発生する。
【0112】
1つまたは2つ以上の重いスプライスと同様な有益な質量非一様性の他の実施形態は、余分な質量を有するタイヤ部品の1つまたは2つ以上のセクタである。例えば、ある長さWのトレッド82の材料(例えば、トレッドの端部82aのところの材料)はトレッド82の残りの部分よりも重い材料で作られるか、またはトレッドの外周面に沿った1つまたは2つ以上の場所に余分な質量を組み込むようにトレッドパターンが調整される(例えば、横方向のバーまたはトレッドショルダから突き出る広いトレッド部)。あるいは、ベルト84、プライ85、インナーライナー86、エイペックス87、ビード88などの部品が、1つまたは2つ以上のセクタにより重い材料を備えてもよい。さらに、余分な部品を有するセクタを、1つまたは2つ以上のスプライスが位置するセクタ81と重ね合わせることができるので有利である。
【0113】
本明細書で使用される「余分な質量」という用語は、1つまたは2つ以上の外周方向の場所の余分な質量だけでなく、残りの外周方向の場所に対して質量が不足している1つまたは2つ以上の周方向位置も含むことに留意されたい。結局、第2の場所に対する第1の場所での質量の不足は、第1の位置に対する第2の場所での質量の過剰と同じである。
【0114】
調節された質量非一様性(1つまたは2つ以上の余分な質量)をタイヤ/車輪組立体に付加する本発明の考え方を所与のものとし、上記で開示した例を所与のものとすれば、本発明の余分な質量をタイヤ/車輪組立体に組み込む他の多数の方法を当業者が思いつくことは間違い。有益な質量非一様性を他の有益な形態の非一様性(特に寸法非一様性および剛性非一様性)と組み合わせる方法を含む、本発明の余分な質量を組み込むすべてのそのような手段は本発明の範囲内である。
【0115】
有益であるために、タイヤに導入される本発明の余分な質量が、赤道面に対する非対称性のために生じる力変動のようなどのような種類の横力変動(例えば、偶力不釣合い)も生じさせてならないことに留意されたい。したがって、組み込まれた有益な質量非一様性を有するタイヤを製造する際、横力変動、例えば、転倒(即ちキャンバー)モーメント変動、偶力不釣合い、横振れ、トレッドスネーキング、ラジアル振れの歪みなどによって生じる力を確実に最小限に抑える必要に応じてタイヤを一様性に関して試験し、補正または廃棄することが好ましい。例えば、タイヤの横力変動はピークツーピークで12ポンド(約5.45kg)未満でなければならない。このタイヤ一様性試験は、余分な質量をタイヤに組み込んだ後で行うことが好ましいが、例えばパッチによって余分な質量をタイヤに組み込む前に行ってもよい。後者の場合、パッチは、それによって導入される可能性のある偶力不釣合いが、工場でのさらなる試験および修正、または製造後に行われる、車輪に取り付けられたタイヤの動的釣合わせによって十分解消されるように配置する必要がある。
ステアリング性能安定性試験方法
本発明者は、瞬間的なステアリング性能を試験するだけでなく、試験されたタイヤ/車輪組立体のステアリング性能安定性を示すように構成された本発明の試験方法によってタイヤ内質量非一様性考え方を試験した。すなわち、試験は、試験される各組立体ごとに、(a)即時ステアリング性能はどの程度か、(b)結果として起こる振動はどのくらい悪いか/顕著か、(c)組立体は長期的に(タイヤの寿命に亘って)ステアリング性能損失にどのくらい耐えるか、(d)組立体が即時ステアリング性能損失を示す場合、許容できるステアリング性能を得るにはどのくらいの修正が必要かといった質問に答えるように構成されている。
【0116】
質問(c)は、ステアリング性能安定性に関する質問であり、本質的に予想できるものである。タイヤの寿命に亘って、特に車輪上に取り付けられ乗物で使用されている間、タイヤ/車輪組立体の一様性は、最初は(寸法および力変動に関して)非常に一様であっても、変化することがあることが知られている。これは、タイヤの粘弾性と、タイヤプライが必ずしも、平衡した形状に従うとは限らないことによるものである。タイヤの一様性を決定する他の重要な要因は、ビードがホイールリム上にどのくらいうまく接触しているかと、この接触が、急激な制動、鋭いコーナリングなどの使用条件に応じてどのように変化するかである。タイヤの一様性を決定する他の要因の例には、トレッドの磨耗(磨耗分布の変化と、制動および他の多数の要因による局部的な磨耗との両方)、および「非対称フラットスポッティング」(タイヤを、ハンドルを切ったときの位置のままにして駐車するか、あるいは横方向に傾斜した表面上に駐車するか、または部分的に縁石の縁に乗った状態で駐車すると、高温のタイヤが非対称的に変形することがある)。さらに、タイヤとリムが、縁石に衝突することのような不適切な使用条件によって変化し、この結果最終的に質量一様性(例えば、釣合い)、剛性一様性、または赤道面を中心とするタイヤ/車輪組立体の寸法対称性が変化する可能性がある。さらに、乗物の状態はその寿命の間に変動し、道路/駆動条件も基本的に可変であり、ステアリング安定性レベル(SRL)に影響を及ぼす。質問(d)もステアリング安定性に関する質問である。基本的に、この試験方法では、真性SRL要因の性質が判定されると共に、試験されたタイヤと車輪と乗物の組合せについて存在する真性要因および外因性要因のSRL合計に対してSRL「高原部」がどこに位置するかが判定される。
【0117】
上述のように、本発明者は、静不釣合いを増大させるとステアリング性能に正の影響が与えられ、一方、偶力不釣合いを増大させるとステアリング性能に負の影響が与えられることを発見した。したがって、試験用のタイヤ/車輪組立体に対して、大きな静不釣合い(のみ)から、不釣合いを無くなるまで低減させ(すなわち静的および動的に釣合った組立体)、次に大きな偶力不釣合い(のみ)が得られるまで不釣合いを増大させるように釣合い条件を徐々に変化させる試験用の構造では、好ましい条件から中立的な条件を経て好ましくない条件に至る較正スケールの動作条件が得られる。試験用のタイヤ/車輪/乗物の組合せがOK(許容)ステアリング性能を有したまま動作できる好ましくない範囲の動作条件に入れば入る程、ステアリング性能損失に対する試験用のタイヤ/車輪/乗物の組合せの安定性が増す。上記で図7(C)を参照して説明したSRLの考え方に関して述べたように、本発明の試験によって課される釣合い条件の漸進的な変化によって、タイヤ/車輪/乗物の組合せのSRLの外因性部分は正の値から中立的な値を経て負の値へと変化し、このタイヤ/車輪/乗物の組合せを特徴付ける真性SRL部分と外因性SRL部分の和として得られるSRL曲線のSRL「高原部」の形状、大きさ、および相対位置が決定される。したがって、本発明の試験方法は、釣合い条件の漸進的な変化だけでなく、外因性SRL値を正の値から中立的な値を経て負の値へと変化させる課される条件の任意の漸進的な変化も範囲内に含む。もちろん、この漸進的な変化は、逆方向に進めることができ、試験結果に応じて、全範囲の一部に制限してよい。そればかりでなく、選択された外因性SRL値に対して任意の所望の順序で試験を行うことができる。例えば、高い正の外因性SRL値での試験においてステアリング性能が不充分であった場合には、試験を中止し、タイヤ/車輪/乗物の組合せを不適切または使用不能なものとして廃棄してよい。あるいは、例えば、「不良」(NOK)なステアリング性能結果(または振動レベル結果)が得られた直後に外因性SRL値の漸進的な変化を停止してよい。
【0118】
本発明の試験方法を使用して、任意のタイヤ構成(または任意のタイヤ/車輪/乗物の組合せ)のステアリング性能安定性を、それがどのように変化したかにかかわらず試験できることに留意されたい。試験では車輪釣合い錘の変更を使用して様々な試験条件を定めることが好ましいが、タイヤ/車輪組立体の質量一様性のこのような変更を、例えばタイヤ構成の一様性の意図的な構造上の変更(例えば、質量、剛性、および/または寸法の一様性の、タイヤ構造上の変更)と混同してはならない。
【0119】
一例として、タイヤ/車輪の釣合い条件を漸次変化させる質量非一様性を使用することにより外因性SRL値に与えられる変更を実施した本発明の試験方法の実施形態を提示する。この例示的な試験では、選択されたタイヤ構成に組み込むべき残留静不釣合い(残留静不釣合いを組み込むことによって、選択されたタイヤ構成の外因性SRLの一部に残留静不釣合いを生じさせる)の推定最適レベルを求めるのに本発明の試験方法を使用した。試験用のタイヤの内側の表面の、トレッドの下方の部分に、タイヤの赤道を中心として該赤道に対して軸線方向に対称的に、様々な重量の零個、1個、または2個以上のゴムパッチを取り付けることによって、試験レベルのRSIを付加した。次に、真走行車輪上に試験用のタイヤを取り付け、ホイールフランジに取り付けられた釣合い錘を使用して試験用のタイヤ/車輪組立体の静釣合いおよび動釣合いを取った。これによって「中立」(釣合いの取れた)試験点が得られ、次に、本発明により、試験用のタイヤ/車輪組立体のフランジに取り付けられた追加的な釣合い錘によってタイヤ/車輪の釣合い条件(外因性SRLレベル)を漸次変化させ、所望の量の静不釣合いまたは偶力不釣合いを得た。次に、試験のために、ステアリング性能損失に対する感度がかなり高いことが分かっている乗物の前方左側位置に試験用のタイヤ/車輪組立体を取り付け、次に、ステアリング性能と顕著な振動との両方に関して評価できるように試験走行した。例示的な試験で使用したゴムパッチは、「軽い」、「中程度」、および「重い」と特徴づけられる。(互いに1800離して取り付けられた)2つの軽いパッチと(互いに900離して取り付けられた)4つの軽いパッチを有する構成も使用した。
【0120】
試験結果を以下の2つの表に示す。表1にステアリング性能の評価が示されており、表2に振動の評価が示されている。表中の空白欄は、試験しなかった変動を示している。不釣合い状態の種類と不釣合いの量(各ホイールフランジに付加された質量)は、各表の第1行および第2行に示されている。不釣合いの種類と不釣合いの量との組合せを釣合い状態「値」と呼ぶことができる。釣合いの取れたタイヤ/車輪組立体の結果は「釣合いの取れた状態」列に示されている。ホイールフランジに漸次増大する量の静不釣合いが加えられた組立体の列は、「釣合いの取れた状態」列の右側にあり、外因性SRL値は順次大きくなっている。ホイールフランジに漸次増大する量の偶力不釣合いが加えられた組立体の列は、「釣合いの取れた状態」列の左側にあり、外因性SRL値は順次小さくなっている。表中のさらに左側の試験結果欄、即ち漸次好ましくなくなる動作条件下での試験結果欄中のOK結果は、真性ステアリング性能安定性がより優れたタイヤを示している。
【0121】
【表1】
Figure 0004303451
【0122】
【表2】
Figure 0004303451
ステアリング性能については、6以上のあらゆる評価値がOKとみなされ、5から5.9の評価が限界とみなされ、5よりも低い評価はNOK(OKではない)とみなされる。一般に、評価値が大きいほどステアリング性能評価が高くなる。振動については、OKは、振動が乗物の運転者または乗員にとって不快ではないことを意味する。プラス符号およびマイナス符号は、OK、限界(MAR)、またはNOKの範囲内の振動の程度を示すのに用いられており、マイナス(−)はより激しい振動を示し、プラス(+)はより弱い振動を示す。
【0123】
試験結果は、ステアリング性能およびステアリング性能安定性が、タイヤの内側に取り付けられた局所パッチによって導入される静不釣合いのレベルに応じて高くなることを示している。試験されたパッチのうちで最も軽いパッチでも、パッチを有さない同じタイヤの不十分なステアリング性能(NOK)を修正するのに十分であることが分かる。パッチを有さないタイヤの場合、OKステアリング性能を得るにはホイールリムに20gの静不釣合いを加える必要があった。このことは、最初の構成(タイヤ/車輪/乗物の組合せ)が顕著な性能損失モードであり、したがって総SRLがかなり低かったことを示している。「重いパッチ」結果は、「重いパッチ」構成が、少なくとも10gの偶力不釣合いを付加されたときでもOKステアリング性能を維持することができたため、この構成のステアリング性能安定性が最も高かったことを示している。即ち、「重いパッチ」構成は、OKステアリング性能を示す条件の範囲が最も広い。言い換えれば、「重いパッチ」構成のSRL高原部は事実上、釣合いの取れたタイヤ/車輪組立体のSRL高原部であり、試験された他の構成よりも低いSRLレベルまで延びている。さらに、タイヤの外周に沿った複数の位置にパッチを配置する(即ち、赤道面に対して対称的なタイヤ質量非一様性)とある利点が得られたが、単一の位置に集中させた同じ質量と比べて効果および安定性が劣っていたことも分かる。このことは、対称的な高次不釣合いが対称的な一次不釣合いよりも効果が低いことを意味すると考えられるが、パッチをタイヤの内側に完全に対称的に配置することはできないことの結果でもあると考えられる。さらに、振動レベルが、構成に存在する不釣合いの量に応じて高くなったことも分かり、したがって、試験結果を使用して最適な全体的なタイヤ構成を決定するときにこのこと考慮する必要がある。
【0124】
上述のように、タイヤに有益な質量非一様性を導入することは、最も有効であり、したがって車輪を修正することによる実施形態よりも好ましい。しかし、運転者および/またはメンテナンス担当者が本発明の方法を認識している場合は、車輪の釣合いをタイヤ製造後に変更すると効果的である。本発明によれば、ステアリング性能安定性を向上させるために、乗物の少なくとも1つのタイヤ/車輪組立体(好ましくはフロントステアリングホイール)、最大ですべての4つのタイヤ/車輪組立体に、調節された量の残留静不釣合い(RSI)が導入される。RSIは、タイヤ/車輪組立体の車輪に取り付けられた釣合い錘によって導入されることが好ましい。それにもかかわらず、このような手法が本発明の最も望ましくない実施形態であることに留意されたい。これは、このような手法が、タイヤにおいて有益な質量非一様性を生じさせず、またタイヤ/車輪組立体の通常の釣合わせ要件を満たさず、組立体がその後正常に釣り合わされた場合にRSIが完全に打ち消されてしまうからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術による、静不釣合いを有する回転システムの概略図(A)と、動釣合いを有する回転システム(静釣合いおよび偶力釣合い)の概略図(B)と、従来技術による、偶力不釣合いを有する回転システムの概略図(C)である。
【図2】従来技術による、偶力不釣合いを伴わない純粋な静不釣合いを有する車輪の断面概略図(A)と、従来技術による、静不釣合いを伴わない純粋な偶力不釣合いを有する車輪の断面概略図(B)である。
【図3】従来技術による、回転システムの回転軸を中心とする静不釣合いによって起こる円運動を示す概略図(A)と、従来技術による、回転システムの回転軸を中心とする偶力不釣合いによって起こる運動を示す概略図(B)である。
【図4】本発明による、残留静不釣合いを有する単一の後部取付けタイヤ/車輪組立体を使用した場合の関数としての、乗物のステアリング性能の主観的評価を示すグラフ(A)と、本発明による、静不釣合いを有する単一のリアタイヤ/車輪組立体の位置を示す概略図(B)である。
【図5】本発明による、残留静不釣合いを有する単一の前部取付けタイヤ/車輪組立体を使用した場合の関数としての、乗物のステアリング性能の主観的評価を示すグラフ(A)と、本発明による、静不釣合いを有する単一のリアタイヤ/車輪組立体の位置を示す概略図(B)である。
【図6】本発明による、各タイヤ/車輪組立体が残留静不釣合いを有する4つの取付けタイヤ/車輪組立体を使用した場合の関数としての、乗物のステアリング性能の主観的評価を示すグラフ(A)と、本発明による、静不釣合いを有する4つのリアタイヤ/車輪組立体の位置を示す概略図(B)と、本発明による、偶力不釣合いを有する単一の前部取付けタイヤ/車輪組立体を使用した場合の関数としての、乗物のステアリング性能の主観的評価を示すグラフ(C)と、本発明による、偶力不釣合いを有する単一のリアタイヤ/車輪組立体の位置を示す概略図(D)である。
【図7】本発明による、混合された静不釣合いおよび偶力不釣合いを有する単一の前部取付けタイヤ/車輪組立体を使用した場合の関数としての、乗物のステアリング性能の主観的評価を示すグラフ(A)と、本発明による、混合された静不釣合いおよび偶力不釣合いを有する前部取付けタイヤ/車輪組立体の位置を示す概略図(B)と、本発明による、ステアリング安定性レベル(SRL)の関数としての、乗物上で試験された2つの異なるタイヤ構成に関するステアリング性能の主観的評価を示すグラフ(C)と、本発明による、対称二次質量非一様性構成を有するタイヤの概略図(D)と、本発明による、非対称二次質量非一様性構成を有するタイヤの概略図(E)である。
【図8】本発明の態様による、質量非一様性および釣合い錘を有するタイヤ/車輪組立体の概略図(A)と、本発明による、路面上で回転している図8(A)のタイヤ/車輪組立体を示す図(B)である。
【図9】本発明による、図8(B)のタイヤ/車輪組立体の質量非一様性によって回転軸で生じる予想される鉛直力および縦力を示すグラフ(A)と、本発明による、図9(A)に示されている縦力に関連する縦モーメントを示すグラフ(B)である。
【図10】本発明による、図9(A)に示されている鉛直力ピークに対応する鉛直力ベクトルを示す図8(B)のタイヤ/車輪組立体の概略図(A)と、本発明による、図9(A)に示されている縦力ピークに対応する縦力ベクトルと、図9(B)に示されているモーメントピークに対応するモーメントベクトルとを示す図8Bのタイヤ/車輪組立体の概略図(B)である。
【図11】本発明による、非一様性を組み込むスプライス方法を示すタイヤのあるセクタの周方向断面図(A)と、本発明による、非一様性を組み込む布地方法を示すタイヤのあるセクタの周方向断面図(B)である。
【符号の説明】
10、10’、10” 回転システム
11、11’ 車輪
12 回転シャフト
14 アーム
16 回転軸
16a よろめき軸
20 乗物
20b、20c 試験用乗物
24 リアタイヤ/車輪組立体
26、29、30 前部取付けタイヤ/車輪組立体
28 タイヤ/車輪組立体
61、62 SRL曲線
65、65’ タイヤ
66、66’ ショルダ
66a、66a’ 左ショルダ
66b、66b’ 右ショルダ
68a、68a’、68b、68b’、68c、68c’、68d、68d’
釣合い錘
70、70”、80、80’ タイヤ
71 回転軸
73 車輪
74 余分な質量
76 路面
77、78、79 曲線
81’ セクタ
82 トレッド
82a 端部
84 トレッドベルト
84a、84b 重なり合った端部
85 カーカスプライ
85a、85b 端部
86 インナーライナー
86a/86b インナーライナースプライス
87 エイペックス
87ab 斜線領域
88 ビード
89 布地
89a 端部
90 カーカス
EP 赤道面
F、F1、F2、F3、F4 遠心力ベクトル
1、l2、l3、l4 軸線方向距離
m、m1、m2、m3、m4 質量
t、Mw 質量
P 点
r、r1、r2、r3、r4 半径
t、Rw 半径
W 長さ
W’ 幅

Claims (3)

  1. ステアリング性能安定性を向上させる方法であって
    2つのフロントタイヤ/車輪組立体(26、29、30)と2つのリアタイヤ/車輪組立体(22、24)を含み、各タイヤ/車輪組立体が車輪に取り付けられたタイヤ(70)を有する、複数のタイヤ/車輪組立体を前記乗物に取り付けるステップと、
    前記の複数のタイヤ/車輪組立体の少なくとも1つに、調節された量の質量非一様性を与えて、乗物のステアリング性能安定性を向上させるステップであって、前記の少なくとも1つの前記タイヤ/車輪組立体の周方向の1つまたは複数の場所に余分な量の質量を加えて、該余分な量の質量が加えられた前記の少なくとも1つの前記タイヤ/車輪組立体に残留静不釣合い(RSI)を与えるステップを含む、少なくとも1つの前記タイヤ/車輪組立体に、調節された量の質量非一様性を与えて、乗物のステアリング性能安定性を向上させるステップ
    する、乗物のステアリング性能安定性を向上させる方法。
  2. 前記の調節された量の質量非一様性を与えるステップが、前記の少なくとも1つの前記タイヤ/車輪組立体のタイヤの少なくとも一部分に余分な質量を加えて、該余分な量の質量が加えられた前記の少なくとも1つの前記タイヤ/車輪組立体に残留静不釣合い(RSI)を与えるステップを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記の複数タイヤ/車輪組立体の全ての静的および動的釣合いをとる、請求項1に記載の方法。
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