JP4303033B2 - アダプタ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ISDN回線に接続された通信機器(端末)が、選択的にISDNとインターネットのいずれかにて通信を可能とする、アダプタ装置及び通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ISDN(Integrated Services Digital Network)は、統合デジタル通信網ないし総合デジタル通信網のことであり、電話、ファクシミリ、テレックス、データ通信、ビデオテックス網などを統合化するデジタル回線による電話サービスないし電話網を意味するものとする。また、ISDN回線というのは、ISDN(網側)と端末(ユーザ側)、またはユーザ側の端末と該ユーザ側の別の端末を接続する通信線のことである。一般にISDN回線は、何本かの情報チャネル(Bチャネル)と、制御用の信号チャネル(Dチャネル)1本から構成される。
従来、図4(A)に示すように、複数の電話機2(2a〜2n)を構内電話交換機PBX6に接続し、更にPBX6をISDN回線10に接続して、複数の電話機2をアクセス制御装置20(電気通信事業者の交換機システム等)を介してISDN30に接続している事業所1等がある。この場合、ISDNのBチャネルが複数チャネルの契約であれば、複数の電話機2が同時にISDNを利用することができる。
近年では、通信費の低減を主な目的として、インターネット32を用いたIP電話が普及しつつある。しかし、電話をしようとする相手側がIP電話を備えているとは限らないので、全ての通話をIP電話で行うことができるのでなく、一部の通話は従来のISDNを用いた通話としなければならず、ISDNとインターネットとを併用できるシステムが必要である。このシステムの概略構成を図4(B)に示す。従来の併用システムでは、PBX6の内部にインターフェース装置142を追加してPBX6の外部にアダプタ140を追加し、アダプタ140からアクセス回線12(アナログ回線を利用するADSL回線等)及びアクセスポイント22を介してインターネットに接続する。
また、ISDNターミナルアダプタあるいはISDNルータを用いて、ISDN回線に接続された電話機をISDNまたはインターネットのいずれかに選択的に接続して音声情報の送受信を行うインターネット電話システムも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−326746号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
PBX6の内部にインターフェース装置142を追加してPBX6の外部にアダプタ140を追加する従来の併用システムでは、PBX6の改造を伴うため、より多くの費用と工事期間を有する。また、改造期間では通話を行うことができないため、事業所1等では業務に支障が発生する可能性がある。
また、特許文献1に示すインターネット電話システムは、ISDNターミナルアダプタあるいはISDNルータを用いている個人を想定したものであり、PBX6を利用している事業所1等に適用することは非常に困難である。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、より少ない費用と工事期間でユーザ側の改造を行い得るとともに、ISDNとインターネットとを選択して通話を行うことができるアダプタ装置及び通信システムを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段として、本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおりのアダプタ装置である。
請求項1に記載のアダプタ装置には、3本の通信回線が接続されている。1本目は通信機器(電話機等)が接続されたISDN信号用ケーブルであり、2本目はISDNにつながる(電気通信事業者の交換機システム等につながる)ISDN回線であり、3本目はインターネットにつながるアクセス回線(ADSL回線等)が接続される。そして、アダプタ装置は、インターネットを用いて通信する通信相手に関する通信先情報が記憶された第1の記憶手段を備えており、当該通信先情報に基づいて第1のISDN回線に接続された通信機器の通信経路を、通信機器毎にISDN回線側またはアクセス回線側のいずれかに設定する。更にアダプタ装置は、ISDN信号用ケーブルに出力する第1通信情報の情報形式と、ISDN回線に出力する第2通信情報の情報形式と、アクセス回線に出力する第3通信情報の情報形式とを、各回線に応じて各々変換する。
そして、ISDN回線は、ISDN内で送受信される通信情報を制御するアクセス制御装置(電気通信事業者の交換機システム等)を介してISDNに接続されている。そして、アダプタ装置は、アクセス回線側に設定されて通信を行っている通信機器に関する情報を含む第4通信情報を、ISDN回線を介してアクセス制御装置に送信する。
このように、通信機器−ISDN回線−ISDN(電気通信事業者の交換機システム等)という具合に接続されているISDN通信経路において、ISDN回線を中継するようにアダプタ装置を取り付け、アダプタ装置にインターネットに接続するアクセス回線を接続する。
これにより、例えばISDN回線とPBXとを用いている事業所等では、PBXの改造等を行うことなく、アダプタ装置をISDN回線中に取り付けるだけでよいため、より少ない工事期間でISDNとインターネットとを選択して通話を行うことができるようになる。また、各回線への通信情報の振り分け及び通信情報の加工等をアダプタ装置が行うため、従来の通信機器及びPBX等をそのまま流用することができ、より少ない費用と工事期間で併用システムを実現することができる。
なお、本明細書においては、インターネットという用語は、VoIPが可能なネットワーク(例、IP網、TCP/IPネットワーク、LANなど)を含むものとする。
【0006】
また、本発明の第2発明は、請求項2に記載されたとおりのアダプタ装置である。
請求項2に記載のアダプタ装置では、ISDN回線側に設定されて通信を行っている通信機器とアクセス回線側に設定されて通信を行っている通信機器とが混在している場合において、通信機器から通信情報を送信する場合、アダプタ装置は、ISDN信号用ケーブルから入力される通信情報の中からアクセス回線側に設定されている通信機器に関する通信情報を取り除き、取り除いた通信情報に基づいた第3通信情報を作成してアクセス回線に出力するとともに、ISDN信号用ケーブルから入力される通信情報の中からアクセス回線側に設定されている通信機器に関する通信情報を取り除いた第2通信情報を作成してISDN回線に出力する。また、通信機器が通信情報を受信する場合、アダプタ装置は、ISDN回線から入力される通信情報とアクセス回線から入力される通信情報とを合成した第1通信情報を作成してISDN信号用ケーブルに出力する。
例えばISDN信号用ケーブル及びISDN回線で扱う通信情報は、利用可能な全チャネル数に対応した固定サイズのデータ形式等であり、アクセス回線で扱う通信情報は、現在利用中のチャネル毎の個々のパケットデータ形式等である。この通信情報の加工と、各回線への振り分けをアダプタ装置が行う。
これにより、従来の通信機器及びPBX等をそのまま流用することができ、より少ない費用と工事期間でISDNとインターネットとを選択して通話を行うことを実現することができる。
【0007】
また、本実施の形態に記載の通信システムでは、例えば通信機器からインターネット側に送信する場合、第1の記憶手段にはIP電話を利用可能な通信相手の電話番号が記憶されており、第2の記憶手段には前記電話番号に対応するIPアドレスが記憶されている。例えばアダプタ装置は、通信機器から電話番号が入力されると、通信相手検出手段にて入力された電話番号が第2の記憶手段に記憶されているか否かを判定する。記憶されていると判定した場合は、電話番号を入力してきた通信機器を、設定手段にてアクセス回線側に設定する。また、接続手段にて、通信機器と通信相手側とをインターネットを介して通話可能に接続する。
このように通信システムを構成することで、従来の通信機器及びPBX等をそのまま流用することができ、より少ない費用と工事期間でISDNとインターネットとを選択して通話を行うことを実現することができる。
【0008】
また、本実施の形態に記載の通信システムでは、例えば通信機器がインターネット側から受信する場合、サーバは、インターネットから通信機器への送信が要求された通信情報を、アクセス回線を介して当該通信機器に送信する。通信情報には、当該通信情報を送信している通信相手を示す送信元情報が含まれており、アダプタ装置は、通信機器と通信相手とを通話可能に中継する中継手段を備え、アクセス回線を介して同一の通信相手から通信情報が送信されてくる場合、当該通信情報に含まれている送信元情報に基づいてISDN用信号ケーブルに出力する通信情報の同一チャネルに、前記同一の通信相手からの通信情報を含ませる。
このように、受信時は同一の通信相手からの通信情報を、ISDN用信号ケーブルに出力する通信情報の同一チャネルに割り当てる。
これにより、従来の通信機器及びPBX等をそのまま流用することができ、より少ない費用と工事期間でISDNとインターネットとを選択して通話を行うことを実現することができる。
【0009】
また、本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおりのアダプタ装置である。
請求項1に記載のアダプタ装置では、ISDN回線は、ISDN内で送受信される通信情報を制御するアクセス制御装置(電気通信事業者の交換機システム等)を介してISDNに接続されている。そして、アダプタ装置は、アクセス回線側に設定されて通信を行っている通信機器に関する情報を含む第4通信情報を、ISDN回線を介してアクセス制御装置に送信する。
アダプタ装置が加工してISDN回線に出力する通信情報(第2通信情報)には、アクセス回線側で利用している通信機器の通信情報が取り除かれている。この場合、アクセス制御装置が、ISDN信号用ケーブルで利用されているチャネル数の判断を誤る可能性がある。そこで、例えば現在アクセス回線側にて通信を行っている通信機器の数、あるいはチャネル名等を含む第4通信情報を、アクセス制御装置に送信し、アクセス制御装置がISDN信号用ケーブルで利用されているチャネル数を正しく判断できるようにする。
【0010】
また、本実施の形態に記載の通信システムでは、アダプタ装置は、アクセス回線側に設定されて通信を行っている通信機器に関する情報を含む第4通信情報を、ISDN回線を介してアクセス制御装置に送信する。そして、アクセス制御装置は、アダプタ装置から受信した第4通信情報に基づいて、アクセス回線側に設定されて通信を行っている通信機器に関する情報を入手する。
これにより、アクセス制御装置がISDN信号用ケーブルで利用されているチャネル数を正しく判断できるようにする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明のアダプタ装置40を用いた通信システムの一実施の形態の概略接続図を示している。
従来の事業所1では、図4(A)に示すように複数の通信機器2(電話機2a、FAX機2b等)をPBX6に接続し、PBX6からISDN回線10に接続している。ISDN回線10はアクセス制御装置20(電気通信事業者の交換機システム等)に接続されており、アクセス制御装置20はISDN30に接続されている。
【0012】
●[全体構成(図1)]
ここで、通信費の低減等を目的として、インターネットやIP網を用いたIP電話も選択的に利用できるように構成した、本発明のアダプタ装置を用いた通信システムを図1に示す。
図1に示すように、PBX6が接続されているISDN信号用ケーブル10a(利用者の通信機器2と接続するISDN信号用ケーブル)と、アクセス制御装置20が接続されているISDN回線10b(通信網であるISDNと接続する加入者線であるISDN回線)との間に、本発明のアダプタ装置40を設ける。また、アダプタ装置40にはADSL回線、CATV回線(同軸ケーブル等)または光ファイバ回線等、IP電話を利用可能なアクセス回線12が接続されている。アクセス回線12(インターネット32に接続するためのアクセスポイント22に接続するアクセス回線)は、当該回線の通信サービス業者(電気通信事業者)のアクセスポイント22(例えば、ルータ、ゲートウェイ等)に接続されており、アクセスポイント22はインターネット32に接続されている。また、インターネット32には、アダプタ装置40からアクセス可能なサーバ33が接続されている。
【0013】
●[アダプタ装置の動作(通信情報の振り分け及び加工:図2)]
次に、図2(A)を用いて、通信機器2(2a〜2n)からISDN30またはインターネット32に通信情報を送信する場合に、アダプタ装置40が通信情報の形式を変換する様子を説明する。
例えば、事業所1はISDNにおける所定のサービス(INSネット1500(登録商標)等)に加入しており、情報チャネル(Bチャネル)を23本同時に利用することができるとする。なお、この場合は信号チャネル(Dチャネル)も1本利用される。
【0014】
ここで、例えば通信機器2にて、利用可能なB1チャネル〜B23チャネル(23本)の中からB2チャネルとB3チャネルとを利用してインターネットに接続し、残りのB1チャネル及びB4チャネル〜B23チャネルをISDNに接続したとする。この場合、アダプタ装置40には、ISDN信号用ケーブル10aから通信情報Fin1が入力される。通信情報Fin1は、B1チャネル〜B23チャネルの各通信データ(図2(A)中の「B1」〜「B23」)と、Dチャネルの通信データ(図2(A)中の「Dch」)が含まれている固定サイズのシリアルデータである。
【0015】
アダプタ装置40には、第1の記憶手段(図示せず)が設けられており、第1の記憶手段にはインターネットを用いて通信する通信相手に関する通信先情報(電話番号、IPアドレス等)が記憶されている。アダプタ装置40は、通信機器2、サーバ33等を用いて、この記憶情報を更新(追加、変更、削除等)し得る構成とすることができる。
アダプタ装置40は、ISDN信号用ケーブル10aから入力された通信情報Fin1の中から、第1の記憶手段に記憶されている通信先情報に該当する通信先の有無を判定する。この場合、B2チャネルの通信データ(B2)と、B3チャネルの通信データ(B3)が該当すると判定する。
【0016】
次に、アダプタ装置40は、ISDN信号用ケーブル10aから入力された通信情報Fin1の中からB2チャネルの通信データ(B2)とB3チャネルの通信データ(B3)を取り除くとともに、B2チャネル及びB3チャネルが空きであることを示すデータ(所定のコード)を、B2チャネル及びB3チャネルに挿入した通信情報Fout2(第2通信情報)を作成してISDN回線10bに出力する。また、アダプタ装置40は、取り除いたB2チャネルの通信データ(B2)とB3チャネルの通信データ(B3)に基づいた通信情報Pout3(第3通信情報)を作成してアクセス回線12に出力する。
このように、固定サイズの通信情報を必要とするISDN回線10bには、アクセス回線12側に回すチャネルを空きチャネル(未使用チャネル)としたISDN用のシリアルデータである通信情報Fout2を出力する。また、チャネル毎のパケットデータを必要とするアクセス回線12には、アクセス回線12側用のパケットデータである通信情報Pout3を出力する。なお、通信情報Pout3は、必要に応じてデジタル波形(ISDN回線用)からADSL回線用のデジタル波形への変換、プロトコルの違い等によるヘッダ情報部の変換等が行われて作成される。
【0017】
次に、図2(B)を用いて、通信機器2(2a〜2n)がISDN30及びインターネット32から通信情報を受信する場合に、アダプタ装置40が通信情報の形式を変換する様子を説明する。
ここで、例えば通信機器2にて、利用可能なB1チャネル〜B23チャネル(23本)の中からB2チャネルとB3チャネルとを利用してインターネットに接続し、残りのB1チャネル及びB4チャネル〜B23チャネルをISDNに接続したとする。この場合、アダプタ装置40には、ISDN回線10bから通信情報Fin2が入力されるとともに、アクセス回線12から通信情報Pin3が入力される。
【0018】
通信情報Fin2は、B1チャネル〜B23チャネルの各通信データ(図2(B)中の「B1」〜「B23」、ただし「B2」と「B3」は空き)と、Dチャネルの通信データ(図2(B)中の「Dch」)が含まれている固定サイズのシリアルデータである。また、通信情報Pin3は、B2チャネルに対応するべきパケットデータ(B2P)とB3チャネルに対応するべきパケットデータ(B3P)である。
B2P及びB3Pには、インターネット32に繋がっている着信先(通信機器2が発信側の場合)、もしくはインターネット32に繋がっている発信元(アダプタ装置40が着信側、つまり呼び出された場合)のIPアドレスがヘッダ情報として入っている。
【0019】
従って、アダプタ装置40は、アクセス回線12を介して受信するパケットデータのうち、B2PをB2チャネルに、B3PをB3チャネルに流すことができる。
すなわち、アダプタ装置40は、ISDN回線10bから入力された通信情報Fin2の空きデータ部分に、アクセス回線12から入力された通信情報Pin3を加工したデータを埋め込んだ通信情報Fout1(第1通信情報)を作成してISDN信号用ケーブル10aに出力する。
このように、固定サイズの通信情報を必要とするISDN信号用ケーブル10aには、ISDN回線10bから入力された通信情報Fin2にアクセス回線12から入力された通信情報Pin3に基づいて加工したデータを埋め込んだ通信情報Fout1を出力する。なお、通信情報Pout3は、必要に応じてデジタル波形(ADSL回線用)からデジタル波形(ISDN回線用)に変換、プロトコルの違い等によるヘッダ情報部の変換等が行われて、通信情報Fout1に埋め込まれる。
【0020】
このように、アダプタ装置40は、自身が記憶するIP電話に振り替えるべき通信先の情報、及び受信するパケットデータの発信元アドレスなどを参照してISDN信号用ケーブル10aに接続された通信機器2の通信経路を、通信機器毎にISDN回線10b側またはアクセス回線12側のいずれかに設定する。
【0021】
●[アダプタ装置の動作(アクセス制御装置への報知)]
ここで、例えば事業所1は、ISDN信号用ケーブル10aで利用可能なチャネル数が「23」、現在ISDN信号用ケーブル10aで利用しているチャネル数が「23」、更にその中からアクセス回線12に分岐されているチャネル数が「2」の場合を考察する(図2(A)及び(B)に示す場合である)。
この場合、アクセス制御装置20は、実際にはISDN信号用ケーブル10aで「23」チャネルが利用されているにもかかわらず、ISDN回線10bでやり取りする通信情報Fin2及びFout2から、「21」チャネルが利用されていると判断してしまう可能性がある。この場合、アクセス制御装置20は、実際の残りチャネルが「0」であるのに対して、「2」チャネルが残っており、この「2」チャネルを利用可能と誤って判断する可能性がある。このとき、ISDN30から「2」回線分の接続要求(呼び出し要求)があった場合、当該「2」回線を接続しようと試みる。しかし、実際に利用可能なチャネル数は「0」チャネルであるため、「2」チャネル分の接続要求は回線の空きが発生するまでずっと待たされることになる。
以下の説明にて、アダプタ装置40から適切な情報をアクセス制御装置20に送信して、アクセス制御装置20に正しい利用中のチャネル数を認識させて上記の現象を回避する方法を説明する。
【0022】
アダプタ装置40は、現在アクセス回線12側にて通信を行っているチャネルを認識して、既に説明したように通信情報Fin1から取り除いたり、通信情報Fout1に埋め込んだりしている。この「現在アクセス回線12側にて通信を行っているチャネル」に関する情報(例えば現在所定の回線側にて通信を行っている通信機器の数、あるいはチャネル名等)を含む第4通信情報を作成する。そして、アダプタ装置40は、作成した第4通信情報をISDN回線10bを介してアクセス制御装置20に送信する。すなわち、アダプタ装置40は、「現在アクセス回線12側にて通信を行っているチャネル」を発信専用回線とするコードを第4通信情報として、その通信期間中、アクセス制御装置20に送信する。
この際、アダプタ装置40は、第4通信情報を通信情報Fout2に含ませてもよい(「Dch」部に含ませる等)し、通信情報Fout2とは別のデータとして送信するようにしてもよい。
【0023】
アクセス制御装置20は、第4通信情報を受信して、現在ISDN回線10bで通信されている通信情報Fin2及び通信情報Fout2に含まれているチャネルの他にも実際に使用されているチャネルが存在していることを認識することができる。このように、アダプタ装置40は、アクセス制御装置20に正しい利用中のチャネル数を認識させることができる。
【0024】
●[アダプタ装置の内部構成(図3)]
次に、図3に示すブロック図を用いて、アダプタ装置40の内部構成を説明する。なお、図3において、太線は通信情報の流れるデータバス(DB1〜DB11)を示しており、矢印を伴う線はコントロールバス(CB1〜CB4)を示している。
アダプタ装置40には、ISDN信号用ケーブル10aを接続する端子40aと、ISDN回線10bを接続する端子40bと、アクセス回線12を接続する端子40cとが設けられている。
【0025】
端子40aはISDN送受信部41とデータバスDB1で接続されている。
ISDN送受信部41は更に制御手段45(CPU等)と、データバスDB5及びコントロールバスCB1で接続されている。また、ISDN送受信部41はBチャネルSW部43とデータバスDB2で接続されている。
同様に、端子40bはISDN送受信部42とデータバスDB4で接続されている。
ISDN送受信部42は更に制御手段45(CPU等)と、データバスDB6及びコントロールバスCB2で接続されている。また、ISDN送受信部42はBチャネルSW部43とデータバスDB3で接続されている。
【0026】
BチャネルSW部43は、更にデータ圧縮伸張手段44(音声圧縮伸張装置等)とデータバスDB7で接続されており、制御手段45とコントロールバスCB3で接続されている。
データ圧縮伸張手段44は、更に制御手段45とデータバスDB8で接続されている。
制御手段45は、更にLAN送受信部46とデータバスDB9及びコントロールバスCB4で接続されている。
LAN送受信部46は、更にモデム部47とデータバスDB10で接続されている(この例では、アクセス回線12はアナログ回線を利用するADSL回線であるとする)。
モデム部47は、更に端子40cとデータバスDB11で接続されている。
【0027】
[通信機器から通信情報を送信する場合の各情報の経路]
次に、通信機器2から通信情報Fin1を送信する場合(図2(A)参照)における、各情報の経路を説明する。
通信機器2から送信された通信情報Fin1は、ISDN信号用ケーブル10aから端子40a及びデータバスDB1を経由してISDN送受信部41に入力される。
次に制御手段45は、コントロールバスCB1からの信号にて、ISDN送受信部41に通信情報Fin1が入力されたことを検出し、データバスDB5を介して通信情報Fin1に含まれているDチャネルに関する情報(通信情報Fin1内の「Dch」に含まれている情報)、「B1」〜「B23」の送信先情報等を読み出す。
【0028】
例えば制御手段45は、インターネットを用いて通話を行う通信相手側の電話番号を記憶した記憶手段(第2の記憶手段、図示せず)を備えており、ISDN信号用ケーブル10aから入力された通信情報Fin1の中から第2の記憶手段が記憶している電話番号と一致する電話番号があるか否かを判定する。この場合、制御手段45が通信相手検出手段に相当する。そして、例えば「B3」の電話番号と第2記憶手段に記憶している電話番号の1つが一致した場合、制御手段45は、「B3」の通信情報をアクセス回線12側の通信経路に設定する。この場合、制御手段45が設定手段に相当する。
このように、制御手段45は、通信情報Fin1内の各通信データ「B1」〜「B23」の各々を、ISDN回線10bから出力すべき通信データと、アクセス回線12から出力すべき通信データとに分類する。
【0029】
制御手段45は、コントロールバスCB1及びCB3を用いてISDN送受信部41及びBチャネルSW部43を制御して、ISDN送受信部41内の通信情報Fin1を、データバスDB5からBチャネルSW部43に入力する。この際、BチャネルSW部43には通信情報Fin1の各通信データ(「B1」〜「B23」、「Dch」)が順次入力される。ここで、制御手段45は、コントロールバスCB3を用いて、ISDN回線10b側に出力すべき通信データはBチャネルSW部43をISDN送受信部42側に接続し、アクセス回線12側に出力すべき通信データはデータ圧縮伸張手段44側に接続する。つまり、BチャネルSW部43にて、ISDN回線10bに出力すべき通信データと、アクセス回線12に出力すべき通信データとが振り分けられる。
【0030】
ISDN送受信部42に入力された通信データは、通信情報Fout2の形式である。この通信情報Fout2は、データバスDB4及び端子40bを経由してISDN回線10bから出力される。
また、データ圧縮伸張手段44に入力された各通信データは、所定の形式に圧縮されてデータバスDB8を経由して制御手段45に入力される。
制御手段45は、圧縮された通信データをLAN送受信部46に出力する。この際、出力された通信データは、通信情報Pout3に対応するパケットデータ形式である。なお、圧縮された通信データのヘッダ情報部の変更は、データ圧縮伸張手段44または制御手段45にて行われる。
【0031】
ヘッダ情報部には、通信相手のIPアドレスが含まれている。次に、このIPアドレスの取得方法について説明する。
例えばインターネット32に接続されているサーバ33(図1参照)は、電話番号に対応させてIPアドレスを記憶した第3の記憶手段(図示せず)を備えている。制御手段45は、アクセス回線12を介して当該サーバ33にアクセスし、対象となる電話番号をサーバ33に送信する。サーバ33は、受信した電話番号に対応するIPアドレスを、第3の記憶手段に記憶されている電話番号に基づいて検索し、対応するIPアドレスを制御手段45に送信する。制御手段45はサーバ33からIPアドレスを受信して、ヘッダ情報部に含ませる。このように、制御手段45は、当該IPアドレスに対応する通信相手と、当該通信相手に通信情報を送信してきた通信機器とを接続手段にてインターネットを介して通話可能に接続する(通信機器が情報を受信する側である場合は後述する)。この場合、制御手段45が接続手段に相当する。
【0032】
なお、第2の記憶手段、第3の記憶手段、通信相手検出手段、接続手段の各手段を、アダプタ装置40とサーバ33において、全ての手段をアダプタ装置40に備えてもよいし、全ての手段をサーバ33に備えてもよいし、少なくとも1つの手段をアダプタ装置40に備えて残りをサーバ33に備えるようにしてもよい。各手段をどの装置に備えさせるか、種々の方法があり、特に限定しない。
LAN送受信部46は、入力された通信データをモデム部47に出力する。そして、モデム部47は、入力された通信データ(デジタル信号)を通信情報Pout3(ADSL用のデジタル信号)に変換して出力する。
モデム部47から出力された通信情報Pout3は、データバスDB11及び端子40cを経由してアクセス回線12に出力される。なお、LAN送受信部46とモデム部47とは一体化してもよく、制御手段45とLAN送受信部46とモデム部47とを一体化した構成とすることも可能である。
【0033】
[通信機器が通信情報を受信する場合の各情報の経路]
次に、通信機器2が通信情報Fout1を受信する場合(図2(B)参照)における、各情報の経路を説明する。
ISDN回線10bから入力された通信情報Fin2は、ISDN回線10bから端子40b及びデータバスDB4を経由してISDN送受信部42に入力される。
次に制御手段45は、コントロールバスCB2からの信号にて、ISDN送受信部42に通信情報Fin2が入力されたことを検出し、データバスDB6を介して通信情報Fin2に含まれているDチャネルに関する情報(通信情報Fin2内の「Dch」に含まれている情報)、「B1」〜「B23」の空きチャネル情報等を読み出す。
そして、制御手段45は、通信情報Fin2内の各通信データ「B1」〜「B23」のどの部分にアクセス回線12から入力された通信データを埋め込めば良いかを判定する。
【0034】
制御手段45は、コントロールバスCB2及びCB3を用いてISDN送受信部42及びBチャネルSW部43を制御して、ISDN送受信部42内の通信情報Fin2を、データバスDB3からBチャネルSW部43に入力する。この際、BチャネルSW部43には通信情報Fin2の各通信データ(「B1」〜「B23」、「Dch」)が順次入力される。
制御手段45は、アクセス回線12側から入力される通信データをBチャネルに埋め込まなくてもよい場合はBチャネルSW部43をISDN送受信部41側に接続し、ISDN回線10b−ISDN送受信部42−BチャネルSW部43−ISDN送受信部41−ISDN信号用ケーブル10aの間をスルー状態とする。しかし、ここでは、制御手段45は、BチャネルSW部43にて、通信情報Fin2の「B2」チャネルと「B3」チャネルにアクセス回線12から入力された通信データ(通信情報Pin3に基づいた通信データ)を埋め込んで合成しなければならない。通信情報Pin3を受信した制御手段45は、データバスDB8を介して通信情報Pin3をデータ圧縮伸長手段44に送信して伸長させ、DB7を介してBチャネルSW部43に送り込む。
【0035】
図2(B)の例の場合、BチャネルSW部43は、Bチャネルの「B1」チャネルの通信データをISDN送受信部41に入力するタイミングでは、ISDN送受信部41とデータ圧縮伸張手段44との接続を開放し、ISDN送受信部41とISDN送受信部42とを接続する。続いてBチャネルSW部43は、Bチャネルの「B2」チャネルと「B3」チャネルの通信データをISDN送受信部41に入力するタイミングでは、ISDN送受信部41とISDN送受信部42との接続を開放し、ISDN送受信部41とデータ圧縮伸張手段44とを接続する。更にBチャネルSW部43は、Bチャネルの「B4」チャネル以降の通信データをISDN送受信部41に入力するタイミングでは、ISDN送受信部41とデータ圧縮伸張手段44との接続を開放し、ISDN送受信部41とISDN送受信部42とを接続する。
このように、BチャネルSW部43は、Bチャネルの「B2」チャネルと「B3」チャネルの通信データに通信情報Pin3を埋め込んで、データバスDB2を介してISDN送受信部41に通信データを送信する。
ISDN送受信部41に入力されたこの通信データは、通信情報Fout1の形式である。この通信情報Fout1は、データバスDB1及び端子40aを経由してISDN信号用ケーブル10aに出力される。
【0036】
なお、アクセス回線12から入力される通信情報Pin3は、端子40c及びデータバスDB11を経由してモデム部47に入力され、ADSL用のデジタル信号からISDN用のデジタル信号に変換される。ISDN用のデジタル信号に変換された通信情報Pin3に基づいた通信データは、データバスDB10−LAN送受信部46−データバスDB9−制御手段45−データバスDB8−データ圧縮伸張手段44−データバスDB7を経由してBチャネルSW部43に入力されて、通信情報Fin2に埋め込まれていく。なお、通信データのヘッダ情報部の変更は、データ圧縮伸張手段44または制御手段45にて行われる。
【0037】
このように、アダプタ装置40の制御手段45は、通信機器2がアクセス回線12を介して通信相手から通信情報Pin3を受信する場合、通信機器2と通信相手とを通話可能に中継する。この場合、制御手段45は中継手段に相当する。
制御手段45は、通信機器2と通信相手とを通話可能に中継する際、同一の通信相手からの通信情報Pin3(例えば図2(B)における通信データ「B2P」)の受信が継続している場合、ISDN信号用ケーブル10aに出力する通信情報Fout1における同一チャネル(例えば図2(B)における通信データ「B2」)に継続して埋め込む(同一チャネルに含ませることを維持する)。
なお、受信する通信情報Pin3における各通信データ(例えば図2(B)における通信データ「B2P」、「B3P」)には、各々に対して当該通信データを送信している通信相手を示す送信元情報(IPアドレス等)がヘッダ情報部に含まれている。制御手段45は、このヘッダ情報部の送信元情報を判定することで、同一の通信相手から継続して通信情報Pin3が送信されているのか、新たな通信相手から通信情報Pin3が送信されてきたのか、等を判断することができる。
【0038】
[アダプタ装置が、アクセス制御装置に第4通信情報を送信する場合の経路]
次に、アダプタ装置40が、アクセス制御装置20に送信する第4通信情報を送信する場合における、情報の経路を説明する。
制御手段45は、上記に説明したように、現在やり取りしている通信情報を全て把握している。したがって、制御手段45が任意のタイミングで第4通信情報を作成することができる。そして、制御手段45は、作成した第4通信情報を、コントロールバスCB2及びデータバスDB6を用いてISDN送受信部42に出力する。ISDN送受信部42に入力された第4通信情報は、データバスDB4及び端子40bを経由してISDN回線10bに出力される。
【0039】
本発明のアダプタ装置40及び通信システムは、本実施の形態で説明した構成、動作等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
また、アクセス回線12は、IP電話を利用できれば、実施の形態の例で説明した通信回線以外の回線にも適用することができる。
本実施の形態の説明では、ISDN信号用ケーブル10a、ISDN回線10b、アクセス回線12を有線形式の回線の例で説明したが、無線形式の回線にも適用することができる。
本実施の形態の説明に用いた数値等は一例であり、この数値等に限定されるものではない。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1または2に記載のアダプタ装置、あるいは本実施の形態に記載の通信システムを用いれば、より少ない費用と工事期間で、端末側(利用者宅側)既存システムを、ISDNとインターネットとを選択して通話を行うことができる併用システムに改造し得るアダプタ装置及び通信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のアダプタ装置40を用いた通信システムの一実施の形態の概略接続図である。
【図2】 通信機器2から通信情報を送信する場合におけるアダプタ装置40の動作、及び通信機器2が通信情報を受信する場合におけるアダプタ装置40の動作を説明する図である。
【図3】 アダプタ装置40の内部構成、及び各構成要素の動作を説明する図である。
【図4】 従来の通信システムの概略接続図である。
【符号の説明】
1 事業所
2、2a〜2n 通信機器
6 PBX
10、10b ISDN回線
10a ISDN信号用ケーブル
12 アクセス回線
20 アクセス制御装置
22 アクセスポイント
30 ISDN
32 インターネット
33 サーバ
40 アダプタ装置
40a〜40c 端子
41、42 ISDN送受信部
43 BチャネルSW部
44 データ圧縮伸張手段
45 制御手段
46 LAN送受信部
47 モデム部
DB1〜DB11 データバス
CB1〜CB4 コントロールバス

Claims (2)

  1. 利用者の通信機器と接続するISDN信号用ケーブルと、通信網であるISDNと接続する加入者線であるISDN回線と、インターネットと接続するアクセス回線と、を収容するアダプタ装置であって、
    利用者がインターネットを用いて通話を行う通信相手側に関する通信先情報が記憶された第1の記憶手段を備えており、
    当該通信先情報に基づいてISDN信号用ケーブルに接続された通信機器の通信経路を、通信を行っている通信機器毎にISDN回線側またはアクセス回線側のいずれかに設定し、
    ISDN信号用ケーブルに出力する第1通信情報の情報形式と、ISDN回線に出力する第2通信情報の情報形式と、アクセス回線に出力する第3通信情報の情報形式とを、各ケーブル及び回線に応じて各々変換し、
    ISDN回線は、ISDN内で送受信される通信情報を制御するアクセス制御装置を介してISDNに接続されており、
    アダプタ装置は、アクセス回線側に設定されて通信を行っている通信機器に関する情報を含む第4通信情報を、ISDN回線を介してアクセス制御装置に送信する、
    ことを特徴とするアダプタ装置。
  2. 請求項1に記載のアダプタ装置であって、
    ISDN回線側に設定されて通信を行っている通信機器とアクセス回線側に設定されて通信を行っている通信機器とが混在している場合において、
    通信機器から通信情報を送信する場合、アダプタ装置は、
    ISDN信号用ケーブルから入力される通信情報の中からアクセス回線側に設定されている通信機器に関する通信情報を取り除き、取り除いた通信情報に基づいた第3通信情報を作成してアクセス回線に出力するとともに、ISDN信号用ケーブルから入力される通信情報の中からアクセス回線側に設定されている通信機器に関する通信情報を取り除いた第2通信情報を作成してISDN回線に出力し、
    通信機器が通信情報を受信する場合、アダプタ装置は、
    ISDN回線から入力される通信情報とアクセス回線から入力される通信情報とを合成した第1通信情報を作成してISDN信号用ケーブルに出力する、
    ことを特徴とするアダプタ装置。
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