JP4302993B2 - セメント系建築材料用防汚剤組成物、セメント系建築材料、建築物用表面処理剤および建築物の防汚方法 - Google Patents
セメント系建築材料用防汚剤組成物、セメント系建築材料、建築物用表面処理剤および建築物の防汚方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セメント系建築材料用防汚剤組成物、該セメント系建築材料用防汚剤組成物を含むセメント系建築材料、前記セメント系建築材料用防汚剤組成物を含む建築物用表面処理剤および前記建築物用表面処理剤を用いる建築物の防汚方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンクリート等のセメント系建築材料の素材感をそのまま生かして独自の意匠とする、セメント又はコンクリート外壁の建築物が多くなってきている。しかし、これらセメント系建築物の外壁は、藻や黴などの微生物が繁殖しやすいという問題があった。藻や黴の繁殖は、建築物等の外観を損なうばかりでなく、これらの産生する代謝物が原因となって建物表面の腐食やひび割れなどの劣化を生じる。
【0003】
一般に、これらセメント系建築物に対する微生物の汚染と劣化を防止するために、藻や黴の栄養源となる塵埃や土が該建築物の外壁に付着するのを防止する目的で、セメント系建築物の外壁表面に塗料を塗布する仕上げ処理が施されている。しかし、塗装処理では費用と手間がかかるわりには十分な防汚効果が得られていない。
【0004】
一方、セメント系建築材料に防藻剤や防黴剤を含有させて、防藻または防黴効果を期待する方法が考えられており、例えば、セメントやセッコウなどにトリアゾール系の防黴剤を含有させた建築用材料が知られている(特許文献1参照。)。この建築用材料は、高温多湿環境下にある浴室のタイル目地での黴の発生を抑え、黴の代謝物による臭気の発生や目地の着色を防止する。しかし、該建築用材料は黴に対して優れた効果を有するものの、藻の発生に関しては効果がなかった。
【0005】
また、ウレア系の防藻剤を含有する陸上構築物用防緑藻塗料が結露を生じる冷凍倉庫などのコンクリート建物の外壁や浴室の天井などに優れた防汚効果を示すことが知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、該塗料は防藻効果はあるものの、防黴効果はなかった。
【0006】
セメント系建築物の防汚には、防藻効果と防黴効果の両方が必要であり、これらの両効果を有する建築用材料としては、コンクリート原料に防藻・防黴剤とシリカヒューム、フライアッシュ及び微粉末高炉スラグの少なくとも1種を混和した防藻および防黴コンクリートが報告されている(例えば、特許文献3参照。)。この防藻および防黴コンクリートは、シリカヒューム、フライアッシュ及び微粉末高炉スラグの少なくとも1種を必須成分として含むことにより、壁組成が非常に緻密化して空隙が減少し藻類および黴類の付着が抑制されることを特徴としている。含有される防藻・防黴剤としては、一般名DCMU(ジウロン、diuron)として知られるウレア系薬剤N'−(3,4−ジクロロフェニル)−N,N−ジメチルウレアを含む除草剤または無機系銀イオン抗菌剤が用いられている。しかし、シリカヒュームを含まないものは防藻効果が弱く、また、防黴効果は全く確認されていなかった。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−255510号公報
【特許文献2】
特開昭60−223874号公報
【特許文献3】
特開平9−2859号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
つまり、セメント系建築材料の防汚のために、防黴効果と防藻効果の両方の効果に優れた防汚剤が望まれている。しかしながら、従来、これら2つの効果を有し、高い防汚効果を有する防汚剤については知られていなかった。
したがって、本発明の目的は、セメント系建築材料中の強アルカリ性下でも安定で、雨水による溶脱が少なく、藻と黴に対し、少量で、長期間、優れた防汚効果を発揮するセメント系建築材料用防汚剤組成物、該セメント系建築材料用防汚剤組成物を含むセメント系建築材料、前記セメント系建築材料用防汚剤組成物を含む建築物用表面処理剤、該建築物用表面処理剤を用いる建築物の防汚方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、多数提案されている種々の防黴剤と防藻剤について検討を行った結果、特定のトリアジン系防藻剤及び/又は特定のウレア系防藻剤と、特定のトリアゾール系防黴剤との組み合わせを含む防汚剤組成物が、セメント系建築材料中の強アルカリ下でも長期間安定で、水によるセメント系建築材料からの溶脱が少ないこと、さらに、顕著な防黴と防藻の相乗効果を有しており、少ない含有量で優れた防汚効果を奏するものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、(A)N−シクロプロピル−N'−(1,1−ジメチルエチル)−6−(メチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミンと、(B)α−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−α−(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノールとを有効成分として含有することを特徴とするセメント系建築材料用防汚剤組成物を提供する。
また、本発明は、(A)N−シクロプロピル−N'−(1,1−ジメチルエチル)−6−(メチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン及び/又はN'−(3,4−ジクロロフェニル)−N,N−ジメチルウレアと、(B)α−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−α−(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノールとを有効成分として含有し、前記(A)及び(B)を、(A):(B)=20:80〜80:20の質量比で含有することを特徴とするセメント系建築材料用防汚剤組成物を提供する。
【0011】
また、本発明は、セメントペースト、セメントモルタル又はコンクリートと、前記セメント系建築材料用防汚剤組成物とを含有するセメント系建築材料を提供する。
また、本発明は、水に分散したシリカゾルと、前記セメント系建築材料用防汚剤組成物とを含有する建築物用表面処理剤を提供する。
また、本発明は、建築物の表面に、前記建築物用表面処理剤を塗布することを特徴とする建築物の防汚方法を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をより詳細に説明する。
<防汚剤組成物>
本発明のセメント系建築材料用防汚剤組成物は、防藻剤として特定のトリアジン系防藻剤及びウレア系防藻剤の少なくとも1種と、防黴剤として特定のトリアゾール系防黴剤とを含むものである。
【0013】
[防藻剤]
防藻剤は、除草剤として用いられる薬剤が防藻剤として用いられる場合が多く、例えば、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、2−(メトキシ−カルボニル−アミノ)ベンズイミダゾールなどのベンズイミダゾール系薬剤、ブロマシルなどのダイアジン系薬剤、シマジン、シメトリン、プロメトリン、ジメタメトリン、テルブトリン、一般名シブトリン(cybutryne、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製品、商品名イルガロール−1071)として知られるトリアジン系薬剤N−シクロプロピル−N'−(1,1−ジメチルエチル)−6−(メチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン、テルブチラジンなどのトリアジン系薬剤、リニュロン、カルブチレート、DCMU(ジウロン、diuron)などのウレア系薬剤など多数の薬剤が知られている。
【0014】
しかしながら、これら多数の防藻剤の中でも、本発明のセメント系建築材料用防汚剤組成物に用いる防藻剤は、シブトリン及び/又はDCMUを有効成分として含有する。
【0015】
シブトリンとDCMUは、セメント系建築材料中の強アルカリ性下でも長期間安定で、セメント系建築材料からの雨水による溶脱が少ない防藻剤であり、防黴剤α−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−α−(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノールとの組み合わせにより、防黴及び防藻の顕著な相乗効果を有する。
【0016】
また、本発明の防汚剤組成物において、シブトリンとDCMUは、どちらか一方又は両方配合がされていてよい。
【0017】
なお、本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、シブトリン及びDCMU以外の他の防藻剤(例えば上記した防藻剤)を含有してもよい。
【0018】
[防黴剤]
防黴剤は上述の防藻剤以上に種類は多く、トリアゾール系薬剤、ピリジン系薬剤、有機ヨード系薬剤、チアゾール系薬剤、ベンゾイミダゾール系薬剤、ハロアルキルチオ系薬剤などの多種多様な防黴剤が知られている。しかしながら、本発明のセメント系建築材料用防汚剤組成物に用いる防黴剤は、トリアゾール系薬剤の中の一般名テブコナゾール(tebuconazole)として知られるα−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−α−(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール(以下、テブコナゾールと称する)を有効成分とする。
【0019】
テブコナゾールは、セメント系建築材料中の強アルカリ性条件下でも長期間安定で、セメント系建築材料からの雨水による溶脱が少なく、かつ上述したように防藻剤であるトリアジン系薬剤シブトリンとウレア系薬剤DCMUの少なくとも1種との組み合わせにより、防黴と防藻の優れた相乗効果を有する。
【0020】
なお、本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、テブコナゾール以外の他の防黴剤(例えば上記した防黴剤)を含有してもよい。
【0021】
本発明の防汚剤組成物においては、(A)シブトリン及び/又はDCMUと、(B)テブコナゾールとを、(A):(B)=20:80〜80:20の範囲内の質量比で含有することが好ましい。(A)または(B)のいずれかの比率が20未満であると、防黴および防藻効果の両立と優れた相乗効果が減少する。
【0022】
本発明のセメント系建築材料用防汚剤組成物は、粉体状の防藻剤と防黴剤を混合した粉体製剤の他に、水、界面活性剤および有機溶剤を混合することにより、水溶性液剤、水分散剤、水懸濁剤、乳剤などの液剤として得ることができる。また、その目的および用途によっては、ペースト剤や顆粒剤などの公知の剤形に製剤化してもよい。
【0023】
粉体製剤を製造する場合は、用いるテブコナゾール、シブトリン及び/又はDCMUの形状は粉状であることが好ましく、通常、平均粒径0.1〜50μmの粉状のテブコナゾール、シブトリン及び/又はDCMUを撹拌混合し、平均粒径0.1〜50μmの粉体製剤を製造する。このような平均粒径の粉体を用いることにより、セメント系建築材料や建築物用表面処理剤中での防汚剤組成物の分散が良好となる。
【0024】
しかし、例えば、コンクリートミキサー車上で、コンクリート原料であるセメント、砂、骨材および水と共に本発明の防汚剤組成物を添加する場合には、必ずしも上記の平均粒径0.1〜50μmの範囲の細かい平均粒径の粉状製剤でなくてもよい。すなわち、コンクリートミキサー車でのコンクリート調製の間に、添加された防汚剤組成物がコンクリートと十分に撹拌混合され、コンクリート中に微細に分散されるために、より大きな平均粒径の粉状製剤としてもよい。
【0025】
また、本発明の防汚剤組成物を液剤とする場合は、例えば、シブトリン及び/又はDCMUとテブコナゾールとを、水、消泡剤、界面活性剤、有機溶剤等と混合することにより調製することができる。
【0026】
この際用いられる有機溶剤は、水に対して溶解性または分散性を有するもの、または界面活性剤により乳化する有機溶剤の何れであってもよい。
このような有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコールなどの低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;トルエン、ジメチルフェニルエチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール類;及び、この他にジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルなどの極性有機溶媒などが挙げられる。これら有機溶剤は、単独または2種類以上を併用してもよく、また水と混合して用いてもよい。
【0027】
消泡剤としては、例えば、ポリアルキルアクリレート、ポリアルキルメタクリレートなどのアクリル系消泡剤や、ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルシロキサンなどのシリコーン系消泡剤など、慣用の消泡剤が挙げられる。
【0028】
界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両イオン界面活性剤、高分子界面活性剤など、慣用の界面活性剤が挙げられるが、液状のセメント系建築材料用防汚剤組成物の保管時の高温安定性や低温安定性が良く、希釈時の懸垂安定性が良好で安価なために、中でもノニオン系界面活性剤やアニオン系界面活性剤が好ましく用いられる。
これらの界面活性剤は、単独または2種以上併用してもよく、セメント系建築材料用防汚剤組成物100質量部に対して、一般に、0.01〜20質量部添加される。
【0029】
<セメント系建築材料>
本発明のセメント系建築材料は、セメントペースト、セメントモルタル又はコンクリートと、本発明の防汚剤組成物とを含有するものである。
【0030】
セメント系建築材料中のシブトリン及び/又はDCMUの含有量は、シブトリン及びDCMUのトータルとして、0.001〜2質量%の範囲内とすることが好ましく、0.005〜1質量%がより好ましい。
セメント系建築材料中のテブコナゾールの含有量は、0.001〜2質量%の範囲内とすることが好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。
セメント系建築材料中に含まれる本発明の防汚剤組成物の量は、有効成分の含有量、その用途などによっても異なるが、好ましくは、セメントペースト、セメントモルタル又はコンクリート100容積部に対して0.01〜10質量部、より好ましくは0.02〜5質量部である。
【0031】
本発明のセメント系建築材料組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに慣用の防腐剤や防虫剤などの添加剤を含んでいてもよい。
防腐剤としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(ヒドロキシエチル)トリアジンなどが挙げられる。
防虫剤としては、例えば、ビフェントリン、メタチオン、エトフェンプロックスなどが挙げられる。
【0032】
本発明の防汚剤組成物及び任意の添加剤と、未硬化のセメントペースト、未硬化のセメントモルタル又は未硬化のコンクリートと混合することにより、セメント系建築材料用防汚剤組成物を含むセメントペースト組成物、セメントモルタル組成物およびコンクリート組成物であるセメント系建築材料を製造することができる。
セメントペースト、セメントモルタルまたはコンクリートへの防汚剤組成物の混合は、通常、セメント系建築材料の製造時に、それらの原料であるセメントや砂や骨材及び水などと混合することにより行われ、例えば、コンクリート製造工場(生コン工場)、コンクリートミキサー車上、もしくは建築現場において行われる。
【0033】
本発明のセメント系建築材料を用いて建築した建築物は、長期に渡って藻や黴による汚染から保護され、悪臭の発生がなく、美観を保持することができる。
【0034】
<建築物用表面処理剤>
本発明の建築物用表面処理剤は、本発明の防汚剤組成物と、水に分散したシリカゾルとを含有するものである。
【0035】
本発明の建築物用表面処理剤の製造に用いる水に分散したシリカゾルは、例えば、平均粒径10〜100nmのケイ酸(SiO2)を10〜40質量%含むコロイド水溶液であり、通常、pH9〜10の水溶液またはメタノールやエタノールなどの低級アルコール溶液として市販されている。本発明に用いるシリカゾルは、ケイ酸を10〜40質量%含むpH9〜10の水に分散したシリカゾルが好ましく、含まれるケイ酸(SiO2)の平均粒径は、10〜50nmが好ましい。
【0036】
本発明の建築物用表面処理剤は、防藻剤及び防黴剤のほか、本発明の効果を損なわない範囲で、建築物用表面処理剤に一般的に用いられている、キサンタンガム等の安定剤、ポリオキシアルキレンアクリルアルキルエーテル等の界面活性剤などの任意の添加剤を含んでいてもよい。
【0037】
本発明の建築物用表面処理剤は、本発明の防汚剤組成物を、上述のようなシリカゾルに配合することにより製造することができる。
本発明の建築物用表面処理剤を塗布した建築物は、長期に渡って藻や黴による汚染から保護され、悪臭の発生がなく、美観を保持することができる。
【0038】
建築物用表面処理剤中のシブトリン及び/又はDCMUの含有量は、シブトリン及びDCMUのトータルとして、0.01〜5質量%の範囲内とすることが好ましく、0.05〜3質量%がより好ましい。
建築物用表面処理剤中のテブコナゾールの含有量は、0.01〜5質量%の範囲内とすることが好ましく、0.05〜3質量%がより好ましい。
【0039】
<建築物の防汚方法>
本発明の建築物用表面処理剤を、建築物、例えば、セメントペースト、セメントモルタルまたはコンクリートを用いた建築物の表面に塗布することにより、例えば、建築物の外壁、浴室の壁や目地などを黴と藻による汚染から保護することができ、悪臭の発生がなく、美観を保持することができる。
建築物用表面処理剤の塗布方法及び塗布量に特に制限はない。
【0040】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明およびその効果を具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
実施例および比較例において、テブコナゾールは商品名プリベントールA8(製造元:バイエル株式会社、平均粒径25μm)、シブトリンは商品名イルガロール1071(製造元:チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社、平均粒径33μm)、DCMUは商品名DOLIS HS200(製造元:保土ヶ谷化学工業株式会社、平均粒径16μm)を用いた。
【0041】
[セメント系建築材料用防汚剤組成物の製造]
実施例1(セメント系建築材料用防汚剤組成物1の製造)
テブコナゾール75gとシブトリン25gをタンブラー・シェーカー・ミキサー(シンマルエンタープライゼス社製、型式T2F)にて5分間混合してセメント系建築材料用防汚剤組成物1を製造した。
【0042】
実施例2(セメント系建築材料用防汚剤組成物2の製造)
実施例1のシブトリンに変えて、同量のDCMUを用いた以外は実施例1と同様にして、セメント系建築材料用防汚剤組成物2を製造した。
【0043】
実施例3(セメント系建築材料用防汚剤組成物3の製造)
実施例1のテブコナゾール75gとシブトリン25gに変えて、テブコナゾール60g、シブトリン20g及びDCMU20gを用いた以外は実施例1と同様にして、セメント系建築材料用防汚剤組成物3を製造した。
【0044】
[建築物用表面処理剤の製造]
実施例4(建築物用表面処理剤1の製造)
テブコナゾール120g、シブトリン80g、ポリオキシアルキレンアクリルアルキルエーテル50g、キサンタンガム5g及び水745gを含むスラリー1000gをダイノミル(シンマルエンタープライゼス社製、型式KD−2)にて湿式粉砕した水分散剤(平均粒子径5μm)2.5質量部(テブコナゾール0.3質量部、シブトリン0.2質量部)を、水に分散したシリカゾル(SiO2含有量30〜31質量%、平均粒子径7〜10nm)97.5質量部に添加、混合して建築物用表面処理剤1を製造した。
【0045】
実施例5(建築物用表面処理剤2の製造)
シブトリン80gに変えてDCMU80gを用いた以外は実施例4と同様にして建築物用表面処理剤2を製造した。
【0046】
実施例6(建築物用表面処理剤3の製造)
シブトリン80gに変えてシブトリン80g及びDCMU80gを用い、水745gに変えて水665gを用いた以外は実施例4と同様にして建築物用表面処理剤3を製造した。
【0047】
[防汚試験用の比較防汚剤組成物および比較表面処理剤の製造]
後述する防汚試験にて比較のために用いる比較防汚剤組成物および比較表面処理剤の製造においては、防黴剤として以下のものを用いた。
BCM:(カルベンダジン、Carbendazim、1H-benzimidazol -2-yl-carbamic acid methyl ester、商品名プリベントールBCM、株式会社バイエル社製)、
IPBC:(3-iodo-2-propynyl ester butyl carbamic acid、商品名トロイサンポリフェースP100、トロイ・コーポレーション社製)、
ZPT:(bis-(1-hydroxy-2(H)-pyridine thionato-O,S)zinc、商品名ジンクオマジン、アーチケミカルズ社製)、
OIT:(2-n-Octyl-4-isothiazolin-3-one、商品名ケーソン893T、ローム・アンド・ハース社製)、
CuPT:(bis-(1-hydroxy-2(H)-pyridinethionato -O,S、copper (II)、銅ピリチオン、吉富ファインケミカル社製)
【0048】
[比較防汚剤組成物の製造]
比較例1(比較防汚剤組成物1の製造)
60gのBCMと40gのシブトリンをタンブラー・シェーカー・ミキサー(シンマルエンタープライゼス社製、型式T2F)にて5分間混合して、比較防汚剤組成物1を製造した。
【0049】
比較例2(比較防汚剤組成物2の製造)
90gのBCMと20gのDCMUをタンブラー・シェーカー・ミキサーにて5分間混合して比較防汚剤組成物2を製造した。
【0050】
[比較表面処理剤の製造]
比較例3(比較表面処理剤1の製造)
水分散剤2.5質量部(テブコナゾール0.3質量部、シブトリン0.2質量部)に変えてテブコナゾール1.0質量部を用い、これを、実施例4と同様に、水に分散したシリカゾル99質量部に添加、混合して比較表面処理剤1を製造した。
【0051】
比較例4(比較表面処理剤2の製造)
テブコナゾールを1.0質量部から0.3質量部に変え、水に分散したシリカゾルを99質量部から99.7質量部に変えた以外は比較例3と同様にして比較試験表面処理剤2を製造した。
【0052】
比較例5(比較表面処理剤3の製造)
水分散剤2.5質量部(テブコナゾール0.3質量部、シブトリン0.2質量部)に変えて、シブトリン100g、ポリオキシアルキレンアクリルアルキルエーテル50g、キサンタンガム5g及び水845gを含むスラリー1000gをダイノミルにて湿式粉砕した水分散剤(平均粒子径5μm)10質量部(シブトリン1.0質量部)を用い、これを実施例4と同様に、水に分散したシリカゾル90質量部に添加、混合して比較表面処理剤3を製造した。
【0053】
比較例6(比較表面処理剤4の製造)
水分散剤の量を10質量部から3.0質量部(シブトリン0.3質量部)に変え、シリカゾルの量を90質量部から97質量部に変えた以外は比較例5と同様にして比較表面処理剤4を製造した。
【0054】
比較例7(比較表面処理剤5の製造)
水分散剤2.5質量部(テブコナゾール0.3質量部、シブトリン0.2質量部)に変えて、DCMU100g、ポリオキシアルキレンアクリルアルキルエーテル50g、キサンタンガム5g及び水845gを含むスラリー1000gをダイノミルにて湿式粉砕した水分散剤(平均粒子径5μm)10質量部(DCMU1.0質量部)を用い、これを、実施例4と同様に、水に分散したシリカゾル90質量部に添加、混合して比較表面処理剤5を製造した。
【0055】
比較例8(比較表面処理剤6の製造)
水分散剤の量を10質量部から3.0質量部(DCMU0.3質量部)に代え、シリカゾルの量を90質量部から97質量部に代えた以外は比較例7と同様にして比較表面処理剤6を製造した。
【0056】
比較例9(比較表面処理剤7の製造)
水分散剤2.5質量部(テブコナゾール0.3質量部、シブトリン0.2質量部)に変えて、BCM300g、ポリオキシアルキレンアクリルアルキルエーテル50g、キサンタンガム5g及び水645gを含むスラリー1000gをダイノミルにて湿式粉砕した水分散剤(平均粒子径5μm)1.0質量部(BCM0.3質量部)を用い、これを、実施例4と同様に、水に分散したシリカゾル99質量部に添加、混合して比較表面処理剤7を製造した。
【0057】
比較例10(比較表面処理剤8の製造)
水分散剤2.5質量部(テブコナゾール0.3質量部、シブトリン0.2質量部)に変えて、IPBC25g、アニオン系乳化用界面活性剤15g及びジメチルスルホキシド60gを含む水乳化剤4.0質量部(IPBC1.0質量部)を用い、これを、実施例4と同様に、水に分散したシリカゾル96質量部に添加、混合して比較表面処理剤8を製造した。
【0058】
比較例11(比較表面処理剤9の製造)
水分散剤2.5質量部(テブコナゾール0.3質量部、シブトリン0.2質量部)に変えて、ZPT400g、ポリオキシアルキレンアクリルアルキルエーテル50g、キサンタンガム5g及び水545gを含むスラリー1000gをダイノミルにて湿式粉砕した水分散剤(平均粒子径5μm)2.5質量部(ZPT1.0質量部)を用い、これを、実施例4と同様に、水に分散したシリカゾル97.5質量部に添加、混合して比較表面処理剤9を製造した。
【0059】
比較例12(比較表面処理剤10の製造)
水分散剤2.5質量部(テブコナゾール0.3質量部、シブトリン0.2質量部)に変えて、OIT40g、アニオン系乳化用界面活性剤10g及びジメチルスルホキシド50gを含む水乳化剤2.5質量部(OIT1.0質量部)を用い、これを、実施例4と同様に、水に分散したシリカゾル97.5質量部に添加、混合して比較表面処理剤10を製造した。
【0060】
比較例13(比較表面処理剤11の製造)
水分散剤2.5質量部(テブコナゾール0.3質量部、シブトリン0.2質量部)に変えて、CuPT1.0質量部を用い、これを、実施例4と同様に、水に分散したシリカゾル99質量部に添加、混合して比較表面処理剤11を製造した。
【0061】
比較例14(比較表面処理剤12の製造)
水分散剤2.5質量部(テブコナゾール0.3質量部、シブトリン0.2質量部)に変えて、BCM100g、シブトリン300g、ポリオキシアルキレンアクリルアルキルエーテル50g、キサンタンガム5g及び水545gを含むスラリー1000gをダイノミルにて湿式粉砕した水分散剤3.0質量部(BCM0.3質量部、シブトリン0.9質量部)を用い、これを、実施例4と同様に、水に分散したシリカゾル97質量部に添加、混合して比較表面処理剤12を製造した。
【0062】
比較例15(比較表面処理剤13の製造)
シブトリン300gをDCMU300gに変えた以外は比較例14と同様にして比較表面処理剤13を製造した。
【0063】
防汚試験
まず、以下の手順で、防黴剤及び/又は防藻剤を配合したセメントモルタルサンプルと、表面処理剤を塗布したセメントモルタルサンプルとを作成し、得られた各サンプルについて防汚試験(防黴試験及び防藻試験)を行った。
【0064】
[防黴剤及び/又は防藻剤を配合したセメントモルタルサンプルの作成]
水272質量部、セメント605質量部および砂1422質量部を混合したセメントモルタルスラリー1500ml(2299質量部)に対して、セメント系建築材料用防汚剤組成物1を、表1記載の薬剤添加率となるように添加し、混練し、各々40×40×5mmの枠に入れて固化させ、サンプル1、2を得た。
セメント系建築材料用防汚剤組成物1に変えてセメント系建築材料用防汚剤組成物2を用いた以外はサンプル1、2と同様にしてサンプル3、4を得た。
セメント系建築材料用防汚剤組成物1に変えてセメント系建築材料用防汚剤組成物3を用いた以外はサンプル1、2と同様にしてサンプル5を得た。
セメント系建築材料用防汚剤組成物1に変えてテブコナゾールを用いた以外はサンプル1、2と同様にして比較サンプル1、2を得た。
セメント系建築材料用防汚剤組成物1に変えてシブトリンを用いた以外はサンプル1、2と同様にして比較サンプル3、4を得た。
セメント系建築材料用防汚剤組成物1に変えてDCMUを用いた以外はサンプル1、2と同様にして比較サンプル5、6を得た。
セメント系建築材料用防汚剤組成物1に変えて、BCM、IPBC、ZPT、OIT、CuPTを用いた以外はサンプル1、2と同様にして比較サンプル7〜11を得た。
セメント系建築材料用防汚剤組成物1に変えて比較防汚剤組成物1を用いた以外はサンプル1、2と同様にして比較サンプル12を得た。
セメント系建築材料用防汚剤組成物1に変えて比較防汚剤組成物2を用いた以外はサンプル1、2と同様にして比較サンプル13を得た。
なお、表1中のセメントモルタルスラリーに対する薬剤添加率は、質量/容積%である。
【0065】
【表1】
【0066】
次に、固化させたサンプル1〜5及び比較サンプル1〜13を20℃、相対湿度95%で4週間養生し、セメントモルタル中のアルカリ成分を中和するために、さらに20℃、相対湿度60%、炭酸ガス10%の雰囲気中で2週間処理した。耐候性、すなわち薬剤の溶脱性による防汚効果の差を見るための加速処理として、製造したセメントモルタルサンプル1枚あたり100mlの40℃の温水に浸す水浸漬処理操作を56日間行い、温水は毎日交換した。
【0067】
[表面処理剤を塗布したセメントモルタルサンプルの作成]
水272質量部、セメント605質量部、砂1422質量部を混合したセメントモルタルスラリー1500ml(2299質量部)をそれぞれ40×40×5mmの枠に入れて固化させ、20℃、相対湿度95%で4週間養生し、セメントモルタルサンプルを作成した。
【0068】
建築物用表面処理剤1〜3及び比較表面処理剤1〜13を、それぞれ、固化したセメントモルタルの表面に対してシルカゲル量として5g/m2になるように塗布した。さらにセメントモルタル中のアルカリ成分を中和するために、20℃、相対湿度60%、炭酸ガス10%の雰囲気下で2週間処理して、サンプル6〜8及び比較サンプル14〜26を調製した。
耐候性、すなわち薬剤の溶脱性による防汚効果の差を見るための加速処理として、調製したサンプル1枚あたり100mlの40℃の温水に浸す水浸漬処理操作を56日間行い、温水は毎日交換した。
表2に、サンプル6〜8及び比較サンプル14〜26に用いた建築物用表面処理剤1〜3及び比較表面処理剤1〜13中に含まれるシリカゾルに対する薬剤添加率(質量/質量%)を示す。
【0069】
【表2】
【0070】
[防汚試験]
上記処理を行った各サンプル及び比較サンプルそれぞれ4枚について、以下の防黴試験および防藻試験に各2枚ずつ供した。
また、比較例として、薬剤(防黴剤、防藻剤)無添加のものについても同様の防汚試験を行った。
【0071】
(防黴試験)
防黴試験は、シャーレに無菌的にPDA(ポテトデキストロース寒天)培地を入れて固化させ、サンプル及び比較サンプル各2枚を、1枚ずつ2枚のシャーレに各々設置し、JIS−Z−2911「一般工業製品の試験」に用いられる黴5菌株[アスペルギルス ニゲル(Aspergillus niger)、オーレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)、クラドスポリウム クラオドスポリオイデス(Cladosporium cladosporioides)、グリオクラジウム ビレンス(Gliocladium virens)、ペニシリウム フニクロスム(Penicillium funiculosum)]を各サンプル及び比較サンプルの表面に接種した後、28±2℃で10日間培養して、各サンプル及び比較サンプル上の黴の発生面積を観測し、下記判定基準で判定した。
【0072】
(防藻試験)
防藻試験は、シャーレに無菌的に無機塩類寒天培地を入れて固化させ、防黴試験と同様に各サンプル及び比較サンプルを設置し、藻類3株[ホルミジウム(Hormidium sp.)、アナベナ(Anabaena sp.)、クロレラ ブルガリス(Chlorella vulgaris)]の培養懸濁液を各サンプル及び比較サンプルが冠水する水位まで接種した後、25±2℃、蛍光灯下で4週間培養して、各サンプル及び比較サンプル上の藻の発生面積を観測し、下記判定基準で判定した。
表3及び表4に、各サンプル及び比較サンプルに用いられた薬剤(防黴剤及び/又は防藻剤)の種類と量、並びに防黴試験及び防藻試験の結果を示す。
【0073】
(判定基準)
−:黴または藻の発生がなかった。+:黴または藻の発生面積がサンプル表面の1/3以下であった。++:黴または藻の発生面積がサンプル表面の1/3〜2/3であった。+++:黴または藻の発生面積がサンプル表面の2/3以上であった。
【0074】
【表3】
【0075】
表3に示すように、セメント系建築材料用防汚剤組成物1又は2(本発明)を添加したサンプル1〜5では、黴や藻の発生が全く見られなかった。
また、防黴剤テブコナゾールのみを配合した場合、比較例1(0.1%)では防黴効果が現れるが、比較例2(0.03%)では十分な防黴効果を示さなかった。これに対して、シブトリン又はDCMUを併用したサンプル2、4では、より低用量(テブコナゾール0.015%)で十分な防黴効果を発揮していた。
これらの結果から、テブコナゾールはシブトリン及び/又はDCMUと併用することにより相乗的な防黴効果を奏することが明かであり、シブトリン及び/又はDCMUと併用することにより、セメント系建築材料用防汚剤組成物中のテブコナゾール量を1/6まで減少せしめることができる。
【0076】
同様に防藻剤のシブトリンについても、比較サンプル3(0.03%)では防藻効果が現れるが、比較サンプル4(0.01%)では十分な防藻効果を示さなかったのに対して、防黴剤のテブコナゾールを併用した本発明のサンプル2ではシブトリン(0.005%)で十分な防藻効果を発揮している。
また、DCMUについても、比較サンプル5(0.03%)では防藻効果が現れるが、比較サンプル6(0.01%)では十分な防藻効果を示しさなかったのに対して、防黴剤のテブコナゾールを併用したサンプル4ではDCMU0.005%で十分な防藻効果を発揮していた。
【0077】
一方、代表的な防黴剤であるBCMは0.045%添加(比較サンプル7)であっても十分な防黴効果を示さなかった。また、比較サンプル12や比較サンプル13に示すように、シブトリンやDCMUと併用しても、いずれも十分な防黴効果を示さなかった。
また、同じく代表的な防黴剤であるIPBCの0.1%(比較サンプル8)、ZPTの0.1%(比較サンプル9)、OITの0.1%(比較サンプル10)、並びにCuPTの0.3%(比較サンプル11)では、いずれも十分な防黴効果が得られなかった。
【0078】
【表4】
【0079】
表4に示すように、建築材料用表面処理剤1〜3(本発明)をセメントモルタルサンプル表面に塗布した場合(サンプル6〜8)も、セメント系建築材料用防汚剤組成物1又は2(本発明)を添加したセメントモルタルサンプルとほぼ同様の結果が得られた。
即ち、防黴剤のテブコナゾールは、比較サンプル14(1.0%)では防黴効果を示すが、0.3%(比較サンプル15)では十分な防黴効果が得られていないのに対して、シブトリンを併用した本発明のサンプル6、DCMUを併用したサンプル7、及びシブトリンとDCMUを併用したサンプル8では、テブコナゾール0.3%で十分な防黴効果を発揮しており、建築材料用表面処理剤中のテブコナゾール量を1/3以下に減少せしめる相乗効果があることを示している。
【0080】
防藻剤のシブトリンについても、比較サンプル16(1.0%)では防藻効果が現れるものの、比較サンプル17(0.3%)では十分な防藻効果を示さないのに対して、テブコナゾールを併用した本発明のサンプル6ではシブトリン0.2%で十分な防藻効果を発揮していた。
DCMUについても、比較サンプル18(1.0%)では防藻効果が現れているが、比較サンプル19(0.3%)では十分な防藻効果を示さないのに対して、テブコナゾールを併用したサンプル7ではDCMU0.2%で十分な防藻効果を発揮していた。
【0081】
一方、代表的な防黴剤であるBCMは、比較サンプル20にあるように0.3%添加であっても防黴効果を示さず、比較サンプル25や比較サンプル26のようにシブトリンやDCMUと併用しても十分な防黴効果を得られなかった。
また、同じく代表的な防黴剤であるIPBCの0.1%(比較サンプル8)、ZPTの0.1%(比較サンプル9)、OITの0.1%(比較サンプル10)、並びにCuPTの0.3%(比較サンプル11)では、いずれも十分な防黴効果は得られなかった。
【0082】
【発明の効果】
本発明のセメント系建築材料用防汚剤組成物は、セメント系建築材料中の強アルカリ下でも長期間安定で、水によるセメント系建築材料からの溶脱が少なく、さらに、顕著な防黴と防藻の相乗効果を有しており、比較的低用量で藻と黴に対し長期間、優れた防汚効果を示す。
本発明のセメント系建築材料用防汚剤組成物を含むセメント系建築材料を用いて建築した建築物は、建築物表面からの雨水による防汚剤の溶脱が少なく、長期に渡ってその建築物表面が藻と黴からの汚染から保護され、美観を保持することができる。
また、本発明の建築材料用表面処理剤を建築物の表面に塗布した場合も、同様に、該建築物表面からの雨水による防汚剤の溶脱が少なく、長期に渡って建築物表面が藻と黴からの汚染から保護され、美観を保持することができる。
Claims (5)
- (A)N−シクロプロピル−N'−(1,1−ジメチルエチル)−6−(メチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミンと、(B)α−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−α−(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノールとを有効成分として含有することを特徴とするセメント系建築材料用防汚剤組成物。
- (A)N−シクロプロピル−N'−(1,1−ジメチルエチル)−6−(メチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン及び/又はN'−(3,4−ジクロロフェニル)−N,N−ジメチルウレアと、(B)α−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−α−(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノールとを有効成分として含有し、前記(A)及び(B)を、(A):(B)=20:80〜80:20の質量比で含有することを特徴とするセメント系建築材料用防汚剤組成物。
- セメントペースト、セメントモルタル又はコンクリートと、請求項1又は2に記載のセメント系建築材料用防汚剤組成物とを含有するセメント系建築材料。
- 水に分散したシリカゾルと、請求項1又は2に記載のセメント系建築材料用防汚剤組成物とを含有する建築物用表面処理剤。
- 建築物の表面に、請求項4に記載の建築物用表面処理剤を塗布することを特徴とする建築物の防汚方法。
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