JP4302827B2 - AlGaInP発光ダイオード - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブラッグ反射層を具備したAlGaInP発光ダイオードに係わり、特に均一な順方向電圧を有し、高輝度で単色性に優れる発光をもたらす発光ダイオード(LED)を提供するためのブラッグ反射層の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
緑色、黄色から赤橙色帯域の発光素子の一つに、pn接合型のダブルヘテロ(DH)接合構造のリン化アルミニウム・ガリウム・インジウム(AlGaInP)からなる発光部を有するAlGaInP発光ダイオード(LED)がある(Appl.Phys.Lett.,61(15)(1992)、1775〜1777頁参照)。特に、インジウム組成比を約0.5とするリン化アルミニウム・ガリウム・インジウム((AlαGa1- α0.5In0.5P、但し0≦α≦1)は、砒化ガリウム(GaAs)単結晶と格子整合するため(Appl.Phys.Lett.,57(27)(1990)、2937〜2939頁参照)、AlGaInP発光ダイオードのDH接合構造の発光部を構成するクラッド(clad)層や発光層(活性層)に利用されている(Appl.Phys.Lett.,58(10)(1991)、1010〜1012頁参照)。
【0003】
また従来のAlGaInP発光ダイオードでは、高輝度化のためにブラッグ反射層(istributed ragg eflector:DBR)を配置する手段が採られている(Appl.Phys.Lett.,63(25)(1993)、3485〜3487頁参照)。
ブラッグ反射層は、構成元素の組成および層厚を相違する2種類の構成層を交互に重層させた重層単位構造を周期的に積層させた周期構造から構成される。
【0004】
図2は、ブラッグ反射層109を具備した従来のAlGaInPLEDの発光部の断面の一例を示す図である。図2の発光部は、図に示さない基板上に、直接或いは砒化アルミニウム・ガリウム(AlCGa1-CAs:0≦C≦1)等からなる緩衝層を介して積層されている。
図2のブラッグ反射層109は、例えばアルミニウム組成比と層厚とを相違する砒化アルミニウム・ガリウムからなる第1及び第2の構成層を周期的に重層させて構成されている。具体的には、ブラッグ反射層の第1の構成層109aをアルミニウム組成比を0.5とするAl0.5Ga0.5Asとし、第2の構成層109bを砒化アルミニウム(AlAs)とする従来例が知られている(Appl.Phys.Lett.,60(15)(1992)、1830〜1832頁参照)。この場合、第2の構成層の禁止帯幅は第1の構成層の禁止帯幅より大きくなっている。
【0005】
III−V族化合物半導体からなるブラッグ反射層の場合、p形のブラッグ反射層は、アクセプター不純物として亜鉛(Zn)などの第II族元素がドーピングされた第1及び第2の構成層109a、109bから構成される(Appl。Phys.Lett.,63(20)(1993)、2732〜2734頁参照)。また、n形のブラッグ反射層はドナー不純物として珪素(Si)などがドープされた構成層から構成される(上記のAppl.Phys.Lett.,63(20)(1993)参照)。p形或いはn形にかかわらず、従来のブラッグ反射層の構成層には、略一様に不純物をドーピングする手段が採用されるのが通例であった。
【0006】
しかし、亜鉛(Zn)は熱拡散し易いp形不純物である。そのため、亜鉛の拡散により、クラッド層103(または105)とブラッグ反射層109との接合界面は乱雑となりやすい。
その結果、クラッド層103(または105)とブラッグ反射層109との間のバンド(band)の不連続量が不均一となり、LEDの順方向電圧が不均一となる問題があった。
【0007】
また、亜鉛の拡散により、クラッド層103(または105)と発光層104とのヘテロ接合界面103aも乱雑となりやすい。このヘテロ接合界面の「無秩序化」(disaordering)により、発光層104とクラッド層103(または105)との接合界面の急峻性が乱され、発光波長の単色性が損なわれる問題があった。
【0008】
亜鉛の場合よりも高温で問題となるものであるが、Siの場合もSiの熱拡散による界面の「乱雑化」が起こることも知れている。ヘテロ接合界面が「乱雑」となれば、Siドープのブラッグ反射層の場合も亜鉛ドープのブラッグ反射層の場合と同様に、順方向電圧の不均一化並びに発光の単色性の悪化を招くのは必至である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ブラッグ反射層を具備するAlGaInPLEDにあって、高輝度化を安定して達成するためには、ブラッグ反射層に含有される不純物の発光部への拡散量を減ずる手段が必要である。
本発明は、上記の従来技術の問題点に鑑みなされたもので、不純物がドーピングされた2種類の構成層からなるブラッグ反射層を備えたAlGaInPLEDにあって、順方向電圧が均一であり、且つ高輝度のAlGaInPLEDを提供するための、発光部への不純物の拡散量の低減をもたらすブラッグ反射層の構成を提示するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、III−V族化合物半導体からなる第1の構成層と該第1の構成層よりも禁止帯幅を大とするIII−V族化合物半導体からなる第2の構成層とを交互に積層した多層構造からなる第1導電型のブラッグ反射層と、一方の主面を該ブラッグ反射層に接して形成されたリン化アルミニウム・ガリウム・インジウム混晶((AlXGa1-X0.5In0.5P、但し0≦X≦1)からなる第1導電型のクラッド層と、該第1導電型のクラッド層の他方の主面に接して形成されたリン化アルミニウム・ガリウム・インジウム混晶((AlYGa1-Y0.5In0.5P、但し0≦Y≦1)からなる発光層とを少なくとも具備するAlGaInP発光ダイオードにおいて、前記ブラッグ反射層が、前記第1導電型のクラッド層と接する面から10nm乃至100nmの範囲のアンドープの領域を有することを特徴とする。
【0011】
また本発明においては、前記第1導電型のクラッド層と接するブラッグ反射層の構成層をアンドープとすることにより、上記のアンドープの領域を形成することができる。
さらに、前記第1導電型のクラッド層と接するブラッグ反射層の構成層は、第1の構成層より禁止帯幅の大きい第2の構成層から構成するのが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に係わるAlGaInP発光ダイオードに用いるブラッグ反射層は、III−V族化合物半導体から構成する。例えば、第1の構成層をAlXGa1-XAs(但し、0≦X≦1)とし、第2の構成層をアルミニウム組成比のより大きなAlYGa1-YAs(但し、X<Y≦1)から構成して、本発明のブラッグ反射層を形成することが出来る。第2の構成層のアルミニウム組成比(=Y)は、一般には0.9以上で1以下とするのが好ましい。
また、第1の構成層を砒化ガリウム(GaAs)とし、第2の構成層をリン化アルミニウム・ガリウム・インジウム((AlαGa1- α0.5In0.5P:0≦α≦1)としても本発明に係わるブラッグ反射層を構成できる。
【0013】
本発明では、ブラッグ反射層がクラッド層と接する面から10nm乃至100nmの範囲のアンドープの領域を有するようにする。
そのためには、本発明のブラッグ反射層において、クラッド層に接するブラッグ反射層の構成層をアンドープ(undope)とすればよい。AlGaInP発光ダイオードにおいて、ブラッグ反射層の構成層の厚さは、一般に10nm乃至100nmの範囲にある。
ブラッグ反射層を発光部の下方の基板側に配置する場合、クラッド層に接するブラッグ反射層の構成層は、ブラッグ反射層の最表層となる。また、発光部の上方にブラッグ反射層を配置する場合、クラッド層に接する層は、ブラッグ反射層の底部層となる。
また、図2に例示する如く、発光層104の下方並びに上方にそれぞれ下部クラッド層103および上部クラッド層105を介して6周期構造の下部ブラッグ反射層109A、及び3周期構造の上部ブラッグ反射層109Bを設ける配置法もある。この配置の場合、下部および上部クラッド層103、105に接するブラッグ反射層の構成層は、下部ブラッグ反射層109Aの最表層109cと上部ブラッグ反射層109Bの底部層109dの双方となる。
【0014】
本発明に係わるブラッグ反射層のアンドープの構成層におけるドーパントの濃度は、as−grown状態で、不純物がドーピングされた他のブラッグ反射層の構成層より小であるのが望ましい。拡散し易い不純物の場合程、成膜後に於けるアンドープの構成層内の不純物の濃度が増加する。そこで、クラッド層とブラッグ反射層との接合界面の乱雑化が助長されるのを抑制するため、ドーパントの拡散定数が大である程、as−grown状態でのアンドープの構成層のドーパントの濃度を予め小さくしておく。
例えば、亜鉛(Zn)がドーピングされたp形のブラッグ反射層にあっては、アンドープの構成層のas−grown状態での亜鉛の原子濃度は、他のブラッグ反射層の構成層の約1/10以下とするのが望ましい。例えば、ブラッグ反射層の亜鉛をドープした構成層の亜鉛の原子濃度が1×1018cm-3であれば、as−grown状態でのアンドープの構成層の亜鉛原子の濃度は1×1017cm-3未満とするのが好適である。マグネシウム(Mg)がドーピングされたp形のブラッグ反射層の場合は、アンドープの構成層のマグネシウム原子濃度は他の構成層の約1/5以下であるのが望ましい。ドーパントが珪素(Si)や炭素(C)であるブラッグ反射層の場合、アンドープの構成層のas−grown状態でのこれらの原子の濃度はドープしたブラッグ反射層の構成層の約1/2以下とするのが望ましい。
ブラッグ反射層のアンドープの構成層は、ブラッグ反射層の形成の際に、当該構成層において不純物の添加を意図的に中止すれば形成することができる。なお、ブラッグ反射層内のドーパントの原子濃度は、一般的な2次イオン質量分析法(略称:SIMS)やオージェ電子分光分析法(略称:AES)により測定できる。
【0015】
クラッド層に接するブラッグ反射層の構成層をアンドープの層から構成すると、クラッド層や発光層へ拡散、侵入して来る反射層内のドーパントをアンドープの層内に効率的に捕獲、停留させられる利点がある。アンドープの層内のドーパント種の原子濃度が低ければ低い程、捕獲、停留させられるドーパントの濃度は増加する。ドーパントの原子濃度を低く抑えておけば、許容される捕獲量が増すからである。
しかし、アンドープの構成層は、導電性を増すために不純物がドーピングされた他の構成層に比べれば高抵抗層である。従って、アンドープの構成層の層厚を大とすれば、捕獲できる拡散不純物の量は増加するものの、過度に厚膜とすると順方向電圧を増大させる。拡散して来るドーピング不純物を効率良く捕獲し、且つ順方向電圧のいたずらな増加を回避するに適するアンドープの領域の厚さは10nm以上で100nm以下である。
第1及び第2の2種類の構成層の周期積層構造からなるブラッグ反射層にあって、クラッド層に近接した第1及び第2の構成層の層厚を合計した層厚が100nm以下であれば、クラッド層に近接した第1及び第2の双方の構成層をアンドープとしても差し支えはない。すなわち本発明で、ブラッグ反射層がクラッド層と接する面から10nm乃至100nmの範囲のアンドープの領域を有するようにすれば、クラッド層や発光層へ拡散、侵入して来る反射層内のドーパントをアンドープの領域内に効率的に捕獲、停留させることが出来る。
【0016】
ブラッグ反射層内のクラッド層と接するアンドープの領域は、クラッド層や発光層へ流入する不純物量を抑制する作用を有する。これより、ブラッグ反射層とクラッド層とのヘテロ接合界面の「乱雑化」が抑制される。また、併せて発光層とクラッド層とのヘテロ接合界面の急峻性が保持される。これにより、LEDの順方向電圧が均一となり、また高輝度で単色性に優れる発光がもたらされることとなる。
なお上記のように、本発明に係わるブラッグ反射層の「アンドープの領域」乃至「アンドープの構成層」とは、ブラッグ反射層の形成の際に当該領域乃至構成層において不純物の添加を意図的に中止し、当該領域乃至構成層において不純物の濃度を不純物がドーピングされた他のブラッグ反射層の領域乃至構成層より小さくして、クラッド層や発光層へ拡散、侵入して来る反射層内の不純物を捕獲、停留できるようにした領域乃至構成層のことをいう。
【0017】
さらに本発明では、クラッド層と接するブラッグ反射層の構成層は、前記第2の構成層、即ち、第1の構成層より禁止帯幅を大とする構成層から構成するのが好ましい。例えば、GaAs層と(AlαGa1- α0.5In0.5P(0≦α≦1)層とで構成されるブラッグ反射層にあっては、(AlαGa1- α0.5In0.5P層をクラッド層と接する構成層とする。また、ブラッグ反射層の構成層をアルミニウム組成の異なる2種類のAlGaAs層から構成する場合では、アルミニウム組成比をより大とするAlGaAs層をクラッド層と接する構成層とする。
【0018】
ブラッグ反射層の構成層の中で禁止帯幅の大きい方の構成層をクラッド層に接して配置すれば、ブラッグ反射層とクラッド層との禁止帯幅の差が、禁止帯幅を小とする構成層を配置した場合に比較して縮小される。このため、順方向電圧が均一となるのに加え、順方向電圧が低減できるという効果が得られる。
【0019】
【作用】
クラッド層と接するブラッグ反射層の構成層をアンドープにすると、ブラッグ反射層の他の構成層にドーピングされた不純物が、クラッド層や発光層に拡散、侵入するのを低減する作用を有する。
【0020】
その結果、ブラッグ反射層より拡散して来る不純物によるブラッグ反射層とクラッド層或いはクラッド層と発光層との接合界面の乱雑化を防止することができる。
【0021】
さらに、クラッド層と接するブラッグ反射層の構成層を、禁止帯幅をより大とする構成層とすると、ブラッグ反射層とクラッド層との界面での禁止帯幅の差を縮小することができ、順方向電圧を均一にし、また低減する作用を有する。
【0022】
【実施例】
(実施例1)
以下、本発明を実施例を基に詳細に説明する。図1は本実施例1に係わるLEDの断面模式図である。
【0023】
[110]方向に4゜傾斜した(100)面を有するZnドープのp形GaAs基板101上に、トリメチルアルミニウム((CH33Al)、トリメチルガリウム((CH33Ga)及びトリメチルインジウム((CH33In)をIII族構成元素の原料とする一般的な減圧の有機金属気相エピタキシー法(MOVPE法)により、720℃で亜鉛(Zn)ドープのp形GaAs緩衝層102を積層した。p形GaAs緩衝層102の層厚は約0.8μmとし、正孔濃度は約3×1018cm-3とした。
【0024】
次に、720℃で緩衝層102上にブラッグ反射層109を積層した。ブラッグ反射層109を形成するにあたっては、Al組成比を0.45とするZnドープのp形Al0.45Ga0.55As層と、Al組成比を0.90とするZnドープのp形Al0.90Ga0.10As層とをまず交互に4周期重層した。
Al0.45Ga0.55As層からなるブラッグ反射層の第1の構成層109aの層厚は約42nmとし、またAl0.90Ga0.10As層からなるブラッグ反射層の第2の構成層109bの層厚は約49nmとした。上記のZnをドープした第1及び第2の構成層109a、109bの正孔濃度は双方共に約1×1018cm-3であった。また、上記の構成層109a、109b中の亜鉛原子濃度はともに約3×1018cm-3であった。
次に、亜鉛を意図的にドープせずに、層厚を42nmとするアンドープのAl0.45Ga0.55Asからなる第1の構成層をプラッグ反射層の最表層109cとして積層した。アンドープの第1の構成層内のas−grown状態での亜鉛の原子濃度はSIMS分析に依れば2×1017cm-3未満であり、また、正孔濃度は約9×1016cm-3であった。
【0025】
ブラッグ反射層109上には、Mgをドーピングしたp形の(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pから成る下部クラッド層103を積層した。下部クラッド層103の層厚は約0.8μmとし、正孔濃度は約3×1018cm-3とした。
p形下部クラッド層103上には、アンドープでn形の(Al0.2Ga0.80.5In0.5P混晶から成る発光層104を積層した。発光層104の層厚は約100nmとし、電子濃度は約8×1016cm-3 とした。
発光層104上には、Siドープでn形の(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pから成る上部クラッド層105を積層した。上部クラッド層105の電子濃度は約3×1017cm-3とし、層厚は約5μmとした。
【0026】
さらに、上部クラッド層105上には、Siを高濃度にドーピングした電子濃度を約7×1018cm-3とし層厚を約100nmとするn形(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pからなるコンタクト層106を積層させた。
【0027】
コンタクト層106上には、アルミニウム(Al)をドープしたn形の酸化亜鉛からなる窓層107を形成した。窓層107をなす酸化亜鉛被膜は、アルミニウムを5重量%含む酸化亜鉛から成る固形成型材料(ペレット)を原料としてスパッタリング法により形成した。n形の酸化亜鉛被膜の比抵抗はホール(Hall)効果測定法によれば約1.4×10-3Ω・cmで、電子濃度は約3.3×1020cm-3であり、ホール移動度は14cm2/V・sであった。また、酸化亜鉛被膜の層厚は約200nmとした。
【0028】
窓層107上にアルミニウム(Al)電極108を、またp形GaAs基板101の裏面の全面にp形オーミック電極110を、それぞれ形成してLEDを作製した。
このLEDに順方向に20mAの電流を流したところ、波長を約621nmとする赤橙色の発光が酸化亜鉛窓層107のおよそ全面を透過して出射された。発光のスペクトルの半値幅(FWHM)は約18nmであり、単色性に優れていた。また、電流を20mAとした際の順方向電圧は約1.98Vから2.08Vの範囲内にあり、LED間で均一な順方向電圧が得られた。LEDの発光強度は約60mcdであった。
【0029】
本実施例1のLEDについて、一般的なSIMS分析により深さ方向の亜鉛(Zn)原子濃度分布を分析したところ、上記のLEDを形成した後に於いては、ブラッグ反射層109の最表層109cであるアンドープの第1の構成層内の亜鉛原子濃度は、約1×1018cm-3に増加しているのが認められた。しかし、発光層104へ拡散する亜鉛(Zn)の濃度は顕著に低減されていた。すなわち、発光層104内の亜鉛(Zn)の原子濃度は約7×1016cm-3であった。
また、透過電子顕微鏡(TEM)による観察の結果、アンドープの第1の構成層の配置により、ブラッグ反射層109と下部クラッド層103との接合界面、並びに下部クラッド層103と発光層104との接合界面は乱雑となっておらず、平坦性が維持されていた。
これらより、上記の様な均一化された順方向電圧と単色性に優れる高輝度の発光がもたらされたと考えられる。
【0030】
(実施例2)
本実施例2でも、図1に示すLEDと同様の構造のLEDを作製した。
まず、実施例1と同様にMOVPE法により、p形GaAs基板101上にp形GaAs緩衝層102を堆積し、さらにその上にブラッグ反射層109を形成した。
ブラッグ反射層109は、まずAl組成比を0.45とするZnドープのp形Al0.45Ga0.55As層109aとAl組成比を0.90とするZnドープのp形Al0.90Ga0.10As層109bとを交互に4周期重層して形成した。Al0.45Ga0.55As層からなる第1の構成層109aの層厚は約42nmであり、また、Al0.90Ga0.10As層からなる第2の構成層109bの層厚は約49nmとした。ブラッグ反射層109の構成層109a、109bの正孔濃度は双方共に約1×1018cm-3とした。
さらに本実施例2では、層厚を49nmとするアンドープのAl0.90Ga0.10Asからなる第2の構成層をプラッグ反射層の最表層109cとして積層した。アンドープの第2の構成層内部のas−grown状態での亜鉛の原子濃度はSIMS分析に依れば8×1016cm-3未満であり、また、正孔濃度は約5×1016cm-3と見積もられた。
【0031】
上記のブラッグ反射層109上には、実施例1と同様にp形(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pから成る下部クラッド層103、アンドープのn形(Al0.2Ga0.80.5In0.5P混晶から成る発光層104、及びn形(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pから成る上部クラッド層105、n形(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pからなるコンタクト層106を順次、積層させた。
また、コンタクト層106上には、アルミニウム(Al)ドープのn形酸化亜鉛からなる窓層107を形成した。窓層107をなす酸化亜鉛被膜は、アルミニウムを5重量%含む酸化亜鉛から成る固形成型材料(ペレット)を原料としてスパッタリング法により形成した。n形酸化亜鉛の比抵抗はホール(Hall)効果測定法によれば約1.4×10-3Ω・cmで、電子濃度は約3.3×1020cm-3であり、また、ホール移動度は14cm2/V・sであった。層厚は約200nmとした。
【0032】
さらに、窓層107上にアルミニウム(Al)電極108を、また、p形GaAs基板101の裏面の全面にp形オーミック電極110を形成してLEDを作製した。
このLEDに順方向に20mAの電流を流したところ、波長を約620nmとする赤橙色の発光が酸化亜鉛の窓層107のおよそ全面を透過して出射された。また、発光のスペクトルの半値幅(FWHM)は約18nmであり、単色性に優れる発光がもたらされた。電流を20mAとした際の順方向電圧は約1.91Vから1.98Vの範囲内にあり、実施例1より低い順方向電圧が得られた。また、発光強度は約65mcdに達した。
【0033】
本実施例2のLEDについて、一般的なSIMS分析により深さ方向の亜鉛(Zn)原子濃度の分布を分析したところ、上記のLEDを形成した後においては、ブラッグ反射層の最表層109cであるアンドープの第2の構成層内の亜鉛原子濃度は約8×1017cm-3に増加しているのが認められた。しかし、発光層104へ拡散する亜鉛(Zn)の濃度は顕著に低減された。すなわち、発光層104内の亜鉛(Zn)の原子濃度は約5×1016cm-3であった。
また、透過電子顕微鏡(TEM)による観察の結果、アンドープの第2の構成層の配置により、ブラッグ反射層109と下部クラッド層103との接合界面並びに下部クラッド層103と発光層104との接合界面は乱雑となっておらず、平坦性が維持されていた。これらより、均一化された順方向電圧と上記の単色性に優れる高輝度の発光がもたらされたと考えられる。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、ドーパント不純物の拡散による発光部の接合界面の乱雑化を防止できるため、順方向電圧の均一性に優れ、また発光の単色性にも優れる高輝度のAlGaInP発光ダイオードが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1、2に係わるLEDの断面模式図である。
【図2】ブラッグ反射層を具備する従来のAlGaInP発光ダイオードの発光部の断面を示す模式図である。
【符号の説明】
101 GaAs基板
102 GaAs緩衝層
103 下部クラッド層
103a クラッド層と発光層とのヘテロ接合界面
104 発光層
105 上部クラッド層
106 コンタクト層
107 窓層
108 アルミニウム電極
109 ブラッグ反射層
109A 下部ブラッグ反射層
109B 上部ブラッグ反射層
109a ブラッグ反射層の第1の構成層
109b ブラッグ反射層の第2の構成層
109c ブラッグ反射層の最表層
109d ブラッグ反射層の底部層
110 p形オーミック電極

Claims (4)

  1. III−V族化合物半導体からなる第1の構成層と該第1の構成層よりも禁止帯幅を大とするIII−V族化合物半導体からなる第2の構成層とを交互に積層した多層構造からなる亜鉛をドープしたp型のブラッグ反射層と、一方の主面を該ブラッグ反射層に接して形成されたマグネシウムをドープしたリン化アルミニウム・ガリウム・インジウム混晶((AlXGa1-X0.5In0.5P、但し0≦X≦1)からなるp形のクラッド層と、該p形のクラッド層の他方の主面に接して形成されたリン化アルミニウム・ガリウム・インジウム混晶((AlYGa1-Y0.5In0.5P、但し0≦Y≦1)からなる発光層とを少なくとも具備するAlGaInP発光ダイオードにおいて、前記p形クラッド層と接する前記p形のブラッグ反射層の構成層が、亜鉛の原子濃度を、該ブラッグ反射層を構成する他の構成層の1/10以下とするIII−V族化合物半導体から構成されていることを特徴とするAlGaInP発光ダイオード。
  2. 亜鉛の原子濃度を、他の構成層の1/10以下とするブラッグ反射層の構成層が、前記p形のクラッド層との接する面から10nm乃至100nmまでの領域に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のAlGaInP発光ダイオード。
  3. 前記p形のクラッド層との接する面から10nm乃至100nmまでの領域には、第1及び第2のブラッグ反射層の構成層が配置されていることを特徴とする請求項2に記載のAlGaInP発光ダイオード。
  4. 前記p型のクラッド層と接するブラッグ反射層の構成層が、前記第2の構成層からなることを特徴とする請求項2または3に記載のAlGaInP発光ダイオード。
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