JP4302432B2 - ろ過装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体中の異物をフィルタで除去するろ過装置に関する、詳しくは流路上部の開口部よりフィルタを挿入・抜去自在に設けられたろ過装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のろ過装置において、流路中のフィルタにはシングルタイプとダブルタイプがある。図6は従来のろ過装置の流路101に設けられたダブルタイプのフィルタを示している。図6において、流路101の上流側はろ過する前の異物を含み、下流側はろ過後で異物を含まない。一般的にはダブルタイプのフィルタが用いられることが多い。
【0003】
別々の仕切りにフィルタを挿入するのが普通であるが、一個の仕切り内に二枚のフィルタを入れる場合もある。
上流側のフィルタ102Aが目詰まりし交換を要する場合、フィルタ102Aを抜去してフィルタ102Aを清掃し、清浄になった102Aは元の位置に戻される。下流側フィルタ102Bが目詰まりして交換しようとする場合もフィルタ102Aと同様清浄にして元の位置に戻される。
【0004】
ダブルタイプでは通常、上流側フィルタ102Aの網目は粗いメッシュを、下流側フィルタ102Bの網目は細かいメッシュが選ばれる。従って、フィルタ102Aで捕捉されない異物がフィルタ102Bで捕捉されることになる。フィルタ102Aとフィルタ102Bのメッシュが同じであれば下流側のフィルタ103から交換すれば問題は生じないが、同メッシュのフィルタを並置して使用する場合は少ない。
【0005】
なお、ばねを用いたフィルタの装着構造として図7に示す公知技術がある。図7において、フィルタ取り付け枠1にフィルタ2を装着し、該フィルタ2をフィルタ取り付け枠1に密着保持させるためにばね3により加圧するようにしたフィルタ装着構造において、ばね3の支持ピン4,4aを複数本設けるなどして前記ばねの支持点を、装着するフィルタの厚さにより、可変にしたことを特徴とするものである。(特許文献1参照)(図7の符号は公知技術の図2と同一)
【0006】
【特許文献1】
特開平8−103613号 〔請求項、図2〕
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上流側のメッシュの粗いフィルタと下流側のメッシュの細かなフィルタとは一対で使用され、それぞれが大きさの相違する異物の除去を目的とし、その役割を果たしている。図6において、上流側のフィルタ102が目詰まりで抜去し交換した場合、上流側の流体が直接下流側のフィルタ103に達しフィルタ103の目詰まりの期間を短縮させるという問題が生ずる。
【0008】
また、同一メッシュのフィルタ102とフィルタ103を同一仕切り内に入れてろ過する場合、流路抵抗が増加し、ろ過効率が低下する。上流側のフィルタを抜去後でないと下流側に新規フィルタが挿入できないので上流側フィルタ抜去後は使用中の下流側フィルタの位置が不安定となり、異物が下流に若干放出される。また、同一メッシュのフィルタを二枚常時使用するのはコスト的に問題を生ずる。
【0009】
なお、特許文献1で開示されているばねを用いたフィルタの装着構造は、ばねでフィルタを押さえている点で共通しているが、本願発明の課題・構成・効果とは明らかに相違するもので、本願発明の技術分野における公知資料に不適当と思料する。
【0010】
本発明は従来技術の有するこのような問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、流路中に複数枚のフィルタが当接して収容できるフィルタ収容領域を設け、この領域内に挿入したフィルタを下流から上流に向かう押圧力を押圧手段で付与して位置決めして使用し、使用中のフィルタを交換するときは押圧手段と使用中のフィルタとの間に新規フィルタを挿入し、その後使用中のフィルタを抜去し、これに伴い抜去後の位置に新規フィルタが押圧力で移動することによりろ過装置が原状回復し機能を果たすように構成したろ過装置の提供である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、液体に含まれる異物を除去するために流体の流路上部の開口部よりフィルタを挿入・抜去して交換するろ過装置であって、前記フィルタを当接させ位置決めするよう前記流路に設けられたストッパと、該ストッパとの間に二枚のフィルタを互いに当接しながら収容できる領域が設けられ収容された一枚以上の前記フィルタを前記ストッパに押圧可能に設けた押圧手段と、前記ストッパに当接する使用済の前記フィルタを抜去するとき前記フィルタと前記押圧手段との間に挿入して前記押圧手段で押圧される新規フィルタが一緒に引き出されるのを防ぐために前記押圧手段と係合する係合部をフィルタに設けた連れ出し防止手段とを含んでなり、挿入した新規フィルタが使用済のフィルタの抜去跡に上流の流体をフィルタを通さず下流に放出することなく移動するものである。
【0012】
請求項1の発明によれば、使用中のフィルタを流路の所定位置に、フィルタ枠の片面をストッパに当接させ、他方の片面から押圧力を付与して位置決めしている。押圧部材と使用中のフィルタ間に新規フィルタの挿入が可能であり、二枚のフィルタは重ねて押圧されている。新規フィルタの挿入後、上流側の使用済フィルタを抜去することによりフィルタが交換される。常に流路の下流側に新規フィルタが挿入された状態で使用済フィルタが抜去されるのでフィルタを通過しない流体が下流に放出されることはない。
【0013】
請求項2の発明は、前記押圧手段は、前記フィルタをストッパ方向に押圧するばね部材と、前記流路に設けられ前記ばね部材を支持するばね支えとを含んでなるものである。
【0014】
請求項2の発明によれば、フィルタを流路中で保持するための押圧手段に関するもので、押圧手段によりすでに押圧されているフィルタの姿勢を保持しながら下流側に新規フィルタを挿入する必要がある。ストッパに当接して使用中のフィルタの下流側に当接し、且つ押圧手段を押し出して新規フィルタを挿入する。従って、押圧手段は弾性材料のばね部材が適当である。ばね部材には板ばね,圧縮ばね等が好ましい。流路において流体の圧力に抗し得ること、また異物捕捉後の流体の圧力にも抗し得るようばね部材の形状,寸法が設計されている。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の態様を図面にもとづいて説明する。
〔実施例1〕
図1は、収容領域に挿入され押圧保持されるフィルタが設けられたろ過装置の斜視図。図2は、フィルタ収容領域の上流側にストッパが設けられ押圧部材に二種類の板ばねを用いフィルタを押圧保持するろ過装置で、(a)は上面図、(b)はAA断面視図。図3は、図2(b)において収容領域にフィルタが二枚挿入され新規フィルタの引き出し防止手段が設けられたフィルタの断面図である。
【0018】
図1において、流路1が開渠であり、上部開口部から挿入されたフィルタ2は、両側の内壁面1a,1bに取着されたストッパ3A,3Bの下流側の端面に、下流側に設けられた押圧手段で押圧され当接している。
図2(a)(b)において、押圧手段はフィルタ2の上下の2位置で一方の壁面1aで押圧する板ばね4Aおよび板ばね5Aと、これを支えるばね支え6Aとで構成され、他方の壁面1bにも板ばね4B,5Bおよびばね支え6Bで構成されている。ばね支え6A,6Bを一個のばね支え枠7に換えることもできる〔図1参照〕。
【0019】
フィルタ2に押さえ板2aで張設される網8には流体による圧力が一面に付加される。網目で止められる流体中の異物が多くなっても、フィルタ2の網面で傾斜しないように両側の枠上の上下の位置で押圧すると姿勢の安定度は高くなるが、フィルタ2の前記上下の2位置の中間で押圧することもできる。
なお、押圧手段として、ばね部材のほかに流路外にアクチュエータを設け、リンクでフィルタに押圧力を伝達することも可能である。
【0020】
図2(b)において、フィルタ2のみがフィルタ収容領域に挿入され、二種類の板ばね4A,5Aにより押圧されている。
図3において、新規フィルタ2NEW は板ばね4Aと、フィルタ2との間へ上方から挿入され、更に奥の板ばね5Aの押圧力を受けながら流路1の基底部1cに達するまで押し込んで設定されている。
【0021】
フィルタ2NEW の設定後、上流側のフィルタ2は抜去される。フィルタ2を抜去するときに、下流側のフィルタ2NEW が一緒に持ち上げられないように、フィルタ2に板ばね5Aの先端部分と係合する係合部2bが設けられている。すべてのフィルタを抜去するときは平坦なダミー板を挿入する。
【0022】
フィルタ収容領域に、メッシュの粗密の二枚のフィルタを組にして挿入することが可能である。二枚のフィルタとも交換を要するので、使用中のフィルタの下流側にまずメッシュの粗いフィルタを挿入後、使用中の上流側の粗いメッシュを抜去する。続いてメッシュが密なフィルタを下流側に挿入後、使用中の上流側の密なフィルタを抜去する。この場合も、一枚ずつ挿入・抜去を繰り返して交換する方が押圧手段のばね部材の設計が容易となる。フィルタ収容領域に四枚のフィルタが挿入可能に設計し、網目のないダミーフィルタをスペーサに使用すればフィルタの一枚または二枚組の使用が可能である。
【0023】
上述のように構成したろ過装置についてフィルタの交換手順とその作用について次に説明する。
異物を含んだ上流側をダーティ側、異物がフィルタで捕捉された後の下流側をクリーン側と呼ぶことにする。
実施例1(図2,図3)、実施例2(図4)、実施例3(図5)におけるフィルタの交換手順は共通であり、実施例1の図2および図3にもとづき説明する。
【0024】
図2において、フィルタ2がダティー側とクリーン側を隔てて流路中に挿入され、フィルタ2の網目で異物を捕捉しフィルタとして機能する。
所定の操業時間が経過すると、網8が目詰まりしてくると、フィルタ2の清掃或いは交換が必要となる。フィルタ2はばね部材の板ばね4A,5Aで付勢されストッパ3Aに当接している。
【0025】
図3において、使用済のフィルタ2を抜去する前に、清浄な新規フィルタ2NEWをばね部材とフィルタ2の間に挿入しておく必要がある。新規フィルタ2NEWの挿入後に、フィルタ2を上方に引き抜くと板ばね4A,5Aで押圧されているフィルタ2NEWが抜去したフィルタ2の跡に移動し、ストッパ3Aで位置決めされ図2に示される状態となってフィルタ機能は途切れることなく継続する。
【0026】
抜去した汚れたフィルタ2は清掃して次の交換に備えて準備しておくことができる。清掃を終えたフィルタを、フィルタ2NEWを使用中のフィルタ2の下流側即ちクリーン側に挿入することによりダーティ側とクリーン側が混じり合うことなくフィルタ交換をすることが可能となる。
フィルタ2NEWを挿入する際に、汚れたフィルタ2は常にストッパ3Aに押圧されており流路中で位置ずれが生じないので、ダーティ側の流体がクリーン側に漏出することがない。
【0027】
〔実施例2〕
図4はフィルタ移動域のばね部材に弓形板ばねを用い、フィルタを中間の一ヶ所で押圧保持するとともに新規フィルタの連れ出し防止手段が形成されたろ過装置で、(a)は上面図、(b)はBB断面視図である。流路1が開渠でフィルタを上流方向に向けてばね部材で押圧し位置決めするこめのストッパ3A,3B、ばね部材を支えるばね支え6A,6Bは実施例1と共通するので、ここでは説明を省略する。フィルタ2は弓形ばね9A,9Bで押圧されている。
【0028】
収容領域にフィルタ2NEWが一時的にフィルタ2と同時に挿入されるときも永久変形なく弾性変形するよう弓形の形状とばね材の板厚さが設計されている。フィルタ2を抜去するときのフィルタ2NEWの連れ出し防止のため、弓形ばねの円弧の頂点に丸リベット10を固定し、すべてのフィルタ側に係合する穴を設けている。
【0029】
〔実施例3〕
図5はフィルタ収容領域のばね部材に圧縮ばねを用いたろ過装置で、(a)は上面図、(b)は(a)のCC断面視図である。
図5(a)(b)において、流路1が開渠でありフィルタを上流方向に向けてばね部材で押圧し位置決めするためのストッパ3A,3Bは実施例1と共通するので、ここでの説明を略する。
【0030】
フィルタ2またはフィルタ2NEWの押圧手段は、ばね部材として圧縮ばね11A,11Bが流路1の内壁にそれぞれ設けられている。フィルタ2またはフィルタ2NEWの左右側面を上下の二位置で均等に押圧するよう二個ずつ配設されている。しかし、これに限定されることなく、圧縮ばね11A,11Bを一個ずつで押圧するように設計することも可能である。
【0031】
フィルタ2,2NEWにガイド板12A,12Bが下流側から当接する。ばね支え13A,13Bの穴に貫通し、ガイド板12A,12Bの背面に固着される案内軸14A,14Bに圧縮ばね11A,11Bが嵌装され、前記当接時の押圧力を発生させている。ガイド板12A,12Bの上端部はフィルタ2NEWの挿入が容易なように上部先端部分がフィルタに対し下流方向に沿って形成されている。また、フィルタ2を抜去するときのフィルタ2NEWの連れ出し防止のために、前記当接面において係合部11を前記の当接面に設けて連れ出しを防ぐことが可能である。
【0032】
なお、上記の実施形態では、フィルタをストッパの下流側に設けたが、上流側に設けるようにして良い。この場合、板ばね5Aと同様のものをストッパ3に取り付けることにより下流側の新規フィルタNEWの連れ出しを防止することができる。
【0033】
【発明の効果】
本発明のろ過装置は上述のように構成されているので、次に記載する効果を奏する。
請求項1の発明は、流路に固定されたストッパに上下の二ヶ所で押圧されている場合は、フィルタの流路中における姿勢が特に一定状態に保たれ安定している効果を有する。挿入する新規フィルタを常に使用中のフィルタの下流側に挿入するだけで流体のろ過が継続的に遂行できるという効果を有する。
流路中に挿入するフィルタを一枚に限定できるので、流速が低下することなく、ろ過の効率が良いという効果を有する。常時流路で使用するフィルタが一枚であるにもかかわらず、交換作業時に異物を含む上流側の流体をフィルタを通さず下流に放出することがないので、流体を還流させるポンプ寿命の延長が可能という効果を有する。
【0034】
請求項2の発明は、使用中のフィルタを押圧力を付加して流路中に保持し、そのフィルタの下流側に当接して新規フィルタを挿入できるので、使用中のフィルタが姿勢を変え、上流側の異物を含む流体が下流側に漏出することがないという効果を有する。
また、新規フィルタの挿入後に使用済フィルタを抜去するので、上流側流体がそのままろ過されず下流側に流れでることは全くないという効果を有する。
【0035】
請求項3の発明は、交換作業時に上流側の使用中のフィルタを抜去するとき、新規フィルタが連れ出されると異物を含む上流側の流体が下流に放出される。押圧部材と新規フィルタの当接面側との間に連れ出し防止手段を形成することによりフィルタ交換作業が容易であるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィルタ収容領域に挿入され押圧保持されるフィルタが設けられたろ過装置の斜視図である。
【図2】フィルタ収容領域のばね部材に二種類の板ばねを用いたろ過装置で、(a)は上面図、(b)はAA断面視図である。
【図3】図2(b)において、収容領域にフィルタが二枚挿入された状態のろ過装置である。
【図4】フィルタ収容領域のばね部材に弓形板ばねを用いたろ過装置で、(a)は上面図、(b)はBB断面視図である。
【図5】フィルタ収容領域のばね部材に圧縮ばねを用いたろ過装置で、(a)は上面図、(b)はCC断面視図である。
【図6】従来技術のフィルタがダブルゾーンに設けられたろ過装置の斜視図である。
【図7】従来技術のフィルタ装着構造である。
【符号の説明】
1 流路 2 フィルタ
2NEW 新規フィルタ
3 ストッパ
4,5 板ばね
6,13 ばね支え
7 ばね支え枠 8 網
9 弓形ばね 10 丸リベット
11 圧縮ばね 12 ガイド板
14 案内軸
Claims (2)
- 液体に含まれる異物を除去するために流体の流路上部の開口部よりフィルタを挿入・抜去して交換するろ過装置であって、前記フィルタを当接させ位置決めするよう前記流路に設けられたストッパと、該ストッパとの間に二枚のフィルタを互いに当接しながら収容できる領域が設けられ収容された一枚以上の前記フィルタを前記ストッパに押圧可能に設けた押圧手段と、前記ストッパに当接する使用済の前記フィルタを抜去するとき前記フィルタと前記押圧手段との間に挿入して前記押圧手段で押圧される新規フィルタが一緒に引き出されるのを防ぐために前記押圧手段と係合する係合部をフィルタに設けた連れ出し防止手段とを含んでなり、挿入した新規フィルタが使用済のフィルタの抜去跡に上流の流体をフィルタを通さず下流に放出することなく移動することを特徴とするろ過装置。
- 前記押圧手段は、前記フィルタをストッパ方向に押圧するばね部材と、前記流路に設けられ前記ばね部材を支持するばね支えとを含んでなる請求項1に記載のろ過装置。
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