以下、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。
[第1の実施形態]
図1はこの発明を不揮発性半導体メモリに実施した場合のチップ内部の一構成例を示すブロック図である。
図1において、メモリセルアレイ11内には、それぞれ複数のビット線BL及びワード線WL(それぞれ1本のみ図示)と、それぞれフローティングゲート、コントロールゲート、ソース及びドレインを有し、フローティングゲートに電子を注入することでコントロールゲートからみたしきい値電圧が変化することによってデータのプログラム(書き込み)が行われ、データ消去が電気的に行われる複数のメモリセル(フラッシュセル:1個のみ図示)MCが設けられている。なお、各メモリセルMCのコントロールゲートは複数のワード線WLのうちの一つに接続され、ドレインは複数のビット線BLのうちの一つに接続されている。また、各メモリセルMCのソースは、例えばビット線単位、ワード線単位もしくはブロック単位で共通のソース線(図示せず)に接続されている。
アドレスバッファ12は外部からのアドレス信号を受けて内部アドレス信号を発生する。アドレスバッファ12で発生される内部アドレス信号は、ロウデコーダ13、カラムデコーダ14、ソースデコーダ15及びモード信号発生回路16にそれぞれ供給される。
入出力コントロール回路17は、外部から入力されるチップイネーブル信号 /CE、ライトイネーブル信号 /WE及びアウトプットイネーブル信号 /OEを受け、これらの入力信号に基づいて内部回路の動作を制御するための各種制御信号を発生する。例えば、チップイネーブル信号 /CEに基づく制御信号はアドレスバッファ12に供給され、アドレスバッファ12ではこの制御信号に基づいて内部アドレス信号の発生動作が可能にされる。また、アウトプットイネーブル信号 /OEに基づく制御信号は後述するI/Oバッファに供給され、I/Oバッファではこの制御信号に基づいてデータの出力動作が可能にされる。ライトイネーブル信号 /WEに基づく制御信号は後述する書き込み回路に供給され、書き込み回路ではこの制御信号に基づいてデータの書き込み動作が可能にされる。
上記ロウデコーダ13は、上記内部アドレス信号(内部ロウアドレス信号)に基づいて、上記メモリセルアレイ11内のワード線WLを選択する。
カラムセレクタ18は、上記カラムデコーダ14からのデコード出力に基づいて、上記メモリセルアレイ11内のビット線BLを選択する。
上記ソースデコーダ15は、上記内部アドレス信号に基づいて、上記メモリセルアレイ11内のソース線を選択し、この選択したソース線に所定の電圧を供給する。
書き込み回路19は、データの書き込み時に、上記メモリセルアレイ11内の選択されたメモリセルに対して書き込みデータを供給してデータを書き込む。
センスアンプ回路(S/A)20は、データの読み出し時に、上記メモリセルアレイ11内の選択されたメモリセルからの読み出しデータをセンスする。
I/Oバッファ21は、データの書き込み時には外部から供給されるデータを上記書き込み回路19に供給し、データの読み出し時には上記センスアンプ回路20でセンスされるデータを外部に出力する。また、このI/Oバッファ21には各動作モード、すなわちデータの書き込み/消去/読み出しの各動作モードや、複数のモード製品を品種展開する際の製品モードを設定するためのコマンドデータが供給される。
また、上記I/Oバッファ21にはコマンド/ユーザインターフェース回路22が接続されている。このコマンド/ユーザインターフェース回路22には上記入出力コントロール回路17から出力される制御信号も入力されている。このコマンド/ユーザインターフェース回路22は、前記ライトイネーブル信号/WEが活性化されるタイミング時にI/Oバッファ21から入力されるコマンドデータを受ける。そして、このコマンド/ユーザインターフェース回路22の出力は内部コントロール回路23に供給される。内部コントロール回路23は、上記コマンド/ユーザインターフェース回路22が受けたコマンドデータに応じた内部制御信号を発生する。そして、この内部制御信号は内部電源/昇圧回路24に供給される。
上記内部電源/昇圧回路24は、外部からの電源電圧を受け、この外部電源電圧から内部電源電圧やチャージポンプを用いた昇圧電圧を上記内部制御信号に基づいて発生するものであり、ここで発生される内部電源電圧/昇圧電圧は同一チップ内の各回路に分配される。
上記モード信号発生回路16には、前記メモリセルと同様に、フローティングゲート、コントロールゲートを有し、フローティングゲートに電子を注入することでコントロールゲートからみたしきい値電圧が変化することによってデータのプログラムが行われ、データ消去が電気的に行われる不揮発性トランジスタが複数設けられている。このモード信号発生回路16内の不揮発性トランジスタには、一般に後工程と呼ばれクリーンルームでの加工が終了した後のウエハ状態またはアセンブリ後の工程でモード設定用のデータがそれぞれ書き込まれる。このモード設定用のデータとは、例えば、
(1)TSOP/SOPのようにパッケージによってパッドの配置が異なり、使用するパッドの位置を切り替えるときに使用されるデータ、
(2)×4/×8/×16等のように並列的に取り扱うデータのビット長が異なり、それに応じて活性化するI/Oのブロックの数やセンスアンプの数を異ならせる制御を行う際に使用されるデータ、
(3)アドレスの回し方の異なるもの、つまりフラッシュEEPROMにおける変則ブロック品では変則ブロックを指定するアドレスのtop/bottom切り替えを行う際に使用されるデータ、
等である。そして、モード信号発生回路16は、これら不揮発性トランジスタに記憶されているモード設定用のデータを所定のタイミングで読み出し、この読み出しデータに基づいてモード信号を生成する。ここで生成されたモード信号は例えば前記I/Oバッファ21に供給される。
図2は図1中のモード信号発生回路16において、一つのモード設定用のデータを記憶する不揮発性トランジスタに関係した部分の具体的な回路構成を示している。
図2に示すように、フローティングゲート及びコントロールゲートを有する不揮発性トランジスタ31は、フローティングゲートに電子を注入することでコントロールゲートからみたしきい値電圧が変化することによってデータのプログラムが行われるものであり、そのソースは接地電位に接続されている。上記不揮発性トランジスタ31のドレインはNチャネルMOSトランジスタ32を介してノード33に結合されている。また、上記不揮発性トランジスタ31のコントロールゲート及びトランジスタ32のゲートは共通に接続され、この共通ゲートにはチップ全体に電源電圧が供給された時の所定期間に“H”レベルにされる制御信号PWONが供給される。この制御信号PWONを発生する回路はパワーオンクリア信号発生回路等として良く知られているので、その詳細については特に説明しない。
また、上記ノード33と電源電圧との間には例えばPチャネルMOSトランジスタ等からなる負荷素子34が接続されている。さらに、上記ノード33にはNチャネルMOSトランジスタ35及びPチャネルMOSトランジスタ36で構成されたCMOS型トランスミッションゲート37の一端が接続されている。上記NチャネルMOSトランジスタ35のゲートには前記制御信号PWONが供給され、PチャネルMOSトランジスタ36のゲートには信号PWONと相補なレベルを持つ制御信号/PWONが供給される。上記トランスミッションゲート37の他端には、入出力端が逆並列接続された2個のインバータ38、39で構成されたラッチ回路40の一端が接続されている。上記ラッチ回路40の他端の信号はインバータ41に入力され、このインバータ41の出力信号が前記モード信号MODEとして前記I/Oバッファ21に供給される。
図3は図1中のI/Oバッファ21がデータ読み出し時に×1モードか×2モードのいずれかを選択できる場合の前記センスアンプ回路20及びI/Oバッファ21の一部の構成を示しており、図4は図3で使用される信号Add、/Addを発生する回路を示している。
図3において、S/A11、S/A12はそれぞれ前記センスアンプ回路20内に設けられ、それぞれ1ビットのデータセンスを行うセンスアンプである。51及び52はそれぞれ1ビットのデータを出力する出力バッファであり、それぞれソースが電源電圧に接続されたPチャネルMOSトランジスタ53、このトランジスタ53のドレインにドレインが接続され、ソースが接地電位に接続されたNチャネルMOSトランジスタ54とからそれぞれ構成されている。そして、各出力バッファ51、52内のトランジスタ53、54の共通ドレインには出力パッドOUT1、OUT2が接続されている。
上記一方のセンスアンプS/A11の出力はNチャネルMOSトランジスタ56及びインバータ57を介して一方の出力バッファ51に供給される。他方のセンスアンプS/A12の出力はNANDゲート58の一方の入力端に供給される。そして、このNANDゲート58の出力は他方の出力バッファ52に供給される。また、上記インバータ57の入力端とNANDゲート58の一方の入力端との間にはNチャネルMOSトランジスタ59が接続されている。さらに、上記NANDゲート58の他方の入力端には、前記図2の回路で発生されるモード信号MODEが供給される。なお、上記トランジスタ56のゲートにはアドレス信号Addが供給され、トランジスタ59のゲートにはこのアドレス信号Addと相補なレベルのアドレス信号 /Addが供給される。
図4は前記アドレスバッファ12で発生される内部アドレス信号AddINを受け、上記図3の回路で使用される相補アドレス信号Add、 /Addを発生する回路部分の具体的な構成を示している。この回路において、前記アドレスバッファ12(図1に図示)で発生される1ビットの内部アドレス信号AddINがNORゲート61の一方の入力端に供給される。このNORゲート61の他方の入力端には前記モード信号MODEが供給される。上記NORゲート61の出力はインバータ62に供給され、このインバータ62の出力が前記信号Addとして図3中のトランジスタ56のゲートに供給される。また、上記インバータ62の出力はさらにインバータ63に供給され、このインバータ63の出力が前記信号/Addとして図3中のトランジスタ59のゲートに供給される。
なお、この例では、図4に示した回路は前記モード信号発生回路16内に設けられているが、モード信号発生回路16の外部、あるいは他の回路内に設けるようにしてもよい。
上記した各回路を含む不揮発性半導体メモリのチップは、前記I/Oバッファ21が×1モード、×2モードでデータ読み出しを行う互いに異なるモード品種であっても、製造時は全く同じマスクセットを用いて同時に製造される。そして、後工程と呼ばれクリーンルームでの加工が終了した後のウエハ状態またはアセンブリ後の工程でモード設定用のデータが図2の回路中の不揮発性トランジスタ31に対してプログラムされる。例えばこの例では、×2モードに設定する場合にはフローティングゲートに電子を注入し、反対に×1モードに設定する場合には電子の注入は行わない。
このようにプログラムされた不揮発性半導体メモリチップをユーザがシステム内に組み込んで使用する際に、チップに電源電圧が供給されると、制御信号PWONが所定の期間に“H”レベルとなり、図2中のトランジスタ32が“オン”して、不揮発性トランジスタ31の記憶データがノード33に読み出される。
ここで、フローティングゲートに予め電子が注入されている×2モードに対応したデータが不揮発性トランジスタ31に記憶されている場合、そのしきい値電圧は高い状態に変化しているので不揮発性トランジスタ31は“オン”しない。従って、ノード33は“H”レベルとなる。制御信号PWONが“H”レベルのとき、制御信号/PWONは“L”レベルになるので、図2中のトランスミッションゲート37が“オン”し、ノード33の“H”レベルの信号がラッチ回路40に伝えられる。その後、制御信号PWONが“L”レベルに、制御信号 /PWONが“H”レベルに戻ると、ラッチ回路40はその状態を保持する。すなわち、×2モードのとき、図2の回路からは“H”レベルのモード信号MODEが出力される。
一方、フローティングゲートに電子が注入されない×1モードに対応したデータが不揮発性トランジスタ31に記憶されている場合、そのしきい値電圧は低い状態のままになっているので、“H”レベルの制御信号PWONがコントロールゲートに供給されると、不揮発性トランジスタ31は“オン”する。従って、ノード33は“L”レベルとなる。すなわち、×1モードのとき、図2の回路からは“L”レベルのモード信号MODEが出力される。
図3の回路において、×2モードの場合、モード信号MODEが“H”レベルなので、NANDゲート58はインバータとして動作する。また、このとき、トランジスタ56のゲートに供給される信号Addは“H”レベル、トランジスタ59のゲートに供給される信号/Addは“L”レベルとなり、トランジスタ56は“オン”し、トランジスタ59は“オフ”するので、2個のセンスアンプS/A11、S/A12でセンスされたデータは、出力バッファ51、52それぞれを介して出力パッドOUT1、OUT2から並列的に出力される。
×1モードの場合には、モード信号MODEが“L”レベルなので、NANDゲート58の出力はセンスアンプS/A12の出力にかかわらずに常に“H”レベルとなり、出力バッファ52内のPチャネルMOSトランジスタ53及びNチャネルMOSトランジスタ54は共に非導通となり、出力パッドOUT2は高インピーダンス状態になる。
一方、その時の入力アドレスに応じて信号Add、 /Addのいずれか一方が“H”レベル、他方が“L”レベルとなる。ここで、Add=“H”レベル、 /Add=“L”レベルのときは、トランジスタ56が“オン”し、センスアンプS/A11でセンスされたデータが出力バッファ51を介して出力パッドOUT1から出力される。また、Add=“L”レベル、 /Add=“H”レベルのときは、トランジスタ59が“オン”し、センスアンプS/A12でセンスされたデータが出力バッファ51を介して出力パッドOUT1から出力される。すなわち、×1モードのときは、センスアンプS/A11、S/A12でセンスされた2ビットのデータは、そのときのアドレス状態に応じて1個の出力パッドOUT1から出力される。
図4の回路では、×2モードの場合、モード信号MODEが“H”レベルなので、NORゲート61の出力は入力アドレス信号AddINがかかわらずに“L”レベルとなり、前記したように信号Addが“H”レベル、信号 /Addが“L”レベルとなる。また、×1モードの場合には、モード信号MODEが“L”レベルなので、NORゲート61の出力は入力アドレス信号AddINに応じて変わり、入力アドレス信号AddINが“L”レベルのときは“H”レベル、入力アドレス信号AddINが“H”レベルのときは“L”レベルとなり、信号Add及び /Addは入力アドレス信号AddINに応じて変化する。
このようにチップ内に不揮発性記憶素子を持たせ、集積回路のモードに関するデータを後工程でその不揮発性記憶素子に書き込み、この記憶データを読み出してモード信号を生成するようにしたので、従来技術の問題点である、多くのマスクを管理しなければならない繁雑さ、チップ面積の増大を解消できるだけではなく、アセンブリ終了後でも不揮発性記憶素子のデータを書き換えることによって集積回路のモードを切り替えることができる。従って、集積回路の製造メーカは最終的な製品のモード毎の数量を考えずに生産計画を立てることができ、異なったモードの複数製品をアセンブリ工程まで同一にすることができるので、生産効率が大変良くなる。
上記説明では不揮発性トランジスタに対するデータのプログラム/消去を行うための具体的な構成については述べなかったが、これはメモリセルアレイ11内に設けられているメモリセルに対するプログラム/消去と同じであり、書き込み(電子注入)、消去(電子放出)及び読み出し時における不揮発性トランジスタのコントロールゲート(Vg)、ドレイン(Vd)及びソース(Vs)の各電位関係を図5にまとめて示した。
図6(A)は不揮発性トランジスタに書き込みを実施するときの概念図である。昇圧回路71は外部電源電圧を昇圧して電源電圧よりも高い複数の電圧を発生する。前記したように図1中のモード信号発生回路16内には複数の異なるモード設定を可能にするために複数個の不揮発性トランジスタが設けられており、これら複数個の不揮発性トランジスタを選択して書き込みを行うために選択トランジスタが必要であり、図6(A)中のトランジスタ72はこの選択トランジスタを示している。すなわち、不揮発性トランジスタ31のドレインには上記トランジスタ72を介して、上記昇圧回路71で発生される昇圧電圧の一つが供給される。上記昇圧回路71で発生される他の昇圧電圧はレベルシフト回路73、74に供給される。上記両レベルシフト回路73、74はそれぞれ、“H”レベルの書き込み信号を電源電圧よりも高い電圧にレベルシフトするものであり、両レベルシフト回路73、74の出力は上記選択用のトランジスタ72のゲート、不揮発性トランジスタ31のコントロールゲートに供給される。
このような構成により、不揮発性トランジスタ31に書き込みを行う場合、コントロールゲートには10V(Vg)が、ドレインには6V(Vd)が供給される。なお、ソースは接地されているので0V(Vs)になる。
図6(B)は不揮発性トランジスタを消去するときの概念図である。負電圧発生回路75は0Vの接地電圧よりも低い負の値を持つ電圧を発生する。また、昇圧回路76は外部電源電圧を昇圧して電源電圧よりも高い電圧を発生する。不揮発性トランジスタ31のソースには上記昇圧回路76で発生される昇圧電圧が供給される。上記負電圧発生回路75の出力は不揮発性トランジスタ31のコントロールゲートに供給される。
このような構成により、不揮発性トランジスタ31の消去を行う場合、コントロールゲートには−7V(Vg)が、ソースには6V(Vs)が供給される。なお、ドレインはオープン状態にされる。
ところで、上記説明では、異なるモードの例としてデータ読み出し時におけるビット構成の違いを挙げて説明したが、異なるモードの例としてはビット構成に限られるものではなく、その他に例えば、異なるパッケージに対応して使用する(ボンディングする)パッドの指定が異なる場合、モード信号は、
(1)使用するパッドに接続された回路を活性化する。
(2)使用しないパッドを接地し、使用しないパッドに接続された回路を非活性状態にする。
ために使用される。
また、動作する電源電圧の範囲指定を変える場合にも実施が可能である。すなわち、同一集積回路を例えば3V/5Vで動作させようとした場合、内部のタイミング設定、各種レシオ回路(特にインターフェース)のサイズ比等、別個に微調整が必要なときがあり、これらをモード信号を用いて切り替え制御することができる。
さらには、高速・高消費電力版/低速・低消費電力版等の切り替え制御や、NOR型フラッシュメモリにおけるメモリブロックのtop/bottomブート切り替えのために、アドレス入力を途中で反転させる回路の制御等にも使用することができる。
さらにはフラッシュメモリ等の半導体記憶装置のリダンダンシ技術にも使用することができる。即ち、上記不揮発性トランジスタ31に不良アドレスデータや、スペアデコーダをアクティブにするデータ等のリダンダンシデータを記憶させることができる。
このように、この発明の適用には様々なケースが考えられるが、異なる複数のモードが内部の一本もしくは複数のモード信号の組み合わせで、回路的に表現できる全てのケースにこの発明を適用することができる。
ここで、第1の実施形態においては、不揮発性トランジスタ31にはモード設定用データやリダンダンシデータが記憶される。そして、不揮発性トランジスタ31を含むモード信号発生回路16はモード設定用データに応じその品種を決定するモード信号、あるいはリダンダンシデータに応じ不良アドレスをスペアのメモリセルに置換するリダンダンシ信号等を発生する。
このため、モード信号発生回路16には高度な信頼性を要求する。
図7は第1の実施形態に係る半導体集積回路装置の一構成例を示すブロック図である。
図7に示すようにモード信号発生回路16の電源を、内部電源電圧発生回路80により昇圧、または降圧した内部電源電圧VDDにする。内部電源電圧発生回路80は、例えば外部電源電圧VCCから内部電源電圧VDDを発生する。
このようにモード信号発生回路16の電源を外部電源電圧VCCから内部電源電圧VDDにする。これにより、外部電源電圧VCCのゆらぎ等に起因するような誤動作を抑制できる。よって、モード信号発生回路16の信頼性を向上させることができる。
[第2の実施形態]
アナログ的な要素の大きい回路、例えば不揮発性トランジスタ31からデータを読み出す回路においては、通常のCMOSロジック回路と比較して電源マージンが狭くなる場合が多い。
特にデバイスの微細化を推進するために、図7に示す内部電源電圧VDDの電圧を下げると、上記アナログ的な要素の大きい回路では電源マージンが不足する。これを図1に示すフラッシュEEPROMのメモリセルMCを例にとって説明する。
図8(A)はメモリセルアレイ11の回路図、図8(B)はメモリセルMCの断面図、図8(C)はメモリセルMCのシンボル図、図8(D)はメモリセルMCの等価回路図である。
メモリセルMCへのデータの書き込み/消去は、浮遊ゲートFGへ電子を注入/引き抜くことによって行う。
浮遊ゲートFGに電子が存在する状態ならば、制御ゲートCGからみたしきい値電圧Vthcellは高くなり“オフ”状態になる。
一方、電子が存在しない状態ならば、制御ゲートCGからみたしきい値電圧Vthcellは低くなり“オン”状態になる。“オン”状態のしきい値電圧Vthcellは2V程度が一般的な値である。
従来のフラッシュEEPROMの電源電圧は5Vが一般的であり、読み出し時には制御ゲートCGに5Vを直接に印加していた。セル電流IcellはVd−(1/2)・Vd2 に比例する(電圧Vdはドレインの電圧でありメモリセルMCがNチャネル型であればVd=Vg−Vthcellである。電圧Vgは制御ゲートの電圧である)。
メモリセルMCがNチャネル型でしきい値電圧Vthcellが2V、制御ゲートの電圧Vgが5Vであると、ドレインの電圧Vdは3V(=Vg−Vthcell)となり、充分なセル電流Icellが得られる。
しかし、外部電源電圧VCCあるいは内部電源電圧VDDを3V程度まで下げた場合に、これを直接読み出し時にメモリセルMCの制御ゲートに印加すると、制御ゲートの電圧Vgは3Vとなり、ドレインの電圧Vdは1V(=Vg−Vthcell)となる。このため、充分なセル電流Icellは得られ難くなる。
ところで、図2に示すモード信号発生回路16では信号PWONが“H”レベルとなると、負荷34と不揮発性トランジスタ31との電流比で、ラッチ回路40のラッチデータが決まる。
図2に示す回路では電源電圧の振幅を持つ信号PWONを不揮発性トランジスタ31の制御ゲートに印加する。このような方式は電源電圧と不揮発性トランジスタ31の“オン”状態のしきい値電圧Vthcellとの差が充分にある場合、有効である。
しかし、例えば電源電圧を下げることで、電源電圧と不揮発性トランジスタ31のしきい値電圧Vthcellとの差が接近した場合には図8(A)〜図8(D)を参照して説明した現象と同様な現象が起き、セル電流が不足する。
また、電源電圧と上記しきい値電圧Vthcellとの差が接近している場合に、電源電圧がゆらぐと“オン”状態であるはずの不揮発性トランジスタ31が“オフ”し、モード信号発生回路16が誤ったモード信号MODEを出力することも予想される。誤ったモード信号MODEが出力されると、製品の品種が変わってしまう。
このような不良を抑制するためには、例えば電源マージンをよりタイトにする。
しかし、電源マージンをタイトにすると、例えば製造歩留りの悪化等が予想され、好ましい状況にはならない。
そこで、第2の実施形態の目的は、電源電圧と不揮発性トランジスタ31の“オン”状態のしきい値電圧Vthcellとの差が接近しても、例えば製造歩留りを悪化させずに、モード信号発生回路16の信頼性を充分に維持させることである。
図9は第2の実施形態に係る半導体集積回路装置の一構成例を示すブロック図である。
図9に示すように、第2の実施形態では、内部電源電圧VDDを昇圧電圧VDDRに昇圧する内部電源電圧昇圧回路81をチップ内部に設ける。昇圧電圧VDDRは内部電源電圧VDDとともにコントローラ82に供給される。コントローラ82は信号PWONに従って、不揮発性トランジスタ31の制御ゲートに供給される信号FSWLおよびトランジスタ32等のゲートに供給される信号FSBIASをそれぞれ出力する。信号FSBIASは内部電源電圧VDDの振幅を持つ信号であり、信号FSWLは昇圧電圧VDDRの振幅を持つ信号である。
このように不揮発性トランジスタ31の制御ゲートに供給する信号FSWLを、内部電源電圧VDDよりも高い昇圧電圧VDDRにする。これにより電源電圧と不揮発性トランジスタ31の“オン”状態のしきい値電圧Vthcellとの差を拡大することができる。よって、内部電源電圧VDDが少々ゆらいだとしても、“オン”状態であるはずの不揮発性トランジスタ31が“オフ”してしまうような事情は抑制される。
なお、第2の実施形態では内部電源電圧VDDを使用しているが、内部電源電圧VDDに代えて外部電源電圧VCCを使用しても良い。この場合には昇圧電圧VDDRは外部電源電圧VCCを昇圧した電圧とする。
また、信号FSBIASの電圧の一例は3V程度、信号FSWLの電圧の一例は5V程度である。即ち第2の実施形態における内部電源電圧VDDの一例は3V程度、昇圧電圧VDDRの一例は5V程度である。
さらに図9に示すように、昇圧電圧VDDRを一定のレベル(この第2の実施形態では5V程度)に保つために、昇圧電圧VDDRのレベルを検知する昇圧電圧検知回路83を設けても良い。昇圧電圧検知回路83は、昇圧電圧VDDRのレベルを検知し、例えば昇圧電圧VDDRが一定のレベル以下となればブースタ81を活性化させ、昇圧電圧VDDRが一定のレベル以上となればブースタ81を非活性化させる信号SVDDRを出力する。
このような昇圧電圧検知回路83は必ずしも必要ではないが、昇圧電圧検知回路83を設ければ、特に昇圧電圧VDDRが一定のレベル以下になってしまう状況が避けられる。これにより、昇圧電圧VDDRが低下し、昇圧電圧VDDRが不揮発性トランジスタ31の“オン”状態のしきい値電圧Vthcellに接近するような事情を解消でき、モード信号発生回路16の信頼性はさらに高まる。
[第3の実施形態]
図8(A)〜図8(D)に示すメモリセルアレイ11のメモリセルMCからのデータ読み出し動作は、パワーオンと同時にスタートされない。なぜならば読み出し動作はパワーオンされたチップに対して、読み出しコマンドを入力し、アドレスを入力することで行われるためである。
これに対し、モード信号発生回路16の不揮発性トランジスタ31からのデータ読み出し動作は、パワーオンと同時にスタートされる必要がある。パワーオンされたチップの品種を確定するためである。
信号PWONを出すための電位、即ちパワーオン検知レベルは電源電圧の保証範囲よりも低めに設定する。誤動作を防ぐためである。
例えば電源電圧が3Vの製品では検知レベルを2Vとする。この2Vという検知レベル(2V)は不揮発性トランジスタ31の“オン”状態のしきい値電圧(Vthcell=2V)と変わりがない。検知レベルが2Vの製品では、電源電圧が3Vに達していなくても、2Vになれば信号PWONは“H”レベルになる。この結果、不揮発性トランジスタ31のゲートには2Vの信号PWONが供給される。
しかしながら、不揮発性トランジスタ31の“オン”状態のしきい値電圧Vthcellは2Vである。ゲートの電圧が2Vでは不揮発性トランジスタ31は“オフ”する。よって正常なデータは読み出せない。
また、第2の実施形態のように昇圧電圧VDDRを使用する場合においても、内部電源電圧VDDが3Vに達していなければ、昇圧回路81は充分な昇圧電圧VDDRを発生できない。よって、上記同様に正常なデータを読み出せない可能性がある。
そこで、第3の実施形態の目的はモード信号発生回路16をパワーオン時から正常に動作させることにある。
このために、第3の実施形態ではコントローラ82を昇圧電圧VDDRが充分なレベルになった後に動作されるようにする。
図10は第3の実施形態に係る半導体集積回路装置の一構成例を示すブロック図である。
図10に示すように、第3の実施形態では、外部電源電圧VCC、あるいは内部電源電圧VDDのレベルが設定された電圧(例えば3V)まで上昇する時間分、信号PWONの立ち上がりを遅らせるタイミング調整回路84を設ける。昇圧回路81はタイミング調整回路84からの信号PWON’によって、その動作がイネーブルされる。これにより昇圧回路81は内部電源電圧VDDのレベルが設定された電圧(例えば3V)になった後に動作し、昇圧電圧VDDRを発生させる。
さらに、第3の実施形態では、信号PWON’によりリセットされ、信号SVDDRによりセットされるラッチ回路(フリップフロップ)85を有する。ラッチ回路85は昇圧電圧VDDRのレベルが設定された電圧(例えば5V)になったことを示す信号SVDDLATを出力する。コントローラ82は、信号SVDDLATによって、その動作がイネーブルされる。
このようにコントローラ82の動作を、昇圧電圧VDDRのレベルが設定された電圧(例えば5V)になったことを示す信号SVDDLAT信号によってイネーブルする。これにより、コントローラ82は昇圧電圧VDDRが充分なレベルになった後に動作されるようになり、信号FSWLの“H”レベルを、不揮発性トランジスタ31の“オン”状態のしきい値電圧Vthcellのレベルよりも充分に高い値にできる。よって、パワーオンと同時に不揮発性トランジスタ31からデータを読み出しても、“オン”状態であるはずの不揮発性トランジスタ31が“オフ”するような誤読み出しを抑制でき、モード信号発生回路16をパワーオン時から正常に動作させることができる。
[第4の実施形態]
次に、この発明を適用した半導体集積回路装置の具体的な回路例を第4の実施形態として説明する。
図11はこの発明の第4の実施形態に係るフラッシュEEPROMの一コントロールシーケンス例を示すフローチャート、図12はこの発明の第4の実施形態に係るフラッシュEEPROMの一構成例を示すブロック図である。
以下、コントロールシーケンスに従って各ブロックの回路の詳細構成を順次、説明する。
図11に示すステップST1において、電源電圧(外部電源電圧VCCもしくは内部電源電圧VDD。この第4の実施形態では外部電源電圧VCCを例示する)が投入され、電源電圧VCCのレベルが上昇していく。
次に、ステップST2において、電源電圧VCCのレベルを検知する。電源電圧VCCの検知は、図12に示すパワーオンリセット回路101により行われる。電源電圧VCCの検知レベルは、フラッシュEEPROMの内部に設けられる回路のなかで、もっともVCCminマージンの狭い回路に整合される必要がある。第4の実施形態では、図12に示すレファレンス電圧発生回路102に整合される。
図13はパワーオンリセット回路101の一回路例を示す回路図である。
図13に示すパワーオンリセット回路101では、電源端子VCCに容量Cと抵抗Rとからなるローパスフィルタ201を接続している。電源電圧VCCの急激な変化(電源ノイズ)による誤動作を防止するためである。
また、パワーオンリセット回路101中の拡散抵抗r1、r2にはN型の拡散抵抗が用いられる。内部の動作が遅いノードが電源ノイズの影響を受けぬようにするためである。N型の拡散抵抗r1等はP型シリコン基板もしくはP型ウェルに形成され、これらのP型基板もしくはP型ウェルは接地電位にバイアスされる。N型の拡散抵抗r1等を接地電位にバイアスされるP型基板もしくはP型ウェルに形成する理由は、N型の拡散抵抗r1等とこれらが形成されるP型基板もしくはP型ウェルとが順方向にバイアスされる事情を解消するためである。即ちN型の拡散抵抗r1等を接地電位にバイアスされるP型基板もしくはP型ウェルに形成することにより、N型の拡散抵抗r1等とこれらが形成される半導体領域との短絡を抑制できる。
また、電源端子VCCとダイオードDとの間に実質的に直列に接続された拡散抵抗r3はP型の拡散抵抗が用いられる。P型の拡散抵抗r3はN型シリコン基板もしくはN型ウェルに形成され、これらのN型基板もしくはN型ウェルは例えば電源電圧VCCにバイアスされる。P型の拡散抵抗r3をパワーオン時に電圧が変化する電源電圧VCCにバイアスされるN型基板もしくはN型ウェルに形成する理由は、上記したN型の拡散抵抗r1等の場合と同様に、P型の拡散抵抗r3とこれが形成されるN型基板もしくはN型ウェルとが順方向にバイアスされる事情を解消するためである。これにより、P型の拡散抵抗r3とこれが形成される半導体領域との短絡を抑制できる。さらには、パワーオン時に電圧が変化する電源端子VCCに実質的に接続されたP型の拡散抵抗r3を、電源端子VCCの電圧の変化に合わせて電圧が変化するN型シリコン基板もしくはN型ウェルに形成することにより、電源電圧VCCの変化に伴ったP型の拡散抵抗r3の抵抗値の変動を抑制することができる。
このようにパワーオンリセット回路101は、電源電圧VCCが検知レベルに達したとき、“L”レベルの検知信号PONRSTを出力する。検知信号PONRSTは、例えば図10に示す回路の信号PWONに相当する。
電源電圧VCCのレベルを検知した後、ステップST3において、レファレンス電圧VREFを発生させる。レファレンス電圧VREFの発生はレファレンス発生回路102により行われる。
図14はレファレンス発生回路102の一回路例を示す回路図である。
図14に示すレファレンス発生回路102は、バンドギャップレファレンス回路である。このバンドギャップレファレンス回路102において、カレントミラー回路202を構成するNチャネル型MOSトランジスタN1、N2にはナチュラルトランジスタが使用されている。ナチュラルトランジスタはしきい値電圧が約0Vのものであり、例えばチャネルに対してしきい値電圧調整用の不純物を注入しないことにより形成することができる。
図14に示すカレントミラー回路202の動作電圧の下限は、
VCCmin=VB(=VA)+VTHP
で表される。ここで、“VB”は、PNダイオードの順方向電圧、“VTHP”はカレントミラー回路202におけるPチャネル型MOSトランジスタのしきい値電圧である。
よって、
VCCmin=VF+VTHP
である。
図13を参照して説明したパワーオンリセット回路101は、その電圧検知レベルVPONRSTを、
VPONRST=VF+VTHP
とし、図14に示すカレントミラー回路202の動作電圧の下限と整合されるようにしている。
このようにバンドギャップレファレンス回路102は、パワーオン後にレファレンス電圧VREFを発生する。なお、レファレンス電圧VREFの出力ノードに接続されている容量Cは、安定化容量である。
また、このバンドギャップレファレンス回路102は、スタンドバイ状態でも動作する。この第4の実施形態では、後述する昇圧電圧VDDRを、スタンドバイ状態でもキープしておくためである。スタンドバイ電流低減の要請により、消費電流は数μA程度に抑制される必要がある。消費電流を絞るために、図14に示すバンドギャップレファレンス回路102の動作速度は非常に遅くする。このため、レファレンス電圧VREFが安定するまでに、数μs〜数十μsの時間を必要とする。したがって、パワーオン時のチップ内部における一連の動作は、電源電圧VCCの上昇を検知した後、レファレンス電圧VREFが安定するまでの時間を待ってから行う。したがって、この第4の実施形態では、ステップST3とパラレルに、ステップST4に示すように、安定したレファレンス電圧VREFが発生されるまでの、タイミング調整を行う。
図15はタイミング調整回路103の一回路例を示す回路図である。
図15に示すタイミング調整回路103は、検知信号PONRSTが出力されてから、レファレンス電圧VREFが安定するまでのタイミングを取る回路である。タイミング調整回路103内部のCR時定数は、バンドギャップレファレンス回路102の時定数よりも大きくなるように設定されている。
図15に示すタイミング調整回路103では、特にファーストステージ203のCR時定数がバンドギャップレファレンス回路102の時定数よりも大きくなるように設定されている。タイミング調整回路103は、レファレンス電圧VREFが充分に安定するタイミングを示す信号BGRONRSTを出力する。
信号BGRONRSTは、検知信号PONRSTが“H”レベルのときは“H”レベル、検知信号PONRST“L”レベルになって、CR時定数によって決定される時間が経過した後に“L”レベルとなる特性を持つ。
レファレンス電圧VREFが安定した後、ステップST5において、電源電圧VCCの内部昇圧を開始する。内部昇圧は駆動パルスφPを発振するリングオシレータ104と、駆動パルスφPにより駆動されるチャージポンプ回路105とにより行われる。
図16はオシレータ104の一回路例を示す回路図、図17はチャージポンプ回路105の一回路例を示す回路図である。
図16に示すように、オシレータ104は発振信号をロジック的に発振する回路(リングオシレータ)である。オシレータ104は信号BGRONRSTを受け、駆動パルスφPの発振を開始し、図17に示すチャージポンプ回路105を駆動する。
図17に示すように、チャージポンプ回路105は、駆動パルスφPおよびその反転駆動パルス/φPを交互に受けるキャパシタを有しており、電源電圧VCCを昇圧電圧VDDRに昇圧する。チャージポンプ回路105の非活性/活性状態は、オシレータ104の発振動作をディセーブル/イネーブルすることにより、決定される。
内部昇圧を開始した後、不揮発性トランジスタ31に相当するROMのデータを読み出し/ラッチするには、昇圧電圧VDDRのレベルを検知する必要がある。
内部昇圧を開始した後、ステップST6において、昇圧電圧VDDRのレベルを検知する。昇圧電圧VDDRの検知は、VDDRレベル検知回路106により行われる。
図18はVDDRレベル検知回路106の一回路例を示す回路図である。
図18に示すように、VDDRレベル検知回路106は昇圧電圧VDDRを抵抗分割した値を、レファレンス電圧VREFと比較する。この第4の実施形態ではレファレンス電圧VREFが安定してから、内部昇圧を開始するのであるから、図18に示すVDDRレベル検知回路106は、
VDDR={(R1+R2)/R2}・VREF
となったときに、“H”レベルの検知信号SVDDRを出力する。
第4の実施形態では検知信号SVDDRはオシレータ104に帰還され、チャージポンプ回路105の動作を停止させて消費電力を減らす信号としても使用されている。
ところで、検知信号SVDDRは、動作時にチップ内部で昇圧電圧VDDRに電流が流れて昇圧電圧VDDRが低下すると“L”レベルとなり、チャージポンプ回路105を動作させる。チャージポンプ回路105が動作され、再び、昇圧電圧VDDRが充分なレベルに達すると“H”レベルとなる。
このように検知信号SVDDRは、“H”レベルと“L”レベルとを交互に繰り返す信号である。
ROMのデータ読み出し/ラッチには、検知信号SVDDRが“H”レベルである必要があるが、“L”レベルから“H”レベルになるたびに、データ読み出し/ラッチを行うわけにはいかない。チップ動作中に、ラッチされたデータが、非確定状態となり、動作が不安定になるためである。このため、パワーオン後、初めて検知信号SVDDRが“H”レベルになったときに、ROMのデータ読み出し/ラッチシーケンス(ステップST7)を開始させるための信号を生成する必要がある。
第4の実施形態では、この種の信号をラッチ回路107により生成する。
図19はラッチ回路107の一回路例を示す回路図である。
図19に示すラッチ回路107は信号BGRONRST信号によりリセットされ、検知信号SVDDRによりセットされるフリップフロップである。フリップフロップ107は、検知信号SVDDRが初めて“H”レベルになったとき、この“H”レベルをラッチした信号SVDDRLATを出力する。信号SVDDRLATは、ROMのデータ読み出し/ラッチシーケンスを開始させる信号である。
図12には、ステップST7に示すROMのデータ読み出し/ラッチシーケンスを具現化する回路が示されている。
具現化する回路は、この第4の実施形態では、ヒューズセルデータラッチトリガ回路108、ヒューズセルコントロール回路109、ヒューズセル110およびヒューズセルデータラッチ回路111により構成される。
ヒューズセルデータラッチトリガ回路108およびヒューズセルコントロール回路109はコントローラ82に相当する。ヒューズセル110は不揮発性トランジスタ31に相当し、ヒューズセルデータラッチ回路111はラッチ回路40含む回路に相当する。即ちヒューズセル110およびヒューズセルデータラッチ回路111はモード信号発生回路16に相当する。
図20はヒューズセルデータラッチトリガ回路108の一回路例を示す回路図、図21はヒューズセルコントロール回路109の一回路例を示す回路図、図22はヒューズセル110の一回路例を示す回路図、図23はヒューズセルデータラッチ回路111の一回路例を示す回路図である。また、図24はデータ読み出し/ラッチシーケンスを示す動作波形図である。
図20に示すように、ヒューズセルデータラッチトリガ回路108では、信号SVDDRLATを受けて、トリガ信号TRRIGERが生成される。トリガ信号TRRIGERは、遅延回路204の遅延時間に従った期間、“H”レベルとなる信号である。トリガ信号TRRIGERが“H”レベルとなったとき、信号FREADが“H”レベルとなって出力される。この信号FREADは、トリガ信号TRRIGERが“L”レベルとなった後、数十ns(例えば50ns)の間、“H”レベルを持続する。この“H”レベルの持続期間は、出力ノードにコンデンサCcを備えたインバータ205、出力ノードにコンデンサCdを備えたインバータ206を交互に接続した遅延回路207によって作られる。
コンデンサCcはトリガ信号TRRIGERによって充電され、コンデンサCdはトリガ信号TRRIGERによって放電される。トリガ信号TRRIGERが“L”レベルになった後、コンデンサCcが放電し、放電後、次段のインバータ206への入力レベルを反転させる。反転後、インバータ206のコンデンサCdが充電され、充電後、次段のインバータ205への入力レベルを反転させる。この動作が繰り返されて、最後には、信号FREADが“H”レベルから“L”レベルに反転する。
図21に示すように、ヒューズセルコントロール回路109は、信号FREADが“H”レベルの間、“H”レベルの信号FSREADを出力する。また、信号FREADが“H”レベルになった後、“H”レベルとなる信号FSBIAS、信号FSWLを出力する。これら信号FSBIAS、信号FSWLは、信号FREADが“L”レベルになった後も、少しの時間(例えば10ns)、“H”レベルを持続する。
図22に示すように、ヒューズセル110は不揮発性のメモリセルMC(不揮発性トランジスタ31に相当する)を有している。信号FSWLはメモリセルMCの制御ゲートに入力され、そのレベルは昇圧電圧VDDRである。
また、メモリセルMCのビット線FBLに直列に接続されたNチャネル型MOSトランジスタN3(トランジスタ32に相当する)を有している。トランジスタN3はナチュラルトランジスタからなり、しきい値電圧は約0Vである。信号FSBIASはトランジスタN3のゲートに入力され、そのレベルは昇圧電圧VDDRよりも低い外部電源電圧VCC(もしくは昇圧電圧VDDRよりも低い内部電源電圧VDD)である。
図23に示すように、ヒューズセルデータラッチ回路111は、電源端子VCCと、ビット線FBLとの間に直列に接続されたPチャネル型MOSトランジスタP1、P2を有している。信号FSREADの反転信号/FSREADは、トランジスタP1、P2のゲートに入力される。トランジスタP1、P2は負荷34を構成する。信号FSREADが“H”レベルのとき、負荷34、特にトランジスタP1と、メモリセルMCとが流す電流の大小によって、メモリセルMCからの読み出しデータFUSEBITが決まる。そして、データFUSEBITは、ラッチ回路40にラッチされる。信号FSREADが“L”レベルとなると、ラッチ回路40は、ヒューズセル110から完全に切り離されて、データが確定した状態となる。ラッチ回路40は、ラッチされた内容に応じた信号FUSEを出力する。信号FUSEは信号MODEに相当する。
データが確定した後、メモリセルMCの制御ゲートを接地し、負荷34のトランジスタP1、P2、スイッチ37をそれぞれ“オフ”させる。これにより、メモリセルMCはパワーオン時のわずかな時間のみ、読み出し状態にでき、ROMのデータ読み出し/ラッチシーケンス終了後、メモリセルMCには余分な読み出しストレス(電気的なストレス)がかからなくなる。
以後、チップが非選択状態であれば、ステップST8に示すように、スタンドバイモードに入り、また、チップが選択状態であれば、ステップST9に示すように、例えば読み出しモードに入る。
このような第4の実施形態に係るフラッシュEEPROMによれば、レファレンス電圧VREFが充分に安定してから、ROMのデータ読み出し/ラッチシーケンスが開始される。このため、充分に安定した昇圧電圧VDDRを、ヒューズセル110のメモリセルMCのゲートに供給できる。これにより、例えばデータの誤読み出しなどを抑制でき、正確なデータを、ヒューズセルデータラッチ回路111のラッチ回路40にラッチできる。
また、ラッチ回路40のデータが確定した後、ヒューズセル110のメモリセルMCの制御ゲートを接地して制御ゲートと基板との間の電位差を実質的にゼロにする。これによりヒューズセル110のメモリセルMCには電気的なストレスがパワーオン時のわずかな時間のみしか加わらないようになる。よって、ヒューズセル110のメモリセルMCにかかる電気的ストレスは、例えばメモリセルアレイ11のメモリセルMCに比べて少なくなり、ヒューズセル110のメモリセルMCの劣化の進行は、メモリセルアレイ11のメモリセルMCの劣化の進行に比べて抑制される。ヒューズセル110のメモリセルMCの劣化の進行がメモリセルアレイ11のメモリセルMCよりも抑制されることで、ヒューズセル110がメモリセルアレイ11よりも先に壊れるような事態が発生する可能性をより小さくできる。したがって、ヒューズセル110の信頼性が向上する。
さらにラッチ回路40のデータが確定した後、負荷34を“オフ”させる。この構成により、ヒューズセル110のメモリセルMCのソースとドレインとの間の電位差を実質的にゼロにする。よって、ヒューズセル110のメモリセルMCに加わる電気的なストレスを抑制でき、同様にヒューズセル110の信頼性を向上できる。
さらにラッチ回路40のデータが確定した後、ラッチ回路40とヒューズセル110との間のスイッチ37を“オフ”させる。この構成により、ラッチ回路40が、ヒューズセル110側のノードを“H”レベルとするデータをラッチしても、ヒューズセル110のメモリセルMCのソースとドレインとの間の電位差を実質的にゼロにできる。よって、ヒューズセル110のメモリセルMCに加わる電気的なストレスを抑制でき、同様にヒューズセル110の信頼性を向上できる。
また、データが確定した後、ヒューズセル110のメモリセルMCの制御ゲートを接地し、負荷34のトランジスタP1、P2をそれぞれ“オフ”させることは、無用な電流の消費を抑制し、低消費電力化を実現する。
[第5の実施形態]
第5の実施形態は、パワーオン後、ROMのデータ読み出し/ラッチシーケンスの間に、チップを選択するチップイネーブル信号 /CEが入力された時の工夫に関している。
もし、ROMのデータ読み出し/ラッチシーケンスの間に、信号/CEが入力されると、誤動作の原因となる。ラッチデータが確定していないためである。
そこで、データの読み出し/ラッチシーケンスが終了したことを知らせる信号FENDを、チップ内部で発生させるようにした。この信号FENDは、第5の実施形態では、ヒューズセルデータラッチトリガ回路108’により出力される。
図25は第5の実施形態に係るヒューズセルデータラッチトリガ回路108’の一回路例を示す回路図である。図26は第5の実施形態に係るデータ読み出し/ラッチシーケンスを示す動作波形図である。
図25、図26に示すように、信号FREADが“L”レベルになった後、遅延回路301により設定された遅延時間を経過した後、信号FENDが“H”レベルとなる。信号FENDは、遅延回路302により設定された遅延時間の間、“H”レベルを持続する。
図27(A)は第5の実施形態に係るフラッシュEEPROMが回路基板上に配置された状態を示す図である。
図27(A)に示すように、第5の実施形態は、内部チップイネーブル信号出力回路112を有している。内部チップイネーブル信号出力回路112は外部から与えられるチップイネーブル信号 /CE( /CE1〜 /CEn)と、内部で発生される信号FENDとにより、内部チップイネーブル信号 /CEINTを生成する。
図27(B)は内部チップイネーブル信号出力回路112の一回路例を示す回路図である。
図27(B)に示すように、内部チップイネーブル信号出力回路112は、検知信号PONRSTによりリセットされ、信号FENDによりセットされるフリップフロップ303を有している。
内部チップイネーブル信号 /CEINTは、フリップフロップ303の出力とチップイネーブル信号 /CEとの論理和により生成される。
このような第5の実施形態に係るフラッシュEEPROMによれば、ROMのデータ読み出し/ラッチシーケンスの間、外界からのチップアクセス要求に対して、ディセーブル状態が保たれる。そして、このディセーブル状態は、上記シーケンスの終了後に解除されるようになる。
第5の実施形態では、特にチップイネーブル信号 /CEが入力されても、内部チップイネーブル信号 /CEINTが出力されるまでは、スタンドバイ状態となるようにしている。そして、信号FENDが出力され、ROMのデータ読み出し/ラッチシーケンスが終了が示された後、チップ選択状態に入る。
このような工夫により、ROMのデータ読み出し/ラッチシーケンスの間に、チップイネーブル信号 /CEが入力されても、装置が誤動作するような事情を、解消できる。
[第6の実施形態]
第6の実施形態は、パワーオン後、ヒューズセルデータラッチトリガ回路108をリセットするものである。
図28は第6の実施形態に係るヒューズセルデータラッチトリガ回路108”の一回路例を示す回路図である。
図28に示すように、ヒューズセルデータラッチトリガ回路108”は、信号FREADの実質的な出力ノード401、および信号FENDの実質的な出力ノード402、および遅延回路207をそれぞれ、検知信号PONRST、あるいは信号BGRONRSTを使用してリセットするNチャネル型MOSトランジスタN4を有している。
このようにヒューズセルデータラッチトリガ回路108”は、検知信号PONRST、あるいは信号BGRONRSTを使用して、リセットされるように構成されても良い。
[第7の実施形態]
第7の実施形態はヒューズセル110をチップ上に設けるときの工夫に関している。
ヒューズセル110を構成するメモリセルMCは、データFUSEBIT1つにつき、1つでよい。そのため、ワード線は一本でよい。つまりワード線と、このワード線に交差する複数のビット線とを形成し、ワード線と複数のビット線との各電気的交点に、フローティングゲートFGを有する複数のメモリセルMCを一列形成すればよい。
しかし、メモリセルMCのワード線(制御ゲート)を一本だけ、チップ上に形成することは、微細化が進んだ今日では、非常に難しい技術となっている。
即ちレジストパターニングによってワード線を形成する技術では、微細なワード線を一本だけ孤立させるようなパターンの再現性が著しく悪くなってきているのである。ワード線を設計通りのサイズで基板上に再現できないと、メモリセルMCの特性が設計値から大きくはずれてしまうことがあり、正しいデータを書き込み/読み出しすることができなくなる。これは、ヒューズセル110の信頼性を悪くする。
第7の実施形態の目的はヒューズセル110を微細化しても、ヒューズセル110の信頼性を悪化させないことである。
このために、第7の実施形態では、ヒューズセル110が並べられるアレイ(以下ヒューズセルアレイという)にダミーパターンを設け、ヒューズセル110が並ぶ正規のパターンを、ダミーパターンにより挟むようにした。
図29は第7の実施形態に係るヒューズセルアレイのパターン平面図、図30は、その等価回路図である。
図29、図30に示すように、ヒューズセルアレイ114には、複数のワード線WLと、これらワード線WLに交差する複数のビット線FUSEBITとが形成される。メモリセルMCは複数のワード線WLと複数のビット線FUSEBITとの各電気的交点に形成され、ヒューズセルアレイ114にマトリクス状に配置される。
第7の実施形態に係るヒューズセルアレイ114には、6本のワード線WL1〜WL6が形成されている。これらのワード線WL1〜WL6のうち、ほぼセンターに配置されるワード線WL4が、正規のメモリセルMCのワード線になる。正規のメモリセルMCのワード線WL4には信号FSWLが供給される。他のワード線WL1〜WL3、WL5、WL6は全て、ダミーパターンワード線DPWL(DPWL1〜DPWL3、DPWL5、DPWL6)である。ダミーパターンワード線DPWLは例えば常に接地される。
メモリセルMCのソース線SLは、ワード線WLをマスクに用いたセルフアラインソース技術(SAS TEC.)を使用して形成される。
第7の実施形態に係るヒューズセルアレイ114には、3本のソース線SLが形成されている。3本のソース線SLのうち、センターのソース線SLが、正規のメモリセルMCのソース線になる。正規のメモリセルMCのソース線SLには信号FSVSが供給される。信号FSVSは書き込み/読み出し/消去の各動作モードに応じてその電圧が変化される。他のソース線は全て、ダミーパターンソース線DPSLであり、例えばフローティングにされる。
ビット線FUSEBITに沿って並んだメモリセルMC1〜MC6のうち、MC4が正規のメモリセルMCである。他のメモリセルMC1〜MC3、MC5、MC6は全て、ダミーパターンメモリセルDPMC(DPMC1〜DPMC3、DPMC5、DPMC6)である。正規のメモリセルMC4はヒューズビットコンタクト501を介してビット線FUSEBITに電気的に接続される。
第7の実施形態に係るヒューズセルアレイ114では、ヒューズビットコンタクト501は隣接するメモリセルMCどうしで共有される。正規のメモリセルMC4は、ヒューズビットコンタクト501をダミーパターンメモリセルDPMC5と共有するが、ダミーパターンメモリセルDPMC5のワード線DPWL5は常に接地されるので、ダミーパターンメモリセルDPMC5が選択されることはない。
各ビット線FUSEBIT1〜FUSEBIT8の一端はラッチ回路111に接続され、その他端はヒューズセルデータプログラム回路115に接続されている。ヒューズセルデータプログラム回路115はメモリセルMCにデータを書き込む時に使用される回路である。
このようにヒューズセルアレイ114にダミーパターンを設け、特に正規のワード線WLをダミーパターンワード線DPWLにより挟む。これにより、本来孤立パターンとなるべき正規のワード線WLであっても、基板上には設計されたサイズの通りに忠実に再現することができる。これにより、正規のメモリセルMCの特性が設計値から大きくはずれる事情も解消され、正しいデータを書き込み/読み出すことができ、ヒューズセル110の信頼性が向上する。
[第8の実施形態]
この第8の実施形態は、ヒューズセル110に記憶させるデータの種類に関する。
ヒューズセル110に記憶させるデータの種類としては、第1の実施形態でも述べた通り様々なケースが想定されるが、代表的なケースを再度列記すれば、
(a)リダンダンシの不良アドレスおよびスペアデコーダを活性/非活性にするリダンダンシデータ、
(b)書き込み/消去禁止ブロックのアドレスを示すデータ、
(c)入/出力データのビット数を決めるビット構成設定データ、
(d)パッケージに対応したパッド位置の切り替えデータ、
(e)データ消去のブロックサイズを決めるTOP BOOT/BOTTOM BOOTの切り替えデータ、
(f)チップのテストに使用されていた例えばビルトインテスト回路に代表される内部テスト回路を不活性(使用禁止)にするデータ、
などが考えられる。
ヒューズセル110には、これらのようなチップの動作/機能設定情報が記憶され、チップの動作/機能は、これらの動作/機能設定情報にしたがって設定される。
図31は第8の実施形態に係るヒューズセルアレイの等価回路図である。
従来の概念では、上記のデータ(a)〜(f)はメーカにより設定するものである。このために、上記のデータ(a)〜(f)はヒューズ、ボンディングオプションなど、書き換え不可能なROMにより記憶される。
ところで第1〜第7の実施形態により説明したフラッシュEEPROMでは、本体のメモリセルに書き換え可能なROMを使用する。このため、ヒューズセル110のメモリセルMCも書き換え可能なROMにできる。これにより、データの書き換えが可能となる。
図31に示すように、第8の実施形態では、上記データ(a)〜(f)の書き換えを可能にするために、メモリセルMCのビット線FUSEBITにヒューズセルデータプログラム/イレーズ回路115’を接続している。
このような第8の実施形態によれば、上記データ(a)〜(f)のうち、例えば
(b)書き込み/消去禁止ブロックのアドレスを示すデータ、
(c)入/出力データのビット数を決めるビット構成の設定データ、
(e)データ消去のブロックサイズを決めるTOP BOOT/BOTTOM BOOTの切り替えデータ、
などを、メーカ側だけでなく必要に応じてユーザ側でも切り変えることができる。これらのデータ(b)、(c)、(e)等をユーザ側で好みに応じて切り換えることを可能にすることで、ユーザに便利な製品を提供できる。
[第9の実施形態]
第9の実施形態は、チップ上へのヒューズセルアレイ114の配置の工夫に関している。
図32は、第9の実施形態に係るフラッシュEEPROMの一構成例を示すブロック図である。
図32に示すように、ヒューズセル110は、いくつかを一つのヒューズセルアレイ114にまとめ、チップ上の、ある箇所に集中させて配置されるのが良い。
このように、ヒューズセル110を一つのヒューズセルアレイ114にまとめ、集中的に配置することにより、チップ上に効率良く配置することができ、特にチップの面積の増加を抑制することができる。
第9の実施形態では、ヒューズセルアレイ114は、ヒューズセルデータラッチ回路111の近傍に配置されている。
[第10の実施形態]
第10の実施形態は、ヒューズセルアレイ114に形成されるワード線WLの形成方向の工夫に関している。
図33は、第10の実施形態に係るフラッシュEEPROMのヒューズセルアレイと、本体メモリセルアレイとの関係を示す図である。
図33に示すように、1つのチップ601には、ヒューズセルアレイ114と、本体のメモリセルアレイ11とがそれぞれ形成されている。ヒューズセルアレイ114および本体のメモリセルアレイ11にはそれぞれ、複数のワード線WLと、これら複数のワード線WLに交差する図示せぬ複数のビット線とが形成される。複数のワード線WLと複数のビット線との各電気的交点には、フローティングゲートFGを有する複数のメモリセルが形成される。
このようなヒューズセルアレイ114および本体のメモリセルアレイ11において、ヒューズセルアレイ114に形成されるワード線WLの方向は、本体メモリセルアレイ11に形成されるワード線WLの方向と一致させることが好ましい。
ワード線WLの方向が互いに一致していないと、ヒューズセルアレイ114に形成されるメモリセルの特性と、本体メモリセルアレイ11に形成されるメモリセルの特性とが、プロセス上の事情により、大きく異なってしまう可能性があるためである。特性が大きく異なってしまうと、同じ昇圧電圧VDDRを使用しての、信頼性の高いデータ読み出しが難しくなる。
プロセス上の事情とは、例えば“シャドー効果”である。メモリセルのソース/ドレイン領域は、半導体のドナー/アクセプタとなる不純物を、ワード線WLをマスクに用いてイオン注入する技術により形成される。そして、これらのイオンは、シリコンウェーハのような半導体基板に対して、所定の角度、傾けて注入されることが一般的である。このような注入では、例えばソース/ドレイン領域に注入される不純物が、ワード線WLによって遮られ、ソース/ドレイン領域に濃度差を発生させる。これが、いわゆる“シャドー効果”である。ソース/ドレイン領域の濃度差は、メモリセルの特性を左右する。
このような事情を、第10の実施形態では、ヒューズセルアレイ114に形成されるワード線WLの方向を、本体のメモリセルアレイ11に形成されるワード線WLの方向に一致させることにより、解消する。
つまりヒューズセルアレイ114と本体のメモリセルアレイ11とで、互いにワード線WLの形成方向を一致させることにより、ヒューズセルアレイ114に形成されるメモリセルの例えばソース/ドレイン領域、および本体メモリセルアレイ11のメモリセル例えばソース/ドレイン領域とが、全く同じ条件で形成できる。これにより、双方のメモリセルの特性を揃えやすくなる。
ヒューズセルアレイ114および本体メモリセルアレイ11それぞれに形成されるメモリセルの特性を揃えることは、ヒューズセルアレイ114および本体メモリセルアレイ11それぞれから、例えば同じ昇圧電圧VDDRを使用して、データを読み出すとき、信頼性の高いデータ読み出しを可能にする、という効果がある。
さらに、ヒューズセルアレイ114および本体メモリセルアレイ11それぞれから、例えば同じ昇圧電圧VDDRを使用してデータを読み出すことは、昇圧電圧VDDRを発生させる発生装置、第1〜第9の実施形態では、リングオシレータ104、チャージポンプ回路105、およびVDDRレベル検知回路106等により構成される回路部分を、ヒューズセルアレイ114と、本体メモリセルアレイ11とで共有することを可能にする。
昇圧電圧VDDRを発生させる回路部分を、ヒューズセルアレイ114と、本体メモリセルアレイ11とで共有することは、チップ面積の増加を抑制する効果がある。特にチャージポンプ回路105に含まれるキャパシタは大きな面積が必要である。このようなチャージポンプ回路105を含む回路、即ち昇圧回路81をヒューズセルアレイ114と、本体メモリセルアレイ11とで共有することは、チップ面積の増加を抑制する効果を各段に高める。
11…メモリセルアレイ、12…アドレスバッファ、13…ロウデコーダ、14…カラムデコーダ、15…ソースデコーダ、16…モード信号発生回路、17…I/O制御回路、18…カラムセレクタ、19…書き込み回路、20…センスアンプ、21…I/Oバッファ、22…コマンド/ユーザインターフェース回路、23…内部制御回路、24…内部電源/昇圧回路、31…不揮発性トランジスタ、34…負荷、37…トランスミッションゲート、40…ラッチ回路、80…内部電源電圧発生回路、81…内部電源電圧昇圧回路、82…コントローラ、83…昇圧電圧検知回路、84…タイミング調整回路、85…ラッチ(フリップフロップ)、101…パワーオンリセット回路、102…レファレンス電圧発生回路、103…タイミング調整回路、104…リングオシレータ、105…チャージポンプ回路、106…VDDRレベル検知回路、107…ラッチ回路、108…ヒューズセルデータラッチトリガ回路、109…ヒューズセル制御回路、110…ヒューズセル、111…ヒューズセルデータラッチ回路、112…内部チップイネーブル信号出力回路、114…ヒューズセルアレイ、115…ヒューズセルデータ書き込み回路、115’…ヒューズセルデータ書き込み/消去回路、201…ローパスフィルタ、202…カレントミラー回路、203…ファーストステージ、204…遅延回路、205、206…インバータ、207…遅延回路、301、302…遅延回路、303…フリップフロップ、601…チップ。