JP4301551B2 - 基板処理システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体などの基板に対して膜形成などの処理を行う基板処理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体などの基板を処理する分野では、例えば化学気相成長(CVD)処理によって、多数の基板に膜を形成する縦型CVD装置などが知られている。
特許文献1は、基板に対して処理を行う際の温度制御方法を開示する。
また、特許文献1に開示された温度制御方法においては、温度制御量と温度検出値・目標値の偏差などとの関係を示す数値が行列の形式で用いられており、この行列は、特許文献1において「干渉行列」と呼ばれている。
しかしながら、基板処理システムにおいて、所望の処理結果を得るための処理条件を決定する際に、長時間を要することがある。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−183072号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術をふまえてさなれたものであり、所望の処理結果を容易に予測することができる基板処理システムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
[基板処理システム]
上記目的を達成するために、本発明にかかる基板処理システムは、処理条件を示す設定値に基づいて、反応室内にて複数の基板に対し所定の処理を行う基板処理装置と、前記設定値に基づいて、該反応室内のガスの流れの中心におけるガス濃度に対する前記反応室の内面及び基板の表面付近のガス濃度比を算出する接点データ算出部と、前記接点データ算出部の算出結果及び前記設定値に基づいて、前記反応室内にある膜厚分布の算出対象となる基板に対応する前記反応室と前記複数の基板の列との間の流路におけるガスの流れ方向座標の値に対し、前記反応室内の1つのガスの濃度を算出する流れ方向計算モジュールと、前記流れ方向計算モジュールの算出結果に基づき、前記反応室内にある膜厚分布の算出対象となる前記基板の半径方向座標の値に対し、1つのガスの濃度を算出する基板面内計算モジュールと、該基板面内計算モジュールから受入れた濃度を濃度分布記憶部に対して出力すると共に、前記反応室内に供給されるガスの濃度が前記流路におけるガスの流れ方向において収束したか否かを判定する濃度収束判定部と、前記濃度収束判定部にて前記収束したと判断された前記基板面内計算モジュールによって算出された前記基板の半径方向座標の値に対する1つのガスの濃度に対応する成膜速度を算出する成膜速度算出部と、該成膜速度算出部が算出した成膜速度に応じて、前記基板の面内の膜厚分布を算出する面内分布算出部と、を有し、前記基板処理装置が前記基板に対して処理した結果を前記面内分布算出部が算出した基板の面内の膜厚分布に基づいて予測する処理結果予測手段と、を有する。
【0006】
【発明の実施の形態】
[本発明の背景]
本発明の理解を容易にするために、まず、本発明がなされるに至った背景を説明する。
例えば、縦型CVD装置は、反応室内の圧力、膜の材料となるガスの流量の設定値、および、複数のヒータそれぞれの温度設定値の調節などにより、基板に所望の厚さの膜を形成し、複数の基板それぞれに形成される膜の厚さを均一にするように構成されている。
従って、この種の装置においては、膜厚などを設定するたびに、圧力・ガス流量およびヒータ温度の設定値の変更が必要となるが、これらの設定値は、従来、それまでのCVD処理により得られたデータに基づいて求められたり、技術者の経験に基づいて求められたり、実際に種々の条件下で基板に膜を形成する実験により求められたりしてきた。
【0007】
また、基板の膜厚は、1つの基板の面内においても均一であることが好ましい。
従って、基板の面内の膜厚についても、設定値がそれまでのCVD処理により得られたデータに基づいて求められたり、技術者の経験に基づいて求められたり、実際に種々の条件下で基板に膜を形成する実験により求められたりしてきた。
【0008】
しかしながら、上述の設定値を、それまでのデータあるいは技術者の経験に基づいて求めると、設定値を適切な値にすることに要する時間が長くなることがある。
このように、実験により設定値を求めようとすると、実験のために大量の基板が必要になり、実験に使われた基板の大部分は、製品の製造に使用できないので、無駄になってしまう。
【0009】
また、基板の面内の膜厚を実験の解析結果から算出する場合には、二次元または三次元の解析が必要になり、解析結果から処理条件(設定値)を算出することが複雑になることがある。
例えば、縦型CVD装置において、複数の基板に成膜処理をする場合には、複数の基板ごとの膜厚(面間の膜厚)および基板の面内の膜厚を所望の厚さにするための処理条件を算出することに、数日〜数週間の時間を要することがある。
【0010】
一方、上述の干渉行列は、温度制御量と、温度検出値・目標値の偏差などとの間の関係を示すためだけでなく、複数のヒータの温度と、基板それぞれに形成された膜の厚さとの関係を表すためにも応用することができる。
また、例えば縦型CVD装置において基板に形成される膜厚は、後述するダミー基板の枚数、ガスの流量および圧力によって変化する。
本発明は、これらの点に着目してなされたものであって、反応室内をモデル化し、基板に形成される膜厚を予測して、ダミー基板の枚数、ガスの流量および圧力またはこれらのいずれかを変化させることにより、経験などに頼らず、面間の膜厚および面内の膜厚が所望の範囲内になるように処理条件を、正確に、しかも短時間に求めることができるように構成されている。
【0011】
[実施形態]
以下、本発明の実施形態を、詳細に説明する。
図1は、本発明にかかる基板処理システム1の構成を示す図である。
図1に示すように、基板処理システム1は、演算処理装置3、基板処理装置4、膜形成制御装置22、膜厚測定装置26および係数・設定値DB(データベース)28から構成される。
基板処理システム1は、これらの構成要素により、基板処理装置4に対する温度および反応室内の圧力、および、反応室内に導入されるガスの流量の設定値を算出し、算出した値と処理におけるその他のパラメータなどとを基板処理装置4に設定して、ボート404に設けられた複数のスロットに載置された基板180(図4;枚数は任意)に対して、化学気相形成(CVD)による膜形成処理を行う。
なお、演算処理装置3、膜形成制御装置22、膜厚測定装置26、係数・設定値DB28および膜形成済基板182は、基板処理装置4に組み込まれるように構成されてもよい。
【0012】
[ハードウェア構成]
図2は、図1に示した演算処理装置3、膜形成制御装置22および係数・設定値DB28のハードウェア構成を示す図である。
図2に示すように、演算処理装置3は、CPU102およびメモリ104などを含むコンピュータ本体10、通信IF12、記憶装置14および表示・入力装置16から構成される。
つまり、演算処理装置3は、一般的なコンピュータとしての構成部分を含んでおり、一体化されてもよい。
なお、演算処理装置3と膜形成制御装置22および係数・設定値DB28とは、規模・性能および付加装置などが異なる他は、基本的に同じハードウェア構成を採る。
また、基板処理装置4および膜厚測定装置26の制御装置(図示せず)も、演算処理装置3と同様な構成を採る。
【0013】
図3は、図1に示した基板処理装置4の構成を例示する図である。
図4は、図3に示したボート404、および、ボート404に基板180を収容した状態の反応室40の断面を例示する図である。
図3に示すように、基板処理装置4は、カセット授受ユニット480、カセット授受ユニット480の背面側に設けられたカセットストッカ482、カセットストッカ482の上方に設けられたバッファカセットストッカ484、カセットストッカ482の背面側に設けられた基板移動機486、基板移動機486の背面側に設けられ、基板180がセットされたボート404を搬送するボートエレベータ488、および、基板移動機486の上方に設けられた反応室40から構成される。
【0014】
図4に示すように、図3に示した反応室40は、中空のヒータ42、石英製のアウタチューブ448、石英製のインナチューブ450、ガス導入ノズル440、円筒フランジ442、炉口蓋444、排気管446、および、図5を参照して後述するガス流量調整器410など、その他の構成部分から構成される。
ヒータ42は、それぞれに対する温度の設定および調節が可能な5つの温度調節部分(U,CU,CC,CL,L)402−1〜402−5を含む。
ヒータ42の温度調整部分402−1〜402−5は、例えば、1つの連続したヒータ42の巻線から、複数のタップを引き出すことにより、あるいは、それぞれ独立した巻線を有する5個のヒータを設けることにより実現される。
アウタチューブ448とインナチューブ450とは、ヒータ42と同心に設けられ、これらの間には、閉塞された筒状空間452が形成される。
【0015】
ボート404のスロットは、製品となるプロダクト用の基板180が載置される範囲に対し、下方から順にスロット番号が付されている。
例えば、100枚のプロダクト用の基板180がボート404に載置されている場合、最も下方に載置されている基板180をスロット番号1の位置の基板180と示し、最も上方に載置されている基板180をスロット番号100の位置の基板180と示す。
【0016】
[基板処理装置4による膜形成]
基板処理装置4は、例えば、いわゆる縦型CVD装置であって、これらの構成部分により、反応室40内に所定の間隔で並べられた基板180に対して、CVDにより、Si膜、SiO膜およびポリシリコン(Poly−Si)膜などの形成を行う。
【0017】
基板処理装置4による膜形成をさらに説明する。
円筒フランジ442は、排気管446などを保持する。
インナチューブ450には、石英製のボート404が挿入され、ボート404は、下方に複数の遮熱板406が設けられ、炉口蓋444に立設される。
炉口蓋444は、ボートエレベータ488(図3)に設けられ、円筒フランジ442の下端を閉塞する。
【0018】
被処理物の基板180は、基板カセット490(図3)に装填された状態で搬送され、カセット授受ユニット480(図3)に授載される。
カセット授受ユニット480(図3)は、この基板180を、カセットストッカ482またはバッファカセットストッカ484に移載する。
基板移動機486は、カセットストッカ482から基板180を取り出し、ボート404に水平な状態で多段に装填する。
【0019】
ボートエレベータ488(図3)は、基板180が装填されたボート404を反応室40内に導く。
ヒータ42の5つの温度調節部分(U,CU,CC,CL,L)402−1〜402−5それぞれは、設定に従ってアウタチューブ448の内部を加熱する。
ガス導入ノズル440(図4)は、反応ガスをアウタチューブ448の下方より導入する。
導入された反応ガスは、インナチューブ450内部を上昇し、その上部で折り返されて降下し、排気管446から排出される。
【0020】
このように、反応室40において、高温下で基板180が反応ガスに接触し、膜形成などの処理がなされる。
膜形成が終わると、ボート404が反応室40から引き出され、基板移動機486により、ボート404にセットされた基板180が、基板カセット490に移載され、膜形成済基板182(図1)として、外部搬送装置により搬出される。
【0021】
[膜形成制御装置22]
図5は、図1に示した膜形成制御装置22の構成と、膜形成制御装置22と基板処理装置4(図1,図3)との関係を模式的に示す図である。
なお、図5は上述の事項を模式的に示すので、図5における反応室40の各構成部分の形状は、図3,図4とは必ずしも一致しない。
図5に示すように、図3,図4に示した反応室40は、温度センサ408−1〜408−5、ガス流量調整器410、流量センサ412、圧力調整装置420および圧力センサ422をさらに含んでいる。
反応室40の温度センサ408−1〜408−5それぞれは、ヒータ42の温度調整部分402−1〜402−5(図4,図5)それぞれに配設され、温度を検出する。
【0022】
ガス流量調整器410(図5)は、ガス導入ノズル440(図4)を介してインナチューブ450(図4)内に導かれるガスの流量を調節する。
流量センサ412は、ガス導入ノズル440を介してインナチューブ450内に供給されるガスの流量を検出する。
【0023】
圧力調整装置420は、インナチューブ450内の圧力を調整する。
圧力センサ422は、インナチューブ450内の圧力を検出する。
【0024】
また、図5に示すように、膜形成制御装置22は、温度制御装置220、5個のヒータ駆動装置222−1〜222−5、流量制御装置224および圧力制御装置226から構成される。
膜形成制御装置22は、これらの構成部分により、演算処理装置3から設定された温度、圧力・流量および処理におけるその他のパラメータの設定値に基づいて基板処理装置4の各構成部分を制御する。
【0025】
温度制御装置220は、温度センサ408−1〜408−5それぞれにより検出される温度調整部分402−1〜402−5それぞれの温度が、演算処理装置3により温度調整部分402−1〜402−5それぞれに対して設定された温度になるように、ヒータ駆動装置222−1〜222−5それぞれが温度調整部分402−1〜402−5それぞれに供給する電力を制御する。
【0026】
流量制御装置224は、流量センサ412が検出するガスの流量の値が、演算処理装置3により設定されるガス流量の値に等しくなるように、ガス流量調整器410を制御して、反応室40のインナチューブ450内に導入されるガスの流量を制御する。
圧力制御装置226は、圧力センサ422が検出するインナチューブ450内の圧力が、演算処理装置3により設定される圧力の値に等しくなるように、圧力調整装置420を制御して、反応室40のインナチューブ450内の圧力を制御する。
【0027】
[膜厚測定装置26・係数・設定値DB28]
膜厚測定装置26は、基板処理装置4による膜形成処理が済んだ複数の膜形成済基板182(図1)の内、例えば、図4に示したように、反応室40内において等間隔な位置に配置された4枚のモニタ基板W1〜W4に形成された膜の厚さを測定し、測定結果を演算処理装置3に対して出力する。
このように、モニタ基板W1〜W4は、製品となるプロダクト用の基板と同一の基板180が使用されており、反応室40内の所定の位置における膜形成の状況をモニタするために用いられる。
係数・設定値DB28(図1)は、後述するように、演算処理装置3が算出した係数(干渉行列を含む)および膜形成制御装置22に対する温度、圧力・流量および処理におけるその他のパラメータなどの設定値を記憶し、管理する。
【0028】
[ソフトウェア構成]
演算処理装置3には、複数の基板180ごとの膜厚を均一化(面間膜厚均一化)するための設定温度を算出する設定温度算出プログラム5と、1つの基板180内における膜厚分布(面内膜厚分布)を算出する膜厚分布算出プログラム6とが含まれている。
演算処理装置3は、例えば設定温度算出プログラム5によって面間膜厚を均一化するための設定温度を算出し、算出された設定温度に基づいて膜厚分布算出プログラム6を実行し、面内膜厚分布を算出する。
【0029】
[設定温度算出プログラム5]
図6は、設定温度算出プログラム5の構成を示す図である。
図6に示すように、設定温度算出プログラム5は、干渉行列・係数算出部500、膜厚算出部502、設定値算出部504、ユーザインターフェース(UI)部510、干渉行列・係数DB520および設定値DB522から構成される。
【0030】
設定温度算出プログラム5は、記録媒体140(図2)などを介して演算処理装置3に供給され、メモリ104にロードされて実行される。
設定温度算出プログラム5は、これらの構成部分により、干渉行列M(図9を参照して後述)などを利用して、基板処理システム1において処理される複数の基板180ごとの膜厚(面間膜厚)を均一化するために、温度調整部分402−1〜402−5それぞれに対する設定温度を算出する。
【0031】
ユーザインターフェース部510は、演算処理装置3の表示・入力装置16(図2)から入力される基板処理システム1のユーザによる所望の膜厚の設定値などを、設定値算出部504などに対して出力する。
【0032】
[干渉行列・係数算出部500]
干渉行列・係数算出部500は、温度調整部分402−1〜402−5それぞれの温度変化(ΔT)と、モニタ基板W1〜W4それぞれに形成される膜厚の変化(ΔFT)との関係を、実測値に基づいて行列形式で示す熱干渉行列Mを算出する。
【0033】
熱干渉行列Mの具体的な求め方を、図7〜図9に示す具体例を参照してさらに説明する。
図7〜図9はそれぞれ、図6に示した干渉行列・係数算出部500の処理を示す第1〜第3の図表である。
なお、図7〜図9に示した数値は、干渉行列・係数算出部500の処理を説明するための単なる例示であって、具体的な計算結果に基づいたものではない。
【0034】
干渉行列・係数算出部500は、ガスの圧力・流量を一定に保った状態で、温度調整部分402−1〜402−5の全ての温度を例えば760°Cと設定し、一定時間、基板180(図3)に対して膜形成処理を行って、膜形成済基板182(図1)を作成する。
さらに、干渉行列・係数算出部500は、膜形成済基板182の内のモニタ基板W1〜W4それぞれに形成された膜の厚さFT1〜FT4を、膜厚測定装置26により測定する。
この結果として、干渉行列・係数算出部500は、例えば、図7中に「FLAT」として示すように、モニタ基板W1〜W4それぞれの膜厚FT1〜FT4を、100,110,120,130(例えば、単位はnm)と得たとする。
【0035】
また、同様に、干渉行列・係数算出部500は、温度以外の条件を一定に保った状態で、温度調整部分402−1の温度のみを10°C上げて770°Cとし、他の温度調整部分402−2〜402−5の全ての温度を760°Cと設定して膜形成処理を行って、膜形成済基板182の内のモニタ基板W1〜W4それぞれに形成された膜の厚さFT1〜FT4を、膜厚測定装置26により測定する。
この結果として、干渉行列・係数算出部500は、例えば、図7中に「U」として示すように100,100,120,140の値を得たとする。
【0036】
また、同様に、干渉行列・係数算出部500は、温度以外の条件を一定に保った状態で、温度調整部分402−2の温度のみを10°C上げて770°Cとし、他の温度調整部分402−1,402−3〜402−5の全ての温度を760°Cと設定して膜形成処理を行って、膜形成済基板182の内のモニタ基板W1〜W4それぞれに形成された膜の厚さFT1〜FT4を、膜厚測定装置26により測定する。
この結果として、干渉行列・係数算出部500は、例えば、図7中に「CU」として示すように100,110,130,140の値を得たとする。
【0037】
また、同様に、干渉行列・係数算出部500は、温度以外の条件を一定に保った状態で、温度調整部分402−3の温度のみを10°C上げて770°Cとし、他の温度調整部分402−1,402−2,402−4,402−5の全ての温度を760°Cと設定して膜形成処理を行って、膜形成済基板182の内のモニタ基板W1〜W4それぞれに形成された膜の厚さFT1〜FT4を、膜厚測定装置26により測定する。
この計算結果として、干渉行列・係数算出部500は、例えば、図7中に「CC」として示すように110,120,120,130の値を得たとする。
【0038】
また、同様に、干渉行列・係数算出部500は、温度以外の条件を一定に保った状態で、温度調整部分402−4の温度のみを10°C上げて770°Cとし、他の温度調整部分402−1〜402−3,402−5の全ての温度を760°Cと設定して膜形成処理を行って、膜形成済基板182の内のモニタ基板W1〜W4それぞれに形成された膜の厚さFT1〜FT4を、膜厚測定装置26により測定する。
この結果として、干渉行列・係数算出部500は、例えば、図7中「CL」として示すように110,110,120,130の値を得たとする。
【0039】
また、同様に、干渉行列・係数算出部500は、温度以外の条件を一定に保った状態で、温度調整部分402−5の温度のみを10°C上げて770°Cとし、他の温度調整部分402−1〜402−4の全ての温度を760°Cと設定して膜形成処理を行って、膜形成済基板182の内のモニタ基板W1〜W4それぞれに形成された膜の厚さFT1〜FT4を、膜厚測定装置26により測定する。この結果として、干渉行列・係数算出部500は、例えば、図7中「L」として示すように100,120,100,120の値を得たとする。
【0040】
これら、温度調整部分402−1〜402−5のいずれかの温度を変化させて得られた膜厚(U,CU,CC,CL,L)から、温度調整部分402−1〜402−5の温度を一定にして得られた膜厚(FLAT)を減算すると、図8に示すような結果が得られる。
これらの減算結果は、温度調整部分402−1〜402−5それぞれの温度を10°C上げて得られた膜厚の変化であるから、図9に示すように、これらの減算結果を10で除算して得られる商は、温度調整部分402−1〜402−5それぞれの温度が1°C上がった時に、モニタ基板W1〜W4それぞれに形成される膜の厚さが、どれだけ変化するかを示している。
このような関係を、図9に示したように行列形式で取り扱ったものが熱干渉行列Mである。
【0041】
以上のように干渉行列・係数算出部500により算出された熱干渉行列Mは、干渉行列・係数DB520または係数・設定値DB28(図1)に記憶され、管理される。
なお、この熱干渉行列Mを用いた温度制御方法は、本願出願人による特願2001−272218号にも詳述されている。
【0042】
[膜厚算出部502]
温度調整部分402−1〜402−5それぞれの温度T1〜T5と、反応室40のインナチューブ450(図4)に導入される反応ガスの流量S、および、インナチューブ450内の圧力Pと、モニタ基板W1〜W4それぞれに、一定の時間当たりに形成される膜厚FTとの関係は、実験あるいはシュミレーションにより求めることができる。
このようにして求められた膜厚FTと、温度T、圧力Pおよびガス流量Sとの関係は、例えば、反応モデル解析式である式1のように表される。
膜厚算出部502(図6)は、下式1を用いて、設定値算出部504から与えられた条件において、モニタ基板W1〜W4それぞれに形成される膜の厚さ(FT)を算出し、設定値算出部504に対して出力する。
【0043】
【数1】
Figure 0004301551
【0044】
[設定値算出部504の温度設定値算出(S210;図15)]
設定値算出部504は、モニタ基板W1〜W4に形成される膜の厚さを、ユーザインターフェース部510などを介してユーザにより入力される所望の厚さとするために、温度調整部分402−1〜402−5の温度を何度にすればよいか、つまり、温度調整部分402−1〜402−5に対する温度の設定値を算出する。
図7を参照して説明したように、モニタ基板W1〜W4それぞれの膜厚を制御するためには、温度調整部分402−1〜402−5の温度を変化させればよく、温度調整部分402−1〜402−5の温度の変化と、モニタ基板W1〜W4それぞれの膜厚の変化との関係は、熱干渉行列Mで示される通りである。
なお、後で、図15を参照してさらに説明するので、この部分の設定値算出部504の各処理に(S210;図15)」と記載することにより、図15に示した各処理との対応を明らかにしてある。
【0045】
上式1により得られるモニタ基板W1〜W4の膜厚と、所望の膜厚との差を、膜厚差ΔFT1〜ΔFT4と表すと、下式2を解くことにより、この膜厚差ΔFT1〜ΔFT4を与える温度調整部分402−1〜402−5の温度変化ΔT1〜ΔT5を算出することができる。
ここで、図7〜図9に示した例に倣うと、ΔT1=T1−760°C,ΔT2=T2−760°C,・・・,ΔT5=T5−760°Cであり、T1〜T5は、温度調整部分402−1〜402−5の温度設定値である。
【0046】
【数2】
Figure 0004301551
【0047】
図10は、図6に示した設定値算出部504および膜厚算出部502による温度調整部分402−1〜402−5(図4,図5)に対する温度設定値の算出方法を、温度調整部分402−1およびモニタ基板W1がそれぞれ1つだけである場合について、模式的に示す図である。
図11は、図6に示した膜厚算出部502が、初期に算出するモニタ基板W1〜W4の膜厚Wc1〜Wc4を例示する図である。
図12は、図6に示した膜厚算出部502が、最終的に算出するモニタ基板W1〜W4の膜厚Wc1〜Wc4を例示する図である。
【0048】
なお、実際には、図10に例示するように、設定値算出部504は、処理の初期には図11に例示するような値を採るモニタ基板W1〜W4の膜厚の計算値Wc1〜Wc4が、徐々に、所望の値に近づいてゆくように、温度調整部分402−1〜402−5の温度設定値を少しずつ、繰り返し変更し(図10に示すa→b,c→d,e→f,・・・・→n)、温度設定値を変更するたびに、膜厚算出部502に膜厚の計算を行わせる(図10に示すb→c,d→e,f→・・・・→n)。
【0049】
以上述べたように、設定値算出部504は、モニタ基板W1〜W4の膜厚の計算値Wc1〜Wc4が、図12に例示するような所望の値(目標範囲内)となるまで、膜厚算出部502による膜厚の計算と温度設定値の変更とを繰り返し、最終的に、適切な温度設定値を算出する(図10における実線上nを付して示す設定値)。
モニタ基板W1〜W4の膜厚の目標範囲は、例えば500±5nmなどである。
このように、膜厚算出部502および設定値算出部504による処理を繰り返すことにより、多数、存在するヒータ42の温度調整部分402−1〜402−5(図4,図5)に対する温度設定の組み合わせの中から、最適な組み合わせを、少ない時間で見つけることができる。
【0050】
[設定値算出部504の補正処理(S230,S250,S258,S260;図15)]
図13は、モニタ基板W1〜W4に形成される膜の厚さの計算値と、実際に形成された膜の厚さとが異なってしまう場合を例示する図である。
以上のように算出された温度調整部分402−1〜402−5に対する温度の設定値を用いて膜形成を行っても、図13に例示するように、モニタ基板W1〜W4それぞれの膜厚の計算値Wc1〜Wc4と、実際の膜厚Wr1〜Wr4とが異なってしまう場合がある。
【0051】
このような場合、設定値算出部504は、図13にさらに示すように、モニタ基板W1〜W4それぞれの膜厚の計算値Wc1〜Wc4で、実際の膜厚さWr1〜Wr4を除算して得られる面間誤差比率α1〜α4を求める(S230;図15)。
設定値算出部504は、面間誤差比率α1〜α4を、膜厚算出部502が算出するモニタ基板W1〜W4それぞれの膜厚の計算値Wc1〜Wc4に乗算する。このようにして、設定値算出部504は、温度調整部分402−1〜402−5に対する温度設定値を補正し(S250;図15)、最終的な温度設定値を得る。
設定値算出部504は、以上説明したようにモニタ基板W1〜W4の膜厚を算出し、さらに、実測値に基づいて補正した温度調整部分402−1〜402−5に対する温度設定値を、膜形成制御装置22に対して出力するとともに、設定値DB522に記憶させ、管理する(S258,S260;図15)。
【0052】
[設定温度算出プログラム5に基づく基板処理システム1の動作]
以下、設定温度算出プログラム5に基づく基板処理システム1の動作を説明する。
図14は、図7〜図9に示した熱干渉行列Mを求める処理(S10)を示すフローチャートである。
図14に示すように、ステップ100(S100)において、基板処理システム1(図1)のユーザが、演算処理装置3の表示・入力装置16(図2)に対して、式1に示したガスの圧力・流量など、温度調整部分402−1〜402−5の温度に対する初期条件を設定する。
設定温度算出プログラム5(図6)のユーザインターフェース部510は、入力された初期条件を干渉行列・係数算出部500に対して出力する。
【0053】
ステップ102(S102)において、干渉行列・係数算出部500は、熱干渉行列Mの作成のために、温度調整部分402−1〜402−5に対して設定すべき全ての温度条件(図7を参照して上述)について、膜厚の測定が終了したか否かを判断する。
全ての条件についての膜厚の測定が終了した場合には、設定温度算出プログラム5はS112の処理に進み、これ以外の場合にはS104の処理に進む。
【0054】
ステップ104(S104)において、干渉行列・係数算出部500は、S100の処理において設定された温度以外の条件、および、それまでに膜厚の測定がなされていない温度条件(次の温度条件;図7を参照して上述したFLAT,Uなどのいずれか)を、膜形成制御装置22に対して出力する。
膜形成制御装置22(図1,図5)は、設定された条件で基板180に対して膜形成を行うように、基板処理装置4を制御する。
【0055】
ステップ106(S106)において、干渉行列・係数算出部500は、膜形成制御装置22から温度調整部分402−1〜402−5の温度を示す情報を受けて、これらの温度が平衡状態になり、膜形成が可能な状態になったか否かを判断する。
温度が平衡状態になった場合には、設定温度算出プログラム5はS108の処理に進み、これ以外の場合にはS104,S106の処理に留まる。
【0056】
ステップ108(S108)において、干渉行列・係数算出部500は、基板180に対して膜形成を行うように、基板処理装置4を制御する。
【0057】
S108の処理における膜形成が終了すると、ステップ110(S110)において、干渉行列・係数算出部500は、膜厚測定装置26を制御して、モニタ基板W1〜W4それぞれに形成された膜の厚さを計測させ、計測結果を受ける。
【0058】
ステップ112(S112)において、干渉行列・係数算出部500は、図8,図9に示したように熱干渉行列Mを作成し、処理を終了する。
【0059】
次に、設定値算出処理を説明する。
図15は、図10〜図13を参照して説明した設定値算出処理(S20)を示すフローチャートである。
図15に示すように、ステップ200(S200)において、設定値算出部504は、膜厚算出部502に対して、膜形成処理の初期条件として、温度・圧力・流量などを設定する。
【0060】
ステップ212,214(S212,S214)において、膜厚算出部502は、与えられた条件において、式1を用いてモニタ基板W1〜W4それぞれに形成される膜厚を算出する。
【0061】
ステップ216(S216)において、設定値算出部504は、膜厚算出部502が算出した対象基板W1〜W4それぞれの膜厚が、目標範囲(図11〜図13)であるか否かを判断する。
膜厚が目標範囲である場合には、設定温度算出プログラム5はS230の処理に進み、これ以外の場合にはS218の処理に進む。
【0062】
ステップ218(S218)において、設定値算出部504は、上記式2のMを用いて、温度調整部分402−1〜402−5それぞれに対する温度設定値を更新し、S212の処理に戻る。
つまり、S212〜S218の処理ループにおいて、設定温度算出プログラム5は、図10を参照して説明したように、所望の膜厚を得るために、温度調整部分402−1〜402−5(図3,図5)に対して設定すべき温度設定値を算出する。
【0063】
ステップ232(S232)において、設定値算出部504は、S210の処理により算出された温度設定値を膜形成制御装置22(図1,図5)に対して出力する。
膜形成制御装置22は、設定された条件で基板処理装置4を制御し、基板180に対する膜形成処理を行わせる。
【0064】
S232の処理における膜形成が終了すると、ステップ234(S234)において、設定値算出部504は、膜厚測定装置26を制御して、モニタ基板W1〜W4それぞれに形成された膜の厚さを計測させる。
【0065】
ステップ236(S236)において、設定値算出部504は、モニタ基板W1〜W4それぞれの膜厚の測定結果と、最後にS214の処理において算出された膜厚とに基づいて、面間誤差比率α1〜α4(図13)を算出する。
【0066】
ステップ252,254(S252,S254)において、膜厚算出部502は、S212,S214における場合と同様に、モニタ基板W1〜W4それぞれに形成される膜厚を算出する。
【0067】
ステップ256(S256)において、設定値算出部504は、S252,S254の処理において算出されたモニタ基板W1〜W4それぞれに形成される膜厚Wc1〜Wc4に、S236の処理において算出された面間誤差比率α1〜α4を乗算する。
【0068】
ステップ258(S258)において、設定値算出部504は、乗算により得られた膜厚が、目標値(図11〜図13)になっているか否かを判断する。
設定値算出部504は、膜厚が目標値になっている場合には、最後に膜厚の算出に用いられた温度調整部分402−1〜402−5に対する温度設定値を、最終的に膜形成制御装置22および設定値DB522に対して出力する。
膜形成制御装置22は、この温度設定値に基づいて基板処理装置4を制御して、製品半導体製造用の基板180に対する膜形成を行わせる。
【0069】
また、設定値算出部504は、膜厚が目標値になっていない場合には、S260の処理に進む。
ステップ260(S260)において、設定値算出部504は、上記式2のMを用いて、温度調整部分402−1〜402−5それぞれに対する温度設定値を更新し、S252の処理に戻る。
【0070】
このように、面間膜厚を均一化するための温度設定値が算出され、設定値DB522に記憶される。
そして、設定値DB522に記憶された温度設定値(設定温度)は、膜厚分布算出プログラム6に適用される。
【0071】
[膜厚分布算出プログラム6]
膜厚分布算出プログラム6は、反応室40(図4)における膜形成において、反応室40全体をモデル化した反応室解析モデルと、ボート404に載置された基板180間をモデル化した基板面内解析モデルとを用いて基板180の面内膜厚分布を算出する。
【0072】
図16は、膜厚分布算出プログラム6を反応室40に適用する場合の反応室解析モデルを示す図である。
図16に示すように、反応室解析モデルは、基板180の列および遮熱板406の列をそれぞれ円柱として扱い、基板180の列と遮熱板406の列との間に下部空間414を形成し、インナチューブ450と基板180の列との間に流路416を形成し、アウタチューブ448が配置されることによって反応室40上部の上部空間418および筒状空間452(図4参照)を形成することによって表され、流路416におけるガスの流れ方向の濃度分布を算出するために用いられる。
【0073】
反応室解析モデルは、基板180の厚み、大きさ等の形状および配置、枚数、インナチューブ450とアウタチューブ448の配置、サイズ、形状、遮熱板406の枚数、形状、配置等のパラメータの変化により、上述の基板180の列、および円柱状の遮熱板406の列、下部空間414、流路416、上部空間418および筒状空間452の形状が変化したものとみなされる。
つまり、これらのパラメータが変化すると反応室解析モデルに適用されるパラメータを含む条件が変更される。
【0074】
一般的に、製品として使用されないダミー基板184(図16参照)は、製品として使用されるプロダクト用の基板180の列の最上部および最下部にそれぞれ配置される。
さらに、モニタ基板は、少なくともプロダクト用の基板180の列の最上部および最下部とダミー基板184との間にそれぞれ配置される。
このようなモニタ基板の配置とするのは、モニタ基板の膜厚均一性が所望の範囲内に収まり、良好であればダミー基板184間の範囲内に配置されるプロダクト用の基板180も膜厚均一性が所望の範囲内であると推定できるためである。つまり、ダミー基板184の最上部および最下部の枚数を変更する場合、モニタ基板の位置も変更されることになる。
この場合、プロダクト用の基板180の最上部および最下部の位置も変更されることがある。
よって、成膜解析(S502:図24を用いて後述する)によって求められる条件も変更されることとなる。
すなわち、ダミー基板184の枚数に応じて成膜条件も変更されることになる。
【0075】
また、ダミー基板184は、製品として使用されるプロダクト用の基板180の列の最上部および最下部またはこれらのいずれかにそれぞれ空間をおいて配置される場合もある。
この場合も、モニタ基板は、少なくともプロダクト用の基板180の列の最上部および最下部とダミー基板184との間にそれぞれ配置される。
したがって、下部空間414および上部空間418またはこれらのいずれかの形状が変化したとみなされることにより、反応室解析モデルに適用されるパラメータを含む条件が変更される。
また、ダミー基板184の枚数が変更される場合にも、下部空間414および上部空間418またはこれらのいずれかの形状が変化したとみなされることにより、反応室解析モデルに適用されるパラメータを含む条件が変更される。
また、成膜解析を行う対象をモニタ基板とせず、プロダクト用の基板180としても同様にパラメータを含む条件が変更される。
また、反応室解析モデルは、基板180の中心から半径方向(r方向)への距離を半径方向座標rによって示し、流路416の下方から上方(流れ方向:z方向)の距離を流れ方向座標zによって示すようにしている。
【0076】
図17は、膜厚分布算出プログラム6を反応室40に適用する場合の基板面内解析モデルを示す図である。
図17に示すように、基板面内解析モデルは、2枚の基板180によって上下から挟まれた基板間空間186、半径方向座標rおよび基板端188によって表され、2枚の基板180間の反応およびガス拡散の解析に用いられる。
なお、基板180がガスの流れ方向に対して垂直に配置されているので、基板間空間186においては、r方向のガス拡散のみが考慮され、流れ方向(z方向)の影響は無視できるものとしている。
【0077】
さらに、膜厚分布算出プログラム6は、ガスの反応がガスの流れに影響を与えないこと、ガスの流速が場所によらず一定であること、および、気相反応が1次反応であり、表面付着反応が単純な付着であることを条件としている。
このように、膜厚分布算出プログラム6は、流れ方向のガス濃度分布を流れ方向座標zによる一次元の分布とし、基板間空間186のガス濃度分布を半径方向座標rによる一次元の分布として表すことができるようにされている。
【0078】
図18は、膜厚分布算出プログラム6の構成を示す図である。
図18に示すように、膜厚分布算出プログラム6は、接点データ算出部600、流れ方向計算モジュール602、基板面内計算モジュール604、濃度収束判定部606、濃度分布記憶部608、成膜速度算出部610、面内分布算出部612およびユーザインターフェース(UI)部614から構成される。
【0079】
膜厚分布算出プログラム6は、記録媒体140(図2)などを介して演算処理装置3に供給され、メモリ104にロードされて実行される。
膜厚分布算出プログラム6は、これらの構成部分により、設定値DB522に記憶された温度設定値(設定温度)に基づいて、基板処理システム1において処理される基板180における面内の膜厚分布を算出する。
つまり、基板処理システム1は、該基板処理システム1によって処理される基板180の面内における成膜処理結果を膜厚分布算出プログラム6によって予測することができる。
【0080】
[接点データ算出部600]
膜厚分布算出プログラム6は、上述したように反応室40内のガス濃度を一次元の分布の組み合わせによって算出するようにされている。
つまり、ガス濃度は、ガスの流れに対して垂直な方向には均一とされている。一方、反応室40内で基板180が処理される場合には、壁面(基板180の表面および反応室40の内面)付近に濃度境界層が形成され、ガスの流れの中心におけるガス濃度に対し、壁面付近のガス濃度が低くなっている。
特に、壁面に対する付着係数の高いガスを用いる場合、濃度境界層の影響を考慮する必要がある。
濃度境界層の影響を考慮するため、接点データ算出部600は、ガスの流れの中心におけるガス濃度に対する壁面付近のガス濃度の比(濃度比)を算出する。よって、膜厚分布算出プログラム6は、濃度比を適用することにより、濃度境界層の影響を考慮して基板180における面内の膜厚分布を算出することができる。
【0081】
[流れ方向計算モジュール602]
流れ方向計算モジュール602は、図16に示した反応室解析モデルの定常状態において、下式3に示すガス濃度の支配方程式により、膜厚分布の算出対象となる基板180に対応する流れ方向座標zの値に対し、反応室40内の1つのガスの濃度(濃度分布)を算出する。
【0082】
【数3】
Figure 0004301551
【0083】
式3には、流路416の入口(流れ方向:z=0)および流路416の出口における境界条件が設定されている。
流路416の入口(流れ方向:z=0)において、反応室40内に供給される全てのガスの濃度は、ガスの流量および圧力等の条件に応じた既知量としてz方向初期濃度が設定されるようになっている。
また、流路416の出口において、反応室40内に供給されるガスは濃度勾配を0としている。
【0084】
[基板面内計算モジュール604]
基板面内計算モジュール604は、図17に示した基板面内解析モデルにおいて、下式4に示すガス濃度の支配方程式により、膜厚分布の算出対象となる基板180の半径方向座標rの値に対し、1つのガスの濃度(濃度分布)を算出する。
【0085】
【数4】
Figure 0004301551
【0086】
式4には、基板の中心および基板端188における境界条件が設定されている。
基板の中心において、反応室40内に供給される全てのガスは濃度勾配を0としている。
また、基板端188におけるガスの濃度は、式3によって流れ方向座標zの値に対して算出されたガスの濃度とする。
このように、基板面内計算モジュール604は、基板180の半径方向座標rに対する1つのガスの濃度(濃度分布)を算出し、濃度収束判定部606に対して出力する。
【0087】
[濃度収束判定部606]
濃度収束判定部606は、基板面内計算モジュール604から受入れた濃度を濃度分布記憶部608に対して出力すると共に、反応室40内に供給されるガスの濃度がz方向において収束したか否かを判定する。
ガスの濃度がz方向において収束していない場合には、濃度収束判定部606は、再度流れ方向計算モジュール602に対してz方向においてガスの濃度が収束するようにガス濃度の算出を行わせる。
ガスの濃度がz方向において収束している場合には、濃度収束判定部606は、収束した濃度分布を濃度分布記憶部608から受け入れ、成膜速度算出部610に対して出力する。
【0088】
[成膜速度算出部610]
成膜速度算出部610は、壁面(基板180の表面および反応室40の内面)に対する成膜速度を算出する下式5により、式4によって算出された基板180の半径方向座標rに対する1つのガスの濃度(濃度分布)に対応する成膜速度(成膜速度分布)を算出する。
また、成膜速度算出部610は、設定温度算出プログラム5によって算出された温度設定値を設定値DB522(図6,図18)から受入れて、成膜速度(成膜速度分布)の算出に適用する。
なお、成膜定数βは、反応室40内に供給されるガスの種類および形成される膜の種類などに応じて算出される定数である。
【0089】
【数5】
Figure 0004301551
【0090】
[面内分布算出部612]
面内分布算出部612は、成膜速度算出部610が算出した成膜速度(成膜速度分布)に応じて、基板180の面内の膜厚分布を算出する。
つまり、演算処理装置3は、面内分布算出部612が膜厚分布を算出することにより、基板処理装置4が基板180に対して成膜処理をする結果を予測する。また、面内分布算出部612は、算出された膜厚分布を設定値DB522、およびUI部614を介して演算処理装置3の表示・入力装置16(図2)に対して出力する。
【0091】
[UI部614]
UI部614は、例えば流路416の入口(流れ方向:z=0)におけるz方向初期濃度など、膜厚分布を算出するために用いるパラメータなどを表示・入力装置16(図2)を介して受け入れ、膜厚分布算出プログラム6を構成する各部に対して出力すると共に、膜厚分布算出プログラム6を構成する各部の状況を受入れて、表示・入力装置16に対して出力する。
【0092】
膜厚分布算出プログラム6によって、面内膜厚分布を算出する基板180は、ボート404の上部および下部に載置されている基板180であることが好ましい。
また、ボート404に載置されている全ての基板180に対して面内膜厚分布を算出するようにしてもよい。
【0093】
[膜厚分布算出プログラム6の動作]
以下、膜厚分布算出プログラム6の動作を説明する。
図19は、膜厚分布算出プログラム6の動作(S30)を示すフローチャートである。
図19に示すように、ステップ300(S300)において、基板処理システム1(図1)のユーザが、演算処理装置3の表示・入力装置16(図2)に対して、反応室解析モデルおよび基板面内解析モデルに対応する基板の厚みおよび大きさ等のパラメータなどの条件を設定する。
膜厚分布算出プログラム6(図18)のユーザインターフェース部614は、設定されたパラメータなどの条件を、膜厚分布算出プログラム6を構成する各部に対して出力する。
【0094】
ステップ302(S302)において、接点データ算出部600は、ガスの流れの中心におけるガス濃度に対する壁面付近のガス濃度の比(濃度比:接点データ)を算出し、流れ方向計算モジュール602に対して出力する。
【0095】
ステップ304(S304)において、基板処理システム1(図1)のユーザが、演算処理装置3の表示・入力装置16(図2)に対して、ガス流量および圧力等の条件を設定し、この設定に応じて流れ方向計算モジュールがz方向初期濃度を設定する。
膜厚分布算出プログラム6(図18)のユーザインターフェース部614は、入力されたz方向初期濃度を流れ方向計算モジュール602に対して出力する。
【0096】
ステップ306(S306)において、流れ方向計算モジュール602は、基板180に対応する流れ方向座標zの値に対し、反応室40内の1つのガスの濃度(濃度分布)を算出し、基板面内計算モジュール604に対して出力する。
【0097】
ステップ308(S308)において、基板面内計算モジュール604は、基板180の半径方向座標rの値に対する濃度分布を算出し、濃度収束判定部606に対して出力する。
【0098】
ステップ310(S310)において、濃度収束判定部606は、基板面内計算モジュール604から受入れた濃度分布を濃度分布記憶部608に対して出力すると共に、反応室40内に供給されるガスの濃度がz方向において収束したか否かを判定する。
ガスの濃度がz方向において収束していない場合には、濃度収束判定部606は、再度流れ方向計算モジュール602(図18)に対してz方向においてガスの濃度が収束するようにガス濃度の算出を行わせてS306の処理に進む。
ガスの濃度がz方向において収束している場合には、濃度収束判定部606は、濃度分布を濃度分布記憶部608から受け入れ、濃度分布を成膜速度算出部610に対して出力する。
【0099】
ステップ312(S312)において、成膜速度算出部610は、濃度収束判定部606から受入れた濃度分布に応じた成膜速度(成膜速度の分布)を算出し、面内分布算出部612に対して出力する。
【0100】
ステップ314(S314)において、面内分布算出部612は、成膜速度の分布に応じて面内における膜厚分布を算出し、設定値DB522、およびUI部614を介して演算処理装置3の表示・入力装置16(図2)に対して出力する。
【0101】
ステップ316(S316)において、基板処理システム1(図1)のユーザは、表示・入力装置16から基板180の面内における膜厚分布を入手する。
【0102】
[面内誤差比率]
算出された面内の膜厚分布は、面間の膜厚の計算値を補正した場合(図13,図15など参照)と同様に、実際に形成された膜の厚さに対する誤差比率(面内誤差比率)によって補正されることが好ましい。
以下、演算処理装置3が算出する面内誤差比率について説明する。
【0103】
図20は、実際に形成された面内の膜厚分布を例示する図表である。
図20に示した膜厚の形成条件は、例えば、温度調整部分402−1の温度が750°Cであり、温度調整部分402−2〜402−4の温度が740°Cであり、温度調整部分402−5の温度が730°Cであり、ガスの圧力が50Paであり、ガスの流量が500ccmであり、さらに、基板180の列の上部に配置されたダミー基板184の枚数が2枚であり、基板180の列の下部に配置されたダミー基板184の枚数が2枚である。
【0104】
ボート404の上部に載置されたダミー基板184と、ボート404の下部に載置されたダミー基板184との間には、例えば製品となるプロダクト用の基板180が100枚載置されている。
膜厚測定装置26は、例えば、ボート404の上部に載置されたダミー基板184の下方に位置する基板180、ボート404の下部に載置されたダミー基板184の上方に位置する基板180、および、これらの基板180の中間に載置された基板180に対して面内膜厚分布を測定する。
図20においては、スロット番号が1,50,100の位置の基板180が面内膜厚分布を測定する対象となっている。
図20に示すように、膜厚測定装置26(図1)は、例えば、スロット番号が1,50,100の位置の基板180に対し、例えば半径方向座標rが0mm,75mm,140mmの位置における膜厚をそれぞれ測定する。
測定された膜厚は、同一半径における平均膜厚としてもよい。
【0105】
図21は、図20に示した基板180に対する算出された面内の膜厚分布を例示する図表である。
図21に示すように、演算処理装置3(図1)は、例えば、スロット番号が1,50,100の位置の基板180に対し、例えば半径方向座標rが0mm,75mm,140mmの位置における膜厚をそれぞれ算出する。
算出された膜厚は、同一半径における平均膜厚としてもよい。
【0106】
図22は、算出された面内の膜厚(図21)に対する測定された面内の膜厚(図20)の比(面内誤差比率の例)を示す図表である。
図22に示すように、演算処理装置3(図1)は、算出された面内の膜厚に対する測定された面内の膜厚の比を、それぞれ面内誤差比率として算出する。
例えば、スロット番号が100の位置の基板180は、半径方向座標rが0mm(基板180の中心)において、面内誤差比率が500/495(≒1.0101)となっている。
【0107】
[面内誤差比率の算出]
図23は、膜厚分布算出プログラム6(図18)によって算出された基板の面内膜厚分布に対し、演算処理装置3(図1)が面内誤差比率を算出する処理(S40)を示すフローチャートである。
図23に示すように、ステップ400(S400)において、演算処理装置3は、事前にガス流量、圧力および温度などが同じ条件下で成膜処理された膜形成済基板182(図1)に対し、測定された面内の膜厚を膜厚測定装置26から受け入れ、測定された面内の平均膜厚(図20参照)を作成し、面内膜厚分布を設定値DB522に記憶させる。
【0108】
ステップ402(S402)において、演算処理装置3は、膜形成済基板182に対してS30(図19)に示した処理を行い、算出された面内の平均膜厚(図21参照)を設定値DB522に記憶させる。
【0109】
ステップ404(S404)において、演算処理装置3は、測定された面内の平均膜厚と算出された面内の平均膜厚とを設定値DB522(図6,図18)から受け入れ、面内誤差比率(図22参照)を算出し、設定値DB522に記憶させる。
【0110】
[基板処理システム1の全体動作]
以下、基板処理システム1の全体動作について説明する。
図24は、基板処理システム1の全体動作(S50)を示すフローチャートである。
図24に示すように、ステップ500(S500)において、基板処理システム1(図1)のユーザが、演算処理装置3の表示・入力装置16(図2)に対して、ボート404の上部および下部に配置されるダミー基板184の枚数を反応室40における基準枚数および初期条件としてのガス流量、圧力および温度並びに基板の厚さ等のパラメータを設定する。
膜厚分布算出プログラム6(図18)のユーザインターフェース部614は、入力されたダミー基板184の基準枚数を、膜厚分布算出プログラム6を構成する各部に対して出力する。
【0111】
ステップ502(S502)において、基板処理システム1は、基板処理システム1によってS10(図14),S20(図15)に示した処理を行い、面間膜厚を均一化するための設定温度を設定値DB522に記憶させる。
なお、S10,S20に示した処理で設定されると説明した初期条件は、上述したS500の処理において設定されたものが使用される。
【0112】
ステップ504(S504)において、演算処理装置3は、ガス流量、圧力および温度などが同じ条件下での面内誤差比率が算出されているか否かを確認し、面内誤差比率が算出されていない場合にはS506の処理に進み、面内誤差比率が算出されている場合にはS508の処理に進む。
【0113】
ステップ506(S506)において、演算処理装置3は、面内誤差比率を算出する処理(S40)を行い、算出された面内誤差比率を設定値DB522に記憶させる。
【0114】
ステップ508(S508)において、基板処理システム1は、基板処理システム1によってS30(図19)に示した処理を行い、演算処理装置3に基板180の面内膜厚分布を算出させ、面内膜厚分布を設定値DB522に記憶させる。
なお、S30に示した処理で設定されると説明した条件設定は、上述したS500の処理において設定されたものが使用される。
【0115】
ステップ510(S510)において、演算処理装置3は、S508の処理で算出された面内膜厚分布に対し、S502の処理にて算出されている面内誤差比率、またはS506の処理で算出された面内誤差比率を乗じ、算出された面内膜厚分布を補正する。
【0116】
ステップ512(S512)において、演算処理装置3は、S510の処理において補正された面内膜厚分布の値を表示・入力装置16によって表示する。
図25は、補正された面内膜厚分布の値を例示する図表である。
つまり、基板処理システム1のユーザは、例えば、図25に示したような半径方向座標rの値によって異なる面内膜厚分布の値を表示・入力装置16を介して受入れる。
また、演算処理装置3は、補正された面内膜厚分布が規定値外の値になっている場合にはS514の処理に進み、補正された面内膜厚分布が規定値内の値になっている場合にはS516の処理に進む。
例えば、面内の膜厚の規定値が500±10nmの場合、図25に示したような面内膜厚分布の値が得られると、各スロット番号の位置の基板180が面内膜厚分布が規定値内の値になっているので、S516の処理に進む。
【0117】
ステップ514(S514)において、基板処理システム1のユーザは、表示・入力装置16に対して、ボート404の上部および下部に配置されるダミー基板184の枚数を変更し、S502の処理に進む。
膜厚分布算出プログラム6(図18)のユーザインターフェース部614は、S514において変更されたダミー基板184の枚数を、膜厚分布算出プログラム6を構成する各部に対して出力する。
なお、S500の処理にて初期条件として設定すると説明したパラメータは、S502,S508の処理それぞれにおいて、基板処理システム1のユーザが設定するようにしてもよい。
また、S512,S514の処理において、図10に例示された膜厚の計算値が目標膜厚の範囲内に入るように温度を繰り返し変更した場合と同様にダミー基板184の枚数を変更し、演算処理装置3は、基板処理システム1のユーザが操作することなく、適切なダミー基板184の枚数を算出するようにしてもよい。
【0118】
ステップ516(S516)において、演算処理装置3は、ダミー基板184の枚数および設定温度を含む成膜条件を決定し、膜形成制御装置22を介して基板処理装置4に対する成膜条件を設定する。
【0119】
ステップ518(S518)において、基板処理システム1は、膜形成制御装置22を介して基板処理装置4に設定された成膜条件に基づいて、基板180に対して成膜処理を行う。
なお、ダミー基板184の枚数にて例示したが、プロダクト用の基板180の枚数でもよい。
また、モニタ基板、プロダクト用の基板180またはダミー基板184の配置および枚数を変更するようにしてもよい。
【0120】
[変形例]
以下、本発明の実施形態における変形例を説明する。
本発明の実施形態における変形例において、基板処理システム1(図1)は、ガスの流量および圧力またはこれらのいずれかを変更することにより、基板180の面内膜厚分布が規定値内になるようにする。
【0121】
[基板処理システム1の全体動作]
以下、本発明の実施形態の変形例における基板処理システム1の全体的な動作を説明する。
図26は、本発明の実施形態の変形例における基板処理システム1の全体的な動作(S60)を示すフローチャートである。
図26に示すように、ステップ600(S600)において、基板処理システム1(図1)のユーザが、演算処理装置3の表示・入力装置16(図2)に対して、ガスの流量および圧力をそれぞれ反応室40における基準値および初期条件としての温度、基板の厚さなどのパラメータを設定する。
膜厚分布算出プログラム6(図18)のユーザインターフェース部614は、入力されたガスの流量および圧力を膜厚分布算出プログラム6を構成する各部に対して出力する。
【0122】
ステップ602(S602)において、基板処理システム1は、基板処理システム1によってS10(図14),S20(図15)に示した処理を行い、面間膜厚を均一化するための設定温度を設定値DB522に記憶させる。
なお、S10,S20に示した処理で設定されると説明した初期条件は、上述したS600の処理において設定されたものが使用される。
【0123】
ステップ604(S604)において、演算処理装置3は、ガス流量、圧力および温度などが同じ条件下での面内誤差比率が算出されているか否かを確認し、面内誤差比率が算出されていない場合にはS606の処理に進み、面内誤差比率が算出されている場合にはS608の処理に進む。
【0124】
ステップ606(S606)において、演算処理装置3は、面内誤差比率を算出する処理(S40)を行い、算出された面内誤差比率を設定値DB522に記憶させる。
【0125】
ステップ608(S608)において、基板処理システム1は、基板処理システム1によってS30(図19)に示した処理を行い、演算処理装置3に基板180の面内膜厚分布を算出させ、面内膜厚分布を設定値DB522に記憶させる。
なお、S30に示した処理で設定されると説明した条件設定は、上述したS600の処理において設定されたものが使用される。
【0126】
ステップ610(S610)において、演算処理装置3は、S608の処理で算出された面内膜厚分布に対し、S602の処理にて算出されている面内誤差比率またはS606の処理で算出された面内誤差比率を乗じ、算出された面内膜厚分布を補正する。
【0127】
ステップ612(S612)において、演算処理装置3は、S610の処理において補正された面内膜厚分布の値を表示・入力装置16によって表示し、補正された面内膜厚分布が規定値外の値になっている場合にはS614の処理に進み、面内膜厚分布が規定値内の値になっている場合にはS616の処理に進む。
【0128】
ステップ612(S612)において、演算処理装置3は、S610の処理において補正された面内膜厚分布の値を表示・入力装置16によって表示する。
つまり、基板処理システム1のユーザは、例えば、図25に示したような半径方向座標rの値によって異なる面内膜厚分布の値を表示・入力装置16を介して受入れる。
また、演算処理装置3は、補正された面内膜厚分布が規定値外の値になっている場合にはS614の処理に進み、補正された面内膜厚分布が規定値内の値になっている場合にはS616の処理に進む。
例えば、面内の膜厚の規定値が500±10nmの場合と、図25に示したような面内膜厚分布の値が得られると、各スロット番号の位置の基板180が面内膜厚分布が規定値内の値になっているので、S616の処理に進む。
【0129】
ステップ614(S614)において、基板処理システム1のユーザは、表示・入力装置16に対して、ガスの流量および圧力またはこれらのいずれかを変更し、S602の処理に進む。
膜厚分布算出プログラム6(図18)のユーザインターフェース部614は、S614において入力されたガスの流量および圧力またはこれらのいずれかを、膜厚分布算出プログラム6を構成する各部に対して出力する。
なお、S600の処理にて初期条件として設定すると説明したパラメータは、S602,S608の処理それぞれにおいて、基板処理システム1のユーザが設定するようにしてもよい。
また、S612,S614の処理において、図10に例示された膜厚の計算値が目標膜厚の範囲内に入るように温度を繰り返し変更した場合と同様にガスの流量および圧力またはこれらのいずれかを変更し、演算処理装置3は、基板処理システム1のユーザが操作することなく、適切なガスの流量および圧力またはこれらのいずれかを算出するようにしてもよい。
【0130】
ステップ616(S616)において、演算処理装置3は、ガスの流量および圧力またはこれらのいずれかと、設定温度とを含む成膜条件を決定し、膜形成制御装置22を介して基板処理装置4に対する成膜条件を設定する。
【0131】
ステップ618(S618)において、基板処理システム1は、膜形成制御装置22を介して基板処理装置4に設定された成膜条件に基づいて、基板180に対して成膜処理を行う。
【0132】
なお、基板180の面内膜厚分布は、ダミー基板の枚数、ガスの流量および圧力をすべて変更することによって予測されるようにしてもよいし、これらのいずれかのみによって予測されるようにしてもよい。
また、面内膜厚分布を算出する対象をモニタ基板W1〜W4などとしてもよい。
このように、基板処理システム1は、基板180の面内膜厚分布を容易に予測することができる。
【0133】
以上説明したように、基板処理システム1は、設定温度算出プログラム5によって基板180ごとの面間の膜厚を均一化するための温度設定値を算出し、基板180の面内の膜厚を均一化するために、膜厚分布算出プログラム6によってダミー基板の枚数、ガスの流量および圧力またはこれらのいずれかを設定することができるようにしたので、容易に基板の膜厚分布を算出することができ、基板に形成される膜厚を均一化するための設定を短時間で行うことができる。
【0134】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかる基板処理システムによれば、所望の処理結果を容易に予測することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明にかかる基板処理システムの構成を示す図である。
【図2】図1に示した演算処理装置、膜形成制御装置および係数・設定値DBのハードウェア構成を示す図である。
【図3】図1に示した基板処理装置の構成を例示する図である。
【図4】図3に示したボート、および、ボートに基板を収容した状態の反応室の断面を例示する図である。
【図5】図1に示した膜形成制御装置の構成と、膜形成制御装置と基板処理装置(図1,図3,)との関係を模式的に示す図である。
【図6】図1などに示した演算処理装置において実行される設定温度算出プログラムの構成を示す図である。
【図7】図6に示した干渉行列・係数算出部の処理を示す第1の図表である。
【図8】図6に示した干渉行列・係数算出部の処理を示す第2の図表である。
【図9】図6に示した干渉行列・係数算出部の処理を示す第3の図表である。
【図10】図6に示した設定値算出部および膜厚算出部による温度調整部分(図4,図5)に対する温度設定値の算出方法を、温度調整部分および測定対象基板W1がそれぞれ1つだけである場合について、模式的に示す図である。
【図11】図6に示した膜厚算出部が、初期に算出するモニタ基板W1〜W4の膜厚Wc1〜Wc4を例示する図である。
【図12】図6に示した膜厚算出部が、最終的に算出するモニタ基板W1〜W4の膜厚Wc1〜Wc4を例示する図である。
【図13】モニタ基板W1〜W4に形成される膜の厚さの計算値と、実際に形成された膜の厚さとが異なってしまう場合を例示する図である。
【図14】図7〜図9に示した熱干渉行列Mを求める処理(S10)を示すフローチャートである。
【図15】図10〜図13を参照して説明した設定値算出処理(S20)を示すフローチャートである。
【図16】膜厚分布算出プログラムを反応室に適用する場合の反応室解析モデルを示す図である。
【図17】膜厚分布算出プログラムを反応室に適用する場合の基板面内解析モデルを示す図である。
【図18】図1などに示した演算処理装置において実行される膜厚分布算出プログラムの構成を示す図である。
【図19】膜厚分布算出プログラム6の動作(S30)を示すフローチャートである。
【図20】実際に形成された面内の膜厚分布を例示する図表である。
【図21】図20に示した基板に対する算出された面内の膜厚分布を例示する図表である。
【図22】算出された面内の膜厚に対する測定された面内の膜厚の比(面内誤差比率の例)を示す図表である。
【図23】膜厚分布算出プログラムによって算出された基板の面内膜厚分布に対し、演算処理装置が面内誤差比率を算出する処理(S40)を示すフローチャートである。
【図24】基板処理システムの全体動作(S50)を示すフローチャートである。
【図25】補正された面内膜厚分布の値を例示する図表である。
【図26】本発明の実施形態の変形例における基板処理システムの全体的な動作(S60)を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1・・・基板処理システム
180・・・基板
182・・・膜形成済基板
184・・・ダミー基板
186・・・基板間空間
188・・・基板端
22・・・膜形成制御装置
220・・・温度制御装置
222・・・ヒータ駆動装置
224・・・流量制御装置
226・・・圧力制御装置
26・・・膜厚測定装置
28・・・係数・設定値DB
3・・・演算処理装置
10・・・コンピュータ本体
102・・・CPU
104・・・メモリ
12・・・通信IF
14・・・記憶装置
140・・・記録媒体
16・・・表示・入力装置
5・・・設定温度算出プログラム
500・・・干渉行列・係数算出部
502・・・膜厚算出部
504・・・設定値算出部
510・・・ユーザインターフェース部
520・・・・干渉行列・係数DB
522・・・設定値DB
6・・・設定温度算出プログラム
600・・・接点データ算出部
602・・・流れ方向計算モジュール
604・・・基板面内計算モジュール
606・・・濃度収束判定部
608・・・濃度分布記憶部
610・・・成膜速度算出部
612・・・面内分布算出部
614・・・ユーザインターフェース(UI)部
4・・・基板処理装置
40・・・反応室
42・・・ヒータ
402・・・温度調整部分
404・・・ボート
406・・・遮熱板
408・・・温度センサ
410・・・ガス流量調整器
412・・・流量センサ
414・・・下部空間
416・・・流路
418・・・上部空間
420・・・圧力調整装置
422・・・圧力センサ
448・・・アウタチューブ
450・・・インナチューブ
452・・・筒状空間

Claims (5)

  1. 処理条件を示す設定値に基づいて、反応室内にて複数の基板に対し所定の処理を行う基板処理装置と、
    前記設定値に基づいて、該反応室内のガスの流れの中心におけるガス濃度に対する前記反応室の内面及び基板の表面付近のガス濃度比を算出する接点データ算出部と、
    前記接点データ算出部の算出結果及び前記設定値に基づいて、前記反応室内にある膜厚分布の算出対象となる基板に対応する前記反応室と前記複数の基板の列との間の流路におけるガスの流れ方向座標の値に対し、前記反応室内の1つのガスの濃度を算出する流れ方向計算モジュールと、
    前記流れ方向計算モジュールの算出結果に基づき、前記反応室内にある膜厚分布の算出対象となる前記基板の半径方向座標の値に対し、1つのガスの濃度を算出する基板面内計算モジュールと、
    該基板面内計算モジュールから受入れた濃度を濃度分布記憶部に対して出力すると共に、前記反応室内に供給されるガスの濃度が前記流路におけるガスの流れ方向において収束したか否かを判定する濃度収束判定部と、
    前記濃度収束判定部にて前記収束したと判断された前記基板面内計算モジュールによって算出された前記基板の半径方向座標の値に対する1つのガスの濃度に対応する成膜速度を算出する成膜速度算出部と、
    該成膜速度算出部が算出した成膜速度に応じて、前記基板の面内の膜厚分布を算出する面内分布算出部と、を有し、前記基板処理装置が前記基板に対して処理した結果を前記面内分布算出部が算出した基板の面内の膜厚分布に基づいて予測する処理結果予測手段と、を有する基板処理システム。
  2. 前記複数の基板は、ボートに保持されるプロダクト用基板及びモニタ基板、ダミー基板で構成されており、前記処理結果予測手段は、前記ボートの上部及び下部に配置される前記ダミー基板の枚数に応じて前記基板処理装置の基板処理の結果を予測する請求項1の基板処理システム。
  3. 処理条件を示す設定値に基づいて、複数の基板に対し所定の処理を行う反応室と、
    前記設定値に基づいて、該反応室内のガスの流れの中心におけるガス濃度に対する前記反応室の内面及び基板の表面付近のガス濃度比を算出する接点データ算出部と、
    前記接点データ算出部の算出結果及び前記設定値に基づいて、前記反応室内にある膜厚分布の算出対象となる基板に対応する前記反応室と前記複数の基板の列との間の流路におけるガスの流れ方向座標の値に対し、前記反応室内の1つのガスの濃度を算出する流れ方向計算モジュールと、
    前記流れ方向計算モジュールの算出結果に基づき、前記反応室内にある膜厚分布の算出対象となる前記基板の半径方向座標の値に対し、1つのガスの濃度を算出する基板面内計算モジュールと、
    該基板面内計算モジュールから受入れた濃度を濃度分布記憶部に対して出力すると共に、前記反応室内に供給されるガスの濃度が前記流路におけるガスの流れ方向において収束したか否かを判定する濃度収束判定部と、
    前記濃度収束判定部にて前記収束したと判断された前記基板面内計算モジュールによって算出された前記基板の半径方向座標の値に対する1つのガスの濃度に対応する成膜速度を算出する成膜速度算出部と、
    該成膜速度算出部が算出した成膜速度に応じて、前記基板の面内の膜厚分布を算出する面内分布算出部と、を有し、前記反応室での前記基板に対する処理結果を前記面内分布算出部が算出した基板の面内の膜厚分布に基づいて予測する処理結果予測手段と、を有する基板処理装置。
  4. 前記複数の基板は、ボートに保持されるプロダクト用基板及びモニタ基板、ダミー基板で構成されており、前記処理結果予測手段は、前記ボートの上部及び下部に配置される前記ダミー基板の枚数に応じて前記反応室での基板の処理の結果を予測する請求項3の基板処理装置。
  5. 処理条件を示す設定値に基づいて、接点データ算出部が、該反応室内のガスの流れの中心におけるガス濃度に対する前記反応室の内面及び基板の表面付近のガス濃度比を算出する工程と、
    前記接点データ算出部の算出結果及び前記設定値に基づいて、流れ方向計算モジュールが前記反応室内にある膜厚分布の算出対象となる基板に対応する前記反応室と前記複数の基板の列との間の流路におけるガスの流れ方向座標の値に対し、前記反応室内の1つのガスの濃度を算出する工程と、
    前記流れ方向計算モジュールの算出結果に基づき、基板面内計算モジュールが、前記反応室内にある膜厚分布の算出対象となる前記ボートに載置された基板の半径方向座標の値に対し、1つのガスの濃度を算出する工程と、
    濃度収束判定部が、前記基板面内計算モジュールから受入れた濃度を濃度分布記憶部に対して出力すると共に、前記反応室内に供給されるガスの濃度が前記流路におけるガスの流れ方向において収束したか否かを判定する工程と、
    成膜速度算出部が、前記濃度収束判定部にて前記収束したと判断された前記基板面内計算モジュールによって算出された基板の半径方向座標の値に対する1つのガスの濃度に対応する成膜速度を算出する工程と、
    面内分布算出部が、前記成膜速度算出部が算出した成膜速度に応じて、基板の面内の膜厚分布を算出する工程と、
    該算出された基板の面内の膜厚分布に基づき、前記設定値を補正し、該補正した設定値に基づいて、前記反応室にて複数の基板に対して処理を行う半導体製造方法。
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