JP4300436B2 - 画像データ変換装置及び画像データ変換方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は画像データ変換装置及び画像データ変換方法に関し、例えば画像データの画質を改善する画像データ変換装置に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、画像データ変換装置においては、例えば帯域制限によって精細度が劣化した画像(いわゆるぼけ画像)に対して補間フィルタによる周波数補間処理を施すことにより画素補間を行い、その画質の改善を図っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで画像データ変換装置としては、この精細度の劣化した画像データから複数の画素を抽出して、それら抽出した各画素の信号レベル分布に基づいてクラス分類した後、予測係数と呼ばれるデータが予め格納されているメモリからそのクラスに対応する予測係数を読み出し、当該予測係数と精細度の劣化した画像データとから高精細度の画像データを予測演算するいわゆるクラス分類適応処理を用いたアップコンバータがある。
【0004】
その際、アップコンバータは、画像全体にわたって全て同一の範囲及び密度で複数の画素を抽出していることから、例えばレベル変化の激しい領域から画素を抽出した場合に、その波形の特徴を有効に抽出することができず、その結果、適切なクラス分類を行うことができずに、画像データの画質を十分に改善し得ない問題があった。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、従来に比して一段と画質を向上し得る画像データ変換装置及び画像データ変換方法を提案しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明においては、第1の画像データを第2の画像データに変換する画像データ変換装置において、第1の画像データから複数の間引き率に応じて注目画素を含む複数の画素でなるクラスタップを抽出し、当該クラスタップから間引き率に応じた複数のクラスコードを生成するクラスコード生成手段と、クラスコードに応じて複数の予測係数データを発生する予測係数データ発生手段と、第1の画像データから複数の間引き率に応じて注目画素でなる注目画素予測タップデータを抽出する注目画素予測タップデータ抽出手段と、注目画素予測タップデータと予測係数データとの積和演算を施すことにより複数の間引き率に応じた注目画素予測画像データを生成する注目画素予測画像データ生成手段と、第1の画像データから注目画素及び当該注目画素に隣接した画素を抽出し、抽出した画素の信号レベルを表すタップデータから注目画素に対する2次微分値を算出する2次微分値算出手段と、注目画素予測画像データの画素のうち、2次微分値算出手段によって得られた2次微分値の符号を表す2次微分符号データに基づいて画素の最大値又は最小値のいずれか一方を上記予測注目画素として選択する画素データ選択手段とを設けるようにした。
【0007】
この結果、第1の画像データから各間引き率によって生成された注目画素予測画像データの画素のうち2次微分値の符号を表す2次微分符号データに基づいて画素の最大値又は最小値を予測注目画素として選択することにより、同一の間引き率を用いる場合に比して波形の特徴量を有効に抽出することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0009】
(1)クラス分類適応処理の原理
ここで図1は、クラス分類適応処理を実現するアップコンバータ51の回路構成を示す。アップコンバータ51は、外部から供給される例えば8ビットのパルス符号変調(PCM:Pulse Code Modulation )データでなるSD画像データS51をクラス分類部52及び予測演算部53に入力する。クラス分類部52は、例えば図2に示すように、SD画像データS51のうち注目画素及び当該注目画素を中心とした複数の周辺画素でなる合計7画素(タップ)をクラス分類用の画素(以下、これをクラスタップと呼ぶ)として設定し、それらの信号レベル分布に基づいてクラスコードS52を生成する。因みに、図中実線は第1フィールドを示し、点線は第2フィールドを示す。
【0010】
このクラス分類部52によってクラスコードS52を生成する方法としては、PCMデータを直接使用する(すなわちPCMデータをそのままクラスデータS52とする)方法や、ADRC(Adaptive Dynamic Range Coding )等のデータ圧縮方法を用いてクラス数を削減するような方法が考えられる。このうちPCMデータをそのままクラスコードS52とする方法では、クラスタップとして8ビットのPCMデータを7タップ用いることから、クラス数が256という膨大な数のクラス数に分類されることになり、実用上問題がある。
【0011】
そこで実際には、クラス分類部52は、ADRCのようなデータ圧縮処理(すなわち再量子化処理)を施すことによりクラス数を削減するようになされている。このADRCによる分類法は、注目画素を中心とする近傍領域内の数タップからADRCコードを、次式
【0012】
【数1】
【0013】
によって求め、当該ADRCコードに基づいてクラスコードS52を生成する手法を用いている。ここで、ci はADRCコード、xi は各クラスタップの入力画素値、MINは領域内にある各クラスタップの入力画素値のうちの最小画素値、DRは領域内のダイナミックレンジ(最大画素値と最小画素値との差分)、kは再量子化ビット数である。
【0014】
すなわちADRCによる分類法は、領域内のダイナミックレンジから再量子化ビット数に応じた量子化ステップ幅を算出し、入力画素値から最小画素値を減算した画素値を量子化ステップ幅に応じて再量子化するものである。例えば領域内の7タップにおいて各クラスタップを1ビットに再量子化する1ビットADRCを行う場合では、領域内のダイナミックレンジに基づいて7タップの各入力画素値を適応的に1ビット量子化し、その結果、7タップの入力画素値を7ビットのデータに削減することができるので、全体としてクラス数を128クラスにまで削減することができる。
【0015】
図1に戻って、予測係数ROM(Read Only Memory)54は、後述する学習回路60によって予め生成された各クラス毎に対応する予測係数データS53を格納しており、クラス分類部52から供給されるクラスコードS52に応じた予測係数データS53を読み出し、これを予測演算部53に送出する。予測演算部53は、例えば図3に示すように、外部から入力されるSD画像データS51のうち、注目画素及び当該注目画素を中心とした複数の周辺画素でなる合計13タップを予測演算用の画素(以下、これを予測タップと呼ぶ)として選定し、当該予測タップの各画素値と予測係数データS53とを用いて、線形一次結合でなる次式
【0016】
【数2】
【0017】
によって表される積和演算を行うことにより、予測タップには存在しないHD画素の集まりであるHD画像データS54を生成し、これを外部に出力する。ここで、x′は各HD画素値、xi は各予測タップの画素値、wi は予測係数、nは予測タップ数であり、この場合nは13である。
【0018】
ところで図4は、予測係数ROM54に格納されている予測係数データを生成する学習回路60の回路構成を示し、当該学習回路60は、予測係数データを予め生成して、これを予測係数ROM54に格納するようになされている。学習回路60は、いわゆる教師信号としてのHD画像データS60を垂直間引きフィルタ61及び予測係数算出回路62に入力する。学習回路60は、HD画像データS60を垂直間引きフィルタ61及び水平間引きフィルタ62によって間引くことにより、生徒信号としてのSD画像データS61を生成し、これをクラス分類部64及び予測係数算出回路62に入力するようになされている。
【0019】
クラス分類部64は、図1に示すアップコンバータのクラス分類部52と同様の構成でなり、SD画像データS61からクラスタップを選定し、その信号レベル分布に基づいてクラスコードS62を生成した後、これを予測係数算出回路62に送出する。予測係数算出回路62は、HD画像データS60及びSD画像データS61を基に、クラスコードS62が示すクラスに応じた予測係数をクラス毎に算出し、その結果得た予測係数データS63を予測係数ROM54に格納する。
【0020】
この場合、予測係数算出回路62は、上述の(2)式における予測係数wを最小自乗法によって求めるようになされている。具体的には予測係数算出回路62は、XをSD画素値、Wを予測係数、YをHD画素値として、いわゆる観測方程式と呼ばれる次式
【0021】
【数3】
【0022】
を生成するように各データを収集する。ここでmは予測するHD画素の画素数を示す学習データ数、nは予測タップ数である。
【0023】
次に予測係数算出回路62は、この(3)式を基に、次式
【0024】
【数4】
【0025】
に示す残差方程式を立てる。従って各予測係数wi は、この(4)式から、次式
【0026】
【数5】
【0027】
が最小のときに最適な値となることがわかる。すなわち次式
【0028】
【数6】
【0029】
を満たすように予測係数wi が算出される。
【0030】
そこで予測係数算出回路62は、このn個ある(6)式を満たすようなw1 、w2 、……、wn を算出すればよいことになり、上述の(4)式から、次式
【0031】
【数7】
【0032】
を得、これら(6)及び(7)式から、次式
【0033】
【数8】
【0034】
を求める。そして予測係数算出回路62は、上述の(4)及び(8)式から、次式
【0035】
【数9】
【0036】
によって表される正規方程式を生成する。このようにして予測係数算出回路62は、予測タップ数nと同一次数の連立方程式でなる正規方程式を生成し、掃き出し法(Gauss Jordanの消去法)を用いてこの正規方程式を解くことにより、各予測係数wi を算出する。
【0037】
以下、学習回路60による予測係数生成手順について図5に示すフローチャートを用いて説明する。ステップSP61から入ったステップSP62において、学習回路60は、教師信号としてのHD画像データS60から生徒信号としてのSD画像データS61を生成することにより、予測係数を生成するのに必要な学習データを生成する。ステップSP63において、学習回路60は、予測係数を生成するのに必要十分な学習データが得られたか否か判定し、その結果、未だ必要十分な学習データが得られていないと判断された場合にはステップSP63において否定結果を得ることによりステップSP64に移行する。
【0038】
ステップSP64において、学習回路60は、SD画像データS61からクラスタップを選定し、その信号レベル分布に基づいてクラス分類を行う。ステップSP65において、学習回路60は、各クラス毎に上述の(9)式でなる正規方程式を生成し、ステップSP62に戻って同様の処理手順を繰り返すことにより、予測係数を生成するのに必要十分な正規方程式を生成する。
【0039】
これに対してステップSP63において肯定結果が得られると、このことは必要十分な学習データが得られたことを表しており、このとき学習回路60はステップSP66に移って、上述の(9)式でなる正規方程式を掃き出し法によって解くことにより、予測係数w1 、w2 、……、wn を各クラス毎に生成する。そしてステップSP67において、学習回路60は、生成した各クラス毎の予測係数w1 、w2 、……、wn を予測係数ROM54に格納し、ステップSP68に移って処理を終了する。
【0040】
(2)クラス分類適応処理を適用した画像データ変換装置
図6において、100は全体として図1〜図5について上述したクラス分類適応処理の原理を用いたアップコンバータの構成を示す。アップコンバータ100は、精細度の劣化した画像データS100を領域切り出し部101A〜101D及び102A〜102D並びに103にそれぞれ入力する。領域切り出し部101Aは、間引き幅なしの間引き率R1でクラスタップを抽出するものであり、画像データS100から画素を間引くことなく注目画素及び当該注目画素を含む周辺画素でなるクラスタップを抽出し、それらの信号レベル分布を示すクラスタップデータS101Aをクラスコード生成部104Aに送出する。
【0041】
領域切り出し部101Bは、間引き幅を1画素とする間引き率R2でクラスタップを抽出するものであり、画像データS100から1画素おきにクラスタップを抽出し、それらの信号レベル分布を示すクラスタップデータS101Bをクラスコード生成部104Bに送出する。領域切り出し部101Cは、間引き幅を2画素とする間引き率R3でクラスタップを抽出するものであり、画像データS100から2画素おきにクラスタップを抽出し、それらの信号レベル分布を示すクラスタップデータS101Cをクラスコード生成部104Cに送出する。領域切り出し部101Dは、間引き幅を3画素とする間引き率R4でクラスタップを抽出するものであり、画像データS100から3画素おきにクラスタップを抽出し、それらの信号レベル分布を示すクラスタップデータS101Dをクラスコード生成部104Dに送出する。
【0042】
クラスコード生成部104Aは、間引き率R1によるクラスタップデータS101Aに基づいてクラスコードS102Aを生成し、これをROM105Aに送出する。同様にしてクラスコード生成部104B〜104Dは、それぞれ間引き率R2〜R4によるクラスタップデータS101B〜S101Dに基づいてクラスコードS102B〜S102Dを生成し、これをROM105B〜105Dに送出する。
【0043】
ROM105Aは、後述する学習回路によって予め生成された間引き率R1におけるクラス毎の予測係数を格納しており、供給されるクラスコードS102Aに応じた予測係数データS103Aを読み出し、これを予測演算部106Aに送出する。同様にしてROM105B〜105Dは、それぞれ後述する学習回路によって予め生成された間引き率R2〜R4におけるクラス毎の予測係数を格納しており、供給されるクラスコードS102B〜S102Dに応じた予測係数データS103B〜S102Dを読み出し、これを予測演算部106B〜106Dに送出する。
【0044】
一方、領域切り出し部102Aは、間引き率R1で画像データS100から注目画素及び当該注目画素でなる予測タップを抽出し、それらの信号レベル分布を示す予測タップデータS104Aを予測演算部106Aに送出する。領域切り出し部102Bは、間引き率R2で画像データS100から予測タップを抽出し、それらの信号レベル分布を示す予測タップデータS104Bを予測演算部106Bに送出する。領域切り出し部102Cは、間引き率R3で画像データS100から予測タップを抽出し、それらの信号レベル分布を示す予測タップデータS104Cを予測演算部106Cに送出する。領域切り出し部102Dは、間引き率R4で画像データS100から予測タップを抽出し、それらの信号レベル分布を示す予測タップデータS104Dを予測演算部106Dに送出する。
【0045】
予測演算部106Aは、予測タップデータS104Aと予測係数データS103Aとの積和演算を施すことにより間引き率R1による予測画像データS105Aを生成し、これを最大及び最小値検出部107に送出する。同様にして予測演算部106B〜106Dは、予測タップデータS104B〜S104Dと予測係数データS103B〜S103Dとの積和演算を施すことにより間引き率R2〜R4による予測画像データS105B〜S105Dを生成し、これを最大及び最小値検出部107に送出する。
【0046】
最大及び最小値検出部107は、予測画像データS105A〜S105Dを画素毎に比較することにより、各画素における4つの画素値のうち最大値及び最小値を検出し、その最大値データS106A及び最小値データS106Bを選択部108に送出する。
【0047】
一方、領域切り出し部103は、画像データS100から例えば注目画素b及び当該注目画素に隣接する2画素a、cを抽出し、それらの信号レベル分布データを示すタップデータS107を2次微分算出部109に送出する。2次微分算出部109は、タップデータS107から注目画素bにおける2次微分値k(b)を、次式
【0048】
【数10】
【0049】
によって求める。ここで、f(a)は画素aにおける画素値を示し、f(b)は注目画素bにおける画素値を示し、f(c)は画素cにおける画素値を示す。
【0050】
そして2次微分算出部109は、2次微分値k(b)の符号を示す2次微分符号データS108を選択部108に送出する。選択部108は、最大値データS106A及び最小値データS106Bのうち、注目画素における2次微分符号データS108が「正」の場合には最小値データS106Bを選択する一方、2次微分データS108が「負」の場合には最大値データS106Aを選択する。このように選択部108は、各画素毎に最適な画素値を順次選択していくことにより、当該画素値の集まりでなる復元画像データS109を生成し、これを外部に出力する。
【0051】
図7は、アップコンバータ100のROM105A〜105D(図6)にそれぞれ格納されている各予測係数を生成する学習回路120の構成を示す。学習回路120は、教師画像として高精細度の画像データS120をローパスフィルタ121、間引き率決定部122及び正規方程式演算部123に送出する。LPF121は、画像データS120を間引くことにより生徒画像として精細度の劣化した画像データS121を生成し、これを領域切り出し部124A〜124D及び125A〜125D並びに126及び127に送出する。
【0052】
領域切り出し部124A〜124Dは、図6に示すアップコンバータ100の領域切り出し部101A〜101Dとそれぞれ同様の構成でなり、画像データS121から各間引き率R1〜R4でクラスタップを抽出し、それらの信号レベル分布を示すクラスタップデータS122A〜S122Dを対応するクラスコード生成部130A〜130Dに送出する。
【0053】
クラスコード生成部130A〜130Dは、図6に示すアップコンバータ100のクラスコード生成部104A〜104Dと同様の構成でなり、それぞれクラスタップデータS122A〜S122Dに基づいてクラスコードS123A〜S123Dを生成し、これらを対応するROM131A〜131Dに送出する。ROM131A〜131Dは、さらに後述する学習回路によって予め生成された各クラス毎に対応する予測係数をそれぞれ格納しており、供給されるクラスコードS123A〜S123Dに応じた予測係数データS124A〜S124Dを読み出し、これらを対応する予測演算部132A〜132Dに送出する。
【0054】
一方、領域切り出し部125A〜125Dは、図6に示すアップコンバータ100の領域切り出し部102A〜102Dと同様の構成でなり、それぞれ画像データS121から各間引き率R1〜R4に応じて予測タップを抽出し、それらの信号レベル分布を示す予測タップデータS130A〜S130Dを予測演算部132A〜132Dに送出する。
【0055】
予測演算部132A〜132Dは、図6に示すアップコンバータ100の予測演算部106A〜106Dと同様の構成でなり、それぞれ予測タップデータS130A〜S130Dと予測係数データS124A〜S124Dとの積和演算を施すことにより各間引き率R1〜R4による予測画像データS131A〜S131Dを生成し、これらを間引き率決定部122に送出する。
【0056】
間引き率決定部122は、高精細度の画像データS120と各間引き率R1〜R4による予測画像データS131A〜S131Dとの差分を画素毎に算出し、その差分値の大きさが最小になる予測画像データS131の間引き率Rを画素毎に選択する。そして間引き率決定部122は、この画素毎に選択された間引き率Rを間引き率データS132として領域切り出し部126及び127に送出する。
【0057】
領域切り出し部126は、供給される間引き率データS132に応じて間引き幅を変化させながらクラスタップを抽出し、それらの信号レベル分布を示すクラスタップデータS133をクラスコード生成部133に送出する。クラスコード生成部133は、クラスタップデータS133に基づいてクラスコードS134を生成し、これを正規方程式演算部123に送出する。
【0058】
領域切り出し部127は、供給される間引き率データS132に応じて間引き幅変化させながら予測タップを抽出し、それらの信号レベル分布を示す予測タップデータS135を正規方程式演算部123に送出する。正規方程式演算部123は、教師画像としての高精細度の画像データS120と各間引き率R1〜R4による予測タップデータS135とから、各間引き率R1〜R4におけるクラスコード毎の正規方程式を生成し、これら各間引き率R1〜R4毎の正規方程式データS136A〜S136Dをそれぞれ対応する予測係数決定部134A〜134Dに送出する。
【0059】
予測係数決定部134Aは、間引き率R1における正規方程式データS136Aが必要な数だけ供給されると、最小自乗法を用いて当該正規方程式を解くことにより画像データ生成用の予測係数を算出し、その予測係数データS137Aをメモリ135Aに送出して当該メモリ135Aに格納する。
【0060】
同様にして、各予測係数決定部134B〜134Dは、間引き率R2〜R4における正規方程式データS135B〜S135Dがそれぞれ必要な数だけ供給されると、最小自乗法を用いて当該正規方程式を解くことにより画像データ生成用の各予測係数をそれぞれ算出し、それら予測係数データS137B〜S137Dを対応するメモリ135B〜135Dに送出して当該メモリ135B〜135Dにそれぞれ格納する。その後、これらメモリ135A〜135Dに格納されている各予測係数は、図6に示すアップコンバータ100の対応するROM105A〜105Dにそれぞれ書き込まれる。
【0061】
続いて図8は、上述の学習回路120のROM131A〜131Dにそれぞれ格納されている予測係数を生成する学習回路150の構成を示す。学習回路120は、教師画像として高精細度の画像データS150をLPF151及び正規方程式演算部152に入力する。LPF151は、画像データS150を間引くことにより生徒画像として精細度の劣化した画像データS151を生成し、これを領域切り出し部153及び154に送出する。
【0062】
領域切り出し部153は、まず間引き率R1で画像データS151からクラスタップを抽出し、それらの信号レベル分布を示すクラスタップデータS152をクラスコード生成部155に送出する。クラスコード生成部155は、クラスタップデータS152に基づいてクラスコードS153を生成し、これを正規方程式演算部152に送出する。
【0063】
領域切り出し部154は、領域切り出し部153と同様に間引き率R1で画像データS151から予測タップを抽出し、それらの信号レベル分布を示す予測タップデータS154を正規方程式演算部152に送出する。正規方程式演算部152は、教師画像としての高精細度の画像データS150と予測タップデータS154とからクラスコードS153毎に正規方程式を生成し、この正規方程式データS155を予測係数決定部156に送出する。
【0064】
予測係数決定部156は、正規方程式データS155が必要な数だけ供給されると最小自乗法を用いて当該正規方程式を解くことにより間引き率R1による予測係数を算出し、この間引き率R1による予測係数データS156をメモリ157に送出して当該メモリ157に格納する。その後、メモリ157に格納されてる間引き率R1による予測係数データは、図7に示す学習回路120のROM131Aに書き込まれる。
【0065】
以下、同様にして学習回路150は、領域切り出し部153及び154の間引き率Rを変化させながら上述したデータ処理を施すことにより間引き率R2〜R4による予測係数データを生成し、これらをメモリ157に格納する。その後、このメモリ157に格納されている各間引き率R2〜R4による予測係数データは、図7に示す学習回路120の対応するROM131B〜131Dにそれぞれ書き込まれる。
【0066】
以上の構成において、アップコンバータ100は、画像データS100から生成された各間引き率R1〜R4による予測画像データS105A〜S105Dを画素毎に比較することにより、各画素における最大値及び最小値を抽出して、このうち注目画素の2次微分値が「正」の場合には最小値を選択する一方、「負」の場合には最大値を選択して復元画像データS109を生成する。
【0067】
このように予測画像データS105A〜S105Dの中から各画素毎に最大値及び最小値を抽出した後、これらのうちいずれか一方を選択すれば、各画素間のレベル変化を明確にしてその波形特徴量を有効に抽出することとなり、精細度が劣化する前の元の画像データに最も近似する画像データが復元される。
【0068】
以上の構成によれば、画像データS100を各間引き率R1〜R4でクラス分類適応処理することによって生成された予測画像データS105A〜S105Dの中から、各画素における最大値及び最小値をそれぞれ抽出して、このうちいずれか一方を選択して復元画像データS109を生成することにより、同一の間引き率でタップを抽出してクラス分類適応処理を施す場合に比して波形の特徴量を有効に抽出することができ、かくして簡易な構成で従来に比して一段と画質を向上し得る。
【0069】
なお上述の実施の形態においては、クラスタップ及び予測タップを間引き率R1〜R4で抽出した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要は、複数の間引き率によってクラスタップ及び予測タップを抽出して各間引き率による予測画像データを生成すれば良い。
【0070】
また上述の実施の形態においては、2次微分算出部109から供給される2次微分符号データS108に基づいて最大値データS106A及び最小値データS106Bのうちいずれか一方を選択した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば画像データS100の注目画素との差分が小さい方を選択したり、また、画像データS100の注目画素に隣接する2つの画素を用いて注目画素の画素値を算出し、この算出した画素値との差分が小さい方を選択しても良い。
【0071】
また上述の実施の形態においては、複数のクラス決定手段として、領域切り出し部101A〜101D及びクラスコード生成部104A〜104Dを適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要は、第1の画像データから画素の各間引き率に応じて注目画素を含む複数の画素を抽出し、当該抽出された複数の画素から注目画素に対するクラスをそれぞれ決定する複数のクラス決定手段であれば良い。
【0072】
また上述の実施の形態においては、複数の予測データ発生手段として、ROM105A〜105Dを適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要は、クラスに応じて予測データをそれぞれ発生する複数の予測データ発生手段であれば良い。
【0073】
また上述の実施の形態においては、複数の画素データ発生手段として、予測演算部106A〜106Dを適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要は、予測データから注目画素をそれぞれ発生する複数の画素データ発生手段であれば良い。
【0074】
さらに上述の実施の形態においては、画素データ選択手段として、領域切り出し部103、最大及び最小値検出部107、選択部108及び2次微分算出部109を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要は、各注目画素のうち最大値又は最小値を第2の画像データの注目画素として選択する画素データ選択手段であれば良い。
【0075】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、第1の画像データから複数の間引き率によって生成されたクラスコードを生成し、当該クラスコードを用いて複数の間引き率に対応した予測係数データを生成し、第1画像データの注目画素の予測タップを抽出して予測タップデータを生成し、予測係数データと予測タップデータとの積和演算処理を施すことにより注目画素予測画像データを生成し、生成した当該注目画素予測画像データの画素のうち2次微分値の符号を表す2次微分符号データに基づいて画素の最大値又は最小値のいずれか一方を予測注目画素として選択し予測画像データを生成することにより、各画素間のレベル変化を明確にして波形の特徴量を有効に抽出できるため、第1の画像データから一段と画質が向上した第2の画像データを生成することができ、かくして簡易な構成で一段と画質を向上し得る画像データ変換装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アップコンバータの構成を示すブロック図である。
【図2】クラスタップ配置例を示す略線図である。
【図3】予測タップ配置例を示す略線図である。
【図4】学習回路の構成を示すブロック図である。
【図5】予測係数生成手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明によるアップコンバータの一実施の形態を示すブロック図である。
【図7】画像データ生成用の予測係数を算出する学習回路の構成を示すブロック図である。
【図8】間引き率決定用の予測係数を算出する学習回路の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
101、102、103……領域切り出し部、104……クラスコード生成部、105……ROM、106……予測演算部、107……最大及び最小値検出部、108……選択部、109……2次微分算出部。
Claims (2)
- 第1の画像データを第2の画像データに変換する画像データ変換装置において、
上記第1の画像データから複数の間引き率に応じて注目画素を含む複数の画素でなるクラスタップを抽出し、当該クラスタップから上記間引き率に応じた複数のクラスコードを生成するクラスコード生成手段と、
上記複数のクラスコードに応じて複数の予測係数データを発生する予測係数データ発生手段と、
上記第1の画像データから上記複数の間引き率に応じて上記注目画素でなる注目画素予測タップデータを抽出する注目画素予測タップデータ抽出手段と、
上記注目画素予測タップデータと上記予測係数データとの積和演算を施すことにより上記複数の間引き率に応じた注目画素予測画像データを生成する注目画素予測画像データ生成手段と、
上記第1の画像データから上記注目画素及び当該注目画素に隣接した画素を抽出し、抽出した当該画素の信号レベルを表すタップデータから上記注目画素に対する2次微分値を算出する2次微分値算出手段と、
上記注目画素予測画像データの画素のうち、上記2次微分値算出手段によって得られた上記2次微分値の符号を表す2次微分符号データに基づいて上記画素の最大値又は最小値のいずれか一方を上記予測注目画素として選択する画素データ選択手段と
を具える画像データ変換装置。 - 第1の画像データを第2の画像データに変換する画像データ変換方法において、
上記第1の画像データから複数の間引き率に応じて注目画素を含む複数の画素でなるクラスタップを抽出し、当該クラスタップから上記間引き率に応じた複数のクラスコードを生成するクラスコード生成ステップと、
上記複数のクラスコードに応じて複数の予測係数データを発生する予測係数データ発生ステップと、
上記第1の画像データから上記複数の間引き率に応じて上記注目画素でなる注目画素予測タップデータを抽出する注目画素予測タップデータ抽出ステップと、
上記注目画素予測タップデータと上記予測係数データとの積和演算を施すことにより上記複数の間引き率に応じた注目画素予測画像データを生成する注目画素予測画像データ生成ステップと、
上記第1の画像データから上記注目画素及び当該注目画素に隣接した画素を抽出し、抽出した当該画素の信号レベルを表すタップデータから上記注目画素に対する2次微分値を算出する2次微分値算出ステップと、
上記注目画素予測画像データの画素のうち、上記2次微分値算出手段によって得られた上記2次微分値の符号を表す2次微分符号データに基づいて上記画素の最大値又は最小値のいずれか一方を上記予測注目画素として選択する画素データ選択ステップと
を有する画像データ変換方法。
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