JP4296466B2 - 易接着シンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルム - Google Patents

易接着シンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はシンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルム、さらに詳しくは該フィルムと接着改質層との密着性に優れた易接着シンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルムは、易裂性、耐熱性、電気特性、透明性等に優れ、磁気テープ用、写真・製版用、コンデンサー用、包装用等、各種のフィルム用途に展開が期待されている。
【0003】
特に、フィルムを包装材料として用いる場合、一般的には延伸フィルムの少なくとも片面に必要に応じて印刷層、有機高分子を塗布積層したガスバリアー層、無機あるいは金属を蒸着したガスバリア層などを積層し、さらに接着剤を積層した上へ、ドライラミネート法や押出ラミネート法によりシーラント層などを設けた積層体とし、該積層体を用いて袋を作製し、それに内容物を充填後、開口部をヒートシールして、密閉包装された食品や薬品や雑貨品などを一般消費者に提供している。そのため、上記積層体を構成するために、延伸フィルムには印刷層やガスバリアー層またはシーラント層などとの十分な接着性を得るため、コロナ処理等の物理処理や接着性改質層を設けることが一般的になされている。
【0004】
シンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルムの場合も、特開平5-338089号公報にはフィルム表面をコロナ処理して表面張力を高くしてからアンカーコート剤を塗布し、その上にシーラント層を設けることが開示されている。しかし、コロナ放電処理の場合、処理後のフィルムが半永久帯電しやすく作業性が低下する問題があり、また接着性も十分とは言えなかった。特開2000-6330号公報には、ガスバリアー層またはシーラント層との接着性を高めるために自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体からなる接着性改質層をシンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルムに積層することが開示されている。しかし、接着性改質層が架橋性高分子であるため、このフィルムは再溶融押出しが困難であり、リサイクル性に問題があった。
【0005】
一方、シンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルムにコート法で滑り性や耐削れ性の向上ための改質層を設けることは、特開平3-109453号公報、特開平3-109454号公報、特開平8-39741号公報、特開平8-48008号公報、特開2000-6330号公報などで開示されているが、用いられている改質層とフィルムとの接着性は十分とは言えなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
シンジオタクチッポリスチレン系延伸フィルムの場合、満足できる接着性改質層を設けることが困難であった。例えば、従来の水系塗布剤を用いる場合、該フィルムの表面が、表面エネルギーが低く結晶化度が高いなどの性質のために該フィルムと接着性改質層との十分な密着性が得られない。一方、溶剤系の塗布剤を用いることは、環境の汚染、作業者の労働衛生の観点から好ましくない。
【0007】
本発明は、フィルムと接着性改質層との密着性に優れた積層シンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルムを提供することを目的とする。更に、経済性、リサイクル性、製造時の環境適合性の優れた易接着シンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、接着性改質層とフィルムとの密着性に優れたシンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルムを鋭意検討した結果、該フィルムの少なくとも片面に、脂肪族成分と芳香族成分の比が特定の直鎖型ポリエステルで構成された接着性改質層を積層することで上記目的を達成させることができた。すなわち本発明は、実質的にシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体からなり、架橋ポリスチレン粒子の滑剤を含有する延伸フィルムの少なくとも片面に、下記(a)を満足する水分散性直鎖型ポリエステルで構成された接着性改質層が積層された易接着シンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルムである。
(a)プロトンNMRで測定したケミカルシフト1.0ppm〜6.0ppmにあるプロトンの積算値Aと7.0ppm〜9.0ppmにあるプロトンの積算値Bから計算したB/(A+B)の比が、0.07〜0.25である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体としては、シンジオタクチック構造として側鎖のフェニル基又は置換フェニル基が核磁気共鳴法により定量されるタクティシティがダイアッド(構成単位が2個)で85%以上、ペンタッド(構成単位が5個)で50%以上のシンジオタケティック構造であるポリスチレン、ポリ(p-、m-またはo-メチルスチレン)、ポリ(2,4-、2,5-、3,4-または3,5-ジメチルスチレン)、ポリ(p-ターシャリーブチルスチレン)などのポリ(アルキルスチレン)、ポリ(p-、m-またはo-クロロスチレン)、ポリ(p-、m-またはo-ブロモスチレン)、ポリ(p-、m-またはo-フルオロスチレン)、ポリ(o-メチル -p-フルオロスチレン)などのポリ(ハロゲン化スチレン)、ポリ(p-、m-またはo-クロロメチルスチレン)などのポリ(ハロゲン置換アルキルスチレン)、ポリ(p-、m-またはo-メトキシスチレン)、ポリ(p-、m-またはo-エトキシスチレン)などのポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(p-、m-またはo-カルボキシメチルスチレン)などのポリ(カルボキシアルキルスチレン)、ポリ(p-ビニルベンジルプロピル)などのポリ(アルキルエーテルスチレン)、ポリ(p-トリメチルシリルスチレン)などのポリ(アルキルシリルスチレン)、さらにはポリ(ビニルベンジルジメトキシホスファイド)などが挙げられる。特にシンジオタクチックポリスチレンが好適である。
【0010】
本発明の実質的にシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体は、必ずしも単一化合物である必要はなく、アタクチック構造やアイソタクチック構造のポリスチレン系重合体との混合物や、共重合体およびそれらの混合物でもよいが、少なくとも40重量%以上はシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体から成るものである。
【0011】
また、本発明のシンジオタクチックポリスチレン系重合体は、重量平均分子量が10,000以上、さらに好ましくは50,000以上である。重量平均分子量が10,000未満のものでは、強伸度特性や耐熱性に優れた二軸延伸フィルムを得ることができない。重量平均分子量の上限については特に限定されるものではないが、1500,000以上では押出し機の負荷の増加、延伸張力の増加に伴う破断の発生などが生じるため好ましくない。
【0012】
本発明のシンジオタクチックポリスチレン系重合体には、本発明の効果を阻害しない範囲で、公知の各種添加材、例えば滑剤、顔料、熱安定化材、酸化防止剤、帯電防止剤、耐衝撃性改良剤等が添加されていてもよい。
滑剤としては、シリカ、二酸化チタン、タルク、カオリナイトなどの金属酸化物、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウムなどの金属塩または有機ポリマーからなる粒子など、シンジオタクチックポリスチレン系ポリマーに対し不活性な粒子が挙げられる。上記滑剤のいずれか一種を単独に用いても二種以上を併用してもよい。
【0013】
本発明のシンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルムは、公知の方法で製造することが出来る。例えば、ダイスからシンジオタクチックポリスチレン系樹脂をフィルム状に溶融押出し冷却固化して得た未延伸フィルムを、縦延伸および横延伸を順に行う逐次二軸延伸方法が適用できる。この他に、横・縦逐次二軸延伸法、縦・横・縦逐次延伸法、縦・縦・横逐次延伸法等の逐次延伸方法、縦延伸および横延伸を同時に行う同時二軸延伸方法などを採用することができ、要求される強度や寸法安定性などの諸特性に応じて延伸方法を選択できる。縦一軸延伸法、横一軸延伸法による一軸延伸フィルムでも構わない。延伸装置としては、ロール延伸機、テンター延伸機、インフレーション延伸機などを用いることができる。また、延伸後のフィルムは、熱固定処理、縦弛緩処理、横弛緩処理などの熱処理を行なうことが、熱寸法安定性および接着性などが向上する点で好ましい。
【0014】
水分散性直鎖型ポリエステルで構成された接着性改質層をシンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルムに設ける方法としては、例えば、水分散性直鎖型ポリエステルを含む水系塗布液を未延伸フィルムまたは一軸延伸フィルムに塗布・乾燥した後、次いで一軸方向または二軸方向に一回以上延伸した後、熱処理する方法(インラインコート法)が挙げられる。また、延伸・熱処理を実施したフィルムにインライン又はオフラインで水分散性直鎖型ポリエステルを含む水系の塗布液を塗布・乾燥しても構わない。インラインコート法は、安価に製造可能な他に、フィルムと接着性改質層の密着性が向上する点でも好ましい。
塗布方法としては、公知のコーティング方式が適用できるが、例えば、ロールコート法、エアーナイフ法、バーコート法が挙げられる。
【0015】
本発明の水分散性直鎖型ポリエステルにおける水分散性とは、水の割合が20重量%以上である水系塗布液中に可溶あるいは分散可能なポリエステルを意味している。水系塗布液の主成分は、例えば、アルカリ性水溶液、酸性水溶液、有機溶剤または界面活性剤などを含む水などである。直鎖型ポリエステルの水分散性は、例えば、ポリエステルの主鎖に親水性基を導入することで発現する。親水性基としては、-NH2基、-OH基、-CO2M基、-SO3M基(Mは水素、周期表第I、II、III族元素、アンモニウムなどのカチオンを示す)などが挙げられる。
【0016】
本発明における水分散性直鎖型ポリエステルは、ポリエステル中の共重合成分のうち脂肪族成分と芳香族成分の比が特定であり、下記(a)を満足する。
(a)プロトンNMRで測定したケミカルシフト1.0ppm〜6.0ppmにあるプロトンの積算値Aと7.0ppm〜9.0ppmにあるプロトンの積算値Bから計算したB/(A+B)の比が、0.07〜0.25である。
B/(A+B)の比が、0.07〜0.25の場合、シンジオタクチックポリスチレン系フィルムと接着性改質層との密着性が著しく向上する。
【0017】
B/(A+B)の比が0.25未満である必要があるのは、シンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルムの高度な規則性から生じる特異な疎水性表面と水分散ポリマー鎖中のメチレン鎖とが、親和性を発現する効果によるものと思われる。
一方、B/(A+B)の比が0.07以上である必要があるのは、0.07未満では接着性改質層自体の凝集力が小さくなりすぎるためと考えられる。
【0018】
本発明の水分散性直鎖型ポリエステルは、公知の方法で、ジカルボン酸及びその誘導体、ジオール及びその誘導体から重合することできるが、上記(a)を満足させる方法としては、例えば、ジカルボン酸成分について脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸の種類と比を適切に設定する方法が挙げられる。例えば、ジオールの主な成分として炭素数2〜6のジオールを用いた場合に、脂肪族ジカルボン酸成分を全ジカルボン酸成分の30〜70モル%、芳香族ジカルボン酸成分は全ジカルボン酸成分の70〜30モル%の割合で共重合すること方法が挙げられる。また、ジオール成分の種類と比でも制御可能である。
【0019】
脂肪族ジカルボン酸成分としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。尚、本発明においては、脂環族ジカルボン酸は、脂肪族ジカルボン酸に含むものとする。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。
【0020】
ジオールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−へキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエトラメチレングリコールなどが挙げられる。
また、オキシカプロン酸などのオキシカルボン酸成分を共重合しても構わない。
【0021】
水分散性を付与するための親水性基を持ったモノマーとしては、5−スルホイソフタル酸金属塩、スルホテレフタル酸金属塩などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
本発明の水分散性直鎖型ポリエステルの原料モノマーとしては、分子内に3個以上の官能基を持ったモノマーを使用してもよいが、積層フィルムのリサイクル性が悪化するので、ジカルボン酸、ジオール全モル数に対して3モル%以下であることが好ましい。
【0023】
水分散性直鎖型ポリエステルの分散体を得る方法としては、例えば極性溶剤と共に水に分散する方法が挙げられる。例えば、上記ポリエステルと極性溶剤とを50〜200℃で予め混合し、攪拌しながらこの混合物に水を加える方法、あるいは上記ポリエステルと極性溶剤と水とを共存させて40〜120℃で攪拌し分散する方法が挙げられる。極性溶剤としては、アルコール系、エステル系、ケトン系、アミド系などの溶剤を挙げることができる。また、極性溶剤の代わりにアルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキルナフタレンスルホン酸ソーダ、アルキルスルホン酸ソーダ、アルキルエーテルスルホン酸ソーダなどの界面活性剤を用いることもできる。上記極性溶剤と界面活性剤は、単独あるいは組み合わせて混合溶剤として使用することができる。上記方法で分散したポリエステルの水分散体は、更に水、あるいは水と極性溶媒の混合液で希釈して、フィルムへの水系塗布液とすることができる。上記希釈用極性溶媒としては、エチルアルコールやイソプロピルアルコールなどのアルコール類が挙げられる。
フィルムに塗布する際の塗布液中の水の濃度は、労働衛生性、火災・爆発の危険性などから20重量%以上が好ましく、更に好ましくは50重量%以上である。
【0024】
本発明の接着性改質層の厚みは、0.01μm〜5μmであり、好ましくは0.05μm〜1μmである。接着性改質層の厚みが薄すぎると十分な接着性が得られない。接着性改質層の厚みが厚すぎると、不必要に余計なコート剤や乾燥設備を必要とし経済的でない。また、接着性が悪化する場合も発生するので好ましくない。
【0025】
本発明の水分散性直鎖型ポリエステルは、単独で接着性改質層を形成し得るが、他の目的から汎用のポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、それらの共重合体、各種水分散樹脂などや各種機能性樹脂、例えば、ポリアニリンやポリピロールなどの導電性樹脂や抗菌性樹脂、紫外線吸収性樹脂、ガスバリアー性樹脂を混合して接着性改質層を形成してもかまわない。
更に、接着性改質層には、本発明の効果を損なわない範囲で、帯電防止剤、無機滑剤、有機滑剤、紫外線吸収剤などの添加剤を含有させることができる。
【0026】
本発明の接着性改質層は、印刷インキやシーラントラミネート用アンカー剤などとの密着性を十分持っているので、接着性改質層側にインキ層やラミネート層を設けた積層体を作製した場合に、積層体のラミネート強度やシール強度が著しく向上する。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例中で示される特性は、以下の方法で測定・評価したものである。
【0028】
(1)接着性改質層のプロトンNMR測定とB/(A+B)の比の計算
まず、ガーゼをソクスレー抽出器を用い湯浴温度95℃のもと清澄なアセトンで十分洗浄した後乾燥し、そのガーゼに微量のアセトンを付けフィルムの接着性改質層をこすり取った。そのガーゼからソクスレー抽出器を用い湯浴温度95℃アセトンのもと接着性改良層を抽出した後、アセトンを蒸発させ乾固した試料1mgを下記条件でプロトンNMR測定した。
(測定条件)
装置 :核磁気共鳴装置(BRUKER製AVANCE500)
測定溶媒 :重水素化クロロホルム/トリフルオロ酢酸=9/1(v/v)
1H共鳴周波数 :500MHz
積算回数 :512回
測定温度 :室温
【0029】
(2)フィルムと接着性改質層との密着性評価
次に示すテープ剥離試験によりシンジオタクチックポリスチレン系フィルムと接着性改質層との密着性を評価した。
ガラス板に50mm×60mmサイズの両面テープ(日東電材(株)製No.535A)を貼付け、その上に、接着性改質層が積層されたシンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルムを塗布面を上方にして貼付けた。次に、幅24mm、長さ100mmのセロハンテープ(ニチバン(株)製CT-24)の約半分を接着性改質層の面に貼付け、厚さ2mm、幅30mm、長さ100mmのポリテトラフルオロエチレン製板を折り曲げた曲面部分でセロハンテープの貼付けた部分を押しつけ密着させた後、手で90度方向にセロハンテープを急速剥離し、剥離箇所を目視で観察し、接着層が剥離しなかった場合を○、剥離した場合を×として、接着性改質層とシンジオタクチックポリスチレン系フィルムとの密着性の良否を判断した。
【0030】
(2)印刷性の評価
次に示す評価方法に従い、シンジオタクチックポリスチレン系フィルムの印刷性(インキの濡れ性と密着性)を評価した。
A−4サイズ(210mm×297mm)の試験片を準備し、その試験片の接着性改質面側にグラビアインキ(東洋インキ製造(株)製NEWファインR39藍)を厚み3μm塗布し、90℃、120秒間乾燥した。なお、試験用グラビアインキには、市販のグラビアインキを希釈溶剤(東洋インキ製造(株)製NF102)で希釈し、粘度調整したものを用いた。グラビアインキの粘度は、#3ザーンカップを用いて測定し、粘度17秒となるように粘度調整した。以上の評価で、インキのはじきのないものを○、はじきのあるものを×とした。更にインキ層の密着性を(1)と同様の剥離試験によって評価した。剥離しないものを○、剥離するものを×とした。
【0031】
(水分散性直鎖型ポリエステルの合成と水系塗布液の作製)
ジメチルテレフタレート126重量部、アジピン酸ジメチル93重量部、エチレングリコール98重量部、ジエチレングリコール112重量部、酢酸亜鉛0.08重量部、三酸化アンチモン0.08重量部を反応容器内で40〜220℃に昇温させて3時間エステル交換反応させ、次いで5-ナトリウムスルホイソフタル酸7重量部を添加して220〜260℃で1時間エステル化反応させ、更に減圧下(10〜0.2mmHg)で2時間重縮合反応を行い、平均分子量が約20000の表1記載の共重合組成である共重合ポリエステルを得た。この共重合ポリエステル300重量部とn-ブチルセロソルブ140重量部とを容器内で150〜170℃で約3時間攪拌して、均一な溶液とし、80℃に降温したこの溶液に攪拌しながら水560重量部を除々に添加し固形分濃度30重量%の乳白色の水分散体を得た。この水分散体を更に、固形分濃度10重量%になるように水:イソプロピルアルコール=9:1(重量比)で希釈して塗布液を調製した。
【0032】
(実施例1)
滑剤として平均粒子径2μmの架橋ポリスチレン粒子をシンジオタクチックポリスチレン(重量平均分子量300,000)100重量%に対して2.0重量%添加したポリマーチップと滑剤の添加されていないポリマーチップを重量比で1対9の割合で混合した後、乾燥し、295℃で溶融し、500μmのリップギャップのTダイから押し出し、40℃の冷却ロールにエアナイフ法により密着・冷却固化し、240μmの未延伸フィルムを得た。
未延伸フィルムをまずロールにより110℃に予熱し、120℃に加熱した速度差のあるロール間で縦方向に3.3倍延伸し、ついで150℃のセラミックロールと40℃の金属ロールの間で12%縦弛緩処理を行い、ついで前記の塗布液をエアナイフコート方式で塗布し、70℃の熱風で乾燥し、さらにテンターでフィルムを110℃に予熱し、横方向に延伸温度120℃で3.5倍延伸し、230℃で10秒間熱固定した。その後、230℃で5%横弛緩処理し、さらに220℃のセラミックロールと40℃の金属ロールの間で3%縦弛緩処理し、フィルム厚み20μmの二軸延伸シンジオタクチックポリスチレンフィルムを得た。最終的なコート剤塗布量は0.1g/m2であった。得られた該シンジオタクチックポリスチレンフィルムの評価結果を表1に示した。
【0033】
【表1】
Figure 0004296466
【0034】
(実施例2)
水分散性直鎖型ポリエステルとして表1記載の共重合組成のものを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、シンジオタクチックポリスチレンフィルムを作製し、得られたフィルムの評価結果を表1に示した。
【0035】
(比較例1)
水分散性直鎖型ポリエステルとして表1記載の共重合組成のものを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、シンジオタクチックポリスチレンフィルムを作製し、得られたフィルムの評価結果を表1に示した。
【0036】
(比較例2)
水分散性直鎖型ポリエステルとして実施例2に用いた水分散性直鎖型ポリエステルと比較例1で用いた水分散性直鎖型ポリエステルを1:2の重量比で用いた以外は、実施例1と同様の方法で、シンジオタクチックポリスチレンフィルムを作製し、得られたフィルムの評価結果を表1に示した。
【0037】
(比較例3)
接着性改質層を塗布しない以外は、実施例と同様の方法で、シンジオタクチックポリスチレンフィルムを作製し、その得られた該フィルムの評価結果を表1に示した。
【0038】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明は特許請求の範囲に記載のとおりの構成を採用することにより、シンジオタクチックポリスチレン系フィルムと接着性改質層との密着性に優れたシンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルムが提供される。また、フィルム製造工程においてインラインコート法で接着性改質層を積層でき経済的である。また、できたフィルムのリサイクルも可能である。

Claims (2)

  1. 実質的にシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体からなり、架橋ポリスチレン粒子の滑剤を含有する延伸フィルムの少なくとも片面に、下記(a)を満足する水分散性直鎖型ポリエステルで構成された接着性改質層が積層された易接着シンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルム。
    (a)プロトンNMRで測定したケミカルシフト1.0ppm〜6.0ppmにあるプロトンの積算値Aと7.0ppm〜9.0ppmにあるプロトンの積算値Bから計算したB/(A+B)の比が、0.07〜0.25である。
  2. 水分散性直鎖型ポリエステルで構成された接着性改質層が、水分散性直鎖型ポリエステルを含む水系塗布液を実質的にシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体からなる未延伸フィルム又は一軸延伸フィルムに塗布した後、次いで一軸方向又は二軸方向に一回以上延伸した後、熱処理することによって形成されたことを特徴とする請求項1に記載の易接着シンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルム。
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