JP4296243B2 - 仮想タグシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、仮想タグシステムに関し、特に、電子タグ応用システムの開発環境を実現するために、電子タグ(非接触型ICカードまたは非接触型ICタグ)と電子タグ読取書込装置の動作をコンピュータでシミュレートする仮想タグシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
非接触型ICカードや非接触型ICタグが、物流分野をはじめとして、多くの分野で利用されるようになってきた。以下、非接触型ICカードと非接触型ICタグを総称して、単に電子タグと呼ぶことにする。電子タグを各分野で有効に利用するためには、その分野に適した電子タグとその応用プログラムを開発する必要がある。電子タグ応用システムの開発においては、実使用環境に近い開発環境を設定して、その開発環境のもとで電子タグとその応用プログラムを開発している。以下、従来の電子タグ応用システム開発環境の例をいくつか説明する。
【0003】
図6(a)は、従来例1の電子タグ応用システム開発環境の構成を示す図である。図6(a)の開発システムでは、コンピュータ6に、電子タグの読取書込装置5が接続されている。読取書込装置5には、アンテナ1が接続されている。アンテナ1の通信圏内に、電子タグ2a,2b,2cが置かれている。コンピュータ6を操作し、読取書込装置5を介して、電子タグ2a,2b,2cの内部情報を操作しながら、電子タグ応用システムの開発を行う。図6(b)は、読取書込装置5の内部構成を示す図である。読取書込装置5の外部インタフェース7と制御装置8aと通信ユニット9aと記憶装置10aは、情報伝達路11aを介して相互に接続されている。外部インタフェース7は、コンピュータ6と接続する手段である。通信ユニット9aは、アンテナ1と接続される送受信回路である。図7(a)は、読取書込装置5内の制御装置8aの動作手順を示す流れ図である。電子タグ応用システムの開発者が、コンピュータ6により、制御情報を読取書込装置5に送ると、読取書込装置5の制御装置8aは、制御情報を記憶装置10aに保存する。制御装置8aは、制御情報に基いて、電子タグ2a,2b,2cに送るべき通信文を編集する。編集された通信文は、通信ユニット9aとアンテナ1を介して、アンテナ1の通信圏内にある電子タグ2a,2b,2cに送られる。一般に、電子タグの通信周波数は、同一の電子タグに対して1つしか用意されないので、通信文は、論理情報一つ一つに分解されて、順次送信される。全ての論理情報が送信されると、動作を停止し、電子タグ2a,2b,2cからの応答を待つ。
【0004】
図6(c)は、電子タグ2a,2b,2cの内部構成を示す図である。電子タグは、制御装置8bと、通信ユニット9bと、記憶装置10bと、情報伝達路11bと、タグ内部アンテナ12を有する。制御装置8bと、通信ユニット9bと、記憶装置10bと、タグ内部アンテナ12は、情報伝達路11bを介して相互に接続されている。図7(b)は、電子タグの制御装置8bの動作手順を示す流れ図である。電子タグでは、アンテナ1より通信文が発せられると、論理情報一つ一つを、通信ユニット9bがタグ内部アンテナ12を介して受信する。これらの論理情報を、制御装置8bが蓄積して編集することにより、通信文を復元して解読する。制御装置8bは、取得した通信文の内容に基づき、記憶装置10bの記憶情報を取得したり、書き換えたり、情報を保存したりする。必要であれば、読取書込装置5への応答文を編集して、通信ユニット9bとタグ内部アンテナ12を介して、読取書込装置5に向け送信する。通信文は、論理情報一つ一つに分解されて順次送信される。このようにして、電子タグ2a,2b,2cのいずれかにより送信された通信文は、アンテナ1を介して、読取書込装置5の通信装置9aにより受信される。制御装置8aが、受信論理情報を記憶装置10aに蓄積して再生し解読する。受信情報に基づき、コンピュータへ返信する制御応答の編集を行う。外部インタフェース7を介して、コンピュータ6に、制御情報への応答を送ることにより、一連の動作を完結する。
【0005】
電子タグ応用システムの開発者は、コンピュータ6を操作して、電子タグ2a,2b,2cの内部情報を操作することにより、電子タグ応用システムの開発を進める。電子タグが動的な環境にあれば、一部の電子タグがアンテナ1の通信圏を外れる。静的な環境においても、複数の電子タグが同時に応答して混信を発生する。このように、内部情報操作が不可能になる条件を検出して、電子タグ応用システムが、各種の状況下においても正常な動作を行なうように設計している。電子タグ応用システムの開発においては、こうした通信障害への対応は極めて重要な課題である。性能を左右する要因となるので、多くの検証を必要とする。読取書込装置からの通信に対する、同一通信圏内にある複数の電子タグからの応答は、時間軸上に確率的に分散するように設計されている。そのため、頻繁に電子タグ相互の混信が生ずる。同じ通信圏内に多くの電子タグが居るほど、混信が起こり易くなる。電子タグ応用システムの開発段階でも、検証用に多くの電子タグを取り扱わなければならない。
【0006】
電子タグの送受信性能は、相互干渉により変動する。これらの性能変動は、電子タグ相互の位置関係に依存する。多くの電子タグの相対位置を、常に安定的に再現することは難しい。電子タグを一定の位置に固定する固定装置等を必要とすることになる。こうした固定装置は、材質により電波伝播に影響を及ぼす。固定装置を用いたことで、現実の動作が再現されなくなるといった障害も発生する。特段の処置をとらない限り、読取書込装置5の動作履歴が残らず、アンテナ1の通信圏内の通信情報履歴等も残らない。何らかの事象が発生した場合でも、発生順序の解析手段が無い。
【0007】
従来例2を説明する。電子タグへの情報提供方法として、複数の電子タグに同一の呼出名を与え、読取書込装置からは共通の制御情報を与え、複数の電子タグの保有情報を同時に書き換える方法がある。このような方法を利用するシステムの開発には、それに対応した開発環境が必要となる。このような開発環境の例を説明する。図8(a)は、従来例2の電子タグ応用システム開発環境の構成を示す図である。アナテナ1、電子タグ2a、2b、2c、電子タグの読取書込装置5を有する。アンテナ1は、読取書込装置5に接続されている。電子タグ2a,2b,2cは、アンテナ1の通信圏内を通過している。また、電子タグ2a,2b,2cは、共通の呼出名を持っている。図8(b)は、電子タグ読取書込装置の内部構成を示す図である。読取書込装置は、制御装置8a、通信ユニット9a、記憶装置10a、情報伝達路11aを有する。制御装置8a、通信ユニット9a、記憶装置10aは、情報伝達路11aを介して相互に接続されている。通信ユニット9aは、アンテナ1と接続される。記憶装置10aには、電子タグ2a,2b,2cに共通に書き込む情報が記憶されている。この情報を便宜上「放送情報」と称する。図8(c)は、電子タグ読取書込装置の制御装置8aの動作手順を示す流れ図である。制御装置8aは、情報伝達路11aを介し、記憶装置10aから放送情報を取得する。電子タグ2a,2b,2cの共有呼出名等を付け加え、電子タグ2a,2b,2cが理解できる放送文に編集する。これを、情報伝達路11aと通信ユニット9aとアンテナ1を介して送信する。電子タグ2a,2b,2cは、共通に図6(c)の構成を有する。制御装置8aは、図8(d)の動作手順で動作する。電子タグ2a,2b,2cは、アンテナ1の通信圏内を通過する際に、制御装置5の送信する放送文を取得する。この放送文より放送情報を取得し、記憶装置10bに記録する。
【0008】
商品等が異なるコード体系に移動する際に、情報を一気に切り替えられるよう、仮想アドレス情報を放送文として送る。電子タグは、仮想アドレス情報を自ら書き換え、新コード体系に適応させる際に用いる。電子タグ2a,2b,2cは、物流装置や搬送装置等に載せられ、大量に移動される環境の中で、アンテナ1の通信圏内を通過することにより、自らの内部情報を書き換える。通過の経路や速さ等が限度を超えると、放送文の取得や放送情報の保存に失敗する。電子タグ応用システムが物流センター等に置かれるものであれば、電子タグ応用システムの開発者は、このような環境の中に多くの電子タグを持ち込み、試験運用しなければ、当該システムの開発ができない。こうした物流装置や搬送装置は高価であり、大きな設置空間を必要とする。設置直後から膨大な維持費がかかるが、新規に開発するシステムでは、事前に試験運用を行う環境が得られない。こうした維持費を消化する中で応用システム開発をしなければならないという経済的負担が生じる。試験運用が行える環境が得られ、多量の電子タグを試験運用にかけた場合においても、結果は、電子タグの記憶装置にのみ残るため、結果の良否を判定するためには、別途専用の装置が必要となる。また、こうした良否判定において、不具合の発生を検知したとしても、大量の電子タグを、物流装置や搬送装置で動かしているため、どのような動きにより不具合に至ったのかが把握できない。
【0009】
従来例3を説明する。図9は、従来例3の電子タグ応用システム開発環境の構成を示す図である。アナテナ1b,1c,1d、電子タグ2a〜2i、電子タグ読取書込装置5a,5b,5c、コンピュータ6を有する。アンテナ1b,1c,1dは、読取書込装置5a,5b,5cにそれぞれ接続されている。読取書込装置5a,5b,5cは、それぞれコンピュータ6に接続されている。電子タグ2a〜2iは、アンテナ1b,1c,1dの通信圏内に置かれている。アンテナ1b,1c,1dは、物品の保管棚に取り付けられている。電子タグ2a〜2iは、非保管物品に取り付けられている。棚に保管される物品の管理に供されるシステムの開発環境である。読取書込装置5a,5b,5cの動作は、読取書込装置5と同様である。管理対象となる棚の数が多くなれば、取り扱う読取書込装置や電子タグの数は膨大となるので、配置したり移動したりすることが、極めて困難になる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の電子タグ応用システム開発環境では、以下のような問題がある。
(1)通信障害等の検証において、多くの電子タグを物理的に取り扱わなくてはならない。
(2)電子タグの通信性能は、相互の干渉等に影響されるため、通信障害等の再現には、厳密な位置関係の再現が必要となる。大量の電子タグを用いる応用システムの開発においては、多数の固定装置等を用いなければならない。
(3)固定装置の材質等により、電子タグの通信性能が影響を受ける。厳密な位置関係を再現しても、固定装置の無い実使用状態の再現が困難である。
(4)大量の電子タグを、固定装置により固定するには、相応の空間を要する。大規模応用システム開発には、大規模な空間を要する。
(5)物流装置や搬送装置等の動的空間で電子タグが使われる場合には、単なる固定具ではなく、移動動作を再現する装置が必要である。実使用環境でなければ応用システムの開発が困難である。開発環境の維持自身に経済的負担を生じる。
(6)電子タグと読取書込装置間での通信状況に関して、履歴が残らない。複雑な動作の後に、何らかの不具合が発生したとしても、その経緯を解析する手段が無い。
【0011】
本発明は、上記従来の問題を解決して、多くの電子タグを物理的に取り扱うことなく、電子タグ応用システムの開発ができるようにすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明では、電子タグ読取書込装置の動作を模擬するリーダライタエミュレータと、電子タグの動作を模擬するタグエミュレータと、無線回線の状態を模擬する無線回線エミュレータとを具備する仮想タグシステムのリーダライタエミュレータに、電子タグ利用プログラムと通信する手段と、無線回線エミュレータと通信する手段と、有効通信文と無効通信文とを処理する手段とを備え、タグエミュレータに、無線回線エミュレータと通信する手段と、有効通信文と無効通信文とを処理する手段とを備え、無線回線エミュレータに、リーダライタエミュレータおよびタグエミュレータと通信する手段と、有効通信文と無効通信文を処理する手段とを備える構成とした。このように構成したことにより、多くの電子タグを物理的に取り扱うことなく、電子タグ応用システムの開発ができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図5を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態は、応用プログラムからリーダライタエミュレータに送出される制御情報に基づき、リーダライタエミュレータが実際の電子タグ読取書込装置と等価な処理を行って、無線回線エミュレータを介してタグエミュレータに質問通信文を送出し、タグエミュレータが実際の電子タグと等価な処理を行って質問通信文を処理し、回答通信文を、無線回線エミュレータを介してリーダライタエミュレータに送出し、リーダライタエミュレータで応用プログラムに応答する仮想タグシステムである。
【0015】
図1は、本発明の第1の実施の形態における仮想タグシステムの構成を示す概念図である。従来例1の電子タグ応用システム開発環境を等価的に再現したものである。図1において、応用プログラム101は、電子タグのデータを読み取ったり、電子タグにデータを書き込んだりして、電子タグを利用するプログラムである。リーダライタエミュレータ102は、電子タグ読取書込装置の動作を模擬するエミュレータである。リーダライタエミュレータは、1台分でも複数台分でもよい。タグエミュレータ103,104,105は、電子タグの動作を模擬するエミュレータである。タグエミュレータは、1台分でも複数台分でもよい。無線回線エミュレータ106は、電子タグ読取書込装置と電子タグの間の無線通信路の状態を模擬するエミュレータである。無線回線エミュレータは、1台分でも複数台分でもよい。無線回線エミュレータが複数台分の場合とは、複数の無線チャネルを利用する場合などである。
【0016】
図2(a)は、本発明の第1の実施の形態における仮想タグシステムのリーダライタエミュレータの処理手順を示す流れ図である。応用プログラムから制御情報を取得する制御情報取得ステップと、制御情報に基づいてタグエミュレータに対する質問通信文を作成する質問通信文編集ステップと、質問通信文をタグエミュレータに送信する質問通信文送出ステップと、タグエミュレータから回答通信文を取得する回答通信文取得ステップと、応用プログラムからの制御情報に対する応答を作成する制御応答編集ステップと、制御情報に対する応答を応用プログラムに送出する制御情報応答ステップとで、リーダライタ処理手順を構成している。リーダライタ処理手順は、電子タグ読取書込装置の動作手順と等価な手順である。質問通信文送出ステップで送信される質問通信文の有効フラグは、質問通信文の実質情報が存在する場合に「有効」となる。質問通信文のフォーマットは、実際の電子タグ読取書込装置の処理手順において、通信文を1ビットずつシリアルに送信する場合と同じフォーマットである。回答通信文取得ステップでは、有効フラグが「有効」となっている回答通信文を取得すると、それを取り込んで処理する。質問通信文と回答通信文とを総称して単に通信文ともいう。有効フラグが「有効」となっている通信文を有効通信文とよぶ。有効フラグが「無効」となっている通信文を無効通信文とよぶ。無効通信文は、実際の通信では、実質情報が存在しない通信文(エラーや干渉やノイズで無意味となった通信文など)と、電波を出していない状態(応答が無い状態など)とに対応する。
【0017】
図2(b)は、タグエミュレータの処理手順を示す流れ図である。リーダライタエミュレータから質問通信文を取得する質問通信文取得ステップと、質問通信文を解読する質問通信文解読ステップと、リーダライタエミュレータへの回答通信文を作成する回答通信文編集ステップと、リーダライタエミュレータへの回答通信文を送出する回答通信文送出ステップとで、タグエミュレータの処理手順を構成している。タグエミュレータの処理手順は、実際の電子タグの処理手順と等価な手順である。質問通信文取得ステップでは、有効フラグが「有効」になっている質問通信文を取得したときに、その質問通信文を取り込む。回答通信文送出ステップでは、回答通信文の実質情報が存在する場合に有効フラグが「有効」とされて送出される。
【0018】
図2(c)は、無線回線エミュレータの処理手順を示す流れ図である。通信文取得ステップでは、リーダライタエミュレータからの質問通信文と、タグエミュレータからの回答通信文を取得する。通信文送出ステップでは、リーダライタエミュレータへの回答質問文と、タグエミュレータへの質問通信文を送出する。通信文記録ステップでは、質問通信文と回答通信文を記録する。通信文送出ステップでは、通信文取得ステップで取得した複数の通信文のうちの一つの有効フラグのみが「有効」の場合に、その通信文を有効として送出する。
【0019】
上記のように構成された本発明の第1の実施の形態における仮想タグシステムの動作を説明する。最初に、図1を参照しながら、仮想タグシステムの機能の概要を説明する。リーダライタエミュレータ102は、電子タグ読取書込装置の動作を模擬する。リーダライタエミュレータ102は、応用プログラム101から送られてくる制御情報を、図2の処理手順に従って取得する。リーダライタエミュレータ102は、この制御情報に基づき、タグエミュレータ103〜105に向けて送信する質問通信文を編集する。この手順は、電子タグ読取書込装置の処理手順と等価なものである。質問通信文も、電子タグ読取書込装置が編集する通信文と等価なものとなる。実際の電子タグ読取書込装置が通信文を送信する場合と同様に、質問通信文を1ビットずつシリアルに送出する。質問通信文送出ステップでは、質問通信文に実質情報が存在する場合には、有効フラグを「有効」にして送出される。実質情報が無い場合は、有効フラグを「無効」にして送出される。全ての質問通信文を送出し終わると、他のエミュレータからの応答を待ち受ける。
【0020】
リーダライタエミュレータ102により送出された質問通信文は、タグエミュレータ103〜105により送出された回答通信文とともに、無線回線エミュレータ106に読み取られる。リーダライタエミュレータ102が、有効な質問通信文を送出している間に、タグエミュレータ103〜105が、有効な回答通信文を送出しなければ、無線回線エミュレータ106は、リーダライタエミュレータ102のみから有効な質問通信文を取得することになる。図2(a)の手順に従って、リーダライタエミュレータ102が送出した質問通信文を、有効な質問通信文として、タグエミュレータ103〜105に送出する。この過程は、質問通信文とともに、無線回線エミュレータ106に記録される。
【0021】
無線回線エミュレータ106からの質問通信文は、リーダライタエミュレータ102とタグエミュレータ103〜105に送出される。リーダライタエミュレータ102は、自己の送出質問通信文であるので無視する。タグエミュレータ103〜105が、質問通信文を取得する。タグエミュレータ103〜105は、電子タグの動作を模擬する。タグエミュレータ103〜105は、この質問通信文を取得すると、図2(b)の処理手順に従って応答する。実際の電子タグと同様に、取得した質問通信文を解読して、回答通信文を編集する。回答通信文を、1ビットずつシリアルに送信する。実質情報が存在するときは、有効フラグを「有効」にして回答通信文を送出し、実質情報が無いときは、有効フラグを「無効」として回答通信文を送出する。
【0022】
タグエミュレータ103〜105により送出された回答通信文は、再び図2(c)の処理手順に従い、無線回線エミュレータ106により取得され、リーダライタエミュレータ102とタグエミュレータ103〜105へ送出される。この際にも、リーダライタエミュレータ102とタグエミュレータ103〜105の送出通信文のいずれか一つが有効であれば、有効な通信文として送出される。同時に複数の有効通信文があれば、すべての通信文の有効フラグが「無効」とされる。この過程は、無線回線エミュレータ106に記録される。
【0023】
タグエミュレータ103〜105の1つが、有効な回答通信文を送出する間に、他のエミュレータが無効な通信文を送出する場合には、有効な回答通信文のみが、無線回線エミュレータ106により、リーダライタエミュレータ102とタグエミュレータ103〜105に送出される。その回答通信文は、電子タグからの情報と等価であるため、タグエミュレータ103〜105には無視され、リーダライタエミュレータ102のみが取得して処理する。リーダライタエミュレータ102は、回答通信文取得ステップにおいて、回答通信文を待ち受けているので、無線回線エミュレータ106の送出した回答通信文を取得する。この回答通信文に基づいて制御応答を編集し、制御情報への応答として応用プログラム101に応答を返す。
【0024】
図1に示す仮想タグシステムでは、応用プログラム101からリーダライタエミュレータ102に送出される制御情報に基づき、リーダライタエミュレータ102が、電子タグ読取書込装置と等価な処理により、タグエミュレータ103〜105に質問通信文を送出する。タグエミュレータ103〜105が、電子タグと等価な処理により、質問通信文を処理する。質問通信文に対する回答通信文は、リーダライタエミュレータ102により、電子タグ読取書込装置と等価な処理を受けた後、応用プログラム101に応答として返される。このようにして、電子タグ読取書込装置と電子タグ間の通信を再現することができる。無線回線エミュレータ106は、複数のエミュレータが同時に有効な通信文を送出とした場合、すべての通信文を無効とする。すなわち、電子タグ読取書込装置と電子タグの間の通信が重複するような場合には、通信文を無効とするので、実際の電子タグ通信における重複障害も再現している。
【0025】
この仮想タグシステムによれば、電子タグ応用システム開発者は、物理的な電子タグと電子タグ読取書込装置等を扱う必要がない。電子タグ固定装置や広い空間等を用いずに、電子タグ応用システムの開発を進めることができる。無線回線エミュレータは、通信文の処理過程を記録しているので、電子タグ応用システム開発に当たり、各エミュレータの動作経緯や履歴を解析するために必要な情報を得ることができ、効率的に電子タグ応用システムを開発できる。
【0026】
上記のように、本発明の第1の実施の形態では、仮想タグシステムを、応用プログラムからリーダライタエミュレータに送信される制御情報に基づき、リーダライタエミュレータが実際の電子タグ読取書込装置と等価な処理を行って、無線回線エミュレータを介してタグエミュレータに質問通信文を送出し、タグエミュレータが実際の電子タグと等価な処理を行って質問通信文を処理し、回答通信文を、無線回線エミュレータを介してリーダライタエミュレータに送出し、リーダライタエミュレータで応用プログラムに応答する構成としたので、多くの電子タグを物理的に取り扱うことなく、電子タグ応用システムの開発ができる。
【0027】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態は、タグエミュレータが、無線回線エミュレータを介して、リーダライタエミュレータから放送文を取得する場合に、仮想的な電子タグ読取書込装置と仮想的な電子タグとの相対的位置関係パラメータの値を閾値と比較する関数の値に基づいて、無線回線エミュレータで放送文を有効または無効とする仮想タグシステムである。
【0028】
図3は、本発明の第2の実施の形態における仮想タグシステムの構成を示す概念図である。従来例2の電子タグ応用システム開発環境を、等価的に再現したものである。図3において、リーダライタエミュレータ102は、電子タグ読取書込装置の動作を模擬するエミュレータである。タグエミュレータ103,104,105は、電子タグの動作を模擬するエミュレータである。無線回線エミュレータ106は、電子タグ読取書込装置と電子タグの間の無線通信路の状態を模擬するエミュレータである。リーダライタエミュレータ102の送出する情報は、無線回線エミュレータ106を介して、タグエミュレータ103〜105に送出されるように接続されている。
【0029】
図4(a)は、リーダライタエミュレータ102の動作手順を示す流れ図である。放送情報取得ステップは、応用プログラムから、タグエミュレータに放送すべき情報を取得するステップである。放送文編成ステップは、放送情報に基づいて放送文を作成するステップである。放送文送出ステップは、タグエミュレータに向けて放送文を送出するステップである。放送情報取得ステップと放送文編集ステップでは、電子タグ読取書込装置の有する放送情報処理手段と等価な処理を行う。放送文送出ステップでは、放送文を1ビットずつシリアルに送出する。放送文の有効フラグは、実質情報が存在する場合に「有効」とされる。
【0030】
図4(b)は、タグエミュレータ103〜105の動作手順を示す流れ図である。放送文取得ステップは、リーダライタエミュレータ102の送出する放送文を取得するステップである。放送文解読ステップは、放送文を解読して放送情報を得るステップである。放送文保存ステップは、放送情報をメモリに格納するステップである。放送文取得ステップでは、放送文に含まれる関数の値が一定の閾値に達した場合に、放送文を無効とする。放送文解読ステップと放送情報保存ステップでは、電子タグの有する放送情報の処理手段と等価な処理を行う。放送文取得ステップでは、有効フラグが「有効」である場合に、放送文を取り込む。
【0031】
図5は、電子タグ読取書込装置のアンテナ1と電子タグ2との相対位置関係を示す図である。図5(a)に示すように、アンテナ1と電子タグ2は、ともに長方形である。アンテナ1の中心を原点とし、アンテナ1の2辺と平行な2軸(X軸、Z軸)を有する3次元空間の中に、電子タグ2は、その2辺がX軸とZ軸に平行になるように配置されている。電子タグ2の中心の座標は、(x,y,z)である。アンテナ1は、アンテナ1は、電子タグとの通信が可能な通信圏3を形成している。通信圏3は、幅2・W、高さ2・H、奥行き2・Dの立方体(W=H=D)である。電子タグ2は、その中心が通信圏3の中にある場合は、アンテナ1からの信号を受信できる。通信圏3の外にある場合には、受信ができない。
【0032】
上記のように構成された本発明の第2の実施の形態における仮想タグシステムの動作を説明する。最初に、図3を参照しながら、仮想タグシステムの機能の概要を説明する。リーダライタエミュレータ102は、電子タグ読取書込装置の動作を模擬して、応用プログラムから、タグエミュレータに放送すべき情報を取得する。無線回線エミュレータ106は、電子タグ読取書込装置と電子タグの間の無線通信路の状態を模擬して、リーダライタエミュレータ102から放送文を取得し、タグエミュレータ103〜105に向けて放送文を送出する。タグエミュレータ103,104,105は、電子タグの動作を模擬して、放送文を取得して保存する。無線回線エミュレータ106が取得する放送文は、リーダライタエミュレータ102が送出する放送文のみである。無線回線エミュレータ106は、リーダライタエミュレータ102の送出する放送文を取得して、タグエミュレータ103〜105に送出する。タグエミュレータ103〜105が、直接、リーダライタエミュレータ102の送出する放送文を取得する場合と等価であるため、以後の説明においては、無線回線エミュレータ106の動作についての記述は省略する。
【0033】
図4を参照しながら、リーダライタエミュレータとタグエミュレータの動作手順を説明する。仮想タグシステムにおいて、リーダライタエミュレータ102が、応用プログラムから放送情報を取得すると、リーダライタエミュレータ102は、図4(a)の処理手順に従い、タグエミュレータ103〜105に向けて送出する放送文を編集する。この手順は、電子タグ読取書込装置の放送情報の処理手順と等価なものである。編集される放送文も、電子タグ読取書込装置の編集する放送文と等価なものとなる。電子タグの読取書込装置が、アンテナの通信圏内に放送文を送信する場合と同様に、編集された放送文は、1ビットずつシリアルに送出される。図4(a)の放送文送出ステップでは、実質情報が存在する場合には有効フラグを「有効」にする。実質情報が無い場合は、有効フラグを「無効」とする。
【0034】
送出された放送文は、タグエミュレータ103〜105に取得される。図4(b)の放送文取得ステップでは、有効な放送文が得られると、その放送文を取り込む。タグエミュレータは、図4(b)の処理手順に従い、放送文を解読して、放送情報を保存する。この処理は、電子タグが行う放送文の処理と等価である。保存される放送情報も、電子タグの保存する放送情報と等価となる。仮想タグシステムでは、リーダライタエミュレータ102が、電子タグ読取書込装置と等価な処理により送出する放送文を、タグエミュレータ103〜105が、電子タグと等価な処理により取得して、放送情報を保存する。このようにして、電子タグ読取書込装置から電子タグへの放送を再現することができる。
【0035】
図4(b)の放送文取得ステップにおいて、パラメータの値が一定の閾値に達した場合に、放送文を無効とする方法について説明する。仮想タグシステムにおけるタグエミュレータ102の放送文取得ステップにおいて、
F(|W|,|x|) and F(|H|,|y|) and F(|D|,|z|) (1)
(ただし、F(a,b)はa>bの時に真理値1(真)となる関数である。)
という関数の値を計算する。式(1)の真理値が0(偽)の場合、放送文を無効とする。
【0036】
仮想タグシステムでは、リーダライタエミュレータ102は、電子タグ読取書込装置における放送文の処理と等価な処理を行い、電子タグ読取書込装置を仮想的に再現する。タグエミュレータ103〜105も同様に、電子タグを仮想的に再現する。タグエミュレータ103〜105により模擬される電子タグを、リーダライタエミュレータ102により模擬される電子タグ読取書込装置のアンテナから一定の距離だけ離れた位置に置くことは、タグエミュレータ103〜105の放送文取得ステップで、電子タグの位置を示す座標(x,y,z)を与えることにより実現できる。電子タグの位置が、電子タグ読取書込装置の通信圏内にあれば、式(1)の真理値は1となり、放送文は有効となる。電子タグの位置が通信圏を外れれば、式(1)の真理値は0となり、放送文は無効とされる。図3の仮想タグシステムにより、電子タグ読取書込装置と電子タグの相対位置による動作状況を再現することができる。
【0037】
式(1)の変数(x,y,z)を、時間tの関数として定義すれば、式(1)は、
F(|W|,|x(t)|) and F(|H|,|y(t)|) and F(|D|,|z(t)|) (2)
として表現される。タグエミュレータにより模擬される電子タグの相対位置を、時間とともに変化させることができる。電子タグが、電子タグ読取書込装置の通信圏内を移動して通過する場合は、その移動速度や通過経路により、電子タグが放送文を受信して保存するのに必要な時間だけ通信圏内に留まっているか否かにより、動作結果が異なることになる。こうした動作は、時間により変化する式(2)の真理値に応じて、放送文取得ステップで放送文を無効にすることにより、再現できる。電子タグ応用システムの開発者は、仮想タグシステムの中で、電子タグの位置と動きを規定し、その結果を検証することができる。物流装置や搬送装置等の動的空間における電子タグ応用システムの開発においても、現実の物流装置や搬送装置を用いずに、電子タグ応用システムの開発ができる。同一の動作を繰り返し検証する場合においても、安定した電子タグの動作を容易に再現することができる。
【0038】
式(1)において、W,H,Dは、アンテナ1と電子タグ2の通信限界距離を与える閾値となっている。この閾値に、平均x、分散sを有するN個の標本値を与える確率関数g(x,s,n)(nはN以下の整数)を代入する。式(1)は、
F(|g(W,Sw,n)|,|x|) and F(|g(H,Sh,n)|,|y|) and F(|g(D,Sd,n)|,|z|) (3)
となる。演算毎に、nにN以下の任意の乱数を与えれば、閾値すなわち通信圏の大きさが変動する。X,Y,Z軸毎の平均値は、W,H,Dであり、分散は、Sw,Sh,Sdとすることができる。電子タグが複数用いられる場合、その製造上の固有差により、一律に通信感度を規定することが困難な場合も多い。こうした場合、電子タグの通信感度ばらつきを、式(3)の平均値W,H,D、分散Sw,Sh,Sdとして標本化しておけば、演算毎にその結果を変動させることができる。通信特性に固有差がある複数の電子タグを、一つのエミュレータで表現することができる。
【0039】
通信圏3を立方体と仮定してきたが、実際の通信圏は必ずしも立方体とは限らない。こうした場合、座標x,zにおける通信圏3の高さhを、x,zの関数として与える方法がある。タグエミュレータの放送文取得ステップに与えられる関数は、
F(|h(x,z)|,|y|) (4)
となる。式(4)を変形し、
F(1,|h(x,z)|/y|) (5)
とすれば、閾値は正規化され、1となる。ここで、この閾値から相対的な雑音レベル(平均Na、分散Sn)を示す関数N(Na,Sn,n)を減算すれば、
F(1-N(Na,Sn,n),|h(x,z)|/y|) (6)
となる。演算毎に平均Na、分散Snを持つ雑音が混入し、通信感度が減少する状況を再現することができる。すなわち、電子タグ応用システムの開発者は、仮想的に雑音環境でのシステム動作を再現することができる。
【0040】
放送文取得ステップの関数は、電子タグ相互の相対位置、電子タグと電子タグの読取書込装置との相対角度、ないしは電子タグ相互の相対角度を変数として持っても良い。すなわち、図5(b)は、図5(a)のアンテナ1とアンテナ1の発生する電気力線のXY面による断面図である。アンテナ1の断面1a、アンテナ1の発生する電気力線4を有している。電子タグ2a,2b,2c,2d,2eは、電気力線4の圏内に配置されている。電子タグ2a,2bと、電子タグ2d,2eは、左右対称の位置に置かれている。電子タグ2cは、電子タグ2bに隣接して置かれている。電子タグ2a,2b,2c,2dは、XZ面に平行に配置されている。電子タグ2eは、XY面に平行に配置されている。このように配置された電子タグ2a,2b,2c,2d,2eの受信感度は、電子タグ2a,2b,2c,2d,2eが交差する電気力線の数(電界強度)に依存することは明らかである。本来、電子タグ2a,2bは、ほぼ同様の位置に配置されているため、同一の受信感度を有することになる。電子タグ2bには、電子タグ2cが隣接している。電子タグ2b,2c付近の電気力線は、電子タグ2b,2cの双方を通るために、相互に干渉し合うこととなる。
【0041】
そこで、この影響を、指数関数(exp)を用いて近似的に表現する。式(5)は、電子タグ2b,2c間の距離lと近似定数L(通信感度が概ね8.6dB減衰する距離)を用いて、
F(1/exp(L/l),|h(x,z)|/y|) (6)
と表現できる。電子タグ相互の近接による感度減少を再現できる。
【0042】
電子タグ2d,2eは、対称位置にある。電子タグ2eは、XY面に平行である。アンテナ1は、XZ面に平行である。そのため、アンテナ1の近傍では、アンテナ1の発生する電気力線は、XY面に平行である。電子タグ2eと交差する電気力線は極度に少なく、理論的には0となることが推測される。すなわち、電子タグの受信感度は、アンテナ面と電子タグ表面との角度により変化することになる。これを、アンテナ1の近傍、すなわち電気力線がXY面に平行な領域で表現するならば、2つの面の構成する角度ax,ayと余弦関数(cos)を用いて、式(5)を、
F(cos(ax)・cos(ay),|h(x,z)|/y|) (7)
と変形して表現できる。よって、放送文取得ステップの関数が、電子タグ相互の相対位置、電子タグと電子タグ読取書込装置との相対角度、ないしは電子タグ相互の相対角度を変数として持つことにより、より仔細な電子タグの動作を再現し得る仮想タグシステムを実現できる。
【0043】
また、同様に、電子タグ相互の影響についても、相対的な角度が開けば、影響度が減ることが予想される。これを、重なる面積に比例するものとすれば、電子タグ相互の角度tx,ty,tzと余弦関数(cos)を用いて、
F(1/exp(L・cos(tx)・cos(ty)・cos(tz)/l),|h(x,z)|/y|) (8)
として表現できる。
【0044】
仮想タグシステムにより、電子タグが、電子タグ読取書込装置から通信情報を受信する例を用いて、放送文取得ステップの関数と、当該関数が一定の閾値に達した場合に、放送文を無効とする動作について説明した。図1の仮想タグシステムのように、電子タグから電子タグ読取書込装置への回答通信文が送信される場合においても、同様に、電子タグと電子タグ読取書込装置との相対位置、角度、電子タグ相互の相対位置、角度の影響を受けることとなる。このような場合も、エミュレータの通信文取得ステップで、電子タグと電子タグ読取書込装置との相対位置、角度、電子タグ相互の相対位置、角度、更には時間を変数とする関数と当該関数が、一定の閾値に達した場合に、通信文を無効とすることにより、仔細な電子タグの動作を再現する仮想タグシステムを実現できる。
【0045】
上記のように、本発明の第2の実施の形態では、仮想タグシステムを、タグエミュレータが、無線回線エミュレータを介して、リーダライタエミュレータから放送文を取得する場合に、仮想的な電子タグ読取書込装置と仮想的な電子タグとの相対的位置関係パラメータの値を閾値と比較する関数の値に基づいて、無線回線エミュレータで放送文を有効または無効とする構成としたので、電子タグの位置に応じた動作を再現できる。
【0046】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明では、リーダライタエミュレータと、タグエミュレータと、無線回線エミュレータとを具備する仮想タグシステムのリーダライタエミュレータに、ICタグ利用プログラムと通信する手段と、無線回線エミュレータと通信する手段と、有効通信文と無効通信文とを処理する情報処理手段とを備え、タグエミュレータに、無線回線エミュレータと通信する手段と、有効通信文と無効通信文とを処理する情報処理手段とを備え、無線回線エミュレータに、リーダライタエミュレータおよびタグエミュレータと通信する手段と、有効通信文と無効通信文通信文とを処理する論理処理手段とを備える構成としたので、多くの電子タグを物理的に取り扱うことなく、電子タグ応用システムの開発ができるという効果が得られる。
【0047】
また、無線回線エミュレータに、電子タグ読取書込装置と電子タグとの相対的位置関係パラメータを閾値と比較する関数を計算する手段と、関数の値に応じて有効無効識別情報を無効に設定する手段とを設けたので、電子タグ読取書込装置と電子タグの相対位置や角度等に影響を受ける通信障害等の検証において、厳密な位置関係の再現ができ、容易に繰り返し検証できる。物流装置や搬送装置等の動的空間で電子タグが使われる場合においても、電子タグの移動動作を再現する装置を必要とせず、開発環境の維持の経済的負担を軽減できる。複数の電子タグの特性ばらつきや、雑音環境での動作を、仮想的に再現できる。
【0048】
また、リーダライタエミュレータまたはタグエミュレータまたは無線回線エミュレータに、履歴情報を記録する手段を設けたので、電子タグ読取書込装置と電子タグとの間の通信情報の履歴を残すことができ、不具合等の発生時に、容易にその経緯を解析できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における仮想タグシステムの構成を示す概念図、
【図2】本発明の第1の実施の形態における仮想タグシステムの動作手順を示す流れ図、
【図3】本発明の第2の実施の形態における仮想タグシステムの構成を示す概念図、
【図4】本発明の第2の実施の形態における仮想タグシステムの動作手順を示す流れ図、
【図5】電子タグ読取書込装置アンテナと電子タグの位置関係を示す図、
【図6】従来例1の電子タグ応用システム開発環境を示す図、
【図7】従来例1の動作手順を示す流れ図、
【図8】従来例2の電子タグ応用システム開発環境と動作手順を示す図、
【図9】従来例3の電子タグ応用システム開発環境を示す図である。
【符号の説明】
1,1a,1b,1c,1d 電子タグ読取書込装置のアンテナ
2,2a〜2i 電子タグ
3 電子タグ読取書込装置のアンテナの通信圏
4 電気力線
5,5a,5b,5c 電子タグ読取書込装置
6 コンピュータ
7 外部インタフェース
8a,8b 制御装置
9a,9b 通信ユニット
10a,10b 記憶装置
11a,11b 情報伝達路
12 タグ内部アンテナ
101 応用プログラム
102 リーダライタエミュレータ
103 タグエミュレータ#1
104 タグエミュレータ#2
105 タグエミュレータ#3
106 無線回線エミュレータ
Claims (9)
- 電子タグ(非接触電子タグまたは非接触型ICタグ)読取書込装置の動作を模擬するリーダライタエミュレータと、電子タグの動作を模擬するタグエミュレータと、無線回線の状態を模擬する無線回線エミュレータとを具備する仮想タグシステムであって、前記リーダライタエミュレータは、電子タグ利用プログラムと通信する手段と、前記無線回線エミュレータと通信する手段と、有効通信文と無効通信文とを処理する手段とを備え、前記タグエミュレータは、前記無線回線エミュレータと通信する手段と、有効通信文と無効通信文とを処理する手段とを備え、前記無線回線エミュレータは、前記リーダライタエミュレータおよび前記タグエミュレータと通信する手段と、有効通信文と無効通信文とを処理する手段とを備えることを特徴とする仮想タグシステム。
- 前記無線回線エミュレータに、受信した通信文のうちの1つのみが有効である場合にのみ、受信した通信文の有効無効識別情報を維持する手段と、当該処理の履歴を記録する手段とを設けたことを特徴とする請求項1記載の仮想タグシステム。
- 前記無線回線エミュレータに、電子タグ読取書込装置と電子タグとの相対的位置関係パラメータの値を閾値と比較する関数の値を計算する手段と、前記関数の値に応じて有効無効識別情報を無効に設定する手段とを設けたことを特徴とする請求項1記載の仮想タグシステム。
- 前記関数は、電子タグ読取書込装置と電子タグとの距離と時間を変数として持つ関数であることを特徴とする請求項3記載の仮想タグシステム。
- 前記関数は、電子タグ相互の距離を変数として持つ関数であることを特徴とする請求項3記載の仮想タグシステム。
- 前記関数は、電子タグ読取書込装置のアンテナと電子タグのアンテナとの相対角度を変数として持つ関数であることを特徴とする請求項3記載の仮想タグシステム。
- 前記関数は、電子タグ相互の相対角度を変数として持つ関数であることを特徴とする請求項3記載の仮想タグシステム。
- 前記閾値は、確率関数により与えられる閾値であることを特徴とする請求項3記載の仮想タグシステム。
- 前記関数は、時間を変数とする関数であることを特徴とする請求項3記載の仮想タグシステム。
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