JP4295732B2 - サーマルヘッドの製造方法、サーマルヘッドおよび印画装置 - Google Patents

サーマルヘッドの製造方法、サーマルヘッドおよび印画装置 Download PDF

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Description

本発明は、ラベルプリンタ、バーコードプリンタ、券売機、ビデオプリンタ、カードプリンタ、ファクシミリなど各種の印画装置と、その印画装置に組み込まれるサーマルヘッドと、そのサーマルヘッドの製造方法に関するものである。
一般に、業務用のラベルプリンタやファクシミリなどの印画装置においては、高速印画に対応可能なサーマルヘッドを必要としている。そのため、サーマルヘッドに用いる発熱体の材質に工夫を凝らすことにより、高速印画特性を高める方法が提案されていた(例えば、特許文献1参照)。
特公昭63−67319号公報
しかし、このような従来の方法では、高速印画特性の指標となる耐電力値(抵抗値5%変化時の印加電力)が31〜34W/mm2 であり(特許文献1の第4頁左欄第21行〜右欄第16行の記載参照)、近年における印画装置の高速化に伴い、サーマルヘッドの高速印画特性を一層向上させることが要望されている。
また、これらの印画装置においては、走行距離をなるべく延長できるように、サーマルヘッドの長寿命化を図ることが強く要望されている。
本発明は、こうした要望に応えることが可能な、サーマルヘッドの製造方法、サーマルヘッドおよび印画装置を提供することを目的とする。
まず、請求項1に係るサーマルヘッドの製造方法の発明は、スパッタリング法によってTaSiCを含む発熱体を基板に成膜してサーマルヘッドを製造する際に、前記発熱体の成膜圧力を0.4〜1.5Pa前記発熱体の成膜電力を500〜2000W、及び前記基板の温度を180〜250℃としたことを特徴とする。
また、請求項に係るサーマルヘッドの製造方法の発明は、前記発熱体の材質として、TaSiCに代えてMoSiCまたはWSiCを採用したことを特徴とする。
また、請求項に係るサーマルヘッドの発明は、請求項1又は2に記載のサーマルヘッドの製造方法により製造したことを特徴とする。
また、請求項に係る印画装置の発明は、請求項に記載のサーマルヘッドを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、発熱体の成膜条件(成膜圧力、成膜電力、基板温度)を規定することにより、発熱体の特性を十分に引き出すことができる。さらに、発熱体の成膜圧力および成膜電力の規定によって発熱体の内部応力が緩和され、基板温度の規定によって発熱体の密着性が高まることから、発熱体の膜剥離を回避することができる。その結果、サーマルヘッドの高速印画特性を大幅に向上させることが可能となる。
また、発熱体の成膜条件(成膜圧力、成膜電力、基板温度)を規定することにより、発熱体の耐久性を改善することができる。その結果、サーマルヘッドの長寿命化を図ることが可能となる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
ラベルプリンタ11は、図1に示すように、六面体状のケーシング13を有しており、ケーシング13の前面には、液晶の表示パネル14、入力キー15およびラベル排出口16が設けられている。また、ケーシング13内には、ラベル連続体12がロール状に巻き取られた形で収納されている。このラベル連続体12は、長尺の台紙12aに多数枚のラベル12bが所定間隔で連続的に仮着されたものであり、その先端部は複数本(図1では、2本)の搬送ローラ17に支持されてラベル排出口16の手前に位置決めされている。さらに、ケーシング13内にはサーマルヘッド1がラベル連続体12の上側に位置決めされて組み込まれており、サーマルヘッド1でラベル連続体12のラベル12bを加熱して発色させることにより、文字や画像などのイメージをラベル12bに印刷した後、このラベル12bをラベル排出口16から排出することができる。
このサーマルヘッド1は、図2(f)に示すように、基板8を有している。この基板8は、厚さ約1mmのアルミナセラミックスからなる絶縁性の基板本体9と、この基板本体9上に厚さ約40μmに形成されたガラス製のグレーズ2とから構成されており、グレーズ2の一部には曲面凸部2aが形成されている。
この基板8の上側には、厚さ0.04〜0.06μmのTaSiCを含む発熱体3が多数個、主走査方向(図2紙面に直交する方向)に配列する形で成膜されている。各発熱体3の上側には、厚さ約0.6μmのアルミニウムからなる一対の電極4が、グレーズ2の曲面凸部2a上で所定の距離をおいて互いに離れた状態で成膜されている。
また、すべての発熱体3および電極4の上側には、SiO2 からなる厚さ0.5〜4μmの第1保護膜6が成膜されている。さらに、第1保護膜6の上側には、SiBPからなる厚さ2〜10μmの第2保護膜7が成膜されている。
以下、図2に基づき、このサーマルヘッド1の製造工程を説明する。
まず、図2(a)、(b)に示すように、基板本体9上にグレーズ2を形成して基板8を作製する。
その後、スパッタリング法により、図2(c)に示すように、曲面凸部2aも含めてグレーズ2上に発熱体3を長く成膜する。このとき、発熱体3の成膜圧力を0.4〜1.5Paとするとともに、発熱体3の成膜電力を500〜2000Wとする。さらに、基板温度(つまり、基板8の温度)を180〜250℃とする。
そして、真空中において温度550〜650℃で熱処理を行う。このとき、熱処理時間は熱処理温度に依存する。例えば、熱処理温度が550℃であれば2時間程度であり、熱処理温度が650℃であれば1時間程度である。
次いで、スパッタや蒸着により、図2(d)に示すように、発熱体3上に、一対の電極4を曲面凸部2a上に隙間が形成されるように成膜する。
最後に、図2(e)に示すように、発熱体3および電極4を覆うように第1保護膜6を成膜した後、図2(f)に示すように、第1保護膜6の上側に第2保護膜7を成膜する。
ここで、サーマルヘッド1の製造が終了する。
こうして製造されたサーマルヘッド1では、発熱体3の成膜条件(成膜圧力、成膜電力、基板温度)が規定されているため、発熱体3の特性が十分に引き出される。さらに、発熱体3の成膜圧力および成膜電力の規定によって発熱体3の内部応力が緩和され、基板温度の規定によって発熱体3の密着性が高まることから、発熱体3の膜剥離が回避される。その結果、サーマルヘッド1の高速印画特性が大幅に向上することになる。
また、発熱体3の成膜条件(成膜圧力、成膜電力、基板温度)を規定することにより、発熱体3の耐久性が改善される。その結果、サーマルヘッドの長寿命化が図られることになる。
この効果を確認するため、以下に述べるように、種々の成膜条件(成膜圧力0.1〜2.0Pa、成膜電力100〜2400W、基板温度150〜250℃)でTaSiCを含む発熱体3を基板に成膜してサーマルヘッド1を試作し、これらのサーマルヘッド1の発熱体における抵抗値変化率を調べた。
ここで、成膜圧力は主に発熱体3の内部応力に影響を与え、この内部応力(TaSiCでは圧縮傾向)が強すぎると、膜剥離を誘発する原因となる。特に、TaSiCでは成膜後の熱処理によって逆の引張応力に変化することから、成膜圧力2.0Paの領域では、応力が大きく、膜剥離の危険性が伴い、製品としての安定性および信頼性に問題が生じる。
また、成膜電力も基本的には発熱体3の内部応力に影響を与える。ただ、実際には、内部応力のほか、成膜レートや成膜分布(基板内膜厚分布)にも大きく影響し、高パワーであるほど膜厚のコントロールが困難となる。したがって、製品の歩留まりに大きく影響し、実際の量産条件としての制御範囲としては適切でないことがわかった。実験では、成膜圧力との密接な関係があるが、耐パルス特性も悪く、開発品としての価値を持たないことが判明した。
さらに、ベーキングは主に基板表面の不純物および水分などの除去と発熱体3の密着性向上を目的として実施する。実験では、基板温度150℃レベルでは発熱体3の密着性が弱く、スクラッチおよびピーリングテストにおいて規格値以下となり、膜剥離の危険性が高い。また、成膜装置の仕様上の制約から基板温度250℃を越える実験はできなかった。基板温度による特性への影響は、基板温度が高いほど特性的に若干改善される傾向にあるものの、顕著な差はなく、高速印画特性、耐パルス特性とも改善傾向がみられるとも限らない。
まず、所定の成膜装置20を用いてスパッタリング薄膜形成法でサーマルヘッド1の試作を行った。この成膜装置20は、図3に示すように、チャンバ21を有している。チャンバ21内には円筒状のドラム22が自転しうるように支持されており、ドラム22の外周面には所定枚数(13枚)の基板8を等間隔で取り付けることができる。チャンバ21内には、TaSiC(タンタルの組成比:25at%)からなる所定サイズ(幅120〜130mm、高さ350〜400mm、厚さ4〜6mm)のターゲット23が2個、ドラム22を挟んで対向するように設置されており、各ターゲット23はドラム22と所定距離(50〜100mm)だけ離れている。
そして、サーマルヘッド1の試作に際しては、ドラム22の外周面に所定枚数の基板8を取り付けた後、このドラム22を一定の回転数(5rpm)で自転させる。この状態で、クライオポンプ(図示せず)を用いてチャンバ21内の気圧を8×10-4〜3×10-3Paにまで減圧し、チャンバ21内にAr(アルゴンガス)を供給して電力を印加する。すると、チャンバ21内のArがプラズマ状態となって各ターゲット23に叩きつけられ、各ターゲット23からTaSiCが飛び出して基板8上に堆積する。その結果、基板8上にTaSiCを含む薄膜が発熱体3として形成され、サーマルヘッド1が得られる。
次いで、こうして得られたサーマルヘッド1の高速印画特性を調べるため、基板温度180℃で試作したサーマルヘッド1についてSST(ステップストレス試験)を実施した。すなわち、周期(SLT)1.2msec、パルス幅(Pw)0.5msecでデューティ42%のパルス電力を段階的に増加させて印加し、そのときの発熱体3における抵抗値を測定した。具体的には、まず8W/mm2で5×104回印加した時点で抵抗値を測定し、その後、12W/mm2で5×104 回印加した時点で抵抗値を測定した。次に、16W/mm2で5×104 回印加した時点で抵抗値を測定し、その後、20W/mm2 で5×104 回印加した時点で抵抗値を測定した。次に、25W/mm2で5×104 回印加した時点で抵抗値を測定し、その後、30W/mm2 で5×104 回印加した時点で抵抗値を測定した。次に、36W/mm2で5×104 回印加した時点で抵抗値を測定し、その後、43W/mm2 で5×104 回印加した時点で抵抗値を測定した。次に、50W/mm2で5×104 回印加した時点で抵抗値を測定し、その後、58W/mm2 で5×104 回印加した時点で抵抗値を測定した。次に、66W/mm2で5×104 回印加した時点で抵抗値を測定し、最後に、75W/mm2 で5×104 回印加した時点で抵抗値を測定した。その結果を図4に示す。図4において、グラフの横軸は印加電力を表し、グラフの縦軸は抵抗値変化率を表す。ここで、発熱体3の抵抗値は印加電力によって変化するので、初期抵抗値を基準とし、そこから所定の電力値に必要な電圧を予め求めて電力値としている。
ここで、抵抗値変化率と印加電力との関係から高速印画特性を知ることができる理由は次のとおりである。すなわち、電圧一定の下で抵抗値が大きくなると、それに反比例して電流が小さくなるため、ジュール熱が減少し、印字濃度が薄くなる。逆に、電圧一定の下で抵抗値が小さくなると、それに反比例して電流が大きくなるため、ジュール熱が増大し、印字濃度が濃くなる。したがって、規定の印字濃度を維持するためには、抵抗値変化率を所定の範囲内(例えば、±5%以内)に収める必要がある。一方、印加電力が大きくなると、それだけ高速印画に対応可能となる。これらを総合すると、印加電力をどこまで上昇させたときに抵抗値変化率が所定の範囲から逸脱するかをチェックすれば、規定の印字濃度を維持した上での高速印画特性を判定することが可能となるのである。
そこで、SSTの結果を見ると、図4から明らかなように、比較例1(成膜圧力0.1Pa、成膜電力2400W)では、印加電力が30W/mm2 を越えると抵抗値がプラス側に変化し始め、印加電力41W/mm2で抵抗値変化率が5%に達した後、印加電力の増加に伴って抵抗値がさらに増加した。また、比較例2(成膜圧力2.0Pa、成膜電力1500W)では、印加電力が30W/mm2を越えると抵抗値がプラス側に変化し始め、印加電力46W/mm2 で抵抗値変化率が5%に達した後、印加電力の増加に伴って抵抗値がさらに増加した。一方、実施例1(成膜圧力1.0Pa、成膜電力1500W)では、印加電力が30W/mm2を越えると、抵抗値がやや低下してから増加に転じ、印加電力64W/mm2 で漸く抵抗値変化率が5%に達した。
つまり、抵抗値変化率5%に達する印加電力を比較すると、比較例1が41W/mm2 であり、比較例2が46W/mm2であった。これらの値(41W/mm2 、46W/mm2 )は、発熱体3の材質に工夫を凝らして高速印画特性を高めようとする従来の方法で得られた値(31〜34W/mm2)と比べて十分に良好な値である。さらに、実施例1では64W/mm2 (すなわち、従来の約2倍、比較例1の1.6倍、比較例2の1.4倍)であった。したがって、従来と比較すると、比較例1、2は高速印画特性に優れ、実施例1は高速印画特性に一層優れることが実証されたことになる。
そして、実施例1以外であっても、図5に示すように、成膜圧力が0.4〜1.5Paの範囲内で、かつ成膜電力が500〜2000Wの範囲内であれば、概ね、抵抗値変化率5%に達する印加電力が大きく、高速印画特性に優れる結果が得られた。なお、実施例の一部に比較例2に劣るもの(成膜圧力0.4Paで成膜電力500Wの場合、成膜圧力0.4Paで成膜電力2000Wの場合、成膜圧力1.5Paで成膜電力500Wの場合)が見受けられるが、これらは、後述するように、寿命特性(耐パルス特性)に優れる。
これに対して、成膜電力が100Wと小さい場合、成膜圧力の大小にかかわらず、成膜時の放電が不安定となった。逆に、成膜電力が2400Wと大きくなると、成膜圧力が0.1Paである場合を除き、成膜分布(Uniformity)が大きくなった。一方、成膜圧力が0.1Paで成膜電力が500W、1000Wまたは1500Wの場合、発熱体3の密着性が弱く、発熱体3が膜剥離を生じる危険性が高かった。また、成膜圧力が2.0Paで成膜電力が500Wの場合、成膜時の放電が不安定となった。さらに、成膜圧力が2.0Paで成膜電力が1000W、1500Wまたは2000Wの場合、発熱体3の内部応力が増大した。
また、サーマルヘッド1の寿命特性を調べるため、基板温度180℃で試作したサーマルヘッド1についてPDT(耐パルス特性試験)を実施した。すなわち、周期(SLT)1.2msec、パルス幅(Pw)0.5msecでデューティ42%のパルス電力0.65W/dot(つまり、約44W/mm2)を一定のまま印加し、印加パルス回数が104 、3×104 、105 、3×105 、106 、3×106 、107 、3×107 、108であるときの発熱体3における抵抗値をそれぞれ測定した。その結果を図6に示す。図6において、グラフの横軸は印加パルス回数を表し、グラフの縦軸は抵抗値変化率を表す。この抵抗値変化率は、初期抵抗値に対する値(変化率)である。
図6から明らかなように、比較例1(成膜圧力0.1Pa、成膜電力2400W)では、印加パルス回数が104 回から108 回に増えるに従って抵抗値変化率が単調に増加し、印加パルス回数が108回に達したときには、抵抗値変化率が15%を越えた。また、比較例2(成膜圧力2.0Pa、成膜電力1500W)では、印加パルス回数が104 回から108 回に増えるに従って抵抗値変化率が単調に増加し、印加パルス回数が108回に達したときには、抵抗値変化率が11%になった。これに対して実施例1(成膜圧力1.0Pa、成膜電力1500W)では、印加パルス回数が104 回から108回に増えても抵抗値変化率がほとんど変化せず、印加パルス回数が108回に達したときでも、抵抗値変化率が1.8%にとどまった。
これらの結果から、比較例1、2に比べて実施例1は長寿命であることが実証されたことになる。
そして、実施例1以外であっても、図7に示すように、成膜圧力が0.4〜1.5Paの範囲内で、かつ成膜電力が500〜2000Wの範囲内であれば、印加パルス回数が108 回に達したときの抵抗値変化率が9.6%以下と小さく、寿命特性に優れる結果が得られた。
これに対して、成膜電力が100Wと小さい場合、成膜圧力の大小にかかわらず、成膜時の放電が不安定となった。逆に、成膜電力が2400Wと大きくなると、成膜圧力が0.1Paである場合を除き、成膜分布(Uniformity)が大きくなった。一方、成膜圧力が0.1Paで成膜電力が500W、1000Wまたは1500Wの場合、発熱体3の密着性が弱く、発熱体3が膜剥離を生じる危険性が高かった。また、成膜圧力が2.0Paで成膜電力が500Wの場合、成膜時の放電が不安定となった。さらに、成膜圧力が2.0Paで成膜電力が1000W、1500Wまたは2000Wの場合、発熱体3の内部応力が増大した。
同様に、基板温度250℃で試作した発熱体3を用いたサーマルヘッド1について、その高速印画特性を調べるため、SSTを実施した。その結果、図8に示すように、成膜圧力が0.4〜1.5Paの範囲内で、かつ成膜電力が500〜2000Wの範囲内であれば、抵抗値変化率5%に達する印加電力が43〜64W/mm2と大きく、高速印画特性に優れる結果が得られた。
これに対して、成膜電力が100Wと小さい場合、成膜圧力の大小にかかわらず、成膜時の放電が不安定となった。逆に、成膜電力が2400Wと大きくなると、成膜圧力が0.1Paである場合を除き、成膜分布(Uniformity)が大きくなった。一方、成膜圧力が0.1Paで成膜電力が500W、1000Wまたは1500Wの場合、発熱体3の密着性が弱く、発熱体3が膜剥離を生じる危険性が高かった。また、成膜圧力が2.0Paで成膜電力が500Wの場合、成膜時の放電が不安定となった。さらに、成膜圧力が2.0Paで成膜電力が1000W、1500Wまたは2000Wの場合、発熱体3の内部応力が増大した。
また、基板温度250℃で試作した発熱体3を用いたサーマルヘッド1について、その寿命特性を調べるため、PDTを実施した。その結果、図9に示すように、成膜圧力が0.4〜1.5Paの範囲内で、かつ成膜電力が500〜2000Wの範囲内であれば、印加パルス回数が108回に達したときの抵抗値変化率が2.0〜10.0%と小さく、寿命特性に優れる結果が得られた。
これに対して、成膜電力が100Wと小さい場合、成膜圧力の大小にかかわらず、成膜時の放電が不安定となった。逆に、成膜電力が2400Wと大きくなると、成膜圧力が0.1Paである場合を除き、成膜分布(Uniformity)が大きくなった。一方、成膜圧力が0.1Paで成膜電力が500W、1000Wまたは1500Wの場合、発熱体3の密着性が弱く、発熱体3が膜剥離を生じる危険性が高かった。また、成膜圧力が2.0Paで成膜電力が500Wの場合、成膜時の放電が不安定となった。さらに、成膜圧力が2.0Paで成膜電力が1000W、1500Wまたは2000Wの場合、発熱体3の内部応力が増大した。
なお、上述の実施形態においては、グレーズ2上に発熱体3を長く成膜する場合について説明したが、図10に示すように、グレーズ2の曲面凸部2aにのみ発熱体3を部分的に成膜する場合に本発明を適用することもできる。
なお、上述の実施形態においては、発熱体3の材質としてTaSiCを用いる場合について説明したが、TaSiCに代えてMoSiCやWSiCを採用してもよい。
まず、TaSiCの場合と同じ成膜条件(ただし、基板温度は200℃)でMoSiC(モリブデンの組成比:25at%)を含む発熱体3を試作し、この発熱体3を用いたサーマルヘッド1について、その高速印画特性を調べるため、SSTを実施した。その結果、図11に示すように、成膜圧力が0.4〜1.5Paの範囲内で、かつ成膜電力が500〜2000Wの範囲内であれば、抵抗値変化率5%に達する印加電力が40〜55W/mm2と大きく、TaSiCの場合に準じる高速印画特性が得られた。
これに対して、成膜電力が100Wと小さい場合、成膜圧力の大小にかかわらず、成膜時の放電が不安定となった。逆に、成膜電力が2400Wと大きくなると、成膜圧力が0.1Paである場合を除き、成膜分布(Uniformity)が大きくなった。一方、成膜圧力が0.1Paと小さい場合、成膜電力が100Wである場合を除き、発熱体3の密着性が弱く、発熱体3が膜剥離を生じる危険性が高かった。また、成膜圧力が2.0Paで成膜電力が500Wの場合、成膜時の放電が不安定となった。さらに、成膜圧力が2.0Paで成膜電力が1000W、1500Wまたは2000Wの場合、発熱体3の内部応力が増大した。
また、このMoSiCを含む発熱体3を用いたサーマルヘッド1について、その寿命特性を調べるため、PDTを実施した。その結果、図12に示すように、成膜圧力が0.4〜1.5Paの範囲内で、かつ成膜電力が500〜2000Wの範囲内であれば、印加パルス回数が108回に達したときの抵抗値変化率が5.6〜9.9%と小さく、TaSiCの場合に準じる寿命特性が得られた。
これに対して、成膜電力が100Wと小さい場合、成膜圧力の大小にかかわらず、成膜時の放電が不安定となった。逆に、成膜電力が2400Wと大きくなると、成膜圧力が0.1Paである場合を除き、成膜分布(Uniformity)が大きくなった。一方、成膜圧力が0.1Paと小さい場合、成膜電力が100Wである場合を除き、発熱体3の密着性が弱く、発熱体3が膜剥離を生じる危険性が高かった。また、成膜圧力が2.0Paで成膜電力が500Wの場合、成膜時の放電が不安定となった。さらに、成膜圧力が2.0Paで成膜電力が1000W、1500Wまたは2000Wの場合、発熱体3の内部応力が増大した。
一方、TaSiCの場合と同じ成膜条件(ただし、基板温度は200℃)でWSiC(タングステンの組成比:25at%)を含む発熱体3を試作し、この発熱体3を用いたサーマルヘッド1について、その高速印画特性を調べるため、SSTを実施した。その結果、図13に示すように、成膜圧力が0.4〜1.5Paの範囲内で、かつ成膜電力が500〜2000Wの範囲内であれば、抵抗値変化率5%に達する印加電力が40〜52W/mm2と大きく、TaSiCの場合に準じる高速印画特性が得られた。
これに対して、成膜電力が100Wと小さい場合、成膜圧力の大小にかかわらず、成膜時の放電が不安定となった。逆に、成膜電力が2400Wと大きくなると、成膜圧力が0.1Paである場合を除き、成膜分布(Uniformity)が大きくなった。一方、成膜圧力が0.1Paと小さい場合、成膜電力が100Wである場合を除き、発熱体3の密着性が弱く、発熱体3が膜剥離を生じる危険性が高かった。また、成膜圧力が2.0Paで成膜電力が500Wの場合、成膜時の放電が不安定となった。さらに、成膜圧力が2.0Paで成膜電力が1000W、1500Wまたは2000Wの場合、発熱体3の内部応力が増大した。
また、このWSiCを含む発熱体3を用いたサーマルヘッド1について、その寿命特性を調べるため、PDTを実施した。その結果、図14に示すように、成膜圧力が0.4〜1.5Paの範囲内で、かつ成膜電力が500〜2000Wの範囲内であれば、印加パルス回数が108回に達したときの抵抗値変化率が6.7〜9.8%と小さく、TaSiCの場合に準じる寿命特性が得られた。
これに対して、成膜電力が100Wと小さい場合、成膜圧力の大小にかかわらず、成膜時の放電が不安定となった。逆に、成膜電力が2400Wと大きくなると、成膜圧力が0.1Paである場合を除き、成膜分布(Uniformity)が大きくなった。一方、成膜圧力が0.1Paと小さい場合、成膜電力が100Wである場合を除き、発熱体3の密着性が弱く、発熱体3が膜剥離を生じる危険性が高かった。また、成膜圧力が2.0Paで成膜電力が500Wの場合、成膜時の放電が不安定となった。さらに、成膜圧力が2.0Paで成膜電力が1000W、1500Wまたは2000Wの場合、発熱体3の内部応力が増大した。
また、上述の実施形態においては、ラベルプリンタ11について説明したが、ラベルプリンタ11以外の印画装置(例えば、バーコードプリンタ、券売機、ビデオプリンタ、カードプリンタ、ファクシミリなど)に本発明を適用することもできる。
本発明に係る印画装置であるラベルプリンタの一実施形態を示す斜視図である。 本発明に係るサーマルヘッドの製造方法の第1の実施形態を示す工程図である。 成膜装置の平面図である。 TaSiCを含む発熱体(基板温度180℃)に関するSST(ステップストレス試験)の結果を示すグラフである。 TaSiCを含む発熱体(基板温度180℃)に関するSST(ステップストレス試験)において抵抗値変化率が5%増減したときの印加電力を示す表である。 TaSiCを含む発熱体(基板温度180℃)に関するPDT(耐パルス特性試験)の結果を示す片対数グラフである。 TaSiCを含む発熱体(基板温度180℃)に関するPDT(耐パルス特性試験)において印加パルス回数が108 回に達したときの抵抗値変化率を示す表である。 TaSiCを含む発熱体(基板温度250℃)に関するSST(ステップストレス試験)において抵抗値変化率が5%増減したときの印加電力を示す表である。 TaSiCを含む発熱体(基板温度250℃)に関するPDT(耐パルス特性試験)において印加パルス回数が108 回に達したときの抵抗値変化率を示す表である。 本発明に係るサーマルヘッドの別の実施形態を示す断面図である。 MoSiCを含む発熱体(基板温度200℃)に関するSST(ステップストレス試験)において抵抗値変化率が5%増減したときの印加電力を示す表である。 MoSiCを含む発熱体(基板温度200℃)に関するPDT(耐パルス特性試験)において印加パルス回数が108 回に達したときの抵抗値変化率を示す表である。 WSiCを含む発熱体(基板温度200℃)に関するSST(ステップストレス試験)において抵抗値変化率が5%増減したときの印加電力を示す表である。 WSiCを含む発熱体(基板温度200℃)に関するPDT(耐パルス特性試験)において印加パルス回数が108 回に達したときの抵抗値変化率を示す表である。
符号の説明
1……サーマルヘッド
2……グレーズ
3……発熱体
4……電極
6……第1保護膜
7……第2保護膜
8……基板
9……基板本体
11……ラベルプリンタ(印画装置)
13……ケーシング
14……表示パネル
15……入力キー
16……ラベル排出口
17……搬送ローラ
12……ラベル連続体
12a……台紙
12b……ラベル
20……成膜装置
21……チャンバ
22……ドラム
23……ターゲット

Claims (4)

  1. スパッタリング法によってTaSiCを含む発熱体を基板に成膜してサーマルヘッドを製造する際に、
    前記発熱体の成膜圧力を0.4〜1.5Pa前記発熱体の成膜電力を500〜2000W、及び前記基板の温度を180〜250℃としたことを特徴とする、サーマルヘッドの製造方法。
  2. 前記発熱体の材質として、TaSiCに代えてMoSiCまたはWSiCを採用したことを特徴とする、請求項に記載のサーマルヘッドの製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載のサーマルヘッドの製造方法により製造したことを特徴とするサーマルヘッド。
  4. 請求項に記載のサーマルヘッドを備えたことを特徴とする印画装置。
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