JP4294934B2 - 光電気化学電池用イオン導電性組成物 - Google Patents

光電気化学電池用イオン導電性組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオン導電性組成物、更に詳しくは光電池の電荷移動層として好適に使用することができるイオン導電性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
太陽光発電は、化石燃料を用いず地球温暖化の原因となる二酸化炭素などを放出しないエネルギー源として注目されており、さまざまな太陽電池が研究開発され実用化されている。
【0003】
そのなかでも色素増感による酸化物半導体を用いた湿式太陽電池(非特許文献1参照)は、比較的高いエネルギー変換効率を得ることができ、しかも安価に製造することが可能である。なお、該湿式太陽電池は、負極として機能する光電変換素子、電荷移動層及び対向電極で構成され、該光電変換素子は導電性支持体と感光層とからなっており、更に該感光層は色素が吸着した半導体層を含んでいる。また、上記電荷移動層はヨウ化物等の電解質及び溶媒を含むイオン導電性組成物からなっており、光電変換素子で発生した電子が負極を及び外部回路を通って対向電極に至り、対抗電極でヨウ化物を還元することにより電池として機能するものである。
【0004】
該湿式太陽電池は、上記したような優れた特徴を有する反面、電荷移動層のイオン導電性組成物として低沸点溶媒を多量に含む電解液を用いている為に長期に渡って使用すると電解液の蒸発や水の混入により光電変換効率が著しく低下するという問題がある。また、上記湿式太陽電池には、光電変換素子の半導体層で発生した電子の全てが負極に移動せずにその一部が電解質のヨウ素化合物を還元するのに使われてしまう(このような電子の流れを暗電流ともいう)のが避けられず、開放電圧が低下して変換効率をより向上させるのが困難であるという問題がある。
【0005】
上記溶媒に関する問題は、イオン導電性組成物を高分子マトリックス中に保持することにより改善が図られており、暗電流の問題に関しては、電解液に4−tert−ブチルピリジンや2−ビニルピリジンを添加する方法が知られている(非特許文献2参照)。また、暗電流の問題と直接関係するものではないが、電解液に酢酸、安息香酸等のカルボン酸化合物を添加すると短絡電流値が向上するという報告もなされている(非特許文献3参照)。
【0006】
【非特許文献1】
Gratzel等,「ネーチャー(Nature)」,1991年、第353巻,p.737
【非特許文献2】
「ジャーナル オブ フィジカル ケミストリー(J. phys. chem.)B」,1977年,第101巻,p.2576
【非特許文献3】
「ジャーナル オブ ザ エレクトロケミカル ソサイアティー」,2000年,第147巻,8号,p.3049−3053。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記非特許文献2に示されるような化合物を用いた湿式太陽電池は、暗電流の発生が抑制されれた結果、開放電圧が向上し変換効率は向上するもののその効果は必ずしも満足行くものではなく、またその耐久性(開放電圧向上効果の持続性)も十分とは言えなかった。また、前記非特許文献3に示されるカルボン酸化合物を添加した場合には、開放電圧は添加前に比べて変化は少なく、短絡電流は増加するものの変換効率の向上の点では十分とはいえなかった。そこで、本発明は、光電変換効率、特に開放電圧および耐久性の優れた光電気化学電池を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく、芳香族官能基を持つカルボン酸系化合物に着目し、様々な芳香族官能基を持つカルボン酸系化合物を電解液に添加したときの湿式太陽電池性能を評価したところ、特定の芳香族官能基を持つカルボン酸系化合物を添加した場合には、4−tert−ブチルピリジンや2−ビニルピリジンを添加したときと同等の開放電圧を示し、その耐久性も優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、下記一般式(I)
【0010】
【化6】
Figure 0004294934
【0011】
{式中、Rは、炭素数3〜10の置換基を少なくとも1つ有するフェニル基、縮環構造を有する置換若しくは非置換のアリール基又は下記式(II)
【0012】
【化7】
Figure 0004294934
【0013】
(式中、R、R及びRは、水素原子又は置換若しくは非置換のアリール基であり、R、R及びRの全てが同時に水素原子になることはなく、R、R及びRの内の2つが水素原子で他の1つが置換若しくは非置換のアリール基であるとき当該置換若しくは非置換のアリール基置は少なくとも1つの炭素数3〜10の置換基を有するか又は縮環構造を有しており、nは0〜5の整数である。)
で示される基であり、Xは1価のカチオンとなり得る原子又は原子団である。}
で示されるカルボン酸系化合物、及び該カルボン酸系化合物以外の物質からなる電解質を含有してなる光電気化学電池用イオン導電性組成物であって、前記一般式(I)で示されるカルボン酸系化合物が後述する一般式(A)〜(C)で示される何れかのカルボン酸系化合物であることを特徴とする光電気化学電池用イオン導電性組成物である。
【0014】
なお、上記式(I)において、Xと酸素原子(O)は結合手で結ばれているが、該結合手は共有結合のみならずイオン結合をも含む。別言すれば、式(I)における「−O−X」は、「−O−X」又は「−O」の意である。
【0015】
また、他の本発明は、上記イオン導電性組成物を用いた電荷移動層を具備する光化学電池である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のイオン導電性組成物は、前記一般式(I)で示されるカルボン酸系化合物(具体的にはカルボンボン酸化合物又はその塩)及び該カルボン酸系化合物以外の物質からなる電解質を含有してなる。カルボン酸系化合物であっても、酢酸や安息香酸のようなカルボン酸化合物、或いはその塩を使用した場合には、湿式太陽電池のような光化学電池の電荷移動層として使用した場合に高い変換効率を得ることができない。
【0017】
前記一般式(I)において、Rは、炭素数3〜10の置換基を少なくとも1つ有するフェニル基、縮環構造を有する置換若しくは非置換のアリール基、又は下記式(II)
【0018】
【化8】
Figure 0004294934
【0019】
(式中、R、R及びRは、水素原子又は置換若しくは非置換のアリール基であり、R、R及びRの全てが同時に水素原子になることはなく、R、R及びRの内の2つが水素原子で他の1つが置換若しくは非置換のアリール基であるとき当該置換若しくは非置換のアリール基置は少なくとも1つの炭素数3〜10の置換基を有するか又は縮環構造を有しており、nは0〜5の整数である。)
で示される基を意味する。
【0020】
ここで、炭素数3〜10の置換基を少なくとも1つ有するフェニル基における炭素数3〜10の置換基としては、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基等の炭素数3〜10のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基等の炭素数3〜10のシクロアルキル基;これらアルキル基或いはシクロアルキル基の水素原子の一部或いは全部が塩素原子や弗素原子等のハロゲン原子で置換された置換アルキル基または置換シクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基;クロロフェニル基、フルオロフェニル基、トリル基(o-、m-、或いはp-)、キシリル基(2,3-、或いは2,4-)、メシチル基、クメニル基(o-、m-、或いはp-)等の置換アリール基等を挙げることができる。また、フェニル基に結合するこれら置換基の数は特に限定されないが、入手の容易さから1〜3であるのが好適である。本発明において好適な炭素数3〜10の置換基を少なくとも1つ有するフェニル基を具体的に例示すれば、p-クメニル基、3,5-ジt-ブチルフェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基(m-、或いはp-)等を挙げることができる。
【0021】
また、縮環構造を有する置換若しくは非置換のアリール基としては、ナフチル基、フェナンスレニル基、アントラセニル基等の非置換の縮合環式アリール基、及びこれら縮合環式アリール基に前記したのと同様な置換基が結合した置換縮合環式アリール基を挙げることができる。なお、置換縮合環式アリール基における置換基の数は限定されないが、入手の容易さの観点から1〜3であるのが好適である。
【0022】
また、前記式(II)で示される基のR、R及びRは、水素原子又は置換若しくは非置換のアリール基であるが、当該置換若しくは非置換のアリール基としては、上記した炭素数3〜10の置換基を少なくとも1つ有するフェニル基及び縮環構造を有する置換若しくは非置換のアリール基の他、非置換のフェニル基及びトリル基、キシリル基、ミスチル基、エチルフェニル基等の炭素数1又は2の置換基を有するフェニル基を挙げることができる。なお、前記式(II)で示される基において、R、R及びRの全てが同時に水素原子になることはなく、R、R及びRの内の2つが水素原子で他の1つが置換若しくは非置換のアリール基であるとき当該置換若しくは非置換のアリール基置は少なくとも1つの炭素数3〜10の置換基を有するか又は縮環構造を有している必要がある。この場合における置換若しくは非置換のアリール基としては、上記した炭素数3〜10の置換基を少なくとも1つ有するフェニル基及び縮環構造を有する置換若しくは非置換のアリール基と同じものを例示することができる。また、前記式(II)におけるnは0〜5の整数であるが、nが大きくなると分子径が大きくなり半導体層に吸着しにくくなると共に電解質の粘度を増大させイオン伝導度を下げる為、nは0であるのが好適である。前記式(II)で示される基のうち好適なものを具体的に例示すれば、ベンズヒドリル基、トリチル(トリフェニルメチル)基を挙げることができる。
【0023】
また、前記一般式(I)におけるXは1価のカチオンとなり得る原子又は原子団であり、当該Xとしては、水素原子、アルカリ金属原子及び四級アンモニウムを挙げることができる。これらを具体的に例示すれば、水素原子、Li原子、Na原子、K原子、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−2、3−ジメチルイミダゾリウム、1−プロピル−2、3−ジメチルイミダゾリウム、4−ブチルピリジニウム等を挙げることができる。なお、X(及び下記X〜X)が水素原子以外の場合には、前記式(I)における「−O−X」結合は通常イオン結合(「−O」)となるので、アルカリ金属原子及び四級アンモニウムはそれぞれアルカリ金属イオン(カチオン)、四級アンモニウムイオンの状態で存在することとなる。
【0024】
本発明においては、合成あるいは入手の容易さという理由から、前記一般式(I)で示されるカルボン酸系化合物としては、下記一般式(A)、(B)又は(C)で示される化合物を使用する
【0025】
【化9】
Figure 0004294934
【0026】
{式中、aは2又は3であり、Rは互いに異なっていてもよい、炭素数1〜10の置換基を有していてもよいフェニル基であり、Xは水素原子、アルカリ金属原子又は四級アンモニウムである。}
【0027】
【化10】
Figure 0004294934
【0028】
{式中、Rは炭素数3〜10の置換基であり、bは1〜3の整数であり、bが2以上のときRは互いに異なっていてもよく、Xは水素原子、アルカリ金属原子又は四級アンモニウムである。}
【0029】
【化11】
Figure 0004294934
【0030】
{式中、Rは炭素数3〜10の置換基であり、cは0〜3の整数であり、cが2以上のときRは互いに異なっていてもよく、Xは水素原子、アルカリ金属原子又は四級アンモニウムである。}
上記一般式(A)におけるRは互いに異なっていてもよい、炭素数1〜10の置換基を有していてもよいフェニル基である。また、上記一般式(B)及び(C)における炭素数3〜10の置換基は、前記Rにおける炭素数3〜10の置換基を少なくとも1つ有するフェニル基の置換基と同義である。
【0031】
本発明において好適に使用できる前記一般式(A)で示されるカルボン酸系化合物を具体的に例示すると、次のような化合物が挙げられる。
【0032】
【化12】
Figure 0004294934
【0033】
【化13】
Figure 0004294934
【0034】
また、本発明において好適に使用できる前記一般式(B)で示されるカルボン酸系化合物を具体的に例示すると、次のような化合物が挙げられる。
【0035】
【化14】
Figure 0004294934
【0036】
【化15】
Figure 0004294934
【0037】
【化16】
Figure 0004294934
【0038】
【化17】
Figure 0004294934
【0039】
また、本発明において好適に使用できる前記一般式(C)で示されるカルボン酸系化合物を具体的に例示すると、次のような化合物が挙げられる。
【0040】
【化18】
Figure 0004294934
【0041】
【化19】
Figure 0004294934
【0042】
本発明のイオン導電性組成物で使用する上記カルボン酸系化合物以外の電解質は、前記一般式(I)で示されるカルボン酸系化合物以外の物質であって、水やその他の溶媒に溶解したときにその溶液がイオン電導性を示すようになる物質であれば特に限定されない。例えば、湿式太陽電池の電荷移動層として使用する場合には、リチウムヨウ化物、ナトリウムヨウ化物、カリウムヨウ化物などの金属ヨウ化物、アルキルアンモニウムヨウ化物、四級ピリジニウムヨウ化物、又は四級イミダゾリウムヨウ化物などの従来の湿式太陽電池で使用されている電解質を使用することができる。これら電解質は単独で或いは異なった種類のものを混合して使用することができる。
本発明のイオン導電性組成物に含まれる前記一般式(I)で示されるカルボン酸系化合物と当該カルボン酸系化合物以外の電解質との量比は特に限定されないが、湿式太陽電池の電荷移動層として使用する場合には、少量では開放電圧の向上効果は十分でなく、添加量が多すぎると短絡電流量が小さくなり光電流変換効率の低下を招くという理由から、上記カルボン酸系化合物以外の電解質の合計モル数を1としたときの上記カルボン酸系化合物のモル数が0.0005〜0.1、特に0.001〜0.005となるような量比とするのが好適である。なお、上記カルボン酸系化合物は、単一の種類のものを単独使用しても混合して使用してもよく、さらに複数の異なる種類の化合物を混合して用いてもよい。
また、本発明のイオン導電性組成物は溶媒を含んでいてもよい。かかる溶媒としては、従来の湿式太陽電池の電解移動層で用いられる溶媒が制限無く使用できる。このような溶媒を具体的に例示すれば、エチレンカーボネートやプロピレンカーボネートのカーボネート類、アセトニトリルやメトキシアセトニトリルやプロピオニトリルなどのニトリル類、及びこれらの混合物を挙げることができる。これら溶媒の使用量は特に限定されないが、湿式太陽電池の電荷移動層として使用する場合には、上記カルボン酸系化合物以外の電解質1重量部に対して1〜30重量%、特に5〜15重量部使用するのが好適である。さらに本発明のイオン導電性組成物は、上記のような溶媒を加えた上に、アクリロイル基やメタクリロイル基のような重合性基を持つ化合物、例えばアクリロニトリルやメタクリロニトリル等を加えて重合し、得られた架橋体をマトリックスとして、該マトリックスに保持させた形で使用することもできる。
本発明のイオン導電性組成物は、湿式太陽電池に代表される光化学電池の電荷移動層として好適に使用することができ、本発明のイオン導電性組成物を電荷移動層として用いた本発明の光化学電池は、開放電圧が高く光電変換効率に優れ、高い耐久性を持つという特長を有する。このような効果が発現するのは、本発明のイオン導電性組成物に含まれる前記式(I)で示されるカルボン酸系化合物が、湿式太陽電池の感光層である半導体層(例えばTiO粒子)表面に吸着するために半導体層表面で不可避的に起こる電解質のヨウ素化合物の還元反応が抑制されて開放電圧が高くなったものと考えられる。また、上記カルボン酸系化合物は、従来同じ目的で添加される既知の化合物(例えば4−tert−ブチルピリジン又は2−ビニルピリジン)と比べてその吸着力が強いので開放電圧向上効果がより高くなっているばかりでなく、従来の化合物を用いた場合にはヨウ素濃度の高い電解質組成物を用いた場合には開放電圧が低くなってしまい光電変換効率が低下してしまうのに対し、前記カルボン酸系化合物を用いた場合には、このような条件下でも開放電圧の低下、ひいては光電変換効率の低下を抑制することが可能となっている。
【0043】
以下、図面を参照して本発明の光化学電池について更に詳しく説明する。図1に代表的な本発明の光化学電池1の模式図を示す。該光化学電池1は、基本的には従来の湿式太陽電池と同様の構造を有し、光電変換素子2と、電荷移動層3と、対向電極4とで構成されている。上記光電変換素子2は負極として作用し、例えばガラスからなる基板5a上に例えばITO等の導電性物質から成る導電層6が形成された導電性支持体7と、感光層8とから成り、上記対向電極4は、ガラス等の基板5b上に金属膜9が積層された構造を有する。また、上記感光層8は図2に示すように色素10が吸着した半導体11からなり、上記電荷移動層3は本発明のイオン導電性組成物で構成されている。
本発明の光化学電池で使用する各構成部材は、従来の光化学電池で使用されているものと特に変わることは無い。例えば、導電性支持体としては光透過性及び電気導電性を有するもの、具体的にはガラスもしくは透明プラスチック基板にITOや酸化亜鉛等の導電性の金属酸化物を塗布したものが好適に使用できる。
【0044】
また、感光層を構成する半導体としては、TiO、ZnO、SnO、Fe、WO、Nb等が使用でき、中でも製造コストと原材料確保とエネルギー変換効率の点からTiO微粒子が特に好適に使用できる。また、色素としては、米国特許4927721号、同4684537号、同5084365号、同5350644号、同5463057号、同5525440号および、特開平7−249790号明細書等に記載された錯体色素、より具体的には、シス−ジシアネート−ビス−2、2’−ジピリジル−4、4’−ジカルボキシレート)ルテニウム(II)等が使用できる。なお、上記感光層の形成は、例えば、ゾル−ゲル法等により作製した上記平均粒子径1〜1000nmの半導体微粒子に分散媒を加え調製した分散液を導電性支持体に塗布後、乾燥して焼結した後に含浸法当により色素を吸着させる方法等が挙げられる。用いる分散媒としては水、有機溶媒、あるいはその混合物などが特に制限無く用いることができる。また、必要に応じて界面活性剤などを分散液に添加してもよい。塗布する方法としては、ブレード法、印刷法、スプレー法などを用いることができる。焼成は空気中あるいは不活性ガス中で300〜700℃で行い感光層を形成する。膜厚は厚いほど半導体層中の色素の量が多くなり光の吸収が強くなるが、導電性支持体までの距離が増し電気抵抗が大きくなるために、感光層の厚みは0.1〜100μm、好ましくは1〜50μmである。
【0045】
また、対向電極としてはガラスもしくは透明プラスチック基板上に金属を蒸着またはスパッタリングによって金属薄膜を形成したものが好適に使用できる。このような部材を用いた場合には、感光層の支持体側から入射した光が対向電極で反射するので、光の利用効率が高くなる。
【0046】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。下記実施例及び比較例で使用したカルボン酸系化合物を以下に示す。
【0047】
【化20】
Figure 0004294934
【0048】
なお、上記化合物A、B、C、D、F、及びGは試薬として入手したものであり(化合物A〜D及びFはAldrich製、化合物Gは和光純薬工業株式会社製)、化合物Eは、文献(Giardina, Giuseppe et al., Journal of Medicine vol.40 (12),page 1794-1807,(1997))記載の方法に従い合成したものである。
【0049】
また、光化学電池の作製は、“色素増感太陽電池の最新技術”(シーエムシー社、2001)の44〜53項に記載された方法、或いはインターネット上の東北大学多元物質科学研究所のホームページに掲載された方法(kuroppe.icrs.tohoku.ac.jp/~masaki/wet_cell/main-j.htm)等に基づき下記(1)〜(4)の手順で作製し、得られた光化学電池の光電変換効率を下記(5)に示すようにして測定した。
【0050】
(1) 半導体電極の作製
和光純薬工業株式会社から購入したチタンイソプロポキサイド125mlを0.1Mの硝酸水溶液750mlに攪拌しながらゆっくり滴下した。80度8時間攪拌後室温まで放冷後、オートクレーブを用いて225℃で12時間水熱処理を行い酸化チタンの含有量が11重量%になるよう調整した。得られたコロイド溶液1重量部に和光純薬工業株式会社製Triton−Xを0.02〜0.05重量部加え均一な分散液とした。フッ素をドープした酸化スズ透明電極付ガラス基板にこの分散液をブレード法で塗布し100℃で1時間乾燥した後、450℃で1時間焼成した。その後0.1Mの四塩化チタン水溶液を一滴滴下し一晩放置した。その後水洗し、再び100℃で1時間乾燥した後、450℃で1時間焼成し作製した。
【0051】
(2) 色素の固定
色素の固定はルテニウム増感色素(シス−ジシアネート−ビス−2、2‘−ジピリジル−4、4’−ジカルボキシレート)ルテニウム(II)0.3mmol含むエタノール溶液に上記チタニア板を一晩浸漬し固定した。
【0052】
(3) 電解液の調整
電解液はアセトニトリルにヨウ化リチウム、1、2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨウ化物、ヨウ素、及び各実施例及び比較例で使用する上記カルボン酸系化合物をアセトニトリルにヨウ化リチウム0.3M、1、2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨウ化物0.5M、ヨウ素0.05M、各種カルボン酸系化合物0.2Mとなるように添加して調製した。
【0053】
(4) 光化学電池の作製
前記(2)で作製したチタニア基板を光電変換素子とし、対向電極として白金をスパッタしたガラス基板を用いた。スペーサーをはさんで電極をはさみ、注入口2箇所を残しエポキシ系接着剤で周りを封止後、電解液を注入し、注入後注入口をエポキシ系接着剤で封止した。この後電極にリード線を取り付けて光化学電池とした。
【0054】
(5)光電変換効率の測定
500Wのキセノンランプの光をAM1.5フィルターとUVカットフィルターを通した擬似太陽光を作製した光化学電池に照射し発電性能の測定を行った。また、寿命試験として240時間の照射前後の光電変換効率を測定した。これらによって得られた光電気化学電池の開放電圧、短絡電圧、変換効率をまとめて表1に示す。尚、耐久性を表す数値として
維持率 =(240時間後変換効率/初期変換効率) X 100
を求め、240時間後において変換効率がどの程度維持されているかの指標とした。該数値が100に近いほど耐久性が高い(劣化し難い)といえる。
【0055】
実施例1〜5、並びに比較例1および2
電解液に添加するカルボン酸系化合物としてそれぞれ前記した各種化合物(実施例1:化合物A、実施例2:化合物B、実施例3:化合物C、実施例4:化合物D、実施例5:化合物E、比較例1:化合物F、比較例2:化合物G)を用い、光化学電池を作成し、その評価を行った。その結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
Figure 0004294934
【0057】
表1に示されるように、比較例の光化学電池に比べて実施例の光化学電池は比較例1の4−tert−ブチルピリジン添加に比べ開放電圧を低下させずに短絡電流密度が上昇する(その結果光電変換効率も高くなっている)、また240時間後においても変換効率の劣化が少なくなっている。また、比較例2の酢酸添加に比べ開放電圧が高く、短絡電流密度が同等である。また240時間後における変換効率も同等である。
【0058】
【発明の効果】
本発明により開放電圧および耐久性の向上に優れた光電気化学電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本図は、代表的な本発明の光化学電池の模式図である。
【図2】 本図は、図1に示す光化学電池の感光層の構造を示す図である。
【符号の説明】
1・・・光化学電池
2・・・光電変換素子
3・・・電荷移動層
4・・・対向電極
5a、5b・・・基板
6・・・導電層
7・・・導電性支持体
8・・・感光層
9・・・金属膜
10・・・色素
11・・・半導体

Claims (3)

  1. 下記一般式(I)
    Figure 0004294934
    {式中、Rは、炭素数3〜10の置換基を少なくとも1つ有するフェニル基、縮環構造を有する置換若しくは非置換のアリール基、又は下記式(II)
    Figure 0004294934
    (式中、R、R及びRは、水素原子又は置換若しくは非置換のアリール基であり、R、R及びRの全てが同時に水素原子になることはなく、R、R及びRの内の2つが水素原子で他の1つが置換若しくは非置換のアリール基であるとき当該置換若しくは非置換のアリール基置は少なくとも1つの炭素数3〜10の置換基を有するか又は縮環構造を有しており、nは0〜5の整数である。)
    で示される基であり、Xは1価のカチオンとなり得る原子又は原子団である。}
    で示されるカルボン酸系化合物、及び該カルボン酸系化合物以外の物質からなる電解質を含有してなる光電気化学電池用イオン導電性組成物であって、前記一般式(I)で示されるカルボン酸系化合物が下記一般式(A)〜(C)で示される何れかのカルボン酸系化合物であることを特徴とする光電気化学電池用イオン導電性組成物。
    Figure 0004294934
    {式中、aは2又は3であり、Rは互いに異なっていてもよい、炭素数1〜10の置換基を有していてもよいフェニル基であり、Xは水素原子、アルカリ金属原子又は四級アンモニウムである。}
    Figure 0004294934
    {式中、Rは炭素数3〜10の置換基であり、bは1〜3の整数であり、bが2以上のときRは互いに異なっていてもよく、Xは水素原子、アルカリ金属原子又は四級アンモニウムである。}
    Figure 0004294934
    {式中、Rは炭素数3〜10の置換基であり、cは0〜3の整数であり、cが2以上のときRは互いに異なっていてもよく、Xは水素原子、アルカリ金属原子又は四級アンモニウムである。}
  2. 請求項1に記載のイオン導電性組成物を用いた電荷移動層を具備する光化学電池。
  3. 色素が吸着した半導体層からなる感光層と、該感光層を支持する導電性支持体と、からなり、負極として作用する光電変換素子と、対向電極と、前記光電変換素子と前記光電変換素子との間に介在する電荷移動層と、で構成される光化学電池において、前記電荷移動層が請求項1に記載のイオン導電性組成物で構成されることを特徴とする光化学電池。
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