JP4294713B1 - 形状計測システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ロール成形機3によって連続的に成形された後に走行切断機5によって所定長さに切断される金属製品7の形状を画像処理によって計測する形状計測システム21であって、移動する金属製品7の上方からレーザ光を照射するレーザ光照射手段25と、前記金属製品7における前記レーザ光が照射されている位置を撮像する撮像手段23と、前記撮像手段23によって得られた画像情報を処理する計算手段26とを備え、前記撮像手段23は、前記走行切断機5の下流側において前記金属製品7を撮像し、前記計算手段26は、前記画像情報の時間変化に基づいて、前記金属製品7の基準形状に対する変形量を計測する。
【選択図】 図1
Description
[システムの概要]
図1は、本実施形態に係る形状計測システム21の概要を示す。本システム21では、ロール成形機3から高速に搬出される金属製品7に対して、レーザ光を照射するレーザ光照射手段25と、照射された金属製品7の表面の反射光を撮像する撮像手段としての高速度カメラ23と、撮像手段で得られた画像情報を受信して処理する計算手段としてのコンピュータ26と、を用いた三次元計測によりその形状を瞬時に計測する。また、高速度カメラ23で得られた画像を表示するモニタ27を備えてもよい。そして、良品に対する異常変形量を定量評価した上で、形状矯正に必要な補正値(調整値)をロール成形機3ヘフィードバックする。
本実施形態における高速度カメラ23は、光切断法に基づく3次元位置計測用として、INCS1030を用いた。INCS1030は、652×494画素のCMOSセンサを搭載したカメラシステムであり、FPGA(Field Programmable Gate Array)により画像処理を行った上で、その画像特徴量のみをLAN出力することができる。処理レートは、640×400画素で240[fps]、640×200画素で480[fps]、640×100画素で960[fps]である。
本実施形態では、ロール成形機3のうち、冷間ロール成形機を一例として用いて、本実施形態について説明する。なお、本発明は冷間ロール成形機だけではなく、温間あるいはい熱間ロール成形機にも同様に適用できることは言うまでもないことである。実際に用いた冷間ロール成形機23を図3に示す。実際の冷間ロール成形機23は、図4に示すように、鋼板コイル材の巻き出しを行うアンコイラ2と、ライン速度に同期(NC)しての金属製品7の切断を行う走行切断機5とが組み合わせられている。この冷間ロール成形機23は、所定の速度でのロールの生産が可能である。また、成形品における上下反り、左右曲り、ねじれ等の変形は、冷間ロール成形機23の最下流部に設置されたタークスヘッドと呼ばれる機構の上下、左右、回転方向の調整により補正可能である(図5参照)。このため、冷間ロール成形機23における自動矯正を行う上では、このような補正処理を行う場合に、タークスヘッド3aの調整による金属製品7の変形がどのように変化するかを知る必要がある。本実施形態によれば、タークスヘッド3aの調整による変形量の変化を解析するとともに、計測された金属製品7の変形から適切なタークスヘッド3aの位置調整量を推定することができる。
以下に、本実施形態に係る形状計測システム21の処理の流れを説明する。搬送される金属製品7に照射された線状のレーザ光(図6参照)は、高速度カメラ23によって、図7に示されるように撮像される。なお、本実施形態では、計測座標系を図8に示すように設定した。
高速度カメラ23より、金属製品7に照射されたレーザ光の始端座標、終端座標を、各フレームで連続的に取得する。
原点(x,y,z)=(0,0,0)をそれぞれ金属製品7の搬送方向の先端、幅方向の中点、地面に対する高さとする。このとき、時刻tにおける始端座標x1(t),y1(t),z1(t)は画像上の点X1(t),Y1(t)を用いて以下の様に求められる。
x1(t)=St (1)
y1(t)=(X1(t)p(d/cosθ−f+z(t))/f (2)
z1(t)=(Y1(t)p(d/cosθ−f))/(fsinθ+pcosθ) (3)
ここで、Sは金属製品7の搬送速度、dは高速度カメラ23と金属製品7との距離、θはX軸と高速度カメラ23の光軸が成す角、fはレンズ焦点距離、pはイメージセンサの画素ピッチである。終端座標x2(t),y2(t),z2(t)についても、X2(t),Y2(t)を用いて同様に求められる。
W(t)=−(z1(t)+z2(t))/2 (4)
C(t)=(y1(t)+y2(t))/2 (5)
T(t)=z2(t)−z1(t) (6)
本実施形態では、上記の3パラメータを算出することにより、金属製品の変形量を評価する。
高速な製品成形においては、搬送中の金属製品7に高周波振動が生じる。この高周波振動に基づく振動成分を除去するために、上記した処理(2)で得られた時系列の変形量に対して、最小二乗法による4次近似を施した上で、この近似値を変形量W(t),C(t),T(t)として用いる。
反り、曲り、ねじれ形状のそれぞれにおいて、正常な形状を基準とした差分ベクトルdXを求める。ただし、基準値としては、タークスヘッド位置0.00(初期位置)で成形した場合の金属製品7の複数の測定値を加算平均したものを用いる。
タークスヘッド3aの調整量である矯正ベクトルdY=[TH(W)TH(C)TH(T)]tは、変形量ベクトルdX==[W(t)C(t)T(t)]tを用いてdY=JdXと記述される。ここで、Jは矯正ベクトルへの変換行列であり、dXとdYの解析データベース(ヤコビアンデータベース)を基に、重回帰分析を用いて求めておくものとし、計測されたdXを代入することにより矯正ベクトルdYを算出する(図9参照)。
本実施形態に係る形状計測システム21により、(1)基準値に対する金属製品7の変形についての、手動計測と比較した検出精度,(2)手動計測との整合性,(3)タークスヘッド位置調整値の評価、について検証実験を行った。計測対象物は、幅58.5[mm]、長さ2000[mm]のシャッターの成形工程とした。この金属製品7の良品は、長さ1000[mm]につき、変形量が、反り±0.5[mm]、曲がり±1.0[mm]、ねじれ±0.75[mm]以内のものである。設定パラメータは、f=17[mm]、d=170[mm]、θ=π/4[rad]である。評価する計測地点は、計測開始後100[mm]地点とした。各タークスヘッド位置ごとに、反り計測対象物としての金属製品7を5本、曲り形状用を10本、ねじれ形状用を10本用意し、本実施形態に係る形状計測システム21による計測、および従来生産ラインで行われてきた手動計測を行った。なお、本実施形態の形状計測システム21により計測された、変形パラメータをそれぞれWv,Cv,Tvとする。なお金属製品7の変形は、タークスヘッド3aの位置を調整可能な最小きざみで変化させ加工する事で生じさせた。
[実験方法]
本実施形態の形状計測システム21と手動計測の間で、ばらつきの比較を行った。ここで、本実施形態の形状計測システム21と手動計測では、計測環境が異なるため、Wv,Cv,Tv、および静止計測についての反り、曲り、ねじれの変形パラメータWm,Cm,Tmについて、それぞれの最小値が0、最大値が1となるように正規化した上で比較を行った。
反り形状計測用の金属製品7における、各タークスヘッド位置での変形パラメータの平均とばらつきを図10に示す。図10は反りに関するばらつきを示し、図10(A)および(B)がそれぞれ本実施形態および手動計測のばらつきを示す。反りのばらつきは、手動計測に対し+6%となり、要求精度と比較して十分小さい値となった。曲り、ねじれ形状については、図10(C),(D),(E),(F)に示すように、それぞれ手動計測に対し−68%、−47%となり、ばらつきが軽減された。
[実験方法]
本実施形態の形状計測システム21による計測結果が、従来の製造ラインにおいて実績のある手動計測の結果と合致するかを確認するため、両者の相関を確認した。なお、上記と同様に、Wv,Cv,Tv、およびWm,Cm,Tmは、それぞれの最小値が0、最大値が1となるように正規化している。
本実施形態の形状計測システム21による変形パラメータと手動計測による変形パラメータの関係を図11に示す。結果より、本実施形態による計測結果と手動計測結果の問の相関係数Rは、反り、曲りにおいては、それぞれ0.999、0.984であり、いずれも高い相関が見られた。また、ねじれ形状における両者の相関係数は0.811であった。これは、ねじれ形状はタークスヘッド位置の変化に対して元々の変形が小さかったため、ばらつきが大きく影響したと考えられる。以上の結果により、反り、曲り形状については本実施形態の形状計測システム21に基づく計測においても、手動計測と同程度の精度での計測が可能であると言える。また、ねじれ形状については、取得サンプル数を増やすことにより、より精度が向上すると考えられる。
[実験方法]
得られた測定値を元にタークスヘッド3aの位置を推定し、真値との比較を行った。反り形状計測用の金属製品7を4×23本、曲り形状用を9×23本、ねじれ形状用を9×23本の、合計506本分のデータについて、それぞれの3つの変形パラメータを用いて、調整値を求めるための変換式を導出した。また導出した変換式に実計測値を代入し、タークスヘッド推測位置を算出した。
計測値よりタークスヘッド位置を推定し、真値と比較したものを図12に示す。ここで、TH(W)は反り形状のタークスヘッド位置の真値、THa(W)は反り形状のタークスヘッド位置の推定位置を示す。曲がり,ねじれ形状についても、同様にTH(C),THa(C),TH(T),THa(T)とあらわす。この結果より、反り、曲り形状では、両端では推定値と真値の問に誤差が生じているものの、タークスヘッド位置0.00(基準位置)付近では良好な結果が得られている。実際の現場では、主にタークスヘッド位置0.00付近での微調整を行う事が目的であるので、反り、曲がり形状の矯正については本実施形態の形状計測システム21で対応できると考えられる。ねじれ形状については、真値TH(T)に対する、推定値THa(T)の誤差が大きい。これは、前述の通り、ねじれ形状の変形が小さく、ばらつきが大きく影響しているためと考えられる、今後は分析に用いるサンプルを増やすなど、精度の向上を図る必要がある。
3a タークスヘッド
5 走行切断機
7 金属製品
21 形状計測システム
23 撮像手段(高速度カメラ)
25 レーザ光照射手段
26 計算手段
Claims (10)
- ロール成形機によって連続的に成形された後に走行切断機によって所定長さに切断される金属製品の形状を画像処理によって計測する形状計測システムであって、移動する金属製品の上方からレーザ光を照射するレーザ光照射手段と、前記金属製品における前記レーザ光が照射されている位置を240、480または960fpsから選択される一の処理レートで撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって得られた画像情報を処理する計算手段とを備え、前記撮像手段は、前記切断機の下流側において前記金属製品を撮像し、前記計算手段は、前記画像情報の時間変化に基づいて、前記金属製品の基準形状に対する変形量を計測する形状計測システムと、
平板状の金属材料を成形するロール成形機と、
成形された金属製品を所定の長さに切断する走行切断機とを備えたロール成形システムであって、
前記ロール成形機には金属製品の形状を矯正するためのタークスヘッドが設けられ、前記形状計測システムによって計測された金属製品の変形量に基づいて前記タークスヘッドの設定をヤコビアンデータベースを用いて調整することを特徴とするロール成形システム。 - 前記タークスヘッドの設定は、前記金属製品の搬送経路における位置と回転角度の調整であることを特徴とする請求項1に記載のロール成形システム。
- 前記タークスヘッドの調整量は、前記形状計測システムによって得られた金属製品の変形量の各パラメータを、ヤコビアンデータベースによって調整量のパラメータに変換することにより取得することを特徴とする請求項2に記載のロール成形システム。
- 前記走行切断機は、一方向に作動するアクチュエータによって切断のための刃物を移動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のロール成形システム。
- 前記アクチュエータは電動モータであり、このモータに連結されるクランク機構によって前記刃物を移動させることを特徴とする請求項4に記載のロール成形システム。
- 前記電動モータとクランク機構は、前記刃物を支持する切断台車を移動させることを特徴とする請求項5に記載のロール成形システム。
- 前記電動モータは、前記金属製品の移動速度に前記切断台車の移動速度を同期させるように制御されることを特徴とする請求項6に記載のロール成形システム。
- 前記電動モータは、サーボモータであることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載のロール成形システム。
- 前記クランク機構は、回転軸が前記電動モータに係合されると共に偏心軸が前記切断台車に係合されることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載のロール成形システム。
- 前記電動モータは、前記撮像手段による撮像中は停止していることを特徴とする請求項5〜9のいずれか一項に記載のロール成形システム。
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