JP4293890B2 - 排気浄化装置 - Google Patents

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Description

本発明は排気浄化装置に関するものである。
ディーゼルエンジンの排気(軽油の燃焼ガス)には、炭素質よりなる煤と、高沸点炭化水素成分からなるSOF分(Soluble Organic Fraction:可溶性有機成分)を主な成分として、更に微量のサルフェート(ミスト状硫酸成分)が加わった組成のパティキュレート(Particulate Matter:粒子状物質)が含まれている。
パティキュレートの大気中への拡散を抑制する対策として、パティキュレート捕集用のフィルタを車両用ディーゼルエンジンの排気系統に組み込むことが行なわれている。
パティキュレートフィルタとしては、コージェライトなどのセラミックスによりハニカムコアを形成し、当該ハニカムコアの多孔質薄壁で区分される多数の流路にエンジンからの排気を流通させるものがある。
上記パティキュレートフィルタでは、平行に並んだ多数の流路の一端部分を1つおきに封鎖して、これに隣接する流路の非封鎖の一端部分へエンジンから排気を導くようにし、エンジンから排気が流入する流路の他端部分を封鎖して、これに隣接する流路の他端部分をマフラなどに接続して大気開放させている。
すなわち、エンジン排気に含まれているパティキュレートを多孔質薄壁で捕集し、当該多孔質薄壁を透過した排気だけが大気中へ放出されることになる。
また、排気抵抗が増大しないように、多孔質薄壁に堆積したパティキュレートを燃焼により除去してパティキュレートフィルタの再生を図る必要があるが、ディーゼルエンジンが通常運転されている状態では、パティキュレートが自然着火し得る程度にまで排気温度が上がる機会が少ない。
そこで、白金を担持したアルミナにセリウムなどの希土類元素を添加した酸化触媒を、パティキュレートフィルタに担持させた触媒再生型のパティキュレートフィルタの実用化が進められており、これを用いれば、捕集したパティキュレートの酸化反応が促進されて着火温度が低下し、自然着火に至らない排気温度であってもパティキュレートを燃焼除去することが可能となる。
上記の酸化触媒には活性温度領域があり、排気温度が活性下限温度に達しない運転状態(一般的に軽負荷の運転領域に排気温度が低い領域が拡がっている)が続くと、酸化触媒が活性化しないためにパティキュレートが良好に燃焼除去されないという事象が起きる。
この対策として、パティキュレートフィルタの上流側で燃料を排気に添加し、触媒上で酸化する燃料の反応熱で触媒床温度を上げる操作や、これに先立ち排気温度を高め、触媒床温度を燃料の酸化反応に適した状態にする操作を行ない、パティキュレートフィルタの強制再生を図るようにした排気浄化装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この排気浄化装置では、圧縮上死点(ピストン圧縮行程の上死点)付近における燃料主噴射後の燃料が着火しない時期に、排気に燃料を添加するためのポスト噴射を行なってフィルタ床温度を上げ、圧縮上死点付近における燃料主噴射後の燃料が着火可能な時期に、熱エネルギを得るためのアフタ噴射を行なって排気温度を高めるようにする。
ポスト噴射及びアフタ噴射をしていない通常モードから、ポスト噴射により触媒床温度を上げてパティキュレートの燃焼除去を図る強制再生モードへの切り替えは、適切な間隔で所定時間だけ行なわれる。
また、通常モードから強制再生モードへ切り替えられる際に、アフタ噴射によって排気温度を高める昇温モードを介在させるか否かの判断は、パティキュレートフィルタの出口側における排気温度などに基づいて決定される。
更に、パティキュレートの酸化反応を支援する目的でパティキュレートフィルタの前段にフロースルー型の酸化触媒を設けた場合には、前段の酸化触媒により酸化する添加燃料の反応熱で昇温された排気がパティキュレートフィルタへと導入されることになるので、より低い排気温度からパティキュレートフィルタの強制再生を実現することが可能となる。
特開2003−155915号公報
しかしながら、シリンダブロックや冷却水などが外気温度に近いエンジン起動直後は、アフタ噴射を行なっても安定した燃焼が得られず、失火に至ることがある。
このため従前は、エンジンが定常状態に暖まるまでのアフタ噴射やポスト噴射を控えており、冷却水温度が低いときにはフィルタ強制再生をすることができなかった。
本発明は上述した実情に鑑みてなしたもので、冷却水温度が低い状態からでもフィルタ強制再生を行なえる排気浄化装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明は、エンジン排気系統に組み込んだ触媒再生型パティキュレートフィルタと、エンジン水温を検知する温度センサと、指令信号に応じて作動し且つ排気流量を制限し得る排気絞り手段と、噴射信号に応じて作動し且つ燃料噴射時期及び噴射量を調整し得る燃料噴射装置と、上死点付近での燃料主噴射後の燃料が着火可能な時期に燃料アフタ噴射が行なわれるように昇温モードの噴射信号を燃料噴射装置へ送信する制御装置とを有し、エンジン起動後に、アイドル回転数が高められるように噴射信号を燃料噴射装置へ送信する機能、エンジン起動後に、排気流量が抑えられるように指令信号を排気絞り手段へ送信する機能、及びエンジン起動後の冷却水温度が設定値に達した際に、アフタ噴射が行なわれるように噴射信号を燃料噴射装置へ送信する機能を制御装置に具備させ、アイドル回転数を高め且つ排気流量を抑えるときの冷却水温度よりも、アフタ噴射を開始するときの冷却水温度を高く設定している。
本発明では、エンジンが起動した後、まず、燃料噴射制御手段がアイドル回転数を高めたうえ、排気絞り手段により排気流量を抑えてエンジンを積極的に暖める。
次いで、温度センサの検出値がしきい値に達すると、燃料噴射制御手段がアフタ噴射を開始して触媒床温度の上昇を図る。
(1)アイドル回転数を高め且つ排気流量を抑えることによりエンジンを暖め、アフタ噴射を開始して触媒床温度の上昇を図るので、エンジン水温が低い状態からでもフィルタ強制再生を行なうことが可能になる。
(2)アフタ噴射により送給した燃料が安定に燃焼して排気温度の上昇に寄与し、失火による振動などの異常な挙動がエンジンに生じない。
以下、本発明の実施の形態を図示例とともに説明する。
図1乃至図4は本発明の排気浄化装置の実施の形態の一例であり、ディーゼルエンジン1はターボチャージャ2を装備しており、エアクリーナ3から導入される吸気4が吸気管5を経てターボチャージャ2のコンプレッサ2aへ送給され、該コンプレッサ2aで加圧された吸気4がインタークーラ6へ流入し、ここで冷却された吸気4が吸気マニホールド7へ送給されてディーゼルエンジン1のそれぞれの気筒8(図1では直列6気筒)に分配される。
更に、ディーゼルエンジン1の気筒8から排出される排気9は、排気マニホールド10を経てターボチャージャ2のタービン2bへ送給され、当該タービン2bを駆動した後、排気管11を経て大気中に放出される。
排気管11にはフィルタケース12が組み込んであり、該フィルタケース12内の後段部分には、酸化触媒を一体的に担持してなる触媒再生型のパティキュレートフィルタ13が収容されている。
パティキュレートフィルタ13は、セラミックスによってハニカムコアを形成し、当該ハニカムコアの多孔質薄壁13bで区分される平行な多数の流路13aの一端部分を1つおきに封鎖して、これに隣接する流路13aの非封鎖の一端部分へディーゼルエンジン1から排気9を導くようにし且つ当該流路13aの他端部分を封鎖している(図2参照)。
すなわち、排気9に含まれているパティキュレートを多孔質薄壁13bで捕集し、当該多孔質薄壁13bを透過した排気9だけが下流側へ進んで大気中へ放出される。
フィルタケース12内の前段部分には、ハニカム構造のフロースルー型の酸化触媒14が収容されている(図3参照)。
これに加えて、EGRクーラ16及びEGRバルブ17を組み込んだEGR管路15によって、排気マニホールド10と吸気管5のインタークーラ6よりも下流側の部位を接続している。
すなわち、EGRバルブ17の開度を調整して排気9の一部を排気経路から吸気経路へ再循環させ、燃焼温度を下げることによりNOxの発生の低減を図っている。
更に、フィルタケース12の中間部分には、触媒床温度の代用値として、酸化触媒14とパティキュレートフィルタ13の間で排気9の温度を計測する温度センサ18が設けられている。
また、ディーゼルエンジン1には、冷却水循環経路に組み込まれているサーモスタットの上流側で冷却水温度を計測する温度センサ29が設けられている。
これら温度センサ18,29の温度信号18a,29aは、エンジン制御コンピュータ(ECU:Electronic Control Unit)をなす制御装置20へ送信される。
排気管11には、排気ブレーキを兼ねる排気絞り弁25が、フィルタケース12よりも上流側に位置するように組み込まれている。
制御装置20は燃料噴射制御を担い、アクセルの開度をディーゼルエンジン1の負荷として検出するアクセルセンサ22(負荷センサ)からの開度信号22a、エンジン回転数を検出する回転センサ23からの回転数信号23a、並びに温度センサ18,29からの温度信号18a,29aに基づき、噴射信号21aを燃料噴射装置21へ送信し、また、指令信号17a,25aをEGRバルブ17、排気絞り弁25へ送信する。
燃料噴射装置21は、ディーゼルエンジン1の気筒8ごとに装備したインジェクタなどを有し、これらのインジェクタの電磁弁が前記噴射信号21aに応じて開き、燃料の噴射時期、及び噴射量(開弁時間)を制御する。
制御装置20は、
A.開度信号22aから算定したエンジン負荷と回転数信号23aから算定したエンジン回転数に応じて、圧縮上死点付近で主噴射が行なわれるように通常モードの噴射信号21aを燃料噴射装置21へ送信する機能、
B.予め設定した時間が経過した際に、主噴射後の燃料が着火しない時期にポスト噴射が行なわれるように強制再生モードの噴射信号21aを燃料噴射装置21へ送信する機能、
C.ポスト噴射の開始前に、温度信号18aから算定した触媒床温度に応じて、主噴射後の燃料が着火可能な時期にアフタ噴射が行なわれるように昇温モードの噴射信号21aを燃料噴射装置21へ送信する機能、
D.ディーゼルエンジン1の起動後に、アイドル回転数が高められるように噴射信号21aを燃料噴射装置21へ送信する機能、
E.ディーゼルエンジン1の起動後に、排気流量が押さえられるように指令信号25aを排気絞り弁25へ送信する機能、
F.ディーゼルエンジン1の起動後に、冷却水温度に応じてアフタ噴射が行なわれるように噴射信号21aを燃料噴射装置21へ送信する機能、
G.触媒床温度に応じてアフタ噴射にポスト噴射が加わるように噴射信号21aを燃料噴射装置21へ送信する機能、
などを具備している。
車両の通常運転時には、A項、B項、C項の機能によってポスト噴射及びアフタ噴射をしていない通常モードから、適切な間隔でポスト噴射によりパティキュレートの燃焼除去を図る強制再生モードへの切り替えが所定時間だけ行なわれ、また、アフタ噴射によって排気温度を高める昇温モードを介在させるか否かの判断がなされる。
D項の機能は、ディーゼルエンジン1の起動後、昇温制御要求が出た際に、主噴射時の燃料送給量が増えてアイドルアップがONになるように設定してある(図4参照)。
更にD項の機能は、複数のアイドリング停車の要件の全てが満たされた場合にアイドルアップを許容し、全ての要件が満たされない場合には、直ちに通常モードに復帰するようにしておくことが望ましい。
アイドリング停車の要件としては、例えば、回転センサ23の回転数信号23aが所定の値以下であること、アクセルセンサ22から開度信号22aが発信されていないこと、トランスミッションが中立状態であること、及びクラッチを踏んでいない状態であることなどを考慮している。
E項の機能は、昇温制御要求が出た際に、排気絞り弁25の開度が狭まって気筒8における排気9の残留率が多くなって排気絞りがONになるように設定してある(図4参照)。
つまり、この排気9を含む吸気4が圧縮行程を経て爆発行程を迎えるため、更なる排気温度の上昇が図られることになる。
F項の機能は、ディーゼルエンジン1の起動後の冷却水温度がT2(しきい値)に達した際に、アフタ噴射が行なわれる(ONになる)ように設定してある(図4参照)。
このように、アイドル回転数を高め且つ排気9の流量を抑える温度よりも、アフタ噴射を開始する温度T2を高く設定したので、ディーゼルエンジン1が充分に暖まるまでの間は、制御装置20により主噴射だけが行なわれる。
従って、いかなる状態からでも排気温度を上げることができ、また、失火による振動などの異常な挙動がエンジンに生じない。
なお、本発明の排気浄化装置は、上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において変更を加え得ることは勿論である。
本発明の排気浄化装置は、様々な車種に適用することができる。
本発明の排気浄化装置の実施の形態の一例を示す概念図である。 図1に関連するパティキュレートフィルタの断面図である。 図1に関連する酸化触媒の部分切断斜視図である。 アイドルアップ、排気絞り、及びアフタ噴射と冷却水温度の関係を時系列的に表した線図である。
符号の説明
1 ディーゼルエンジン
11 排気管(エンジン排気系統)
13 パティキュレートフィルタ
20 制御装置(燃料噴射制御手段)
21 燃料噴射装置(燃料噴射制御手段)
25 排気絞り弁(排気絞り手段)
29 温度センサ

Claims (1)

  1. エンジン排気系統に組み込んだ触媒再生型パティキュレートフィルタと、エンジン水温を検知する温度センサと、指令信号に応じて作動し且つ排気流量を制限し得る排気絞り手段と、噴射信号に応じて作動し且つ燃料噴射時期及び噴射量を調整し得る燃料噴射装置と、上死点付近での燃料主噴射後の燃料が着火可能な時期に燃料アフタ噴射が行なわれるように昇温モードの噴射信号を燃料噴射装置へ送信する制御装置とを有し、エンジン起動後に、アイドル回転数が高められるように噴射信号を燃料噴射装置へ送信する機能、エンジン起動後に、排気流量が抑えられるように指令信号を排気絞り手段へ送信する機能、及びエンジン起動後の冷却水温度が設定値に達した際に、アフタ噴射が行なわれるように噴射信号を燃料噴射装置へ送信する機能を制御装置に具備させ、アイドル回転数を高め且つ排気流量を抑えるときの冷却水温度よりも、アフタ噴射を開始するときの冷却水温度を高く設定したことを特徴とする排気浄化装置。
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