JP4293788B2 - B型肝炎ウイルスに対するモノクローナル抗体 - Google Patents

B型肝炎ウイルスに対するモノクローナル抗体 Download PDF

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Description

【0001】
5つの型のウイルス性肝炎、A型、B型、C型、D型、E型肝炎は、現在かなりよく知られている。それぞれの場合、ウイルスは肝臓に侵入し、肝細胞の破壊を伴う炎症状態を引き起こす。
【0002】
B型肝炎はウイルスの一種、ヒトB型肝炎ウイルス(HBV)によって引き起こされる。HBVウイルスは、Blumbergらにより発見された(A“new”antigen in leukemia sera, JAMA 191: 541, (1965))。ウイルスは血液経由、性的接触または周産期ルートによって伝播する。
【0003】
HBVは、感染しても大多数の症例において、まったく症状を発現することがなく、無症候性急性肝炎の原因となる。急性肝炎は、消化異常、腹痛、尿の異常着色および便の変色、無気力ならびに黄疸を特徴とする。急性肝炎は、肝臓の急速な壊死を伴う劇症型へと進展しうる。
【0004】
ウイルス感染は、また、急性肝炎であった患者または感染が無症候性であった患者において、慢性型へと移行しうる。慢性キャリアは様々なサイズの肝病変を有し、肝硬変および初期癌を発症する危険性が増大している。感染の慢性化がしばしば起こるアジアやアフリカでは、肝臓の初期癌は重大な公衆の健康問題となっている。さらに、慢性キャリアはウイルスの保有宿主となり、そのウイルスを蔓延させるものであり、世界的レベルでの公衆の健康問題へと変化しつつある。
【0005】
HBV感染は、ヒトにおける最も一般的なウイルス感染の一種である。これは、地理的に特徴的な発生率を有する遍在的な疾患である。欧州および北米では、人口の約0.1%〜1%が感染しているが、アジアおよびアフリカでは人口の20%までがキャリアである。全世界におけるHBV感染者の数は、約3億5千万人と推定される。
【0006】
輸血後のウイルス感染を順に列挙すると、第一番目がHBVであり、次いでHCV、HIVがこれに続く。
【0007】
HBVは、肝親和性のDNAウイルス(ヘパドナウイルス)である直径42nmのDNAを有する小ウイルスであり、ヘパドナウイルス科のファミリーに分類される。その遺伝子構造は、著しく小型なものである。ウイルスは、外殻およびヌクレオキャプシドからなる。殻は主として3つの表面抗原(HBsAg、すなわちB型肝炎表面抗原)からなり、これらがHBV感染の診断において大きな役割を果たしている。ヌクレオキャプシドは、コア抗原(HBcAg)、DNAポリメラーゼ/逆転写酵素およびウイルスゲノムを含有する。ウイルスの核がウイルスの感染要素を構成し、外膜はウイルスの主要な抗原決定基であるHBs抗原を担っている。ウイルスの核はヌクレオカプシド内にとどまる。ヌクレオカプシドの直径は約28nmである。
【0008】
サイズは小さいが(3200塩基対)、環状で、部分的に二重鎖となっているHBVのDNAは、重複するS、C、PおよびX遺伝子から4つの型のウイルス生成物をコードしている。
【0009】
S遺伝子は、ビリオンの外表面上に発現されるHBsAg殻タンパク質をコードしている。HBsAg殻タンパク質は、24kDaのポリペプチドおよびそれがグリコシル化された28kDaのポリペプチドの2つの主要ポリペプチドで構成される。HBsAgは、124〜147位のアミノ酸に対応し、HBVのすべての分離株に共通する「a」決定基と呼ばれるHBVの主要中和エピトープを含む。「a」決定基は、診断および予防接種において最も重用な標的である。急性または慢性感染後に抗HBs抗体が産生されると、通常は回復し予後も好ましい。抗HBs抗体には、ワクチン接種後には中和抗体の産生が伴う。回復期の個体の血清またはワクチン接種後の血清中に見出される抗HBs抗体の大部分は、その「a」決定基の領域に結合する。HBs抗原の三次構造は未だ決定されていないが、構造−機能研究の結果、「a」決定基がHBsAg抗原(残基99から169)の主要親水性領域中に位置することが示されている。「a」決定基が高次構造を有することは明らかである。というのも、アルキル化または還元によりこの領域を変性させると、HBsAg粒子を生じ、そのHBsAg粒子の抗原性が劇的に低下しているからである。おそらく、システイン間のジスルフィド架橋が適正なコンフォーメーションに関与している。「a」決定基(残基124〜147)は5つのシステインを含むが、「a」決定基の可能な構造には、第一のループを形成する124位と137位のアミノ酸の間および第二のループを形成する139位と147位のアミノ酸の間のジスルフィド架橋の存在が関与する。おそらく「a」決定基の配列全体が抗原構造に寄与している。さらに、HBsAg抗原は、122位にそれぞれリシンまたはアルギニンが存在するdまたはy決定基のいずれか、および160位にそれぞれリシンまたはアルギニンが存在するwまたはr決定基を含む。したがって、adw、ayw、adrおよびayrの4つの主要なHBsAgの抗原サブタイプがあり、それぞれが、地理的な分布に関連する。S遺伝子の上流、プレS遺伝子は種々のHBV表面抗原をコードする。
【0010】
P遺伝子は、ウイルスの複製メカニズムにきわめて重要なDNAポリメラーゼ/逆転写酵素をコードする。
【0011】
C遺伝子は、可溶性で分泌されるタンパク質であるHBeAgおよび細胞内のコアタンパク質であるHBcAgの2つのヌクレオカプシドタンパク質をコードする。HBeAgは、ウイルス複製が増大していることの血清学的マーカーである。
【0012】
X遺伝子は、異なる生物学的効果を有し、特にウイルスおよび細胞の遺伝子の転写をトランスに活性化しうるHBxAgをコードする。
【0013】
HBVが個体に感染すると、ウイルスDNAは、完全に宿主の肝細胞内で複製される。
【0014】
HBVの感染後、患者の血清中で最初に検出可能なマーカーは、HBsAg抗原であるが、このマーカーが、6ヶ月以上持続することは稀である。HBs抗原が血清から消失した後、抗HBsAg抗体が検出可能となり、持続する。HBc抗原はHBs殻抗原によって隔離されているので、通常では、患者の血清中に検出することはできないが、抗HBc抗体の存在は、HBs抗原の出現後1〜2週間以内に容易に確認される。
【0015】
しかし、上記のマーカーを用いる標準的な血清学的試験では、HBVの変異体の検出が可能にならないことは、現在明白である。HBVのキャリアであり、進展した慢性B型肝炎を有する患者が存在するという事実は、標準的な血清学的マーカーを用いてHBV感染を同定することができないで、最も重大な問題であり、より良い試験法の開発の必要があることを示す。
【0016】
HBV変異体の存在は、長年にわたり疑われていた。この仮定は、慢性肝炎の患者の血清中および/または肝臓中に、標準的な血清学的マーカー(HBsAgおよび抗HBc)が確認されなかったにもかかわらず、ウイルスDNAが検出されたことに基づいている。
【0017】
ウイルスのDNA配列のキャリアである患者においてHBsAgが検出できないことについては、表面抗原の低発現またはSタンパク質の抗原決定基のレベルでの突然変異の存在など、いくつかの説明が可能である。第一には、ウイルスの共感染がHBVの複製を抑制しうる(Jilg W et al., Hepatol, 1995, 23: 14-20, Jylberberg et al., Clinical infection diseases, 1996, 23: 1117-1125, Ushida et al., J. of Med. Virol. 1997, 52: 399-405, Hofer et al., Eur.J. Clin; Microbiol. Infect. Dis., 1998, 17: 6-13)。別の説明は、インビボにおける抗HBs抗体との免疫複合体形成の間にHBs抗原がマスクされたということであろう。
【0018】
しかし、さらに最近になって、HBsAgの存在が、患者の抗HBs血清中に観察されるようになってきた。これらの患者におけるHBsAg抗原の存在は、その抗原が存在する抗HBsによって中和されていないという事実と関連しており、変異体の存在を示唆している。
【0019】
変異体または突然変異体の存在は、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体を用いるワクチン接種および治療に関連してきている。突然変異体の分析は、突然変異体が混合したポピュレーションから選択されてきたものであり、「a」決定基中のアミノ酸置換を起こす点突然変異を有することを示しているようである。突然変異体は、遺伝子型のプールとなる、遺伝子中の任意の突然変異の産物であるらしい。さらに、免疫反応は、突然変体の選択における主な因子であると考えられる。一般に、インビトロでウイルス感染した細胞にモノクローナル抗体を添加すると、その抗体によって中和されない分離株が選択される。したがって、ウイルス複製が活性である患者に与えられたモノクローナル抗体が、エスケープ突然変異体(escape mutant)を選択することになっても驚くにはあたらない。臨床的に重要な数種のエスケープ突然変異体の分離株が、ワクチン接種を受けた個体中に見出されている。いくつかの場合では、HBsAg抗原の「a」決定基内の145位のアミノ酸をコードするコドンのレベルで点突然変異を有し、グリシンがアルギニンに変化している。そのような突然変異体を含有する血清のチンパンジーへの投与は、これらの因子が伝播性であることを示している。「a」決定基の141位のリシンのグルタミン酸での置換を誘導する別の点突然変異も、ワクチン接種した患者において見出されている。したがって、野生型HBVのみならず突然変異体または変異体も、確実な方法で、検出可能とすることが重要である。実際、HBsAgエピトープのレベルで重要な突然変異が起こり、抗HBs抗体がそれを認識しない場合には、その突然変異体が検出されないか、その試験が十分な感度を有するものではないということになる。現在、エスケープ突然変異体が検出されていないという事実は、そのキャリアに影響を与えるのみならず、血液、血液製剤および臓器の提供による感染の伝播にもつながりうる。さらに、突然変異体HBsAgは、個体が以前に免疫化されており、抗HBsタイプの応答を有していたとしても、その個体に感染しうる。国際公開公報第94/26904号には、122位での突然変異を含むエスケープ突然変異体からHBsAgの野生型を区別することが可能なモノクローナル抗体が記載されている。しかし、確実な診断試験を開発するために、HBsAgの野生型および突然変異体型の両方を検出しうるモノクローナル抗体の特徴付けを求める深刻な必要性がある(Coleman et al. (1999), Journal of Medical Virology 59: 19-24; Ireland et al. (2000), Hepatology 31; 1176-1181)。実際、あるケースでは、「a」決定基をコードする殻遺伝子の領域に影響を及ぼすHBV変異体が、市販の診断試験で使用されるモノクローナル抗体では認識されない(Carman et al. (1990), Lancet 336: 325-329; Seddigh-Tonckaboni et al. (2000), Journal of Medical Virology 60: 113-121; Weinberger et al. (2000), Journal of General Virology 81: 1165-1174)。
【0020】
したがって、本発明の主題は、野生型HBsAg抗原、および少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つおよび有利には3つ以上の突然変異体型HBsAg抗原に結合可能なモノクローナル抗体であり、このモノクローナル抗体は、HBsAg抗原の199〜208領域中の少なくとも6個の連続するアミノ酸からなるペプチド配列に結合し、有利にはHBsAg抗原の199〜208領域により構成されるペプチド配列に結合する。
【0021】
さらに、本発明の主題は、野生型HBsAg抗原、および少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つおよび有利には3つ以上の突然変異体型HBsAg抗原に特異的に結合可能なモノクローナル抗体であり、このモノクローナル抗体は、HBsAg抗原の199〜208領域に特異的に結合する。
【0022】
本発明のモノクローナル抗体が野生型および突然変異型HBsAg抗原に特異的に結合する能力は、以下の事実に関係する。すなわち、本発明の発明者がエピトープ「マッピング」によって初めて明らかにしたように、本発明のモノクローナル抗体の能力は、HBVの野生型およびHBsAg抗原の199位と208位のアミノ酸の間に位置する領域またはエピトープに相当する突然変異型の両方において、HBsAg抗原の「a」決定基のレベルまたは「a」決定基の近接部分で起こりうる他の突然変異またはアミノ酸置換の有無とは無関係に、表面抗原の高度に保存された領域を認識するとの事実につながる。したがって、本発明のモノクローナル抗体は、HBsAg抗原の「a」決定基中に少なくとも1個のアミノ酸置換を含む少なくとも1つのHBsAg抗原の突然変異型、および具体的にはHBsAg抗原の「a」決定基中の127、133、134、142、143、144および145位での少なくとも1個のアミノ酸置換、および場合によりHBsAg抗原の100、118、120、122位での少なくとも1個の他のアミノ酸置換を有するHBsAg抗原の突然変異型を認識し、特異的に結合することが可能である。明らかにされた突然変異または置換は、野生型HBsAg抗原のアミノ酸配列に関して位置付けられる。
【0023】
本発明のモノクローナル抗体によって特異的に認識される突然変異型は、以下の実施例において確認される。より具体的には、以下の突然変異体がある:
−1043Sp:HBsAg抗原の143位のセリンがロイシンで置換されている
−AP3.1:HBsAg抗原の144位のアスパラギン酸がアラニンによって置換されている
−Arg1.2:HBsAg抗原の145位のグリシンがアルギニンによって置換されている
−1157Sp:HBsAg抗原の127位のプロリンがアラニンで置換されており、HBsAg抗原の143位のセリンがロイシンで置換されている
−1056Sp:HBsAg抗原の120位のプロリンがセリンで置換されており、HBsAg抗原の143位のセリンがロイシンで置換されている
−M5:HBsAg抗原の100位のチロシンがセリンで置換されており、HBsAg抗原の118位のトレオニンがバリンで置換されており、HBsAg抗原の122位のアルギニンがリシンで置換されており、HBsAg抗原の133位のメチオニンがイソロイシンで置換されており、HBsAg抗原の134位のチロシンがアスパラギンで置換されており、HBsAg抗原の142位のプロリンがセリンで置換されており、HBsAg抗原の143位のセリンがロイシンで置換されており、HBsAg抗原の145位のグリシンがリシンで置換されている。
【0024】
上記の突然変異体は、モノクローナル抗体のスクリーニングに使用することができる。本発明の抗体を、たとえば、野生型HBsAg抗原および1つ以上の上記のような突然変異体でスクリーニングすることができる。具体的には、本発明の抗体は、野生型HBsAg抗原、およびHBsAg抗原の127、133、134、142、143、144および145位の少なくとも1つで、さらに具体的にはHBsAg抗原の143、144および145位の少なくとも1つで1個以上の置換を、および場合によりHBsAg抗原の100、118、120、122位の少なくとも1つで少なくとも1個の他の置換をそれぞれが有する1つ以上のHBsAg突然変異体でスクリーニングすることができる。
【0025】
具体的には、本発明のモノクローナル抗体は、野生型HBsAg抗原、およびHBsAg抗原の127、133、134、142、143、144および145位のアミノ酸をコードする1つ以上のコドンのレベルで点突然変異を有する配列によってコードされる「a」決定基を保持する少なくとも1つのHBsAg突然変異体に結合することができる。本発明の好ましい抗体は、イムノグロブリンのクラスGに属する、2G2G10および8B4H7と呼ばれる抗体である。2G2G10モノクローナル抗体は、IgG2bイムノグロブリンクラスに属する。8B4H7モノクローナル抗体は、IgG2aクラスに属し、2G2G10抗体をUV処理することによって得られた。
【0026】
本発明は、本発明のモノクローナル抗体のフラグメントおよび誘導体、具体的にはFab、Fab′、F(ab)2およびsFvフラグメント(Blazar et al., 1997, Journal of Immunology 159: 5821-5833およびBird et al., 1988, Science 242: 423-426)およびそのコンジュゲートをも含む。本発明のモノクローナル抗体誘導体は特にヒト化抗体を含む。モノクローナル抗体のフラグメント、およびヒト化誘導体を含むモノクローナル抗体の誘導体の製造方法は、当業者には周知である。非ヒト、例えばネズミの「ヒト化」型抗体は、非ヒトイムノグロブリンに由来する最小の配列を含むキメラ抗体である。ほとんどのヒト化抗体は、レセプターの超可変領域の残基が、マウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類などの所望の特異性、親和性および容量を有する非ヒトドナー種(ドナー抗体)の超可変領域の残基によって置き換えられているヒトイムノグロブリン(レセプター抗体)である。ある種の場合には、ヒトイムノグロブリンのFv領域の(FR)残基が、対応する非ヒト残基で置き換えられている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体中には見出されない残基を含みうる。これらの修飾は、抗体の機能を改善するために実施される。一般的に、ヒト化抗体は、少なくとも1つおよび好ましくは2つの可変ドメインを含み、その中では、すべてまたはほとんどすべての超可変ループは非ヒトイムノグロブリンに相当し、すべてのまたはほとんどすべてのFR領域はヒトイムノグロブリンのものである。ヒト化抗体は、場合によっては、ヒトイムノグロブリンなどのイムノグロブリンの定常領域(Fc)の少なくとも一部分をも含みうる(Jones et al., Nature 321: 522-525 (1986); Reichmann et al., Nature 332: 323-329 (1988); およびPresta et al., Curr. Op. Struct. Biol. 2: 593-596 (1992))。
【0027】
本発明のモノクローナル抗体、具体的には、2G2G10および8B4H7抗体は、下記の実施例1に記載のプロトコール、または実施例1に記載のプロトコールに由来するプロトコールに従いハイブリドーマ系により産生される。さらに、哺乳動物、好ましくはネズミ動物を、野生型HBsAg抗原または場合によりフラグメントまたは適当な抗原誘導体の形態のHBsAg抗原の突然変異体型で免疫化し、ハイブリドーマを形成させるために抗体産生細胞を不死化させ、野生化HBsAg抗原および場合によりフラグメントまたは適当な抗原誘導体の形態の少なくとも1つの上記突然変異体型でハイブリドーマ培養物をスクリーニングし、さらに野生型HBsAgおよび少なくとも1つの上記突然変異体型に結合する抗体を産生するハイブリドーマを選択することによってハイブリドーマ系を作製することからなる、本発明のモノクローナル抗体の製造方法も本発明の主題である。
【0028】
本発明は、本発明のモノクローナル抗体を産生しうるハイブリドーマ、上記方法に従ってインビボまたはインビトロで得られやすいハイブリドーマを培養することおよび培養培地からモノクローナル抗体を回収することからなる本発明のモノクローナル抗体の製造方法、ならびにこのハイブリドーマ培養方法によって得られそうなモノクローナル抗体をも含む。
【0029】
本発明のモノクローナル抗体は、HBsAg抗原を含有すると思われる検体中のHBsAg抗原の検出および/または定量のための、したがって(野生型および/または突然変異体)HBVウイルスの検出のためのイムノアッセイにおける使用が可能である。このようなアッセイは、臨床診断においておよび血液製剤のスクリーニングにおいて使用可能である。さらに、本発明は、検体中のHBsAg抗原の検出および/または定量方法にも関し、その方法は、本発明の少なくとも1つのモノクローナル抗体またはそのようなモノクローナル抗体のフラグメントもしくは誘導体に検体を接触させること、および少なくとも1つの抗原/抗体、フラグメントまたは誘導体の複合体の存在を確認することからなる。
【0030】
本発明の方法の一実施態様においては、本発明のモノクローナル抗体またはそのフラグメントもしくは誘導体、および本発明のモノクローナル抗体、フラグメントまたは誘導体により認識されるものとは異なる領域またはエピトープに対するポリクローナルまたはモノクローナル抗HBsAg抗体から選ばれる少なくとも1つの他の抗体と検体を接触させる。
【0031】
このような方法は、当業者に周知の「サンドイッチ」法または「競合」法に従って一または二段階で、均質または不均質相で実施される。さらに、本発明の方法は、同じアッセイにおいて、分析されるべき検体中の抗HBc抗体の検出と関連付けることも可能である。
【0032】
対応する診断組成物は、少なくとも1つの本発明のモノクローナル抗体、またはそのフラグメントもしくは誘導体を、場合により、抗HBc抗体の検出のための少なくとも1つの試薬との組み合わせで含み、さらに本発明のモノクローナル抗体、フラグメントまたは誘導体によって認識されるものとは異なる領域またはエピトープを認識する、HBsAg抗原検出用の少なくとも1つの他のモノクローナルまたはポリクローナル抗体を含みうる。本発明の抗体、フラグメントまたは誘導体は、HBsAg抗原捕獲抗体として固相上に固定化することが可能であり、または、あらゆる適当なマーカーで標識した場合には検出に使用することが可能である。また、本発明の抗体、フラグメントまたは誘導体をHBsAg抗原捕獲相として使用し、本発明の抗体により認識されるものとは異なるエピトープに対する少なくとも1つの他のモノクローナルまたはポリクローナル抗体を検出コンジュゲートとして使用すること、またはその逆の使用も考えられる。同様に、本発明の抗体、フラグメントまたは誘導体、および本発明の抗体により認識されるエピトープとは異なるエピトープに対する少なくとも1つの他のモノクローナルまたはポリクローナル抗体を同じ固相に固定化することが可能である。さらに、検体中の抗HBc抗体を捕獲しうる試薬は、この同じ固相上、あるいは本発明の抗体、フラグメントまたは誘導体、および場合により本発明の抗体により認識されるエピトープとは異なるエピトープを認識する少なくとも1つの他の抗HBsAgモノクローナルまたはポリクローナル抗体が固定化されている固相とは異なる固相上に固定化し、本発明の組成物に含ませることが可能である。
【0033】
本発明は、本発明のモノクローナル抗体またはそのような抗体のフラグメントもしくは誘導体またはその組合わせを含む、HBVに対する受動免疫のための治療または予防的使用に適した抗血清にも関する。その抗血清は、さらに、本発明のモノクローナル抗体、フラグメントまたは誘導体以外の、少なくとも1つのモノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体または抗HBsAgモノクローナルおよびポリクローナル抗体の混合物を含みうる。
【0034】
HBVに対する受動免疫のための治療または予防的使用のための適当な組成物は、薬学的に許容されうるビークルとの混合物の中に、本発明のモノクローナル抗体またはそのフラグメントもしくは誘導体またはその組合わせを含む。
【0035】
「薬学的に許容されうるビークル」とは、例えばRemingtonのPharmaceutical Sciences 16th ed., Mack Publishing Co.に記載されるようなヒトまたは動物に投与しうる支持体およびビークルを意味する。
【0036】
本発明はしたがって、本発明のモノクローナル抗体、そのフラグメントもしくは誘導体またはその組合わせの治療的または予防的に効果的な量を個体に投与することからなる、治療または予防目的のHBVに対する受動免疫方法をさらに含む。本発明のモノクローナル抗体、フラグメントまたは誘導体により認識されるエピトープとは異なるエピトープに対する1つ以上の他の抗HBsAgモノクローナルまたはポリクローナル抗体も投与しうる。
【0037】
本発明は、上記に定義した本発明の抗体に対する抗イディオタイプまたは抗イディオタイプ抗体をも含む。抗イディオタイプ抗体は、別の抗体に対して産生され、別の抗体の特異的抗原結合部位またはイディオタイプと反応する抗体である。抗イディオタイプ抗体は、イディオタイプにより認識される抗原として機能する。このような抗体は、コンフォーメーション依存エピトープの場合には特に有用である。ウイルスなどの外部病原体の内部イメージを表す抗イディオタイプ抗体は、ワクチン接種用の抗原の「代替物」として使用される。インビボにおける抗イディオタイプ抗体の重要性は、多数の実験において明らかにされている。インビボにおける抗イディオタイプ抗体の投与は、特異的イディオタイプに対する応答の抑制または増強という効果をもたらす。本発明の抗イディオタイプ抗体は、HBsAgの199〜208エピトープを認識する抗−抗イディオタイプ抗体を産生することにより動物における応答を誘導し、それにより動物をHBVに対して免疫化し、さらにはHBV感染を中和することさえできる。したがって、本発明の主題は、HBsAg抗原の199〜208領域を認識する抗−抗イディオタイプ抗体の産生を動物において誘導する抗イディオタイプモノクローナル抗体または前記抗イディオタイプ抗体のFabフラグメントまたはその混合物を、動物のHBVへの免疫化に十分な量で含む活性組成物、および例えば水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムといった薬学的に許容されうるアジュバントを含むワクチン組成物である。薬学的に許容されうるアジュバントは当業者に周知であり、参考としてRemingtonのPharmaceutical Sciences 16th ed., Mack Publishing Co.に記載のアジュバントを挙げることができる。所望ならば、ワクチンは湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤などの少量の補助的物質を含有しうる。動物をHBVに対して免疫化する方法は、上記に定義されたワクチン組成物を1回以上の投与において投与することからなる。無論、動物に対するインビボ試験の後には、HBVに対するワクチン接種の最終目的は、ヒトにおける感染予防である。したがって、上記に使用された「動物」という語は、動物およびヒトの両方を意味する。ワクチンは、適当な希釈剤(特に、リン酸緩衝液でありうる)の中に、タンパク質が1mg/mlのオーダーの最終濃度になるように、本発明の抗イディオタイプ抗体またはそのFabフラグメントを混合することにより製造する。通常のサイズのヒトに対しては、例えばその溶液の50μl(50μg)〜100μl(100μg)を4500μl中に希釈し、500μlの薬学的に許容されうるアジュバントと混合する(pH6.0±0.1)。用量は、動物、その年齢および体重により変わる。
【0038】
本発明のイディオタイプモノクローナル抗体は、当業者に周知の方法で製造される。HBsAgの199〜208エピトープまたは領域を得て、現在利用可能なあらゆる技術により精製する。イディオタイプ抗体(Ab1)は、動物、好ましくはネズミ、具体的にはマウスを、抗原として上記エピトープで免疫化することにより製造する。次いで、動物の脾臓細胞を確認し、単離し、ポリエチレングリコールなどの融合剤の存在下でリンフォーマまたはミエローマ細胞と融合させる(Kohler and Milstein, Nature 256: 459 (1975))。次に、融合させた細胞を、非融合悪性細胞の増殖を阻害する選択培地中でインキュベートする。ハイブリドーマ細胞を限界希釈法によりクローニングし、求める特異性を有するモノクローナル抗体の分泌を試験する。モノクローナル抗体は、腹水での増殖によりインビボでも得られる。イディオタイプ抗体Ab1は、HBVに対し免疫化し、中和さえする性質を有する抗イディオタイプ抗体(Ab2)を産生させるために使用される。抗イディオタイプ抗体Ab2は、抗体Ab1の製造に用いた方法と同じ方法で得られるが、このときは抗体Ab1が使用される免疫原となる。
【0039】
本発明の主題はさらに、本発明者が同定した配列番号1の配列中に示すHBsAg抗原の199位のアミノ酸から始まり208位のアミノ酸で終了するペプチド配列のHBsAg抗原の保存されたエピトープおよびその免疫原性ペプチドとしての使用であり、さらには、ペプチド配列が、配列番号1に示すエピトープのアミノ酸と相同または同一の少なくとも3個および少なくとも4個のアミノ酸をそれぞれ含むことで特徴付けられる免疫原性ペプチド、具体的には配列番号2および配列番号3に示す免疫原性ペプチドでもある。添付の図に示した配列番号1と配列番号2の配列を比較したところ、配列番号2の配列は、配列番号1の対応アミノ酸と厳密に相同あるいは同一である、W(トリプトファン)、P(プロリン)、S(セリン)の3個のアミノ酸および配列番号1のL(ロイシン)に等価(equivalent)なI(イソロイシン)を含む。添付の図に示した配列番号1と配列番号3の配列を比較したところ、配列番号3の配列は、配列番号1の対応アミノ酸と厳密に相同あるいは同一である、W(トリプトファン)、P(プロリン)、Y(チロシン)、S(セリン)の4個のアミノ酸および配列番号1のS(セリン)およびI(イソロイシン)にそれぞれ等価なT(トレオニン)およびL(ロイシン)の2個のアミノ酸を含む。前記の等価なアミノ酸とは、ペプチドの免疫原性としての効率に影響を及ぼすことなく相互に置換しうるアミノ酸である。このような免疫原性ペプチドは、上記の定義に対応し、HBsAg抗原の野性型および少なくとも1つの突然変異体型の両者を認識可能なモノクローナル抗体、モノクローナル抗体のフラグメントまたはモノクローナル抗体の誘導体の製造に使用することができる。モノクローナル抗体またはモノクローナル抗体のフラグメントもしくは誘導体の製造は当業者には周知である。例として、Kohler and Milstein, Nature 256: 45-47 (1975)、European Journal of Immunology 6: 511-519 (1976)、およびGalfre G. et al. Nature, 266: 522-550 (1977)が挙げられる。エピトープは、化学的合成、遺伝子組換えまたは異なる方法の組み合わせにより製造しうる。本発明のエピトープをコードする配列はしたがって、適当な宿主細胞内で適当なプロモーターの制御下で発現させることができる。宿主細胞には、哺乳類細胞、酵母および細菌を含む原核または真核生物に由来する細胞などの、組換えDNA分子を転写および翻訳することが可能で、かつ発現に必要な因子の制御下に置かれた、本発明のエピトープをコードするS遺伝子のフラグメントを発現させることができるあらゆる単細胞生物が含まれる。さらに、配列番号2および配列番号3の免疫原性ペプチドは、化学的合成により容易に得ることができる。
【0040】
最後に本発明は、特定のストリンジェントな条件下で、配列番号1に示すエピトープをコードするDNAヌクレオチド配列、配列番号1に示すエピトープをコードする前記ヌクレオチド配列に相補的なDNAヌクレオチド配列または前記DNAヌクレオチド配列のRNA転写産物にハイブリダイズしうる核酸プローブまたはプライマーに関する。
【0041】
本発明は、特定のストリンジェントな条件下で、配列番号1に示すエピトープをコードする配列番号4に示すDNAヌクレオチド配列、配列番号4の相補的DNAヌクレオチド配列または前記ヌクレオチドDNA配列のRNA転写産物にハイブリダイズしうる核酸プライマーまたはプローブ;生物学的検体中の(野性型および/または突然変異体)HBVウイルスの検出および/または定量のための、上記定義の少なくとも1つのプローブまたは少なくとも1つのプライマーを含む診断組成物;ならびに生物学的検体中の(野性型および/または突然変異体)HBVウイルスのDNAおよび/またはRNA診断の方法にも関する。この方法によれば、血清、血漿または組織検体などの生物学的検体を、少なくとも1つのHBVウイルスによる感染が疑われる患者から採取し、必要ならば上記検体を、検体からDNAおよび/またはRNAを抽出するために処理し、上記検体を特定のストリンジェントな条件下で少なくとも1つのプローブまたは少なくとも1つのプライマーと接触させ、上記ウイルスDNAおよび/またはRNAと少なくとも1個のプローブとのハイブリダイゼーションまたは上記DNAおよび/またはRNAの増幅を確認することにより検体中のウイルスDNAおよび/またはRNAを検出および/または定量する。核酸プローブを使用する場合には、ハイブリダイゼーション複合体の形成の確認は、標的配列に相補的またはほぼ相補的で、あらゆる適当なマーカーによって標識したプローブを使用することにより直接行うことが可能であり、または標的配列の一部に相補的またはほぼ相補的な捕獲プローブおよび適当なマーカーで標識したプローブまたは標的配列の別の部分に相補的またはほぼ相補的な検出プローブを使用することからなる、1または2段階の「サンドイッチ」法の実施によっても行うことが可能である。プライマーを使用する場合には、プライマーを、標識増幅産物の同定のために、直接標識することも可能であり、または標識しないことも可能であり、後者の場合には、生成した増幅産物は、アクリルアミドゲルを通過させることにより予測した大きさとの関係で選択したり、または適当な検出プローブを用いて分析しうる。
【0042】
Galibertら(Nature 280: 646-650 (1979))によるHBVゲノムの751〜780位のヌクレオチドに相当する、配列番号4に示す本発明の199〜208エピトープをコードするDNAヌクレオチド配列の選択、それに相補的な配列および対応するRNA配列を選択することに始まり、配列番号4、それに相補的な配列または対応するRNAにハイブリダイズ可能なヌクレオチドプローブまたはプライマーを決定し、それを得ることは当業者の能力の範囲内である。オリゴヌクレオチドの製造の例として、制限酵素の使用および自動合成装置を用いる化学合成が挙げられる。特定のストリンジェント条件下で本発明のDNAまたはRNAヌクレオチド配列にハイブリダイズ可能なプローブおよびプライマーは、この定義の一部を形成する。適当なストリンジェント条件を定義することも当業者の能力の範囲内である。特徴的なストリンジェント条件は、試験されたハイブリッドのTm(「融解温度」)以下の約12℃と20℃との間から選択される温度と食塩液濃度の組合わせに対応するものである。これらはすべて当業者の一般的知識の一部をなすものであり、説明のために「DNA PROBES」(George H. Keller and Mark M. Manak著、 2nd Ed. (1993) Stockton Press, 49 West 24th St., New York, N.Y. 10010, USA(さらに具体的には、1〜21ページの第1節“Molecular Hybridization Technology”を参照))と題する書籍を挙げることができる。
【0043】
図1
添付の図1は、HBsAg抗原のアミノ酸配列を示す。この図では、199〜208エピトープは、下記の実施例に説明するようにエピトープ「マッピング」により位置付けられ、確認されている。HBsAg抗原のアミノ酸配列の194〜209のアミノ酸からなる領域中の野性型HBsAg抗原の配列のアミノ酸と共通または相同もしくは同一のアミノ酸、および等価なアミノ酸を有する2つのクローンHWWKHPTRYSLGおよびHPLKQYWWRPSIを、野性型HBsAg抗原の配列の下に示す。共通または相同もしくは同一および等価なアミノ酸は図1において太字で示す。
【0044】
実施例
実施例1:モノクローナル抗体の作製および特徴付け
4〜6週齢の雌BALB/c JYcoマウス(IFFA Credo)を、等容量のフロイント完全アジュバントで乳化させた組換えHBsAg ay50μgを腹腔内投与により免疫化した。組換えHBsAg ayタンパク質は、Pasteur Merieux Connaughtから入手した。このタンパク質は、Galibertら(Nature 280: 646-650 (1979))により配列決定されたayw系統に相当し、CHO細胞で発現している(Michel et al., PNAS 81/7708-7712 (1984))。このタンパク質は、プレSおよびS領域から構成される。NH2末端位に位置する55アミノ酸がプレS2領域に相当する。
【0045】
3回の注射を、2週ごとに、不完全アジュバントの存在下で行った。最後の注射から4日後に、脾臓細胞を取り出し、Kohler and Milstein (Nature 256: 45-47 (1975); European Journal of Immunology 6: 511-519 (1976))の方法に従って、Sp 2/0-Ag14マウスのミエローマ細胞系と融合させた。細胞を12〜14日間培養した後、固相上に固定化した血漿組換えayHBsAg抗原を用いて間接ELIZA試験により培養上清をスクリーニングした。1058個の培養上清を1/10に希釈し、そのようにスクリーニングした。405nmのODが約2、すなわち同じ波長における閾値である0.3の6倍高い値を示す、66個の陽性クローンが選択された。1/10に希釈した66個の陽性クローンの培養上清を、天然の血漿ayHBsAg抗原を用いて間接ELISAでスクリーニングした。405nmのODが2を超える、すなわち同じ波長における閾値である0.1の24倍高い値を示す20個のクローンが選択された。これら20個のクローンの中から12個の培養上清を1/10に希釈し、その後、固相に固定化した天然のayHBsAg抗原および天然のadHBsAg抗原をそれぞれ用いて間接ELISA試験により試験を行った。これらの試験の各々から、1/1600に希釈した場合の405nmのODが天然のayHBsAg抗原による試験では1.2以上であり、そして天然のadHBsAg抗原による試験では約1.1、すなわち閾値である0.1の約10倍高いODを有する6個のクローンが選択された。これら6個の陽性クローンのうち4個を、限界希釈法により2回サブクローニングし、腹水の形態で作製した。予めPristane(商品名)を注射したマウスから腹水を得て、106個のハイブリドーマ細胞を注射した。
【0046】
上記のように得られた4つのIgGを、製造元(Pharmacia)から供給されたプロトコールに従って、A 4FFタンパク質と結合させたセファロースのカラムで精製し、以下の実験に用いた。最後に、イムノグロブリン類のIgG2bクラスに属する2G2G10モノクローナル抗体は、優れた機能を有するため保持された。
【0047】
実施例2:2G2G10抗体のクラス変換
Rosen and Klein (Nature 306: 189-190 (1983))のプロトコールに従ったUV処理により、2G2G10モノクローナル抗体のクラスをIgG2bからIgG2aに変換した。修飾された抗体を8B4H7と命名した。
【0048】
実施例3:ファージに担持されたペプチドバンクのスクリーニング
Gretchら(Analytical Biochemistry 163: 270-277 (1987))の方法に従い、New England Biolabs Inc.から市販されているPh.D.-12(登録商標)バンクを、ビオチン化2G2G10および8B4H7モノクローナル抗体によりスクリーニングした。これは、M13ファージのマイナーエンベロープタンパク質(pIII)のN末端で発現されるドデカペプチドのコンビナトリアルバンクである。このバンクは、4×1012ファージ/mlを含み、1.9×109個の様々な配列を表す。
【0049】
最初の「バイオパニング」の間には、0.1M NaHCO3緩衝液(pH8.6)中の10μgのストレプトアビジンを一晩、4℃で加湿チャンバー内で撹拌しながら直径35mmのペトリ皿に固定化した。その後、ペトリ皿を、飽和溶液[0.1M NaHCO3(pH8.6)中の5mg/ml BSA;0.02% NaN3]により2時間、4℃で飽和させた。TBS(トリス緩衝食塩液)[0.5M トリス;0.75M NaCl、pH7.5]−0.1%Tween中で6回洗浄した後、ビオチン化2G2G10または8B4H7モノクローナル抗体を、0.02% NaN3およびBSA1mg/mlを含むTBS 0.1%Tween中170nMの濃度で一晩、4℃で加湿チャンバー内で撹拌しながらインキュベートした。抗体により占められない部位をブロックするために、ビオチン40μgを加え、1時間、4℃で加湿チャンバー内で撹拌しながらインキュベートした。TBS0.1%Tweenで6回洗浄した後、TBS 0.1%Tween−0.1nMビオチン中に希釈したバンク10μl(4×109ファージ)を、1時間、周囲温度で撹拌しながらインキュベートした。未固定化ファージはその後、TBS 0.1%Tweenで10回洗浄して除去した。固定化されたファージは、溶出緩衝液[0.1M HCl−グリシン;pH2.2;1mg/ml BSA;0.1mg/ml フェノールレッド]で7分間インキュベートすることにより溶出した。溶出物は、1M トリス−HCl(pH9.1)200μlで中和した。
【0050】
2G2G10または8B4H7のいずれかによるバンクのスクリーニングに対応する溶出物は、LB培地[トリプトン 10g/l;酵母抽出物 5g/l;NaCl 10g/l;pH7.5]中の大腸菌(Escherichia coli)のER2537株への感染により個別に増幅した。37℃、250rpmで4時間30分インキュベートした後、溶出物残渣は、2回連続の10分間の遠心を10,000rpmで行うことにより除去した。上清に含まれるファージは、1/6のポリエチレングリコール/NaCl[16.7% ポリエチレングリコール、3.3M NaCl]で2回沈殿させた。14,000rpmで15分間遠心した後、ペレットをTBS−0.02% NaN3200μlに取った。これらの増幅溶出物の100μlを2回目のバイオパニングに使用した。
【0051】
2回目、3回目および4回目のバイオパニングのために、その前の回の増幅溶出物の100μlを、それぞれ100M、1nMおよび0.1nMのビオチン化2G2G10または8B4H7抗体とともに一晩、4℃でプレインキュベートし、その間に、前記のようにストレプトアビジン10μgをペトリ皿上に固定化した。15分間、周囲温度でペトリ皿を飽和させた後、ファージ/抗体混合物を加えた。以下のプロトコールは、1回目の「バイオパニング」のプロトコールと同様である。
【0052】
実施例4:ファージクローンのクローニングおよび増幅
大腸菌の培養物を、光学密度(OD)が0.5に達するまで、250rpm、37℃でインキュベートした。細菌を増殖させる間に、上層アガロース[LB 1l;バクト−ペプトン10g;酵母抽出物5g;NaCl5g;MgCl2・6H2O1g;アガロース7g]を溶かして3mlずつ分注し、55℃で保存した。細胞の準備が整ったときに、培養物200μlを、4回目のバイオパニングの後得られ、そしてLB培地で希釈した溶出物10μlとともに、1〜5分間、周囲温度でインキュベートした。混合物は、アガロースの入った2本のチューブに移し、撹拌し、迅速にLB IPTG/XGalのペトリ皿上に注いだ。ペトリ皿は、一晩、37℃でインキュベートする。
【0053】
2G2G10または8B4H7によるスクリーニングに対応するペトリ皿から無作為に選択した36個のコロニーは、大腸菌培養物1mlに4〜5時間、37℃で感染させることにより増幅させ、その後、14,000rpmで30秒間遠心して細胞を除去した。上清500μlをスクリーニングに用い、その残余を再び遠心し、グリセロールで1:1に希釈し、−20℃で保存した。
【0054】
LB/グリセロール中に保存されたファージ2μlを、大腸菌培養物1.7mlに37℃、250rpmで24時間感染させることにより増幅させた。14,000rpmで5分間遠心して細胞を除去した。上清は、PEG/NaClにより沈殿させた。14,000rpmで15分間遠心した後、ペレットをTBS500μlに取った。269nmの吸収スペクトロメトリによりこれらのファージ溶液をアッセイし、ELISA試験に用いた。
【0055】
実施例5:ファージクローン中に挿入された配列のシークエンシング
PEG/NaCl200μlにより10分間、周囲温度で沈殿させた上清500μlから始めて、種々のクローンのDNAの抽出および精製を行った。14,000rpmで10分間遠心した後、ペレットをトリス−HCl(pH8.0)100μl、1mM EDTA、4M NaIおよび無水エタノール250μlに取り、次いで10分間、周囲温度でインキュベートした。14,000rpmで10分間遠心した後、ペレットを70%エタノール500μlを用いて1回洗浄し、その後真空下で10分間乾燥させる。それを最終的には30mMトリス−HCl(pH8.0)30μl、1mMEDTAに取った。
【0056】
挿入物のヌクレオチドシークエンシングは、「Big Dye(登録商標)ターミネーター・サイクル・シークエンシング・レディ・リアクション」(Perkin Elmer)シークエンシングキットおよびファージの野性型配列に相当する5’HO−CCCTCATAGTTAGCGTAACG−OH3’プライマーを用いて自動シークエンサー(377A型、Perkin Elmer)を使用するSangerの改変方法に従って行った。反応混合物は、配列決定すべきDNA5μl、水2.5μl中の2.5pmoleのオリゴヌクレオチド、ジデスオキシリボヌクレオチドおよびTaq(登録商標)ポリメラーゼを含有する「Big Dye(登録商標)」混合物ならびに水4.5μlを含んだ。25回のシークエンシングサイクル(96℃で30秒、50℃で15秒、60℃で4分間)は、BiometraのTrioblock PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)装置中で実施した。配列画分は、TE[10mMトリス−HCl pH8、1mM EDTA]緩衝液で平衡化したセファデックスG50カラムにより精製し、乾燥させ、シークエンシングを行うまで−20℃で保存した。タンパク質の配列は、Geneworksソフトウェアを用いてヌクレオチドの配列から推定した。
【0057】
実施例6:ファージクローンの免疫学的解析
0.1M NaHCO3緩衝液中100μg/mlの最終濃度で用いる2G2G10もしくは8B4H7抗HBsAg抗体または無関係の抗体(陰性対照として使用)100μlを、一晩、4℃で加湿チャンバー内で、ELISA「Nunc Maxisorb」ウェルプレートの各列に固定化下。次いでそのプレートを2時間、4℃で飽和溶液[0.1M NaHCO3;BSA 50mg/ml;NaN3 0.02%]中で飽和させた。TBS−0.5%Tweenで4回洗浄した後、TBSTween中に希釈した種々の濃度のファージ(1×1012、2.5×1011、6.2×1010および4×109ファージ/ml)の100μlを各ウェルに加え、撹拌しながら2時間、周囲温度でインキュベートする。TBS−0.5%Tweenで4回洗浄した後、ペルオキシダーゼを結合させ、飽和溶液中に1/5000に希釈した100μl/ウェルの抗M13抗体を撹拌しながら2時間、周囲温度でインキュベートした。1時間、37℃でインキュベートしたのち、プレートをTBS−0.5%Tweenで4回洗浄した。発色のために、プレートをフェニレンジアミンおよび過酸化水素(カラーEIAキット、bioMierieux)の溶液とともに暗所で10分間インキュベートする。1.8N硫酸により反応を停止させ、ELISAプレートリーダー(Axiaマイクロリーダー)を用いてプレートの492nmでの吸収を読む。各クローンの各希釈について、結果は、抗HBsAg抗体と対照抗体の差の値により表す。次いで、その結果は、至適希釈を3回試験することにより確認した。
【0058】
2G2G10抗体では、免疫反応性クローンはまったく選択することができなかった。一方、同じパラトープを有するがIgG2aクラスに属する、同等な8B4H7抗体は、免疫反応性クローンの選択を可能にした(表1)。さらに、これらのクローンのうち2個(HWWKHPTRYSLGおよびHPLKQYWWRPSI)は、2G2G10抗体によっても認識される。
【0059】
【表1】
Figure 0004293788
【0060】
クローンの免疫反応性は、固相に固定化した8B4H7aまたは2G2G10bおよび8×1010ファージ/mlcおよび2×1010ファージ/mldの最終濃度で添加されたファージクローンを用いて、実施例6に記載のELISA法により測定した。
【0061】
実施例7:HBsAg配列上の免疫反応性ファージクローン配列の位置
Mac VectorソフトウェアVer.4.5(Kodak)を使用して、ペプチドのアミノ酸配列を、モノクローナル抗体を得るために用いたHBsAg組換えタンパク質の配列と比較した(Galibert et al., 1979)。簡潔に述べると、高度な類似性を有する領域を最適局所同一性を検索するLFASTAプログラムにより検出する(Pearson and Lipman, PNAS 85: 2444-2448 (1988))。2G2G10に対して免疫反応性の2個のクローンにより、2G2G10および8B4H7により認識されるエピトープのHBsAgの199〜208領域内における明らかな位置付けが可能になった(図1)。実際、HWWKHPTRYSLGは、199〜208配列と同一の4残基および類似の3残基を有し、HPLKQYWWRPSIは、201〜205配列と3個の同一残基および1個の類似の残基を有する。
【0062】
実施例8:2G2G10および8B4H7モノクローナル抗体を用いた野生型HBsAg抗原およびHBsAg変異体の検出
使用した形式は、2G2G10または8B4H7モノクローナル抗体を捕獲に、そしてヤギ抗HBsポリクローナル抗体を検出に使用するサンドイッチタイプの形式である。
【0063】
患者血清中の野生型HBsAg抗原の検出:
Societe Nationale de Transfusion Sanguine of Lilleから供給された、いくつかのサブタイプを含む患者血清(希釈された検体)を、2G2G10モノクローナル抗体を捕獲に、そしてヤギ抗HBsポリクローナル抗体を検出に用いて検査した。結果を下記の表2に示す。試験をした検体を、そのサブタイプおよび由来に従って同定する。結果は、閾値に対するシグナルとして表す。閾値は、陰性検体のシグナルの5倍に相当する。シグナル/閾値の値が1を超えるものを陽性とする。
【0064】
【表2】
Figure 0004293788
【0065】
血漿中の野生型HBsAg抗原の検出:
2G2G10モノクローナル抗体および8B4H7モノクローナル抗体を捕獲に用いて、bioMerieux serothequeからの血漿を上記と同じ条件下で試験した。結果を下記の表3に示す。結果は、シグナル/閾値の値で表す。閾値は、陰性検体のシグナルの5倍に相当する。シグナル/閾値の値が1を超えるものを陽性とする。
【0066】
【表3】
Figure 0004293788
【0067】
HBsAg変異体の検出:
2G2G10抗体について、Carmen博士から入手しIreland et al., (Hepatology 31: 1176-1181 (2000))により以前報告された方法に従って調製した組換えHBsAg変異体の培養上清からのHBsAg変異体を検出する能力を試験した。
【0068】
アッセイは、Vidas(登録商標)自動分析機上で行う蛍光免疫酵素定性試験法を用いて行った(Weber et al., Journal of Virological Methods 42: 63-74 (1993); Mikkelsen et al., Gynecologic Obstetric Investigation 41: 35-40 (1996))。この2段階捕獲試験法は、以下のように実施した。
【0069】
2G2G10抗体を、固相容器(SPR)上に10μg/mlの最終濃度で固定化した。その後、SPRを種々の変異体に相当する組換えタンパク質および抗HBsAgビオチン化ヤギポリクローナル抗体を含む培養上清と同時にインキュベートした。次いで第2段階では、蛍光測定反応にアルカリ性ストレプトアビジン−フォスファターゼ複合体を用いた。
【0070】
表4に示すように、別の抗HBsAg抗体である6H6B6と比べて、2G2G10抗体は、試験した種々の変異体の検出が可能であった。実際には、BA3.2およびT5N検体は、Irelandら(Hepatology 31: 1176-1181 (2000))の報告があるように試験した培養上清中への抗原の分泌に影響を与えるC124RおよびT23N突然変異をそれぞれ有する。したがって、これら2つの上清において検出されなかったことは、考慮に入れることはできない。
【0071】
【表4】
Figure 0004293788
【0072】
MHR:主要親水性領域(major hydrophilic region)を示す。
結果は、シグナル/閾値の2回の平均で示す。各抗体について、閾値は、精製された血漿HBsAgサブタイプad/ayの0.16ng/mlで得られたシグナルの2回の平均で定義した。
a非希釈検体
【図面の簡単な説明】
【図1】 HBsAg抗原のアミノ酸配列を示す図である。

Claims (32)

  1. 野生型HBsAg抗原および少なくとも1つのHBsAg抗原の突然変異体型に結合可能なモノクローナル抗体であって、前記モノクローナル抗体が、HBsAg抗原の199〜208領域中のアミノ酸からなるペプチドに結合する、モノクローナル抗体。
  2. 前記抗体が前記野生型HBsAg及びHBsAgの少なくとも2つの突然変異体に結合する、請求項1に記載のモノクローナル抗体。
  3. 前記抗体が前記野生型HBsAg及びHBsAgの2を超える突然変異体に結合する、請求項1に記載のモノクローナル抗体。
  4. HBsAg抗原の「a」決定基中に少なくとも1個のアミノ酸置換を含むHBsAg抗原の突然変異体型の少なくとも1つに結合可能な、請求項1に記載のモノクローナル抗体。
  5. HBsAg抗原の「a」決定基中の127、133、134、142、143、144または145位における少なくとも1個のアミノ酸置換を含むHBsAg抗原の突然変異体型の少なくとも1つに結合可能な、請求項1〜4のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体。
  6. HBsAg抗原の100、118、120、122位における少なくとも1個の他のアミノ酸置換を含む、請求項5に記載のモノクローナル抗体。
  7. HBsAg抗原の143位におけるセリンのロイシンによる少なくとも1個の置換を含むHBsAg抗原の突然変異体型に結合可能な、請求項に記載のモノクローナル抗体。
  8. HBsAg抗原の144位におけるアスパラギン酸のアラニンによる少なくとも1個の置換を含むHBsAg抗原の突然変異体型に結合可能な、請求項に記載のモノクローナル抗体。
  9. HBsAg抗原の145位におけるグリシンのアルギニンによる少なくとも1個の置換を含むHBsAg抗原の突然変異体型に結合可能な、請求項7に記載のモノクローナル抗体。
  10. HBsAg抗原の127位におけるプロリンのアラニンによる少なくとも1個の置換およびHBsAg抗原の143位におけるセリンのロイシンによる少なくとも1個の置換を含むHBsAg抗原の突然変異体型に結合可能な、請求項に記載のモノクローナル抗体。
  11. HBsAg抗原の120位におけるプロリンのセリンによる少なくとも1個の置換およびHBsAg抗原の143位におけるセリンのロイシンによる少なくとも1個の置換を含むHBsAg抗原の突然変異体型に結合可能な、請求項に記載のモノクローナル抗体。
  12. HBsAg抗原の100位におけるチロシンのセリンによる置換、HBsAg抗原の118位におけるトレオニンのバリンによる置換、HBsAg抗原の122位におけるアルギニンのリシンによる置換、HBsAg抗原の133位におけるメチオニンのイソロイシンによる置換、HBsAg抗原の134位におけるチロシンのアスパラギンによる置換、HBsAg抗原の142位におけるプロリンのセリンによる置換、HBsAg抗原の143位におけるセリンのロイシンによる置換およびHBsAg抗原の145位におけるグリシンのリシンによる置換を含むHBsAg抗原の突然変異体型に結合可能な、請求項に記載のモノクローナル抗体。
  13. 野生型HBsAg抗原およびHBsAg抗原の127、133、134、142、143、144および145位のアミノ酸をコードする1つ以上のコドンのレベルで点突然変異を有する配列によってコードされる「a」決定基を保持する突然変異HBsAgの少なくとも1つに結合可能なモノクローナル抗体であって、前記モノクローナル抗体が、HBsAg抗原の199〜208領域に結合するモノクローナル抗体。
  14. モノクローナル抗体が、イムノグロブリンのクラスGに属することを特徴とする、請求項1〜1のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体。
  15. モノクローナル抗体の誘導体が、ヒト化された形態のモノクローナル抗体である、請求項1〜1のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体の誘導体
  16. 請求項1〜1のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体のフラグメントであって、該フラグメントがFab、Fab’、F(ab)2及びsFuからなる群から選択される、フラグメント。
  17. 請求項1〜1のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体を産生しうるハイブリドーマの製造方法であって、
    哺乳動物を野生型HBsAg抗原またはHBsAg抗原の突然変異体型で免疫化すること、
    ハイブリドーマを形成するために抗体産生細胞を不死化させること、
    少なくとも1つの突然変異体型でハイブリドーマ培養物をスクリーニングすること、および
    野生型HBsAg抗原および少なくとも1つの突然変異体型に結合する抗体を産生するハイブリドーマを選択すること
    からなる製造方法。
  18. 前記動物が、マウスである、請求項17に記載の製造方法。
  19. 前記野生型HBsAg抗原又は突然変異型HBsAg抗原が、フラグメントの形態又は適切な免疫原性誘導体の形態である、請求項17に記載の製造方法。
  20. 請求項1〜1のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体を産生しうるハイブリドーマ。
  21. 請求項1〜1のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体の製造方法であって、
    請求項2に記載のハイブリドーマまたは請求項1に記載の方法によりインビボまたはインビトロで得られやすいハイブリドーマを培養すること、および
    培養培地からモノクローナル抗体を回収すること
    からなる製造方法。
  22. 請求項2に記載の方法により得ることができるモノクローナル抗体。
  23. 検体中のHBsAg抗原の検出方法であって、請求項1〜1または請求項2のいずれか1項に記載の少なくとも1つのモノクローナル抗体または請求項1に記載のフラグメントもしくは請求項15に記載の誘導体と該検体とを接触させること、および
    少なくとも1つの抗原/抗体、フラグメントまたは誘導体の複合体の存在を同定すること
    からなる検出方法。
  24. 請求項1〜1または請求項2のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体、または請求項1に記載のフラグメントもしくは請求項15に記載の誘導体、およびポリクローナルまたはモノクローナル抗HBsAg抗体から選択される少なくとも1つの他の抗体と該検体を接触させることからなる、請求項2に記載の方法。
  25. 「サンドイッチ」法または「競合」法により実施される、請求項2または2に記載の方法。
  26. HBsAg抗原の検出を抗HBc抗体の検出と同時に行う、請求項2〜2のいずれか1項に記載の方法。
  27. 請求項1〜1または請求項2のいずれか1項に記載の少なくとも1つのモノクローナル抗体、または請求項1に記載のフラグメントもしくは誘導体を含む、診断用組成物。
  28. 抗HBc抗体検出用の少なくとも1つの試薬と組合わせて含む、請求項27に記載の診断用組成物。
  29. HBsAg抗原の検出のための少なくとも1つの他のモノクローナルまたはポリクローナル抗体をさらに含む、請求項27又は28に記載の診断用組成物。
  30. 請求項1〜1または請求項2のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体、または請求項1に記載のフラグメントもしくは請求項15に記載の誘導体、またはそれらの組合せを含む抗血清。
  31. 請求項1〜1または請求項2のいずれか1項記載のモノクローナル抗体または請求項1に記載のフラグメントもしくは請求項15に記載の誘導体以外の、少なくとも1つのモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体または抗HBsAgモノクローナルおよびポリクローナル抗体の混合物をさらに含む、請求項3に記載の抗血清。
  32. 請求項1〜14または請求項22のいずれか1項記載のモノクローナル抗体または請求項16に記載のフラグメントもしくは請求項15に記載の誘導体の製造に用いられる、配列番号1で示されるHBsAgのアミノ酸199で始まりアミノ酸208で終わるペプチド
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