JP4293292B2 - トランスフェクション活性を有するインテグリン−ターゲッティングベクター - Google Patents

トランスフェクション活性を有するインテグリン−ターゲッティングベクター Download PDF

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Description

本願発明は、トランスフェクション活性が増大された、改変したインテグリン−ターゲッティングベクターに関する。
遺伝子治療及び遺伝子ワクチンは、アンチセンス治療のように、種々の状態の治療及び/または予防のための興味深い可能性を提供する技術である。このような技術には、興味あるDNAの標的細胞への導入が要求される。未だに、十分なDNAを特定の標的細胞へ移入する能力が、遺伝子治療,アンチセンス治療及び遺伝子ワクチンの発展に対する主要な制限の1つである。ウイルス及び非ウイルス性のDNA輸送系が提案されている。幾つかの場合には、RNAがDNAの代わりに用いられる。
レセプター仲介の遺伝子輸送は、生理的な細胞プロセス,DNAを内在化させるためのレセプター仲介のエンドサイトーシスを利用する非ウイルス性の遺伝子移入法である。レセプター仲介の非ウイルスベクターは、ウイルス性ベクターに優る幾つかの利点を有する。特に、それらに病原性がない点である。それらは、遺伝子輸送を特定の細胞タイプに向けさせることを可能とし、封入される核酸分子の大きさに限定されない。遺伝子発現は、核酸成分複合体がそのまま、エンドソームから細胞質に放出され、そして核膜を通過し、核転写機構に到達して初めて成就する。しかしながら、トランスフェクション効率は一般に、核酸成分のエンドゾームの分解,核酸が核に入り損なうこと及び約150nmより大きい凝集物のクラスリン被覆小胞からの排除のため、ウイルス性ベクターに比べて劣っている。
インテグリンは、幾つかの異なったα及びβサブユニットからなるヘテロダイマーの膜タンパク質のスーパーファミリーである。それらは、細胞の細胞外マトリックスへの接着,細胞−細胞相互作用及びシグナルトランスダクションにとって重要である。インテグリン仲介の細胞加入は、ティパノソーマ・クルジ(Typanosoma cruzi)(Fernandezら,1993),アデノウイルス(Wickhamら,1993),エコウイルス(echovirus)(Bergelsonら,1992)及び口蹄疫ウイルス(Loganら,1993)、及び腸病原体・偽結核エルジニア菌(Isberg,1991)を含む多くの細胞内病原体による細胞の接着及び加入に利用される。卵−精子の融合もまたインテグリン仲介である。偽結核エルジニア菌の浸潤−インテグリン仲介の内在化プロセスの集中的な研究によって、効率的な細胞加入に対して、インテグリン−結合リガンドは、高結合親和性及び無極性の分布を有するものであることが実証された(Isberg,1991)。インテグリン仲介の内在化プロセスは、直径1〜2マイクロメーターのバクテリア細胞の内在化を許容する食作用様プロセスによって進行する(Isberg,1991)。そのため、非ウイルス性ベクターのインテグリンへのターゲッティングは、病原体による細胞の感染を最少とするプロセスに細胞をトランスフェクトする潜在能力を有し、レセプター仲介のエンドサイトーシスにおけるクラスリン被覆小胞に負う大きさの限定を回避する。
インテグリン仲介のベクターの更なる利点は、インテグリンレセプターに対する膨大な数のペプチドリガンドが記載されていることであり、天然のタンパク質リガンド由来の配列を含み(Verfaille,1994 #635;Wang,1995 #645;Staatz,1991 #539;Pierschbacher,1984 #314;Massia,1992 #86,Clementsら,1994及びLuら,1993)、またはファージディスプレーライブラリーから選択される(Koivunenら,1995;1993;1994;O’Neilら,1992;Healyら,1995;Pasqualaniら,1995)ことである。
保存されたアミノ酸配列アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)は、多くの、しかし全てではない天然のインテグリン結合リガンド、例えば細胞外マトリックスタンパク質及びウイルスキャプシドの進化学的に保存された特徴である。ペプチド、特に環状RGDドメインを含有するものもまた、インテグリンに結合する。環状RGDドメインを含有するペプチドは、直鎖状ペプチドよりも高い親和性でインテグリンに結合するので、ベクターに対する特に適したリガンドである(Koivunenら,1995)。Hartらは以前、約900nmの長さのfd糸状ファージ小胞の主要被覆タンパク質サブユニット中に呈示される環状RGDペプチドの複数のコピーは、組織培養中の細胞により効率的に、インテグリン仲介の様式で内在化されることを実証している(Hartら,1994)。そのファージ小胞はおそらく、それらの大きさによってエンドサイトースされた(endocytosed)小胞から放出されるように、食作用様プロセスによって内在化されたのであろう(Hartら,1994)。
環状RGD含有ペプチドGGCRGDMFGCGG[K]16[SEQ.ID.NO.:1]は、プラスミドDNAとの複合体形成のための16のリジン尾部とともに合成される(Hartら,1995)。顕著なレベルのインテグリン仲介の遺伝子発現は、上皮細胞系において、ベクターGGCRGDMFGCG[K]16[SEQ.ID.NO.:2](Hartら,1995)及びベクターGGCRGDMFGC[K]16[SEQ.ID.NO.:3](WO96/15811)を用いて行われた。同類のペプチド[K]16GACRGDMFGCA[SEQ.ID.NO.:4]は、N末端に16のリジンドメインを有し、そのプロトタイプのペプチド(WO96/15811及びHartら,1997)より合成が容易であり、より良いトランスフェクションレベルを生み出した。インテグリン仲介の遺伝子発現は一般に、約1〜10%のレベルで行われた。トランスフェクションメディウム中のクロロキノンの存在は、試験された、全てではないが幾つかの細胞系においてトランスフェクションを幾分、増大させた。
本願発明は、オリゴリジン/−ペプチド/DNA複合体中の脂質成分の封入が、DNAのトランスフェクションレベルを約1〜10%から約50〜ほぼ100%まで増加させるという驚くべき観察に基いている。トランスフェクションレベルが劇的に増加するばかりでなく、過去の経験に反してその増加は、内皮,上皮及び腫瘍細胞系を含む、試験された全ての細胞系において観察された。
本願発明は、
(i)核酸、特に興味ある配列をコードする核酸,
(ii)インテグリン結合成分,
(iii)ポリカチオン性核酸結合成分,及び
(iv)脂質成分
からなる複合体を提供する。その複合体がトランスフェクションベクターである。
核酸は、天然原料から得てもよく、また、組換えによってまたは化学合成によって製造してもよい。それは例えば、核酸ターゲッティング分子などの、特定の機能を有する分子を形作るために修飾されてもよい。核酸はDNAでもRNAでもよい。DNAは、一本鎖でも二本鎖でもよい。核酸は、遺伝子治療,遺伝子ワクチンまたはアンチセンス治療での使用に適したものであってもよい。核酸は、特別な遺伝子治療のための標的である遺伝子であっても、または関連していてもよく、また、遺伝子ワクチンとしてまたはアンチセンス治療剤として機能することができる分子であってもよい。
または、核酸は市販品として利用できる、例えば産業的にまたは科学的に有用である酵素などのタンパク質;医薬として有用な、例えば治療上または予防上、薬剤またはワクチンとして利用できるタンパク質;または診断上有用な、例えばELISAでの使用のための抗原、をコードしていてもよい。市販品として有用なタンパク質を生産することができる宿主細胞は、場合によっては「細胞工場」と呼ばれる。
適当な転写及び翻訳制御因子が一般的に提供される。遺伝子治療のために、核酸成分は一般的に、プラスミドまたはベクター中の核酸挿入の形で呈示される。しかしながら、幾つかの例においては、発現を達成するために核酸成分をベクターに編入する必要はない。例えば、遺伝子による予防接種及びアンチセンス治療は、裸の核酸を用いて達成することができる。
核酸は一般的に、DNAであるが、幾つかの場合、例えば癌の予防接種においてRNAを用いることができる。核酸成分は、プラスミド成分または成分“D”として以下に参照される。
インテグリン結合成分とは、細胞表面に見出されるインテグリンに特異的に結合することができるあらゆる成分である。インテグリン結合成分は、天然に生じるインテグリン結合リガンド、例えば細胞外マトリックスタンパク質,ウイルスキャプシドタンパク質,細菌性タンパク質のインベーシン(invasin),蛇毒のジスインテグリン(disintegrin)タンパク質またはこれらのタンパク質のインテグリン結合フラグメントであってもよい。このようなインテグリン結合タンパク質及びそのフラグメントは、天然原料から、または組換え技術によって得てもよいが、それらは大量に合成・精製するのは難しく、DNAまたはRNAに直接、またはDNAまたはRNA結合のためのポリカチオン性因子への接合を必要とし、イン・ビボで免疫原性である。
インテグリン結合ペプチドを使用することは、特に合成,精製及び貯蔵の容易さ、化学修飾の潜在能力及びイン・ビボでの潜在的な低免疫原性のため好ましい。インテグリン結合ペプチドの例は、Verfaille,1994 #635;Wang,1995 #645;Staatz,1991 #539;Pierschbacher,1984 #314;Massia,1992 #86;Clementsら,1994及びLuら,1993;及びKoivunenら,1995;1993;1994;O’Neilら,1992;Healyら,1995;及びPasqualaniら,1995に示されている。
上記に示されたように、保存されたアミノ酸配列アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)を含有するペプチドは、高親和性でインテグリンに結合する。従って、RGD配列からなるペプチドが特に有効である。インテグリン及びペプチドリガンド間の親和性は、RGDドメインに並ぶアミノ酸配列によって影響される。RGD配列の立体配置上の自由度が制限されている環状領域を有するペプチドは一般的に、直鎖状のものよりインテグリンレセプターに対して高い親和性を有する。このような環状ペプチドが特に好ましい。環状ペプチドは、ペプチド中の2つのシステイン残基の供給によって、ゆえにジスルフィド形成を可能とすることによって形成される。システイン残基は、RGD配列から1以上、例えば6残基までの残基によって、離されていてもよく、また、好ましくは両システインがRGD配列の両端に直接近接していない方がよいが、直接RGD配列に近接させてもよい。
ジスルフィド結合の形成による環状化を許容するアミノ酸配列の例は、CRGDMFGC[SEQ.ID.NO.:5]である。この配列CRGDMFGCだけからなる、または構成分とするペプチドが、本願発明によるインテグリン結合ペプチドとして優位に用いられてもよい。配列CRGDMFGCからなる及び効果的なインテグリン結合リガンドであるペプチドの例は、ペプチドGGCRGDMFGC[SEQ.ID.NO.:6],GGCRGDMFGCG[SEQ.ID.NO.:7],GGCRGDMFGCA[SEQ.ID.NO.:8]及びGACRGDMFGCA[SEQ.ID.NO.:9]である。
ペプチドGACDCRGDCFCA[SEQ.ID.NO.:10]は、RGDループを安定化するための2つのジスルフィド結合を形成する潜在能力を有する。このペプチド及び2つのRGD安定化ジスルフィド結合を形成する潜在能力を有する他のペプチドは、本願発明によるインテグリン結合リガンドとして特に有用であると言える。
しかしながら、全てのインテグリン結合ペプチドが保存されたRGD配列を含有するわけではない。例えば、ペプチドGACRRETAWACA[SEQ.ID.NO.:11]及びGACRRETAWACG[SEQ.ID.NO.:12]は、インテグリン特異的なペプチドである。配列CRRETTAWAC[SEQ.ID.NO.:13]からなる他のペプチドは、他の非RGDペプチド、特にジスルフィド結合形成のための潜在能力を有するものと同様に用いられてもよい。
ペプチド配列は、既知のリガンドに基いて、例えば天然に生じるインテグリン結合リガンドのインテグリン結合ドメインに基いて、またはインテグリンに結合する既知のペプチドに基いて設計されてもよい。
前記のように、インテグリンは、細胞表面に見出されるヘテロダイマーのタンパク質ファミリーである。それらは、幾つかの異なったα及びβサブユニットからなる。多くのタイプの細胞に見出されるインテグリンもあり、また、より特異的な、例えばα5及びαvインテグリンが一般的で、異なった範囲に見出されるものもある。インテグリン結合リガンドは、種々のインテグリンに対する親和性において様々に変化する。例えばGACRGDMFGCA[SEQ.ID.NO.:9](ペプチド1)は、α5及びαvインテグリンに対して親和性を有するが、非特異的である(O’Neilら,1992;Hartら,1997)。GACDCRGDCFCA[SEQ.ID.NO.:10](ペプチド5)は、インテグリンαvに対して高親和性を有するが、αv特異的ではない(Koivunenら,1995;Hartら,1997)。しかしながら、GACRRETAWACG[SEQ.ID.NO.:11](ペプチド6)は、保存されたRGD領域を含有していないが、α5β1特異的である(Koivunenら,1995)。多くのインテグリン結合ペプチド及びそれらのインテグリン特異性を、下記の表に示す。
Figure 0004293292
本願発明による脂質成分の使用が、試験される全てのペプチド及び全ての細胞のタイプに対してトランスフェクションを大きく増長する。これに対して、試行されている他の増長技術、例えばクロロキンは、試験された全てではなく、幾つかの細胞タイプにおいて小規模にしかトランスフェクションを増長しない。
ポリカチオン性核酸結合成分とは、DNAまたはRNAに結合できる、あらゆるポリカチオンである。ポリカチオンは、DNAまたはRNAへの結合能力が保持されるならば、幾つものカチオン性モノマーを有していてもよい。例えば、3〜100のカチオン性モノマーが存在していてもよく、例えば10〜20、特に約16であってもよい。オリゴリジンは、特に好ましくは、例えば10〜20のリジン残基、例えば15〜17残基、特に16残基、即ち[K]16である。
ポリカチオン性DNAまたはRNA結合成分は、インテグリン結合成分に、優位に結合もしくは付着されてもよい。結合されたインテグリン結合成分/ポリカチオン性DNAまたはRNA結合成分は、成分“I”として下記に参照される。例えば、ポリカチオン性DNAまたはRNA結合成分は、インテグリン結合成分に、例えば、オリゴリジンの場合はペプチド結合によって、化学的に結合されてもよい。ポリカチオン性成分は、インテグリン結合成分の如何なる位置で結合していてもよい。インテグリン結合成分及びポリカチオン性DNAまたはRNA結合成分の好ましい組み合わせは、ペプチド結合を経てペプチド、例えば前記のペプチドに結合するオリゴリジン、特に[K]16である。
脂質成分は、カチオン性リポソームであってもよいし、形成してもよい。脂質成分は、カチオン性脂質及び膜を不安定化する及びフゾジェニックな(fusogenic)性質を有する脂質から選択される1以上の脂質、特にカチオン性脂質及び膜を不安定化する性質を有する脂質との組み合わせであってもよいし、構成されていてもよい。
好ましい脂質成分(“L”)は、中性脂質ジオレイルホスファチジルエタノールアミンであるか構成分とし、本願では“DOPE”として参照される。DOPEは、時には“フゾジェニックな”性質として参照される、膜を不安定化する性質を有する(Farhoodら,1995)。他の脂質、例えば中性脂質は、膜を不安定化する性質、特にDOPEと同様な、膜を不安定化する性質を有し、DOPEの代わりに、または同様に用いられてもよい。
少なくとも1つの長鎖アルキル基を有する他のホスホリピド、例えば、ジ(アルキル長鎖)ホスホリピドが用いられてもよい。ホスホリピドは、ホスファチジル基、例えばホスファチジルアルカノールアミン基、例えばホスファチジルエタノールアミン基から構成されていてもよい。
さらに好ましい脂質成分は、本願では“DOTMA”として参照される、カチオン性脂質・N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチル−アンモニウムクロライドであるかまたは構成される。DOTMAはカチオンの性質を有している。他のカチオン性脂質を、DOTMAに付加して、またはDOTMAに対する選択肢の1つとして用いてもよく、特にDOTMAに類似する性質を有するカチオン性脂質であってもよい。このような脂質は、例えば3つの短鎖アルキル基と1つの長鎖アルキル基によって置換された四級アンモニウム塩である。短鎖アルキル基は、同じでも異なっていてもよく、メチル及びエチル基から選択されてもよい。少なくとも1つ、そして3つまでの短鎖アルキル基がメチル基であってもよい。長鎖アルキル基は、直鎖または分枝鎖、例えばジ(長鎖アルキル)アルキル基を有していてもよい。
もう1つの好ましい脂質成分は、本願では“DOSPA”として参照される、脂質・2,3−ジオレイル−N−[2−(スペルミジンカルボキサミド)エチル]−N,N−ジメチル−1−プロパンアミニウムトリフルオリドアセテート(2,3-dioleyloxy-N-[2-(spermidinecarboxamido)ethyl]-N,N-dimethyl-1-propanaminiumtrifluorido-acetate)であるかまたは構成される。類似の脂質は、DOSPAに付加して、またはDOSPAに対する選択肢の1つとして用いてもよく、特にDOSPAに類似する性質を有するカチオン性脂質であってもよい。このような脂質は、例えばDOSPAの場合とは異なった短鎖アルキル基を有する。
好ましい脂質成分は、DOPE及び、例えば上記のような、1以上の他の脂質成分からなる。特に好ましくは、DOPE及びDOTMAの混合物からなる脂質成分である。このような混合物は、カチオン性のリポソームを形成する。DOPEとDOTMAとの等モル混合物が、特に有効であることが見出されている。このような混合物は、一般に“リポフェクチン(lipofectin)”として知られており、“Lipofectin”の名称で市販され利用可能となっている。“リポフェクチン(lipofectin)”という語は、本願においては通常、DOPEとDOTMAとの等モル混合物を示すのに用いられる。リポフェクチンと類似の性質を有する、カチオン性のリポソームである他の脂質混合物を用いてもよい。リポフェクチンが特に有用であり、試験された全ての細胞タイプにおいて有効である。
さらに好ましい脂質成分は、DOPEとDOSPAとの混合物からなる。このような混合物もまた、カチオン性のリポソームを形成する。重量比3:1のDOSPA:DOPEの比であるDOPEとDOSPAとの混合物が、特に有効である。このような混合物は、膜ろ過水において、“Lipofectamine”の名称で市販され利用可能となっている。DOPE,DOTMA及びDOSPAからなる混合物、例えばリポフェクチンとリポフェクタミンとの混合物を用いてもよい。
他のカチオン性脂質、例えばDOTAP(Boehringer-Mannheim)及びTfxレンジ内の脂質(Promega)が市販され利用可能となっている。DOTAPは、N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムメチルスルフェートである。Tfx試薬は、合成カチオン性脂質[N,N,N’,N’−テトラメチル−N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2,3−ジ(オレオイルオキシ)−1,4−ブタンジアンモニウムヨーダイドとDOPEとの混合物である。全ての試薬が同量のカチオン性の脂質成分を含有しているが、フゾジェニックな脂質,DOPEは、異なった量含有している。
しかしながら、リポフェクチン及びリポフェクタミンは、本願発明のLID複合体における脂質成分として、DOPTA及びTfx剤よりも著しく効果的であると考えられる。
想定されるインテグリン結合成分,ポリカチオン性DNAまたはRNA結合成分、または脂質成分の有効性は、本願に記載される方法を用いて容易に決定される。
本願発明の複合体を用いるトランスフェクション効率は、脂質成分:インテグリン結合成分:DNAまたはRNAの比率によって影響される。トランスフェクトされる、如何なる特別なタイプの細胞に対する、選択された如何なる成分の組合せに対しても、至適な比率が、成分を異なった比率で混合して、例えば本願に記載されているような細胞タイプに対するトランスフェクション率を測定するだけで決定できる。
例えば、DNA成分(D)としてSV40プロモーター下のルシフェラーゼ(レポーター遺伝子)をコードするプラスミドであるpGL2プラスミド、組み込まれるインテグリン結合成分/ポリカチオン性のDNA結合成分(I)としての[K]16GACRGDMFGCA[SEQ.ID.NO.:17]([K]16−ペプチド1)及び脂質成分(L)としてのリポフェクチン(DOPE:DOTMA 1:1のモル比)からなる組み合わせが成分の至適な比率を見つけるために試験された。1μgのプラスミド(D)当り1μgのリポフェクチン(L)及び4μgの[K]16−ペプチド(I)は、リポフェクチンを欠く複合体よりも100倍活性であった。より多量のリポフェクチンの添加は、リポフェクチンの用量依存的にトランスフェクション活性を減少させた。
1μgのプラスミドDNAまたはRNA(核酸成分,D)当り4μgの[K]16−ペプチド・インテグリン結合成分/ポリカチオン性のDNAまたはRNA結合成分(I)当り0.75μgのリポフェクチン(L)の至適トランスフェクション比率が、3つの異なった細胞系、メラノーマ細胞,内皮細胞及び上皮細胞に対して見出された。その比率は後に、他の異なった細胞系及び他のオリゴリジン−ペプチドに対して有効であることが見出された。0.75:4:1のL:I:D重量比は、0.5nmolリポフェクチン:1.25mmol[K]16−ペプチド6:0.25pmolプラスミドpGL2制御のモル比に対応する。リポフェクチンが脂質成分として用いられているとき、0.75:4:1のL:I:D重量比、または対応するモル比が好ましい。
リポフェクチンがリポフェクタミン(DOPE/DOSPA)に置き換わる、成分の組み合わせに対して、至適な比率は、12μgのリポフェクタミン:4μgの[K]16−ペプチド6:1μgのプラスミドDNAまたはRNAであることが見出された。12:4:1のL:I:D重量比、または対応するモル比が、リポフェクタミン含有複合体に対して適当である。他の系に対する至適な比率を、同じように決定することができる。
リポフェクチン及びリポフェクタミンは、トランスフェクションを増大するのに特に効果的であると考えられる。リポフェクチンは、ほんの極微量で十分であるという利点を有する。そのため、起こる可能性のあるあらゆる副作用が最少なものとなる。上記に示したように、リポフェクタミンを用いるときのL:I:Dの至適な重量成分比は、12:4:1である。リポフェクチンを用いると、その至適な比率は0.75のみ:4:1である。
本願発明は、成分(i),(ii),(iii)及び(iv)を混合することからなる、本願発明のトランスフェクション複合体を製造するプロセスを提供する。
成分はどのような順番で混合されても構わないが、脂質成分を最後に加えない方が一般的に望ましい。組み合わされたインテグリン結合成分/ポリカチオン性DNAまたはRNA結合成分が存在する場合は、成分を次の順番で組み合わせることが一般的に望ましい:脂質成分;組み合わされたインテグリン結合/ポリカチオン性DNAまたはRNA結合成分;DNAまたはRNA成分、例えばリポフェクチン,オリゴリジンペプチド成分,DNAまたはRNA成分の順。
本願発明はまた、インテグリン結合成分,ポリカチオン性核酸結合成分及び脂質成分からなる混合物を提供する。
このような混合物は、本願発明の、核酸含有のトランスフェクション複合体を、核酸の混合物との合体、例えば混合によって製造するために用いることができる。または、本願発明の混合物は、核酸成分の代わりに、ポリカチオン性核酸結合成分、例えばタンパク質に結合できる他の成分からなる複合体の製造に用いることができる。
本願発明はさらに、核酸を本願発明の混合物と混合することからなる、本願発明の複合体の製造プロセスを提供する。
本願発明の混合物の個々の成分が、本願発明の複合体に関連して、各々上記されている。好ましい成分,好ましい成分の組み合わせ,好ましい成分比及び好ましい混合する順番が、混合物及び複合体の製造に関して、本願発明の複合体に関連して、上記されている。
本願発明の混合物は、好ましくは、脂質成分としてのDOPE及びDOMTAの等モル混合物(リポフェクチン)、及び組み合わされたインテグリン結合/核酸結合成分としてのオリゴリジンペプチド、特に[K]16−ペプチドからなる。好ましいリポフェクチン:オリゴリジンペプチドのモル比は、0.75:4である。
本願発明は、細胞をイン・ビトロまたはイン・ビボで本願発明の複合体と接触させることからなる、細胞に核酸をトランスフェクトする方法を提供する。
本願発明はまた、細胞を本願発明の複合体と接触させることからなる、宿主細胞で核酸を発現させるプロセスを提供する。そして宿主細胞は、細胞が核酸を発現できるような条件下で培養される。
本願発明はさらに、宿主細胞をイン・ビトロまたはイン・ビボで本願発明の複合体と接触させ、細胞にタンパク質を発現させ、タンパク質を得ることからなる、タンパク質の製造プロセスを提供する。宿主細胞は、イン・ビトロで本願発明の複合体を使用することによって核酸とトランスフェクトし、培養してもよく、タンパク質は、宿主細胞または培養メディウムから得られる。
本願発明はさらに、本願発明の複合体でトランスフェクトされた細胞を提供し、このような細胞の子孫も提供する。
本願発明はまた、医薬的に適した担体と混合または結合した、本願発明の複合体からなる医薬組成物を提供する。その組成物はワクチンでもよい。
本願発明はまた、遺伝子における欠損及び/または欠陥によって、ヒトまたは非ヒト動物において生じる状態の治療または予防の方法であって、本願発明の複合体をヒトまたは非ヒト動物に投与することからなる方法を提供する。
本願発明はまた、ヒトまたは非ヒト動物の治療的または予防的免疫法であって、本願発明の複合体をヒトまたは非ヒト動物に投与することからなる方法を提供する。
本願発明はまた、ヒトまたは非ヒト動物のアンチセンス治療の方法であって、アンチセンスDNAからなる本願発明の複合体がヒトまたは非ヒト動物に投与される方法を提供する。
本願発明はさらに、薬物及び/またはワクチンとして使用するための、例えばヒトまたは非ヒト動物において生じる状態の治療または予防のための,ヒトまたは非ヒト動物の治療的または予防的免疫のための,またはヒトまたは非ヒト動物のアンチセンス治療のための本願発明の複合体を提供する。
本願発明はまた、遺伝子における欠損及び/欠陥によってヒトまたは非ヒト動物において生じる状態の予防のための、ヒトまたは非ヒト動物の治療的または予防的免疫化のための、またはヒトまたは非ヒト動物のアンチセンス治療のための、薬物の製造のための本願発明の複合体の使用を提供する。
非ヒト動物は、例えば哺乳動物,鳥,魚,そして特に、市販品として飼育された動物である。
本願発明の複合体中のDNAまたはRNAは、意図された遺伝子治療,遺伝子ワクチンまたはアンチセンス治療に適している。DNAまたはRNA及び引いてはその複合体が、意図された目的のために有効な量で投与される。
さらなる態様において、本願発明は、本願発明の混合物を製造するために適したキットを提供する。このようなキットは次のものからなる:(i)インテグリン結合成分;(ii)ポリカチオン性核酸結合成分及び(iii)脂質成分。
本願発明の複合体を製造するために適したキットは、上記の成分(i)〜(iii)及び(iv)核酸の発現に適した核酸またはプラスミドまたはベクターから構成されていてもよく、プラスミドまたはベクターは空かまたは核酸からなる。
キットの成分は、例えば本願発明の複合体または混合物に関連して上記されている。好ましい成分は、上記されている通りである。
キットは一般的に、本願発明の複合体または混合物の製造のための説明書からなる。好ましくは、説明書は、例えば上記したような、好ましい成分比及び成分を混合する好ましい順番を指示するものである。キットは、遺伝子治療,遺伝子ワクチンまたはアンチセンス治療に適した複合体を製造するために使用することができる。または、宿主細胞を、市販品として利用可能なタンパク質をコードする核酸でトランスフェクトするのに適した複合体を製造するために、言い換えれば、いわゆる「細胞工場」を製造するために用いることができる。
本願発明のキットは、ユーザーに、DNAかRNAかの選択を用いる本願発明の高効率のトランスフェクション複合体を素早く容易に製造することを可能とする。
本願発明のキットを、次の成分から構成することができる:(a)インテグリン結合成分,(b)ポリカチオン性核酸結合成分,(c)脂質成分及び(d)核酸。
このようなキットは、例えば遺伝子ワクチンまたはアンチセンス治療における使用のための複合体の製造に適している。
本願発明のキットにおいて、好ましい成分を含む成分は、例えば本願発明の複合体に関連して上記に示される通りである。
本願発明はまた、細胞の核酸,DNAまたはRNAでのトランスフェクション効率を増大するのに使用するための上記したような脂質成分であって、インテグリン結合成分及びポリカチオン性核酸結合成分と組み合わせて用いられる脂質成分を提供する。
本願発明はまた、
(i)核酸、特に興味ある配列をコードする核酸、
(ii)インテグリン結合成分、
(iii)ポリカチオン性核酸結合成分、及び
(iv)脂質成分
からなる薬剤の製造のための上記したような脂質成分の使用を提供する。
薬剤は、遺伝子治療,遺伝子ワクチンまたはアンチセンス治療のためであってもよい。
本願発明はまた、例えば上記したような脂質成分が複合体の付加的成分であることを特徴とする、
(i)核酸、特に興味ある配列をコードする核酸、
(ii)インテグリン結合成分、及び
(iii)ポリカチオン性核酸結合成分
からなるトランスフェクション複合体を提供する。
本願発明はまた、例えば上記したような脂質成分が複合体の付加的成分として加入されることを特徴とする、
(i)核酸、特に興味ある配列をコードする核酸、
(ii)インテグリン結合成分、及び
(iii)ポリカチオン性核酸結合成分
からなるトランスフェクションベクターの効率を増大させる方法を提供する。
各々の場合において、その多くの成分は上記されている通りである。脂質成分は、例えばDOPEとDOSPAとの混合物、特にDOPEとDOTMAとの混合物、特にDOPEとDOTMAとの等モル混合物(リポフェクチン)である。
遺伝子治療のための標的はよく知られており、遺伝子性の障害、例えば嚢胞性線維症,種々の癌,感染,例えばウイルス感染、例えばHIVでの感染を含む。例えば、p53遺伝子でのトランスフェクションは、癌治療について大きな可能性を提供する。遺伝子ワクチンのための標的もよく知られており、天然原料由来のワクチンがヒトへの使用には非常に危険を伴うものであり、組換えワクチンが、例えばB型肝炎ウイルス,HIV,HCV及び単純ヘルペスウイルスでは必ずしも有効でない病原体に対するの予防接種を含む。アンチセンス治療のための標的も知られている。さらに、遺伝子治療及びアンチセンス治療は、疾患の遺伝学的基礎の知識が増大するように、遺伝子による予防接種のための、さらなる標的となるように提案されている。
本願発明のトランスフェクション複合体が、内皮細胞及び上皮細胞を含む種々の異なった細胞タイプ、及び腫瘍細胞をトランスフェクトするために明らかにされている。ほとんどのプラスミドトランスフェクションベクターでのトランスフェクションに特に抵抗性の細胞タイプ、例えば神経芽腫細胞、一次平滑筋細胞及び心筋細胞、及び造血細胞を含む、試験された全ての細胞タイプのトランスフェクションが、本願発明のトランスフェクション複合体を用いて、高効率で達成されている。これは、効率的な遺伝子治療,遺伝子による予防接種及びアンチセンス治療を、細胞タイプに関する以前のような限定なしに可能とする。例えば、癌治療のためのp53遺伝子を用いるトランスフェクションは、大きな可能性を秘めているが、効率的なトランスフェクションが達成され得る細胞タイプの範囲によって現在限定されている。
神経芽腫細胞の効率的なトランスフェクションは、本願発明の複合体が、重大な、子供における悪性である神経芽腫のワクチンとしてまたは治療に使用することができる。プラスミド仲介のトランスフェクションに特に抵抗性がある一次平滑筋細胞及び心筋細胞の効率的なトランスフェクションは、筋肉及び循環系に影響を与える疾患及び他の病理学的状態が現在、遺伝子治療によって治療され得ることを実証している。このような状態の1つが再狭窄である。バルーン血管形成後、30〜50%の場合にプラークが再形成される。血管壁での細胞増殖を防ぐ遺伝子を、本願発明の複合体を用いて、再狭窄を減少させるために導入することができる。
造血細胞は、プラスミド仲介のトランスフェクションに特に抵抗性であるもう1つの細胞タイプである。本願発明の複合体を用いるトランスフェクションの効率は、60%を超えるが、造血細胞に関連する疾患、例えば白血病及び骨髄幹細胞異常の、遺伝子治療,遺伝子による予防接種及びアンチセンス治療を現在可能なものとしている。例えば、サイトカイン遺伝子のトランスフェクションを、アジュバント免疫療法に用いることができる。
本願発明の複合体は、細胞内輸送のための、及び抗ウイルス及び癌治療を可能とする、アンチセンスオリゴヌクレオチドの送達のための効率的なベクターであることが証明されている。
さらに、本願発明の複合体は、慣用のベクターを用いるのが困難な、非常に大きなDNA分子、例えば125kbより大きいDNAの細胞内輸送に有効であることが証明されている。これによって人工の染色体の細胞への導入が可能となった。
高レベルでのトランスフェクションがイン・ビボで実証されており、本願発明の複合体の遺伝子治療,アンチセンス治療及び遺伝子による予防接種への利用性を確認している。気道の、例えば気管支上皮のトランスフェクションは、例えば嚢胞性線維症及び喘息の遺伝子治療のための利用を証明する。角膜内皮のトランスフェクションは、例えば緑内障における角膜または角膜器官の移植に影響を与える眼疾患の治療のための利用性を証明する。
高レベルのトランスフェクションは、本願発明の複合体を、望むタンパク質を生産することができる宿主細胞、いわゆる“細胞工場”の製造に特に適したものとする。長期間の生産のため、導入された核酸が宿主細胞のゲノムに編入されるにせよ、されないにせよ、安定に維持されることが望ましい。そのことは直ぐに確認され得る。既に示されているように、このように生産されたタンパク質の範囲は広く、特定の及び産業上の利用のための酵素,治療及び予防において使用するためのタンパク質,ワクチンにおいて使用するための免疫原及び診断に使用するための抗原を含む。
本願発明は、高効率のトランスフェクションを可能とする非ウイルス性ベクターを提供する。好ましい態様において、ベクターは4つの規格単位(modular)要素;オリゴリジン,特に[K]16、DNAまたはRNA結合要素;高親和性インテグリン結合ペプチド、例えば本願明細書に記載されているペプチド;DNAまたはRNA配列であって、プラスミド中でもよく、ウイルス性のプロモーター及び増幅する要素によって制御されてもよい;カチオン性リポソームDOTMA/DOPE(リポフェクチン)からなる。カチオン性リポソーム製剤DOTMA/DOPEとオリゴリジン−ペプチド/DNAまたはRNA複合体との組み合わせは、効能ある組み合わせである。または、DOPE/DOSPA製剤は、DOTMA/DOPE製剤の代わりに、または加えて使用することができる。複合体形成に関連する可変部、及びLID複合体によるトランスフェクション様式の至適化が実証されている。加えて、アトミックフォースマイクロスコピー(atomic forces microscopy)による分析が、複合体の構造を評価するために実行されている。
至適なLIDトランスフェクション複合体の形成において最も重要な可変部は、3つの成分の比率及びそれらの混ぜ合わせる順番であると考えられる。同じ組成物が、試験される全ての細胞系に対して至適であると考えられる。
本願発明の複合体の作用メカニズムは、予想されない高レベルのトランスフェクション、及びその高効率でトランスフェクトされ得る、驚くべき広範囲の細胞のために、未だに解明されていない。
しかしながら、本願発明の結果としてなされた以下の観察は、脂質成分の役割が、オリゴリジン−ペプチド/DNAまたはRNA複合体によって仲介されるトランスフェクション効率を増大することであることを示す。
LID(リポフェクチン/[K]16−ペプチド/プラスミド)複合体でのトランスフェクションレベルは、同じ仕込み比率で調製されたLKD(リポフェクチン/[K]16/プラスミド)複合体またはLD(リポフェクチン/プラスミド)複合体でのものより、3〜6倍高かった。これは、インテグリン−ターゲッティング部位、つまりペプチドが、これらの複合体のトランスフェクション効率における重要な因子であることを示す。
至適化されたLIDトランスフェクション複合体は、LD複合体での至適なトランスフェクションに必要なリポフェクチンのたった1/7しか含有されていない。[K]16−ペプチドがない至適なLID複合体においてと同じ、[K]16−ペプチド/−プラスミドに対するリポフェクチンの比率を含有する低比率のLD複合体でのトランスフェクションは、必ずしも全ての細胞をトランスフェクトするわけではない。これは、LID複合体におけるリポフェクチンの役割が、インテグリン受容体結合ペプチドによって仲介されるトランスフェクションを増大することであることを支持している。
さらに、我々は、LID及びID複合体の両方が、同じ大きさの球体粒子を形成することを見出した。しかしながら、至適なLD複合体が、幾つかの管関連(tubule-associated)粒子をもつ管状の(tubular)ネットワークを形成し、LID及びIDのトランスフェクションからの、異なったタイプの細胞相互作用及びトランスフェクション機構を示唆している。
プラスミドDNAまたはRNAのインテグリン−ターゲッティングオリゴリジンペプチドのオリゴリジン要素による縮合、及びその複合体のカチオン性の帯電は、リポフェクチンと会合したとき、高レベルの発現につながり、インテグリンターゲッティング部位、即ちペプチドは無関係である。LKD複合体とのトランスフェクション実験は、LID複合体と同じ順番で、同じ仕込み比率で混合し、LDまたはKD複合体より効率的であった。オリゴリジン要素及び組み合わされたインテグリン結合成分/ポリカチオン性DNAまたはRNA結合成分Iのインテグリンターゲッティングペプチドドメインの相対的重要性の寄与を評価するため、LID複合体によるトランスフェクションは、[K]16及び[K]16インテグリンターゲッティングペプチド6,[K]16GACRRETAWACG[SEQ.ID.NO.:18]の割合の範囲を含んで調製される。トランスフェクション発現データは、[K]16ペプチド6の増加する量が、[K]16、及びインテグリン−ターゲッティング(リガンド結合)ドメイン、即ちペプチド6の量への用量依存性に代わる、複合体でのより高い効率性を示す。
至適なトランスフェクション複合体を形成するために一緒に混合される成分の比率はまた、リポフェクチン仲介の増幅の可能な機構に関して情報を提供する。リポフェクチンのDOTMA要素はカチオン性であり、複合体の活性を増幅するが、DOPEは、エンドゾーム膜を不安定化する能力を有し(Farhoodら,1995)、プラスミドDNAまたはRNAのエンドゾームの放出を増大する。LID複合体の成分は、定まった至適比で一緒に混合される。形成される粒子はまた、これらの要素を同じ比率で含有すると推定される。そのため、プラスミドDNAまたはRNAからの3nmolの負のチャージは、[K]16−ペプチドからの約21nmolの正のチャージと会合する。しかしながら、リポフェクチンは、さらなる0.25nmolの正のチャージしか提供しない。これは、予想に反して、リポフェクチンのLID複合体における増幅効果は、関連するチャージではなく、DOPE成分の膜不安定化効果に関連し得ることを示唆する。
作用機構の次に示す理論に限定されないが、トランスフェクションプロセスの初期段階の次に示すモデルは、本願明細書に記載される観察に基くものであり、LID複合体によるトランスフェクションの驚くべき、そして予想できないほど高い有効性を説明するために提案され、その高い有効性は調査された全ての細胞タイプにおいて見出される。
複合体は、リポフェクチン,オリゴリジン−ペプチド及びプラスミドDNAまたはRNAのランダムな会合によって静電的に形成される。オリゴリジン−ペプチドの相対的に高い比率は、プラスミド分子当りのインテグリン−ターゲッティングリガンドの高比率を確保する。1以上のプラスミドを含有し、何千ものオリゴリジン−ペプチドと会合し、そのため非常に高濃度のインテグリン−ターゲッティングリガンドを含有する粒子が形成される。リポフェクチンをオリゴリジン−ペプチドと混合し、その後プラスミドDNAまたはRNAを添加することによって、3つの成分全てを含有する複合体が形成される。その粒子は、高密度のリガンドのため、細胞表面のインテグリンに対して高アビディティ(avidity)を有し、結合して、貪食プロセスによって内在化される(Hartら,1994)。その小胞は融合してエンドソームを形成し、酸性条件下、粒子内に含有されるDOPE要素がエンドソーム膜の不安定化及びその後のプラスミドの細胞質への放出を仲介する。リポフェクチンを欠く、貪食された粒子は、エンドソーム内で分解される。インテグリン−ターゲッティング部位を欠く粒子は、細胞結合及び内在化においてより低い効率である。オリゴリジン−ペプチドのリポフェクチン及びオリゴリジン([K]16)要素は両方とも、LID複合体の相対的な有効性に寄与するが、オリゴリジン/ペプチド成分のインテグリン−ターゲッティング能力は、複合体の至適なターゲッティング及び内在化にとって重要であると考えられる。
次に示す、非限定的な例は、本願発明を例示するものである。例は、それに付随する、以下の図を引用する。
図1は、種々の量のリポフェクチン(DOTMA/DOPE)の、リポフェクチン,オリゴリジン−ペプチド1([K]16GACRGDMFGCA[SEQ.ID.NO.:19])及びプラスミドpGL2からなる複合体を用いるECV304細胞のトランスフェクションの増幅における影響を示す。
図2は、種々の量のリポフェクチン(DOTMA/DOPE)の、リポフェクチン,オリゴリジン−ペプチド1([K]16GACRGDMFGCA)及びプラスミドpGL2からなる複合体を用いる、A375M,COS−7及びECV−40細胞のトランスフェクションの増幅における影響を示す。
図3は、リポフェクチン(L),オリゴリジン−ペプチド1([K]16GACRGDMFGCA)(I)及びプラスミドpGL2(D)からなる複合体の成分を混合する順番の、ECV40細胞のトランスフェクションの増幅における影響を示す。
図4は、プラスミドpGL2及びオリゴリジン−ペプチド1([K]16GACRGDMFGCA,pep1)またはオリゴリジン−ペプチド5([K]16GACDCRGDCFCA[SEQ.ID.NO.:20],pep5)またはオリゴリジン−ペプチド6([K]16GACRRETAWACG[SEQ.ID.NO.:21],pep6)または[K]16(K16)を含有し、リポフェクチン(lip)があるものとないものの複合体、及びプラスミドpGL2を、リポフェクチン:[K]16リジン−ペプチド1が重量比4:1(Lipo4対1)で含有する複合体の、リポフェクチンによるトランスフェクチンの増幅の比較を示す。
図5は、インテグリン結合リガンドのアベイラビリティにおける、リポフェクチン,オリゴリジン−ペプチド6([K]16GACRRETAWACG)及びプラスミドpGL2を含有する複合体の用量依存性を示す。
図6は、種々の複合体の構造を示すものであり、アトミックフォースマイクロスコピーを用いて決定されるように、その複合体は、次に示す、プラスミドDNA(プラスミドpGL2),オリゴリジン−ペプチド([K]16−ペプチド6)及びリポフェクチン;A:[K]16−ペプチド6及びプラスミドpGL2;B:[K]16−ペプチド6,リポフェクチン及びプラスミドpGL2;C:リポフェクチン及びプラスミドpGL2,至適な比率;D:リポフェクチン及びプラスミドpGL2,次善の比率、の種々の組み合わせで形成される。
図7は、COS−7細胞及び神経芽細胞系IMR−32,KELLY及びSHSY−5Yの、リポフェクチン,オリゴリジン−ペプチド6([K]16GACRRETAWACG)及びIL−12の2つのドメイン(MFGS−IL12)またはCMVプロモーター下の融合遺伝子,Flexi−12を含有する1つのプラスミドをコードする2つのレトロウイルスプラスミド構築物の1つを含有する複合体でのトランスフェクションの48時間後のIL−12の発現レベルを示す。
図8は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(AS)でのトロンビンレセプター(PAR−1)へのトランスフェクションの、ヒト胎児性肺線維芽細胞(HFL−1細胞)のトロンビン誘導増殖における効果を示す。
図9は、造血細胞系HL60,PLB985,TF1及びU937の、リポフェクチン,そのレポーター遺伝子pEGFP−N1及び[K]16−ペプチド6(pep6)または[K]16−ペプチド8(GGCRGDMFGCA[SEQ.ID.NO.:8],pep8)を含有するLID複合体でのトランスフェクションの、無処理の細胞と比較した効果を示す。GFPポジティブ細胞の割合は、蛍光活性化セルソーターを用いて決定された。

材料及び方法
細胞系
細胞系COS−7(サル腎上皮細胞)は、10%ウシ胎児血清(FCS),L−グルタミン,ペニシリン及びストレプトマイシンを付加した、ダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM;Life Technologies,Paisley,U.K.)でメインテインした。ECV304(自然形質転換ヒト臍静脈内皮細胞)は、199培地(DMEM;Life Technologies,Paisley,U.K.)で成育した。HT1080線維肉腫細胞及びA375Mメラノーマ細胞は、DMEM及び10%FCS中でメインテインした。IMR2神経芽腫細胞は、DMEM F12栄養ミックス(Nutrient Mix)(Life Technologies)で成育した。細胞系は全て、5%CO2水飽和雰囲気の37℃インキュベーターで成育した。
ペプチド合成
ペプチド6の配列,GACRRETAWACGは、ファージディスプレーライブラリー(Koivunenら,1995)からのα5β1特異性ペプチドに基く。オリゴリジン−ペプチド[K]16GACRRETAWACGは、以下のように合成した。
保護アミノ酸及びプレロードした(preload)Gly−Wangレジン(resin)は、Calbiochem−Novabiochem(Nottingham,U.K.)から取得した。溶媒及びHBTU[2-(1H-benzotriazol-1-yl)-1,1,3,3-tetramethyluronium hexafluorophosphate]は、Perkin−Elmer Applied Biosystems,U.K.から取得した。ペプチドは、Model 431A updated Applied Biosystems Solid Phase Synthesiserにおいて、0.1mmolのプレロードしたGly−Wangレジン(Calblochem−Novabiochem,Nottingham,U.K.)上で、基本的なフィードバックモニタリングサイクル、及びカップリング試薬としてHBTUを用いて合成した。9−フルオレニルメチルオキシ−カルボニル(9-fluorenylmethyloxy-carbonyl)は、一時的なα−アミノ酸保護のために用いた。側鎖の保護基は、Lys及びTrpに対してはテトラ−ブチルオキシカルボニルであり、Cysに対してはトリチル(trityl),Argに対しては2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルフォニル(2,2,5,7,8-pentamethylchroman-6-sulphonyl),Gluに対してはテトラ−ブチルエステル及びThrに対してはテトラ−ブチルエーテルであった。ペプチドのレジンからの切断及び脱保護は、ペプチジル(peptidyl)−レジンを10mlトリフルオロ酢酸,0.25mlエタンジチオール(ethanedithiol),0.25mlトリイソプロピルシランを含有する混合物10mlと20℃,2時間処理することによって行った。ペプチドは、氷冷ジエチルエーテルを用いて沈殿し、その後、微細に焼結されたガラスフィルターロートを通して、軽く吸引してろ過した。ペプチド沈殿物は、10%酢酸/水溶液に溶解し、凍結乾燥した。粗ペプチドは、逆相HPLC及びmatrix assisted laser desorption ionisation time of flight mass spectroscopyによって分析した。粗ペプチドの精製度は、逆相HPLCで約70%であり、Finnegan LaserMatを用いたマス分析は、MH+イオンとして3331.5の分子量を示し、MH+イオンとしての計算による分子量3331.46と非常によく一致していた。
オリゴリジン−ペプチド1:[K]16GACRGDMFGCA及びオリゴリジン−ペプチド5:[K]16GACDCRGDCFCAは、Zinsser Analytic(Maidenhead,U.K.)から取得した。
プラスミドDNA
プラスミドpGL2はルシフェラーゼレポーター遺伝子(Promega,Madison,WI,U.S.A.)を含有し、及びpCMVβはβ−ガラクトシダーゼレポーター遺伝子(Clontech,Palo Alto,California,U.S.A.)を含有し、大腸菌DH5aで成育され、細菌のアルカリ溶解後、Qiagenレジンカラム(Qiagen Ltd.,Crawley,U.K.)において、製造者の取扱い説明書によって精製した。イソプロパノールで沈殿させたDNAペレットは、70%エタノールで洗浄後、水またはTEバッファ(10mMTris−Cl,pH8.0及び1mMEDTA)に溶解した。
プラスミド溶液の分光光度計による測定は、プラスミド濃度(A260)及び精製度(A260/A280比)を評価するために使用した。プラスミド溶液は、1mg/mlの濃度に調製し、4℃で貯蔵した。
トランスフェクション複合体の形成
細胞は、24ウェルプレートにウェル当り5×104細胞で種付けし、その後完全成長培地で37℃,一晩インキュベートした。翌日、トランスフェクション複合体は、次に示すストック溶液から作成した:OptiMEM(Life Technologies,Paisley,U.K.),リポフェクチン(カチオン性脂質N-[1-(2,3-dioleyloxy)propyl]-N,N,N-trimethylammonium chloride(DOTMA)及び中性脂質dioleoyl phosphatidylethnolamine(DOPE)の等モル混合物で、Life Technologies,Paisley,U.K.から“Lipofectin”として取得される)(1mg/ml),pGL2−コントロール(1mg/100ml)及び[K]16/インテグリン−ターゲッティングペプチド1,5または6(0.1mg/ml)において全て調製された。
複合体は通常、3つの成分で作製した:オリゴリジン−ペプチド(I),プラスミドDNAまたはRNA(D)及びリポフェクチン(L)を、種々の成分と共に自動ピペットで混合した。混合物LIDは、同じ方法で、至適な重量比0.75:4:1(L:I:D)で作製した。両タイプの混合物は、少なくとも30分間、凝固させたままにした後、OptiMEMで0.5ml当り1マイクログラムDNAの濃度に希釈した。成長メディウムは、各ウェルから除去した後、0.5mlのトランスフェクション複合体を加えた。その後、プレートはインキュベーターに戻して、4〜6時間、置いた。その後、トランスフェクションメディウムは除去し、1mlの完全成長メディウムに置換した。トランスフェクトされた細胞は、48〜72時間、インキュベートした後、レポーター遺伝子活性についてアッセイした。
ルシフェラーゼアッセイ
pGL2で形質転換した細胞は、PBSで2回洗浄し、血清を除去した後、100μlのレポーター溶解バッファ(Promega,Madison,WI,U.S.A.)を各ウェルに添加し、40℃で15〜30分間静置した。その後、細胞は、黄色のマイクロピペットチップでばらばらにすることによって取り除いた。その後、細胞の無い溶解物は、ルシフェラーゼアッセイキット(Promega,Madison,WI,U.S.A.)を用い、その製造者の取扱い説明書に従って、調製し、アッセイした。総光放射は、LKB1251ルミノメーター(Labtech,Uckfield,U.K.)において60秒間測定した。次に、各サンプルのタンパク質濃度をタンパク質アッセイ試薬(BioRad,Hercules,CA,U.S.A.)で決定し、ルシフェラーゼの酵素活性は、ミリグラムタンパク質当りの相対的光ユニット(RLU/mg)という表現で表した。
Lac Zアッセイ
β−ガラクトシダーゼ活性は、X−galで染色することによって検出した。PBSで洗浄後、細胞は、PBS中0.5%グルタルアルデヒドの添加によってプラスチックプレートに40℃で20分間固定化した。ウェルはPBSで洗浄し、細胞はX−galを用いて、37℃で6時間まで染色した。
アトミックフォースマイクロスコピー(AFM)
トランスフェクション複合体のアトミックフォースマイクロスコープ分析は、以前記載(Wolfert & Seymour,1996)したように、NanoScope II(Digital Instruments,Santa,Barbara,U.S.A.)の部品,AFM−2を用いて行った。リポフェクチンを有する及び有さない、[K]16−ペプチド6/pGL2のトランスフェクション複合体は、全ての成分に対する希釈剤として、水をOptiMEMの代わりに用いる点を除いて、上記のように調製した。
例1:種々の量のリポフェクチン(DOTMA/DOPE)のトランスフェクションにおける効果
トランスフェクション複合体は、上記「材料及び方法」の項で記載したように調製した。その複合体は、OptiMEM低血清組織培養メディウム中0.1mg/mlのオリゴリジン−ペプチド1([K]16GACRGDMFGCA)の溶液を、QptiMEM中1〜10μg/100μlの濃度範囲のリポフェクチン(上記DOTMA/DOPEカチオン性リポソーム)溶液と混合することによって作製した。最後に、適当量のpGL2−コントロールプラスミドDNA(0.1mg/ml)を添加し、繰り返してピペッティングすることによって混合した。各成分の混合比は、μgDNA当り4μgオリゴリジン−ペプチドで一定であるが、リポフェクチンの比率は、μgDNA当り1〜10μgに変化させた。ECV304細胞は、上記のように複合体でトランスフェクトし、48時間インキュベートした後、上記のようにルシフェラーゼ発現についてアッセイした。その結果は、図1に示す。
マイクログラムプラスミド当り1μgリポフェクチン及び4μgオリゴリジン−ペプチドで形成された複合体は、リポフェクチンを欠く複合体よりほぼ100倍活性であった。より多量のリポフェクチンの添加は、リポフェクチンの用量依存的に、トランスフェクション活性を減少した。
同様な結果が、[K]16−ペプチド6で得られた。
例2:種々の量のリポフェクチンの、3つの異なった細胞系における形質転換に対する効果
次に、LIDトランスフェクション複合体におけるリポフェクチンの至適量をさらに正確にするため、3つの異なった細胞系A375M(メラノーマ細胞),COS−7(サル腎臓上皮細胞)及びECV304(ヒト臍静脈内皮細胞)を用いて実験を行った。
トランスフェクション複合体は、例1に記載したように作製したが、より狭い範囲のリポフェクチン量を用いた。リポフェクチン/オリゴリジン−ペプチド/DNA複合体は、一定量の[K]16−ペプチド1([K]16GACRGDMFGCA)(4μg)及びpGL2(1μg)プラスミドDNA、及びある範囲のリポフェクチン量(1〜2.5マイクログラム)で調製した。複合体は、A375M,COS−7及びECV304細胞をトランスフェクトするために使用し、次に、それらの細胞は、ルシフェラーゼ発現分析のために2日後、回収した。
結果は、図2に示す。各々の場合において、至適なトランスフェクション比は、マイクログラムプラスミドDNA当り0.75μgのリポフェクチンにピークがあった。この成分量の組み合わせは、この後の全ての例で維持した。
L:I:Dの重量混合比0.75:4:1は、モル比0.5nmolリポフェクチン:1.25nmolオリゴリジン−ペプチド1:0.25pmol pGL2コントロールに相当する。各成分のモルチャージは、リポフェクチン1モル当り0.5モルの正のチャージ,モル[K]16−ペプチド1当り17モルの正のチャージ及びモルpGL2(6kb)当り12,000モルの負のチャージである。そのため、至適なトランスフェクション複合体において、プラスミドからの3nmolの負のチャージは、オリゴリジン−ペプチド1からの21nmolの正のチャージ及びリポフェクチンからの0.25nmolの正のチャージと混合する。それゆえ、ID複合体における正対負のチャージ約7:1のチャージ比は、リポフェクチンからの0.25nmolの正のチャージの、高効率のLIDトランスフェクション複合体への加入によってほとんど変化しない。そのため、LID複合体のトランスフェクション効率における改善は、チャージと関連していないようである。
例3:複合体成分を混合する順番の影響
至適なLIDトランスフェクション複合体の製造手順を決定するため、複合体成分を種々の順番で加えることによって作成した複合体を用いて、トランスフェクションを行った。全ての組み合わせは、同量及び濃度の成分を用いて調製した(1μg pGL2プラスミドDNA,0.75μgのリポフェクチン及び4μgのオリゴリジン−ペプチド1([K]16GACRGDMFGCA))。トランスフェクションは、ECV304細胞で行い、ルシフェラーゼ活性は、上記のように評価した。
結果は、図3に示し、DはプラスミドベクターpGL2を表し、Iは[K]16−ペプチド1及びLはリポフェクチンを表す。発現データは、LIDを混合する順番が至適であることを示す。顕著なこととして、リポフェクチンが添加される最後の成分であった組み合わせは、最も効果が少なかった。混合する順番、LIDは、全ての後のトランスフェクション実験に利用する。
例4:トランスフェクション率
細胞は、例1及び2で記載されたように、LIDを混合する順番であるが、pGL2の代わりにプラスミドベクター(成分D)としてpCMVβを用いて調製した至適化されたオリゴリジン−ペプチド/リポフェクチン/pCMVβ複合体でトランスフェクトした。細胞は、上記のように、β−ガラクトシダーゼ活性についてX−galで染色した。多くの細胞タイプA375M,COS−7及びECV304は、オリゴリジン−ペプチド/DNA複合体のみで達成される1〜10%に比べて、50〜100%のトランシフェクション効率を示した。これは、トランスフェクション効率における非常に顕著な改善を表している。
例5:リポフェクチンでの増幅と別のオリゴリジン−ペプチドでの増幅との比較別のインテグリン−ターゲッティングオリゴリジン−ペプチドの効果を比較するため、2セットの複合体は、プラスミドpGL2及び以下に示すもののうちの1つで形成した:
オリゴリジン−ペプチド1([K]16GACRGDMFGCA,pep1),
オリゴリジン−ペプチド5([K]16GACDCRGDCFCA,pep5),
オリゴリジン−ペプチド6([K]16GACRRETAWACG,pep6),及び[K]16
あるセットの複合体はまた、リポフェクチン(lip)を含有し、あるものはリポフェクチンを有していなかった。プラスミドpGL2を、重量比4:1のリポフェクチン及び[K]16リジン−ペプチド1と共に含有するコントロール複合体を調製した。
各複合体は、細胞系をトランスフェクトするために用い、ルシフェラーゼ発現を決定した。複合体は、(lip)と共にリポフェクチンなしに作製した。至適化された複合体は、比較のために実施した。全てのオリゴリジン−ペプチドは、同じ至適化されたチャージ比及び混合する順番で、リポフェクチン及びプラスミドDNA(KLD)と共に混合した。
結果は、図4に示す。KLD複合体は、通常KDまたはLD複合体より良好なトランスフェクション剤であるけれども、LID複合体は、KLD複合体より3〜6倍のルシフェラーゼ発現レベルを発生させた。オリゴリジン−ペプチド5を含有するLID複合体からの発現レベルは、オリゴリジン−ペプチド1またはオリゴリジン−ペプチド6を含有するものより2倍低く、これは、異なっているインテグリンレセプターのペプチド親和性を反映していると言える。LID複合体のトランスフェクション増幅は、試験された全てのペプチドで観察され、そのうちの2つ(ペプチド1及び5)は、保存されたRGD配列を含有し、そのうちの1つ(ペプチド6)は含有していない。
例6:特異性
インテグリン特異性を実証するため、LID複合体は、一定量のプラスミドpGL2−コントロール及びリポフェクチン、及び[K]16−ペプチド6及び[K]16の、ある範囲の組み合わせで調製した。[K]16で40μgとする、1,5,10,20,35,39μgの[K]16−ペプチドからなる、計40μgの[K]16−ペプチドを用いた。
トランスフェクションは、例1に記載したように実施し、ルシフェラーゼアッセイは、48時間後に実施した。結果は、図5に示す。トランスフェクション効率は、オリゴリジン−ペプチド6の量の増加とともに、明らかに指数関数的な増加を示し、そのため有効なインテグリン結合リガンドの量に用量依存の応答を示した。従って、両方の16−リジンドメイン、及びリポフェクチン成分が、それ自身、トランスフェクションを仲介することができる一方、個々に及び[K]16/リポフェクチンの組み合わせにおいて、最も高い効率のトランスフェクションは、有効なインテグリン結合リガンドの量に直接比例する。
例7:アトミックフォースマイクロスコピー
アトミックフォースマイクロスコピー実験は、4μgの[K]16ペプチド6及び1μgのpGL2−コントロールプラスミドDNA(ID複合体)を混合することによって形成される構造を決定し、比較するために実施した。LID複合体は、[K]16−ペプチド6(4μg)/リポフェクチン(0.75μg)/DNA(1μg)から、至適なトランスフェクション結果を生じるように示されたLIDの順番で形成した。リポフェクチン/DNA複合体(LD)は、2つの異なった比;マイクログラムのpGL2当り5μgのリポフェクチンという至適なトランスフェクション比及びマイクログラムのプラスミド当り0.75μgのリポフェクチンという、LID複合体に用いるのと同じ比で実施した。
結果は、図6に示す。ID複合体は、オリゴリジン−ペプチド6及びプラスミドDNAで構成されているが、2つの成分を混合する15分間内で、最初にAFMによって検査した。複合体は、雲母のカバーガラス上で約200nmの直径を有する低多分散系の粒子を形成した。コンピューターで生じた輪郭地図は、形成された粒子が不均整の円錐形であることを明らかにした。AFMによって評価されたLID複合体は、ID複合体と同様な大きさで形状の粒子を形成した。付加的なリポフェクチンは、明らかに、粒子を分離しない。しかしながら、5:1の比で形成されたLD複合体は、管(tube)と会合する臨時の粒子との管のネットワークのようであった。しかしながら、より低い比率(0.75:1)で形成されたLD複合体は、短い管構造であった。このより低い比率で形成されたLD複合体は、トランスフェクション実験で不活性であった。
上記のように形成したLID複合体はまた、一晩放置後、AFMによって分析した。粒子は今回、約50〜100nmの直径をもつ、より小さい大きさであり、粒子が圧縮していたことを示していた。コンピューターで生じたコンピューター地図は、これらの粒子が均等な円錐構造であることを表していた。錐体を測定し、それらの体積を算出した。そして、粒子が溶液中で自由であるときに形成すると予想される球体は、直径20〜60nmであると算出された。pGL2を用いるトランスフェクション実験において、一晩、水中で形成した緊密な粒子は、用事調製した複合体の約2倍高いルシフェラーゼ発現結果を生じた。
例8:神経芽腫細胞のトランスフェクション
3つの異なったヒト神経芽腫細胞系、SHSY−5Y,KELLY及びIMR−32、及び1つのマウス神経芽腫細胞系、Nb2Aのトランスフェクションは、上記の材料及び方法の章、及び例に記載したように、[K]16−ペプチド6,リポフェクチン及びリポーター遺伝子としてルシフェラーゼまたはGFPを含有するLID複合体を用いて至適化した。
次に、この3つのヒト神経芽腫細胞系及びCOS−7細胞は、リポーター遺伝子の代わりに、2つの異なったIL−12発現ベクターの1つをもつ、同じLID複合体を用いてトランスフェクトした。1つのベクターは、IL−12の2つの鎖、p35及びp40の融合タンパク質を発現する(Flexi−12;Andersonら,1997)。この融合は、CMVプロモーターによって制御される。第2のIL−12発現系は、2つのレトロウイルス構築物MFGS−p35及びMFGS−p40からなり、インターロイキン−12(IL−12)の2つの分離した鎖をコードするレトロウイルスプラスミド構築物である。両遺伝子とも、レトロウイルスの長い末端リピート(LTRs)によって制御される。ベクターは、Mary Collins教授,UCL,ロンドンから取得した。
分泌されたIL−12発現は、トランスフェクション48時間後、ELISAによってモニターした。トランスフェクトした細胞が、図3に見るように、高レベルのサイトカインを分泌することが見出された。Flexi−12構造が最も効率的であった。
これらの結果は、本願発明のトランスフェクション系が、神経芽腫、重要な幼児期悪性腫に対するワクチンにおける使用、また他の癌に対するワクチンに適していることを実証する。
例9:肺気管支上皮のイン・ビボでのトランスフェクション
至適なL:I:D比0.75:4:1で、順番LIDで混合した[K]16−ペプチド6及びリポフェクチンからなるLID複合体は、リン酸バッファ食塩水(PBS)中に1mg/mlの濃度のオリゴリジン−ペプチド溶液を用いる以外、上記材料及び方法の章で記載した通りに作製した。他の成分は、水溶液中、濃度1mg/mlのリポフェクチン,核に局在するベータガラクトシダーゼリポーター遺伝子pAB11をコードする、濃度1mg/mlのDNAであった。複合体の終体積を最少にするためにオリゴリジン−ペプチドを高濃度で使用し、生物適合性(bio-compatibility)のためにPBSをOptiMEMの代わりに使用した。
ルイスラットを麻酔した後、気管支を通して気道に、37.5lのリポフェクチン,PBS 200μl中200μgの[K]16−ペプチド6及び水50μl中50μgのpAB11からなる複合体287.5μlを投与した。そのラットを24時間後に屠殺し、肺を切り取り、固定化してX−galで染色し、その後、切片標本として検査した。強い染色が、上気道の気管支上皮で見とめられた。
この結果は、本願発明のトランスフェクション複合体の、肺及び気道に関する疾患、例えば嚢胞性線維症及び喘息の遺伝子治療についての利用性を実証する。
例10:角膜内皮のイン・ビボでのトランスフェクション
LID複合体は、イン・ビボでの肺トランスフェクションのために、例10に記載したように作製した。LID複合体含有溶液は、マウスの前眼房に投与した。各ケースにおいて投与された溶液の体積は2μlであり、よって約0.2μgのpAB11プラスミドDNAを輸送した。角膜内皮への効率的な遺伝子移動は、X−gal染色によって実証した。
この高いトランスフェクション率は、本願発明のトランスフェクション複合体の、角膜に影響する眼疾患の治療、及び角膜移植についての利用性を実証する。
例11:一次平滑筋細胞及び心筋細胞のトランスフェクション
ラットの一次平滑筋細胞(大動脈平滑筋細胞)及び心筋細胞の組織培養は、標準的な方法(Blankら,1988)に従って調製した。至適なLID比及び混合する順番において、リポフェクチン,[K]16−ペプチド6及びリポーター遺伝子としてのGFPからなるLID複合体は、上記の材料及び方法の章及び例において記載したように調製した。組織培養は、LID複合体で、上記の材料及び方法の章において記載したようにトランスフェクトした。GFP発現細胞の蛍光発光イメージは、50%を上回るトランスフェクション効率を実証した。
一次平滑筋細胞及び心筋細胞は、ほとんどの他の非ウイルス性ベクターを用いるプラスミド仲介のトランスフェクションに対して特に抵抗性を示した。対照的に、本願発明のトランスフェクション複合体は、50%を上回るトランスフェクション効率を達成し、ゆえに、その複合体の、平滑筋及び心筋を含む筋肉に影響する疾患の治療に対する利用性を実証した。
例12:高分子量構築物でのトランスフェクション
種々の大きさの構築物は、本願発明のトランスフェクション複合体と共に輸送され得る。線維芽細胞培養は、材料及び方法の章に記載したように、[K]16−ペプチド6,リポフェクチン及び130kBのDNA構築物からなるLID複合体でトランスフェクトした。複合体は、至適な比率及び混合する順番のLID成分からなり、上記の方法及び材料の章、及び例に記載したように調製した。トランスフェクションは、2〜3%の効率で達成した。
本願発明の複合体を用いる、増幅したインテグリン仲介のDNAの内在化と関連した細胞プロセスは、エンドサイトーシスより貪食作用に密接に関連し、ゆえに、非常に大きなDNA分子を含有する複合体の輸送に特に適している。
例13:アンチセンスDNAでのトランスフェクション
トロンビンは、ヒト肺線維芽細胞の増殖を刺激する。トロンビン処理したヒト肺線維芽細胞(HFL−1細胞)は、トロンビンに対する応答において53%拡大する。トロンビンとの処理の24時間前に、HFL−1細胞は、上記の材料及び方法の章、及び例において記載したように調製された至適な比率及び混合する順番で、[K]16−ペプチド6,リポフェクチン及び、トロンビンレセプターPAR−1に指向性の20量体のアンチセンスオリゴヌクレオチドからなるLID複合体と処理した。アンチセンスオリゴヌクレオチド含有複合体は、4時間、細胞と接触させた。複合体との処理の開始から24時間後、トロンビンとの処理を実行した。
トロンビン誘導の増殖は、LID複合体との前処理によって、76%±12%まで減少した。トロンビンではなくて、アンチセンス含有複合体で処理した細胞は増殖しなかった。
この結果は、本願発明の複合体の、アンチセンス療法に要求されるように、例えば抗ウイルス及び抗癌療法ためのアンチセンスオリゴヌクレオチドの効率的な細胞内輸送への利用性を実証した。
例14:造血細胞のトランスフェクション
造血細胞は、ほとんどのプラスミド仲介ベクターでのトランスフェクションに特に抵抗性を示す。
LID複合体は、上記の材料及び方法の章及び例に記載したように、リポフェクチン及び[K]16−ペプチド6を用いて調製し、α5β1インテグリンを、及びリポーター遺伝子としてのpEGFP−N1(Promega)を標的とする。複合体は、[K]16−ペプチド6の代わりに[K]16−ペプチド8([K]16−ペプチドGACQIDSPCA SEQ.ID.NO.:21)を用いて同様に調製し、α4β1インテグリンを標的とする。複合体は、上記の材料及び方法の章及び例に記載したように、成分を至適な比及び混合する順番で混合することによって調製した。
4つの異なった造血細胞系(HL60,PLB985,TF1及びU937)は、以下の修飾を加えて、材料及び方法の章に記載したようにトランスフェクトした:トランスフェクション前に、細胞を処理しないか、またはTF1細胞に対してGm−CSF(10ng/ml)もしくは他の3つの細胞系に対してホルボールミリスチン酸(PMA)で処理した。pEGFP−N1を含有するLID複合体でのトランスフェクションは、蛍光活性化セルソーターで測定したように、全ての4つの系において60%以上のトランスフェクション効率を生じた(図8参照)。
これらの結果は、本願発明のトランスフェクション複合体の、例えば白血病及び骨髄幹細胞障害の遺伝子治療などの造血細胞に関連する遺伝子治療のための利用性を実証した。この事実は、上記で指摘したように、造血細胞がプラスミド仲介のほとんどのベクターでのトランスフェクションに特に抵抗性であるため、特に有用である。
参考文献
Figure 0004293292
Figure 0004293292
Figure 0004293292
配列表
(1)一般情報:
(i)出願人:
(A)名称:インスティテュート オブ チャイルド ヘルス
(B)ストリート:30 Guildford Street
(C)市:London
(E)国:G.B.
(F)郵便番号:WC1N 1EH
(A)名前:Hart,Stephen Lewis
(B)ストリート:c/o Institute of Child Health,30 Guildford Street
(C)市:London
(E)国:G.B.
(F)郵便番号:WC1N 1EH
(ii)発明の名称:トランスフェクション活性を有するインテグリン−ターゲッティングベクター
(iii)配列の数:16
(iv)コンピューター読込み形式:
(A)媒体のタイプ:フロッピーディスク
(B)コンピューター:IBM PC compatible
(C)オペレーティングシステム:PC-DOS/MS-DOS
(D)ソフトウェア:PatentIn Release #1.0,Version #1.30(EPO)
(vi)先行特許出願データ:
(A)特許出願番号:GB 9711115.7
(B)出願日:1997年5月29日
(2)配列番号1の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:28アミノ酸
(B)タイプ:アミノ酸
(C)ストランドネス:
(D)トポロジー:環状
(ii)分子のタイプ:ペプチド
(xi)配列の記載:SEQ ID NO:1:
Figure 0004293292
(2)配列番号2の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:27アミノ酸
(B)タイプ:アミノ酸
(C)ストランドネス:
(D)トポロジー:環状
(ii)分子のタイプ:ペプチド
(xi)配列の記載:SEQ ID NO:2:
Figure 0004293292
(2)配列番号3の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:26アミノ酸
(B)タイプ:アミノ酸
(C)ストランドネス:
(D)トポロジー:環状
(ii)分子のタイプ:ペプチド
(xi)配列の記載:SEQ ID NO:3:
Figure 0004293292
(2)配列番号4の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:27アミノ酸
(B)タイプ:アミノ酸
(C)ストランドネス:
(D)トポロジー:環状
(ii)分子のタイプ:ペプチド
(xi)配列の記載:SEQ ID NO:4:
Figure 0004293292
(2)配列番号5の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:8アミノ酸
(B)タイプ:アミノ酸
(C)ストランドネス:
(D)トポロジー:環状
(ii)分子のタイプ:ペプチド
(xi)配列の記載:SEQ ID NO:5:
Figure 0004293292
(2)配列番号6の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:10アミノ酸
(B)タイプ:アミノ酸
(C)ストランドネス:
(D)トポロジー:環状
(ii)分子のタイプ:ペプチド
(xi)配列の記載:SEQ ID NO:6:
Figure 0004293292
(2)配列番号7の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:11アミノ酸
(B)タイプ:アミノ酸
(C)ストランドネス:
(D)トポロジー:環状
(ii)分子のタイプ:ペプチド
(xi)配列の記載:SEQ ID NO:7:
Figure 0004293292
(2)配列番号8の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:11アミノ酸
(B)タイプ:アミノ酸
(C)ストランドネス:
(D)トポロジー:環状
(ii)分子のタイプ:ペプチド
(xi)配列の記載:SEQ ID NO:8:
Figure 0004293292
(2)配列番号9の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:11アミノ酸
(B)タイプ:アミノ酸
(C)ストランドネス:
(D)トポロジー:環状
(ii)分子のタイプ:ペプチド
(xi)配列の記載:SEQ ID NO:9:
Figure 0004293292
(2)配列番号10の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:12アミノ酸
(B)タイプ:アミノ酸
(C)ストランドネス:
(D)トポロジー:環状
(ii)分子のタイプ:ペプチド
(xi)配列の記載:SEQ ID NO:10:
Figure 0004293292
(2)配列番号11の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:12アミノ酸
(B)タイプ:アミノ酸
(C)ストランドネス:
(D)トポロジー:環状
(ii)分子のタイプ:ペプチド
(xi)配列の記載:SEQ ID NO:11:
Figure 0004293292
(2)配列番号12の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:12アミノ酸
(B)タイプ:アミノ酸
(C)ストランドネス:
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子のタイプ:ペプチド
(xi)配列の記載:SEQ ID NO:12:
Figure 0004293292
(2)配列番号13の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:9アミノ酸
(B)タイプ:アミノ酸
(C)ストランドネス:
(D)トポロジー:環状
(ii)分子のタイプ:ペプチド
(xi)配列の記載:SEQ ID NO:13:
Figure 0004293292
(2)配列番号14の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:12アミノ酸
(B)タイプ:アミノ酸
(C)ストランドネス:
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子のタイプ:ペプチド
(xi)配列の記載:SEQ ID NO:14:
Figure 0004293292
(2)配列番号15の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:10アミノ酸
(B)タイプ:アミノ酸
(C)ストランドネス:
(D)トポロジー:環状
(ii)分子のタイプ:ペプチド
(xi)配列の記載:SEQ ID NO:15:
Figure 0004293292
(2)配列番号16の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:25アミノ酸
(B)タイプ:アミノ酸
(C)ストランドネス:
(D)トポロジー:環状
(ii)分子のタイプ:ペプチド
(xi)配列の記載:SEQ ID NO:16:
Figure 0004293292

Claims (14)

  1. (i)核酸、及び
    (ii)ポリカチオン性核酸結合成分に結合したインテグリン結合成分と
    (iii)脂質成分との混合物であって、成分(ii)を脂質成分(iii)に加えて混合することによって得られる混合物、
    を含む複合体であって、
    当該ポリカチオン性核酸結合成分は、ポリリジン核酸結合成分であり、
    当該インテグリン結合成分は、保存されたアミノ酸配列アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)またはGACRRETAWACG(配列番号12)またはGACQIDSPCA(配列番号15)を含み、及び
    当該脂質成分は、中性脂質ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)または、膜を不安定化するまたはフソジェニックな(fusogenic)、同様な性質を有する脂質、あるいはカチオン性脂質N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA)またはカチオンとしての同様な性質を有する脂質であるか、またはそれを含む、
    複合体
  2. インテグリン結合成分が、保存されたアミノ酸配列アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)を含むインテグリン結合ペプチドである、請求項1記載の複合体。
  3. ポリカチオン性核酸結合成分が、10から20のリジン残基を有するオリゴリジンである、請求項1または2に記載の複合体。
  4. ポリカチオン性核酸結合成分が、16のリジン残基を有するオリゴリジンである、請求項3記載の複合体
  5. 脂質成分が、中性脂質ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)または、膜を不安定化するまたはフソジェニックな(fusogenic)、同様な性質を有する脂質であるか、またはそれを含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の複合体。
  6. 脂質成分が、カチオン性脂質N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA)またはカチオンとしての同様な性質を有する脂質であるか、またはそれを含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の複合体。
  7. 非ヒトの細胞をイン・ビトロまたはイン・ビボで請求項1〜のいずれか一項に記載の複合体と接触させることを含む非ヒトの細胞を核酸でトランスフェクトする方法。
  8. 細胞をイン・ビトロで、請求項1〜のいずれか一項に記載の複合体と接触させることを含む、細胞を核酸でトランスフェクトする方法。
  9. 医薬的に適した担体と混合または結合した、請求項1〜のいずれか一項に記載の複合体を含む医薬組成物。
  10. 請求項1〜のいずれか一項に記載の複合体を非ヒトの動物に投与することを含む、非ヒトの動物の治療的または予防的免疫のための方法。
  11. 遺伝子における欠損及び/または欠失によってヒトまたは非ヒトの動物において生じる状態の予防のための、または治療的または予防的な免疫のための、またはアンチセンス治療のための薬剤の製造のための、請求項1〜のいずれか一項に記載の複合体の使用。
  12. 非ヒトの宿主細胞を請求項1〜のいずれか一項に記載の複合体と接触させることを含む、核酸を非ヒトの宿主細胞中で発現させるための方法。
  13. 宿主細胞をイン・ビトロで、請求項1〜のいずれか一項に記載の複合体と接触させることを含む、核酸を宿主細胞中で発現させるための方法。
  14. 細胞をイン・ビトロで、請求項1〜のいずれか一項に記載の複合体でトランスフェクトすることを含み、複合体の核酸成分がタンパク質をコードし、細胞にタンパク質を発現させ、タンパク質を取得する、タンパク質を製造する方法。
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