JP4292338B2 - コンバイン - Google Patents
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Description
本発明は、走行装置、特にコンバインの伝動機構に係るものである。
【0002】
【従来技術】
従来、走行装置の左右車軸への動力伝達を断続する左右サイドクラッチと、左右車軸に伝達する回転に制動を加えるブレーキ装置と、スピンターン用の切替クラッチとを夫々設け、前記車軸回転センサが検出した回転をフィードバックし、操向レバーの位置に応じた旋回するように制御する走行装置の伝動機構は公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−205832号公報(5頁、図9)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記公知例の旋回制御は、旋回操作があったときに、実際の車軸の回転数をフィードバックし、操向レバーの位置に応じた旋回するように制御するが、操向レバーの操作角度が変わると、改めて車軸回転センサで実際の車軸の回転をフィードバックし、操向レバーの位置に応じた旋回するように制御するため、一々車軸回転センサで実際の車軸の回転数をフィードバックして修正を行う分、制御が煩雑になり、円滑な旋回ができないという課題がある。
即ち、単に操向レバーの傾倒に応じた信号出力のみで旋回すると、圃場条件等によって旋回半径が相違し、操作性が低いので、実際の車軸の回転をフィードバックするフィードバック制御すると、圃場条件等を加味して旋回制御できて、操作性は向上するが、前記したように、修正を行う分、制御が煩雑になるという課題が発生する。
本願は、実際の車軸の回転をフィードバックするフィードバック制御でありながら、迅速な対応を可能にして、操作性の向上と迅速な制御を両立させたものである。
また、グレンタンクを搭載したコンバインの場合、左右重量バランスを考慮した旋回制御を実現したものである。
また、刈取作業において旋回初期の旋回量を増加させて操向性能を向上させつつ、作業条件によって適切な制御をできるようにしたものである。
【0005】
【発明の目的】
操作性の向上、旋回制御の精度の向上と迅速化の両立、操作に対する走行装置の追従性の向上、操作に対する反応遅れの減少、走行安定性の向上、作業性の向上。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明では、走行装置の左右車軸16、16への動力伝達を断続する左右のサイドクラッチ15を設け、該左右のサイドクラッチ15うちの切りにされた車軸16へ動力伝達する差動機構20を設け、該差動機構20の上手側の伝達経路には、差動機構20が直進時の車軸16に前記左右のサイドクラッチ15からの回転と同期して伝達する直進用クラッチ38と旋回時に前記車軸16に回転伝達する旋回用クラッチ50とを夫々設け、前記旋回用クラッチ50は機体の操縦部55に設けた操向レバー56の操作位置に応じて接続圧力を昇降制御すると共に、前記左右の車軸16の回転を検出する車軸回転センサ63により検出した実際の回転数をフィードバックさせて操向レバー56の傾倒角度に対応した左右の車軸16の回転差となる制御を行う構成とし、前記車軸回転センサ63による検出値のフィードバック情報に基づく旋回制御は、前記操向レバー56の操作位置に応じて昇圧された旋回用クラッチ50の接続圧力が、予め設定した接続圧力まで昇圧されてから所定時間経過後に車軸回転センサ63により左右の車軸16の回転数を検出してこの回転数をコントローラ58にフィードバックし、左右の車軸16の回転差が所定の回転差となるように旋回用クラッチ50の接続圧力を昇降制御すると共に、このフィードバックの際に検出された左右の車軸16の回転数に基づいて旋回用クラッチ50の接続圧力の昇降ライン全体の傾斜角度を変更する構成とし、かつ、昇降ライン全体の傾斜角度を変更後に続いて行う操向レバー56の傾倒操作角度に応じて前記全体の傾斜角度が変更された昇降ラインより旋回用クラッチ50の接続圧力に昇降制御し、所定時間操向レバー56を最大傾倒操作したときに旋回用クラッチ50の接続圧力を旋回内側の車軸16の回転数が「0」となるブレーキターン用のブレーキ圧に自動調節すると共に、旋回用クラッチ50の接続圧力の昇降ライン全体の傾斜角度を変更し、一旦前記操向レバー56を中立位置に戻すと、再び新規な前記フィードバック情報に基づく旋回制御を反復して行う構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、直進状態では左右サイドクラッチ15からの回転が車軸16に伝達され、操向レバー56を操作すると、左右サイドクラッチ15の一方を切りにし、これに対応する車軸16には差動機構20の左右差動出力軸21のいずれかより回転が伝達されて旋回する。
差動機構20は、直進用クラッチ38が入りのときサイドクラッチ15から伝達される回転に同期した回転を車軸16に伝達し、旋回用クラッチ50が入りになってケース22に伝達する回転を変更すると、旋回内側となる車軸16を旋回外側の車軸16より遅く駆動回転させて行う緩旋回や、旋回内側となる車軸を停止させて行なうブレーキターンや、旋回内側となる車軸を旋回外側の車軸と反対に駆動回転させて行なうスピンターン等が可能になり、この操向レバー56の操作の操作位置に応じて直進用クラッチ38と旋回用クラッチ50の夫々の接続圧力を昇降制御する。この直進用クラッチ38と旋回用クラッチ50の夫々の接続圧力の昇降制御は、操向レバー56による操作を操向レバー位置検出部57で検出すると、この操作角度に応じた旋回半径となるように予め設定されている接続圧となるように旋回用クラッチ50に昇圧し、同時に、車軸回転センサ63により実際の回転数を検出し、この実際の回転数をコントローラ58にフィードバックし、左右の車軸16が所定の旋回半径で旋回するように、旋回用クラッチ50を昇降制御する。
そして、実際の回転数をコントローラ58にフィードバックした際に、このフィードバック情報に基づいて、旋回用クラッチ50の接続圧力の昇降ラインの傾斜全体を最適状態に変更する。
【0007】
【発明の効果】
請求項1では、旋回制御の精度の向上と迅速化を両立させ、全体の操作性を向上させ、操作に対する走行装置の追従性を向上させ、操作に対する反応遅れを減少させ、走行安定性を向上させ、また、操向レバー56を最大操作するだけで旋回用クラッチ50の接続圧力を自動調整でき、操作性を向上させる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を図面により説明すると、1はコンバイン等の作業機の左右一対のクローラからなる走行装置のミッションケースであり、上部位置に走行速度を変速する走行用油圧式主変速装置(ハイドロスタチックトランスミッション)2を設けている。
3はエンジンからの回転を走行用油圧式主変速装置2に入力する入力プーリ、4は走行用油圧式主変速装置2の出力軸であるが、ミッションケース1の入力軸となる。5は副変速軸であり、副変速軸5には一体的に回転するように歯車群6を設け、歯車群6にはカウンタ軸7の歯車8を選択的に噛み合わせる。カウンタ軸7により回転する中間軸9にはセンターギヤ10を設け、センターギヤ10はサイドクラッチ軸11に固定の受動歯車12と常時噛合っている。
サイドクラッチ軸11にはサイドクラッチ歯車13を摺動自在に設け、サイドクラッチ歯車13に設けたクラッチ爪を受動歯車12の内歯に継脱自在に嵌合させて、左右サイドクラッチ15を形成する。左右サイドクラッチ15の構成は任意であり、実施例には限定されない。
サイドクラッチ歯車13は左右車軸16に設けた車軸歯車17に夫々噛み合わせて、車軸16に回転を伝達する。
【0009】
しかして、サイドクラッチ軸11の近傍には差動機構20を設け、差動機構20はその左右差動出力軸21に相互の回転数を変更して出力する。差動機構20は、ミッションケース1内に回転自在にケース22を設け、ケース22内には前記左右差動出力軸21の夫々の先端を臨ませる。実施例の左右差動出力軸21は軸筒形状に形成し、左右差動出力軸21はミッションケース1に設けた取付軸21aに夫々独立して回転するように嵌合させる。この左右差動出力軸21の先端には左右傘歯車23を相対峙するように設ける。左右傘歯車23も実施例では左右差動出力軸21の先端に一体に設け、取付軸21aに遊嵌させている。
左右傘歯車23にはそれぞれケース22に固定の軸24に回転自在に取付けた中間傘歯車25を噛合わせ、前記ケース22の外周にはケース回転受動歯車26を設け、左右差動出力軸21の夫々に設けた旋回伝達歯車35を車軸歯車17に夫々噛み合わせる。
差動機構20は、ケース回転受動歯車26を介してケース22の回転を変更し、左右差動出力軸21の夫々に設けた旋回伝達歯車35の回転を変更することにより旋回内側となる車軸を旋回外側の車軸より遅く駆動回転させて行なう緩旋回と、旋回内側となる車軸を停止させて行なうブレーキターンと、旋回内側となる車軸を旋回外側の車軸と反対に駆動回転させて行なうスピンターンとを行う。
【0010】
しかして、差動機構20の近傍には、前記ケース回転受動歯車26に回転を伝達する旋回用伝達装置30を設ける。31はケース回転受動歯車26に常時噛合うケース回転歯車であり、旋回用中間軸32に設ける。旋回用中間軸32には内側ボス33を回転のみ自在に嵌合させ、内側ボス33には直進用入力歯車34を一体回転するように設ける。直進用入力歯車34は前記センターギヤ10と常時噛合っている受動歯車12に常時噛合せる。
また、前記旋回用中間軸32の外周にはケーシング37を一体回転するように設け、ケーシング37の内周にはディスクを設け、該ディスクは前記内側ボス33の外周に設けたディスクと継脱自在に当接するようにして直進用クラッチ38を構成する。
直進用クラッチ38は入りになると、前記センターギヤ10の回転を直進用入力歯車34から内側ボス33を介してケーシング37に伝達し、ケーシング37が旋回用中間軸32を回転させてケース回転歯車31を回転させる。
差動機構20は、直進用クラッチ38が入りのとき、差動機構20から伝達する回転が左右サイドクラッチ15から伝達される回転と同じにしてメカロックしないように、左右差動出力軸21、21の夫々が同じ回転数になるようにケース22を回転させて直進用に作動させ、同一回転している左右傘歯車23の回転を旋回伝達歯車35を介して左右車軸16に伝達させて直進する。
【0011】
前記ケーシング37の外周にはドラム40を設け、ドラム40の基部側にはピストン41を設け、ピストン41とミッションケース1の間に外側シリンダ室42を形成する。
ドラム40には内側プレート43を設け、送油口44から外側シリンダ室42に送油されると、ピストン41とドラム40と内側プレート43が図3の矢印方向に移動してケーシング37のディスクを内側ボス33の外周のディスクから離脱させて、直進用クラッチ38を切りにする。
内側プレート43のケース回転歯車31側には外側プレート45を設け、前記内側プレート43と外側プレート45の間に直進用クラッチ38を入り方向に付勢するスプリング46を設け、スプリング46により直進用クラッチ38を常時入りにする。
前記内側ボス33の外周には外側ボス48を回転のみ自在に設け、外側ボス48の外周に設けたディスクにケーシング37の内周に設けたディスクを、継脱自在に当接するようにして旋回用クラッチ50を構成する。外側ボス48には旋回用入力歯車51を設け、旋回用入力歯車51には旋回用中間歯車51aを噛み合わせる。旋回用入力歯車51と旋回用中間歯車51aとは、サイドクラッチ15から車軸16に伝達する回転に対して所定の旋回半径となる回転を伝達しうるギヤ比に設定する(旋回用クラッチ50が完全に入り状態のとき前記差動機構20がスピンターン用の出力可能に設定)。
【0012】
旋回用クラッチ50は、外側シリンダ室42に送油して直進用クラッチ38を切りにすると、入りとなって、旋回用中間歯車51a→旋回用入力歯車51→外側ボス48→ディスク→ケーシング37→旋回用中間軸32を介してケース回転歯車31に伝達し、差動機構20を旋回用に作動させる。
即ち、直進用クラッチ38と旋回用クラッチ50は何れか一方が切りになると何れか他方が入りになるようにケーシング37に、夫々のディスクの移動方向に並設し、直進用クラッチ38のディスクの移動方向切り側に外側シリンダ室42を設け、直進用クラッチ38のディスクの移動方向入り側にスプリング46を設け、外側シリンダ室42に送油すると、ピストン41がドラム40と内側プレート43を移動させ、ケーシング37のディスクが内側ボス33の外周のディスクから離脱して、直進用クラッチ38を切りにし、ケーシング37の移動により外側プレート45が移動して旋回用クラッチ50を入りにする。
この場合、旋回用クラッチ50は、ディスクの接触圧力を変更し、回転伝達「0」の切り状態(直進用クラッチ38が入りで接触圧力が「0」)から入り状態へ無段階に伝達するようにし、これにより、前記差動機構20のケース22の回転を、前記したように、緩旋回と、ブレーキターンと、スピンターンとをできるように変速する。
【0013】
したがって、旋回用伝達装置30には、差動機構20を旋回用に作動させるための回転の伝達を継脱させる旋回用クラッチ50と、差動機構20を直進用に作動させるために回転伝達を継脱させる直進用クラッチ38とを設けている。
なお、実施例では、ブレーキターンは、作動機構20により旋回内側の車軸16の回転を停止させて行い、機体の制動は後述する走行速度を変更操作する主変速レバーにより行う。また、別途駐車ブレーキペダルを設けてもよい。
しかして、機体の操縦部55には操向レバー(パワステレバー)56を設け、操向レバー56の近傍には操向レバー56の操作位置を検出する操向レバー位置検出部(ポテンショメータ)57を設け、操向レバー位置検出部57により検出した操向レバー56の操作位置に応じて前記旋回用伝達装置30の直進用クラッチ38と旋回用クラッチ50の夫々の接続圧力を昇降制御し、これにより差動機構20が左右車軸16の何れかに伝達する回転を制御するように構成する。58はコントローラ58、59は走行速度を変更操作する主変速レバー、60は主変速レバー59の操作位置検出部、61は走行用油圧式主変速装置2の変速制御に置ける走行速度の変速ラインを変更操作する副変速レバー、62は副変速レバー61の操作位置検出部、63は左右車軸16、16の回転を検出する車軸回転センサ、64は油タンク、65は送油ポンプ、66は圧力制御弁である。
【0014】
前記旋回用クラッチ50の昇降制御は、操向レバー56による操作を操向レバー位置検出部57で検出すると、この操作角度に応じた旋回半径となるように予め設定されている接続圧に旋回用クラッチ50に昇圧し、所定時間経過後、車軸回転センサ63により実際の回転数を検出し、この実際の回転数をコントローラ58にフィードバックし、左右の車軸16が所定の旋回半径で旋回するように、旋回用クラッチ50を昇降制御する。
そして、実際の回転数をコントローラ58にフィードバックした際に、このフィードバック情報に基づいて、旋回用クラッチ50の接続圧力の昇降ラインの傾斜全体を最適状態に変更する。
したがって、続いて操向レバー56を傾倒操作すると、操向レバー56の操作角度に応じた最適な旋回用クラッチ50の昇降制御を行え、迅速且つ精度の高い旋回制御になる。
【0015】
即ち、操向レバー56の操作の度に車軸回転センサ63により実際の回転数をフィードバックさせて旋回用クラッチ50の接続圧力の昇降制御していると、フィードバックさせている分制御が遅れることになるが、本願のように、フィードバック情報に基づいて旋回用クラッチ50の接続圧力の昇降ラインの傾斜全体を変更すると、すぐに操作角度に応じた旋回半径となるように制御を実行でき、迅速且つ精度の高い旋回制御になる。
そして、一旦操向レバー56を中立位置に戻すと、再び前記制御を反復して行い、常に圃場の条件その他の旋回条件にあった最適な旋回用クラッチ50の接続圧力の昇降ラインの傾斜を変更する制御を実行する。
例えば、図5のように、操向レバー56を最大に傾倒させたとき、旋回内側の車軸16の回転を「0」にして行うブレーキターンに設定し、実際の回転数をコントローラ58にフィードバックして、旋回内側の車軸16の回転が「0」以下の場合降圧し、旋回内側の車軸16の回転が「0」以上の場合昇圧すると共に、旋回用クラッチ50の接続圧力の昇降ラインの傾斜全体を変更するので、円滑確実に旋回内側の車軸16の回転を「0」にして行うブレーキターンができる。
【0016】
換言すると、操向レバー56を最大操作するだけでブレーキ圧(旋回用クラッチ50の接続圧力)を自動調整する。
この場合、所定時間(例えば、2秒以上)操向レバー56を最大傾倒操作したとき旋回用クラッチ50の接続圧力を自動調節することにし、次指令まではその昇降ラインの傾斜を維持させて、誤操作を防止し、通常は、図6のように、圃場の角部分で大きく旋回するので、このときに操向レバー56を最大傾倒操作したとき旋回用クラッチ50の接続圧力を自動調節する。
しかして、走行装置70の上方に脱穀装置71を設け、脱穀装置71の側方にグレンタンク72を設けたコンバインにおいて、グレンタンク72には穀粒量検出センサ73を設け、穀粒量検出センサ73により穀粒を検出すると、その検出量により操向レバー56の操作角度と前記旋回用クラッチ50の接続圧の昇降ラインの関係を変更(シフト)するように構成する。
【0017】
即ち、グレンタンク72が空のときは左右何れも同じ接続圧になるが、グレンタンク72内の穀粒量が多くなるに従いグレンタンク72側の接続圧は低く、反グレンタンク72側への旋回では接続圧力は高くなるように、予め、昇降ラインを複数設定し、穀粒量検出センサ73による検出量により昇降ラインをシフトするようにしている(図7)。
図7において、Aはから状態、Bは略1/3、Cは略2/3、Dは満状態を示し、機体進行方向の左側に脱穀装置71を設け、右側にグレンタンク72を設けている。
したがって、刈取脱穀作業開始直後と、終了間近でも、操向レバー56が同じ傾倒角であれば同じ旋回半径となって、左右重量バランスの変動の影響を最小限にして旋回でき、操作性を向上させられる。
また、図8のように、グレンタンク72を設けた側に旋回するときのみ、予め複数設定した昇降ラインを、穀粒量検出センサ73による検出量によりシフトさせてもよい。
また、図9において、縦に並列させたのは接触式の穀粒量検出センサ73であり、天井に設けた穀粒量検出センサ73は超音波センサを表現しており、どのように設けてもよい。
【0018】
しかして、刈取脱穀作業中、中立位置から操向レバー56の初期操作の傾倒角度のとき、旋回用クラッチ50の接続圧力を急に昇圧(以下、初期圧という)させ、急激な操向操作を可能にし、条合せを容易にする所謂刈取用制御を実行するが、刈取部75の地面に対する高さを検出する刈高さセンサ76により一定高さ以上に刈取部75が位置するときは、初期圧のない非作業中の昇降ラインに切替える(図10)。
そのため、道や畦から進入して刈り始める場合、機体が前傾となって初期圧のショックがあると作業性が悪いが、この前傾状態になると、初期圧のない非作業中の昇降ラインに切替え、ショックのない円滑な微調整可能な旋回となる(図11)。
しかして、図12は、副変速機構の実施例を示し、副変速軸5には一体的に回転するように歯車群6を設ける。歯車6は軸方向に歯数の相違するものを一体的に摺動可能に副変速軸5に軸装する。歯車群6にはボール79を内蔵させ、ボール79はバネ80により副変速軸5に向けて突出するように付勢する。副変速軸5の外周にはボール79が嵌合する嵌合溝81を設け、ボール79は何れかの嵌合溝81に嵌合し、歯車群6の軸方向の移動を停止させる。複数の歯車群6の間にはシフタ係合溝82を設け、シフタ係合溝82にはシフタ83を係合させる。シフタ83はミッションケース1に軸装したチェンジアーム84に取付ける。
【0019】
したがって、図13に示す従来のようにシフタXと軸Yの間に設けたボール79と嵌合溝81の保持機構を、直接歯車群6と副変速軸5に設けることで、シフタステーを省略でき、構成を簡素化する。
しかして、ミッションケース1の外周には潤滑オイル用パイプ85を設ける。潤滑オイル用パイプ85の一端86は前記ドラム40の上側のミッションケース1に開口させて接続し、潤滑オイル用パイプ85の他端87は前記ドラム40の下側のミッションケース1に開口させて接続する。ミッションケース1内には潤滑オイルを所定量充填し、直進用クラッチ38および旋回用クラッチ50を作動させる作動用油とは独立使用しており、潤滑オイル用パイプ85にはポンプ等の積極的な強制循環手段は設けていないが、潤滑オイル用パイプ85内の潤滑油が熱対流等により循環し、ドラム40の周辺を冷却する。
【0020】
潤滑オイル用パイプ85の一端86と他端87との間の中間部は、ミッションケース1の外周に露出させて取付ける。
この場合、潤滑オイル用パイプ85の一端86と他端87との間の中間部は、ジグザグ状態に蛇行させ、あるいは、潤滑オイル用パイプ85の露出外周部分に冷却用フィンを設けてもよい。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示、あるいは説明しているが、これらは夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 コンバインの側面図。
【図2】 ミッションケースの展開状態の縦断面略図。
【図3】 ミッションケースの展開状態の旋回用クラッチ部分の縦断面略図。
【図4】 ミッションケースと操縦部との制御配線概略図。
【図5】 実施例の昇降ライン全体の傾斜を変更する制御説明図。
【図6】 機体の走行と制御との関係を示す説明図。
【図7】 他の実施例の昇降ライン全体の傾斜を変更する制御説明図。
【図8】 他の実施例の昇降ライン全体の傾斜を変更する制御説明図。
【図9】 グレンタンクの概略図。
【図10】 他の実施例の油圧制御を示すグラフ図。
【図11】 同作業状態の一例を示す概略図。
【図12】 副変速軸部分の断面図。
【図13】 同公知例図。
【図14】 潤滑オイル用パイプを設けたミッションケースの側面図。
【図15】 同断面図。
【符号の説明】
1…ミッションケース、2…走行用油圧式主変速装置、3…入力プーリ、4…入力軸、5…副変速軸、6…歯車群、7…カウンタ軸、8…歯車、10…センター軸、10…センターギヤ、12…受動歯車、11…サイドクラッチ軸、15…左右サイドクラッチ、16…車軸、17…車軸歯車、20…差動機構、21…左右差動出力軸、22…ケース、23…左右傘歯車、24…軸、25…中間傘歯車、26…ケース回転受動歯車、31…ケース回転歯車、32…旋回用中間軸、30…旋回用伝達装置、32…旋回用中間軸、31…ケース回転歯車、33…内側ボス、34…直進用入力歯車、35…旋回伝達歯車、37…ケーシング、38…直進用クラッチ、40…ドラム、41…ピストン、42…外側シリンダ室、44…送油口、43…内側プレート、45…外側プレート、46…スプリング、48…外側ボス、50…旋回用クラッチ、55…操縦部、56…操向レバー、57…操向レバー位置検出部、58…コントローラ、59…主変速レバー、60…操作位置検出部、63…車軸回転センサ、66…圧力制御弁、70…走行装置、71…脱穀装置、72…グレンタンク、73…穀粒量検出センサ、75…刈取部、76…刈高さセンサ、79…ボール、80…バネ、81…嵌合溝、82…シフタ係合溝、83…シフタ、84…チェンジアーム、85…潤滑オイル用パイプ。
Claims (1)
- 走行装置の左右車軸(16、16)への動力伝達を断続する左右のサイドクラッチ(15)を設け、該左右のサイドクラッチ(15)うちの切りにされた車軸(16)へ動力伝達する差動機構(20)を設け、該差動機構(20)の上手側の伝達経路には、差動機構(20)が直進時の車軸(16)に前記左右のサイドクラッチ(15)からの回転と同期して伝達する直進用クラッチ(38)と旋回時に前記車軸(16)に回転伝達する旋回用クラッチ(50)とを夫々設け、前記旋回用クラッチ(50)は機体の操縦部(55)に設けた操向レバー(56)の操作位置に応じて接続圧力を昇降制御すると共に、前記左右の車軸(16)の回転を検出する車軸回転センサ(63)により検出した実際の回転数をフィードバックさせて操向レバー(56)の傾倒角度に対応した左右の車軸(16)の回転差となる制御を行う構成とし、前記車軸回転センサ(63)による検出値のフィードバック情報に基づく旋回制御は、前記操向レバー(56)の操作位置に応じて昇圧された旋回用クラッチ(50)の接続圧力が、予め設定した接続圧力まで昇圧されてから所定時間経過後に車軸回転センサ(63)により左右の車軸(16)の回転数を検出してこの回転数をコントローラ(58)にフィードバックし、左右の車軸(16)の回転差が所定の回転差となるように旋回用クラッチ(50)の接続圧力を昇降制御すると共に、このフィードバックの際に検出された左右の車軸(16)の回転数に基づいて旋回用クラッチ(50)の接続圧力の昇降ライン全体の傾斜角度を変更する構成とし、かつ、昇降ライン全体の傾斜角度を変更後に続いて行う操向レバー(56)の傾倒操作角度に応じて前記全体の傾斜角度が変更された昇降ラインより旋回用クラッチ(50)の接続圧力に昇降制御し、所定時間操向レバー(56)を最大傾倒操作したときに旋回用クラッチ(50)の接続圧力を旋回内側の車軸(16)の回転数が「0」となるブレーキターン用のブレーキ圧に自動調節すると共に、旋回用クラッチ50の接続圧力の昇降ライン全体の傾斜角度を変更し、一旦前記操向レバー(56)を中立位置に戻すと、再び新規な前記フィードバック情報に基づく旋回制御を反復して行う構成としたことを特徴とするコンバイン。
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JP2002378480A JP4292338B2 (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | コンバイン |
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